JP4860335B2 - 導電性耐食部材及びその製造方法 - Google Patents

導電性耐食部材及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、導電性耐食部材及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、フッ素系腐食性ガス、塩素系腐食性ガス等のハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに対して耐食性と導電性が必要とされる構造部材、例えば、ドライエッチング装置やクリーニング装置等の半導体製造装置内の構造部材等に好適に用いられ、ハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに対する高い耐食性と導電性を兼ね備えた導電性耐食部材及びその製造方法に関するものである。
従来、IC、LSI、VLSI等の半導体装置の製造ラインにおいては、フッ素系腐食性ガス、塩素系腐食性ガス等のハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマを用いる工程があり、なかでもドライエッチング工程やクリーニング工程においては、上記の腐食性ガスやプラズマによる半導体製造装置内の構成部材の腐食が問題となっている。そのため、耐食性部材としては酸化アルミニウム焼結体や酸化イットリウム焼結体等が用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。
ところで、上記のハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマを用いる工程においては、エッチング電極等の様に耐食性に加えて導電性が要求される部材があるが、上記の酸化アルミニウム焼結体や酸化イットリウム焼結体は、耐食性こそ優れているものの、焼結体自体が絶縁性であるから、導電性が要求される部材には用いることができない。
そこで、耐食性と導電性を兼ね備えた部材として、酸化イットリウムに、金属イットリウム、炭素、窒化イットリウム、炭化イットリウム等の導電性物質を添加した酸化イットリウム系焼結体が提案されている(特許文献3参照)。
特開平11−246263号公報 特開2002−255647号公報 特開2005−206402号公報
ところで、従来の酸化イットリウム系焼結体では、金属イットリウム、炭素、窒化イットリウム、炭化イットリウム等の導電性物質が粒界層に偏析して酸化イットリウム粒子間に網目状の導電経路を形成しているが、この粒界層の厚みが厚く、また金属イットリウム自体、酸化イットリウムに比べてフッ素系腐食性ガス、塩素系腐食性ガス等のハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに対する耐食性が弱いために、上記の酸化イットリウム系焼結体がハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに長時間曝された場合、金属イットリウムが選択的に侵されてしまい、場合によっては、粒界層が消失し導電性が低下する虞があるという問題点があった。また、粒界層が消失する過程で酸化イットリウム粒子が脱離し、この脱離した酸化イットリウム粒子がパーティクルの原因となって半導体装置の特性や品質を低下させる虞があるという問題点があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに対する高い耐食性と導電性を兼ね備えた導電性耐食部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、既存のセラミックスにおいて最も耐食性に優れる材料の一種である酸化イットリウム系焼結体に着目し、この酸化イットリウム系焼結体のハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに対する耐食性及び導電性を向上させるべく鋭意検討した結果、金属イットリウムと酸化イットリウムの二成分系に有機高分子を炭化した微細な炭素を加えた複合焼結体とし、さらに、この金属イットリウムを粒界に偏析させて微細な網目状とすることにより、耐食性がさらに高まると共に導電性も向上し、さらには、パーティクルが発生する虞も無いことを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の導電性耐食部材は、平均粒径が125μm以下の金属イットリウム粉末と、酸化イットリウム粉末と、有機高分子とを含む混合粉末を焼成して得られた導電性耐食部材であって、金属イットリウム前記有機高分子を炭化した微細な炭素及び酸化イットリウムを含有してなる複合焼結体からなり、前記複合焼結体は、前記金属イットリウムを4体積%以上かつ10体積%以下、残部を前記酸化イットリウム及び不可避不純物とし、前記金属イットリウム及び前記酸化イットリウムの合計量に対して前記炭素を0.2重量%以上かつ1.0重量%以下添加してなることを特徴とする。
