JP4858073B2 - インサート成形による成形体及びその成形方法 - Google Patents

インサート成形による成形体及びその成形方法 Download PDF

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Description

本発明は、インサート成形による成形体及びその成形方法に関するものであり、より詳細には、インサート部材との接着性が向上された成形体及びその成形方法に関する。
樹脂成形物にインサート部材を一体成形する方法として、射出成形或いは圧縮成形により成形物を成形する際、金型内に予め挿入したインサート部材に溶融樹脂を溶着させて、成形物にインサート部材を埋設或いは接着させて一体的に成形するインサート成形が知られている。このインサート成形においては、一般に成形物を成形する溶融樹脂の熱を利用してインサート部材を溶着することにより、成形物にインサート部材を接着一体化する。
インサート成形により成形物にインサート部材を一体成形させて成る成形体として、例えば本出願人によりICタグ内蔵キャップが提案されており、このICタグ内蔵キャップにおいては、キャップ本体の天面部外側を成形する工程と、成形された天面外側にICタグを搭載する工程と、キャップ本体の天面部内側を含むキャップ本体とを成形する工程と、ICタグが搭載された天面部外側と、天面部内側を含むキャップ本体とを溶着する工程とを有する製造方法により成形されている(特許文献1)。
また他の成形体としては、管の内壁に遮断体が挿着されて成る注出具(口栓)が提案されており、この注出具においては、注出具を周知のインジェクション成形で形成するときの熱で遮断体を注出具の管の内壁に融着一体化することが記載されている(特許文献2及び特許文献3)。
特開2005-321935号公報 特開2001−213455号公報 特開2006−1623号公報
上記ICタグ内蔵キャップ或いは注出具においては、成形物たるキャップ或いは注出具の射出樹脂の熱によりICタグ或いは遮断体の被溶着面を溶着しているが、溶着界面の接着強度が不足すると、界面に剥離が発生し、部分的な剥離であっても衛生的或いは機能的にも好ましくなく、商品価値が失われる。
このような問題を解決するためには、一般に樹脂温度及び金型温度をより高温域に設定して成形することや、或いは被溶着面を構成する樹脂としてより低融点の樹脂を選択すること等が考えられる。
しかしながら、高温域での成形は成形サイクルが長時間化することによる生産性の低下や、或いは成形物にヒケやソリ等の賦形不良が発生するおそれがある。一方低融点の樹脂を採用する場合には、射出ゲートからの距離が長い成形物の端部において溶融樹脂の温度が低下して溶着が不十分になり、かかる端部において部分的に界面剥離を生じてしまうおそれがある。
従って本発明の目的は、成形物にインサート部材を一体成形させて成る成形体において、上述したような問題を生じることなく、成形物及びインサート部材の界面剥離が有効に防止された成形体を提供することである。
本発明の他の目的は、成形物にインサート部材をインサート成形により一体成形するに際して、成形物及びインサート部材の溶着性が向上され、界面剥離が有効に防止された成形体を生産性よく成形可能な成形方法を提供することである。
本発明によれば、インサート成形によりポリプロピレンから成る成形物にインサート部材を溶着一体化して成る成形体であって、前記インサート部材の被溶着面を構成する樹脂が、下記式(1)
P(mW/K)=b/a ・・・(1)
式中、aはDSC測定(降温速度10℃/min)における発熱ピークにおける発熱開始温度と発熱ピーク温度との差であり、bはDSC測定(降温速度10℃/min)における発熱ピークの基準線からのベースライン高さである、
で表されるPの値が1.75(mW/K)未満であると共に、発熱ピーク反応の面積から求められる発熱量Qの値が66.4(J/g)未満であるプロピレン系重合体から成ることを特徴とする成形体が提供される。
本発明によればまた、インサート成形によりポリエチレンから成る成形物にインサート部材を溶着一体化して成る成形体であって、前記インサート部材の被溶着面を構成する樹脂が、上記式(1)で表されるPの値が8.67(mW/K)未満であると共に、発熱反応の面積から求められる発熱量Qの値が116.2(J/g)未満であるエチレン系重合体から成ることを特徴とする成形体が提供される。
本発明の成形体においては、
1.成形物がキャップであると共に、前記インサート部材がICタグであり、該ICタグがキャップに一体化されていること、
2.成形物がキャップであると共に、前記インサート部材が機能性樹脂を含有する多層シートであり、該多層シートがキャップに一体化されていること、
