JP4861154B2 - 情報サービス提供システム、対象行動推定装置、対象行動推定方法 - Google Patents
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Description
ユーザの状況を自動的に推定する従来技術としては、例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1が挙げられる。特許文献1は、行動を推定する対象の移動状態を検出し、移動を、対象が静止状態から移動状態へ一連の動作として移行するものと定義している。特許文献1には、推定の精度をより高めるため、対象の移動の状態によって位置検出のサンプリング間隔を変更することが記載されている。
さらに、非特許文献1には、対象の位置にかかる情報に加え、加速度センサや歩数計といったセンサ類によって取得された情報を使って対象の行動を推定することが記載されている。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、ユーザの位置や移動に使用している乗り物等ばかりでなく、ユーザの行動の目的をも推定することができる情報サービス提供システム、対象行動推定装置、対象行動推定方法を提供することを目的とする。
また、請求項2に記載の対象行動推定装置は、対象の位置、移動速度、移動にかかった時間、加速度、移動方向、移動の時間帯にかかる情報の少なくとも1つを含む情報である移動情報に基づいて前記対象が移動中であるか否かを判定する移動判定部と、
前記移動判定部によって対象が移動中であると判定された場合、移動中の対象の移動手段を判定する移動手段判定部と、
対象が移動するエリア及び移動の順序によって決定されたパターンと、当該パターンによって表される前記エリアを、前記移動手段判定部によって判定された移動手段により、対象が前記順序にしたがって移動する場合にかかる時間と、対象の行動の目的と、を対応付けた探索行動の状況を表現するクラスタ基準データが記憶されるクラスタ基準データベースと、
前記移動情報を、前記クラスタ基準データベースに記憶されている前記探索行動の状況を表現するクラスタ基準データと対照して、対象の行動の目的を推定する目的推定部と、を備えることを特徴とする。
また、請求項3に記載の対象行動推定装置は、請求項2に記載の発明において、前記移動情報を特定の対象ごとに収集し、前記移動判定部に供給する移動情報収集部をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項4記載の対象行動推定装置は、請求項3に記載の発明において、前記移動情報収集部が、通信システムによって対象の位置を緯度及び経度として収集することを特徴とする。
また、請求項5に記載の対象行動推定装置は、請求項3または4に記載の発明において、前記移動情報収集部が、前記移動情報に基づいて前記移動情報を取得する時間的間隔を調整することを特徴とする。
また、請求項6に記載の対象行動推定装置は、請求項2から5のいずれか1項に記載の発明において、前記移動手段判定部が、前記移動判定部によって対象が移動していると判定された場合、対象の移動速度の分散、移動ベクトル同士の交差の関係、対象が一の位置から所定の時間内に他の位置に移動するまでの状況の少なくとも1つに基づいて、対象の移動手段を判定することを特徴とする。
また、請求項7に記載の対象行動推定装置は、請求項2から6のいずれか1項に記載の発明において、複数の対象についての前記移動手段判定部による移動手段の判定結果を一括して保存する移動手段用一般データ保存部、前記移動手段判定部による移動手段の判定結果を、対象ごとに保存する移動手段用個人データ保存手段の少なくとも一方をさらに有することを特徴とする。
また、請求項8記載の対象行動推定装置は、請求項2から7のいずれか1項に記載の発明において、複数の対象についての前記目的推定部による推定の結果を一括して保存する目的用一般データ保存部、前記目的推定部による推定の結果を、対象ごとに保存する目的用個人データ保存部の少なくとも一方をさらに有することを特徴とする。
また、このような発明によれば、移動情報の設定や装置の使用の実情に適した行動情報データベースを任意に設定することができる。さらに、このような発明によれば、対象の行動目的を推定するにあたって移動情報ばかりでなく環境情報をも使うことができる。このため、対象の行動目的をより詳細な情報に基づいて推定することができ、対象の目的に沿った情報を選択して提供することができる。
