JP4860238B2 - アルミニウム管の製造方法 - Google Patents

アルミニウム管の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、例えば複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置における感光ドラムなどとして適用されるアルミニウム管の製造方法およびその関連技術に関する。
なおこの明細書および特許請求の範囲において、アルミニウム(Al)の語はその合金を含む意味で用いられる。
電子写真装置などの感光ドラム用の基体としては、円筒形アルミニウム管の外周面にOPC(有機光導電体)などの感光体層が設けられたものが用いられている。この感光ドラム基体の感光体層は、優れた画像品質を得るために、薄くかつ均一な厚さに高精度に形成する必要があり、そのためにベースとなるアルミニウム管の表面にも高い平滑性が要求される。
このような感光ドラム基体用のアルミニウム管としては、押出加工されたアルミニウム素管を引抜加工して得られるアルミニウム管(ED管)が多く用いられている。
ED管には、押出時に表面に付着したアルミニウムカス(Alカス)による欠陥突起が生じる場合があり、そのまま感光ドラム基体として用いると、上記欠陥突起により画像欠陥を引き起こすという報告がなされている。
このため、ED管を感光ドラム基体として用いる場合、欠陥突起の発生を防止するために、外表面を切削加工により鏡面仕上げして、表面平滑性を向上させる手段が多く用いられている。
ところが、切削加工のような表面改質処理は、非効率的であり、生産効率の低下およびコストの増大を来すという問題を抱えている。
このような状況下にあって従来より、感光ドラム用基体として、無切削のED管を用いる技術が多数提案されている。
たとえば特許文献1においては、引抜加工した後、ED管の表面を無塵性の布などによって払拭(研磨)するようにしたアルミニウム管の製造方法が提案されている。
更に特許文献2に示すアルミニウム管の製造方法においては、引抜加工した後、ED管の表面を研磨材によって研磨するようにしたアルミニウム管の製造方法が提案されている。
また特許文献3においては、引抜加工する前に、押出加工されたアルミニウム素管の外表面を、切削加工、エッチング加工、ブラスト加工、研磨加工などによって、一定厚みで表面を除去するようにしたアルミニウム管の製造方法が提案されている。
特開平8−82939号(請求項1,2) 特開2004−9227号(請求項1、[0008]) 特開平5−313394号(請求項1−7)
特許文献1,2に示すアルミニウム管の製造方法は、引抜加工後に、アルミニウム管の表面に研磨などを行って表面平滑性を向上させるものであるが、この製造方法は、上記切削加工を用いるものと同様、表面改質を行うものであるため、非効率的であり、生産効率の低下およびコストの増大を根本的に解消することは困難である。
また特許文献3に示すアルミニウム管の製造方法においては、引抜加工する前に、アルミニウム素管の表面を一様に除去するものであるため、その除去カス(アルミニウムカス)がアルミニウム素管の表面に再付着して、引抜加工後に除去カスによる欠陥突起などの表面欠陥が生じ、その表面欠陥による画像欠陥が生じる可能性があり、高い品質を得ることが困難であった。更に同文献の製造方法においては、アルミニウム素管の表面を所定厚みで除去するものであるため、その表面除去によって管径が小さくなる。このため、管径のコントロールが困難となり、寸法精度の低下による品質の低下を招く恐れがある。
この発明は、上記従来技術の問題を解消し、生産効率の向上およびコストの削減を図りつつ、表面欠陥の発生などの不具合を確実に防止できて、品質を向上させることができるアルミニウム管の製造方法およびその関連技術を提供することを目的とする。
上記従来技術の問題を解消するために、本出願人は、アルミニウム管の製造方法について綿密な実験研究を行った。その結果、本出願人は上記目的を達成した上さらに、表面欠陥の発生をより確実に防止できて、より高い品質のアルミニウム管を製造することができる構成を見出し本発明をなすに至った。すなわち本発明は、以下の構成を要旨としている。
[1] アルミニウム素管を得る押出工程と、アルミニウム素管の外周面を拭き取る拭き取り工程と、拭き取り工程後のアルミニウム素管を引抜加工する引抜工程と、を含み、
拭き取り工程においては、アルミニウム素管の外周面に、周方向に沿って配置された複数の押付体によって弾性部材を介して拭き取り部材を押し付けた状態で、アルミニウム素管を前記拭き取り部材に対し相対的に軸心回りに回転させることにより、アルミニウム素管の外周面を前記拭き取り部材によって拭き取るようにしたことを特徴とするアルミニウム管の製造方法。
なお発明[1]においては、複数の押付体を、周方向に沿って等間隔に配置するのが良い。
[2] 前記弾性部材として、アスカーC(ASKER Ctype(20℃))による硬度が10〜70のものが用いられる前項1に記載のアルミニウム管の製造方法。
[3] 前記弾性部材として、厚みがアルミニウム素管の直径以下のものが用いられる前項1または2に記載のアルミニウム管の製造方法。
[4] 前記弾性部材は、その材質が合成樹脂によって構成される前項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
[5] 拭き取り工程においては、アルミニウム素管の外周面に、両側に配置された一対の押付体によって前記拭き取り部材を押し付けるようにした前項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
[6] 前記拭き取り部材のアルミニウム素管表面に対する押付圧力を、0.01〜5N/cm2 に設定するようにした前項1〜5のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
[7] 拭き取り工程において、拭き取り動作中のアルミニウム素管における軸心回りの回転速度を、10〜1000回/分に設定するようにした前項1〜6のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
[8] 拭き取り工程においては、拭き取り動作中にアルミニウム素管を前記押付体に対し軸心方向に相対的に移動させるようにした前項1〜7のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
