JP4856903B2 - 拡径部の傾斜面に作用するせん断力を用いた節付杭の引抜抵抗力の計算方法、押込抵抗力の計算方法、節付杭の設計方法、節付杭 - Google Patents

拡径部の傾斜面に作用するせん断力を用いた節付杭の引抜抵抗力の計算方法、押込抵抗力の計算方法、節付杭の設計方法、節付杭 Download PDF

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Description

本発明は、拡径部の傾斜面に作用するせん断力を用いた節付杭の引抜抵抗力の計算方法、押込抵抗力の計算方法、節付杭の設計方法、及び、節付杭に関する。
従来より、建物の荷重を支える基礎杭として、その長手方向中間部又は下端部に拡径部を設けた節付杭が広く用いられている。節付杭によれば、拡径部が設けられることにより、基礎杭から地盤への荷重の伝達面積が大きくなるので、鉛直方向支持力及び引抜抵抗力を増大させることができる。
かかる節付杭の引抜抵抗力を評価する手法として、例えば特許文献1には、節付杭を引抜いたときに、拡径部直上の地盤が拡径部の直径の2倍の有効高さを持つ円筒状にせん断されると仮定し、その円筒の周面積に地盤のせん断強度を乗じた値を拡径部の引抜抵抗力として設計することが記載されている。
特開2002―21070号公報
しかしながら、上記の拡径部の引抜抵抗力の計算方法では、せん断面の有効高さを一意に拡径部の2倍の値としているため、拡径部と軸部の径の差が小さい場合と、拡径部と軸部の径の差が大きい場合とでは、実際の引抜抵抗力が異なるにもかかわらず、計算される引抜抵抗力が同じ値になってしまうという問題点がある。
このように、特許文献1に記載された節付杭の引抜抵抗力の計算方法では、必ずしも十分な精度が得ることができないため、引抜抵抗力を過小評価してしまい、過剰設計を行いコストが割高になってしまう場合や、引抜抵抗力を過大評価してしまい、安全性が損なわれてしまう場合がある。
そこで、本発明は、節付杭の引抜抵抗力を正確に計算できるようにすることを目的とする。
発明の節付杭の引抜抵抗力の計算方法は、下側ほど径が大きくなるように傾斜した傾斜面を含んだ拡径部を1つ又は複数有する節付杭の引抜抵抗力を計算する方法であって、前記傾斜面の最外縁を外周とし、かつ前記傾斜面における径の最大値と最小値の差と、前記傾斜面の高さとに基づき求めた有効高さに相当する高さを有するせん断面を想定し、前記拡径部の個数をN、i番目の拡径部のせん断面付近の地盤の極限せん断抵抗力をfsi[kN/m]、i番目の拡径部の傾斜面の最外縁の周長をψ[m]、i番目の拡径部の傾斜面の高さをhNi[m]、i番目の拡径部の傾斜面の杭軸部からの突出長さをDNi[m]、前記突出長さにかかる調整係数をk、i番目の拡径部の傾斜面における地盤の抵抗力の低減係数をβとする場合に、各拡径部の傾斜面の極限引抜抵抗力の和T[kN]を以下の式(1)で求めることを特徴とする節付杭の引抜抵抗力の計算方法。
Figure 0004856903
上記の節付杭の引抜抵抗力の計算方法において、前記調整係数kを2.5以上かつ3.5以下の値としてもよい。前記低減係数βを0.8以上かつ0.9以下の値としてもよい。
また、上記の節付杭の引抜抵抗力の計算方法において、砂質土内に埋設されたi番目の拡径部の傾斜面付近の平均N値をN、内部摩擦角をφ、土圧係数をKとしたとき、前記式(1)における極限せん断抵抗力度をfsiとして、前記極限せん断抵抗力度fsiを以下の式(2)、式(3)及び式(4)を満たす値として決定し、
式(2)、式(3)及び式(4)により算出された極限せん断抵抗力度fsiが1000[kN/m]未満である場合は、前記算出された極限せん断抵抗力度を、式(2)、式(3)及び式(4)により算出された極限せん断抵抗力度fsiが1000[kN/m]以上である場合は、1000[kN/m]を用いてもよい。
si=K×(1/2)×150N …(2)