このような発明によれば、収集された移動情報に基づいて対象が移動中であるか否か、対象が使用している移動手段を判定することができる。また、移動情報及び移動手段に基づいて対象の行動の目的を推定することが可能である。
・実施形態1
(システムの概略)
図1は、本発明の情報サービス提供システムの概略を説明するための図であって、後に示す図2と共に、実施形態1、実施形態2に共通の構成である。図示したように、本発明の情報サービス提供システムは、情報配信サーバ1、対象行動推定部2、対象情報取得部3によって構成されている。実施形態1では、情報サービス提供システムを情報端末装置と情報端末装置にサービスを提供する情報配信サーバ1とによって構築するものとし、情報端末装置が対象行動推定部2、対象情報取得部3を備えるものとする。
このような実施形態1では、対象情報取得部3が対象の位置、移動速度、加速度、移動方向、移動の時間帯にかかる情報の少なくとも1つを含む情報(移動情報)を収集する移動情報収集装置として機能する。対象行動推定部2は、収集された情報に基づいて対象が移動中であるか否かを判定し、移動中であると判定された場合には対象の移動手段を判定すると共に、移動情報及び判定された対象の移動手段に基づいて対象の行動の目的を推定する対象行動推定装置として機能する。
対象情報取得部3は、情報端末装置に備えられている既存のGPS(Global Positioning System)端末303と、位置情報DB302を備えている。GPS端末303は、通信システムによって対象の位置を、対象ごとに緯度及び経度として収集する。位置情報DB302には、GPS端末303によって収集されたデータが蓄積されている。
センサー・デバイス301を備える実施形態1は、センサー・デバイス301によって検出、あるいは取得された情報をも位置に関する情報と同様に、位置情報DB302及び対象行動推定部2に送っている。
この調整は、対象の移動速度が大きいほど取得の周期を短くするように行われる。すなわち、対象の位置が大きく変化する場合には短い時間間隔で位置を検出し、位置検出の精度が対象の速度によって変化することを防ぐことができる。
以上の対象情報取得部3は、実施形態1の移動情報収集手段として機能する。
移動手段抽出部202、行動情報構築部201によって得られた移動手段に関する情報や行動情報は、移動手段の個人モデルDB210及び一般モデルDB211、行動情報の個人モデルDB208及び一般モデルDB209に保存される。
以上の対象行動推定部2は、情報端末装置の制御部を構成するコンピュータの一部であって、移動手段抽出部202等の各構成は、いずれもコンピュータを動作させるためのソフトウェアプログラムである。
また、対象が買い物を目的にして移動中である場合、移動中の地域の時刻表や店舗の情報が有用であると判断して提供することも可能である。反対に、今日のニュース等の情報については不必要であると判断することも可能である。
以下、上記した構成の機能及び動作を、行動推定の処理の手順に沿って説明する。
図2は、対象行動推定部2の各構成によってなされる一連の処理を説明するための図である。図2では、個人モデルDB210、一般モデルDB211、個人モデルDB208、個人モデルDB210に格納される構築モデルを生成するまでの処理を示している。
移動情報収集・格納部204は、対象情報取得部3の移動情報を取得する各構成の外部アクセスの状況を示すアクセス情報をDB205によって管理している。アクセス情報は、移動情報収集・格納部204、対象情報取得部3間のアクセス状況、あるいは対象情報取得部3の外部に対するアクセス状況を示す情報であって、アクセスが起こった時刻や日時、さらにはアクセスによって取得された情報の種別等の情報を含むものとする。
移動手段抽出部202は、入力された移動情報に基づいて移動手段を示すデータTraを生成する。生成されたデータTraは、移動情報と共に個人モデルDB210、一般モデルDB211に構築モデルとして格納されると共に、行動情報構築部201に出力される。
この判定は、対象の移動速度の分散、移動ベクトル同士の交差の関係、対象が一の位置から所定の時間内に他の位置に移動するまでの状況の少なくとも1つに基づいて行われる。以下に判定の具体例を以下に記す。