前記金属イットリウムは、粒界にて微細な網目状とされていることが好ましい。
本発明の導電性耐食部材の製造方法は、平均粒径が125μm以下の金属イットリウム粉末を4体積%以上かつ10体積%以下、残部を酸化イットリウム粉末及び不可避不純物とし、前記金属イットリウム粉末及び前記酸化イットリウム粉末の合計量に対して有機高分子を、それに含まれる炭素に換算して0.2重量%以上かつ1.0重量%以下添加してなる混合粉末を成形して成形体とし、この成形体を不活性雰囲気下、500℃以下にて熱処理して前記有機高分子を微細な炭化物とし、次いで、この成形体を焼成することを特徴とする。
前記混合粉末は、前記金属イットリウム粉末、前記酸化イットリウム粉末及び前記有機高分子を有機溶媒中にて混合・粉砕してなることが好ましい。
前記成形体を焼成する際の最高保持温度は、前記金属イットリウム粉末の融点以上の温度であることが好ましい。
本発明の導電性耐食部材によれば、金属イットリウム有機高分子を炭化した微細な炭素及び酸化イットリウムを含有してなる複合焼結体とし、この複合焼結体を、前記金属イットリウムを4体積%以上かつ10体積%以下、残部を前記酸化イットリウム及び不可避不純物とし、前記金属イットリウム及び前記酸化イットリウムの合計量に対して前記炭素を0.2重量%以上かつ1.0重量%以下添加したので、フッ素系腐食性ガス、塩素系腐食性ガス等のハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに対する耐食性及び導電性を向上させることができる。
さらに、前記金属イットリウムを粒界にて微細な網目状とすれば、酸化イットリウム粒子の周囲に金属イットリウム及び炭素を含む微細な網目状の粒界層が形成されることとなり、この粒界層の厚みも極めて薄いものとなる。したがって、この複合焼結体がハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに長時間曝された場合においても、粒界層が消失して導電性が低下する虞は極めて小さなものとなり、この粒界層の消失に起因するパーティクルの発生も極めて小さなものとなる。
本発明の導電性耐食部材の製造方法によれば、平均粒径が125μm以下の金属イットリウム粉末を4体積%以上かつ10体積%以下、残部を酸化イットリウム粉末及び不可避不純物とし、前記金属イットリウム粉末及び前記酸化イットリウム粉末の合計量に対して有機高分子を、それに含まれる炭素に換算して0.2重量%以上かつ1.0重量%以下添加してなる混合粉末を成形して成形体とし、この成形体を不活性雰囲気下、500℃以下にて熱処理して前記有機高分子を炭化し微細な炭化物とするので、この炭化物が酸化イットリウム粒子の周囲に形成される金属イットリウムを含む粒界層中に均一に分散させることができ、炭化物が凝集して粗大化する虞もない。
その後、この成形体を焼成するので、酸化イットリウム粒子の周囲に金属イットリウム及び炭素を含む微細な網目状の粒界層が形成された複合焼結体を容易かつ安価に作製することができる。
本発明の導電性耐食部材及びその製造方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
「導電性耐食部材」
本実施形態の導電性耐食部材は、金属イットリウム、炭素及び酸化イットリウムを含有してなる複合焼結体である。
この複合焼結体は、金属イットリウムを4体積%以上かつ10体積%以下、残部を酸化イットリウム及び不可避不純物とし、金属イットリウム及び酸化イットリウムの合計量に対して炭素を0.2重量%以上かつ1.0重量%以下添加した複合焼結体である。
ここで、金属イットリウムの含有量を4体積%以上かつ10体積%以下と限定した理由は、含有量が4体積%未満では、金属イットリウムの量が少なすぎてマトリックスを構成する酸化イットリウムの周囲に金属イットリウムを主成分とする網目状の粒界層を形成することが難しくなり、緻密な複合焼結体が得られなくなるからであり、一方、含有量が10体積%を越えると、金属イットリウムの偏析が大きくなり、酸化イットリウムの周囲に形成される網目状の粒界層の厚みが必要以上に増加し、その結果、ハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに長時間曝された場合に、粒界層が消失して導電性が低下し、この粒界層の消失により酸化イットリウムが脱落しパーティクルが発生する虞があるからである。
