JP4856140B2 - 車両用自動変速機の制御装置 - Google Patents

車両用自動変速機の制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4856140B2
JP4856140B2 JP2008243651A JP2008243651A JP4856140B2 JP 4856140 B2 JP4856140 B2 JP 4856140B2 JP 2008243651 A JP2008243651 A JP 2008243651A JP 2008243651 A JP2008243651 A JP 2008243651A JP 4856140 B2 JP4856140 B2 JP 4856140B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
learning
timer value
time
automatic transmission
control
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008243651A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010077981A (ja
Inventor
真悟 鈴木
茂樹 島中
幹 八木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JATCO Ltd
Original Assignee
JATCO Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JATCO Ltd filed Critical JATCO Ltd
Priority to JP2008243651A priority Critical patent/JP4856140B2/ja
Publication of JP2010077981A publication Critical patent/JP2010077981A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4856140B2 publication Critical patent/JP4856140B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/62Hybrid vehicles

Landscapes

  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Description

本発明は、変速機構に車両発進時に締結される発進用摩擦要素を有する車両用自動変速機の制御装置に関する。
従来、非走行レンジ(例えば、Nレンジ)から走行レンジ(例えば、Dレンジ)へのセレクト操作時、発進用摩擦要素の締結開始(ガタ詰め)のタイミングを、変速機入力回転数であるタービン回転数の低下量に基づいて検出する車両用自動変速機の制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−11026号公報
しかしながら、従来の車両用自動変速機の制御装置にあっては、セレクト操作時、発進用摩擦要素の締結開始タイミングを、変速機入力回転数の低下量に基づいてのみ検出するものであるため、車両のパワートレインの構成、あるいは、運転状態によっては、変速機入力回転数の低下が非常に小さくなったり、変速機入力回転数の変化が不安定な変化となったりし、変速機入力回転数の低下に基づく発進用摩擦要素の締結開始タイミングを検出できないことがある、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、セレクト発進時、変速機入力回転数の低下を検出できない場合であっても、発進用摩擦要素の締結開始タイミングの判定を確保することができるばかりでなく、セレクトショックを抑制しつつ、ドライバーに違和感を与えることのない適正なタイミングにて締結開始判定を行うことができる車両用自動変速機の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の車両用自動変速機の制御装置では、
走行用駆動源に変速機入力軸が接続され、変速機出力軸が駆動輪に接続され、変速機構に車両発進時に締結される発進用摩擦要素を有する自動変速機と、
非走行レンジから走行レンジへのセレクト操作時、前記発進用摩擦要素の締結開始タイミングの判定により、前記発進用摩擦要素の油圧制御をピストンストローク圧制御からセレクトフェーズ圧制御へと移行するセレクト発進時油圧制御手段と、
前記ピストンストローク圧制御での指示油圧を予め定めた目標締結開始時間に一致するように油圧学習補正するセレクト発進時学習補正制御手段と、
を備えている。
前記セレクト発進時油圧制御手段は、前記ピストンストローク圧制御による変速機入力回転数の低下を検出すると、その検出時点を締結開始タイミングであると判定する締結開始判定部と、変速機入力回転数の低下を検出できない場合、セレクト操作時からカウントアップされたタイマー値が、予め定めた目標締結開始時間より長い時間に設定されたバックアップタイマー値になると、その時点を締結開始タイミングであると判定するバックアップタイマー判定部を有する。
前記セレクト発進時学習補正制御手段は、前記バックアップタイマー判定部に設定されたバックアップタイマー値を、前記油圧学習補正の収束度合いに基づいて、前記目標締結開始時間に近づける補正を行うタイマー値学習補正部を有する。