K=0.5 …(3)
Figure 0004856903
前記式(1)における極限せん断抵抗力度をfsiとして、粘性土内に埋設された拡径部の傾斜面付近の非排水せん断強さの平均をCとしたとき、前記極限せん断抵抗力度fsiを以下の式(5)で求め、式(5)により算出された極限せん断抵抗力度fsiが1000[kN/m]未満である場合は、前記算出された極限せん断抵抗力度を、式(5)により算出された極限せん断抵抗力度fsiが1000[kN/m]以上である場合は、1000[kN/m]を用いてもよい。
si=C …(5)
また、本発明の節付杭の押込抵抗力の計算方法は、上側ほど径が大きくなるように傾斜した傾斜面を含んだ拡径部を1つ又は複数有する節付杭の押込抵抗力を計算する方法であって、前記傾斜面の最外縁を外周とし、かつ前記傾斜面における径の最大値と最小値の差と、前記傾斜面の高さとに基づき求めた有効高さに相当する高さを有するせん断面を想定し、前記拡径部の個数をN、i番目の拡径部のせん断面付近の地盤の極限せん断抵抗力をf’si[kN/m]、i番目の拡径部の傾斜面の最外縁の周長をψ’[m]、i番目の拡径部の傾斜面の高さをh’Ni[m]、i番目の拡径部の傾斜面の杭軸部からの突出長さをD’Ni[m]、前記突出長さにかかる調整係数をk’、i番目の拡径部の傾斜面における地盤の抵抗力の低減係数をβとする場合に、各拡径部の傾斜面の極限押込抵抗力の和T’[kN]を以下の式(6)で求めることを特徴とする。
Figure 0004856903
以上の節付杭の引抜抵抗力の計算方法及び押込力の計算方法によれば、拡径部の負担する引抜抵抗力を算出する際に、拡径部の高さや突出部の大きさを用いて計算するため、引抜抵抗力及び押込抵抗力を正確に算出できる。このため、過剰設計や安全性の過小評価を防ぎ、コストの削減又は安全性の向上が可能になる。
さらに本発明は、下側ほど径が大きくなるように傾斜した傾斜面を含んだ拡径部を複数有する節付杭の設計方法であって、上記の節付杭の引抜抵抗力の計算方法により算出された引抜抵抗力が所定の基準抵抗力以上となるように設計することを特徴とする節付杭の設計方法を含むものとする。
また本発明は、上側ほど径が大きくなるように傾斜した傾斜面を含んだ拡径部を複数有する節付杭の設計方法であって、上記の節付杭の押込抵抗力の計算方法により算出された押込抵抗力が所定の基準抵抗力以上となるように設計することを特徴とする節付杭の設計方法を含むものとする。
節付杭の拡径部の引抜抵抗力及び押込抵抗力をより正確に求められるので、過剰設計や安全性の過小評価を防ぎ、コストの削減又は安全性の向上が可能になる。
以下、本発明の節付杭の引抜抵抗力の計算方法の一実施形態について図面に基づき説明する。図1は、引抜抵抗力の算定の対象となる節付丸杭の断面図である。同図に示すように、節付丸杭1は円柱状の杭軸部2と一つ以上の節部3と拡底部4とを有しており、その上部は建物の地下構造(図示せず)に接続されている。なお、節部3と拡底部4が拡径部に相当する。また、拡径部は杭径の変化により、高さによらず杭径が一定な部分(鉛直部という)5と、鉛直部から上下に向かって径が変化していく部分(傾斜部という)6、7とにより構成される。
また、図2は、(A)は引抜抵抗力の算定の対象となる節付壁杭の正面断面図、(B)は側面断面図である。同図に示すように、節付壁杭1は壁体状の杭軸部2と一つ以上の節部3と拡底部4とが、杭軸部2より突出しており、杭軸部2の上部は建物の地下構造(図示せず)に接続されている。節付丸杭の場合と同様に、節部3と拡底部4が拡径部に相当し、拡径部は杭径の変化により、高さによらず杭径が一定な部分(鉛直部という)5と、鉛直部5から上下に向かって径が変化していく部分(傾斜部という)6、7とにより構成される。
本実施形態の節付杭の引抜抵抗力の計算方法は、以下説明するように、拡径部の上側の引抜抵抗力をより精度よく算出するものであり、節付丸杭及び節付壁杭に同様の原理を用いることができる。そこで、以下、節付丸杭を例として説明する。
