JP4859231B2 - インクジェット記録装置およびインク消費量算出方法 - Google Patents

インクジェット記録装置およびインク消費量算出方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に関するものであり、更に詳しくは、インクの消費量を算出可能なインクジェット記録装置およびインク消費量算出方法に関するものである。
インクタンク内のインク残量を推定するために、ドットカウント方式によりインク消費量を演算することが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。このドットカウント方式は、1回の吐出(1ドット)のインク量を予め定めておき、何回の吐出が行われたかを確認することで、この吐出回数に上記予め定められた量を乗じることにより消費されたインク量を算出する方法である。
ところで、記録ヘッドによる記録を良好な状態に維持する目的で、吸引によって記録ヘッドの吐出状態を回復する処理が一般的に行われている。この回復処理によってもインクタンク内のインクが消費される。従来、この回復処理でも、ドットカウント式と同様、1回の回復動作で消費する一定のインク量を予め定めておき、回復処理が行われた回数を記録装置が確認することで、インク消費量を認識する方法が行われている。例えば、特許文献3では、回復動作で消費されたインク消費量と上述のように吐出動作で消費されたインク消費量との総和により、記録装置で消費されたインクの総消費量を算出することが開示されている。なお、以下では、吐出動作のインク消費量を認識する方法のみならず、この吸引動作のインク消費量を認識する方法も含めて「ドットカウント式」という。
特開2005−53110号公報 特開平6−126981号公報 特開昭59−194853号公報(特許第1814569号)
しかしながら、従来のドットカウント式によるインク残量検知では、1回の吐出や1回の吸引動作に対応するインク消費量を装置の固体差によらず一定としていたため、最終的に算出されるインク消費量に比較的大きな誤差を生じる事があった。すなわち、演算により算出されるインク消費量と実際のインク消費量との間に比較的大きな差異が生じてしまうのである。このような差異が生じると、実際にはインクが十分残っているにもかかわらず、インク残量が“0”あるいは所定量以下となったと装置が判断してしまう。
そこで、本発明者らは、上記のように算出されるインク消費量の誤差の原因について鋭意検討した。まず、インク消費量のバラツキを招く主な原因として、記録ヘッドの固体差に伴う吐出量のバラツキ、吸引手段(吸引ポンプ)の固体差に伴う吸引量のバラツキ、およびインクタンク内へのインク注入量バラツキを考えた。そして、実際に一般的なユーザが記録を行った場合のインクの消費量を調査し、バラツキに関して次のような知見を得た。
なお、調査するにあたって、インク容量14gのインクタンクを備えた記録装置を用いて、一般的なユーザが通常の使用、すなわち中断を含んだ間欠的な記録を行った場合であることを前提として算出する。具体的な数値を挙げると、1種類のインクで1日に記録するドット数は6570万ドット、1ドットにおける最大吐出量は4ng、最小吐出量3.5ng、記録回復で1日に行われる吸引回数12回、吸引時の最大吸引量0.56g、最小吸引量0.5gである。
また、算出式には以下の式を用いる。
インクタンク内のインク消費量=(吐出量×使用ドット数)
+(記録ヘッドクリーニング時のインク消費量×吸引回数)…(式1)
以上の条件でインク消費量を算出すると、27日間記録を行うとインクタンク内のインクが無くなることになる。
図10は、上記条件でインク消費量を算出し、その結果、インクタンクの残量が“0”と認識したときに、インクタンク内に実際に残っているインク量(残存インク)を、その誤差の原因別に表わした図である。具体的には、吐出量を最大値、吸引量を最大値としてインク消費量の算出を行ったにもかかわらず、実際には吐出量が最小値、吸引量が最小値で記録や吸引回復が行われた場合の、誤差の要因の割合をグラフで示したものである。図10からわかるように、実に、誤差に相当する残存インクの約半分(47)%が吸引量のバラツキによるもので、この吸引量バラツキを軽減することが、演算によるインク消費量の誤差を低減するのに効果的である。また、この吸引量バラツキに加え、吐出量バラツキも考慮すれば、演算により算出されるインク消費量をより実際のインク消費量に近づけることができる。
よって、本発明は、記録ヘッドからの吐出量や記録ヘッド回復時の吸引量の算出において、より正確なインク消費量を算出することによって、演算によるインク消費量と、実際のインク消費量との差を少なくすることを目的とする。
そのため本発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出して記録を行う記録ヘッドからインクを吸引する吸引手段と、前記記録ヘッドの温度を測定する記録ヘッド温度測定手段と、環境温度を測定する環境温度測定手段と、を備えるインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドの製造時に設定された吐出量のランク情報と前記記録ヘッド温度測定手段により測定された記録ヘッド温度に基づいてインク吐出量を算出する吐出量算出手段と、前記インクジェット記録装置の製造時に設定された吸引量のランク情報と前記環境温度測定手段により測定された環境温度に基づいて前記吸引手段によるインク吸引量を算出する吸引量算出手段と、前記吐出量算出手段により算出されたインク吐出量と前記吸引量算出手段により算出されたインク吸引量に基づいてインク消費量を算出する消費量算出手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明のインク消費量算出方法は、インクを吐出して記録を行う記録ヘッドからインクを吸引する吸引手段と、前記記録ヘッドの温度を測定する記録ヘッド温度測定手段と、環境温度を測定する環境温度測定手段と、を備えるインクジェット記録装置におけるインク消費量算出方法において、前記記録ヘッドの製造時に設定された吐出量のランク情報と前記記録ヘッド温度測定手段により測定された記録ヘッド温度に基づいてインク吐出量を算出する吐出量算出工程と、前記インクジェット記録装置の製造時に設定された吸引量のランク情報と前記環境温度測定手段により測定された環境温度に基づいて前記吸引手段によるインク吸引量を算出する吸引量算出工程と、前記吐出量算出工程により算出されたインク吐出量と前記吸引量算出工程により算出されたインク吸引量に基づいてインク消費量を算出する消費量算出工程と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、インクジェット記録装置のインク消費量を算出する際に、記録装置固有の吸引量ランクに基づいて、インク消費量を算出する。