[9] 拭き取り工程においては、前記押付体を軸心方向に移動させずにアルミニウム素管を軸心方向に移動させるようにした前項8に記載のアルミニウム管の製造方法。
[10] 前記押付体におけるアルミニウム素管に対し軸心方向の移動速度を60〜5000cm/分に設定した前項8または9に記載のアルミニウム管の製造方法。
[11] 前記拭き取り部材は、極細繊維製織布および極細繊維製不織布のうち少なくともいずれか一方によって構成される前項1〜10のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
[12] 前記拭き取り部材は帯状の繊維製品によって構成されるとともに、その拭き取り部材が心棒に巻回されて供給ロールが形成され、
供給ロールから拭き取り部材を送り出してアルミニウム素管の外周面に供給するようにした前項1〜11のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
[13] 拭き取り工程を順次行うに際し、拭き取り工程が完了して、次の拭き取り工程が開始されるまでの間に、前記供給ロールから拭き取り部材を供給するようにした前項12に記載のアルミニウム管の製造方法。
[14] 拭き取り工程において、拭き取り動作と並行して、前記供給ロールから拭き取り部材を供給するようにした前項12に記載のアルミニウム管の製造方法。
[15] 前記拭き取り部材として、幅が30〜500mmのものを用いる前項12〜14のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
[16] 前記供給ロールからの拭き取り部材の送り出し速度を0.1〜20cm/分に設定するようにした前項12〜15のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
[17] 前項1〜16のいずれか1項に記載の製造方法によって得られることを特徴とするアルミニウム管。
[18] 前項17に記載のアルミニウム管を用いた感光ドラム基体。
[19] 前項18に記載の感光ドラム基体の表面に感光体層が設けられることを特徴とする感光ドラム。
[20] 前項1〜16のいずれか1項に記載の製造方法によってアルミニウム管を得る工程と、
アルミニウム管の表面に感光体層を設ける工程と、を含むことを特徴とする感光ドラムの製造方法。
[21] 押出工程によって得られたアルミニウム素管を引抜加工する前に、アルミニウム素管の外周面を拭き取るようにしたアルミニウム素管表面の拭き取り方法であって、
アルミニウム素管の外周面に、周方向に沿って配置された複数の押付体によって弾性部材を介して拭き取り部材を押し付けた状態で、アルミニウム素管を前記拭き取り部材に対し相対的に軸心回りに回転させることにより、アルミニウム素管の外周面を前記拭き取り部材によって拭き取るようにしたことを特徴とするアルミニウム素管表面の拭き取り方法。
[22] 押出工程によって得られたアルミニウム素管を引抜加工する前に、アルミニウム素管の外周面を拭き取るようにしたアルミニウム素管表面の拭き取り装置であって、
アルミニウム素管の外周面に押付可能に設けられ、かつ周方向に間隔をおいて配置された複数の押付体と、
前記複数の押付体の押付面に設けられた弾性部材と、
前記複数の押付体によって前記弾性部材を介して拭き取り部材をアルミニウム素管外周面に押し付けた状態で、アルミニウム素管を前記拭き取り部材に対し相対的に軸心回り回転させるための軸回り回転手段と、を備えたことを特徴とするアルミニウム素管表面の拭き取り装置。
[23] 前記押付体は、アルミニウム素管の両側に2つ配置され、両押付体によって前記拭き取り部材を両側からアルミニウム素管の外周面に押し付けるように構成された前項22に記載のアルミニウム素管表面の拭き取り装置。
[24] 前記押付体におけるアルミニウム素管外周面への押付面は、アルミニウム素管外周面の形状に倣って断面円弧状に形成される前項22または23に記載のアルミニウム素管表面の拭き取り装置。
[25] 前記押付体によって前記拭き取り部材をアルミニウム素管外周面に押し付けた状態で、前記複数の押付体および前記拭き取り部材を、アルミニウム素管の軸心方向に沿って相対的に移動させるための軸方向移動手段を、さらに備えた前項22〜24のいずれか1項に記載のアルミニウム素管表面の拭き取り装置。
[26] 押出工程によって得られたアルミニウム素管を引抜加工する前に、アルミニウム素管の外周面を拭き取り部材を押し付けて拭き取るに際して、前記拭き取り部材をアルミニウム素管の表面に押し付けるための押付装置であって、
アルミニウム素管の外周面に押付可能に設けられ、かつ周方向に間隔をおいて配置された複数の押付体と、
前記複数の押付体の押付面に設けられた弾性部材と、を備え、
前記複数の押付体によって、前記弾性部材を介して前記拭き取り部材をアルミニウム素管の外周面に押し付けるように構成されたことを特徴とする拭き取り部材の押付装置。
上記発明[1]にかかるアルミニウム管の製造方法によれば、アルミニウム素管の外周面に、周方向に沿って配置された複数の押付体によって拭き取り部材を押し付けるものであるため、拭き取り部材をアルミニウム素管の外周面全周にわたって均等な圧力で押し付けることができる。しかも弾性部材を介して拭き取り部材を押し付けるものであるため、弾性部材の弾性作用によって、押付体により押付力を、より均等にバランス良く分散できる。従って、アルミニウム素管表面の異物を確実に除去できて、引抜工程を行った際に、表面に傷や異物付着などの不具合が生じることなく、高品質のアルミニウム管製品を提供することができる。
さらに拭き取り部材によってアルミニウム素管の外周面全域から均等に押し付けられるため、押付時に応力が偏って発生するのを防止できる。従ってアルミニウム素管の有害な変形を防止できて、寸法管理を容易に行え、より高い品質を得ることができる。
また引抜工程前にアルミニウム素管の表面を拭き取るだけのものであるため、たとえば引抜工程後に、切削、研磨などの機械加工によって表面全域を一様に改質するような非効率な表面改質処理を行う必要がなく、生産効率を向上できるとともに、コストの削減を図ることができる。
上記発明[2]〜[4]にかかるアルミニウム管の製造方法によれば、弾性部材として特定のものを用いているため、上記の効果をより一層確実に得ることができる。