図3は、移動手段抽出部202が移動手段を判定するために使用するクラスタ基準データを示す図であって、クラスタ基準DB203に保存されているデータが示されている。移動手段の判定には、移動情報のうち対象の速度、対象の位置を時系列に記した場合の分布、加速度が使用される。実施形態1では、例えば、速度が30km/h〜80km/hの範囲にあって位置の分布が線形によって示され、加速度が5km/h〜7km/hである一連のデータグループは対象が電車によって移動中であることを示すデータとする。
図3中に示された分布は、対象が一の位置から所定の時間内に他の位置に移動するまでの状況を示す要素である。また、速度の範囲は対象の移動速度の分散を示している。さらに、実施形態1は、時系列に記された対象の位置同士をつなぐ複数のベクトルを延長し、互いに交差するか否かによって移動手段を判定することも可能である。
図4は、図3に示されたクラスタ基準データを教師データとしてクラスタリングされた移動情報を例示した図であって、実施形態1でいう構築モデルを示している。図4に示された例によれば、時刻5:44、3:23、9:02に収集された位置P1(x,y)の情報は電車通過中に分類されている。このことから、対象は、時刻t3に位置P1(x,y)を電車に乗って通過したという情報が抽出される。
なお、図4に示された例では、対象が存在する環境の温度、湿度、天候の少なくとも1つを含む環境情報(空間情報)が対象情報取得部3によって取得されているから、空間情報をも併せてクラスタリングするものとした。
行動情報構築部201は、行動情報構築部201によって出力されたデータTraと移動情報とを入力し、入力した情報から行動情報Behを構築する。行動情報Behは、個人モデルDB208、一般モデルDB209に格納される
図5は、行動情報構築部201が対象の行動を判定するために使用するクラスタ基準データを例示した図である。図5に示されたクラスタ基準データは、図2に示されたクラスタ基準データと同様に、クラスタ基準DB203に保存されている。図5に示されたクラスタ基準データは、実施形態1の行動情報データベースにあたる。行動情報構築部201は、図5のクラスタ基準データに移動情報及び移動手段情報を対照して対象の行動の目的を推定する。
図5に示されたクラスタ基準データによれば、例えば、6時から10時にかけて、または18時から20時にかけて対象が徒歩、電車−バス、徒歩によって移動し、さらにこの過程で対象の位置を時系列に記した分布のデータが図5中の通勤行動の分布に一致した場合、この移動は通勤を目的とする通勤行動に分類される。
また、クラスタ基準データが空間情報を含む場合、行動情報構築部201は、対象情報取得部3によって取得された空間情報報を移動情報と共にクラスタ基準データに対照し、対象の行動の目的を推定してもよい。
図6は、図5のクラスタ基準データにしたがってクラスタリングされたデータを例示した図であって、実施形態1でいう構築モデルを示している。クラスタリングされたデータは、移動情報及び移動手段情報に基づいて一の対象の行動の目的を推定し、推定の結果を移動情報及び移動手段情報に対応付けて保存するものとなる。図6に示された例によれば、対象が位置P1から位置P2に移動する行動が通勤行動であると推定されている。
また、実施形態1の行動の目的を推定するためのクラスタ基準データは、当然のことながら、図5に示されたものに限定されるものではない。例えば、クラスタ基準データ中の通勤、通学といった目的の項目は、システムの管理者がさらにジム、旅行といった任意の項目を追加することもできるし、削除することも可能である。
図7は、他の行動の目的を推定するためのクラスタ基準データ及びクラスタ基準データによってクラスタリングされたデータを例示するものであって、図7(a)はクラスタリングに使用されたクラスタ基準データを、(b)は、(a)を使ってクラスタリングされたデータを示している。(a)に示されたクラスタ基準データは、対象がいる位置P(x,y)、位置P(x,y)に対象がいる時刻によってパラメータSmnを決定する。
そして、速度、加速度といった位置情報、移動手段抽出部202により図3に示されたクラスタ基準データを使って抽出された移動手段と共にパラメータSmnを使って対象の行動情報を抽出し、行動の目的を判定する。