よって、本発明の車両用自動変速機の制御装置にあっては、セレクト発進時、締結開始判定部において、変速機入力回転数の低下を検出すると、変速機入力回転数の低下検出時点が締結開始タイミングであると判定される。一方、変速機入力回転数の低下を検出できない場合、バックアップタイマー判定部において、セレクト操作時からカウントアップされたタイマー値が、予め定めた目標締結開始時間より長い時間に設定されたバックアップタイマー値になると、その時点が締結開始タイミングであると判定される。そして、タイマー値学習補正部において、バックアップタイマー判定部のバックアップタイマー値を、油圧学習補正の収束度合いに基づいて、目標締結開始時間に近づける補正が行われる。
したがって、セレクト発進時、変速機入力回転数の低下を検出できない場合であっても、バックアップタイマー値を用いた時間管理により、発進用摩擦要素の締結開始タイミングを判定することができる。加えて、バックアップタイマー値が適正値に学習補正されるため、バックアップタイマー値による判定が実際の締結開始タイミングよりも早い場合に生じるセレクトショックを抑制することができる。また、バックアップタイマー値による判定が実際の締結開始タイミングよりも遅い場合に生じる駆動力応答性の低下により、ドライバーに違和感を与えることもない。
この結果、セレクト発進時、変速機入力回転数の低下を検出できない場合であっても、発進用摩擦要素の締結開始タイミングの判定を確保することができるばかりでなく、セレクトショックを抑制しつつ、ドライバーに違和感を与えることのない適正なタイミングにて締結開始判定を行うことができる。
以下、本発明の車両用自動変速機の制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1および実施例2に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の車両用自動変速機の制御装置が適用された後輪駆動によるFRハイブリッド車両(車両の一例)を示す全体システム図である。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、エンジンEng(走行用駆動源)と、フライホイールFWと、第1クラッチCL1と、モータジェネレータMG(走行用駆動源)と、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)と、を有する。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
前記エンジンEngは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、エンジンコントローラ1からのエンジン制御指令に基づいて、エンジン始動制御やエンジン停止制御やスロットルバルブのバルブ開度制御が行われる。なお、エンジン出力軸には、フライホイールFWが設けられている。
前記第1クラッチCL1は、前記エンジンEngとモータジェネレータMGの間に介装されたクラッチであり、第1クラッチコントローラ5からの第1クラッチ制御指令に基づいて、第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された第1クラッチ制御油圧により、半クラッチ状態を含み締結・解放が制御される。
前記モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、モータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この状態を「力行」と呼ぶ)、ロータがエンジンEngや駆動輪から回転エネルギを受ける場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能し、バッテリ4を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。なお、このモータジェネレータMGのロータは、ダンパーを介して自動変速機ATの変速機入力軸に連結されている。
前記第2クラッチCL2は、前記モータジェネレータMGと左右後輪RL,RRの間に介装されたクラッチであり、ATコントローラ7からの第2クラッチ制御指令に基づいて、第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、スリップ締結とスリップ解放を含み締結・解放が制御される。なお、第1クラッチ油圧ユニット6と第2クラッチ油圧ユニット8は、自動変速機ATに付設されるAT油圧コントロールバルブユニットCVUに内蔵している。
前記自動変速機ATは、例えば、前進7速/後退1速等の有段階の変速段を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り換える有段変速機であり、前記第2クラッチCL2は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、トルク伝達経路に配置される最適なクラッチやブレーキを選択している。そして、前記自動変速機ATの出力軸は、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。
前記第1クラッチCL1としては、例えば、ピストン14aを有する油圧アクチュエータ14により締結・解放が制御される乾式単板クラッチが用いられる。前記第2クラッチCL2としては、例えば、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できる湿式多板クラッチや湿式多板ブレーキが用いられる。このハイブリッド駆動系は、第1クラッチCL1の締結・解放状態に応じて、電気自動車走行モード(以下、「EVモード」という。)とハイブリッド車走行モード(以下、「HEVモード」という。)の2つの走行モードを有する。「EVモード」は、第1クラッチCL1を解放状態とし、モータジェネレータMGの動力のみで走行するモードである。「HEVモード」は、第1クラッチCL1を締結状態とし、エンジンEngとモータジェネレータMGの動力で走行するモードである。
