JP5159037B2 - クリンカ処理方法およびクリンカ処理装置 - Google Patents

クリンカ処理方法およびクリンカ処理装置 Download PDF

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本発明は、火力発電所などに設置されている大型石炭燃焼炉から排出されるクリンカ灰を処理して回収するための方法または装置にかかるものであって、より詳細には、ボイラ用大型石炭燃焼炉の炉底部に設けられたクリンカホッパから排出されるクリンカ灰(クリンカアッシュ)の回収や有効利用の技術に関するものである。
大型石炭火力発電所などのボイラ用石炭燃焼炉では、その水管の表面や炉壁に、石炭灰粒子が相互に凝集したクリンカ灰(クリンカアッシュ)が多く付着するので、これらを炉外に除去させるなどの処理をしなければならない。一般に、石炭火力発電所は海に隣接して設置されており、海面埋立場や水切場を有しているので、海水を利用して、これらのクリンカ灰を処理していた。
本発明の技術分野に関係する特許文献としては、例えば、(1)特開平07−155737号公報、(2)特開2003−266053号公報がある。この文献(1)にはクリンカアッシュの有効利用についての記載があり、また、文献(2)はその対象物はクリンカではなく焼却灰であり、薬品を用いた処理についての記載がある。
特開平07−155737号公報 特開2003−266053号公報
図4は、従来におけるクリンカ灰回収設備を示す系統図である。
図4に示す従来の設備100において、微粉炭焚のボイラの底部にはクリンカホッパ10が配設されている。このクリンカホッパ10は海水を貯留するとともに、下部には逆四角錐形部(1s,2s,3s)を複数個備え、クリンカ灰の保持と排出とを行う。ここでのクリンカ灰は、例えば平均2mm径程度のボトムアッシュなどである。
クリンカ灰は、クリンカホッパ10内で水中に落下させられ、貯留された海水によって急冷と破砕がなされて、クリンカホッパ10中で貯留海水とともにスラリー状で保持される。保持されたクリンカ灰(スラリー)は、灰出し操作と称して、一定時間ごとに間欠的にクリンカホッパ底部の逆四角錐形部(1s,2s,3s)の下部にあるアッシュゲートを開いて、濃いスラリー状で排出される。それらのアッシュゲートは複数あるので、順次に開かれて、クリンカ灰は順次流出される。クリンカ灰の灰出し操作は、海水を供給しながら複数回繰り返して行われる。
ポンプ(1pなど)による海水の流入と流出に従って、排出されるクリンカ灰の移動の流れが形成され、クリンカホッパ10の下部にある逆四角錐形部(1s,2s,3s)から延長される管路(経路)(1a,2a)を経て、水流に従ってクリンカ集積槽(11,12) に輸送されてきて、ここでクリンカ灰の分離処理が行われる。これらのクリンカ集積槽(11,12) は燃焼炉からやや離れた位置に設けられているので、輸送のための管路(1a,2a)もそれに合わせて設計されている。
従来のクリンカ灰を処理する設備100は、灰処理ポンプ(1p)で圧力をかけた海水を利用して、クリンカ灰の処理をする設備であり、クリンカ灰は集積槽(11,12)に海水によって搬送されて貯えられ、そこで水冷とクリンカ灰の沈殿が行われる。そして、これらの集積槽(11,12)の底部に沈殿したクリンカ灰は、集積槽の下部に設けられた水抜弁より排水することにより十分水抜きされた後,この中から掻き出されて採取され、搬送されて別の場所にあるクリンカ仮置場15に集積される。その後、これらのクリンカ灰は、ダンプシュート16などの設備を経由して外部に搬出され、回収および再利用が図られる。
集積槽(11,12)には、各ポンプから供給された海水とクリンカ灰とが混ぜ合わせられたものが送入されてきて、クリンカ灰は集積槽(11,12)の底部に沈澱し、海水は集積槽の底部の排出口から側溝へと流出されるとともに、集積槽の上部からもあふれてオーバーフロー水となってやはり側溝へと流出され、これらの海水は側溝などの流路を経由して循環され、クリンカ灰の回収再利用がなされている。
従来の石炭火力発電所などにおけるクリンカ灰の処理設備では、海水すなわち塩水の循環を利用して処理を行っていたので、処理されたクリンカ灰には塩素分が付着していた。このため、建設・土木の材料などに処理されたクリンカを再利用しようとしても、塩素分を含有しているためにその適用が大きく制限される、という問題点があった。