なお、本実施形態の拡径部の引抜抵抗力の計算方法では、杭下端の拡底部4と、杭中間部の節部3とを区別せずに計算を行う。
発明者らは、地盤から節付杭1に作用する荷重を以下に説明するように想定し、節付杭1の引抜抵抗力を算出することとした。
図3は、発明者らが想定した引抜力抵抗力を決定するせん断面を示す図である。節付杭に引抜力が作用すると、上側の傾斜部6の傾斜面8の最外縁(すなわち傾斜面の下端)より上方にせん断すべりを生じることが実験等により知られている。(例えば、秋野、金谷:深い拡底基礎の極限引抜抵抗機構、日本建築学会大会学術講演梗概集、1983年、pp.2673〜2674)そこで、発明者らは、図3における破線のように、上側の傾斜面8の最外縁より鉛直上方向にせん断面が形成され、このせん断面により拡径部3,4の上側の傾斜部6の負担する引抜抵抗力が決定されると想定した。なお、鉛直部5には節付杭1を包囲する地盤との間に摩擦が起こり、引抜力と逆向きに周面摩擦力が作用する。また、下側の傾斜部7においては、地盤と下側の傾斜面9とが離間する方向に引抜力が働くため、引抜抵抗力は作用しない。
ここで、上記のように、上側の傾斜面8が負担する引抜抵抗力は上側の傾斜面8の下端における径(すなわち傾斜面8における径の最大値)と上端における径(すなわち傾斜面8における径の最小値)の差(すなわち突出長さ)が小さい場合と大きい場合とで異なる。そこで、発明者らは、上側の傾斜面8の軸部からの突出長さ及び上側の傾斜面8の高さを考慮に入れて引抜抵抗力を算出するために、せん断面の有効高さを以下のように提案する。ただし、有効高さをH[m]、拡径部の傾斜部の高さをh[m]、拡径部の鉛直部からの突出長さをD[m]、拡径部の突出部の有効長さの影響係数をkとしている。
=h+kD …(7)
ここで、上記のせん断力を受ける円筒面の面積ANP[m]、拡径部の最外縁の周長をψ[m]とすると、せん断力を受ける円筒面の面積ANPは、式(8)のように求めることができる。
NP=ψ・H=ψ・(h+kD) …(8)
また、このせん断面付近の地盤の極限せん断抵抗力度をfsi[kN/m]とすると、この拡径部に作用する引抜抵抗力Fは式(9)のように表される。
=fsi・ANP …(9)
よって、節付杭の傾斜面に作用する引抜抵抗力の合計T[kN]は以下の式のようにあらわされる。なお、拡径部の個数をN、i番目の拡径部のせん断面付近の地盤の極限せん断抵抗力をfsi[kN/m]、i番目の拡径部の傾斜面の最外縁の周長をψ[m]、i番目の拡径部の傾斜面の高さをhNi[m]、i番目の拡径部の傾斜面の杭軸部からの突出長さをDNi[m]、前記突出長さにかかる調整係数をk、i番目の拡径部の傾斜面における地盤の抵抗力の低減係数をβとしている。
Figure 0004856903
また、本実施形態では節付丸杭の引抜抵抗力を計算する場合について説明したが、本発明の引抜抵抗力の計算方法の原理は節付壁杭にも同様に適用することができる。
ここで、発明者らは、式(10)における定数kを求めるために以下に説明する実験を行なった。図4は本実験の実験対象として用いた節付杭及び節付壁杭を埋設した地盤の土質及びN値を示すための図である。同図に示すように、本実験は試験体として、壁杭の中間部及び下端部に拡径部を設けた壁杭を用いた。実験を行った地盤は、地盤表面付近の表土層と、表土層の下に位置する土丹層と、土丹層の下に位置する砂層からなる。土丹層は粘土質の地盤であり、そのN値は深さによらず50N程度である。節付壁杭は、その下端が土丹層内まで達しており、また、その節部及び拡底部は土丹層内に位置するように設計されている。
以上の実験により得られた、節部及び拡底部が負担する引抜抵抗力から、式(10)におけるkを0、1、2、3として逆算し、節部及び拡底部付近の地盤のせん断抵抗力度を求め、実際のせん断抵抗力度と比較することにより、式(10)における変数kの適当な値を求めた。