また、炭素の添加量を0.2重量%以上かつ1.0重量%以下と限定した理由は、この添加量の範囲が、酸化イットリウム粒子の周囲に形成される網目状の粒界層の導電性及び耐食性を共に向上させるために必要な範囲だからである。
ここで、炭素の添加量が0.2重量%未満では、焼成過程の低温領域で酸化イットリウム及び金属イットリウム共に焼結が進行し易くなり、金属イットリウムの融点(1520℃/常圧下)近傍で焼結が終了し、酸化イットリウム粒子の周囲に網目状の粒界層を形成することが難しくなるからであり、一方、炭素の添加量が1.0重量%を越えると、導電性は向上するものの、金属イットリウムと反応して耐食性に乏しい炭化イットリウムが粒界層中に生成し、耐食性が大きく低下するからである。
この複合焼結体は、金属イットリウムを粒界にて微細な網目状としたことが好ましい。
このような構造とすることで、酸化イットリウム粒子の周囲に、金属イットリウム及び炭素を含む微細な網目状の粒界層が形成され、この粒界層の厚みも極めて薄いものとなる。
これにより、粒界層は、ハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに長時間曝されたとしても、消失して導電性が低下する虞が極めて小さく、この粒界層の消失に起因するパーティクルの発生も極めて小さい。
本実施形態の導電性耐食部材は、ハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに対する優れた耐食性を有することはもちろんのこと、10Ω・cm〜10Ω・cm程度の導電性を兼ね備えている。
本実施形態の導電性耐食部材を、例えば、半導体製造工程に適用した場合、この半導体製造工程において用いられるプラズマには、酸素あるいはフッ素化合物が混入しており、プラズマによって励起された酸素原子やフッ素原子が金属イットリウムと接触することにより、金属イットリウムは酸化イットリウムやフッ化イットリウムに変化する。これらの化合物は、いずれもマトリックスを構成する酸化イットリウムと同一、もしくは類似の性質を有する化合物であるから、マトリックスを構成する酸化イットリウムと粒界に偏析した金属イットリウムとの間に、プラズマ照射による消耗速度の差がない。したがって、パーティクルの発生を防止することができる。
「導電性耐食部材の製造方法」
本実施形態の導電性耐食部材の製造方法は、金属イットリウム粉末と、酸化イットリウム粉末と、有機高分子とを含む混合粉末を成形して成形体とし、この成形体を熱処理して該成形体に含まれる有機高分子を炭化することにより、微細な炭化物とし、次いで、この成形体を焼成する方法である。
次に、この製造方法について、詳細に説明する。
(1)混合粉末の作製
金属イットリウム粉末と、酸化イットリウム粉末と、有機高分子とを、それぞれ所定量、秤量し、その後、混合・粉砕し、混合粉末とする。
この混合粉末中における金属イットリウム粉末及び酸化イットリウム粉末の含有量、及び有機高分子の添加量は、上記の導電性耐食部材において記載したと同様、金属イットリウム粉末を4体積%以上かつ10体積%以下、残部を酸化イットリウム粉末及び不可避不純物とし、金属イットリウム粉末及び酸化イットリウム粉末の合計量に対して有機高分子を、それに含まれる炭素に換算して0.2重量%以上かつ1.0重量%以下添加することが好ましい。
この金属イットリウム粉末の平均粒径は125μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以下である。
酸化イットリウム−金属イットリウムの二成分系では、金属イットリウムを主成分とする網目状の粒界層の厚みを薄くするためには、同一組成であっても金属イットリウムの粒径を小さくし、かつ酸化イットリウムの周囲の粒界層に均一に分散させることが必要である。この二成分系で金属イットリウム粉末が粒界層中に均一に分散するには、金属イットリウム粉末の平均粒径が目的とする粒界層の厚みと同等もしくはそれ以下であることが必要であり、これらを勘案すると、金属イットリウム粉末の平均粒径は125μm以下、より好ましくは50μm以下となる。