3.成形物が袋状容器に装着される注出部材であると共に、前記インサート部材が機能性樹脂を含有する多層チューブであり、該多層チューブが注出部材内部に一体化されていること、
が好適である。
本発明によれば更に、ポリプロピレンから成る成形物にインサート部材をインサート成形により溶着一体化させる成形方法であって、前記インサート部材の被溶着面を構成する樹脂として、上記式(1)で表されるPの値が1.75(mW/K)未満であると共に、発熱ピークの面積から求められる発熱量Qの値が66.4(J/g)未満であるポリプロピレン系重合体を用いることを特徴とするポリプロピレン成形体の成形方法が提供される。
本発明によれば更にまた、ポリエチレンから成る成形物にインサート部材をインサート成形により溶着一体化させる成形方法であって、前記インサート部材の被溶着面を構成する樹脂として、上記式で表されるPの値が8.67(mW/K)未満であると共に、発熱ピークの面積から求められる発熱量Qの値が116.2(J/g)未満であるエチレン系重合体を用いることを特徴とするポリエチレン成形体の成形方法が提供される。
本発明の成形体によれば、成形物にインサート成形により一体化されたインサート部材の溶着性が向上し、界面剥離することが有効に防止されている。
またインサート成形を高温域で或いは長時間行う必要がなく、生産性に優れていると共に、成形物にヒケやソリ等の賦形不良が発生することが有効に防止されている。
また本発明によれば、ICタグや機能性樹脂層がキャップ本体と剥離することなく埋設されたキャップを生産性よく成形することができる。
また本発明によれば、ガスバリア性多層チューブをスパウト等の注出部材に剥離することなく埋設された注出具を生産性よく成形することができる。
インサート成形により、成形物及びインサート部材を一体化する場合、従来は、より高温域の成形温度で成形物を成形するか、或いはインサート部材の被溶着面を構成する樹脂を低融点にして成形物及びインサート部材の溶着性を高めるという、被溶着面を構成する樹脂の融点を基準とした手段が講じられていたが、前述した通り、これらの方法では生産性や成形不良の発生、或いは部分的な界面剥離の発生等充分満足する成形体を得ることができなかった。
本発明においては、インサート成形において成形物と被溶着面の密着性を向上させるには、インサート部材の被溶着面を構成する樹脂の融点のみならず結晶状態が溶着性に影響を与えるという新規知見に基づき、被溶着面を構成する樹脂として結晶化しにくい樹脂、すなわち上記式(1)で表されるPの値及び結晶化発熱量Qの値が一定の範囲にあるものを用いることにより溶着性を向上できることを見出したのである。
図1は、本発明のインサート部材の被溶着面に用いる樹脂についての示差走査熱量曲線であり、横軸が温度及び縦軸が熱流量を示しており、一般に吸熱ピークは上向きに凸のピークとして、発熱ピークは下向きに凸のピークとして示され、示差走査熱量計においては、結晶を溶融などにより消失させるときは吸熱し吸熱ピークとして、また非晶質状態から結晶化させるときには発熱し発熱ピークとして観察される。
本発明においては、この示差走査熱量計(DSC)により非晶状態から降温速度10℃/minで結晶化させる際の発熱ピークに着目して樹脂の結晶化状態を巨視的に判断することを見出したのである。すなわち、発熱ピークの結晶化開始温度から発熱ピーク温度までの曲線の傾き(b/a)をPとし、Pが大きいほど結晶化速度が速いと近似でき、また発熱ピークにおけるトータルの発熱量Qが大きいほど結晶化量が多いことから、DSC測定における発熱ピークの傾きP(b/a)及び発熱量Qを求めることによって、樹脂の結晶化しやすさを判断することができ、上述したように結晶化しにくい樹脂が優れた溶着性を示すことから、本発明においては、かかるDSC測定の結果を利用して、被溶着面に適した樹脂を判断することが可能となるのである。
本発明においては、上述した知見に基づいて、ポリプロピレン又はポリエチレンから成る成形物にインサート成形により一体化するインサート部材の被溶着面を構成する樹脂について、成形物がポリプロピレンの場合には、インサート部材の被溶着面を構成する樹脂としては、上記式(1)で表されるPの値が1.75(mW/K)未満であると共に、発熱ピークの面積から求められる発熱量Qが66.4(J/g)未満であるプロピレン系重合体であり、成形物がポリエチレンの場合には、インサート部材の被溶着面を構成する樹脂としては上記式(1)で表されるPの値が8.67(mW/K)未満であると共に、発熱ピークの面積から求められる発熱量Qが116.2(J/g)未満であるエチレン系重合体であることを見出したのである。
これにより成形条件を高温域にすることなく溶着性を向上させることが可能となって、優れた界面密着性を有する成形体を生産性よく成形することが可能となる。
