JP4858995B2 - 焼却残渣の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、焼却残渣から塩素成分を除去して、セメント原料等として利用するための処理方法及び処理システムに関する。
一般廃棄物や産業廃棄物の焼却時に発生する焼却残渣(例えば、焼却灰、焼却飛灰等)の大部分は、最終処分場にて埋立処分されている。しかし、近年、最終処分場の確保が困難になりつつあることから、焼却残渣をセメント原料等として利用して、焼却残渣の埋立処分の量を削減することが望まれている。
焼却残渣は、セメント原料として必要な化学成分を含む一方、セメントの製造及びセメントの品質に悪影響を及ぼす塩素を1〜20質量%程度の含有率で含む。そのため、仮に、塩素を除去せずに焼却残渣をセメント原料として用いる場合、セメント原料の全量中の焼却残渣の割合を小さくしなければならず、焼却残渣の利用の促進を図ることができない。それゆえ、焼却残渣からの塩素の除去処理は、必須である。
焼却残渣から塩素を除去する方法の一例として、例えば、一般廃棄物および産業廃棄物の少なくとも一方を焼却した焼却灰をセメント原料として資源化する方法において、電気防蝕する鋼板で側面及び底面を形成するとともに屋根を設けた貯留槽内に前記焼却灰を貯留し、その焼却灰に水を散布してその焼却灰から塩分を洗い流すことでその焼却灰を普通セメントの原料とし、前記焼却灰から浸出した水から塩分を除去した後、その水を前記焼却灰に散布して水を循環させることを特徴とする廃棄物焼却灰の資源化方法が提案されている(特許文献1)。
この文献には、焼却灰から浸出した水から塩分を除去する手段として、電気透析法、逆浸透法、イオン交換法等により塩化物イオン(塩分)を除去するように構成した、脱塩処理を行う槽が記載されている。この文献には、塩化物イオン(塩分)を1段目のRO膜(逆浸透膜)で除去する槽と、その槽を出た水に未だ含まれている塩化物イオン(塩分)を2段目のRO膜(逆浸透膜)で除去する槽とを具えている浸出水処理施設も記載されている。
特開2003−334507号公報
前記の文献に記載された方法は、水の散布のみによって、焼却灰から塩分を洗い流すものである。
しかし、焼却灰から可溶性塩素成分のみならず、難溶性塩素成分も除去して、セメント原料等として好適に用い得る、塩素含有率が小さい焼却灰を得ようとする場合、単に水を散布するだけでは、難溶性塩素成分を十分に除去することはできない。
また、前記の文献に記載された方法においては、焼却灰から浸出した水のすべてを対象にして、塩化物イオンを除去している。
しかし、難溶性塩素成分を除去しようとする場合、処理期間が長期に亘ったり、処理に要する水の量が多量であったりするため、焼却灰から浸出した水のすべてを対象にして、塩化物イオンの除去処理を行うことは、処理設備の運転上の負荷が大きく、好ましくない。
また、塩素成分の除去に際し、処理のために系外から新たに導入する水の量を削減することや、処理効率の観点から短期間で十分な除去を行なうことや、処理用の設備が簡易で、かつ処理コストが低いことも望まれている。
そこで、本発明は、焼却残渣から可溶性塩素成分と難溶性塩素成分の両方を除去して、セメント原料等として好適に用い得る、塩素含有率の小さな焼却残渣を得るための処理方法あって、処理設備が簡易で運転上の負荷が小さく、処理に必要な水の量を削減することができ、しかも処理効率が高い処理方法提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、貯留空間内に収容した焼却残渣に対して、まず、人為的な給水を行なって、焼却残渣中の可溶性塩素成分を短期間で溶出させて除去した後、降雨による給水を行なえば、不定期に乾燥と湿潤が繰り返される環境の下、空気中の炭酸ガスが雨水に吸収されることから、炭酸イオンの作用によって、焼却残渣に含まれているフリーデル氏塩等の難溶性塩素成分を分解し除去しうること、及び、降雨による給水の期間中に焼却残渣から浸出する濾液が、小さな塩素含有率を有することから、この濾液を前記の人為的な給水用の水として用いれば、系外から新たに導入する水の量を削減しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[]を提供するものである。