図8は、以上述べた実施形態1の情報サービス提供システムあるいは対象行動推定装置で実行される対象行動推定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを説明するためのフローチャートである。
図8のフローチャートでは、移動情報収集・格納部204がGPS端末303やセンサー・デバイス301から位置情報及び空間情報を取得し(S1)、DB206に格納する(S2)。ステップS1、S2は、実施形態1の移動情報入力ステップに該当する。
より具体的には、移動手段抽出部202は、対象の速度、分布、加速度が電車乗車中のデータに該当するか否か判断する(S4)。該当する場合(S4:Yes)、移動手段抽出部202は対象が電車を利用して移動中であると判断する(S7)。また、電車乗車中のデータに該当しないと判断した場合(S4:No)、徒歩で移動中のデータに該当するか否か判断する(S5)。
以上の処理は、実施形態1における移動中の対象の移動手段を判定する移動手段判定ステップとなる。
より具体的には、行動情報構築部201は、対象の移動情報と移動手段の情報とが通勤行動のデータに該当するか否か判断する(S11)。該当する場合(S4:Yes)、行動情報構築部201は対象が通勤を目的として行動中であると判断する(S14)。また、通勤行動のデータに該当しないと判断した場合(S11:No)、通学行動のデータに該当するか否か判断する(S12)。
以上の処理は、実施形態1において、移動情報と対象の移動手段にかかる情報である移動手段情報とに基づいて対象の行動の目的を推定する目的推定ステップとなる。
なお、この効果は、移動手段、行動の目的を対象ごとに個人モデルDB208、210に格納した場合により高くなる。一方、対象の移動手段、行動の目的を一括して一般モデルDB209、211に格納した場合、格納されるデータ数が多いため、データのばらつき等による誤差を抑えることに有利である。
すなわち、行動推定部207は、対象の移動情報を1または複数の移動情報収集・格納部204から取得する。取得された移動情報は、移動情報収集・格納部204における行動の推定に使用されると共に、行動情報判定部212、移動手段判定部213に送られる。
行動情報判定部212は、個人モデルDB208あるいは一般モデルDB209から対象の移動手段を推定するのに使用される構築モデルを取得する。そして、移動手段の判定結果や移動情報を取得した構築モデルに対照して対象の行動目的を含む行動情報を判定する。
行動の推定の結果は、行動情報判定部212が判定の結果得られた行動情報及び移動手段判定部213の判定の結果得られた移動手段情報、さらには位置情報等と共に外部のアプリケーションに提供される。この際、推定の確率をも外部アプリケーションに提供してもよく、外部アプリケーションは、提供された情報を保存、記録する。
このようなプログラムにより、収集された移動情報に基づいて対象が移動中であるか否か、対象が使用している移動手段を判定することができる。また、移動情報及び移動手段に基づいて対象の行動の目的を推定することが可能になる。
次に、本発明の実施形態2について説明する。実施形態2の対象行動推定装置及び対象行動推定装置を含む情報サービス提供システムは、対象の移動にかかった時間にかかる移動情報に基づいて、対象の移動の目的を推定するものである。なお、実施形態2の対象行動推定装置及び対象行動推定装置を含む情報サービス提供システムは、実施形態1で説明した構成と同様の構成を有しているため、構成の図示及び説明を省くものとする。
実施形態2では、収集された位置情報から対象が移動した位置の履歴と、この履歴に対応して予め設定されている対象の移動時間に基づいて対象の移動の目的を推定している。
また、センサー・デバイス301、GPS端末303による対象の位置情報の取得間隔は、移動情報収集・格納部204、センサー・デバイス301やGPS端末303等の移動情報を収集する機器のいずれもが保有、管理することが可能である。
実施形態2では、収集された移動情報を、2つの処理によって処理する。2つの処理のうち、1つは、収集された移動情報をクラスタ基準データに加工して個人モデルのデータベースとして保存する処理である。クラスタ基準データとは、実施形態2において、対象の移動情報及び行動情報を判定するために使用される情報である。2つめは、対象の移動を解析し、行動情報を推定する処理である。