本発明におけるポリプロピレン又はポリエチレンから成る成形物についてのP及びQの値の臨界性は後述する実施例の結果からも明らかである。
すなわち、成形物としてポリプロピレンを用い、インサート部材として、融点167℃、P=2.78(mW/K)、Q=92.9(J/g)のブロックポリプロピレンを用いた場合には、射出樹脂温度が低い場合には溶着性に劣っており(比較例1)、また融点124℃、P=1.75(mW/K)、Q=66.4(J/g)の低融点ポリプロピレンを用いた場合には、射出樹脂温度が低くても溶着するが、ゲート部から離れた端部において界面剥離が発生してしまう(比較例2)。これに対して、融点142℃、P=1.33(mW/K)、Q=53.9(J/g)のプロピレン系重合体(実施例1)をインサート部材として用いた場合には、射出樹脂温度が融点未満であっても溶着し、しかもゲート部から離れた端部においても界面剥離を発生することなく、優れた溶着性を発現しているのである(実施例1)。
また成形物としてポリエチレンを用いた場合にも、ポリプロピレンの場合と同様の結果が得られている(比較例2及び実施例2〜3)。
(ポリプロピレン成形体)
本発明の成形体において、成形物としてポリプロピレンを採用する場合には、インサート部材の被溶着面を構成する樹脂は、成形物と同種の樹脂であるプロピレン系重合体であり、且つDSC測定による傾きPの値が1.75(mW/K)未満、特に 0.9乃至1.5(mW/K)の範囲にあること及び発熱量Qの値が66.4(J/g)未満、特に47.0乃至 64.6(J/g)の範囲にあることが重要である。
成形物に用いることができるポリプロピレンとしては、従来公知のプロピレンの単独重合体、或いはプロピレンを主成分とし、これとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等の炭素数2〜20、好ましくは2〜10のα−オレフィンを30mol%以下共重合したプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、ブロック共重合体を用いることができ、用途によってこれらの中から適宜選択することができる。またこれらは、アイソタクティック構造のものでも、シンジオタクティック構造のものでもよい。
インサート部材の被溶着面を構成するプロピレン系重合体としては、上記DSC測定によるP及びQの値を満足することが重要であり、好適には、上述したポリプロピレンを不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性プロピレン系重合体を使用することができる。グラフトする不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸、または、その誘導体、例えば上記不飽和カルボン酸の酸無水物、イミド、アミド、エステル等を挙げることができる。該誘導体として、具体的には、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、グリシジルマレート等を例示できる。
またプロピレン系重合体の融点はこれに限定されるものではないが、170℃以下、特に120乃至145℃の範囲にあることが好適である。
上述したプロピレン系重合体の中でも特にランダム共重合体を好適に使用することができる。
(ポリエチレン成形体)
本発明の成形体において、成形物としてポリエチレンを採用する場合には、インサート部材の被溶着面を構成する樹脂は、成形物と同種の樹脂であるエチレン系重合体であり、且つDSC測定による傾きPの値が8.67(mW/K)未満、特に1.0乃至3.0の範囲にあること及び発熱量Qの値が116.2(J/g)未満、特に60乃至90の範囲にあることが重要である。
成形物に用いることができるポリエチレンとしては、低、中、高−密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンの他、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等の炭素数2〜20、好ましくは2〜10のα−オレフィンを30mol%以下共重合したエチレン・α−オレフィン共重合体も含まれる。
インサート部材の被溶着面を構成するエチレン系重合体としては、上記DSC測定によるP及びQの値を満足することが重要であり、好適には、上述したポリエチレンを不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性エチレン系重合体を使用することができる。グラフトする不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸、または、その誘導体、例えば上記不飽和カルボン酸の酸無水物、イミド、アミド、エステル等を挙げることができる。該誘導体として、具体的には、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、グリシジルマレート等を例示できる。