本発明は、クリンカ灰の処理において海水(塩水)の循環を利用しながら、クリンカ灰に含有される塩素分を確実に除去することとして、処理後のクリンカ灰を回収して有効再利用の拡大を図ることができるクリンカ処理方法(装置)を提供することを目的としている。
(1)ボイラに溜まったクリンカ灰を、海水を用いて流出移動させて、塩素分を含むクリンカ灰を集積槽または置き場に貯め置くステップと、
前記塩素分を含むクリンカ灰を水洗いして、塩素分を除去するステップと、
除塩された前記クリンカ灰を回収するステップと、を含むクリンカ処理方法とした。
(2)(1)のクリンカ処理方法において、
前記塩素分を含むクリンカ灰を水洗いするステップは、
1)前記集積槽に清水を供給させるステップ、
2)前記集積槽の水の中でクリンカ灰を沈殿させるステップ、
3)前記集積槽から水を抜くステップ、の3ステップを含むサイクルに従って行うクリンカ処理方法とした。
(3)ボイラに溜まったクリンカ灰を、海水を用いて流出移動させて、塩素分を含むクリンカ灰を集積槽または置き場に貯め置く手段と、
前記塩素分を含むクリンカ灰を水洗いして、塩素分を除去する手段と、
除塩された前記クリンカ灰を回収する手段と、を含むクリンカ処理装置とした。
(4)(3)のクリンカ処理装置において、
前記塩素分を含むクリンカ灰を水洗いする手段は、
1)前記集積槽に清水を供給させる手段、
2)前記集積槽の水の中でクリンカ灰を沈殿させる手段、
3)前記集積槽から水を抜く手段、の3つの連続的手段を備えるクリンカ処理装置とした。
本発明によるクリンカ処理方法または装置によれば、クリンカ灰の処理に海水(塩水)の循環を利用しながら、クリンカ灰に含有される塩素分を確実に除去することができ、また、除塩処理後のクリンカを回収して、有効に再利用することができる。
次に添付の図面1〜3を参照して、本発明によるクリンカ処理方法およびクリンカ処理装置の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明によるクリンカ処理方法または装置の一実施形態にかかるクリンカ灰回収設備の系統図であり、また図2は、クリンカ灰回収設備の管理表の一例を示す図である。さらに、図3は、本発明によるクリンカ処理方法およびクリンカ処理装置に関係する試験の結果を示すグラフ図である。
図1のクリンカ灰回収設備200では、微粉炭焚のボイラの底部にはクリンカホッパ20が配設されており、このクリンカホッパ20は海水を貯留するとともに、下部には逆四角錐形部(s1,s2,s3)を備え、クリンカ灰の保持と排出とを行う。ここで、クリンカ灰は、クリンカホッパ20内で海水中に落下させられ、貯留された海水によって急冷と破砕がなされて、クリンカホッパ20中で貯留海水とともにスラリー状で保持される。
保持されたスラリー状のクリンカ灰は、灰出し操作のため、一定時間ごとに間欠的にクリンカホッパ底部の逆四角錐形部(s1,s2,s3)の下部にあるアッシュゲートから排出される。それらのアッシュゲートは複数あるので、それらが順次に開かれると、クリンカ灰も順次流出される。クリンカ灰の灰出し操作は、海水を供給しながら複数回繰り返して行われる。
処理ポンプ(p1など)による海水の流入と流出とに従って、クリンカ灰の移動の流れが形成されて排出が行われ、クリンカホッパ10の下部の逆四角錐形部(s1,s2,s3)から延長される経路(a1,a2)を経て、クリンカ灰は水流に従ってクリンカ集積槽(21,22)に輸送され、ここでクリンカ灰の分離処理が行われる。これらのクリンカ集積槽(21,22)は、燃焼炉からやや離された位置に設けられているので、水流輸送のための径路(a1,a2)も、それに合わせて設計される。
この図1の設備200では、多くの圧力ポンプを用いて灰捨場24の海水を汲み上げ、これらをクリンカ集積槽(21,22)や貯水槽などを経由して、水流を循環させる方式を用いている。クリンカ灰は、クリンカホッパ20の下部の逆四角錐形部(s1,s2,s3)から2本の経路(a1,a2)を経由されて、海水を含むクリンカが3つのクリンカ集積槽(21,22)に分別されて集められる。すなわち、ここでは、ボイラに溜まったクリンカ灰を、海水を用いて流出移動させて、塩素分を含むクリンカ灰を集積槽(21,22)に貯めて置くステップが実行される。
