JP4857602B2 - 染料インキの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、染料層を形成するための染料インキとして、有機溶剤に対する溶解性に関わり無く、任意の染料を使用した染料インキを調整し、高濃度の印画が可能である染料インキの製造方法に関する。
従来、画像を形成する種々プリント方法として、感熱により色材層中の染料が昇華および又は拡散して染料が受像シートに移行する感熱昇華転写、加熱によって色材層が溶融軟化して、色材層自身が受像シートに転写する感熱溶融転写、インクジェット、電子写真が広く用いられている。この中で、感熱昇華転写は、記録材として用いる昇華転写染料(有機溶剤に対する溶解性が高く、熱により昇華又は拡散して受像シートに移行する染料を指す。以下「染料」と表記)をバインダー樹脂に溶融あるいは分散させた染料層をポリエステルフィルム等の基材シートに担持させた熱転写シートと、染料で染着可能な被転写材、例えば、紙やプラスチックフィルム等に受容層を形成した受像シートを重ね合わせ、染料を熱転写し、各種のフルカラー画像を形成する方法が提案されている。この場合には、加熱手段として、プリンターのサーマルヘッドが使用され、極めて短時間の加熱によって3色又は4色の多数の加熱量が調整された色ドットを受像シートに転移させ、該多色の色ドットにより原稿のフルカラーを再現するものである。
このように形成された画像は、使用する色材が染料であることから、非常に鮮明であり、且つ透明性に優れているため、得られる画像は中間色の再現性や階調性に優れ、従来のオフセット印刷やグラビア印刷による画像と同様であり、且つフルカラー写真画像に匹敵する高品質画像の形成が可能である。現在、簡単な印刷方法として熱転写記録方法が広く使用されている。熱転写記録方法は、各種画像を簡便に形成できるため、印刷枚数が比較的少なくてもよい印刷物、例えばIDカードの作成や、営業写真、或いはパーソナルコンピュータのプリンタやビデオプリンタ等において、利用されている。
上記の感熱昇華転写方式は、高品質画像の形成が可能ではあるが、例えば、基材シート上に設ける染料層の塗工面において、ムラの無い品質が要求され、また記録時の加熱により、低濃度から高濃度まで幅広く、染料転写されることが要求される。このような染料層を形成するための染料インキは、通常、染料及びバインダー樹脂を汎用有機溶媒(トルエン、メチルエチルケトン等)に溶かして、インキ化している。これは、染料インキの塗工時に、染料の結晶生成等による塗工面の品質が悪化(特にスジ状のムラなど)することを懸念するためである。このような染料が溶解したインキを乾燥固化する過程にて染料はバインダー樹脂中に溶解しているか、高度に微分散された状態となり、染料層を形成することができる。このインキ化は、通常染料、樹脂ともに単純に加熱、攪拌して、溶解させて作成しており、有機溶剤に対する溶解性が充分でない染料は、インキ中での染料含有量を高くすることができず、実用性のある濃度を持った塗膜を形成することができないために使用することができなかった。また、有機溶剤に対する溶解性が充分であっても、バインダー樹脂に対する溶解性が充分でない場合には乾燥塗膜中で染料の結晶生成等により、ブリードアウトを起こし、結果として印画時に未印画部の地肌汚れを生じたり、リボンの背面側への裏移りおよびオーバーコート層へのキックバックが生じるなどの問題が発生し、使用することができなかった。
例えば、特許文献1の実施例1には、染料が有機溶剤に対して、3.8%の割合で溶解している染料インキが示されているが、実際に調べた結果、用いられている染料のトルエン、メチルエチルケトンに対する25℃での溶解性は、MS−RED−G(三井東圧製、ディスパースレッド60)がそれぞれ1.0%、0.9%であり、マクロレックスバイオレットR(バイエル製、ディスパースバイオレット26)ではそれぞれ3.0%、2.7%であった。特許文献1の実施例1で示されている染料インキは、ディスパースレッド60が有機溶剤に対して2.15%、ディスパースバイオレット 26は1.61%溶解していることになる。ディスパースレッド60は染料自体の溶解度を上回る量でインキ中に存在できているが、これは溶剤が混合溶剤であることによる染料の溶解性の向上、構造の異なる複数の染料を同時に存在させたことによる溶解性の向上、バインダー樹脂の存在によりインキ粘度が調整されているため、染料が沈殿しにくくなっていること等の理由が考えられるが、有機溶剤に対する溶解性に対して約2倍程度の染料を含有させることができている。しかしながら、これを超える量の染料を存在せしめる場合には、上述した問題が発生してしまうため、このような手法を用いる溶解性の向上は、おおよそ染料の溶解度の2倍量程度までと考えられる。
特開平9−30138号公報