またエチレン系重合体の融点はこれに限定されるものではないが、140℃以下、特に118乃至127℃の範囲にあることが好適である。
上述したエチレン系重合体の中でも特に線状低密度ポリエチレン系共重合体を好適に使用することができる。
(成形体)
本発明の成形体においては、成形物にインサート部材をインサート成形して成る限り、種々のものを挙げることができる。
好適には、成形物としてキャップ、インサート部材としてICタグ或いはガスバリア性や酸素吸収性等の機能を有する機能性樹脂シート等との組み合わせや、或いは成形物として包装容器に固定されて使用されるスパウト等の注出具、インサート部材としてガスバリア性チューブ等との組み合わせを挙げることができる。
図2は、本発明の成形体として、キャップ本体1にインサート部材としてICタグ2をインサート成形して成るICタグ内蔵キャップを示す図である。この態様においては、キャップ本体1との被溶着面となるICタグ2の外径よりも大径の樹脂シート3をICタグ2に予め形成しておくことが好適である。この樹脂シート3は、図2に示す具体例では、内層3a及び外層3bの2層から成るが、キャップ本体1との被溶着面となる内層3aを構成する樹脂のP及びQの値が上述した条件を満足する限り、種々の層構成を採ることができる。
図3は、図2に示すICタグ内蔵キャップの成形方法の一例を表すものであり、樹脂シート3を形成したICタグ2を、ICタグ2がキャップ本体天面側に位置するように予め射出成形型10内に設置した後キャップ本体を構成する樹脂を射出して、キャップ本体1と、ICタグ2の外周縁より外側の樹脂シート3の環状部分が射出樹脂の熱によって溶着することにより、ICタグがキャップ内に埋設されたICタグ内蔵キャップを成形することができる。
また図4は、図2に示すICタグ内蔵キャップの成形方法の他の一例を表すものであり、キャビティ11の底部にキャップ本体との被溶着面となる樹脂シート3を設置する(図4(A))。次いで、ICタグ2を樹脂シート3上に載置し(図4(B))、溶融樹脂塊12をキャビティ11内に施し(図4(C))、コア金型13により圧縮する(図4(D))。この成形方法においても、ICタグ2の外周縁より外側の樹脂シート3の環状部分が溶融樹脂塊12の熱によってキャップ本体1と溶着することにより、ICタグ2がキャップ内に埋設されたICタグ内蔵キャップを成形することができる。
また図5は、図2に示した成形体のICタグ2の代わりに機能性樹脂シート4をインサート成形して成る機能性キャップを示す図である。
図5に示す機能性樹脂シート4は、外層4d/接着剤層4c/機能性樹脂層4b/内側接着剤層4aの4層から成っているが、キャップ本体1との被溶着面となる内側接着剤層4aが上述した条件を満足する樹脂であることが必要であり、この条件を満足する限り種々の層構成をとることができる。
図6は、本発明の成形体として、スパウト本体20にインサート部材としてガスバリア性樹脂層を有する多層チューブ21を、スパウト本体20の内周面に埋設するようインサート成形して成る複合スパウトを示す図である(図6(A))。図6(B)は多層チューブの断面構造を示す図であり、この図に示す多層チューブ21は、内層21a/接着剤層21b/ガスバリア性樹脂層21c/外層21dの4層から成っているが、スパウト本体20の内周面との被溶着面となる外層21dが上述した条件を満足する樹脂からなる限り、種々の層構成を採ることができる。
図7は、図6に示す複合スパウトの成形方法を説明するための図である。この複合スパウトは、射出成形機と成形金型を有する射出成形装置によって成形される。雄型31のコア32に多層チューブ21を装着し、次いで図7(A)に示すように、コア32に多層チューブ21を差し込んだ状態でコア32を雌型41のキャビティ42内に配置し、図7(B)に示すように雄雌金型31,41を閉じる。射出成形機によって射出ゲート43から雌型41とコア32の間に溶融樹脂23が充填されると(図7(C))、多層チューブ21の外面が溶融樹脂の熱で溶融することにより、スパウト本体20と多層チューブ21の外面が溶着して複合スパウトを成形することができる(図7(D))。
上述した被溶着面以外の層を構成する樹脂としては、従来キャップ或いはスパウトの成形に用いられていた種々の熱可塑性樹脂を用いることができ、特に被溶着面を構成する樹脂と接着性を有するオレフィン系樹脂から成ることが望ましいが、オレフィン系樹脂以外のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等を従来公知の接着材を用いて積層することもできる。