これによって、演算によるインク消費量と実際のインク消費量との差異を小さくすることができる。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態を詳細に説明する。
1.基本的構成
(機構部の構成)
本実施形態で適用する記録装置における各機構部の構成を説明する。本実施形態における記録装置本体は、各機構部の役割から、概して、給紙部、用紙搬送部、排紙部、キャリッジ部、フラットパス記録部、およびクリーニング部等に分類することができ、これらは外装部に収納されている。
以下、これらの機構部を図面を適宜参照しながら説明する。
図1は、本発明を適用可能なインクジェット記録装置を一方の上部から見た斜視図であり、図2は、同じインクジェット記録装置を他方の上部から見た斜視図である。
図3は、同じインクジェット記録装置を側面から見た図であり、図4は、記録装置における電気的回路の全体構成を概略的に説明するためのブロック図である。
(キャリッジ部)
キャリッジ部は、記録ヘッドH1001を取り付けるためのキャリッジM4000を有しており、キャリッジM4000は、ガイドシャフトM4020およびガイドレールM1011によって支持されている。ガイドシャフトM4020は、シャーシM1010に取り付けられており、記録媒体の搬送方向(矢印Y方向)に対して直角方向である主走査方向(X方向)にキャリッジM4000を往復走査させるように案内支持している。ガイドレールM1011は、シャーシM1010と一体に形成されており、キャリッジM4000の後端を保持して記録ヘッドH1001と、記録が行われる記録媒体との隙間を維持する役割を果たしている。また、ガイドレールM1011のキャリッジM4000との摺動側には、ステンレス等の薄板からなる摺動シートM4030が張設され、記録装置の摺動音発生の低減化を図っている。
キャリッジM4000は、シャーシM1010に取り付けられたキャリッジモータE0001によりタイミングベルトM4041を介して駆動される。また、タイミングベルトM4041は、アイドルプーリM4042によって張設、支持されている。さらに、タイミングベルトM4041は、キャリッジM4000とゴム等からなるキャリッジダンパを介して結合されており、キャリッジモータE0001等の振動を減衰することで、記録される画像のむら等を低減している。
キャリッジM4000の位置を検出するためのエンコーダスケールE0005が、タイミングベルトM4041と平行に設けられている。そのエンコーダスケールE0005上には、150lpi〜300lpiのピッチでマーキングが形成されている。そして、そのマーキングを読み取るためのエンコーダセンサが、キャリッジM4000に搭載されたキャリッジ基板E0013に設けられている。そのキャリッジ基板には、記録ヘッドH1001と電気的な接続を行うためのヘッドコンタクトE0101も設けられている。また、キャリッジM4000には、電気基板E0014から記録ヘッドH1001へ、駆動信号を伝えるためのフレキシブルケーブルE0012が接続されている。
記録ヘッドH1001をキャリッジM4000に固定するための構成として次のものが設けられている。すなわち、記録ヘッドH1001をキャリッジM4000に押し付けながら位置決めするための不図示の突き当て部と、記録ヘッドH1001を所定の位置に固定するための不図示の押圧手段が、キャリッジM4000上に設けられている。押圧手段は、ヘッドセットレバーM4010に搭載され、記録ヘッドH1001をセットする際に、ヘッドセットレバーM4010を、回転支点を中心に回して押圧力が記録ヘッドH1001に作用する構成になっている。
さらに、キャリッジM4000には、CD−R等の特殊メディアへ記録を行う際や、記録結果や用紙端部等の位置検出用として、反射型の光センサからなる位置検出センサM4090が取り付けられている。位置検出センサM4090は、発光素子により発光し、その反射光を受光することで、キャリッジM4000の位置を検出することができる。
上記構成において記録を行う場合、記録媒体は搬送ローラM3060およびピンチローラM3070からなるローラ対によって副走査方向に搬送される。そして、キャリッジモータE0001によってキャリッジM4000を、副走査方向と垂直な方向である主走査方向に移動させて、記録ヘッドH1001を目的の画像形成位置に配置させる。位置決めされた記録ヘッドH1001は、電気基板E0014からの信号に従って、記録媒体に対してインクを吐出して記録を行う。記録ヘッドH1001についての詳細な構成および記録システムは後述する。本実施形態の記録装置においては、記録ヘッドH1001を搭載したキャリッジM4000が走査する記録主走査と、搬送ローラM3060により記録媒体が搬送される副走査とを交互に繰り返す。これにより、記録媒体上に画像を形成する構成となっている。
(クリーニング部)
図5は、本実施形態の記録装置に備えられたクリーニング部を示す斜視図である。また、図6は、記録ヘッドの記録面に、クリーニング動作の一部であるワイピングを行っている様子を示した側面図である。
クリーニング部は記録ヘッドH1001のクリーニングを行うための機構である。このクリーニング部は、ポンプM5000、記録ヘッドH1001の乾燥を抑えるためのキャップM5010、記録ヘッドH1001の吐出口形成面をクリーニングするためのブレードM5020などから構成されている。