図5は、節部と拡径部における上記の引抜抵抗力の計算方法においてkを0、1、2、3とした場合の逆算により求めた地盤の極限せん断抵抗力度及び実際の地盤のせん断抵抗力度を示すグラフである。なお、図中の彩色部は節部及び拡底部におけるせん断面付近の極限せん断抵抗力度の平均値を示している。
同図に示すように、kが0、1、2の場合は、逆算により算出されたせん断抵抗力度の値が実際のせん断抵抗力度に比べ非常に大きい値であるが、k=3の場合には、節部及び拡底部において、逆算により求めたせん断抵抗力度の値が実際のせん断抵抗力度の値と非常に近い値となっている。このことから、式(10)における変数kを3付近の値とすることで拡径部の傾斜面における引抜抵抗力を正確に算出することができることがわかる。
上記の実験の結果に基づき発明者らはkを3またはそれに近い値(2.5〜3.5程度)とすることを提案する。
なお、式(10)における低減係数βは、安全性を確保するための低減係数であり、上記の実験結果も踏まえ、0.85又はそれに近い値(0.8〜0.9程度)とした。
また、式(10)を用いて拡径部の引抜抵抗力を算出するためには、極限せん断抵抗力fsiの値が必要となるが、これらの値を算出する方法はこれまで確立されていない。そこで、発明者らは、通常、基礎構造を設計する際は、予め地盤調査等によりその土地のN値や土の一軸圧縮強さ等を調べ、それに基づき設計を行うことに鑑みて、これらの地盤調査により得られるN値や一軸圧縮強さ等の値から、極限せん断抵抗力fsiを算出することとした。
具体的には、発明者らは、極限せん断抵抗力fsiを算出する方法として、地盤が粘性土である場合について、図6に示すN値及び非排水せん断強さと極限せん断抵抗力fsiとの関係式を提案する。図中のNは上側の傾斜面付近の地盤の平均N値を示しており、Cは上側の傾斜面付近の地盤の平均非排水せん断強さを、φは上側の傾斜面付近の地盤の内部摩擦角を示している。なお、非排水せん断強さは土の一軸圧縮強さの1/2と等しいとする。また、内部摩擦角はN値等から推定することができる。同図に示すように、極限せん断抵抗力度fsiは、砂質土の場合にはpsitan2/3φ以上、かつpsitanφ以下を満たす値、粘性土の場合にはCとし、その上限値は1000[kN/m]とする。
以下、上記の値について説明する。
砂質土における極限せん断抵抗力度fsiはpsitan2/3φ以上、かつpsitanφ以下を満たす値としたが、この値は以下のように定めた。
建築学会設計指針には、「支持地盤が砂質土の場合には内部摩擦角φに対するtanφを摩擦係数とする」と記載されている。ここで、極限せん断抵抗力度fsiを円筒面上のせん断面に作用する平均垂直圧psiに対する摩擦力と考えれば以下の式が導かれる。
si=psitanφ …(11)
さらに、せん断面上において砂粒子が高圧下でせん断される際、粒子破壊を生じて内部摩擦角が低下することを考慮し、φに代えて2/3φ〜φを採用すると、式(11)は以下の式のようになる。
Figure 0004856903
また、平均垂直圧psiは以下の式で与える。
si=K・1/2・pvi …(13)
式(13)では、極限支圧力度pviの1/2を、想定する砂質土の円筒内における平均鉛直圧とした。また、Kは土圧係数を示し、この値は杭の支持力理論として知られている空洞押し広げ理論によればかなり大きな値になる可能性がある。しかし、設計上の安全性を考慮して、日本建築学会「建築基礎構造設計指針 2001年」において、地下壁に作用する静止土圧係数として推奨されているK=0.5を採用する。
また、式(13)におけるpviとしては以下の式に示す値を用いることとした。
vi=150N …(14)
この値は以下のように定めた。
