JP7078057B2 - 移動ロボットの制御装置および移動ロボットシステム - Google Patents
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Description
ところで、実際の移動ロボットでは、地面とタイヤとの間でスリップが生じる。そのため、移動ロボットを制御して目標位置に正確に向かわせるためには、タイヤのスリップを考慮した位置推定が不可欠となる。
特許文献1には、車両の前後加速度、横加速度および車体速度を用いて、車体スリップ角を推定する点が開示されている。
そこで、本発明は、多くのセンサを必要とすることなくスリップ角を適切に推定することができる移動ロボットの制御装置および移動ロボットシステムを提供することを目的とする。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
図1は、本発明の実施形態に係る移動ロボットシステムを構成する移動ロボット(移動体)1を示す斜視図である。移動ロボット1は、車体(シャーシ、支持体)2と、車体2に回転可能に支持された左右一対の車輪4A,4Bとを備える。車体2は、移動ロボット1の下部に設けられたほぼ水平なフレームである。車輪4A,4Bは、同形同大であり、同心に配置されている。
なお、図1では、プリント基板10A,10B,12A,12Bが棚板上に実装されている場合について示しているが、プリント基板10A,10B,12A,12Bそのものが棚板になっていてもよい。
なお、本実施形態では、支持台18と回転台20とは、軸受22を介して互いに回転可能に連結されている場合について説明するが、回転治具は軸受22に限定されるものではなく、例えば回転盤であってもよい。
なお、本実施形態では、回転台20の回転角度を測定する測定装置がフォトセンサである場合について説明するが、測定装置は、フォトセンサに限定されるものではなく、回転台20の回転角度および回転方向を測定可能でセンサ(装置)であってよい。
図3および図4は、実施形態に係る移動ロボットシステムを構成する移動装置(搬送装置)30を示す。この移動装置30は、2つの移動ロボット1の回転台20が連結荷台(連結部材)32によって連結された構成を有する。
なお、凹部34および突起36の形状は、三角形に限定されるものではなく、嵌合させることで連結荷台32が回転台20に対して回転しない構成となる形状であればよく、例えば四角形等であってもよい。
この場合、2つの移動ロボット1のそれぞれの走行方向に応じて、連結荷台32で連結された2つの移動ロボット1の回転台20が回転するので、2つの移動ロボット1の走行を阻害しない。
図5は、本発明の実施形態に係る移動ロボットシステム100の主要部分のブロック図である。
本実施形態では、移動ロボットシステム100は、2つの移動ロボット1を備える移動装置30と、移動ロボット1を制御する外部コンピュータ(制御装置)40と、を備える。移動ロボット1は、外部コンピュータ40と無線通信により通信可能に接続されている。無線通信の手法としては、特に限定されないが、例えば無線LAN規格(例えば、IEEE802.11規格シリーズ)に準拠した通信とすることができる。
モータユニット42A,42Bは、電源43により給電される。電源43は、バッテリケース8(図1参照)に収容されたバッテリである。フォトセンサ26も電源43により給電される。
具体的には、無線通信回路44A、メイン制御部46A、メモリ48Aおよびモータ駆動制御部50Aは、プリント基板12Aに実装され、駆動回路52Aは、プリント基板10Aに実装される。無線通信回路44B、メイン制御部46B、メモリ48Bおよびモータ駆動制御部50Bは、プリント基板12Bに実装され、駆動回路52Bは、プリント基板10Bに実装される。
但し、本実施形態では、第1のモータユニット42Aの無線通信回路44Aのみを通常、使用する。第2のモータユニット42Bの無線通信回路44Bは、無線通信回路44Aに異常が発生した場合の予備として使用することができる。あるいは、第2のモータユニット42Bの無線通信回路44Bを補助的に使用することができる。例えば、無線通信回路44Aを外部コンピュータ40からの受信に使用し、無線通信回路44Bを外部コンピュータ40への送信に使用してもよい。