上記発明[5]にかかるアルミニウム管の製造方法によれば、一対の押付体の押圧力が互いに相殺されることにより、アルミニウム素管に有害な変形が生じるのをより確実に防止することができ、より高い品質の管製品を提供することができる。
上記発明[6]〜[11]にかかるアルミニウム管の製造方法によれば、アルミニウム素管表面の異物をより確実に除去することができる。
上記発明[12]にかかるアルミニウム管の製造方法によれば、供給ロールから拭き取り部材を送り出すだけで、新たな拭き取り部材を供給することができるため、拭き取り部材の交換作業を容易に行うことができ、生産性を向上させることができる。
上記発明[13]にかかるアルミニウム管の製造方法によれば、拭き取り部材の交換作業を簡単かつ確実に行うことができる。
上記発明[14]にかかるアルミニウム管の製造方法によれば、拭き取り動作と、新たな拭き取り部材の供給作業(交換作業)とを並行に行うものであるため、拭き取り部材の交換作業を、別途単独で行う必要がなく、その分、生産性をさらに向上させることができる。
上記発明[15][16]にかかるアルミニウム管の製造方法によれば、アルミニウム素管表面の異物をより一層確実に除去することができる。
上記発明[17]にかかるアルミニウム管によれば、上記と同様に、同様の作用効果を奏する。
上記発明[18]にかかる感光ドラム基体によれば、上記と同様に、同様の作用効果を奏する。
上記発明[19]にかかる感光ドラムによれば、上記と同様に、同様の作用効果を奏する。
上記発明[20]にかかる感光ドラムの製造方法によれば、上記と同様に、同様の作用効果を奏する。
上記発明[21]にかかるアルミニウム素管表面の拭き取り方法方法によれば、上記と同様に、同様の作用効果を奏する。
上記発明[22]〜[25]にかかるアルミニウム素管表面の拭き取り装置によれば、上記と同様に、同様の作用効果を奏する。
上記発明[26]にかかる拭き取り部材の押付装置によれば、上記と同様に、同様の作用効果を奏する。
図1はこの発明の実施形態である感光ドラム基体用アルミニウム管の製造手順を示す工程図である。同図に示すように、本実施形態の製造方法は、押出工程と、切断工程と、拭き取り工程と、引抜工程とが基本的な構成要素として含まれている。
押出工程においては、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)の押出材料(インゴット)を熱間押出加工することによって、円筒形の長尺なアルミニウム素管が形成される。
本実施形態において、アルミニウム素管は、直径φが10〜300mmのもの、より好ましくは20〜60mmのものが好んで用いられる。
またアルミニウム押出材料としては、耐食性、加工性および強度の面から、例えばJIS1000系、3000系、5000系、6000系のものを好適に用いることができる。
なお上記押出加工によって得られるアルミニウム素管の表面には、多くの場合、押出加工に伴って生じる多数のアルミニウムカスが付着している。
続いて、切断工程において、アルミニウム素管を所定の長さに切断する。この切断長さは特に限定されることはないが、200〜6000mm程度に設定するのが良い。
次に、後に詳述する拭き取り工程において、所定長さのアルミニウム素管をその表面に付着したアルミニウムカスなどの異物を、後に詳述するようにして拭き取って除去する。
拭き取り工程が完了した後、引抜工程により、アルミニウム素管を冷間引抜加工し、これにより感光ドラム基体用のアルミニウム管を製造するものである。
こうして製造されたアルミニウム管は、外周面にOPC(有機光導電体)などの感光体層が設けられて、感光ドラムとして用いられる。
本実施形態では、上記の拭き取り工程において図2〜6に示す拭き取り装置(1)が用いられる。この装置(1)は、基台(2)と、その基台(2)上における前後に設けられた一対のチャックユニット(3)(4)と、基台(2)の中間部に設けられる拭き取りヘッドユニット(5)とを備えている。
そしてこの装置(1)においては、後に詳述するように、アルミニウム素管(10)の前後両端が一対のチャックユニット(3)(4)により保持されることによって、アルミニウム素管(10)が基台(2)上において前後方向に沿って所定位置に設置される。さらにその状態で、そのアルミニウム素管(10)に沿って拭き取りヘッドユニット(5)が移動して、アルミニウム素管(10)に対し拭き取り処理が行われるよう構成されている。
前側のチャックユニット(3)は、基台(2)の上面における前端位置に固定される固定ブラケット(31)を具備しており、このブラケット(31)にチャック本体(30)が設けられている。このチャック本体(30)は、後方に向けて配置された状態で、ブラケット(31)に前後方向に移動自在に設けられている。さらにブラケット(31)には、シリンダ(32)が設けられており、このシリンダ(32)の駆動によってチャック本体(30)が前後方向に進退駆動するよう構成されている。
またチャック本体(30)は、ブラケット(31)に前後方向の軸心回りに回転自在に構成されている。また、チャックユニット(3)には、ワーク回転用モータ(35)が設けられ、このモータ(35)が回転駆動することにより、図示しない動力伝達機構を介して、チャック本体(30)が前後方向の軸心回りに回転駆動するよう構成されている。
基台(2)には、その片側に前後方向に沿ってビーム(21)が設けられるとともに、そのビーム(21)の後部下側に、前後方向に沿って支持板(22)が設けられている。また後側のチャックユニット(4)は、可動ブラケット(41)を具備しており、この可動ブラケット(41)が支持板(22)に前後方向に沿ってスライド自在に取り付けられている。このブラケット(41)には、チャック本体(40)が設けられており、このチャック本体(40)が、上記前側のチャック本体(30)に対向して、前方に向けて配置された状態で、ブラケット(41)に前後方向に移動自在に設けられている。さらにブラケット(41)には、シリンダ(42)が設けられており、このシリンダ(42)の駆動によってチャック本体(40)が前後方向に進退駆動するよう構成されている。
またチャック本体(40)は、ブラケット(41)に対し前後方向の軸心回りに回転自在に構成されている。
なお基台(2)には、可動ブラケット(41)のスライド移動を規制するためのスライド規制手段(図示省略)が設けられており、可動ブラケット(41)をスライドさせて適切位置に配置した状態で、その適切位置において上記スライド規制手段によって位置固定できるよう構成されている。