本実施形態では、クリーニング部の主な駆動力は、APモータE3005から伝達される。APモータE3005の一方向の回転でポンプM5000を作動させ、その逆方向の回転ではブレードM5020の移動およびキャップM5010の昇降を行う。なお、本実施形態で用いるAPモータE3005は記録媒体の給紙動作の駆動源にも用いられるものであるが、クリーニング部の動作を専用に行うためのモータが設けられていてもよい。
キャップM5010は、APモータE3005によって、不図示の昇降機構を介して昇降動作が可能に構成されている。そして、上昇位置では、記録ヘッドH1001の吐出口が配列された面(以下、単に吐出口面ともいう)にキャッピングを施し、非記録動作時等において吐出面の保護を行ったり、あるいは吸引回復を行うことが可能である。また、記録動作時にはキャップM5010は、記録ヘッド9との干渉を避ける下降位置に設定され、また吐出面との対向する位置で予備吐出を受けることが可能である。例えば記録ヘッドH1001に10個の吐出部が設けられ、5個の吐出部の吐出口面毎に一括してキャッピングを施すことが可能となるよう、図5に示した例ではキャップM5010は2つ設けられている。
ゴム等の弾性部材からなるワイパ部M5020は不図示のワイパホルダに固定されている。ワイパホルダは図6の矢印Y方向(吐出部における吐出口の配列方向)に移動可能である。本例のワイパ部M5020には、全吐出部のフェイス面を含む記録ヘッドH1001の面全体をワイピングするワイパブレードM5020Aが設けられている。また、5つの吐出部のフェイス面毎に、ノズル近傍をするワイピングする2つのワイパブレードM5020B,M5020Cが設けられている。
記録ヘッドH1001がホームポジションに到達したときに、矢印Y方向にワイパホルダが移動することによって、ワイピングが可能である。ワイピング動作が終了すると、キャリッジをワイピング領域の外に退避させてから、各ワイパが吐出口面等と干渉しない位置に戻す。
そして、ワイピング後には、ワイパ部M5020がブレードクリーナM5060に当接することにより、ワイパブレードM5020A〜M5020Cへ付着したインクなども除去することができる構成になっている。
吸引ポンプM5000は、キャップM5010が吐出口面に当接された場合に、その内部に負圧を発生させることが可能である。これにより、インクタンクH1900から吐出部内にインクを充填させたり、吐出口もしくはその内方のインク路に存在する塵埃、固着物、気泡等を吸引除去したりすることができる。
吸引ポンプM5000としては、例えばチューブポンプ形態のものが用いられる。これは、可撓性を有するチューブの少なくとも一部を沿わせて保持する曲面が形成された部材と、これに向けて可撓性チューブを押圧可能なローラと、このローラを支持して回転可能なローラ支持部とを有するものである。すなわち、ローラ支持部を所定方向に回転させることで、ローラは曲面形成部材上で可撓性チューブを押しつぶしながら転動する。これに伴い、キャップM5010が形成する密閉空間に負圧が生じてインクが吐出口より吸引され、キャップM5010からチューブないし吸引ポンプに引き込まれる。そして、引き込まれたインクは不図示の下ケースに設けられた部材(廃インク吸収体)に向けて移送される。
なお、キャップM5010の内側部分には、吸引後の記録ヘッドH1001のフェイス面に残るインクを吸収する吸収体M5011が設けられている。また、キャップM5010が下降し吐出口面を開放した状態で、キャップM5010ないし吸収体M5011に残っているインクを吸引することにより、残インクによる固着およびその後の弊害が起こらないように配慮されている。ここで、インク吸引経路の途中に大気開放弁(不図示)を設け、キャップM5010を吐出口面から離脱させる際に予めこれを開放しておくことで、吐出口面に急激な負圧が作用しないようにしておくことが好ましい。
また、吸引ポンプM5000は、吸引回復だけでなく、キャップM5010が吐出口面に対向した状態で行われる予備吐出動作によってキャップM5010に受容されたインクを排出するためにも作動させることができる。すなわち、予備吐出されてキャップM5010に保持されたインクが所定量に達したときに吸引ポンプM5000を作動させることで、キャップM5010内に保持されていたインクをチューブを介して廃インク吸収体に移送することができる。
以上のワイパ部M5020の動作、キャップM5010の昇降および弁の開閉など、連続して行われる一連の動作は、APモータE3005の出力軸上に設けた不図示のメインカムおよびこれに従動する複数のカム,アーム等によって制御可能である。すなわち、APモータE3005の回転方向に応じたメインカムの回動によって、それぞれの部位のカム部、アーム等が作動することで、所定の動作を行うことが可能である。メインカムの位置はフォトインタラプタ等の位置検出センサで検出することができる。
(電気回路構成)
次に戻り本実施形態における電気的回路の構成を説明する。
図7は、メイン基板E1004の内部構成を示すブロック図であり、図8は、マルチセンサE3000の構成がわかるように示した図である。以下の説明では図4、図7および図8を参照する。
本実施形態で適用する記録装置の電気的回路は、主にキャリッジ基板E0013、メイン基板E0014、電源ユニットE0015およびフロントパネルE0106等によって構成されている。ここで、電源ユニットE0015は、メイン基板E0014と接続され、各種駆動電源を供給するものである。
キャリッジ基板E0013は、キャリッジM4000に搭載されたプリント基板ユニットであり、ヘッドコネクタE0101を通じて記録ヘッドH1001との信号の授受、ヘッド駆動電源の供給を行うインターフェースとして機能する。ヘッド駆動電源の制御に供する部分として、記録ヘッドH1001の各吐出部に対する複数チャネルのヘッド駆動電圧変調回路E3001を有しする。そして、フレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じて、メイン基板E0014から指定された条件に従ってヘッド駆動電源電圧を発生する。また、キャリッジM4000の移動に伴ってエンコーダセンサE0004から出力されるパルス信号に基づいて、エンコーダスケールE0005とエンコーダセンサE0004との位置関係の変化を検出する。更にその出力信号をフレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメイン基板E0014へと出力する。