ここで、金属イットリウム粉末の平均粒径を125μm以下とした理由は、平均粒径が125μmを越えると、粒界層中に粗大な金属イットリウムが形成され易くなり、ハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに曝された場合に金属イットリウムが選択的に侵されてしまい、その結果、酸化イットリウム粒子が離脱し、パーティクルの原因となるからである。
有機高分子としては、不活性雰囲気中、500℃以下の熱処理の段階で完全に分解して炭化するものであればよく、例えば、ポリカルボン酸アンモニウム塩等の分散剤、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等のバインダー等が好ましい。
これらの原料粉末の混合・粉砕方法としては、例えば、ボールミル、振動ミル等を用いた湿式混合法を用いることができる。
金属イットリウム粉末は、単独で微細化すると酸化及び発火の危険性があるので、酸化イットリウムと同時に有機溶媒を用いて混合・粉砕することが好ましい。
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、オクタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール等のアルコール類、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素が好適に用いられ、これらの溶媒のうち1種または2種以上を用いることができる。
混合・粉砕の時間は、金属イットリウム粉末の平均粒径が125μm以下になるまで行うために、特に限定しない。
(2)成形
上記の混合粉末をステンレススチール、鋼等の金属からなる金型に充填し、成形機を用いて上下方向に加圧(一軸加圧)し、円板状、矩形板状、直方体状等の成形体とする。
(3)熱処理
上記の成形体を、不活性雰囲気下、500℃以下の最高保持温度(熱処理温度)にて所定時間(熱処理時間)保持し、この成形体に含まれる有機高分子を炭化し、微細な炭化物とする。
これにより、酸化イットリウム粒子の周囲に、有機高分子が炭化した微細な炭化物と金属イットリウム粒子とを含む網目状の微粒子層が形成される。
(4)焼成
熱処理を施すことにより酸化イットリウム粒子の周囲に微細な炭化物と金属イットリウム粒子とを含む網目状の微粒子層が形成された成形体を、不活性雰囲気下、所定の最高保持温度(焼成温度)にて所定時間(焼成時間)保持することにより焼成し、金属イットリウム、炭素及び酸化イットリウムを含有してなる複合焼結体とする。
上記の熱処理、焼成を1つの工程で行えば、製造工程の短縮及び製造コストの削減を図ることができる。
この焼成過程で、成形体を加圧しつつ焼成(加圧焼成)すれば、焼結性が高まり、より緻密な焼結体が得られる。
加圧焼成は、ホットプレス法(HP法)、熱間静水圧加圧法(HIP(Hot Isostatic Pressing)法)等により行うことができる。
不活性雰囲気としては、金属イットリウム粉末及び炭化物が酸化されない雰囲気であればよく、アルゴン雰囲気、窒素雰囲気等が好適である。
焼成温度は、緻密化が達成される温度であれば特に制限はないが、例えば、金属イットリウム(融点:1520℃/常圧下)の融点以上の温度とすれば、緻密な焼結体が得られるので好ましい。
金属イットリウムの融点は常圧下で1520℃であるが、焼成過程における圧力変化(加圧等)により変動する。加圧下では、概ね1520℃〜1800℃の温度範囲内である。
ここで、最高保持温度を金属イットリウム粉末の融点以上の温度としたのは、金属イットリウムが焼成過程において液相となり、固相である酸化イットリウム粒子間に浸入して粒界に偏析することから、一般的な液相焼結と同様、比較的低温においても緻密な焼結体が得られるからである。
また、金属イットリウムの溶融体はマトリックスを構成する酸化イットリウム結晶粒子の粒界に侵入し偏析して、網目状の導電経路を形成するので、導電性成分である金属イットリウムの添加量が少量であっても、焼結体の抵抗率を顕著に低下させることができ、しかも、酸化イットリウムのハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに対する耐食性を低下させることがない。
また、焼成時間は、緻密化が達成される時間であれば特に制限はないが、成形体内部の温度分布が均一化されるに十分な時間が好ましい。