焼却残渣を貯留するための複数の貯留用空間と、該複数の貯留用空間の各々の下部に接続された、高塩素濃度を有する濾液を排水するための、開閉弁を有する排水用流路、及び、低塩素濃度を有する濾液を回収するための、開閉弁を有する濾液回収用流路と、該濾液回収用流路に接続された貯留槽と、該貯留槽から排出される濾液を上記複数の貯留用空間の上方に導くための送水路と、上記複数の貯留用空間の各々の上方に配設された、上記送水路によって導かれた濾液を貯留用空間内に供給するための給水手段とを備えている焼却残渣の処理システムを用いた、焼却残渣の処理方法であって、上記複数の貯留用空間の各々について、(a)上記貯留用空間内に焼却残渣を収容するための時期、(b)上記貯留用空間内の焼却残渣に対して、人為的に給水しかつ排水するための時期、(c)上記貯留用空間内の焼却残渣に対して、降雨によって給水しかつ排水するための時期、の3つの時期が、上記(a)、(b)、(c)、(a)・・・の順に繰り返し変化し、かつ、上記複数の貯留用空間が、常時、上記(b)の時期にあるもの、及び上記(c)の時期にあるものを含むようにするとともに、上記(c)の時期にある貯留用空間から回収された濾液を、上記(b)の時期にある貯留用空間内に給水するための水として用いることを特徴とする焼却残渣の処理方法。
[2] 上記(b)の時期において、排水によって得られる濾液の塩素濃度が2質量%以下になるまで、人為的に給水を行なう前記[1]に記載の焼却残渣の処理方法。
[3] 上記(b)の時期において人為的に給水される水の量が、上記焼却残渣の乾燥質量の4倍以内である前記[1]又は[2]に記載の焼却残渣の処理方法。
[4] 上記(b)の時期において排水によって得た濾液に対して、塩素成分の除去処理を行なう濾液浄化工程、を含む前記[1]〜[3]のいずれかに記載の焼却残渣の処理方法。
[5] 上記焼却残渣が、焼却灰及び焼却飛灰を含む前記[1]〜[4]のいずれかに記載の焼却残渣の処理方法。
本発明によれば、人為的な給水の後に、降雨による給水を行なっているため、焼却残渣中の可溶性塩素成分については、人為的な給水によって短期間で除去することができるとともに、可溶性塩素成分の除去後に残る難溶性塩素成分については、雨水中の炭酸イオンの作用によって分解して除去することができる。
特に、本発明では、人為的な給水によって可溶性塩素成分を短期間で除去しているため、可溶性塩素成分と特定の他の成分とが徐々に反応して生成する難溶性塩素成分であるフリーデル氏塩の生成量が少なくなり、それゆえ、人為的な給水をせずに降雨による給水のみを行なう場合に比べて、難溶性塩素成分の除去に要する時間を短縮することができる。
また、本発明では、難溶性塩素成分については、人為的な給水ではなく、降雨による給水によって除去しているので、人為的な給水のみを行なう場合に比べて、工業用水等の水の使用量を大きく削減することができる。
また、本発明では、難溶性塩素成分を除去するための工程で生じる塩素含有率の小さな濾液を、可溶性塩素成分を除去するための人為的な給水用の水として用いているので、工業用水等の水の使用量をさらに削減することができる。
さらに、本発明では、可溶性塩素成分を除去するための短期間の工程で生じる塩素含有率の大きな濾液のみを対象にして、塩素成分を除去するための脱塩素処理を行なえばよいので、濾液の脱塩素処理設備の運転上の負荷が小さく、処理設備の簡易化及び処理コストの削減を図ることができる。