また本実施形態において、基台(2)上には図示しないリフトが設けられており、このリフトによって、基台(2)上に載置したアルミニウム素管(10)を、チャックユニット(3)(4)に対応する位置まで持ち上げることができるように構成されている。さらにその持ち上げ状態において、チャックユニット(3)(4)のチャック本体(30)(40)をシリンダ(32)(42)の駆動によって進出させて、アルミニウム素管(10)の両端開口部に挿着させることにより、一対のチャック本体(30)(40)によって、アルミニウム素管(10)が所定位置に保持されるよう構成されている。
さらにこの保持状態において、前側のチャック本体(30)が、モータ(35)の駆動によって軸心回りに回転することによって、この前側チャック本体(30)に追従して、アルミニウム素管(10)および後側チャック本体(40)が軸心回りに回転するよう構成されている。
ここで本実施形態において、前後のチャック本体(30)(40)、これらを回転自在に支持する機構、チャック本体(30)を回転駆動させるモータ(35)などによって軸回り回転手段が構成されている。
拭き取りヘッドユニット(5)は、ブラケット(51)を具備しており、このブラケット(51)が上記ビーム(21)にビーム長さ方向(前後方向)に沿ってスライド自在に取り付けられている。
さらに基台(2)におけるビーム(21)の前端には、拭き取りヘッドユニット走行用モータ(52)が設けられており、このモータ(52)が回転駆動することによって、図示しないベルト機構などの動力伝達機構を介して、拭き取りヘッドユニット(5)が前後に走行駆動するよう構成されている。
ここで本実施形態においては、ビーム(21)、そのビーム(21)に拭き取りヘッドユニット(5)をスライド自在に支持する機構、さらに拭き取りヘッドユニット(5)を走行駆動させるモータ(52)などによって、軸方向移動手段が構成されている。
拭き取りヘッドユニット(5)は、アルミニウム素管(10)の設置位置における左右両側に配置される一対の支持ケース(50)(50)を有しており、この支持ケース(50)(50)内に収容されるようにして、一対の押付体(6)(6)と、一対の供給ロール(7)(7)と、一対の回収ロール(8)(8)とが設けられている。
一対の押付体(6)(6)は、アルミニウム素管(10)の設置位置の両側に対応して配置された状態で、シリンダ(61)(61)を介して支持ケース(50)(50)内に取り付けられている。そしてシリンダ(61)(61)が進退駆動することによって、一対の押付体(6)(6)がアルミニウム素管(10)の両側外面に対し接離して開閉するよう構成されている。
また本実施形態において、両押付体(6)(6)は、その中心軸が、セットされるアルミニウム素管(10)の軸心に対し直交し、かつ互いに同一線上に配置されるようにしている。
各押付体(6)(6)の押付面(60)(60)は、アルミニウム素管(10)の外周面形状に対応して、断面円弧状の凹面形状に形成されている。
本実施形態において、押付体(6)(6)の押付面(60)には、押付面(60)に沿って、弾性部材(クッション材9)が取り付けられている。この弾性部材(9)は、その材質が特に限定されるものではないが、本実施形態においてはたとえば、ポリエチレンなどの合成樹脂からなるものを好適に用いることができる。
本実施形態において、図5に示すように押付体(6)(6)が閉塞された際には、両押付面(60)(60)の弾性部材(9)(9)が、拭き取り部材(70)(70)を介してアルミニウム素管(10)における外周面のほぼ全域をバランス良く押し付けた状態に配置されるよう構成されている。
なお本実施形態においては、図5に示すように押付体(6)(6)を閉塞した際に、一対の押付体(6)(6)の対向面における上下両端部が、その間に隙間が形成されるように、互いに離間して配置されているが言うまでもなく、本発明においては一対の押付体(6)(6)の上下両端部を、その間に隙間が形成さないように、互いに接触させて配置するようにしても良い。
供給ロール(7)(7)は図7等に示すように、心棒(71)(71)を有し、その心棒(71)(71)に帯状の拭き取り部材(70)(70)が巻回されて装着されている。
また回収ロール(8)(8)は、供給ロール(7)(7)と同様に心棒(81)(81)を有し、その心棒(81)(81)に帯状拭き取り部材(70)(70)を巻き取ることができるよう構成されている。
さらに一方側の供給ロール(7)は、一方側の支持ケース(50)内における一方側の押付体(6)の下側に回転自在に取り付けられるとともに、一方側の回収ロール(8)は、一方側の押付体(6)の上側に回転自在取り付けられる。そして一方側供給ロール(7)から巻き出された拭き取り部材(70)が、一方側押付体(6)およびアルミニウム素管(10)間を通過させて、一方側回収ロール(8)に巻き取られるように配置される。
また他方側の供給ロール(7)は、他方側の支持ケース(50)内における他方側の押付体(6)の上側に回転自在に取り付けられるとともに、他方側の回収ロール(8)は、他方側の押付体(6)の下側に回転自在に取り付けられる。そして他方側供給ロール(7)から巻き出された拭き取り部材(70)が、他方側押付体(6)およびアルミニウム素管(10)間を通過させて、他方側回収ロール(8)に巻き取られるように配置される。
この構成において、供給ロール(7)(7)および回収ロール(8)(8)を回転駆動させることにより、押付体(6)およびアルミニウム素管(10)間の使用済みの拭き取り部材(70)が回収ロール(8)に巻き取られて回収されるとともに、供給ロール(7)(7)から新たな(未使用の)拭き取り部材(70)が送り出されて、押付体(6)およびアルミニウム素管(10)間に供給されるよう構成されている。
なお本発明においては、供給ロール(7)を回収ロール(8)に対し上側に配置する構成を採用するのが好ましい。すなわちこの構成を採用する場合、拭き取り部材(70)によって拭き取ったアルミニウムカスなどの異物が落下して、供給ロール(7)側の新規の拭き取り部材(70)に付着するような不具合を有効に防止することができる。
ここで本実施形態において、拭き取り部材(70)としては、極細繊維製織布(ワイピングクロス)、極細繊維製不織布(ワイパー)など、柔軟性を有するものを好適に用いることができ、中でも特に、ワイピングクロスを用いる場合には、カス除去性能を確実に向上させることができる。