一般に、酸化イットリウム−金属イットリウムの二元系で焼成を行った場合、原料粉末の粒径が細かくなればなる程、焼結性が増し、より低温で酸化イットリウムの緻密化が進行する。例えば、金属イットリウムの融点である1520℃では、すでに酸化イットリウムの緻密化が完了してしまい、金属イットリウム液相が酸化イットリウム粒界に浸出できなくなる。そのため網目状構造を形成しなくなり、一部の液相が空孔を通って焼結体外に流出し導電性が低下する現象が生じ、均一な導電性と耐食性を兼ね備えた焼結体が作製し難くなる。
そこで、低温で酸化イットリウムが緻密化するのを抑制するため、助剤として有機高分子が炭化した微細な炭化物を用いる。
この炭化物は1.0重量%以上添加すると、金属イットリウムと反応して水と容易に反応する炭化イットリウムを形成し、耐食性が劣化する。そこで1.0重量%以下に抑える必要がある。また、この炭化物により焼結速度を制御するには0.2重量%以上必要となる。
この炭化物は、金属イットリウムの融点に到達するまで酸化イットリウムの緻密化を遅らせ、液相である金属イットリウムを粒界に浸透させることが可能となり、微細な網目状構造を形成することができる。
本実施形態の導電性耐食部材によれば、酸化イットリウム−金属イットリウムの二元系の粒界層中に有機高分子を炭化した微細な炭化物を含有してなる複合焼結体とし、さらに、この酸化イットリウム粒子の周囲に金属イットリウム及び炭素を含む微細な網目状の粒界層を形成したので、フッ素系腐食性ガス、塩素系腐食性ガス等のハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに対する耐食性及び導電性を向上させることができ、ハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに長時間曝された場合においても導電性が低下したり、パーティクルが発生する等の虞が極めて小さくなる。
本実施形態の導電性耐食部材の製造方法によれば、金属イットリウム粉末と、酸化イットリウム粉末と、有機高分子とを含む混合粉末を成形して成形体とし、この成形体を熱処理して前記有機高分子を炭化し微細な炭化物とするので、この炭化物を酸化イットリウム粒子の周囲に形成される金属イットリウムを含む粒界層中に均一に分散させることができ、炭化物が凝集して粗大化する虞もない。
その後、この成形体を焼成するので、酸化イットリウム粒子の周囲に金属イットリウム及び炭素を含む微細な網目状の粒界層が形成された複合焼結体を容易かつ安価に作製することができる。
また、製造装置についても特殊な装置は必要なく、従来の粉末冶金用や焼成用の各種装置をそのまま使用することができる。
以下、実施例1〜3及び比較例1〜3により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
「焼結体の作製」
(実施例1)
酸化イットリウム粉末(日本イットリウム(株)社製、平均粒径:1.5μm)及び金属イットリウム粉末(日本イットリウム(株)社製、500μm以下)を、金属イットリウム粉末が4体積%、残部が酸化イットリウム粉末の組成比となるようにエタノールに加え、さらに分散剤・バインダとして有機高分子を加え、回転式ボールミルを用いて金属イットリウム粉末の平均粒径が50μm以下になるまで混合・粉砕を行った。
得られた混合粉末を一軸加圧成形した後、アルゴン(Ar)雰囲気下、焼成温度1600℃にて1時間、一軸加圧焼結し、直径50mm、厚み7.5mmの円板状の複合焼結体を作製した。
(実施例2)
組成比を、金属イットリウム粉末が8体積%、残部が酸化イットリウム粉末と変更した他は、実施例1に準じて実施例2の複合焼結体を作製した。
(実施例3)
組成比を、金属イットリウム粉末が10体積%、残部が酸化イットリウム粉末と変更した他は、実施例1に準じて実施例3の複合焼結体を作製した。
(比較例1)
金属イットリウム粉末の平均粒径を250μm以下とした他は、実施例1に準じて比較例1の複合焼結体を作製した。
(比較例2)
組成比を、金属イットリウム粉末が3体積%、残部が酸化イットリウム粉末と変更した他は、実施例1に準じて比較例2の複合焼結体を作製した。
(比較例3)
有機高分子の添加量を減じた他は、実施例1に準じて複合焼結体中の炭素量を0.11重量%とした比較例3の複合焼結体を作製した。
「焼結体の評価」
実施例1〜3及び比較例1〜3の焼結体の体積固有抵抗値(Ω・cm)、焼結体の相対密度及び耐食性を測定した。
また、マトリックス結晶粒界の組成分析を実施し、粒界における金属イットリウムの析出状態を調べた。
以上の評価結果を表1に示してある。
なお、評価方法は下記のとおりである。
(1)体積固有抵抗値
日本工業規格:JIS R 1650−2「ファインセラミックス熱電材料の測定方法−第2部:抵抗率」に規定された方法に準じて測定した。
