JP4859527B2 - 毛髪保持具 - Google Patents
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また、一方の端部から筒状体の内部に挿入した毛髪束に、他端の端部から注入した染毛剤を、筒状体をしごいて塗り拡げるときに、一方の端部から毛髪処理剤が漏れ出てしまうおそれがある。
また、毛髪保持具の上から強力なクリップ等を使用して毛髪を抑え付けることにより、上記課題を解決することもできるが、毛髪処理剤により膨潤した毛髪にこのような力を加えると毛髪にダメージを与える原因となり好ましくない。
更に本発明によれば、毛髪処理剤漏出防止部材によって、毛髪保持具を毛髪束に固定する際の毛髪束にかかる負担を少なくすることができ、結果的に毛髪に与えるダメージも少なくすることができる。
本発明の一実施形態である毛髪保持具1は、図1〜図3に示すように、一端の開口部21から他端の開口部22に向けて毛髪束Hを挿入可能なようにシート23、23により構成された筒状体2を有している。そして、毛髪保持具1は、筒状体2内に毛髪処理剤として染毛剤を注入して、該筒状体2の内部で、該毛髪束Hに対して染毛処理を施すことができるになされている。尚、本発明にいう染毛剤には、染毛剤の他に、脱色剤も含まれる。
そして、筒状体2の、前記一端の開口部21の近傍における内面側に、毛髪束Hに押し付けられたときに該毛髪束Hの表面の凹凸形状に沿うように変形可能な毛髪処理剤漏出防止部材4,4が設けられている。図4に、毛髪処理剤漏出防止部材4が、毛髪束Hの表面の凹凸形状に沿うように変形した状態の典型を示した。図4中、hは個々の毛髪の断面を示している。
筒状体2は、図1に示すように、縦長であり、一端の開口部21から他端の開口部22に向けて毛髪束Hを挿入可能なように構成されている。また、筒状体2は、一対の縦長矩形状のシート23、23により構成されている。一対のシート23、23は、筒状体2の長手方向の側端部24a,24bにおいて、それぞれの側端部同士が接合されて扁平形状の筒状体とされている。一対のシート23、23それぞれは、柔軟であり、筒状体2は可撓性を有している。
一般に、筒状体2の長さは50〜600mm程度であり、開口部21,22の大きさは、筒状体2の相対向する一方の面側Fと他方の面側Rとを密着状態として測定した、該筒状体2の一方の側端部24aから他方の側端部24bまでの距離W〔図2(a)参照〕が、5〜100mm程度である。前記距離Wは、開口部21,22それぞれの内面側の周長の1/2の長さに等しい。
本実施形態における筒状体2においては、図2(c)に示すように、一端の開口部21の近傍が、相対向する一方の面側Fと他方の面側Rの何れにおいても、染毛剤に対して非透過性であるシート23と、2つ折りされて該シート23の内外両面に積層され、該シート23に部分的に接合された矩形状の不織布41とから構成されている。
本実施形態における毛髪処理剤漏出防止部材4は、この不織布41における、シート23の内面側(筒状体内面側)に位置する部分41a(以下、内面側部分41aともいう)から構成されている。
これにより、毛髪処理剤漏出防止部材4と毛髪束Hとの間に大きな摩擦抵抗が生じ、そのため、毛髪束Hに固定した筒状体2がずりおちにくく、そのため、筒状体2が毛髪束Hに安定的に固定される。
荷重3.7g/cm2という荷重値は、低荷重下での測定条件であり、軟らかい対象物を安定して厚み測定するために定義した荷重である。
荷重204g/cm2という荷重値は、高荷重下での測定条件であり、毛髪保持具を毛髪束にズレ落ちないよう固定する、好ましい固定力を達成するための目安となる荷重である。
即ち、毛髪処理剤漏出防止部材4から、約3×3cmの試験片を切り出し、先端が平面のダイヤルゲージを使用して、それぞれ荷重3.7g/cm2、204g/cm2下で厚みを測定する。
なお、本願でいう多孔性材料とは、毛細管現象を生ずる構造を有する材料のことを指し、以下に例示する、不織布といった繊維状物の他、スポンジ状物等が該当する。