上記の有機溶剤とバインダー樹脂に対する溶解性の両方を有した染料だけでは、染料の選択する範囲が限定されていて、希望する色相及び希望する高濃度・高耐久性の印画物が得られないという問題があった。したがって、上記のような課題を解決するために、本発明は、染料層を形成するための染料インキとして、有機溶剤に対する溶解性に関わり無く、任意の染料、特に有機溶剤へ溶解し難い染料を使用した染料インキを調整し、高濃度の印画が可能である染料インキの製造方法を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、染料、バインダー樹脂及び有機溶剤からなる染料インキの製造方法において、染料をバインダー樹脂に溶解または分散させるために、染料とバインダー樹脂を攪拌、混練して、染料マスターバッチを作製し、次に該染料マスターバッチを有機溶剤に溶解または分散させて、染料インキを作製し、前記の染料が前記の有機溶剤に溶解する限度を超えた量で、染料インキ中に含有されていることを特徴とする。
本発明の染料インキの製造方法は、染料とバインダー樹脂を攪拌、混練して、染料マスターバッチを作製し、次に該染料マスターバッチを有機溶剤に溶解または分散させて、染料インキを作製するものである。したがって、まず染料、バインダー樹脂を攪拌、混練させるので、バインダー樹脂中に染料が溶解あるいは分散した条件となり、染料マスターバッチとして、染料含有割合が向上した高濃度の染料インキの塊が製造できる。そして、その染料マスターバッチを有機溶剤に溶解または分散させれば、染料、バインダー樹脂及び有機溶剤の原料を最初から溶解または分散させた染料インキに比べると、はるかに染料含有割合の高い染料インキが製造できる。これにより、染料インキにおいて染料の結晶生成等による塗工面の品質が悪化することもなく、高濃度の染料インキを用意でき、それを基材シート上に染料層として設けた熱転写シートが作製でき、その熱転写シートを使用して、高濃度の優れた印画物が得られる。
図1は、本発明の染料インキの製造方法を説明する概略図である。まず、原料として、染料とバインダー樹脂を用意する。次に、これらの原料を攪拌、混練して、染料をバインダー樹脂中に溶解または分散させる。この攪拌、混練の工程により、染料マスターバッチが作製される。次に、その染料マスターバッチを有機溶剤に溶解または分散させて、最終的な染料インキを作製する。この染料インキを用いて、基材シート上に塗工して、染料層を形成し、熱転写シートを得るものである。
また、図2は、本発明の染料インキの別の製造方法を説明する概略図である。まず、原料として、染料とバインダー樹脂を用意する。次に、これらの原料を加熱条件下で、攪拌、混練して、染料をバインダー樹脂中に溶解または分散させる。この攪拌、混練の工程の後に、加熱条件を解除し、自然放置あるいは送風する等して、冷却させて、乾燥、固化した染料マスターバッチを作製する。次に、その染料マスターバッチを有機溶剤に溶解または分散させて、最終的な染料インキを作製する。この染料インキを用いて、基材シート上に塗工して、染料層を形成し、熱転写シートを得るものである。図2で示したものは、染料マスターバッチを製造する際に、加熱してバインダー樹脂を軟化させて、染料がバインダー樹脂と混合しやすいようにしたものである。但し、加熱温度は染料が昇華しない温度域で行なうことが必要である。すなわち、染料が昇華する温度まで、加熱温度を上げないで、加熱温度を抑える必要がある。また、図示してはいないが、染料マスターバッチを製造する際に、バインダー樹脂を膨潤させるような有機溶剤を添加させて、染料がバインダー樹脂と混合しやすいようにすることもできる。また、染料マスターバッチを製造する際、上記の加熱条件と有機溶剤の添加によるバインダー樹脂の膨潤条件を併用しても良い。
従来は、染料とバインダー樹脂と有機溶剤の原料を一度に、攪拌、混練させて染料インキを製造していたが、染料は主として、有機溶剤中に溶解または分散させたもので、染料はバインダー樹脂中にあまり入り込んでいないと考えられる。これらの手法でも、構造の異なる複数種の染料を同時に使用することで、有機溶剤に対する溶解性が向上することや、バインダー樹脂の種類によってもインキ中に溶解状態で存在できる染料量が増加することが知られている。それに対して、本発明の染料インキの製造方法を適用することにより、バインダー樹脂中に染料が溶解または分散した固体の染料マスターバッチを作製し、その染料マスターバッチを有機溶剤に溶解または分散させて、つまり染料マスターバッチを介在させて、染料インキを製造する。その得られた染料インキは、染料マスターバッチに染料を含有しているので、その染料マスターバッチが有機溶剤に溶解または分散して、有機溶剤に直接、染料を溶解させたものよりも、はるかに染料の含有割合の高い染料インキが得られるものである。
さらに、本発明の染料インキの製造方法を適用することで、従来の方法では利用し得なかった染料を、有機溶剤への溶解性に関係なく使用することが可能となるため、染料の選択範囲が格段に広がり、より高濃度で高耐久な印画物を容易に得ることが可能となる。
