JP4859153B2 - 新規神経系細胞分化促進剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インターロイキン−6レセプター(以下、IL−6Rと記載する)とインターロイキン−6(以下、IL−6と記載する)の融合蛋白質(以下IL−6R・IL−6融合蛋白質と略す)を主成分として含む、神経前駆細胞の神経系細胞への分化促進剤に関するものである。また本発明は、IL−6R・IL−6融合蛋白質を有効成分として含む神経前駆細胞の神経系細胞への分化促進剤を投与することからなる神経系細胞分化促進に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
gp130蛋白質は細胞膜上に発現した分子量13万の糖蛋白質で、標的細胞により多様なシグナルを伝える分子であることが知られている。この事実を利用して、例えば、gp130蛋白質を刺激することによりニューロンから神経突起が伸長する方法が報告されている(特開平9−87198号公報参照)。
【0003】
最近、マウス胎児から調製した神経前駆細胞を、IL−6Rの細胞外領域とIL−6の共存下、あるいはCNTF(ciliary neurotrophic factor)の共存下におき、gp130蛋白質を刺激しながら培養すると、アストロサイト(神経系細胞)に分化することが報告された(Bonniら、Science、278巻、477頁、1997年)。この報告は、gp130蛋白質を刺激することにより神経前駆細胞を神経系細胞に分化させることを示すものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、IL−6RとIL−6を共存させてgp130蛋白質を刺激することで神経前駆細胞を神経系細胞に分化させることは明らかとなっているが、しかし、その分化促進効果は充分とはいえず、gp130蛋白質を刺激することによる神経系細胞分化促進剤を提供するにはなおいっそうの分化促進効果を達成する必要があった。
【0005】
従って本願発明の目的は、gp130蛋白質を刺激することにより、神経前駆細胞をアストロサイト等の神経系細胞に分化させる分化促進剤であって、IL−6RとIL−6を共存させた場合に比較してより強力な分化促進効果を奏する分化促進剤を提供することにある。また本願発明の他の目的は、かかる強力な分化促進剤を用いて神経前駆細胞を神経系細胞に分化させる分化促進方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために成された本願請求項1の発明は、IL−6RとIL−6の融合蛋白質を有効成分として含む、神経前駆細胞の神経系細胞への分化促進剤である。また前記他の目的を達成するために成された本願請求項2の発明は、IL−6RとIL−6の融合蛋白質を有効成分として含む神経系細胞分化促進剤を投与する、神経前駆細胞の神経系細胞への分化促進方法である。以下、本願発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明で用いるIL−6R・IL−6融合蛋白質としては、例えば、IL−6RとIL−6がジスルフィド結合により結合されたものを例示することができる。また例えば、後述する遺伝子工学的手法により製造される、そのN末端側にIL−6Rが位置し、C末端側にIL−6が位置する融合蛋白質であり、両蛋白質の間が、例えば任意アミノ酸配列のリンカーやαヘリックス型構造を取るアミノ酸配列のリンカーを介して結合されたものを例示できる。リンカー配列を有しておらず、両蛋白質が直接結合された融合蛋白質は、前記リンカー配列に起因する抗原性を持たないため、本願の分化促進剤を人体等に投与する場合等を考えると好ましい。
【0008】