図5に示すクリップ型固定具3は、一対の挟持部31,32が支軸33で回動可能に結合されており、且つ支軸33に設けられたバネ(図示せず)により一対の挟持部31,32間が閉じる方向に付勢されているものである。このようなクリップ型固定具3は、一対の挟持部31,32それぞれの一端部に連続して形成された摘み部34,35を手で摘んだり手を離したりするという簡単な操作により一対の挟持部31,32間を開閉できる。
クリップ型固定具としては、摘み部34,35を有しないものを用いることもできる。例えば、バネ弾性を有する金属からなる一対の挟持部31,32がそれぞれの一端部において積層されて結合されており、一対の挟持部31,32を一体的に反らせることにより、両者間が開き、反対側に反らせることにより、両者間を閉鎖できるもの等を用いることができる。
クリップ型固定具3’は、一対の挟持部31,32間に、毛髪保持具1の染毛剤漏出防止部材4,4が設けられた部分Pを挟み、その状態を、ヒンジ部分36とは反対側に設けられたロック機構31b、32bにより維持して使用することができる。
ここでいう固定力は、以下のようにして測定される。
固定具で30mm×200mm角、厚み80μmのLDPE(低密度ポリエチレン)フィルムを挟み込み、その状態でフィルムを長手方向に引き抜くときの最大荷重を固定力とした。また、測定はプッシュプルゲージ(株式会社 イマダ製)を使用した。
また、筒状体2の長手方向において、毛髪処理剤漏出防止部材4を設ける部位は、前記一端の開口部の近傍における内面側であり、前記一端の開口部21の開口端から毛髪処理剤漏出防止部材4までの距離が0〜50mmであることが好ましく、より好ましくは0〜30mm、更に好ましくは0〜10mmであり、該開口端から毛髪処理剤漏出防止部材4の最も遠い部分までの距離が5〜110mmであることが好ましく、より好ましくは20〜60mmである。
また、毛髪処理剤漏出防止部材4は、長手方向の長さが5〜60mmであることが好ましく、より好ましくは20〜40mm程度である。
本実施形態における封止手段26は、筒状体2の一方の面側Fのシート23の外面に接合された、塑性変形し且つその変形形態を維持可能なシート状の部材である。シート状の部材としては、アルミ箔のような金属製シート等が好ましく用いられる。筒状体2における、該シート状の部材26が接合された部分を上方に向けて一回又は複数回折り畳むことにより、筒状体2の開口部22を開閉自在に封鎖することができる。
開口部22を開閉自在に封止可能な他の封止手段としては、チャック等を用いることができる。チャックが設けられることにより、他端の開口部22の開閉が行なえる。また、封止手段としては、機械的面ファスナー、粘着テープ、自己接着性テープ〔例えば仁礼工業製のふしぎテープ(商品名)〕などを用いることもできる。
そして、筒状体2の開口部21が毛髪束Hの適切な位置にあることを確認したのち、クリップ型固定具3を用いて、筒状体2の毛髪処理剤漏出防止部材4が設けられた部分を挟むことによって、該筒状体2を毛髪束Hに固定する。
放置後、筒状体2からクリップ型固定具3を取り外し、毛髪束Hを毛髪保持具1から取り出す。そして、すすぎ洗いをし、更に所望によりシャンプー及びブローを行う。
例えば、筒状体2の相対向する一方の面側Fと他方の面側Rとに毛髪処理剤漏出防止部材4を設けるのに代えて、一方の側にのみ毛髪処理剤漏出防止部材4を設けることもできる。また、相対向する一方の面側Fと他方の面側Rとのそれぞれに、図8に示すように、毛髪処理剤漏出防止部材4、4を、筒状体2の長手方向に相互に離間させて複数設けることもできる。また、毛髪処理剤漏出防止部材は、天然ゴム、合成ゴム等の弾性材料からなるものであっても良い。毛髪処理剤漏出防止部材4をシート23に固定する方法は、ヒートシールに代えて、超音波シール、インパルスシール、接着剤、両面テープ等を用いても良い。
下記材質の毛髪処理剤漏出防止部材を用いて、図1〜図3に示す形態の毛髪保持具を作成した。筒状体の長さは400mmとし、筒状体の一方の側端部から他方の側端部までの距離Wは30mmとした。また、一対のシート23,23の材質は低密度ポリエチレンとした。