本発明の染料インキを構成する原料について、詳述する。
(染料)
本発明で使用する染料は、従来公知の昇華転写方式の熱転写シートに使用される染料はいずれも有機溶剤への溶解度に関係なく使用可能であるが、特に有機溶剤への溶解性が1%未満など非常に低い場合であっても、使用するバインダー樹脂への溶解性が高いか、あるいはバインダー樹脂中に高濃度で溶解または微分散が可能な染料であれば好適に使用することができ、結果として有機溶剤への溶解度を大きく超えた染料層を形成可能である。その染料として、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キノフタロン系などの染料が挙げられる。具体的には、ソルベントイエロー、ディスパースイエロー、ソルベントレッド、ディスパースレッド、ソルベントブルー、ディスパースブルー等のそれぞれのC.I.(カラーインデックス)No.で、選択できる。これらの染料をイエロー、マゼンタ、シアンのような種類の染料インキを製造する上で、1種類、または2種類以上を混合して使用してもよい。
(バインダー樹脂)
本発明の染料インキに使用するバインダー樹脂としては、上記の染料をバインダー樹脂中に溶解または分散させて、染料を担持させている。そのバインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。
(有機溶剤)
本発明の染料インキで使用する有機溶剤は、メチルエチルケトン、トルエン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、酢酸エチル等或いはそれらの混合溶剤が使用でき、一般的に使用される汎用有機溶剤である。本発明では、有機溶剤は、染料インキの塗工適性を考慮して、沸点の低い溶剤に、少し沸点を高めた溶剤を加えた混合溶剤を使用し、染料インキが塗工中に溶剤が蒸発して、粘度アップが生じやすくなることを防止することが好ましい。また、その染料インキの基材シートへ塗工し、乾燥する際に、乾燥が不十分であると、地汚れや、巻取りにした際に、染料インキが裏移りし、さらにその裏移りした染料インキが巻き返した際に、異なる色相である染料層に再転移する、いわゆるキックバックが生じることがあり、上記の粘度安定性、蒸発性等のバランスを考慮し、有機溶剤を選択することが望ましい。
本発明では、染料インキで使用する有機溶剤は、染料インキに使用されるバインダー樹脂を2%以上溶解するものが特に好ましい。そのバインダー樹脂の有機溶剤への溶解性で、2%以上溶解することは、すなわち、20℃における有機溶剤100g中に溶解するバインダー樹脂の質量(g)で示され、有機溶剤100gに対して、バインダー樹脂が2g以上で溶解するものである。また、その溶解性は、下限として2%であるが、上限値としては、実用上30%程度である。
また、染料マスターバッチを製造する際に、染料とバインダー樹脂と有機溶剤を加熱条件下で、攪拌、混練する場合には、次に、冷却させて、乾燥、固化させる際に、有機溶剤が気化するが、その気化する有機溶剤を回収して、次の染料マスターバッチの原料として、あるいは染料マスターバッチを溶解または分散させるための有機溶剤の一部として、使用することができる。
(染料インキの製造方法)
本発明の染料インキの製造方法として、まず原料として、染料とバインダー樹脂を用意する。この染料とバインダー樹脂を攪拌、混練して、染料がバインダー樹脂中に溶解または分散した状態の染料マスターバッチを作製する。つまり攪拌、混練工程を行なう。この工程では、例えば、プロペラ型攪拌機、ディゾルバー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、2本ロールミル、3本ロールミル、超音波分散機、ニーダーおよびラインミキサー等の攪拌混合機を用いることができる。特に、2本ロールミル、3本ロールミル、2軸押出し機、ニーダー等の高シェアレートでの混練が可能な機械を選定することにより、染料の分散性の高い染料インキが製造しやすいので、好ましく用いられる。また、攪拌時間は攪拌の例えば回転数等の条件により変動するものであるが、例えば30分〜120分程度である。また、攪拌、混練工程における加熱条件を行なう場合、温度としては、80〜250℃程度である。
上記の攪拌、混練工程で、染料をバインダー樹脂中に溶解または分散させた染料マスターバッチを作製する。その後に、その染料マスターバッチを有機溶剤に溶解または分散させて、最終的な染料インキを作製する。すなわち、染料マスターバッチの溶解、分散工程にて染料インキの製造が完了する。上記の染料マスターバッチの有機溶剤に溶解または分散させる際に、攪拌、混練工程で製造したマスターバッチをそのまま使用できるが、マスターバッチの塊を小さく砕いてから、有機溶剤に溶解または分散させるほうが効率的に短時間で均一な染料インキが製造でき、好ましい。