IL−6Rは、全長468アミノ酸残基で構成される膜蛋白質で、シグナル領域、細胞外領域、膜貫通領域及び細胞内領域から成り(Yamasakiら、Science、241、825頁、1988年参照)、IL−6と結合すると更に細胞膜上のgp130蛋白質と結合して細胞内にシグナルを伝える。IL−6との結合及びgp130蛋白質との結合にはその細胞外領域のみが必要であり、膜貫通領域や細胞内領域を欠失した可溶性IL−6Rであっても、IL−6と結合後、更にgp130蛋白質と結合してシグナルを伝達することができる(登録特許第2865300号公報参照)。ヒトIL−6Rの場合、シグナル領域はN末端1番目のメチオニン残基付近から19番目のアラニン残基付近まで、細胞外領域は20番目のロイシン残基付近から358番目のアスパラギン酸残基付近まで、膜貫通領域は359番目のセリン残基付近から386番目のロイシン残基付近まで、細胞内領域は387番目のアルギニン残基付近から468番目のアルギニン残基付近までと考えられている。細胞外領域はイムノグロブリン様領域とサイトカインレセプター領域に分けられ、イムノグロブリン様領域は20番目のロイシン残基付近から111番目のアスパラギン酸残基付近まで、サイトカインレセプター領域は112番目のバリン残基付近から323番目のアラニン残基付近までと考えられている。また、IL−6との結合に必須なのはサイトカインレセプター領域であり、イムノグロブリン様領域は不要であることが知られている。なおサイトカインレセプター領域は、7つのβシートから構成されるバレル(樽)様の構造体が短い2個つながった構造体である(Yawataら、EMBO J.、12、1705頁、1993年参照)。
【0009】
上記の観点から、本発明で用いるIL−6R・IL−6融合蛋白質を構成するIL−6Rとしては、全長のIL−6Rはもちろんのこと、その細胞外領域全体又はサイトカインレセプター領域のいずれか、即ち部分的IL−6Rを用いることもできる。IL−6と結合してそのシグナル伝達系を構成するのはサイトカインレセプター領域であり、細胞外領域は該領域を含む領域だからである。本発明者らの知見によれば、例えば、具体的にそのN末端として、N末端20番目のロイシン残基、N末端112番目のバリン残基、及びN末端116番目のグルタミン酸残基が例示できる。また本発明者らの知見によれば、例えば、具体的にIL−6RのC末端として、N末端323番目のアラニン残基から361番目のセリン残基までの39個のアミノ酸残基のうちのいずれか一つ、特に好ましくは323番目のアラニン残基、333番目のアラニン残基、334番目のロイシン残基、335番目のトレオニン残基、338番目のリジン残基又は343番目のイソロイシン残基の6個のアミノ酸残基のいずれか一つを用いることが例示できる。即ち、前記N末端として例示したアミノ酸残基から前記C末端として例示したアミノ酸残基までのアミノ酸配列を、IL−6R・IL−6融合蛋白質におけるIL−6R部分として使用し、そのC末端側にIL−6のN末端を結合させるのである。なおIL−6RのN末端は、融合蛋白質のシグナル伝達における作用効果を勘案して適宜削除することができる。
【0010】
IL−6R・IL−6融合蛋白質を構成するIL−6は、4つのαヘリックスから構成される全長212アミノ酸残基の分泌型蛋白質であり(Hiranoら、Nature,324,731巻、1986年参照)、IL−6が活性を示すためには、これら4つのαヘリックス全てが必要であることが知られている。従って本発明で使用するIL−6としては、4つのαヘリックスすべてを有するものであれば、特に制限はない。即ち、全長のIL−6はもちろんのこと、例えばN末端やC末端の一部アミノ酸残基が削除された部分的IL−6であってもよい。例えば、具体的に分泌型IL−6の構造として知られているN末端28番目のアラニン残基又は29番目のプロリン残基から212番目のメチオニン残基までのIL−6を例示することができる。またその他にも、IL−6の発現例(例えばYasukawaら、Biotech.Lett.、12,419頁、1990年)やIL−6R・IL−6融合蛋白質の発現例(Fisherら、Nature Biotech.、15,142頁、1997年)を参照して部分的IL−6としていかなる配列のものを使用するか決定することができる。
【0011】