キャリッジ基板E0013には、図8に示すように、2つの発光素子(LED)E3011および受光素子E3013からなる光学センサE3010、および周囲温度を検出するためのサーミスタE3020が接続されている。以下、これらのセンサをマルチセンサE3000として参照する。マルチセンサE3000により得られる情報は、フレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメイン基板E0014へと出力される。
メイン基板E0014は、本実施形態におけるインクジェット記録装置の各部の駆動制御を司るプリント基板ユニットである。メイン基板E0014は、そのプリント基板上にホストインタフェース(ホストI/F)E0017を有しており、不図示のホストコンピュータからの受信データをもとに記録動作の制御を行う。また、メイン基板E0014は、キャリッジモータE0001、LFモータE0002、APモータE3005、PRモータE3006など、各種モータと接続されて各機能の駆動を制御している。キャリッジモータE0001は、キャリッジM4000を主走査させるための駆動源となるモータである。LFモータE0002は、記録媒体を搬送するための駆動源となるモータである。APモータE3005は、記録ヘッドH1001の回復動作および記録媒体の給紙動作の駆動源となるモータである。PRモータE3006は、フラットパス記録動作の駆動源となるモータである。さらに、メイン基板E0014は、PEセンサ、CRリフトセンサ、LFエンコーダセンサ、PGセンサのような、プリンタ各部の動作状態を検出する様々なセンサに対して、制御信号および検出信号の送受信を行うためのセンサ信号E0104に接続される。また、メイン基板E0014は、CRFFC E0012および電源ユニットE0015にそれぞれ接続されるとともに、さらにパネル信号E0107を介してフロントパネルE0106と情報の授受を行うためのインターフェースを有している。
フロントパネルE0106は、ユーザが操作する際の利便性のために、記録装置本体の正面に設けたユニットである。これは、リジュームキーE0019、LED E0020、電源キーE0018およびフラットパスキーE3004を有するほか、さらにデジタルカメラ等の周辺デバイスとの接続に用いるデバイスI/F E0100を有している。
図7において、E1102はASICである。これは、制御バスE1014を通じてROM E1004に接続され、ROM E1004に格納されたプログラムに従って、各種制御を行っている。例えば、各種センサに関連するセンサ信号E0104や、マルチセンサE3000に関連するマルチセンサ信号E4003の送受信を行う。そのほか、エンコーダ信号E1020、フロントパネルE0106上の電源キーE0018、リジュームキーE0019およびフラットパスキーE3004からの出力の状態を検出している。また、ASIC E1102は、ホストI/F E0017、フロントパネル上のデバイスI/F E0100の接続およびデータ入力状態に応じて、各種論理演算や条件判断等を行い、各構成要素を制御し、インクジェット記録装置の駆動制御を司っている。
E1103はドライバ・リセット回路である。これは、ASIC E1102からのモータ制御信号E1106に従って、CRモータ駆動信号E1037、LFモータ駆動信号E1035、APモータ駆動信号E4001およびPRモータ駆動信号E4002を生成し、各モータを駆動する。さらに、ドライバ・リセット回路E1103は、電源回路を有しており、メイン基板E0014、キャリッジ基板E0013、フロントパネルE0106など各部に必要な電源を供給する。さらには電源電圧の低下を検出して、リセット信号E1015を発生および初期化を行う。
E1010は電源制御回路であり、ASIC E1102からの電源制御信号E1024に従って発光素子を有する各センサ等への電源供給を制御する。
ホストI/F E0017は、ASIC E1102からのホストI/F信号E1028を、外部に接続されるホストI/FケーブルE1029に伝達し、またこのケーブルE1029からの信号をASIC E1102に伝達する。
一方、電源ユニットE0015からは電力が供給される。供給された電力は、メイン基板E0014内外の各部へ、必要に応じて電圧変換された上で供給される。また、ASIC E1102からの電源ユニット制御信号E4000が電源ユニットE0015に接続され、記録装置本体の低消費電力モード等を制御する。
ASIC E1102は1チップの演算処理装置内蔵半導体集積回路であり、前述したモータ制御信号E1106、電源制御信号E1024および電源ユニット制御信号E4000等を出力する。そして、ホストI/F E0017との信号の授受を行うとともに、パネル信号E0107を通じて、フロントパネル上のデバイスI/F E0100との信号の授受を行う。さらに、センサ信号E0104を通じてPEセンサ、ASFセンサ等各部センサ類により状態を検知する。さらに、マルチセンサ信号E4003を通じてマルチセンサE3000を制御するとともに状態を検知する。またパネル信号E0107の状態を検知して、パネル信号E0107の駆動を制御してフロントパネル上のLED E0020の点滅を行う。
さらにASIC E1102は、エンコーダ信号(ENC)E1020の状態を検知してタイミング信号を生成し、ヘッド制御信号E1021で記録ヘッドH1001とのインターフェースをとり記録動作を制御する。ここにおいて、エンコーダ信号(ENC)E1020はCRFFC E0012を通じて入力されるエンコーダセンサE0004の出力信号である。また、ヘッド制御信号E1021は、フレキシブルフラットケーブルE0012を通じてキャリッジ基板E0013に接続される。そして、前述のヘッド駆動電圧変調回路E3001およびヘッドコネクタE0101を経て記録ヘッドH1001に供給されるとともに、記録ヘッドH1001からの各種情報をASIC E1102に伝達する。このうち吐出部毎のヘッド温度情報については、メイン基板上のヘッド温度検出回路E3002で信号増幅された後、ASIC E1102に入力され、各種制御判断に用いられる。