本発明の焼却残渣の処理方法は、(A)貯留用空間内に貯留した焼却残渣に対して、人為的に給水して、塩素の含有率が減少した焼却残渣、及び、濾液を得る可溶性塩素成分除去工程と、(B)工程(A)で処理済みの焼却残渣に対して、降雨によって給水して、塩素の含有率がさらに減少した焼却残渣、及び、濾液を得る難溶性塩素成分除去工程と、(C)工程(B)で得た濾液を、工程(A)における人為的な給水用の水として、1回または2回以上繰り返し用いる濾液利用工程とを含むものである。
本発明の焼却残渣の処理方法は、(D)工程(A)で得た濾液に対して、塩素成分の除去処理を行なう濾液浄化工程、を含むことができる。
本発明の焼却残渣の処理方法は、(E)工程(B)で処理済みの焼却残渣を、セメント原料として用いるセメント原料化工程、を含むことができる。
以下、各工程について詳しく説明する。
[工程(A);可溶性塩素成分除去工程]
工程(A)は、貯留用空間内に貯留した焼却残渣に対して、人為的に給水して、焼却残渣中の可溶性塩素成分を除去する工程である。
焼却残渣としては、焼却灰、焼却飛灰等が挙げられる。
ここで、焼却灰とは、都市ごみ等の廃棄物を燃焼させた際に、炉底に溜まる残渣(ただし、金属片、セラミックス片等の異物を除くダスト状のもの)をいう。なお、焼却灰は、焼却主灰と称されることもある。
焼却灰を得るには、炉底に溜まる残渣から金属片等の異物を除去すればよい。その際に用いる分別手段としては、回転篩、振動篩等の篩、液体サイクロン、分離板型分級機、円筒型分級機等の遠心分級機、ハイドロセパレータ、スパイラル分級機、ボール分級機等の重力分級機等が挙げられる。中でも、1〜5mmの目開きを有する篩が好ましい。分別は、1段に限らず、多段によっても行うことができる。異なる分別手段を組み合わせることもできる。
焼却飛灰とは、都市ごみ等の廃棄物を燃焼させた際に発生する排ガス中の煤塵をいう。
本発明の処理対象物である焼却残渣は、好ましくは、焼却灰及び焼却飛灰を含むものである。焼却灰及び焼却飛灰を含む場合、以下に説明するように、本発明の効果が特に顕著である。
焼却灰には、フリーデル氏塩(3CaO・Al・CaCl・10HO)のような難溶性塩素成分、及び、可溶性塩素成分と反応して難溶性塩素成分に変化し得る成分(例えば、3CaO・Al)が、高い含有率で含まれている。一方、焼却飛灰には、CaCl、NaCl、KCl等の可溶性塩素成分が、高い含有率で含まれている。そのため、焼却灰、焼却飛灰、及び水を混合すると、例えば、次の反応が生じて、フリーデル氏塩の量が徐々に増大していく。
3CaO・Al+CaCl+10HO→3CaO・Al・CaCl・10H
この反応式に示すように、可溶性塩素成分(CaCl)を早期に除去すれば、フリーデル氏塩の新たな生成量を減少させることができる。本発明では、可溶性塩素成分を人為的な給水によって短期間で除去するので、前記の反応式の反応が進行しにくく、フリーデル氏塩の量がほとんど増大しない。そのため、例えば人為的な給水をせずに降雨のみによって塩素成分を除去する場合に比べて、焼却残渣中の難溶性塩素成分の含有率を短期間で減少させることができる。
焼却残渣が焼却灰及び焼却飛灰を含む場合、焼却灰と焼却飛灰との合計量100質量部中の焼却灰の含有量は、好ましくは1〜99質量部、より好ましくは10〜95質量部、特に好ましくは30〜90質量部である。該含有量が該好ましい数値範囲内であれば、前述のとおり、本発明の効果が顕著になる。
処理前の焼却残渣中の塩素(Cl)の含有率は、好ましくは2質量%を超えるものであり、より好ましくは4質量%以上、特に好ましくは6質量%以上である。該含有率が2質量以下では、焼却残渣中の塩素の含有率が小さ過ぎて、短期間に塩素の含有率を大きく減少させようとする本発明を適用する必要性が小さくなる。
処理前の焼却残渣中の塩素(Cl)の含有率の上限値は、特に限定されないが、通常、30質量%以下である。