また機能性樹脂としては、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド樹脂等のガスバリア性樹脂や、該ガスバリア性樹脂に酸化性有機成分及び遷移金属触媒を配合してなる酸素吸収性ガスバリア性樹脂、或いは酸素吸収剤を配合して成る酸素吸収性樹脂、環状オレフィン系共重合体から成る水分バリア性樹脂等を例示することができる。
更に成形物たるキャップ本体或いはスパウト本体の形状、及びインサート部材であるICタグや機能性樹脂シート、或いは多層チューブの形状は、図に示すものに限定されず、従来公知のすべての形状のものを採用することができる。
本発明を次の例によりさらに説明する。
1.P(mW/K)= b/a
(1)測定装置及び測定条件
示差走査熱量測定(PERKIN ELMER社製 DSC7)を用いて、試料約5mgを200℃から0℃まで10℃/分の降温速度で降温し測定をおこなった。
(2)示差走査熱量測定(DSC測定)
前記測定装置を用いて、インサート部材の被溶着面を構成する樹脂であるプロピレン系重合体及びエチレン系重合体を、ペレット状態のものから切り出し、試料約5mgを200℃から0℃まで10℃/分の降温速度で降温し測定をおこなった。なお、この場合、結晶化発熱ピークのベースラインは、溶融樹脂の平坦部ベースラインを低温側にのばした直線とし、このベースラインから立ち上がった点を降温結晶化開始温度とした。
このときに得られる結晶化ピークにおいて、降温結晶化発熱開始温度と発熱ピーク温度の差をa、発熱ピークの基準線からのベースライン高さをbとし、発熱ピークの結晶化開始温度から発熱ピーク温度までの曲線の傾き(b/a)をPとした。
2.発熱量Q
前記測定装置を用いて、発熱ピークの基準線以下の面積から求められる発熱量をQとした。
3.剥離試験
射出成形機を用いてシート状のインサート部材の被溶着面を構成する下層樹脂シートS1を成形した。
次いで、前記下層樹脂シートS1を金型内に挿入し、下層樹脂シートS1上にポリプロピレン或いはポリエチレンからなる上層樹脂シートS2を射出成形し、2層シート状のインサート成形体をインサート成形した。
インサート成形時の射出ゲート5は、端片側に位置した。
インサート成形体は、幅:30mm、横:70mm、厚み:0.3mmの被溶着面を構成する下層樹脂シートS1と、幅:15mm、横:85mm、厚み:1mm、射出ゲート5側に立ち上がるL字型の上層樹脂シートS2とし、下層樹脂シートS1を上層樹脂シートS2の側面部から10mmに位置させた。その形状を図8に示す。
次いで、得られたインサート成形体に対して剥離及び凝集試験を行い評価した。被溶着面を構成する下層樹脂シートS1と上層樹脂シートS2の溶着面が部分的に界面剥離を生じたものについては×、前記下層樹脂シートS1と上層樹脂シートS2の溶着面が完全に凝集破壊を生じたものについては界面剥離が有効に防止されているために○とした。
[実施例1]
金型内に変性共重合ランダムポリプロピレン(ADMER QB555 三井化学株式会社製)で作製した下層樹脂シートをあらかじめ挿入しておき、シリンダー温度210℃、金型温度40℃に設定し、射出5秒、冷却10秒、射出速度10mm/秒、リミット圧100MPaの射出成形条件でポリプロピレン樹脂(プライムポリプロ J706WB 株式会社プライムポリマー製)を射出して上層樹脂シートを成形し、インサート成形体を得た。
[実施例2]
金型内に線状低密度ポリエチレン(ノバテックLL UJ270 日本ポリエチレン株式会社製)で作製した下層樹脂シートをあらかじめ挿入しておき、シリンダー温度220℃、金型温度60℃に設定し、射出5秒、冷却10秒、射出速度10mm/秒、リミット圧100MPaの射出成形条件で高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックHD HJ550 日本ポリエチレン株式会社製)を射出して上層樹脂シートを成形し、インサート成形体を得た。
[実施例3]
下層樹脂シート材を変性共重合ポリエチレン(ADMER NF518 三井化学株式会社製)にした以外は実施例2と同様に行った。
[比較例1]
下層樹脂シート材をブロックポリプロピレン(プライムポリプロ J703HA 株式会社プライムポリマー)にした以外は実施例1と同様に行った。
[比較例2]
下層樹脂シート材をメタロセン触媒共重合低融点ランダムポリプロピレン(ウィンテック WFX6 日本ポリプロ株式会社製)にした以外は実施例1と同様に行った。
[比較例3]
下層樹脂シート材を変性共重合ポリエチレン(モディック-AP L522三菱化学株式会社製)にした以外は実施例2と同様に行った。