メイン制御部46Aは、無線通信回路44Aを用いて、外部コンピュータ40と無線通信する。また、メイン制御部46Aは、モータ駆動制御部50Aを制御することにより、モータ6Aの駆動を制御する。さらに、メイン制御部46Aは、第2のモータユニット42Bのメイン制御部46Bと通信可能に有線接続されている。
メモリ48A,48Bの各々は、メイン制御部46Aまたは46Bが処理を行うために必要なデータを記憶する。メイン制御部46A,46Bの各々は、メモリ48Aまたは48Bに必要なデータを書き込んだり、メモリ48Aまたは48Bから必要なデータを読み出したりすることができる。メモリ48A,48Bは、揮発性メモリ(例えば、SRAM)であるが、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ)であってもよい。また、メモリ48A,48Bの各々が、揮発性メモリと不揮発性メモリの両方を備えていてもよい。
駆動回路52Aは、モータ駆動制御部50Aの制御の下で、モータ6Aを駆動する。駆動回路52Bは、モータ駆動制御部50Bの制御の下で、モータ6Bを駆動する。
具体的には、駆動回路52A,52Bは、電源43から電力が供給され、モータ駆動制御部50A,50Bから出力されるPWM信号をもとにモータ6A,6Bをそれぞれ駆動する。
例えば、上記速度センサは、モータ6A,6Bの内部に取り付けられたホールセンサであって、磁界を電気信号に変換する。モータ駆動制御部50A,50Bは、速度センサの出力信号に基づいてモータ6A,6Bの回転速度を判定することができる。すなわち、モータ駆動制御部50Aはモータ6Aの回転速度を測定し、モータ駆動制御部50Bはモータ6Bの回転速度を測定することができる。
また、モータ駆動制御部50A,50Bは、それぞれ駆動回路52A,52Bの電流値に基づいて、公知の計算方式で、モータ6A,6Bのトルクを計算することができる。すなわち、モータ駆動制御部50Aはモータ6Aのトルクを測定し、モータ駆動制御部50Bはモータ6Bのトルクを測定することができる。
本実施形態では、メイン制御部46Aは、回転台20の回転角度を移動ロボット1の姿勢角として測定する。
次に、外部コンピュータ40からの制御コマンドに基づく、モータユニット42A,42Bのモータ6A,6Bの制御の動作例について説明する。以下に説明する動作は、複数の移動ロボット1を備える移動装置30(図3および図4参照)では、各移動ロボット1について個別に実行される。
第1のモータユニット42Aのメイン制御部46Aが無線通信回路44Aを介して上記制御情報を含むコマンドを受信すると、メイン制御部46Aは、第1のモータ6Aの制御情報をモータ駆動制御部50Aに出力する。また、メイン制御部46Aは、第2のモータ6Bの制御情報をメイン制御部46Bに送信する。メイン制御部46Bは、メイン制御部46Aから第2のモータ6Bの制御情報を受信すると、受信した第2のモータ6Bの制御情報をモータ駆動制御部50Bに出力する。
これにより、第1のモータ6Aおよび第2のモータ6Bの回転速度が目標速度となるように制御される。
本実施形態では、外部コンピュータ40は、回転台20の回転角θrを移動ロボット1の姿勢角として用い、車輪4A,4Bの回転角θR、θLと、移動ロボット1の姿勢角θrとに基づいて、移動ロボット1のスリップ角を推定する。そして、外部コンピュータ40は、推定されたスリップ角を用いて、移動ロボット1の位置を推定する。
まず、移動ロボット1の位置推定方法について説明する。
横滑りを考慮した差動二輪型ロボットの運動方程式は、次式で表される。
上記(1)、(2)式における姿勢角θは、左右車輪の回転角θR、θLから算出される旋回角度θmが閾値δ以下である場合、θ=θm、θm>δである場合、θ=θrとする。ここで、δは、移動ロボット1が旋回しているとみなすための閾値である。つまり、旋回時には、回転台20の回転角θrを姿勢角θとして位置推定に用い、直進時には、左右車輪の回転角θR、θLから算出される旋回角度θmを姿勢角θとして位置推定に用いるものとする。
上記の式を積分すれば、ロボットの並進距離と旋回角度とを推定することができる。
図7は、外部コンピュータ40が備える目標速度演算部41の構成例を示すブロック図である。