そして次に、塩素分を含むクリンカ灰を水洗いして、塩素分を除去するステップが実行される。ここでの塩素分を含むクリンカ灰を水洗いして除塩するステップは、1)集積槽(21,22)の中に工業用水(清水)を注水流入させ、塩分を含まない水を供給するステップ、2)水が張られた集積槽(21,22)の中でクリンカ灰を沈殿させるステップ、3)集積槽(21,22)から水を抜くステップ、の3ステップを含むサイクルに従って、繰り返して行われる。
海水に混入されて送出されたクリンカ灰は、経路を経て集積槽(21,22)に送られて、その底部に沈殿する。そのとき、水分(海水)は集積槽の底部に設けられた排水口(x1,x2)から外部へ排出される構成としているものの、底に沈殿するクリンカ灰は海水に浸漬されていたので塩素分を含んでいる。本設備200では、クリンカ灰から塩素分を除去するために、集積槽(21,22)内に工業用水を注水して供給し、クリンカ灰の水洗と除塩を行う。
本設備200では、除塩のために注水する清水としては工業用水を用いており、この工業用水は貯水槽27内に貯えられている。工業用水は、貯水槽27からポンプなどを利用して経路w0から流出させ、分岐する経路(w1,w2)を通して、各集積槽(21,22)に流入させて供給している。これらの集積槽(21,22)では、水供給によってクリンカ灰の水冷・沈殿・除塩などを含む処理が行われ、供給された水分は通常は集積槽の底部に設けられた排水口(x1,x2)から外部へ排出される。また、供給された水分が過剰で溢れた場合にはオーバーフローの流れ(y1,y2)として、各集積槽の上面から流出させる構造としている。
これらの集積槽(21,22)のクリンカ灰に対しての工業用水の供給は、所定の間隔/時間(期間)/水量などの種々のファクターが制御されて、クリンカ灰に工業用水を注水供給するステップが行われる。そして、クリンカ灰の除塩のステップにおいては、1)集積槽へ水を供給するステップ、2)水中でクリンカ灰を沈殿させるステップ、3)集積槽から水を抜くステップ、というこの順の3つステップを1サイクルと設定して、このサイクルを複数回繰り返して実施されるとよい。
水洗浄されたクリンカ灰は集積槽(21,22)の底部に沈殿するので、集積槽の下部に設けられた水抜弁より排水し,かつ半日から一日程度静置することにより十分水抜きされた後,この中からこれらが掻き出されて採取されて、別の場所にあるクリンカ置場25に搬送されて集積される。このようにして、除塩・水抜き処理がなされたこれらのクリンカ灰は、外部に搬出されて売却されたり(矢印28)、自社で回収して再利用が図られたりする。
クリンカ灰がクリンカ置場25に集積された時点でも、必要とすれば、除塩のステップを更に追加して実施することができる。このときは、クリンカ置場25のクリンカ灰に工業用水を供給して、クリンカ灰から塩素分を洗浄して除去するステップを行い、その後クリンカ灰から水分が抜けるまで据え置く、というステップを行うとよい。十分に除塩されたこれらのクリンカ灰は、同様に回収および再利用が図られる。
本発明に基づくこのクリンカ回収設備200では、灰捨場24と処理槽には常時海水が貯蔵されており、貯水槽27には工業用水(清水)が貯蔵されている。本発明によるクリンカ灰の除塩処理は、これらの海水と工業用水とを用いて行うものであり、使用後の排水はすべて循環させて回収して再利用するシステムが採用されており、環境にやさしく、効率が高く、コスト高にならないシステムが実現できる。
つぎの図2は、本発明によるクリンカ灰回収設備400(図示しない)を用いて、クリンカ灰の除塩と回収を含む処理を実施するときのクリンカ灰回収管理表である。ここでのクリンカ灰回収設備400では、NO.1集積槽とNO.2集積槽との2槽の集積槽を備え、灰捨場が1箇所設けられるシステムである。
この図2の管理表において、横軸は時間軸であって、ここでは例えば一日を「前期8時間(0時から8時)−中期8時間(8時から16時)−後期8時間(16時から24時)」のように設定している。
図2の管理表の「4日から11日まで」に着目するに、NO.1集積槽においては、4日の8時から8日の16時までは、ボイラに溜まったクリンカ灰を、海水を用いて流出移動させて、塩素分を含むクリンカ灰を集積槽に貯め置くステップが行われる。なお、NO.1集積槽の縦軸を3分割しているが、これはボイラまたはクリンカホッパの台数(種類)に対応して示したものである。