図中、E3007はDRAMであり、記録用のデータバッファ、ホストコンピュータからの受信データバッファ等として、また各種制御動作に必要なワーク領域としても使用されている。
(記録ヘッド構成)
以下に本実施形態で適用するヘッドカートリッジH1000の構成について説明する。
本実施形態におけるヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001に、インクタンクH1900を搭載しインクタンクH1900から記録ヘッドにインクを供給するための手段を有している。そして、キャリッジM4000に対して着脱可能に搭載される。
図9は、本実施形態で適用するヘッドカートリッジH1000に対し、インクタンクH1900を装着する様子を示した図である。本実施形態の記録装置は、10色の顔料インクによって画像を形成する。10色とはシアン(C)、ライトシアン(Lc)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(Lm)、イエロー(Y)、第1ブラック(K1)、第2ブラック(K2)、レッド(R)、グリーン(G)およびグレー(Gray)である。従ってインクタンクもこれら10色分のものが独立に用意されている。そして、図に示すように、インクタンクそれぞれがヘッドカートリッジH1000に対して着脱自在となっている。なお、インクタンクH1900の着脱は、キャリッジM4000にヘッドカートリッジH1000が搭載された状態で行えるようになっている。
2.特徴的構成
本発明の特徴的な構成について説明する。
本実施形態のインクジェット記録装置では、記録装置が算出するインクの消費量と実際に消費されるインク量の誤差を少なくするために、記録ヘッドからの吐出量やヘッド回復時の吸引量に対してそれぞれにランクを設けている。このランクを選択的に用いてインク消費量を算出する。以下で、「吐出量ランク(吐出量ランク情報)」とは、記録ヘッドの個体差によるインク吐出量の多寡をランク付けしたものであって、記録ヘッドに固有の吐出量に対応した情報である。例えば、吐出量ランクは、M(Mは2以上の整数)段階の吐出量に対応してMランク設けられている。従って、記録ヘッドの吐出量ランクを参照すれば、その記録ヘッドの1回の吐出動作で吐出されるインク量を把握することができ、これにより吐出量バラツキによる誤差を低減できる。同様に、「吸引量ランク(吸引量ランク情報)」とは、記録装置の個体差によるインク吸引量の多寡をランク付けしたものであって、記録装置に固有の吸引量に対応した情報である。例えば、吸引量ランクは、N(Nは2以上の整数)段階の吸引量に対応してNランク設けられている。従って、記録装置の吸引ランクを参照すれば、その記録装置の1回の吸引動作で吸引されるインク量を把握することができ、これにより吸引量バラツキによる誤差を低減できる。
以下にその方法について説明する。
図11は、1回の吸引処理で消費されると想定されている量(以下、単に吸引量OFAともいう)を、装置によって定まるランク毎に示し、さらに、その関係を吸引モード毎に示す図である。
ここで吸引Aは、吸引時間が短く吸引回数も少ない最も吸引量が少ない吸引モードであり、吸引B、吸引Cと順に時間や吸引回数が増えて吸引量は多くなり、吸引Dは最も吸引量が多い吸引モードを示している。このテーブルは、記録装置のROM E1004に収められており、インク消費量の算出時に選択的に用いられる。
記録装置に電源が投入されると、DRAM E3007から予め製造時に設定された吸引量のランクを取得する。そして取得したランクに基づいて吸引量OFAをROM E1004から読み取る。そして記録が開始され吸引が行われると、吸引モードに応じた吸引量OFAを吸引動作によるインク消費量として認識する。 例えば、ある記録装置においては、吸引量ランクが「3」と設定されていた場合、吸引モードDが行われたとすると、指定されたインク量は、1.32gとなるので、1.32g分をインク消費量として計算する。
そして、このように算出した1回の吸引動作によるインク消費量を、記録装置がこれまでに消費した累積消費量に加算し、累積消費量を更新する。こうして更新された累積消費量はDRAM E3007に書き込まれ、現時点でのインク消費量が記録装置で管理される。こうして得られた現時点でのインク消費量に基づいてインクタンク内のインク残量を推定し、推定したインク残量が“0”あるいは“所定量以下”と判断されたら、ユーザにインクタンク交換を促すための通知を行う。以上のように吸引量ランクを採用することで、吸引量バラツキによる誤差を軽減することができる。なお、累積消費量は、上述したような吸引量ランクに基づいて算出される吸引動作に伴うインク消費量を累積的に加算した値と、吐出動作に伴うインク消費量を累積的に加算した値との総和になっている。
このように、吸引量OFAを算出に用いることによって、記録装置毎に吸引動作におけるインク消費量が異なっても、例えば必要以上に多いインクが消費されたと認識することがなく、実際に消費されるインク量により近い正確なインク消費量を算出することができる。そのため、記録装置の認識するインク消費量と実際に消費されるインクの量の差が少なくなる。したがって、実際にはインクが十分残っているにもかかわらず、インク残量が“0”あるいは所定量以下となったと判断される可能性が減り、無駄にインクが廃棄されることなく、ランニングコストを低減することができる。
なお、本実施形態ではランクを3ランクに分けたが、これに限定するものではなく、さらに多くのランクに分けてもよい。