「国土交通省告示第1113号」には基礎杭の先端の地盤の許容応力度qとして以下の式(15)が記載されている。なお、式中のNは基礎杭先端付近の地盤付近の平均N値である。
=150N/3 …(15)
ここで、qは基礎杭に押し込み力が作用する際の地盤が耐えうる極限支持力度を表し、式(14)におけるpviは基礎杭に引抜力が作用する際の地盤の圧縮力に対する最大圧縮応力度を表している。pviとqは杭の押し込みと引抜という杭に働く力の状態は異なるが、粘性土中及び十分深い位置の砂質土中では、地盤の極限支持力度は力の作用方向によらないため、この値を用いることができる。
また、式(15)において150Nは極限支圧力度であり、150Nを3で除しているが、この値はいわゆる安全率である。式(14)では、本実施形態における砂質土の極限支圧力度psiには安全率で除した値ではなく、150Nを用いることとした。これにより、式(12)、式(13)及び式(14)により砂質土における極限せん断抵抗力度fsiを算出することができる。
粘性土における極限せん断抵抗力度fsiはCとしたが、この値は以下のように定めた。
節付杭に引抜力が作用すると、拡径部の上部の地盤は引抜力方向に圧縮力を受ける。この時、節付杭の表面は非常に粗いので、傾斜面付近の地盤の土砂は節付杭と一体となって引抜力に抵抗するため、拡径部上方の地盤内にせん断すべりを生じる。
地盤内部にせん断破壊が生じている場合には、極限せん断抵抗力度は地盤の非排水せん断強さに対応した値となる。このため、本実施形態における極限せん断抵抗力度として地盤の非排水せん断強さを用いることができる。
極限せん断抵抗力度fsiの最大値を1000[kN/m]としたが、この値は以下のように定めた。そもそも、せん断抵抗力度として非排水せん断強さを用いることとしたが、これによれば、非排水せん断強さが大きければ、いくらでも大きい値を用いることが可能になってしまう。建築学会設計指針では、粘性土と杭周面との間にせん断面が生じた場合は非排水せん断強度Cの最大値として100[kN/m]を用いることとされている。この値は地盤と杭体表面の境界でせん断破壊が生じている場合の最大値であり、本実施形態では地盤内でせん断破壊が生じているので、その最大値は100[kN/m]よりも大きくなることが言える。そこで、安全性を確保するため、後述する実験値を考慮に入れ、1000[kN/m]とした。
以上の方法により得られた極限せん断抵抗力fsiを式(10)に代入することで上側の傾斜面が負担する引抜抵抗力を算出できる。このため、算出された拡径部の上側の傾斜面が負担する引抜抵抗力と、拡径部の鉛直部及び杭軸部の負担する引抜抵抗力とを合計することで節付杭の極限引抜抵抗力を算出することが可能となる。
例えば、前記の建築学会指針には、極限周面摩擦力度の値として、砂質土においてはτ=3.3N(上限N=50)、粘性土においては、τ=C(上限C=100[kN/m])と記載されている。そこで、砂質土においては杭周面地盤の平均N値をNに、粘性土においては杭周面地盤の平均非排水せん断強度をCに代入し、杭周面積をかけることで、節付杭の軸部及び拡径部の鉛直部の引抜抵抗力を算出することができる。このため、節付杭全体の引抜抵抗力として、節付杭の軸部及び拡径部の鉛直部の引抜抵抗力の合計と、上側の傾斜面の引抜抵抗力の合計との和を用いることで、より正確な引抜抵抗力を算出することができる。
図7は、発明者らが想定した押込抵抗力を決定するせん断面を示す図である。節付杭に押込力が作用すると、下側の傾斜部7の傾斜面9の最外縁(すなわち傾斜面の下端)より下方にせん断すべりを生じる。そこで、引抜力が作用した場合と同様に、図7における破線のように、下側の傾斜面9の最外縁より鉛直下方向にせん断面が形成され、このせん断面により拡径部3,4の下側の傾斜部7の負担する引抜抵抗力が決定されると想定できる。なお、鉛直部5には節付杭1を包囲する地盤との間に摩擦が起こり、押込力と逆向きに周面摩擦力が作用する。また、上側の傾斜部6においては、地盤と上側の傾斜面8とが離間する方向に押込力が働くため、押込抵抗力は作用しない。図3と図7を比較するとわかるように、節付杭1に引抜力が作用した場合に節付杭1の各部に作用する力と逆向きに働いている。このため、節付杭の作用した場合の抵抗力も引抜力を算出した場合と同じ原理によって導くことができる。