前述した、リンカーを介して又はリンカーを介することなく結合された一本鎖のIL−6R・IL−6融合蛋白質は、これをコードする遺伝子を用いて遺伝子組換え操作を行うことにより容易に作製することができる。IL−6R又はIL−6をコードする遺伝子は既に単離されており、その塩基配列もよく知られている。従って、本発明の融合蛋白質を作製する際には、融合蛋白質を構成するIL−6RとIL−6のアミノ酸配列から必要な遺伝子配列を調製し、これを制限酵素を用いて結合させておけば良い。またここで、天然の遺伝子配列を用いる以外にコドンの縮合を勘案し、任意のコドンを同一のアミノ酸残基をコードするが塩基配列の異なるものに置換するなどしても良い。遺伝子組換えにより宿主に蛋白質を発現させる場合、特定のコドンを使うと発現率や翻訳率が向上することがあるからである。
【0012】
本発明の融合蛋白質を遺伝子組換えで作製する場合に使用する宿主に特別の制限はなく、従来の報告を参考にしつつ、通常の遺伝子組換え操作で使用されている大腸菌やCHO細胞等に代表される動物細胞を使用することができる(Yasukawaら、J.Biotech.、108,673頁、1990年参照)。中でも、本実施例に示したピキア・パストリス種の酵母(Pichia pastoris)は、メタノールを唯一の炭素源として生育できる酵母で、CHO細胞等のような動物細胞と比較して安価に培養できることから特に好ましい宿主として例示できる。
【0013】
前述した、本発明の融合蛋白質を遺伝子組換えで作製するための遺伝子は、宿主に導入する(形質転換する)際には、発現ベクターの中に組み込んで使用する。発現ベクターは当該遺伝子の他に、発現制御遺伝子や形質転換された宿主の選択のための指標となる遺伝子等を組み込むが、かかる遺伝子は使用する宿主との関係で適宜選択して使用すれば良い。例えばピキア・パストリス種の酵母を宿主として使用するのであれば、その染色体DNA中にIL−6R・IL−6融合蛋白質をコードする遺伝子を導入するためのアルコールオキシダーゼ遺伝子の上流配列と下流配列、選択の指標となるヒスチジン合成遺伝子そして発現制御のためのアルコールオキシダーゼ遺伝子のプロモーター配列等が、大腸菌を宿主として使用するのであれば選択の指標となるアンピシリン耐性遺伝子や発現制御のためのLacプロモーター/オペレーター配列等が例示できる。なお、市販の発現ベクター(例えばpPIC9、ピキア・パストリス種の酵母用の発現ベクター、インビトロジェン社製)に本発明の遺伝子を導入して使用することもできる。
【0014】
本発明において、好ましくピキア・パストリス種の酵母をIL−6R・IL−6融合蛋白質をコードする遺伝子を含有する発現ベクターで形質転換して融合蛋白質を作製する場合は、発現ベクター中に、融合蛋白質のシグナルペプチドとしてIL−6R本来のシグナルペプチドやα因子のシグナルぺプチドを組み込むことが好ましく、特に高発現を実現できることからα因子のシグナルぺプチドを用いることが好ましい。
【0015】
前述の形質転換された宿主を適当な条件下で培養し、発現ベクター中の発現制御遺伝子との関係で必要に応じて融合蛋白質の発現を誘導すれば融合蛋白質を作製することができる。本発明において、好ましくピキア・パストリス種の酵母を宿主とする場合は、ジャーファーメンターを用いる方法が例示できる。より具体的には、100mLの培地が仕込まれた500mL容量の振とうフラスコに、あらかじめ作製しておいたIL−6R・IL−6融合蛋白質を発現するピキア・パストリス種の酵母の20%グリセロール凍結菌株を接種し、28〜30℃で20時間振とう培養する。次に6〜9Lの培地が仕込まれた16L容量のジャーファーメンターに上記培養液100mLを接種し、28〜30℃にて通気撹拌培養を開始する。培養中の酵母の状態をモニタリングするために、OD600、pH、溶存酸素濃度、撹拌速度、温度をモニタリングしてかつ制御することが好ましい。培地は天然物由来の炭素源を含むものであれば特に種別は問わないが、具体的組成は実施例を参考にすればよい。また、該培養を実施するためのジャーファーメンターとしては市販の装置を使用することができる。培養開始後、培養液中のグリセロールが枯渇した段階でメタノールを添加すればよい。グリセロールの枯渇は溶存酸素をモニタリングすることにより知ることができる。メタノールの添加は枯渇後5時間以内に行うことが望ましい。メタノールの添加量は多すぎると酵母に毒性を示すが、少なすぎるとアルコールオキシダーゼ遺伝子のプロモーター配列が十分に機能しないことを勘案すると、0.5%以上5%以下(質量/容量)が好ましい。