上記測定結果及び評価結果を、表1に示す。
Figure 0004858073
本発明のインサート部材の被溶着面に用いる樹脂についての示差走査熱量曲線である。 キャップ本体にICタグをインサート成形して成るICタグ内蔵キャップを示す図である。 図2に示すICタグ内蔵キャップの成形方法を説明するための図である。 図2に示すICタグ内蔵キャップの他の成形方法を説明するための図である。 キャップ本体に機能性樹脂シートをインサート成形して成る機能性キャップを示す図である。 スパウト本体に多層チューブをインサート成形して成る複合スパウトを示す図である。 図6に示す複合スパウトの成形方法を説明するための図である。 インサート成形体の参考図を示す。
符号の説明
1 キャップ本体、2 ICタグ、3 樹脂シート、3a 内層、3b 外層、4 機能性樹脂シート、4a 接着層、4b 機能性樹脂、4c 接着層、4d 外層、5 射出ゲート 11 キャビティ、12 溶融樹脂塊、13 コア 金型、20 スパウト本体、21 多層チューブ、21a 内層、21b 接着層、21c バリア層、21d 外層。

Claims (7)

  1. インサート成形によりポリプロピレンから成る成形物にインサート部材を溶着一体化して成る成形体であって、
    前記インサート部材の被溶着面を構成する樹脂が下記式
    P(mW/K)=b/a
    式中、aはDSC測定(降温速度10℃/min)における発熱反応における発熱開始温度と発熱ピーク温度との差であり、bはDSC測定(降温速度10℃/min)における発熱ピークの基準線からのベースライン高さである、
    で表されるPの値が1.75(mW/K)未満であると共に、発熱ピークの面積から求められる発熱量Qの値が66.4(J/g)未満であるプロピレン系重合体から成ることを特徴とする成形体。
  2. インサート成形によりポリエチレンから成る成形物にインサート部材を溶着一体化して成る成形体であって、
    前記インサート部材の被溶着面を構成する樹脂が下記式
    P(mW/K)=b/a
    式中、aはDSC測定(降温速度10℃/min)における発熱反応における発熱開始温度と発熱ピーク温度との差であり、bはDSC測定(降温速度10℃/min)における発熱ピークの基準線からのベースライン高さである、
    で表されるPの値が8.67(mW/K)未満であると共に、発熱ピークの面積から求められる発熱量Qの値が116.2(J/g)未満であるエチレン系重合体から成ることを特徴とする成形体。
  3. 前記成形物がキャップであると共に、前記インサート部材がICタグであり、該ICタグがキャップに一体化されている請求項1又は2記載の成形体。
  4. 前記成形物がキャップであると共に、前記インサート部材が機能性樹脂を含有する多層シートであり、該多層シートがキャップに一体化されている請求項1又は2記載の成形体。
  5. 前記成形物が袋状容器に装着される注出部材であると共に、前記インサート部材が機能性樹脂を含有する多層チューブであり、該多層チューブが注出部材内部に一体化されている請求項1又は2記載の成形体。
  6. ポリプロピレンから成る成形物にインサート部材をインサート成形により溶着一体化させる成形方法であって、
    前記インサート部材の被溶着面を構成する樹脂として、下記式
    P(mW/K)=b/a
    式中、aはDSC測定(降温速度10℃/min)における発熱ピークにおける発熱開始温度と発熱ピーク温度との差であり、bはDSC測定(降温速度10℃/min)における発熱ピークの基準線からのベースライン高さである、
    で表されるPの値が1.75(mW/K)未満であると共に、発熱ピークの面積から求められる発熱量Qの値が66.4(J/g)未満であるポリプロピレン系重合体を用いることを特徴とするポリプロピレン成形体の成形方法。
  7. ポリエチレンから成る成形物にインサート部材をインサート成形により溶着一体化させる成形方法であって、
    前記インサート部材の被溶着面を構成する樹脂として、下記式
    P(mW/K)=b/a
    式中、aはDSC測定(降温速度10℃/min)における発熱ピークにおける発熱開始温度と発熱ピーク温度との差であり、bはDSC測定(降温速度10℃/min)における発熱ピークの基準線からのベースライン高さである、
    で表されるPの値が8.67(mW/K)未満であると共に、発熱反応の面積から求められる発熱量Qの値が116.2(J/g)未満であるエチレン系重合体を用いることを特徴とするポリエチレン成形体の成形方法。
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