貯留用空間は、例えば、地盤の掘削、貯留手段の埋設、貯留手段の設置等によって形成することができる。
このうち、地盤の掘削の場合、掘削によって生じた空間の内周面に、セメント系固化材等による固化処理を施すことができる。該空間の底面には排水口を設置する。
貯留手段としては、例えば、金属製、繊維強化プラスチック(FRP)製等の、上方が開口した枠体が挙げられる。
貯留用空間の下部には、通常、焼却残渣から溶出した塩素成分を含む水を排出するための排水口が設けられている。なお、排水口に接続される濾液回収用流路等については、後で説明する。
なお、本発明において、貯留用空間内に供給した水は、焼却残渣を通過または浸漬して、焼却残渣中の塩素成分を溶出させた後に、何らかの手段で、貯留用空間から除去すればよく、必ずしも前記の排水口で排出させることを必要とするものではない。例えば、貯留用空間内に上方から挿し入れた排水用のチューブ管等によって、排水させてもよい。
工程(A)においては、貯留用空間内への焼却残渣の収容完了時から、所定の期間内に、焼却残渣から溶出した塩素成分を含む濾液の塩素濃度が、所定の数値以下になるまで、人為的に給水を行なう。
人為的な給水の期間は、処理効率の観点から、好ましくは3月以内、より好ましくは2月以内、さらに好ましくは1月以内、特に好ましくは2週間以内である。
人為的な給水の期間の下限は、特に限定されないが、好ましくは3日である。給水期間が3日未満の場合、濾液の塩素濃度を十分に低下させるためには、短期間で大量の散水が必要になり、焼却残渣層への浸透速度を超える水量が供給されるため、脱塩効率が悪化する。
人為的な給水は、濾液の塩素濃度が、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下になるまで行なう。
人為的な給水後の焼却残渣中の塩素の含有率は、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下である。
人為的な給水に用いるための水としては、工業用水、水道水等が挙げられる。
人為的に給水するための給水手段としては、例えば、貯留用空間内に収容された焼却残渣の上面全体に均一に水を散布しうるように構成された水散布装置等が挙げられる。
給水の方法としては、例えば、連続的または間欠的に水を散布する方法が挙げられる。
給水を行なう時間の間隔は、好ましくは、間隔なし(連続的)、または5日間以内の間隔であり、より好ましくは、間隔なし、または3日間以内の間隔であり、特に好ましくは、間隔なし、または2日間以内の間隔である。該間隔が5日間を超えると、フリーデル氏塩等の難溶性塩素成分が生成し、処理の効率が悪くなる。
給水の期間中に人為的に給水される水の総量は、水量の節減の観点から、好ましくは、焼却残渣の乾燥質量の4倍以内であり、より好ましくは、焼却残渣の乾燥質量の3倍以内であり、特に好ましくは、焼却残渣の乾燥質量の2倍以内である。
なお、連続的に給水する場合、水の供給速度(リットル/時間)は、水の総量(リットル)を給水期間(時間)で除したものである。間欠的に給水する場合、1回当たりの水の供給量(リットル/回)は、水の総量(リットル)を給水回数(回)で除したものである。間欠的に給水する場合、1回当たりの水の供給時間は、特に限定されないが、例えば、30分間〜5時間である。
工程(A)においては、人為的な給水以外に、降雨による給水を併用することができる。降雨による給水を併用することによって、焼却残渣中の塩素の含有率を、より短期間に所望の値まで減少させることができる。
[工程(B);難溶性塩素成分除去工程]
工程(B)は、工程(A)(可溶性塩素成分除去工程)で処理済みの焼却残渣に対して、降雨により給水して、焼却残渣中の難溶性塩素成分を除去する工程である。