(2)相対密度
複合焼結体の真密度(d)をアルキメデス法により測定し、この真密度(d)の理論密度(d)に対する比(d/d)を百分率で表し、相対密度(%)とした。
(3)耐食性
複合焼結体を炭化ハロゲン系ガス・酸素・アルゴンの混合ガス中でプラズマに8時間暴露し、暴露面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、表面荒れを評価した。
評価基準は次のとおりである。
○:表面荒れが認められない
△:表面荒れがやや認められる
×:表面荒れが認められる
(4)金属イットリウムの析出状態
複合焼結体の一面を鏡面研磨し、この鏡面研磨面を電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて組成分析し、酸化イットリウム結晶粒子の粒界における金属イットリウムの析出状態を評価した。
評価基準は次のとおりである。
A:金属イットリウムが微細に分散している。
B:金属イットリウムが一部で偏析している。
Figure 0004860335
これらの評価結果によれば、実施例1〜3の複合焼結体は、比較例1、3の複合焼結体と比較して耐食性、導電性に優れていることが分かった。
一方、比較例1の複合焼結体は、実施例1の複合焼結体と比べて相対密度が高く、緻密な焼結体であるものの、耐食性が劣り、また、体積固有抵抗値が10桁以上上昇し、導電性を示さなかった。
また、比較例2の複合焼結体は、実施例1の複合焼結体と比べて耐食性は同等であったが、体積固有抵抗値が10桁以上上昇し、導電性を示さなかった。
また、比較例3の複合焼結体は、実施例1の複合焼結体と比べて相対密度が高く、緻密な焼結体であるものの、耐食性がやや劣り、また、体積固有抵抗値が10桁以上上昇し、導電性を示さなかった。
また、EPMAによる組成分析では、実施例1〜3の複合焼結体はEPMAの分解能(約3μm)以下で均一に存在しており、金属イットリウムが4〜10体積%と微量であることから、微細な網目状の導電経路を形成していることが確認された。
本発明の導電性耐食部材は、金属イットリウム、炭素及び酸化イットリウムを含有してなる複合焼結体であり、しかも、金属イットリウムを粒界にて微細な網目状としたことにより、ハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに対する耐食性と導電性を兼ね備えるという優れた特徴を有するものであるから、半導体製造装置内の構造部材としてはもちろんのこと、エッチング電極、静電チャック用誘電材等、半導体製造装置以外の耐食性及び導電性が同時に要求される様々な部材に適用可能であり、その有用性は非常に大きいものである。

Claims (5)

  1. 平均粒径が125μm以下の金属イットリウム粉末と、酸化イットリウム粉末と、有機高分子とを含む混合粉末を焼成して得られた導電性耐食部材であって、
    金属イットリウム前記有機高分子を炭化した微細な炭素及び酸化イットリウムを含有してなる複合焼結体からなり、
    前記複合焼結体は、前記金属イットリウムを4体積%以上かつ10体積%以下、残部を前記酸化イットリウム及び不可避不純物とし、前記金属イットリウム及び前記酸化イットリウムの合計量に対して前記炭素を0.2重量%以上かつ1.0重量%以下添加してなることを特徴とする導電性耐食部材。
  2. 前記金属イットリウムは粒界にて微細な網目状とされていることを特徴とする請求項1記載の導電性耐食部材。
  3. 平均粒径が125μm以下の金属イットリウム粉末を4体積%以上かつ10体積%以下、残部を酸化イットリウム粉末及び不可避不純物とし、前記金属イットリウム粉末及び前記酸化イットリウム粉末の合計量に対して有機高分子を、それに含まれる炭素に換算して0.2重量%以上かつ1.0重量%以下添加してなる混合粉末を成形して成形体とし、この成形体を不活性雰囲気下、500℃以下にて熱処理して前記有機高分子を微細な炭化物とし、次いで、この成形体を焼成することを特徴とする導電性耐食部材の製造方法。
  4. 前記混合粉末は、前記金属イットリウム粉末、前記酸化イットリウム粉末及び前記有機高分子を有機溶媒中にて混合・粉砕してなることを特徴とする請求項3記載の導電性耐食部材の製造方法。
  5. 前記成形体を焼成する際の最高保持温度は、前記金属イットリウム粉末の融点以上の温度であることを特徴とする請求項3または4記載の導電性耐食部材の製造方法。
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