【0016】
培養により作製された融合蛋白質は、適当な方法で培地等から取得することが可能である。宿主として大腸菌を用いた場合は、発現された融合蛋白質は大腸菌内に不溶性塊として蓄積されることから、菌体を破砕後、適当な条件下でリフォールディングや精製操作を行えばよい。好ましくピキア・パストリス種の酵母を宿主として用いた場合には、その培養上清から融合蛋白質を精製して取得することが可能である。精製原料は融合蛋白質を含む溶液であれば特に制限はなく、例えば融合蛋白質を含むピキア・パストリス種の酵母の培養液を例示することができる。該溶液はそのまま用いてもよく、またはそれらを緩衝液あるいは純水により希釈したり、限外ろ過膜あるいは硫酸アンモニウム等により濃縮した後に用いてもよい。精製操作としては、液体クロマトグラフィー操作を例示することができる。好ましくはイオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーの3種類のクロマトグラフィーの組み合わせを例示することができる。
【0017】
ピキア・パストリス種の酵母の培養上清は容量が大きいため、最初にイオン交換クロマトグラフィーにかけることが好ましい。イオン交換クロマトグラフィーは陽イオン交換クロマトグラフィーと陰イオン交換クロマトグラフィーに分かれるが、除蛋白質効率を考慮するして適宜選択することができる。前者の例としては陽イオン交換基としてSPを、後者の例としては陰イオン交換基としてDEAEを例示することができる。ここで流速を毎分100ml以上に上げられることと、1μm以下のフィルターを通していないサンプルを添加することができることを勘案すると、後の実施例に示すように、陽イオンクロマトグラフィーとしては吸着流動床Streamline SP C−50カラム(アマシャムファルマシア社製)を好ましく例示することができる。上記方法により得た融合蛋白質を含む画分は、次に疎水性クロマトグラフィーにかけ、さらに融合蛋白質の純度がより高い画分を得ることができる。この画分は、後の実施例に示すように、例えば陽イオン交換クロマトグラフィーで濃縮することにより、ゲルろ過クロマトグラフィーを効率よく行うことができる。
【0018】
IL−6R・IL−6融合蛋白質は、製剤化することにより神経系細胞分化促進剤とすることができる。製剤化は、例えば生理食塩水、ブドウ糖液、マンソトール、メチルセルロース、ゼラチン、ヒト血清アルブミン等の通常の賦形剤と混合することにより達成される。製剤中のIL−6R・IL−6融合蛋白質の量は重量比にして0.01%程度以上であることが例示できるが、上限は特に制限されない。また製剤にはIL−6R・IL−6融合蛋白質以外の成分が存在していても良い。更にIL−6R・IL−6融合蛋白質は凍結乾燥品とすることも可能であり、この場合には使用直前に生理食塩水、ブドウ糖液又はリンゲル液等の等張液により再溶解すれば良い。
【0019】
本発明の神経系細胞分化促進剤は、ヒト等の哺乳動物に対し、例えば静脈内投与、筋肉内投与、経皮投与等、非経口的に投与することが好ましい。投与量は、神経前駆細胞の不足症状を示す疾患の種類、投与対象患者等の状態等により適宜決定されるが、一般には1〜500μg/kg/日の範囲であり、神経系細胞の増多の様子を観察しつつ継続的な投与を行えば良い。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
実施例1
14.5日目のICRマウス胎児(日本クレア社から購入)の神経上皮細胞を取り出し、10ng/mlのbFGF(basic fibroblast growth factor)を含むN2−DMEM/F12培地(ギブコ社製)6ml中に加えて4日間培養することにより、神経前駆細胞を調製した。
【0022】
次に、上記細胞を0.8×105細胞/ウェルになるように調製し、N末端20番目のロイシン残基〜N末端333番目のアラニン残基からなるIL−6RのC末端側に、N末端28番目のアラニン残基〜N末端212番目のメチオニン残基からなるIL−6が結合した、IL−6R・IL−6融合蛋白質50ng/ml存在下(A)、同IL−6R・IL−6融合蛋白質20ng/ml存在下(B)、N末端28番目〜212番目のアミノ酸配列を含むIL−6(20ng/ml)及びN末端20番目〜344番目のアミノ酸配列を含むIL−6R(125ng/ml)存在下(C)、同IL−6(50ng/ml)及び同IL−6R(125ng/ml)存在下(D)、そして前記融合蛋白質又は、IL−6とIL−6R非存在下(E)でさらに3日間培養した。