〔毛髪処理剤漏出防止部材の材質〕
芯鞘構造の繊維を使用した2成分のスパンボンド不織布
芯部:ポリエステル、鞘部:ポリエチレン、坪量:40g/m2、花王株式会社製
荷重3.7g/cm2下における厚みT1:0.56mm
荷重204g/cm2下における厚みT2:0.27mm
T1とT2との厚み差:0.29mm
(1)長さ約250mmの毛髪束(約1000本)を、筒状体2の一端の開口部21から他端の開口部22に向けて挿入する。
(2)図3に示す様に、毛髪処理剤漏出防止部材が設けられている部分Pを図5に示すクリップ型固定具で挟んで、毛髪保持具を毛髪束に固定する(固定力:1N)。
(3)毛髪保持具の他端の開口部から染毛剤を5g注入する。
(4)注入した染毛剤を他端の開口部から一端の開口部の方向へ毛髪保持具を手の指でしごいて塗り広げる。
染毛剤を塗り広げた後に、毛髪保持具の一端の開口部から染毛剤が漏れ出し状態を目視で確認する。漏れ出しの有無は目視で確認できる程度の漏れ出し量(数mg前後以上)で判断する。
上記の実験中に毛髪保持具のズレが発生するかを目視で確認する。ズレ発生の有無は目視で確認できる程度のズレ量(1mm前後以上)で判断する。
毛髪処理剤漏出防止部材の材質を以下の通りに変更しその他は実施例1と同様にして各評価を行った。その結果を表1に示した。
〔毛髪処理剤漏出防止部材の材質〕
無架橋高発泡ポリエチレンシート
酒井化学工業株式会社製、商品名:ミナフォーム
荷重3.7g/cm2下における厚みT1:0.52mm
荷重204g/cm2下における厚みT2:0.4mm
T1とT2との厚み差:0.12mm
毛髪処理剤漏出防止部材の材質を以下の通りに変更しその他は実施例1と同様にして各評価を行った。その結果を表1に示した。
〔毛髪処理剤漏出防止部材の材質〕
低密度ポリエチレンフィルム(公称厚み:40μm)
荷重3.7g/cm2下における厚みT1:0.04mm
荷重204g/cm2下における厚みT2:0.036mm
T1とT2との厚み差:0.004mm
毛髪処理剤漏出防止部材の材質を以下の通りに変更しその他は実施例1と同様にして各評価を行った。その結果を表1に示した。
〔毛髪処理剤漏出防止部材の材質〕
ポリエステル繊維を使用したスパンボンド不織布
坪量:250g/m2、旭化成株式会社製、商品名:エルタススマッシュ
荷重3.7g/cm2下における厚みT1:0.57mm
荷重204g/cm2下における厚みT2:0.54mm
T1とT2との厚み差:0.03mm
これに対して、比較例1及び2については、染毛剤の漏れ出し及び毛髪保持具のズレともに目視で確認でき、良好な結果を得ることができなかった。
2 筒状体
21、22 開口部
23 シート
24a,24b 側端部
3,3’ クリップ型固定具(固定具)
31,32 挟持部
4 毛髪処理剤漏出防止部材
41 不織布
H 毛髪束
Claims (5)
- 一端の開口部から他端の開口部に向けて毛髪束を挿入可能なように構成された筒状体を有し、該筒状体内に毛髪処理剤を注入して、該筒状体の内部で該毛髪束に対して毛髪処理を施すことができるようになされている毛髪保持具であって、
前記筒状体の、前記一端の開口部の近傍における内面側に、毛髪束に押し付けられたときに漏出防止作用を発現する毛髪処理剤漏出防止部材が設けられており、
前記毛髪処理剤漏出防止部材は、前記毛髪束に押し付けられたときに該毛髪束の表面の凹凸形状に沿うように変形可能であり、且つ前記毛髪処理剤を含浸保持可能な多孔性材料からなる毛髪保持具。 - 前記多孔性材料が不織布である請求項1記載の毛髪保持具。
- 前記筒状体における、前記毛髪処理剤漏出防止部材が設けられた部分を挟むことができる固定具と併用される請求項1又は2記載の毛髪保持具。
- 前記固定具は0.4N以上の固定力が付与可能である請求項3記載の毛髪保持具。
- 前記筒状体の前記他端の開口部近傍に、該開口部を開閉自在な封止手段が設けられている請求項1〜4の何れか1項記載の毛髪保持具。
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