なおワイピングクロスとしては、心材がナイロンで、周囲がポリエステル製のもの(例えばカネボウ合繊株式会社製の「ベリーマ(商品名)」)を好適に用いることができる。
またワイパーとしては、キュプラ繊維製のもの(例えば旭化成せんい株式会社製の「ベンリーゼ(商品名)、ベンコット(商品名)」)を好適に用いることができる。
また拭き取り部材(70)として用いられる織布や不織布においては、表面カスを効率良く払い落とすことができるように、繊維径が1〜200μm、好ましくは100μm以下のもの、より好ましくは50μm以下のもの、さらに好ましくは30μm以下のものを採用するのが良い。さらに短繊維のものは、脱落してアルミニウム管表面に悪影響を与える恐れがあるため、好ましくは長繊維のものを用いるのが良い。
本実施形態の拭き取り装置(1)において、アルミニウム素管(10)に拭き取り処理を施す場合には、アルミニウム素管(10)を基台(2)の所定位置に設置した状態で、図示しないリフトによって所定位置まで持ち上げて、その状態で、前後のチャックユニット(3)(4)のチャック本体(30)(40)を進出駆動させて、アルミニウム素管(10)の両端開口部に挿着させることにより、アルミニウム素管(10)を一対のチャック本体(30)(40)によって所定位置に保持する。
なお後側のチャックユニット(4)は、前後方向に移動自在にかつ所望の前後位置で固定可能に構成されているため、アルミニウム素管(10)をチャックユニット(3)(4)により保持させる前にあらかじめ、後側チャックユニット(4)の前後位置を適切位置に設定しておくことにより、アルミニウム素管(10)を前後のチャック本体(30)(40)によって安定状態に確実に保持することができる。
こうしてアルミニウム素管(10)をセットした後、拭き取りヘッドユニット(5)における一対の押付体(6)(6)を閉じる。これにより一対の押付体(6)(6)によってアルミニウム素管(10)を両側から挟み込んで、弾性部材(9)(9)を介して拭き取り部材(70)(70)をアルミニウム素管(10)における外周面のほぼ全域に押し付ける。
そしてその状態で、チャック本体(30)を回転させてアルミニウム素管(10)を軸心回り回転させるとともに、拭き取りヘッドユニット(5)をアルミニウム素管(10)の長さ方向(前後方向)に沿って移動させる。これにより拭き取り部材(70)(70)がアルミニウム素管(10)の外周面を螺旋状に移動していき、その拭き取り部材(70)(70)によってアルミニウム素管(10)の外周面全域がむらなく拭き取られる。
この拭き取り処理によって、押出加工時などにアルミニウム素管表面に付着した有害なアルミニウムカスなどの異物が確実に拭き取られて除去される。
拭き取りが完了した後は、拭き取りヘッドユニット(5)の一対の押付体(6)(6)を開いて、拭き取り部材(70)(70)をアルミニウム素管(10)から離脱させる。
続いてアルミニウム素管(10)にリフト(図示省略)によって支持させてから、チャック本体(30)(40)を後退させてアルミニウム素管(10)への保持を解除する。その後、アルミニウム素管(10)をリフトによって降下させて基台(2)上に載置するものである。
一方、本実施形態の拭き取り装置(1)において、次のアルミニウム素管(10)を処理する場合には、上記と同様にアルミニウム素管(10)をセットするものであるが、必要に応じて、供給ロール(7)(7)および回収ロール(8)(8)を所定量回転駆動させて、押付体(6)(6)およびアルミニウム素管(10)間に新たな拭き取り部材(70)(70)を供給して、拭き取り部材(70)(70)の交換作業を行う。
その後、上記と同様にして、次のアルミニウム素管(10)に対し拭き取り処理を行うものである。
なお、拭き取り装置(1)によって表面の異物が除去されたアルミニウム素管(10)は、既述したように、引抜工程により冷間引抜加工が行われて、感光ドラム基体用のアルミニウム管が製造される。
以上のように、本実施形態において拭き取り装置(1)による拭き取り処理によれば、一対の押付体(6)(6)の押付面(60)(60)をアルミニウム素管(10)の外周面に対応させて断面円弧状の曲面形状に形成しているため、拭き取り部材(70)によってアルミニウム素管(10)の外周面全周を均等な圧力でバランス良く押し付けることができる。しかも弾性部材(9)を介して拭き取り部材(70)を押し付けるものであるため、弾性部材(9)のクッション作用によって、押付体(6)により押付力を、より均等にバランス良く分散させることができる。従って、拭き取り部材(70)のアルミニウム素管表面に対する接触圧力が、部分的に大きくなり過ぎたり、不足したりするような不具合がなく、圧力過大によってアルミニウム素管表面に傷が付いたり、圧力不足によって拭き取りが不十分となるような不具合を確実に防止することができる。このしてアルミニウム素管(10)の外表面全域をむらなく均等にバランス良く拭き取ることができるため、外表面に生じるアルミニウムカスなどの異物を確実に除去することができる。さらに拭き取り部材(70)(70)を適切な圧力でアルミニウム素管表面に押し付けることができるため、圧力過大などによる傷の発生も有効に防止することができる。
このようにアルミニウム素管(10)の外表面における異物を確実に除去できるため、このアルミニウム素管(10)に対し引抜工程を行った際に、傷や突起などの表面欠陥のない高品質のアルミニウム管を製造することができる。その上さらにそのアルミニウム管の表面に、感光体層を形成して得られた感光ドラムは、リークなどによる画像欠陥が生じることがなく、高い品質を得ることができる。なお、得られた感光ドラム基体用アルミニウム管は、所定の長さに切断され、必要に応じて所定の端面処理を施されて、品質良好な感光ドラム基体となる。
また本実施形態においては、引抜工程前にアルミニウム素管(10)の表面を拭き取るだけのものであるため、たとえば従来のように、引抜工程後に、切削、研磨などの機械加工によって表面全域を一様に改質するような非効率な表面改質処理を行う必要がなく、効率良く簡単に実行できて、コストの削減を図ることができる。
また本実施形態においては、アルミニウム素管表面の異物を除去する際に、素管表面を拭き取るだけのものであるため、従来のように、管表面を切削、研磨する場合と比較して、管径の変化がなく、寸法管理を容易に行えて、より高い品質を得ることができる。