目標速度演算部41は、旋回角度算出部41aと、車輪速度算出部(車輪速度取得部)41bと、スリップ角推定部41cと、角速度算出部41dと、並進速度算出部41eと、横滑り速度算出部41fと、位置推定部41gと、目標速度算出部41hと、を備える。
旋回角度算出部41aは、車輪4A,4Bの回転角θRおよびθLに基づいて、移動ロボット1の旋回角度θmを算出する。車輪速度算出部41bは、車輪4A,4Bの回転角θRおよびθLに基づいて、車輪速度VRおよびVLを算出する。
ここで、旋回角度θmは、車輪4A、4Bに取り付けられたセンサ(エンコーダやホールセンサ等)により検出された回転角θR、θLから算出された旋回角度であり、図8に示すように、移動ロボット1の実際の姿勢角θrとは異なる。上述したように、本実施形態では、回転台20の回転角θrを移動ロボット1の実際の姿勢角θrとして取得するため、次式をもとにスリップ角βを推定することができる。
β=θr-θm ………(5)
並進速度算出部41eは、移動ロボット1の実際の並進速度Vx_realを算出する。この並進速度Vx_realは、横滑りが存在し得る車輪速度VR、VLから算出される並進速度Vx=(VR+VL)/2とは異なる。
並進速度Vx_realは、次式により表される。
Vx_real=(VR_real+VL_real)/2 ………(6)
ここで、VR_realは、右車輪の実際の車輪速度、VL_realは、左車輪の実際の車輪速度である。
dθr/dt=(VR_real-VL_real)/L ………(7)
上記(6)(7)式により、以下の式が導出される。
Vx_real=(2VR_real-L・dθr/dt)/2 ………(8)
Vx_real=(2VL_real-L・dθr/dt)/2 ………(9)
重心が移動ロボット1の左右車輪間の中心にあると仮定すると、図9(a)に示すように移動ロボット1が右に旋回する場合、遠心力により左車輪4Bに右車輪4Aよりも大きな垂直抗力が発生し、左車輪4Bのタイヤを歪める。このため、左車輪のタイヤ半径が変化し、車輪の回転誤差となるおそれがある。
そこで、図9(a)に示すように移動ロボット1が右旋回している場合には、右車輪の車輪速度VRを実際の車輪速度VR_realとし、上記(8)式を用いて実際の並進速度Vx_realを算出する。一方、図9(b)に示すように移動ロボット1が左旋回している場合には、左車輪の車輪速度VLを実際の車輪速度VL_realとし、上記(9)式を用いて実際の並進速度Vx_realを算出する。
なお、本実施形態では、移動ロボット1は、旋回時に旋回内側の車輪が浮くほどの遠心力では走行しないと仮定する。
Vy_real=Vx_real・tanβ ………(10)
位置推定部41gは、実際の並進速度Vx_realと、実際の横滑り速度Vy_realとを用いて、位置xb、ybを推定する。具体的には、上記(1)(2)式を積分することで位置xb、ybを算出する。
目標速度算出部41hは、移動ロボット1の位置情報xb、ybおよびθに基づいて、移動ロボット1の目標速度(目標並進速度Vx_ref、目標旋回速度Vω_ref)を算出する。なお、上記の目標速度の算出には、公知の方法を用いることができる。
以上のように、本実施形態では、外部コンピュータ(制御装置)40は、移動ロボット1の回転台20の回転角度θrを取得し、取得された回転台20の回転角度θrに基づいて、移動ロボット1のスリップ角を推定する。
つまり、本実施形態では、外部コンピュータ(制御装置)40は、回転台20の回転角度θrが移動ロボット1の旋回時に生じるスリップに依存しないことを利用し、回転台20の回転角度θrをもとに移動ロボット1の実際の姿勢角を把握する。移動ロボットの姿勢角が分かれば、車輪速度VR、VLに基づいて算出される移動ロボット1の旋回角度θmとの差分を取ることで、スリップ角βを容易に推定することができる。したがって、多くのセンサを必要とすることなく、また、複雑なアルゴリズムを必要とすることなく、スリップ角βを適切に推定することができる。
さらに、本実施形態では、外部コンピュータ(制御装置)40は、上記により推定されたスリップ角βを用いて移動ロボット1の位置xb、ybを推定するので、横滑りを考慮した適切な位置推定が可能である。
これにより、移動ロボット1の横滑り速度Vy_realを適切に推定することができ、横滑りを考慮した移動ロボット1の位置推定を適切に行うことができる。