次に「8日の16時から9日の24時まで」は、NO.1集積槽で塩素分を含むクリンカ灰を工業用水で水洗いして、塩素分を除去するステップが行われる。
次に「10日」は、除塩されたクリンカ灰を静置し,十分に水抜きをするステップが行われる期間である。
そして「11日」は、除塩・水抜きされたクリンカ灰を回収するステップが行われる期間である。
このように、本発明のクリンカ処理方法(装置)によるクリンカ灰回収設備400では、2つのNO.1集積槽とNO.2集積槽において、上記のような処理のステップが繰り返し実行される。
また,例えば11日の回収日を遅らすことにより,クリンカ灰置場で、水洗い処理などのステップを追加的に行うことができる。
さてここからは、本発明のクリンカ処理方法(装置)による「クリンカ灰の脱塩試験」について詳細に述べる。
<クリンカ灰の脱塩試験>
1.目的
海水によるクリンカ処理灰の有効利用に対応させるため、工業用水を用いて、除塩・脱塩処理試験を実施したものである。
2.試験結果の概要
このたびの試験に供した工業用水処理クリンカは、海水浸漬後の残留塩素濃度は4.43mg/gであったが、3回目の工業用水洗浄により基準値(0.2mg/g)以下になることが確認できた。今後想定される海水処理クリンカについても同様にして確認できる。
そして、次の図3は、これらの除塩試験データを基にした「工業用水を用いた洗浄回数と残留塩素濃度」との関係をグラフで示したものである。
この図3で明らかなように、工業用水によるバッチ洗浄方法の有効性は大いに認められるべきものであって、基準値0.2mg/g>は3回目の洗浄でクリアしている。
今回の試験結果により、本発明のクリンカ処理方法(装置)を適用した海水使用クリンカ処理による、初期塩化物濃度の挙動確認、並びに前各項に記述したバッチ水洗効果確認を行うことができた。
本発明によるクリンカ処理方法(装置)の一実施形態にかかるクリンカ灰回収設備の系統図である。 本発明によるクリンカ灰回収設備を用いてクリンカ回収を行うための管理表の一例を示す図である。 本発明のクリンカ処理装置(装置)の試験結果を示すグラフ図である。 従来のクリンカ灰回収設備を示す系統図である。
符号の説明
200、300 クリンカ灰回収設備
20、30 クリンカホッパ
s1、s2、s3 逆四角錐形部
p1、p30、p31 処理ポンプ
a1、a2 経路
21、22、31 集積槽
24、34 灰捨場
x1、x2、z1 集積槽の底部の排水経路
w0、w1、w2、L1、L2 水供給の経路
y1、y2、z2 オーバーフロー水の経路
24、34 灰捨場
25、35 クリンカ置場
1w、2w 水供給部

Claims (4)

  1. ボイラに溜まったクリンカ灰を、海水を用いて流出移動させて、塩素分を含むクリンカ灰を集積槽または置き場に貯め置くステップと、
    前記塩素分を含むクリンカ灰を貯水槽から供給される清水により水洗いして、塩素分を除去するステップと、
    除塩された前記クリンカ灰を回収するステップと、
    を含むことを特徴とするクリンカ処理方法。
  2. 請求項1に記載のクリンカ処理方法において、
    前記集積槽中で塩素分を含むクリンカ灰を水洗いするステップは、
    1)前記集積槽に清水を供給させるステップ、
    2)前記集積槽の水の中でクリンカ灰を沈殿させるステップ、
    3)前記集積槽から水を抜くステップ、
    の3ステップを含むサイクルに従って行われることを特徴とするクリンカ処理方法。
  3. ボイラに溜まったクリンカ灰を、海水を用いて流出移動させて、塩素分を含むクリンカ灰を集積槽または置き場に貯め置く手段と、
    前記塩素分を含むクリンカ灰を貯水槽から供給される清水により水洗いして、塩素分を除去する手段と、
    除塩された前記クリンカ灰を回収する手段と、
    を含むことを特徴とするクリンカ処理装置。
  4. 請求項3に記載のクリンカ処理装置において、
    前記集積槽中で塩素分を含むクリンカ灰を水洗いする手段は、
    1)前記集積槽に清水を供給させる手段、
    2)前記集積槽の水の中でクリンカ灰を沈殿させる手段、
    3)前記集積槽から水を抜く手段、
    の3つの連続的手段を備えることを特徴とするクリンカ処理装置。
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