本発明では、可溶性塩素成分と反応してフリーデル氏塩を生成しうる成分と、可溶性塩素成分とが徐々に反応して、難溶性の塩素成分であるフリーデル氏塩が生成するのを抑制するために、まず、工程(A)で短期間に可溶性塩素成分を除去する。その後、可溶性塩素成分が工程(A)で既に除去されており、フリーデル氏塩の量が経時的に増大しないことから、工程(B)では、短期間で処理を行なう必要性が小さいという状況下で、降雨によって給水し、焼却残渣中に浸透する雨水に含まれる炭酸イオンの作用によって、フリーデル氏塩等の難溶性塩素成分を徐々に分解して除去し、塩素の含有率が低減した焼却残渣を得るものである。特に、降雨によれば、湿潤と乾燥が不定期に繰り返される中で、焼却残渣中に雨水(微量の炭酸イオンを含む水分)が浸み込むとともに、当該雨水に対して大気中から炭酸ガスが供給されるので、焼却残渣中の難溶性塩素成分が、炭酸イオンの作用によって分解され易くなり、人為的な給水をしないにもかかわらず、効率的に除去される。
工程(B)における給水期間は、好ましくは1月〜3年、より好ましくは2月〜2年、特に好ましくは3月〜1年である。該期間が1月未満では、難溶性塩素成分を十分に除去することが困難な場合がある。該期間が3年を超えると、処理の効率が悪くなる。
工程(B)で生じる濾液の塩素濃度は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。工程(B)で生じる濾液は、塩素濃度が小さいため、工程(A)における人為的な給水用の水として用いられる。
工程(B)における処理後の焼却残渣中の塩素の含有率は、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.3質量%以下である。
工程(B)における濾液の排水方法は、工程(A)と同様である。
[工程(C);濾液利用工程]
工程(C)は、工程(B)で得た濾液を、工程(A)における人為的な給水用の水として、1回、または2回以上繰り返し循環させて用いる工程である。
工程(C)の好ましい実施形態は、工程(B)で得た濾液を、工程(A)における人為的な給水用の水として、2回以上繰り返し循環させて用いるものである。
[工程(D);濾液浄化工程]
工程(D)は、工程(A)で得た濾液に対して、塩素成分(主に塩化物イオン)の除去処理を行なう工程である。
塩素成分の除去処理方法としては、電気透析法、逆浸透法、イオン交換法等による方法が挙げられる。このうち、逆浸透法を用いた処理設備の一例としては、塩化物イオンを逆浸透膜で除去するための1段目の処理槽と、該1段目の処理槽で処理した後の水に残存する塩化物イオンを逆浸透膜で除去するための2段目の処理槽を備えている処理設備が挙げられる。
[工程(E);セメント原料化工程]
工程(E)は、工程(B)で処理済みの焼却残渣を、セメント原料として用いる工程である。
焼却残渣(乾燥状態)は、塩素の含有率が小さいため、例えば、クリンカ原料の総量中、5〜30質量%の割合で用いることができる。
焼却残渣は、石灰石等の他のクリンカ原料とともに、プレヒータの上部に供給してもよいし、あるいは、他の場所(例えば、プレヒータの上部以外の場所や、仮焼炉や、キルン)に供給してもよい。
次に、図面を参照しつつ、本発明の焼却残渣の処理システムの一例を説明する。図1は、本発明の焼却残渣の処理システムの一例を模式的に示す図である。
図1中、貯留用空間1は、焼却残渣の埋立作業中の空間である。貯留用空間2は、埋立作業を終えた後の焼却残渣に対して人為的に給水、及び排水して、可溶性塩素成分を除去している空間である。貯留用空間3は、人為的な給水を終えた後の焼却残渣に対して、降雨によって給水、及び排水して、難溶性塩素成分を除去している空間である。