【0023】
これを4%のホルムアルデヒドを含むPBSで固定化し、アストロサイトのマーカーであるGFAP(glial fibrillary acidic protein)を認識する抗体(DAKO社製)及びローダミン結合抗ウサギ抗体(CHEMICON社製)で染色し、蛍光顕微鏡で観察した。(A)の結果を図1に、(B)の結果を図2に、(C)の結果を図3に、(D)の結果を図4に、そして(E)の結果を図5にそれぞれ示す。図1〜図5において、白い粒状に見えるのが神経前駆細胞であり、ヒモ状の突起を有しているのがアストロサイトに分化した細胞である。
【0024】
図1〜図5で明らかなように、IL−6R・IL−6融合蛋白質は、融合されていないIL−6とIL−6Rを混合して投与した場合に比べ、非常に強くアストロサイトへの分化を促進することが観察された。すなわち、gp130蛋白質を刺激することによる神経系細胞分化促進剤としては、融合されていないIL−6とIL−6Rを混合して投与した場合に比べ、IL−6R・IL−6融合蛋白質の方が分化促進効果が強力である。
【0025】
【発明の効果】
従来、神経前駆細胞を神経系細胞へ分化させるのは非常に困難な作業で、しかも分化の程度が弱いものであったため、ヒトをはじめとする哺乳動物における脳神経系の研究には長い時間と膨大な労力が必要であった。
【0026】
本願発明が提供するIL−6R・IL−6融合蛋白質は、融合されていないIL−6RとIL−6を混合して用いた場合に比較して、より強力に神経前駆細胞をアストロサイト等の神経系細胞に分化させるという分化促進効果を奏する。従って、IL−6R・IL−6融合蛋白質を有効成分とする本願発明の分化促進剤は、それ自体が神経前駆細胞の分化促進剤として有用であるばかりでなく、ヒトをはじめとする哺乳動物における脳神経系の研究や、該研究の成果に基づく新しい治療薬又は診断薬の開発等に極めて重要な意義を有するものである。
【0027】
なお、アストロサイトへの分化促進活性においては、CNTFは融合されていないIL−6とIL−6Rの混合物と同等の活性をもつことが報告されている(Bonniら、Science、278巻、477頁、1997年参照)。従ってIL−6R・IL−6融合蛋白質は、gp130蛋白質を刺激することによる神経系細胞分化促進剤としては、CNTFよりも優れていると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1に記載した方法により、神経上皮細胞をIL−6R・IL−6融合蛋白質50ng/ml存在下で培養したときの結果を示す図である。
【図2】図2は、実施例1に記載した方法により、神経上皮細胞を(B)IL−6R・IL−6融合蛋白質20ng/ml存在下で培養したときの結果を示す図である。
【図3】図3は、実施例1に記載した方法により、神経上皮細胞を(C)IL−6(20ng/ml)及びIL−6R(125ng/ml)存在下で培養したときの結果を示す図である。
【図4】図4は、実施例1に記載した方法により、神経上皮細胞を(D)IL−6(50ng/ml)及びIL−6R(125ng/ml)存在下で培養したときの結果を示す図である。
【図5】図5は、実施例1に記載した方法により、神経上皮細胞を(E)サイトカイン及びそのレセプター非存在下で培養したときの結果を示す図である。

Claims (1)

  1. N末端20番目のロイシン残基からN末端333番目のアラニン残基まででなるインターロイキン−6レセプターのC末端側に、N末端28番目のアラニン残基からN末端212番目のメチオニン残基まででなるIL−6が直接結合したインターロイキン−6レセプターとインターロイキン−6の融合蛋白質を有効成分として含む、神経前駆細胞の神経系細胞への分化促進剤。
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