上記のように製造される染料インキは、使用する有機溶剤が、染料インキに使用されるバインダー樹脂を溶解するものであり、かつ該有機溶剤に対する染料の溶解する限度を越えた量で、その染料が染料インキ中に含有しているものが好ましい。本発明では、溶解する条件の割合(%)や含有する量などは、全て、特に断りのない限り、質量基準の数値である。本発明の染料インキは、染料の含有率が1%以上が好ましく、含有率の範囲としては1〜20%程度である。また、染料インキにおける染料とバインダー樹脂を合わせたものが、有機溶媒を含めた染料インキ全体に対して、すなわち固形分が質量基準で2〜30%程度のもので、調整した染料インキが好ましく使用される。
このような染料インキを、基材シート上に、塗工し、乾燥させて、染料層を形成する。
(基材シート)
基材シートとしては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであれば、いずれのものでもよい。好ましい基材シートの具体例は、グラシン紙、コンデンサー紙、パフィン紙等の薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレンの誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等のプラスチックの延伸あるいは未延伸フィルムや、これらの材料を積層したものが挙げられる。この基材シートの厚さは、強度及び耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は1〜100μm程度のものが好ましく用いられる。
上記に説明したように、攪拌、混練工程による染料マスターバッチの作製、その後に、染料マスターバッチの有機溶剤への溶解、分散工程にて染料インキの製造が完了するが、その染料インキに有機フィラー等の必要に応じて添加剤を加えて、染料層塗工液を調製し、これを、上記の基材シート上に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗工し、乾燥して染料層を形成することができる。染料層の塗工量は、乾燥状態で0.2g/m2〜3g/m2程度である。
従来、有機溶剤への溶解度が1%未満など、有機溶剤に対する溶解性の低い染料を含有する染料層を形成した熱転写シートが実用されていなかったが、上記のように本発明では、有機溶剤に対する溶解性の低い染料を染料マスターバッチを介在させることで、染料インキ化することができることで、有機溶剤に対する溶解性の低い染料を含有した染料層を実現することができた。これにより、有機溶剤に対する溶解性に関わり無く、染料を使用することができ、溶剤への溶解不足による染料層の塗工面のムラなどもなく、高濃度で優れた品質の印画物を形成することができる。
本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、文中、部または%とあるのは特に断りのない限り質量基準とする。
(実施例1)
染料として、メチルエチルケトンに対して、0.2%しか溶解しないSolvent Red 155を使用し、ポリビニルアセトアセタール樹脂(エスレックKS−5、積水化学工業(株)製)への分散を試みた。
分散方法は、以下のように行なった。
Solvent Red 155を10部、エスレックKS−5を20部、トルエンを20部で配合したものを、100℃の加熱条件下で、ローラーローターを用いて、回転数50rpmにて20分間、さらに回転数100rpmで20分間、攪拌、混練し、その後冷却、乾燥、固化させて、染料マスターバッチを製造した。上記の攪拌、混練、冷却、乾燥、固化の各工程は、英弘精機(株)製のポリラボシステムを利用して行なった。
得られた染料マスターバッチを、ペイントシェーカーを用いて、メチルエチルケトン/トルエン=1/1(質量基準)の混合溶剤に溶解または分散させて、固形分が約5%となるように、染料インキを作製した。その染料インキを厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの基材シートに、ミヤバー#6〜#7を使用して、乾燥時で約0.5g/m2になるように、塗工して、乾燥し、染料層を設けて熱転写シートを用意した。
この熱転写シートの染料層と、熱転写受像シート(tektronix製、phaser450専用受像シート)の受容層部とを重ね合わせ、熱転写シートの裏面から下記条件で、サーマルヘッドを用いて熱転写記録を行い、マゼンタの階調画像を形成した。
(印字条件)
・サーマルヘッド:KGT−217−12MPL20(京セラ製)
・発熱体平均抵抗値:3195(Ω)
・主走査方向印字密度:300dpi
・副走査方向印字密度:300dpi
・印字電力:0.12(W/dot)
・1ライン周期:5(msec.)