貯留用空間1の下部の排水口には、焼却残渣を通過後の濾液を排出するための流通路が接続されている。この流通路は、低塩素濃度を有する濾液を回収するための、開閉弁11を有する濾液回収用流路5と、高塩素濃度を有する濾液を排水するための、開閉弁14を有する排水用流路8とを含むものである。なお、図1では、濾液回収用流路5と排水用流路8とが一体化した部分(貯留用空間1の下部の接続箇所から、分岐点までの短尺の部分)が存在するが、このような一体化した部分を設けずに、濾液回収用流路5と排水用流路8とを別々に貯留用空間1の下部に接続してもよい。
貯留用空間1においては、焼却残渣を埋立中であり、給水を行なっていないので、開閉弁11,14は、開いた状態と閉じた状態のいずれでもよい。
貯留用空間2の下部には、貯留用空間1と同様に、開閉弁12を有する濾液回収用流路6と、開閉弁15を有する排水用流路9が接続されている。貯留用空間2においては、人為的な給水を行なっており、高塩素濃度を有する濾液(可溶性塩素成分を含む濾液)が生じるので、開閉弁15を開いた状態とし、かつ、開閉弁12を閉じた状態とする。濾液は、排水用流路9を介して、塩素成分(主に塩化物イオン)の除去処理を行なうための脱塩用処理設備(図示せず)に導かれて、浄化処理される。
貯留用空間3の下部には、貯留用空間1と同様に、開閉弁13を有する濾液回収用流路7と、開閉弁16を有する排水用流路10が接続されている。貯留用空間3においては、降雨による給水を行なっており、低塩素濃度を有する濾液(難溶性塩素成分に由来する塩素成分を含む濾液)が生じるので、開閉弁13を開いた状態とし、かつ、開閉弁16を閉じた状態とする。濾液は、濾液回収用流路7を介して、貯留槽4に導かれた後、ポンプ18によって送水路17内を流通し、開いた状態にある開閉弁23を通過して、給水路20の端部の給水口から、貯留用空間2内に供給される。
この際、貯留用空間1,3に給水するための給水路19,21については、開閉弁22,24が閉じた状態にあるため、濾液が流通せず、貯留用空間1,3内には濾液は供給されない。
なお、給水路19は、開閉弁22から給水口までの部分である。給水路20,21についても同様である。
給水手段は、貯留用空間内に収容された焼却残渣の上面全体に均一に水を散布しうるように構成されていればよく、例えば、貯留用空間1に対するものとしては、開閉弁22と、給水路19と、多数の孔からなる給水口を有する散布手段(図示せず)とを含むものをいう。
貯留用空間1は、焼却残渣の埋立作業の用途に用いた後、人為的な給水の用途に用いられ、次いで、降雨による給水の用途に用いられ、以下、焼却残渣の埋立作業の用途、人為的な給水の用途、降雨による給水の用途・・・の順に、繰り返し用いられる。
なお、図1では、貯留用空間1,2,3を含むものとして説明したが、実際には、多数(例えば、10〜100個)の貯留用空間を設けて、常時、これら多数の貯留用空間を、前記の3つの用途に分けて用いるとともに、降雨による給水で得た濾液を、直ちに、または貯留後に、人為的な給水用の水として用いるようにすればよい。
この場合、前記の3つの用途に属する貯留用空間の数の割合は、各用途の期間に応じて定めればよく、例えば、埋立作業の用途のもの1個に対して、人為的な給水の用途のものが2〜5個、降雨による給水の用途のものが5〜100個になるように定めればよい。
貯留用空間を1つだけ設けて、この貯留用空間において、前記の3つの用途を繰り返すことも可能である。この場合、降雨による給水で得た濾液は、貯留して、人為的な給水を行なうときに用いればよい。
[実施例1]
下端に排水口を有する縦3m、横3m、厚さ4.5mの容器内に、厚さが3.0mになるように、焼却灰と焼却飛灰を3:1の質量比で混合して焼却残渣を収容した。焼却残渣の質量は、22,680kg−dry(乾燥状態での質量)であった。
焼却残渣の収容作業の終了時から、焼却残渣の上面に均一に水が散布されるように、水散布装置を用いて、4,536kg(焼却残渣の乾燥質量の20%に相当)の水を、1時間で散布し、1回目の給水とした。以後、これと同様の人為的な給水を、1日1回、5日間に亘って行なった。