その上、本実施形態の拭き取り工程においては、アルミニウム素管(10)の外表面に、軸心を挟んで両側から一対の押付体(6)(6)を同一の圧力で押し付けるものであるため、一対の押付体(6)(6)の押圧力が互いに相殺されることにより、アルミニウム素管(10)に偏った応力が生じることなく、有害な変形が生じるのを防止でき、アルミニウム素管(10)の真円度、真直度を高度に維持することができ、より一層高い品質のアルミニウム管製品を提供することができる。
詳述すると、拭き取り処理を行うに際して、仮に図8に示すように帯状の拭き取り部材(70)を、アルミニウム素管(10)の外表面に片側から押し付けた状態で拭き取るようにした場合、アルミニウム素管(10)が拭き取り部材(70)によってアルミニウム素管(10)が片側のみから偏って押し込まれるため、アルミニウム素管(10)に有害な変形応力が生じて、アルミニウム素管(10)の真円度や真直度が低下するおそれがある。なお図8においては、発明の理解を容易にするため、本発明の構成部品に相当する部品に対し同一符号を付している。
これに対し本実施形態においては、アルミニウム素管(10)の両側から、一対の押付体(6)(6)によって拭き取り部材(70)(70)を押し当てて、拭き取り処理を行うようにしているため、既述したように、アルミニウム素管(10)に有害な変形応力が生じるのを防止でき、アルミニウム素管(1)の真円度や真直度を向上させることができ、より一層高い品質のアルミニウム管を製造することができる。
しかも本実施形態においては、拭き取り部材(70)(70)をアルミニウム素管(1)の両側から均等に押し付けるものであるため、拭き取り部材(70)の押付力を多少高く設定しようとも、有害な変形が生じるのを有効に防止することができる。従って拭き取り部材(70)の素管表面に対する押圧力を十分に高く設定することができるため、素管表面の異物をより確実に除去することができ、品質をさらに向上させることができる。
また本実施形態は、素管表面を切削や研磨などによって除去するものではないため、表面除去時に生じるアルミニウムカスが、素管表面に再付着するような不具合も確実に防止でき、一層高品質の管製品を得ることができる。
ここで本実施形態の拭き取り装置(1)における拭き取り処理において、押付体(6)に取り付けられる弾性部材(9)としては、アスカーC(ASKER Ctype(20℃))による硬度が10〜70のもの、より好ましくは硬度が20〜60のものを用いるのが良い。すなわちこの硬度が上記特定範囲内に設定される場合には、拭き取り部材(70)をアルミニウム素管(10)の表面に弾性部材(9)の取付領域全域において、均等な圧力でバランス良く確実に押し付けることができ、拭き取り処理を効果的に行うことができる。換言すれば、弾性部材(9)が硬過ぎる場合や、柔らか過ぎる場合には、拭き取り部材(70)をアルミニウム素管(10)の表面にバランス良く均等な圧力で拭き取ることが困難になるおそれがあり、好ましくない。
さらに弾性部材(9)は、その厚みをアルミニウム素管の直径以下に設定するのが良く、より好ましくはアルミニウム素管の直径に対し1/2以下に設定するのが良い。すなわち厚みが上記特定範囲内に設定される場合には、拭き取り部材(70)をアルミニウム素管(10)の表面に弾性部材(9)の取付領域全域において、均等な圧力でバランス良く押し付けることができる。換言すれば、弾性部材(9)の厚みが厚過ぎたり、薄過ぎる場合には、押付体(6)(6)により押付力にバラツキが生じやすくなり、拭き取り部材(70)によってアルミニウム素管表面を満遍なく拭き取ることが困難になるおそれがある。
また押付体(6)によるアルミニウム素管(10)への押付圧力(挟み込み圧力)は、0.01〜5N/cm2 、好ましくは0.5〜5N/cm2 、より好ましくは1〜5N/cm2 に設定するのが良い。すなわち押付体(6)の押付圧力を上記特定範囲内に設定することにより、拭き取り部材(70)をアルミニウム素管(10)の表面に適度な圧力で押し付けることができ、アルミニウム素管(10)の表面を効果的に拭き取ることができる。換言すれば、押付体(7)の押付圧力が大き過ぎる場合には、拭き取り部材(70)のアルミニウム素管(10)への接触圧が大きくなり過ぎて、アルミニウム素管(10)の表面に傷が付いたりするおそれがあり、好ましくない。逆に押付体(6)の押付圧力が小さ過ぎる場合には、アルミニウム素管(10)の表面に付着したアルミニウムカスなどの異物を確実に拭き取ることができないおそれがあり、好ましくない。
また本実施形態においては、帯状の拭き取り部材(70)としては、幅が30〜500mm、好ましくは60〜150mmのものを用いるのが良い。すなわちこの拭き取り部材(70)の幅が上記特定の範囲内に調整した場合には、アルミニウム素管(10)の外表面全域を効率良く拭き取ることができる。換言すれば、拭き取り部材(70)の幅が狭過ぎる場合には、拭き取り部材(70)により一度に拭き取る幅(領域)が狭く、アルミニウム素管(10)の外表面全域を効率良く拭き取ることが困難になるおそれがある。逆に拭き取り部材幅が広過ぎる場合には、拭き取り部材(70)をその幅方向全域を均等な圧力でアルミニウム素管(10)表面に接触させることが困難になり、アルミニウムカスなどの異物を確実に拭き取ることが困難になるおそれがある。
さらにアルミニウム素管(10)に対し、両拭き取り部材(70)のうち一方側の拭き取り部材(70)の長さ方向の接触長さは、アルミニウム素管(10)の1/4〜1/2周に設定するのが良く、好ましくは1/3〜1/2周に設定するのが良い。すなわちこの長さが短過ぎたり長過ぎたりする場合には、拭き取り部材(70)のアルミニウム素管(10)に対する接触圧のコントロールが困難になり、アルミニウム素管(10)の表面を効率良く拭き取ることが困難になるおそれがある。
さらに拭き取り部材(70)の供給ロール(7)からの送り出し速度および回収ロール(8)への巻取速度は、0.1〜20cm/分、好ましくは5〜12cm/分に調整するのが良い。すなわちこの範囲内に調整する場合には、拭き取り部材(70)を安定状態で効率良く供給することができる。
またアルミニウム素管(10)の回転速度は、10〜1000回/分(rpm)、好ましくは300〜700回/分に調整するのが良い。この回転速度を上記の特定範囲内に調整する場合には、アルミニウム素管(10)の外表面を効率良く確実に拭き取ることができる。つまり回転速度が遅過ぎる場合には、拭き取りに必要な時間が長くなり、拭き取り効率の低下を来すおそれがあり、好ましくない。逆に速過ぎる場合には、拭き取りむらが生じて、アルミニウム素管(10)の外表面を均等にバランス良く拭き取るのが困難になり、異物を確実に除去できないおそれがあり、好ましくない。