・印字開始温度:40(℃)
・階調制御方法:1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長を持つ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を60%固定とし、階調によって、ライン周期あたりのパルス数を1ステップでは0個、2ステップでは17個、3ステップでは34個と0から255個まで17個毎に順次増加させることにより、1ステップから16ステップまでの16階調を制御した。この印字条件による印画濃度のグラフを図3に示した。
(比較例1)
実施例1で使用した染料とバインダー樹脂と同じものを用意し、それらをペイントシェーカーを用いて、メチルエチルケトン/トルエン=1/1(質量基準)の混合溶剤に溶解または分散させて、固形分が約5%となるように、染料インキを作製した。但し、染料が染料インキ中で析出しない範囲で、添加し、40℃の加熱条件下にて、インキを調整した。すなわち、比較例1では染料マスターバッチを製造せずに、染料とバインダー樹脂と有機溶剤の原料を一度に攪拌、混練して、染料インキを製造した。その染料インキを使用して、実施例1の場合と同様に、基材シート上に染料層を設けて熱転写シートを用意した。
その熱転写シートの染料層と、熱転写受像シート(tektronix製、phaser450専用受像シート)の受容層部とを重ね合わせ、実施例1の場合と同様の下記条件で、サーマルヘッドを用いて熱転写記録を行い、マゼンタの階調画像を形成した。その印字条件による印画濃度のグラフを図3に示した。尚、実施例1及び比較例1の各印画物における印画濃度は、反射濃度で、測定器として、Gretad−Macbeth社製反射濃度計Macbeth RD−914を使用して測定した。
図3に示されている通り、実施例1で作製した熱転写シートによる印画物では、最高濃度が0.65であった。それに対して、比較例1で作製した熱転写シートは、最高濃度が0.57であった。このように、実施例1における染料及びバインダー樹脂の原料を攪拌、混練させ、染料マスターバッチを作製する際に、加熱してバインダー樹脂を軟化させて、染料がバインダー樹脂と混合しやすくし、またバインダー樹脂を膨潤させるような有機溶剤を添加させて、染料がバインダー樹脂と混合しやすくして、バインダー樹脂中に染料を溶解あるいは分散させた染料マスターバッチの染料インキの塊を製造し、その染料マスターバッチを有機溶剤に溶解または分散した染料インキを製造した。比較例1で製造した染料インキ、つまり上記の染料とバインダー樹脂及び有機溶剤の原料を最初から溶解または分散させた染料インキと比べると、実施例1では、はるかに染料含有割合の高い染料インキが製造できたことになる。したがって、その染料インキを用いて染料層を形成した熱転写シートを用いれば、印画濃度の高い優れた印画物が得られる。
(比較例2)
実施例1で使用した染料とバインダー樹脂と同じものを用意し、それらをペイントシェーカーを用いて、メチルエチルケトン/トルエン=1/1(質量基準)の混合溶剤に溶解または分散させる。その際に、比較例1とは異なる条件として、染料が染料インキ中で析出する範囲で、染料を添加して、固形分が約5%となるように、染料インキを作製した。この場合、比較例1における加熱条件を行なわないで、原料を溶解または分散させて、染料インキを製造したものである。その染料インキを使用して、実施例1の場合と同様に、基材シート上に染料層を設けて熱転写シートを用意した。この熱転写シートは染料層にスジ状のムラが生じており、塗工面の品質が不良であった。よって、実施例1、比較例1と同様に印画物を形成したが、ステップ別の階調画像として、ムラが多く、印字濃度を正確に測定することが出来なかった。
本発明の染料インキの製造方法を説明する概略図である。 本発明の染料インキの別の製造方法を説明する概略図である。 実施例と比較例の階調画像を有する印画物のステップ別の印画濃度のグラフである。

Claims (1)

  1. 染料、バインダー樹脂及び有機溶剤からなる染料インキの製造方法において、染料をバインダー樹脂に溶解または分散させるために、染料とバインダー樹脂を攪拌、混練して、染料マスターバッチを作製し、次に該染料マスターバッチを有機溶剤に溶解または分散させて、染料インキを作製し、前記の染料が前記の有機溶剤に溶解する限度を超えた量で、染料インキ中に含有されていることを特徴とする染料インキの製造方法。
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