図18(A)は、分けたランク数別のインクタンク内のインク残量を表わした図である。参考としてランクを用いなかった場合と、3ランク(1ランク10%ずつ吸引量が変化する)に分けた場合と、9ランク(1ランク2%ずつ吸引量が変化する)に分けた場合の、インクタンク内のインク残量を比較した。図18(A)からわかるように、ランク数を多くした方がよりインク残量の誤差を少なくすることができる。このため、ランク数を増やしたテーブルを用いることが好ましい。
また、本実施形態では、製造時に設定された吸引量のランクを取得することを示したが、これに限定するものではなく、ユーザが吸引量を測定できる手段を設けて、その測定結果からユーザがランクを設定してもよい。
(第2の実施形態)
本実施形態は、1回のインク吐出量についてランクを定めたことを特徴とし、他の構成は第1の実施形態と同様である。以下に本発明の第2の実施形態を説明する。
図12は、本実施形態で用いる、1回の吐出で消費されると想定されている量(以下単に吐出量OFBともいう)とランクとの関係をテーブルとして表わした図である。本実施形態では、吐出量ランクを1から9までの9ランクに分けている。このテーブルは、記録装置のROM E1004に収められている。
記録装置に電源が投入されると、記録ヘッドH1001に設けられた基板メモリ(不図示)から、予め製造時に設定された吐出量ランクを取得し、インク消費量の算出時にはそのランクにしたがって、このテーブル内の吐出量OFBが選択的に用いられる。具体的には、記録が開始され吐出動作が行われると、吐出動作で消費されたインク量の算出が所定のタイミングにおいて行われる。なお、所定のタイミングとしては、1枚の記録が終了する毎、あるいは1つのジョブの記録が終了する毎が好適である。そして、吐出動作で消費されたインク量の算出する工程では、取得したランクに対応する吐出量OFBとドットカウント数DCとを掛け合わせた値をインク消費量として算出する。
例えば、ある記録ヘッドに、ランク「4」と記憶されていた場合は、このヘッドにおいては、1回の吐出の消費量を3.5ngと設定し、これをドットカウント数と掛け合わせ、消費インク量として加算(もしくはインク残量として減算)していく。つまり、ドットカウント数が10000の場合は、10000×3.5=35000ngとして、消費量を算出する。
そして、このように算出した吐出動作によるインク消費量を、記録装置がこれまでに消費した累積消費量に加算し、累積消費量を更新する。こうして更新された累積消費量はDRAM E3007に書き込まれ、現時点でのインク消費量が記録装置で管理される。こうして得られた現時点でのインク消費量に基づいてインクタンク内のインク残量を推定し、推定したインク残量が“0”あるいは“所定量以下”と判断されたら、ユーザにインクタンク交換を促すための通知を行う。以上のように吐出量ランクを採用することで、吐出量バラツキによる誤差も軽減することができる。なお、累積消費量は、吸引動作に伴うインク消費量を累積的に加算した値と、吐出量ランクに基づいて算出される吐出動作に伴うインク消費量を累積的に加算した値との総和になっている。
このように、吐出量OFを算出に用いることによって、記録装置毎に吐出動作におけるインク消費量が異なっても、例えば必要以上に多くインクが消費されたと認識することがなく、実際に消費されるインク量により近い正確なインク消費量を算出することができる。そのため、記録装置の認識するインク消費量と実際に消費されるインクの量の差が少なくなる。
図18(B)は、分けたランク別のインクタンク内のインク残量を表わした図である。参考としてランクを用いなかった場合と、3ランク(1ランク0.5ngずつ吐出量が変化する)に分けた場合と、9ランク(1ランク0.1ngずつ吐出量が変化する)に分けた場合の、インクタンク内のインク残量を比較した。図18(B)からわかるように、ランク数を多くした方がよりインク残量を少なくすることができるためランク数を増やしたテーブルを用いることが好ましい。
また、本実施形態では、製造時に設定された吐出量のランクを取得することを示したが、これに限定するものではなく、ユーザが吐出量を測定できる手段を設けて、その測定結果からユーザがランクを設定してもよい。
(第3の実施形態)
本実施形態は、補正を行う対象がインク吸引量とインク吐出量の両方であることを特徴とし、他の構成は第1および第2の実施形態と同様である。以下に本発明の第3の実施形態を説明する。
本実施形態の記録装置は、図11および図12に示した各テーブルが記録装置のROM E1004に収められている。
記録装置に電源が投入されると、DRAM E3007から予め製造時に設定された吸引量のランクと、記録ヘッドH1001に設けられた基板メモリ(不図示)から、予め製造時に設定された吐出量のランクを取得する。そして、インク消費量の算出時には取得した各ランクにしたがって、このテーブル内から吸引量OFA、吐出量OFBが選択的に用いられる。
そして記録が開始され吸引および吐出が行われると、吸引量ランクに対応した吸引量OFAを、吸引動作に伴うインク消費量として算出する。また吐出量ランクに対応する吐出量OFBとドットカウント数DCとを掛け合わせた値を、吐出動作に伴うインク消費量として算出する。
そして、このように算出した吐出動作によるインク消費量および吸引動作によるインク消費量を、記録装置がこれまでに消費した累積消費量に加算し、累積消費量を更新する。こうして更新された累積消費量はDRAM E3007に書き込まれ、現時点でのインク消費量が記録装置で管理される。こうして得られた現時点でのインク消費量に基づいてインクタンク内のインク残量を推定し、推定したインク残量が“0”あるいは“所定量以下”と判断されたら、ユーザにインクタンク交換を促すための通知を行う。以上のように吸引量ランクと吐出量ランクを併用することで、吸引量バラツキと吐出量バラツキによる誤差を軽減することができる。なお、累積消費量は、吸引量ランクに基づいて算出される吸引動作に伴うインク消費量を累積的に加算した値と、吐出量ランクに基づいて算出される吐出動作に伴うインク消費量を累積的に加算した値との総和になっている。