さらに拭き取りヘッドユニット(5)のアルミニウム素管(10)に対する軸心方向の移動速度は60〜5000cm/分、好ましくは1000〜3000cm/分に調整するのが良い。すなわちこの速度を上記特定範囲内に調整する場合には、アルミニウム素管(10)の外表面を効率良く確実に拭き取ることができる。換言すれば、この速度が遅過ぎる場合には、拭き取りに必要な時間が長くなり、拭き取り効率の低下を来すおそれがあり、好ましくない。逆に速過ぎる場合には、拭き取りむらが生じて、アルミニウム素管(10)の外表面を均等にバランス良く拭き取るのが困難になり、異物を確実に除去できないおそれがあり、好ましくない。
また、本実施形態において引抜加工は、1段もしくは2段で行い、面積減少率は10%以上に調整される。さらに引抜速度は、特に限定されるものではないが、好ましくは5〜50m/分に調整するのが良い。
なお上記実施形態においては、押付体の設置数が2つの場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、押付体を3つ以上設置するようにしても良い。
また上記実施形態では、拭き取り工程において、拭き取り動作が完了して、次のアルミニウム素管に対する拭き取り動作が開始するまでの間に、押付体(6)(6)を開いた状態で供給ロール(7)(7)および回収ロール(8)(8)を回転させて、新たな拭き取り部材(70)を供給するとともに、使用済みの拭き取り部材(70)を回収するようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、拭き取り動作中に、つまり押付体を閉じた状態で、拭き取り動作と並行しつつ、供給ロールおよび回収ロールを回転させて、拭き取り部材を交換するようにしても良い。この場合には、拭き取り部材の交換作業を別途単独で行う必要がなく、その分、生産効率を向上させることができる。
また上記実施形態においては、押付体(拭き取り部材)をアルミニウム素管に対し軸心方向に沿って移動させて、拭き取り動作を行うように構成しているが、それだけに限られず、本発明においては、押付体(拭き取り部材)に対し、アルミニウム素管を軸心方向に移動させたり、あるいは押付体(拭き取り部材)およびアルミニウム素管をともに、軸心方向に移動させて、拭き取り動作を行うようにしても良い。
以下、本発明に関連した実施例について説明する。
<実施例1>
熱間押出加工によって形成された外径31mmのアルミニウム押出管を、長さ2000mmに切断してアルミニウム素管を製造し、このアルミニウム素管に対し拭き取り工程によって、素管表面に付着したアルミニウムカスを除去した。
この拭き取り工程においては、上記図2〜6と同様な拭き取り装置(1)を用いて行った。
このとき弾性部材(9)としては、厚さ10.5mmのポリエチレン製のもの(アスカーC硬度60)を用いた。
さらに拭き取り部材(70)としては、ワイピングクロス(カネボウ合繊株式会社製の「ベリーマ(商品名)」)からなる幅80mmのテープ状のものを用いた。さらにアルミニウム素管の回転速度を、400rpm、拭き取りヘッドユニットの移動速度を150mm/秒、押圧体(拭き取り部材)の素管に対する接触圧を、2〜3N/cm2 に設定した。
またアルミニウムカスを除去したアルミニウム素管を、引抜工程において冷間引抜加工して、感光ドラム基体用のアルミニウム管を製造した。なおこの引抜加工は、2段で行い、面積減少率を60%に調整した。更に引抜速度は、22〜25m/分に調整した。
こうして得られた2000本(検査数)のアルミニウム管に対し、外表面に形成されるアルミニウムカス(Alカス)起因の欠陥の発生状況(発生率)を確認したところ、その欠陥の発生率は0.6%であった。
<比較例1>
拭き取り工程を行わなかったこと以外は、上記と同様にして、アルミニウム管を製造した。そして上記と同様に、2000本(検査数)のアルミニウム管の外表面に形成されるAlカス起因の欠陥の発生状況(発生率)を確認したところ、その欠陥の発生率は2.5%であった。
<アルミニウムカス起因の欠陥に関する評価>
上記実施例1および比較例の結果から明らかなように、本発明に関連した実施例1において、Alカス起因の欠陥の発生率が少なくて、安定した良好な品質のアルミニウム管製品を得ることができた。
これに対し、本発明の要旨を逸脱する比較例においては、Alカス起因の欠陥の発生率が多く、実施例に比べて、安定した良好な品質のアルミニウム管製品を得ることが困難であるのが判る。
<実施例2>
上記実施例1により得られた各アルミニウム素管に対し、投入数に対する良品の割合(直行率)を測定したところ、93.2〜97.6%であった。
この測定結果から明らかなように、本発明に関連した実施例2のアルミニウム管においては、高い直行率を維持でき、良好なアルミニウム管製品を提供できると考えられる。
この発明の実施形態であるアルミニウム管の製造手順を示す工程図である。 上記実施形態である製造方法に適用された拭き取り装置を示す斜視図である。 上記実拭き取り装置の拭き取りヘッドユニット周辺を示す正面図である。 上記拭き取りヘッドユニットの主要部を押付体を開いた状態で示す正面図である。 上記拭き取りヘッドユニットの主要部を押付体を閉じた状態で示す正面図である。 上記拭き取り装置の主要構成部を概略的に示す平面図である。 上記拭き取り装置に適用された供給ロールを示す斜視図である。 本発明の要旨を逸脱するアルミニウム素管の拭き取り方法を示す正面図である。
符号の説明
1…拭き取り装置
5…拭き取りヘッドユニット(押付装置)
6…押付体
9…弾性部材
60…押付面
7…供給ロール
70…拭き取り部材
71…心棒
8…回収ロール
10…アルミニウム素管

Claims (23)

  1. アルミニウム素管を得る押出工程と、アルミニウム素管の外周面を拭き取る拭き取り工程と、拭き取り工程後のアルミニウム素管を引抜加工する引抜工程と、を含み、
    拭き取り工程においては、アルミニウム素管の外周面に、周方向に沿って配置された複数の押付体によって弾性部材を介して拭き取り部材を押し付けた状態で、アルミニウム素管を前記拭き取り部材に対し相対的に軸心回りに回転させることにより、アルミニウム素管の外周面を前記拭き取り部材によって拭き取るようにしたことを特徴とするアルミニウム管の製造方法。
