JP4858807B2 - 水性ワニス組成物及び該組成物を用いる両面印刷方法 - Google Patents
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Description
(a)印刷用紙の表面を表面印刷ユニットにより印刷インキで印刷し(実際の印刷機においては裏面を先刷りし、表面を後刷りするが、本発明においては、説明の便宜のため、先刷り面を表面といい、後刷り面を裏面という。)、その印刷面を表面上塗りコーターにより水性ワニス組成物で上塗りすると、上塗り塗膜中の水分が蒸発し浸透するに伴いワニス塗膜面の粘弾性が急激に強くなることにより、その印刷紙が裏面印刷ユニットに運ばれブランケット胴と圧胴の間を通過するとき、裏面印刷ユニットの圧胴にインキ皮膜や上塗り皮膜が付着し、次々に運ばれてくる印刷面によって更にインキ皮膜や上塗り皮膜が圧胴に堆積し、この堆積した皮膜によって更にインキ皮膜やワニス皮膜が圧胴に剥ぎ取られる、「圧胴とられ」といわれる問題。
(b)印刷機の排紙部に排出されてくる、表裏両面に印刷され且つ両印刷面が上塗りされた印刷紙を、インキ皮膜が酸化乾燥するまで(通常1昼夜)積み上げて保管する間に、上下の上塗り皮膜同士がブロッキングする、という問題。
脂肪酸アマイドの含有量は、全固形分に対し、高級脂肪酸エステルと同様の点から、0.01〜8質量%が好ましい。
表1に示す配合処方に従ってベースワニス組成物(1)を調整した。
(1)水性アクリル系樹脂(A)
アクリル酸/α−メチルスチレン/スチレン/アクリル酸エチルカルビトール/アクリル酸ヘキシルをモノマー成分とするコア/シェル型水性アクリル系樹脂エマルション(不揮発分45%、酸価82、ガラス転移温度25℃、重量平均分子量;シェル部約8,000、コア部約400,000)
(2)水性アクリル系樹脂(B)
アクリル酸/α−メチルスチレン/スチレン/アクリル酸2−エチルヘキシルをモノマー成分とする水性アクリル系樹脂エマルション(不揮発分45%、酸価51、ガラス点移転56℃、重量平均分子量;シェル部約10,000、コア部約200,000以上)
(3)水性アクリル系樹脂(C)
アクリル酸/スチレン/α−メチルスチレンをモノマー成分とする水溶性アクリル系樹脂(不揮発分33%、酸価150、ガラス転移温度76℃、重量平均分子量約10,000)
表2の配合処方に従って本発明の実施例及び比較例の水性ワニス組成物を調整した。
ローランド社製R−702 LTLV(ツインコーター付き)印刷機を使用して代用試験を行った。予め、印刷用紙の表面に、1胴目で墨インキを、2胴目で黄インキを印刷し、第1コーターで実施例1の水性ワニス組成物を塗布した印刷紙を作成した。印刷後直ちにこの印刷紙を反転させ、1胴目、2胴目、第1コーターは同一設定のままで、表面の印刷と同様に、裏面に、1胴目で墨インキを、2胴目で黄インキを印刷し、第1コーターで同実施例のワニス組成物の塗布を行い、第2コーターにより両面印刷機の「圧胴とられ」の代用評価をするために、第2コーターでは何も塗布せず、第2コーター部のブランケットには印圧のみをかけた。この方法で、第2コーター部のブランケット胴へのインキ皮膜とワニス皮膜の取られ方と、棒積み時の印刷面のブロッキング状態を観察した。その結果を第3表に示す。実施例2、3及び比較例1の各水性ワニス組成物についても、同様の試験を行った。その結果を同表に示す。
印刷条件の詳細は下記のとおり設定した。
(印刷部)
用紙 :OKトップコート+ 57.5Kg A全(王子製紙社製)
インキ :「ニューチャンピオン ナチュラリスSP−8 R201墨N」
(大日本インキ化学工業株式会社製)
インキの印刷版 : 天地方向に、非画線部、墨、墨+黄、黄部分を作成したもの。
水性ワニス組成物:実施例1〜3及び比較例1の各水性ワニス組成物
水性ワニス組成物の粘度:ザーンカップ4番 16秒(25℃)、希釈剤:水
コーター :アニックスロール 120線/インチ
ワニス用印刷版 :樹脂版、全ベタ柄(サイレル45NOW:デュポン社製)
印圧 :0.03mm(B−I間)
乾燥機 :熱風100℃に設定
ブランケット:「MC5000V」(金陽社製)
印圧 :0.15mm(B-I間)
乾燥機 :熱風75℃に設定