このように、旋回走行時には、旋回外側のタイヤの垂直抗力が大きくなり、車輪の回転誤差が生じることを考慮し、信用できる旋回内側の車輪(右旋回時には右タイヤ、左旋回時には左タイヤ)の回転速度を用いて移動ロボット1の並進速度Vx_realを算出する。また、回転台20にはタイヤのスリップによるすべりが存在しないことに着目し、回転台20の回転角速度dθr/dtを移動ロボットの旋回速度として、並進速度Vx_realの算出に使用する。これにより、移動ロボット1の実際の並進速度Vx_realを適切に算出することができる。
従来、車両の前後加速度、横加速度および車体速度を用いて、車体スリップ角を推定したり、移動ロボットの回転角とカメラによって得られた映像情報とからスリップ角を推定したりする方法などが提案されている。しかしながら、これらの技術では、スリップ角の推定に多くのセンサが必要である。つまり、スリップ角の推定に必要なパラメータが多く、アルゴリズムが複雑化する。
上記実施形態においては、各移動ロボット1に2つの車輪4A,4Bが設けられ、2つの車輪4A,4Bに対応して2つのモータ6A,6Bが設けられている。しかしながら、各移動ロボット1に3つ以上の車輪、およびこれら3つ以上の車輪に対応する3つ以上のモータが設けられてもよい。
Claims (6)
- 左右一対の車輪と、
前記車輪をそれぞれ駆動するモータと、
前記車輪をそれぞれ回転可能に支持する車体と、
前記車体に対して鉛直方向の軸回りに回転自在に連結された回転台と、を備える移動ロボットの制御装置であって、
前記回転台の回転角度を取得する回転角度取得部と、
前記回転角度取得部により取得された前記回転台の回転角度に基づいて、前記移動ロボットのスリップ角を推定するスリップ角推定部と、を備え、
前記回転台は、他の移動ロボットの前記回転台に連結された連結部材に固定されており、
前記回転角度取得部は、前記回転台の回転角度を、前記移動ロボットの姿勢角として取得することを特徴とする移動ロボットの制御装置。 - 前記スリップ角推定部により推定されたスリップ角を用いて、前記移動ロボットの位置を推定する位置推定部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の移動ロボットの制御装置。
- 前記車輪の車輪速度をそれぞれ取得する車輪速度取得部と、
前記車輪速度取得部により取得された車輪速度に基づいて、前記移動ロボットの並進速度を算出する並進速度算出部と、
前記並進速度算出部により算出された並進速度と、前記スリップ角推定部により推定されたスリップ角とに基づいて、前記移動ロボットの横滑り速度を算出する横滑り速度算出部と、をさらに備え、
前記位置推定部は、
前記並進速度算出部により算出された並進速度と、
前記横滑り速度算出部により算出された横滑り速度と、に基づいて、前記移動ロボットの位置を推定することを特徴とする請求項2に記載の移動ロボットの制御装置。 - 前記回転角度取得部により取得された前記回転台の回転角度に基づいて、前記回転台の回転角速度を算出する角速度算出部をさらに備え、
前記並進速度算出部は、
前記車輪速度取得部により取得された車輪速度のうち旋回内側の車輪の車輪速度と、
前記角速度算出部により算出された回転角速度と、に基づいて、前記移動ロボットの並進速度を算出することを特徴とする請求項3に記載の移動ロボットの制御装置。 - 左右一対の車輪と、
前記車輪をそれぞれ駆動するモータと、
前記車輪をそれぞれ回転可能に支持する車体と、
前記車体に対して鉛直方向の軸回りに回転自在に連結された回転台と、を備え、前記回転台は、他の移動ロボットの前記回転台に連結された連結部材に固定されている移動ロボットの制御方法であって、
前記回転台の回転角度を前記移動ロボットの姿勢角として取得するステップと、
取得された前記回転台の回転角度に基づいて、前記移動ロボットのスリップ角を推定するステップと、を含むことを特徴とする移動ロボットの制御方法。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の移動ロボットの制御装置と、
前記制御装置と通信可能に接続された前記移動ロボットと、を備えることを特徴とする移動ロボットシステム。
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