図13は、従来の記録装置、第1および第2の実施形態の記録装置、本実施形態の記録装置において、記録装置が認識するインク残量が“0”になった時のインクタンク内のインク残存量を比較した図である。この図には参考として、吸引量および吐出量のバラツキが起因するインクタンク内のインク残量が“0”の場合であり、インク注入量のバラツキに起因するインクのみがインクタンク内に残った場合のインク量を理想的な値として記載してある。なお、図13において、「現状」と記載されているのが従来の記録装置に該当し、「吸引量のみ」と記載されているのが第1の実施形態の記録装置に該当する。また、「吐出量のみ」と記載されているのが第2の実施形態の記録装置に該当し、「吸引量+吐出量のみ」と記載されているのが本実施形態の記録装置に該当する。図13からもわかるように、本実施形態の記録装置(吐出量+吸引量)で記録を行った場合のインクタンク内のインク残量が最も少ない。したがって本実施形態の記録装置を用いて記録を行うことで、よりいっそう無駄にインクが廃棄されることなく、記録装置のランニングコストを低減することができる。
なお、本実施形態では、製造時に設定された吸引量および吐出量のランクを取得することを示したが、これに限定するものではなく、ユーザが吸引量や吐出量を測定できる手段を設けて、その測定結果からユーザが各ランクを設定してもよい。
(第4の実施形態)
第4の実施形態について説明をする。
一般に記録ヘッドの温度変化や環境温度の変化によって、インクの状態が変化するため、それに伴い吐出量や吸引量は増減する。このため、記録装置がより正確にインク消費量を認識するには、この温度変化に伴って増減する分の吐出量や吸引量を補正する事が望ましい。そこで、本実施形態の記録装置は、記録ヘッドの温度および環境温度を検出するために、ヘッド温度センサおよび環境温度センサを有している。そして、記録ヘッドの温度や環境温度に基づいて吐出量や吸引量を補正している。他の構成については第3の実施形態と同様である。
図14は、本実施形態の記録装置で吐出量を補正するにあたって、ランクを選定する方法を示したフローチャートである。また、図15は本実施形態の記録装置で吸引量を補正するにあたって、ランクを選定する方法を示したフローチャートである。
また、図16は、吐出量の補正で用いる記録ヘッド温度に関する補正テーブルであり、図17は、吸引量の補正で用いる環境温度に関する補正テーブルである。
先ず、図14のフローチャートについて説明する。
ステップA1において、印字ジョブ終了後に、記録ヘッド温検出センサにより記録ヘッド温度THeadを測定する。次に、ステップA2に進み、その記録ヘッド温度THeadと予め用意した閾値Th1と閾値Th2との大小関係を判定する。ここでは、一例として、閾値Th1を10℃、閾値Th2を20℃としている。記録ヘッド温度THead<閾値Th1の場合は、ステップA3に進み、閾値Th1<記録ヘッド温度THead<閾値Th2の場合は、ステップA4に進み、記録ヘッド温度THead>閾値Th2の場合は、ステップA5に進む。
各ステップA3、A4、A5において、補正値テーブルの一例として挙げた図16の補正値テーブルに従い、ステップA3で吐出量ランクの補正値として補正値K=−4を取得し、ステップA4で補正値K=0を取得し、ステップA5で補正値K=4を取得する。次に、ステップA6に進み、第3の実施形態の記録装置における吐出量のランク取得方法と同様の手段で取得したランクRと補正値Kを足し合わせて、新吐出量ランクRaを求める。
次に、ステップA7で、この新吐出量ランクRaが、図12に示す、吐出量ランクの最大ランクであるRMax(図12ではRMax=9)よりも大きいかどうかを判定する。Ra>RMaxである場合は、ステップA8に進み、吐出量ランクの最大ランクRMaxを吐出量ランクとして設定する。
ステップA7でRa<RMaxである場合は、ステップA9に進む。ステップA9では新吐出量ランクRaが、図12に示す吐出量ランクの最小ランクであるRMin(図12ではRMin=1)よりも小さいかどうかを判定し、小さい場合はステップA10に進み、吐出量ランクの最小ランクRMinを吐出量ランクとして設定する。また、新吐出量ランクRaが最小ランクRMinよりも大きい場合は、ステップA11に進み、新吐出量ランクRaをそのまま設定する。このようにして求めた吐出量ランクに基づいて、吐出量を選択し、インクタンク内のインク消費量の計算を行う。
つまり、取得した吐出量ランクRが「ランク6」とし、ヘッド温度が、25℃である場合は、記録ヘッド温度THead>閾値Th2であり(∵Th2=20℃)ランク補正値は、「+4」となり、新吐出量ランクRa=ランクR+4=6+4=10となる。しかし、吐出量ランクの最大ランクは、図12より、RMax=9であり、Ra>RMaxなので、新吐出量ランクRa=9と設定され、吐出量は、図12の吐出量ランクの表より、4ngとして計算される。
図15のフローチャートにしたがって吸引量の補正について説明する。
ステップB1において、吸引終了後に、記録装置の基板に設けられている環境温検出センサにより環境温度Teを測定する。次に、ステップB2に進み、その測定した環境温度Teが、予め用意した閾値Teh1とTeh2との大小関係を判定する。ここでは一例として、Teh1を10℃、Teh2を20℃としている。Te<Teh1の場合は、ステップB3に進み、Teh1<Te<Teh2の場合は、ステップB4に進み、Te>Teh2の場合は、ステップB5に進む。
各ステップB3、B4、B5において、補正値テーブルの一例として挙げた図17の補正値テーブルに従って、ステップB3では吸引量ランクの補正値L=−1を取得し、ステップB4では補正値L=0を取得し、ステップB5では補正値L=1を取得する。次に、ステップB6に進み、第3の実施形態の記録装置における吐出量のランク取得方法と同様の手段で取得したランクRcと補正値Lとを足し合わせて、新吸引量ランクRbを求める。
次に、ステップB7で、この新吸引量ランクRbが、図11に示す、吸引量ランクの最大ランクRMax(図11ではRMax=3)よりも大きいかどうかを判定し、Rb>RMax大きい場合は、ステップB8に進む。そして、吐出量ランクの最大ランクRMaxを吐出量ランクとして設定する。