一方、実施形態2は、対象の移動にかかった時間(データ間イニング)によって対象の目的の有無を判定することを目的とするものである。また、実施形態2では、対象が目的を持って行動しているか否かを判断する基準となる時間を、各対象の個性や周囲の状況に則して変更することができる。この点で、実施形態2は、対象の探索行動における目的の有無をより正確に判定することができる。
図9は、実施形態2のクラスタ基準データの生成について説明するための図である。図9(a)は、所定の範囲に設定された複数のエリアを説明するための図である。また、(b)は、対象のエリア移動の履歴と移動にかかった時間から対象の移動中の状態を推定することを示した図である。なお、実施形態2では、対象の状態を、対象の移動行動(探索行動と記す)を、興味を持って移動しているか否かによって多段階に分類する。そして、興味を持ってなされた探索行動を対象が目的を持って行動していると判定し、興味を持ってなされていない探索行動を目的がない行動と判定する。
各エリアに付されたIDをエリアIDと記す。また、エリアIDのうち、地上のエリアと同一の緯度、経度によって表される、さらに上階の他のエリアに付されたIDを空間のエリアIDと記す。
次に、実施形態2の行動情報の判定の手順について説明する。
実施形態2では、対象の行動の目的を、移動の履歴と移動にかかった時間とに基づいて判定する。対象は、図9(a)に示す空間において、各エリアを順に移動すると考えられる。実施形態2では、対象が移動したエリア及び移動したエリアの順序にしたがって予めパターンを設定する。例えば、図9(b)に示した、エリアIDg→a→b→c→d→e→fの順序の移動を、パターン1とする。
また、(b)に示した例では、移動にかかった時間を5分以下、5〜8分、8分〜15分というように多段階に設定する。そして、時間の各段階を各パターンと対応付けると共に、時間とパターンの各組み合わせについて「あまり興味のない探索行動」、「ぶらぶらしている探索行動」、「興味の対象がある探索行動」といった対象の行動の目的、あるいは対象の移動の手段を設定する。
実施形態2では、このようなクラスタ基準データの定義の仕方として、3通りの方法を提案する。以下、3通りの定義方法I、定義方法II、定義方法IIIについて説明する。
図10(a)、(b)は、クラスタ基準データの定義方法Iを説明するための図である。図10(a)は、徒歩によって移動している対象の行動の目的を判定するためのクラスタ基準データ、(b)は、対象の移動の手段を判定するためのクラスタ基準データである。いずれのクラスタ基準データも、定義方法Iによって定義されている。
また、図10(a)、(b)に示したクラスタ基準データを管理者側で設定するものとしている。このため、本実施形態では、いったん設定されたクラスタ基準データをユーザ側が任意に調整可能にしている。
調整の結果、調整前はパターン1を対象が5分以上10分以下で移動した場合には「興味のある探索行動状態」であると判断されるのに対し、調整後は対象がパターン1を5分以上、13分以下の時間で移動した場合には「ぶらぶらしている行動状態」であると判断されるようになる。
なお、このようなクラスタ基準データの調整は、ユーザが情報端末装置の一般的な操作部を使って手動で調整することができる。また、調整を自動的にする場合、予め登録されているユーザの情報のうち、年齢等の情報を抽出して移動時間を自動的に調整することもできる。具体的には、ユーザが高齢者である場合、図12のように移動にかかる時間が長時間になるよう調整する。さらに、エリアに関する交通情報等を情報配信サーバ1から取得して移動時間を自動的に調整することも考えられる。
図13は、クラスタ基準データの定義方法IIについて説明するための図である。定義方法IIでは、クラスタ基準データを生成するにあたり、エリアを実際に移動する歩行者の移動速度や乗り物の出発から到着にかかった時間を調査しておく。そして、対象の行動の目的ごとに対象の移動経路の分布とかかった時間の分布とを記録してクラスタ基準データとする。
曲線131は、対象がパターン1、2…の各々を移動した場合、「あまり興味の対象がない探索行動状態」と判定された頻度の集合である。αxiは、パターンxiに対応する頻度αを示すものとする。
実施形態2では、αxiとβyiとの値を加算したaiを、対象がパターンxiを、時間yiをかけて移動した場合の行動が、「あまり興味の対象がない探索行動状態」である可能性の指標として使用する。