  2. 前記弾性部材として、アスカーC(ASKER Ctype(20℃))による硬度が10〜70のものが用いられる請求項1に記載のアルミニウム管の製造方法。
  3. 前記弾性部材として、厚みがアルミニウム素管の直径以下のものが用いられる請求項1または2に記載のアルミニウム管の製造方法。
  4. 前記弾性部材は、その材質が合成樹脂によって構成される請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
  5. 拭き取り工程においては、アルミニウム素管の外周面に、両側に配置された一対の押付体によって前記拭き取り部材を押し付けるようにした請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
  6. 前記拭き取り部材のアルミニウム素管表面に対する押付圧力を、0.01〜5N/cmに設定するようにした請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
  7. 拭き取り工程において、拭き取り動作中のアルミニウム素管における軸心回りの回転速度を、10〜1000回/分に設定するようにした請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
  8. 拭き取り工程においては、拭き取り動作中にアルミニウム素管を前記押付体に対し軸心方向に相対的に移動させるようにした請求項1〜7のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
  9. 拭き取り工程においては、前記押付体を軸心方向に移動させずにアルミニウム素管を軸心方向に移動させるようにした請求項8に記載のアルミニウム管の製造方法。
  10. 前記押付体におけるアルミニウム素管に対し軸心方向の移動速度を60〜5000cm/分に設定した請求項8または9に記載のアルミニウム管の製造方法。
  11. 前記拭き取り部材は、極細繊維製織布および極細繊維製不織布のうち少なくともいずれか一方によって構成される請求項1〜10のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
  12. 前記拭き取り部材は帯状の繊維製品によって構成されるとともに、その拭き取り部材が心棒に巻回されて供給ロールが形成され、
    供給ロールから拭き取り部材を送り出してアルミニウム素管の外周面に供給するようにした請求項1〜11のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
  13. 拭き取り工程を順次行うに際し、拭き取り工程が完了して、次の拭き取り工程が開始されるまでの間に、前記供給ロールから拭き取り部材を供給するようにした請求項12に記載のアルミニウム管の製造方法。
  14. 拭き取り工程において、拭き取り動作と並行して、前記供給ロールから拭き取り部材を供給するようにした請求項12に記載のアルミニウム管の製造方法。
  15. 前記拭き取り部材として、幅が30〜500mmのものを用いる請求項12〜14のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
  16. 前記供給ロールからの拭き取り部材の送り出し速度を0.1〜20cm/分に設定するようにした請求項12〜15のいずれか1項に記載のアルミニウム管の製造方法。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の製造方法によってアルミニウム管を得る工程と、
    アルミニウム管の表面に感光体層を設ける工程と、を含むことを特徴とする感光ドラムの製造方法。
  18. 押出工程によって得られたアルミニウム素管を引抜加工する前に、アルミニウム素管の外周面を拭き取るようにしたアルミニウム素管表面の拭き取り方法であって、
    アルミニウム素管の外周面に、周方向に沿って配置された複数の押付体によって弾性部材を介して拭き取り部材を押し付けた状態で、アルミニウム素管を前記拭き取り部材に対し相対的に軸心回りに回転させることにより、アルミニウム素管の外周面を前記拭き取り部材によって拭き取るようにしたことを特徴とするアルミニウム素管表面の拭き取り方法。
  19. 押出工程によって得られたアルミニウム素管を引抜加工する前に、アルミニウム素管の外周面を拭き取るようにしたアルミニウム素管表面の拭き取り装置であって、
    アルミニウム素管の外周面に押付可能に設けられ、かつ周方向に間隔をおいて配置された複数の押付体と、
    前記複数の押付体の押付面に設けられた弾性部材と、
    前記複数の押付体によって前記弾性部材を介して拭き取り部材をアルミニウム素管外周面に押し付けた状態で、アルミニウム素管を前記拭き取り部材に対し相対的に軸心回り回転させるための軸回り回転手段と、を備えたことを特徴とするアルミニウム素管表面の拭き取り装置。
  20. 前記押付体は、アルミニウム素管の両側に2つ配置され、両押付体によって前記拭き取り部材を両側からアルミニウム素管の外周面に押し付けるように構成された請求項19に記載のアルミニウム素管表面の拭き取り装置。
  21. 前記押付体におけるアルミニウム素管外周面への押付面は、アルミニウム素管外周面の形状に倣って断面円弧状に形成される請求項19または20に記載のアルミニウム素管表面の拭き取り装置。
  22. 前記押付体によって前記拭き取り部材をアルミニウム素管外周面に押し付けた状態で、前記複数の押付体および前記拭き取り部材を、アルミニウム素管の軸心方向に沿って相対的に移動させるための軸方向移動手段を、さらに備えた請求項19〜21のいずれか1項に記載のアルミニウム素管表面の拭き取り装置。
  23. 押出工程によって得られたアルミニウム素管を引抜加工する前に、アルミニウム素管の外周面を拭き取り部材を押し付けて拭き取るに際して、前記拭き取り部材をアルミニウム素管の表面に押し付けるための押付装置であって、
    アルミニウム素管の外周面に押付可能に設けられ、かつ周方向に間隔をおいて配置された複数の押付体と、
    前記複数の押付体の押付面に設けられた弾性部材と、を備え、
    前記複数の押付体によって、前記弾性部材を介して前記拭き取り部材をアルミニウム素管の外周面に押し付けるように構成されたことを特徴とする拭き取り部材の押付装置。
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