ステップB7で、Rb<RMaxで有る場合は、ステップB9に進む。ステップB9では新吸引量ランクRbが、図11に示す吐出量ランクの最小ランクであるRMin(図11ではRMin=1)よりも小さいかどうかを判定し、小さい場合はステップB10に進み、吐出量ランクの最小ランクRMinを吐出量ランクとして設定する。また、新吸引量ランクRbが最小ランクRMinよりも大きい場合は、ステップB11に進み、新吐出量ランクRbをそのまま設定する。このようにして求めた吸引量ランクに基づいて、吸引量を選択し、インクタンク内のインク消費量の計算を行う。
つまり、取得した吐出量ランクRが「ランク1」とし、環境温度が9℃である場合は、環境温度Te<閾値Teh1であり(∵Teh1=10℃)ランク補正値は、「−1」となり、新吸引量ランクRb=ランクR+(−1)=1−1=0となる。したがって、Rb<RMinなので、新吸引量ランクRb=1と設定される。よって吸引量の補正値は、吸引モードAが行われた場合、図11の吸引量ランクの表より0.45gとなり、この補正値を用いてインクタンクのインク消費量が計算される。
したがって、本発明のインクジェット記録装置によれば、記録ヘッド温度や環境温度を取得し、吐出および吸引により消費されるインクの量を記録装置が正確に認識する。これによって、無駄にインクが廃棄されることなく、記録装置のランニングコストを低減することができる。
なお、本実施形態では補正値Kとして、THead<Th1の場合はK=−4、Th1<THead<Th2の場合はK=0、THead>Th2の場合はK=4としたが、これに限定するものではなく適宜他の値に変更してもよい。また補正値Lとして、Te<Teh1の場合はL=−1、Teh1<Te<Teh2の場合はL=0、Te>Teh2の場合はL=1としたが、これに限定するものではなく適宜他の値に変更してもよい。
また、図11および図12に示した補正値もこれに限定するものではなく、適宜他の値に変更してもよい。
本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の斜視図である。 本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の斜視図である。 本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の側断面図である。 本発明の実施形態で用いられる記録装置本体におけるクリーニング部を示す斜視図である。 図4のクリーニング部におけるワイパ部を説明するための断面図である。 本発明の実施形態における電気的回路の構成を概略的に示すブロック図である。 図6におけるメイン基板の内部構成を示すブロック図である。 図6におけるマルチセンサの構成を示す図である。 ヘッドカートリッジにインクタンクを装着する状態示した斜視図である。 記録装置が、残量0を示した時に残存するインクの内訳示すグラフである。 第1の実施形態で用いられる吸引量ランクと吸引量の関係を示す表である。 第2の実施形態で用いられる吐出量ランクと吐出量の関係を示す表である。 本件を実施した場合のインク残量示すグラフである 第3の実施形態を説明するフローチャートである。 第3の実施形態を説明するフローチャートである。 第3の実施形態で用いられる、ヘッド温度と吐出量の補正値の関係の一例を示す補正テーブルである。 第3の実施形態で用いられる、環境温度と吸引量の補正値の関係の一例を示す補正テーブルである。 記録時の設定されるランク数によるインク残量違いを示すグラフである。
符号の説明
M4000 キャリッジ
M5000 ポンプ
E0001 キャリッジモータ
E0002 LFモータ
E0013 キャリッジ基板
E0014 メイン基板
E0101 ヘッドコネクタ
E1004 ROM
E1021 ヘッド制御信号
E1102 ASIC
E3007 RAM
E4000 電源ユニット制御信号
H1000 ヘッドカートリッジ
H1001 記録ヘッド
H1900 インクタンク

Claims (3)

  1. インクを吐出して記録を行う記録ヘッドからインクを吸引する吸引手段と、前記記録ヘッドの温度を測定する記録ヘッド温度測定手段と、環境温度を測定する環境温度測定手段と、を備えるインクジェット記録装置において、
    前記記録ヘッドの製造時に設定された吐出量のランク情報と前記記録ヘッド温度測定手段により測定された記録ヘッド温度に基づいてインク吐出量を算出する吐出量算出手段と、
    前記インクジェット記録装置の製造時に設定された吸引量のランク情報と前記環境温度測定手段により測定された環境温度に基づいて前記吸引手段によるインク吸引量を算出する吸引量算出手段と、
    前記吐出量算出手段により算出されたインク吐出量と前記吸引量算出手段により算出されたインク吸引量に基づいてインク消費量を算出する消費量算出手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記吐出量のランク情報は、前記記録ヘッドに設けられたメモリに記憶されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. インクを吐出して記録を行う記録ヘッドからインクを吸引する吸引手段と、前記記録ヘッドの温度を測定する記録ヘッド温度測定手段と、環境温度を測定する環境温度測定手段と、を備えるインクジェット記録装置におけるインク消費量算出方法において
    前記記録ヘッドの製造時に設定された吐出量のランク情報と前記記録ヘッド温度測定手段により測定された記録ヘッド温度に基づいてインク吐出量を算出する吐出量算出工程と、
    前記インクジェット記録装置の製造時に設定された吸引量のランク情報と前記環境温度測定手段により測定された環境温度に基づいて前記吸引手段によるインク吸引量を算出する吸引量算出工程と、
    前記吐出量算出工程により算出されたインク吐出量と前記吸引量算出工程により算出されたインク吸引量に基づいてインク消費量を算出する消費量算出工程と、を備えることを特徴とするインク消費量算出方法。
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