このような定義方法IIは、定義方法Iに比べ、保存しておくべきデータの量を少なくすることができる。したがって、ユーザが携帯しやすい小型の情報端末装置に本発明を適用する場合に特に有利である。
定義方法IIIは、定義方法IIにおいて、2つ以上の行動目的のクラスタ基準データにおいて同じ加算値aiを得た場合に対処するものである。例えば、対象の移動のパターン及びかかった時間をクラスタ基準データに対照し、「あまり興味の対象がない探索行動状態」及び「ぶらぶらしている行動状態」の2つの行動目的のクラスタ基準データで同じ値の加算値aiを得る場合が考えられる。実施形態2では、このような場合、対象の移動時間が相違すれば、この相違によっていずれかの行動目的を選択するものとする。
クラスタ基準データへの対照の結果、例えば、「あまり興味の対象がない探索行動状態」、「興味の対象がある行動状態」において同じ加算値aiを得た場合、実施形態2では、定義方法IIIによって定義されたグラフによって行動の目的を判定する。定義方法IIIによって定義されたグラフを、図14(c)として示す。
図15(a)〜(d)は、以上述べた定義方法I、定義方法II、定義方法IIIによって定義された情報のデータの構造を示した図である。(a)は、定義方法Iによって定義されたクラスタ基準データのテーブルである。このようなクラスタ基準データに対し、実施形態2では、対象の移動したパターンと移動にかかった時間とを対照して「あまり興味の対象がない探索行動状態」等の行動の目的を判定する。
図15(d)は、個人用のクラスタ基準データを例示するものである。図示したように、個人用のクラスタ基準データとしては、個人A、個人Bといった対象個々に対応する、時間帯や場所、状況よって移動速度を調整するためのデータがある。このようなクラスタ基準データを保存している場合、実施形態2では、対象の移動速度を対象個人、移動の時間帯やエリア、状況に合わせて調整する。そして、調整後の移動速度を定義方法Iの移動時間として使用して対象の行動の目的を判定する。
以上述べた実施形態2によって判定された対象の行動の目的も、実施形態1と同様に、提供すべき情報の選択に用いることが可能になる。すなわち、対象が「あまり興味を持っていない探索行動」をしている場合、対象にエリアの情報を提供することは適切でないと判断するこが可能である。また、対象が「興味の対象がある行動状態」している場合、エリア内の店舗等の情報を対象に提供するよう判断してもよい。
2 対象行動推定部
3 対象情報取得部
201 行動情報構築部
202 移動手段抽出部
203 クラスタ基準DB
204 移動情報収集・格納部
207 行動推定部
208,210 個人モデルDB
209,211 一般モデルDB
212 行動情報判定部
213 移動手段判定部
301 センサー・デバイス
303 GPS端末
Claims (9)
- 対象の位置、移動速度、移動にかかった時間、加速度、移動方向、移動の時間帯にかかる情報の少なくとも1つを含む情報である移動情報を収集する移動情報収集装置と、
前記移動情報に基づいて、前記対象が移動中であるか否かを判定する移動判定部と、
前記移動判定部によって対象が移動中であると判定された場合、移動中の対象の移動手段を判定する移動手段判定部と、対象が移動するエリア及び移動の順序によって決定されたパターンと、当該パターンによって表される前記エリアを、前記移動手段判定部によって判定された移動手段により、対象が前記順序にしたがって移動する場合にかかる時間と、対象の行動の目的と、を対応付けた探索行動の状況を表現するクラスタ基準データが記憶されるクラスタ基準データベースと、前記移動情報を、前記クラスタ基準データベースに記憶されている前記探索行動の状況を表現するクラスタ基準データと対照して、対象の行動の目的を推定する目的推定部と、を備える対象行動推定装置と、
前記対象行動推定装置によって推定された目的に応じて情報を選択し、選択された情報に基づくサービスを対象に提供するサービス提供装置と、
を含むことを特徴とする情報サービス提供システム。 - 対象の位置、移動速度、移動にかかった時間、加速度、移動方向、移動の時間帯にかかる情報の少なくとも1つを含む情報である移動情報に基づいて前記対象が移動中であるか否かを判定する移動判定部と、