よって、節付杭の傾斜面に作用する押込抵抗力の合計T’[kN]は以下の式のようにあらわされる。なお、拡径部の個数をN、i番目の拡径部のせん断面付近の地盤の極限せん断抵抗力をf’si[kN/m]、i番目の拡径部の傾斜面の最外縁の周長をψ'[m]、i番目の拡径部の傾斜面の高さをh’Ni [m]、i番目の拡径部の傾斜面の杭軸部からの突出長さをD’ Ni[m]、前記突出長さにかかる調整係数をk’、i番目の拡径部の傾斜面における地盤の抵抗力の低減係数をβ’としている。
Figure 0004856903
また、抵抗力の算出の原理が同じであるので、式(16)におけるβ’、f’si、k’として引抜抵抗力の計算方法におけるβ、fsi、kを用いることができる。
なお、引抜抵抗力を算出する場合には、節付杭の底面は引抜力を受けると地盤と離間する方向に引抜力が作用するため、底面における地盤支持力は考慮する必要はなかったが、押込力を算出する場合には、節付杭の底面が負担する抵抗力も考慮しなければならない。
本実施形態の節付杭の引抜抵抗力及び押込抵抗力の計算方法によれば、拡径部の径のみではなく、傾斜面の高さ及び傾斜面の径が最大となる部分の径と軸部における径との差を用いて引抜抵抗力を算出するため、拡径部の突出部分の高さ及び大きさを用いて引抜抵抗力を算出することができるため、より正確な引抜抵抗力及び押込抵抗力を算出することができる。このため、引抜抵抗力の過小評価による過剰設計や引抜抵抗力及び押込抵抗力の過大評価による安全性の低下を減らし、コストの削減又は安全性の向上が可能になる。
また、図6に示す非排水せん断強度と、極限せん断抵抗力fsiとの関係を用いることで、通常の地盤調査により得られた非排水せん断強度または一軸圧縮強度から極限せん断抵抗力fsiを求めることができる。これにより、上記の引抜試験を実施する必要がなくなるため、コストの低減及び工期の削減が可能となる。
引抜抵抗力の算定の対象となる節付丸杭の断面図である。 (A)は引抜抵抗力の算定の対象となる節付壁杭の正面断面図、(B)は側面断面図である。 引抜力が作用した場合の、拡径杭に作用する力を示すための図である。 定数kを求めるための実験対象として用いた節付杭及び節付杭を埋設した地盤の土質及びN値を示すための図である 節部と拡径部における逆算により求めた地盤の極限せん断抵抗力度及び実際の地盤のせん断抵抗力度を示すグラフである。 N値及び非排水せん断強さと極限せん断抵抗力fsiとの関係式を示す表である。 押込力が作用した場合の、節付杭に作用する力を示すための図である。
符号の説明
1 節付杭
2 杭軸部
3 節部
4 拡底部
5 鉛直部
6 上側の傾斜部
7 下側の傾斜部
8 上側の傾斜面
9 下側の傾斜面
11 節付壁杭
12 壁杭本体

Claims (9)

  1. 下側ほど径が大きくなるように傾斜した傾斜面を含んだ拡径部を1つ又は複数有する節付杭の引抜抵抗力を計算する方法であって、
    前記傾斜面の最外縁を外周とし、かつ前記傾斜面における径の最大値と最小値の差と、前記傾斜面の高さとに基づき求めた有効高さに相当する高さを有するせん断面を想定し、
    前記拡径部の個数をN、i番目の拡径部のせん断面付近の地盤の極限せん断抵抗力をfsi[kN/m]、i番目の拡径部の傾斜面の最外縁の周長をψ[m]、i番目の拡径部の傾斜面の高さをhNi[m]、i番目の拡径部の傾斜面の杭軸部からの突出長さをDNi[m]、前記突出長さにかかる調整係数をk、i番目の拡径部の傾斜面における地盤の抵抗力の低減係数をβとする場合に、