この間の焼却残渣から排出された濾液(浸出水)の塩素濃度を、図2に示す。図2から、4回目の給水時に、濾液の塩素濃度が1質量%以下になったことがわかる。
その後、焼却残渣に対して、300日間、降雨による給水を行なった。なお、この間の雨量の合計は1,600mmであった。
焼却残渣に対する給水の総量は、次のとおりである。
22,680kg(人為的な散水)+14,400kg(降雨)=37,080kg(総量)
降雨による給水の終了後、焼却残渣中の塩素含有率を測定したところ、0.2質量%であった。この塩素含有率は、セメント原料としての利用に適する値である。
降雨による給水によって得た濾液(浸出水)の塩素濃度は、第1回目の降雨時で0.02質量%であり、最後の降雨時で0.01質量%であった。また、降雨による給水期間中の濾液の量は、合計で13,680kgであった。この結果から、降雨による給水で得られる濾液は、人為的な給水用の水として好適な低塩素濃度を有するものであり、かつ、量的にも十分であることがわかる。
本発明の焼却残渣の処理システムを模式的に示す図である。 人為的な給水期間中における散水回数と浸出水中の塩素濃度との関係を示すグラフである。
符号の説明
1,2,3 貯留用空間
4 貯留槽
5,6,7 濾液回収用流路
8,9,10 排水用流路
11,12,13 開閉弁
14,15,16 開閉弁
17 送水路
18 ポンプ
19,20,21 給水路
22,23,24 開閉弁

Claims (5)

  1. 焼却残渣を貯留するための複数の貯留用空間と、
    該複数の貯留用空間の各々の下部に接続された、高塩素濃度を有する濾液を排水するための、開閉弁を有する排水用流路、及び、低塩素濃度を有する濾液を回収するための、開閉弁を有する濾液回収用流路と、
    該濾液回収用流路に接続された貯留槽と、
    該貯留槽から排出される濾液を上記複数の貯留用空間の上方に導くための送水路と、
    上記複数の貯留用空間の各々の上方に配設された、上記送水路によって導かれた濾液を貯留用空間内に供給するための給水手段と
    を備えている焼却残渣の処理システムを用いた、焼却残渣の処理方法であって、
    上記複数の貯留用空間の各々について、(a)上記貯留用空間内に焼却残渣を収容するための時期、(b)上記貯留用空間内の焼却残渣に対して、人為的に給水しかつ排水するための時期、(c)上記貯留用空間内の焼却残渣に対して、降雨によって給水しかつ排水するための時期、の3つの時期が、上記(a)、(b)、(c)、(a)・・・の順に繰り返し変化し、かつ、上記複数の貯留用空間が、常時、上記(b)の時期にあるもの、及び上記(c)の時期にあるものを含むようにするとともに、
    上記(c)の時期にある貯留用空間から回収された濾液を、上記(b)の時期にある貯留用空間内に給水するための水として用いることを特徴とする焼却残渣の処理方法。
  2. 上記(b)の時期において、排水によって得られる濾液の塩素濃度が2質量%以下になるまで、人為的に給水を行なう請求項1に記載の焼却残渣の処理方法。
  3. 上記(b)の時期において人為的に給水される水の量が、上記焼却残渣の乾燥質量の4倍以内である請求項1又は2に記載の焼却残渣の処理方法。
  4. 上記(b)の時期において排水によって得た濾液に対して、塩素成分の除去処理を行なう濾液浄化工程、を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼却残渣の処理方法。
  5. 上記焼却残渣が、焼却灰及び焼却飛灰を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼却残渣の処理方法。
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