前記移動判定部によって対象が移動中であると判定された場合、移動中の対象の移動手段を判定する移動手段判定部と、
対象が移動するエリア及び移動の順序によって決定されたパターンと、当該パターンによって表される前記エリアを、前記移動手段判定部によって判定された移動手段により、対象が前記順序にしたがって移動する場合にかかる時間と、対象の行動の目的と、を対応付けた探索行動の状況を表現するクラスタ基準データが記憶されるクラスタ基準データベースと、
前記移動情報を、前記クラスタ基準データベースに記憶されている前記探索行動の状況を表現するクラスタ基準データと対照して、対象の行動の目的を推定する目的推定部と、
を含むことを特徴とする対象行動推定装置。 - 前記移動情報を特定の対象ごとに収集し、前記移動判定部に供給する移動情報収集部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の対象行動推定装置。
- 前記移動情報収集部が、GPSによって対象の位置を緯度及び経度として収集することを特徴とする請求項3に記載の対象行動推定装置。
- 前記移動情報収集部は、前記移動情報に基づいて、前記移動情報を取得する時間的間隔を調整することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の対象行動推定装置。
- 前記移動手段判定部は、前記移動判定部によって対象が移動していると判定された場合、対象の移動速度の分散、移動ベクトル同士の関係、対象が一の位置から所定の時間内に他の位置に移動するまでの状況、の少なくとも1つに基づいて、対象の移動手段を判定することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の対象行動推定装置。
- 複数の対象についての前記移動手段判定部による移動手段の判定結果を一括して保存する移動手段用一般データ保存部、前記移動手段判定部による移動手段の判定結果を、対象ごとに保存する移動手段用個人データ保存部、の少なくとも一方をさらに有することを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の対象行動推定装置。
- 複数の対象についての前記目的推定部による推定の結果を一括して保存する目的用一般データ保存部、前記目的推定部による推定の結果を、対象ごとに保存する目的用個人データ保存部、の少なくとも一方をさらに有することを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の対象行動推定装置。
- 対象の位置、移動速度、移動にかかった時間、加速度、移動方向、移動の時間帯にかかる情報の少なくとも1つを含む情報である移動情報に基づいて、前記対象が移動中であるか否かを判定する移動判定部と、前記移動判定部によって対象が移動中であると判定された場合、移動中の対象の移動手段を判定する移動手段判定部と、対象が移動するエリア及び移動の順序によって決定されたパターンと、当該パターンによって表される前記エリアを、前記移動手段判定部によって判定された移動手段により、対象が前記順序にしたがって移動する場合にかかる時間と、対象の行動の目的と、を対応付けた探索行動の状況を表現するクラスタ基準データが記憶されるクラスタ基準データベースと、前記移動情報を、前記クラスタ基準データベースに記憶されている前記探索行動の状況を表現するクラスタ基準データと対照して、対象の行動の目的を推定する目的推定部と、を備える対象行動推定装置において実行される対象行動推定方法であって、
前記移動判定部が、前記対象が移動中であるか否かを判定する第1ステップと、
前記移動手段判定部が、前記第1ステップによって対象が移動中であると判定された場合、移動中の対象の移動手段を判定する第2ステップと、
前記目的推定部が、対象が移動するエリア及び移動の順序によって決定されたパターンと、当該パターンによって表される前記エリアを、前記第2ステップにおいて判定された移動手段により、対象が前記順序にしたがって移動する場合にかかる時間と、対象の行動の目的と、を対応付けた探索行動の状況を表現するクラスタ基準データと、前記移動情報とを対照して、対象の行動の目的を推定する第3ステップと、
を含むことを特徴とする対象行動推定方法。
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