    各拡径部の傾斜面の極限引抜抵抗力の和T[kN]を以下の式(1)で求めることを特徴とする節付杭の引抜抵抗力の計算方法。
    Figure 0004856903
  2. 前記調整係数kを2.5以上かつ3.5以下の値とすることを特徴とする請求項記載節付杭の引抜抵抗力の計算方法。
  3. 前記低減係数βを0.8以上かつ0.9以下の値とすることを特徴とする請求項または記載の節付杭の引抜抵抗力の計算方法。
  4. 請求項からのうちいずれか1項記載の節付杭の引抜抵抗力の計算方法であって、
    砂質土内に埋設されたi番目の拡径部の傾斜面付近の平均N値をN、内部摩擦角をφ、土圧係数をKとしたとき、
    前記式(1)における極限せん断抵抗力度をfsiとして、
    前記極限せん断抵抗力度fsiを以下の式(2)、式(3)及び式(4)を満たす値として決定し、
    式(2)、式(3)及び式(4)により算出された極限せん断抵抗力度fsiが1000[kN/m]未満である場合は、前記算出された極限せん断抵抗力度を、
    式(2)、式(3)及び式(4)により算出された極限せん断抵抗力度fsiが1000[kN/m]以上である場合は、1000[kN/m]を
    用いることを特徴とする節付杭の引抜抵抗力計算方法。
    si=K×(1/2)×150N …(2)
    K=0.5 …(3)
    Figure 0004856903
  5. 請求項からのうちいずれか1項記載の節付杭の引抜抵抗力の計算方法であって、
    前記式(1)における極限せん断抵抗力度をfsiとして、
    粘性土内に埋設された拡径部の傾斜面付近の非排水せん断強さの平均をCとしたとき、
    前記極限せん断抵抗力度fsiを以下の式(5)で求め、
    式(5)により算出された極限せん断抵抗力度fsiが1000[kN/m]未満である場合は、前記算出された極限せん断抵抗力度を
    式(5)により算出された極限せん断抵抗力度fsiが1000[kN/m]以上である場合は、1000[kN/m]を用いることを特徴とする節付杭の引抜抵抗力計算方法。
    si=C …(5)
  6. 上側ほど径が大きくなるように傾斜した傾斜面を含んだ拡径部を1つ又は複数有する節付杭の押込抵抗力を計算する方法であって、
    前記傾斜面の最外縁を外周とし、かつ前記傾斜面における径の最大値と最小値の差と、前記傾斜面の高さとに基づき求めた有効高さに相当する高さを有するせん断面を想定し、
    前記拡径部の個数をN、i番目の拡径部のせん断面付近の地盤の極限せん断抵抗力をf’si[kN/m]、i番目の拡径部の傾斜面の最外縁の周長をψ’[m]、i番目の拡径部の傾斜面の高さをh’Ni[m]、i番目の拡径部の傾斜面の杭軸部からの突出長さをD’Ni[m]、前記突出長さにかかる調整係数をk’、i番目の拡径部の傾斜面における地盤の抵抗力の低減係数をβ’とする場合に、
    各拡径部の傾斜面の極限押込抵抗力の和T’[kN]を以下の式(6)で求めることを特徴とする節付杭の押込抵抗力の計算方法。
    Figure 0004856903
  7. 下側ほど径が大きくなるように傾斜した傾斜面を含んだ拡径部を1つ又は複数有する節付杭の設計方法であって、請求項1からのうちいずれか1項記載の節付杭の引抜抵抗力の計算方法により算出された引抜抵抗力が所定の基準抵抗力以上となるように設計することを特徴とする節付杭の設計方法。
  8. 上側ほど径が大きくなるように傾斜した傾斜面を含んだ拡径部を1つ又は複数有する節付杭の設計方法であって、請求項記載の節付杭の押込抵抗力の計算方法により算出された押込抵抗力が所定の基準抵抗力以上となるように設計することを特徴とする節付杭の設計方法。
  9. 請求項又は記載の節付杭の設計方法により設計されたことを特徴とする節付杭。
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