印刷速度 :10000枚/時
印刷枚数 :5000枚
(第2コーターブランケッ胴へのインキ皮膜とワニス皮膜の取られ方)
評価基準 5 取られ無し
4 ブランケット面の20%未満の面で取られている
3 ブランケット面の20〜50%の面で取られている
2 ほぼ全面的に取られており、部分的にインキ皮膜とワニス皮膜の堆積が見られる
1 全面的にインキ皮膜とワニス皮膜の堆積が見られる
(棒積み時のブロッキング状態)
評価基準 5 ブロッキング無し
4 剥離の音はするがブロッキングの跡形はない
3 僅かなブロッキングの跡形が見られる
2 各印刷紙は容易に剥がせるが、明瞭な跡形が見られる
1 各印刷紙が剥がし難く、全面的に跡形が見られる
評価結果を表3に示す
Claims (9)
- (a)最低造膜温度が−5〜60℃の水性アクリル系樹脂と、(b)シリコーン、脂肪酸エステル、脂肪酸アマイド及びリン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、
前記水性アクリル系樹脂が、重量平均分子量100,000〜500,000のコア部と重量平均分子量5,000〜50,000のシェル部を有するコア/シェル型水性アクリル系樹脂エマルションと、重量平均分子量5,000〜50,000の水溶性アクリル系樹脂との混合物であり、
前記コア/シェル型水性アクリル系樹脂エマルションと水溶性アクリル系樹脂との混合割合が、固形分の質量基準で、コア/シェル型水性アクリル系樹脂エマルション80〜99質量%に対し水溶性アクリル系樹脂1〜20質量%であることを特徴とする水性ワニス組成物。 - 前記水性アクリル系樹脂のガラス転移点が−10〜120℃である、請求項1に記載の水性ワニス組成物。
- 前記水性アクリル系樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル、カルボキシル基含有ビニルモノマー及びこれらと共重合可能なモノマーからなり、(メタ)アクリル酸エステルを主成分として含有するモノマー成分を共重合させて得られる水性アクリル系樹脂である、請求項1〜2のいずれか1項に記載の水性ワニス組成物。
- 前記(b)化合物として少なくともシリコーンを含み、前記シリコーンが、無変性シリコーンオイル、及びカルビノール、アルキルポリエーテル又はアルキルアリールポリエーテルで変性された変性シリコーンオイルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性ワニス組成物。
- 前記(b)化合物として少なくとも脂肪酸エステルを含み、前記脂肪酸エステルが、炭素原子数6以上の脂肪酸と炭素原子数4以上のアルコールとのエステルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性ワニス組成物。
- 前記(b)化合物として少なくとも脂肪酸アマイドを含み、前記脂肪酸アマイドが、高級脂肪酸のアマイドである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性ワニス組成物。
- 前記(b)化合物として少なくともリン酸エステルを含み、前記リン酸エステルが、炭素原子数1〜30のアルキル基のリン酸アルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのリン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性ワニス組成物。
- 両面インラインコーター付き両面印刷機に使用される請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性ワニス組成物。
- 両面インラインコーター付き両面印刷機を使用して、印刷用紙の片面への印刷インキの印刷と、該印刷面への水性ワニス組成物の上塗りと、該印刷用紙の他面への印刷インキの印刷と、該他面の印刷面への水性ワニス組成物の上塗りとを、順次連続的に行う両面印刷方法において、前記水性ワニス組成物として、前記請求項1〜8のいずれか1項に記載の水性ワニス組成物を使用することを特徴とする両面印刷方法。
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