次に、ハイブリッド車両の制御系を説明する。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、情報交換が互いに可能なCAN通信線11を介して接続されている。
前記エンジンコントローラ1は、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数情報と、統合コントローラ10からの目標エンジントルク指令と、他の必要情報を入力する。そして、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、エンジンEngのスロットルバルブアクチュエータ等へ出力する。
前記モータコントローラ2は、モータジェネレータMGのロータ回転位置を検出するレゾルバ13からの情報と、統合コントローラ10からの目標MGトルク指令および目標MG回転数指令と、他の必要情報を入力する。そして、モータジェネレータMGのモータ動作点(Nm,Tm)を制御する指令をインバータ3へ出力する。なお、このモータコントローラ2では、バッテリ4の充電容量をあらわすバッテリSOCを監視していて、このバッテリSOC情報は、モータジェネレータMGの制御情報に用いられると共に、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
前記第1クラッチコントローラ5は、油圧アクチュエータ14のピストン14aのストローク位置を検出する第1クラッチストロークセンサ15からのセンサ情報と、統合コントローラ10からの目標CL1トルク指令と、他の必要情報を入力する。そして、第1クラッチCL1の締結・解放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVU内の第1クラッチ油圧ユニット6に出力する。
前記ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16と、車速センサ17と、他のセンサ類18(変速機入力回転数センサ、インヒビタースイッチ等)からの情報を入力する。そして、Dレンジを選択しての走行時、アクセル開度APOと車速VSPにより決まる運転点がシフトマップ上で存在する位置により最適な変速段を検索し、検索された変速段を得る制御指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVUに出力する。なお、シフトマップとは、アクセル開度と車速に応じてアップシフト線とダウンシフト線を書き込んだマップをいう。上記自動変速制御に加えて、統合コントローラ10から目標CL2トルク指令を入力した場合、第2クラッチCL2の締結・解放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVU内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する第2クラッチ制御を行う。
前記ブレーキコントローラ9は、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ19と、ブレーキストロークセンサ20からのセンサ情報と、統合コントローラ10からの回生協調制御指令と、他の必要情報を入力する。そして、例えば、ブレーキ踏み込み制動時、ブレーキストロークBSから求められる要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を機械制動力(液圧制動力やモータ制動力)で補うように、回生協調ブレーキ制御を行う。
前記統合コントローラ10は、車両全体の消費エネルギを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、モータ回転数Nmを検出するモータ回転数センサ21や他のセンサ・スイッチ類22からの必要情報およびCAN通信線11を介して情報を入力する。そして、エンジンコントローラ1へ目標エンジントルク指令、モータコントローラ2へ目標MGトルク指令および目標MG回転数指令、第1クラッチコントローラ5へ目標CL1トルク指令、ATコントローラ7へ目標CL2トルク指令、ブレーキコントローラ9へ回生協調制御指令を出力する。
図2は、実施例1の車両用自動変速機の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10にて実行される演算処理を示す制御ブロック図である。図3は、FRハイブリッド車両の統合コントローラ10でのモード選択処理を行う際に用いられるEV-HEV選択マップを示す図である。以下、図2及び図3に基づき、実施例1の統合コントローラ10にて実行される演算処理を説明する。
前記統合コントローラ10は、図2に示すように、目標駆動力演算部100と、モード選択部200と、目標充放電演算部300と、動作点指令部400とを有する。
前記目標駆動力演算部100では、目標駆動力マップを用いて、アクセル開度APOと車速VSPとから、目標駆動力tFoOを演算する。
前記モード選択部200では、図3に示すEV-HEV選択マップを用いて、アクセル開度APOと車速VSPとから、「EVモード」または「HEVモード」を目標走行モードとして選択する。但し、バッテリSOCが所定値以下であれば、強制的に「HEVモード」を目標走行モードとする。
前記目標充放電演算部300では、目標充放電量マップを用いて、バッテリSOCから目標充放電電力tPを演算する。
前記動作点指令部400では、アクセル開度APOと、目標駆動力tFoOと、目標走行モードと、車速VSPと、目標充放電電力tP等の入力情報に基づき、動作点到達目標として、目標エンジントルクと目標MGトルクと目標MG回転数と目標CL1トルクと目標CL2トルクを演算する。そして、目標エンジントルク指令と目標MGトルク指令と目標MG回転数指令と目標CL1トルク指令と目標CL2トルク指令を、CAN通信線11を介して各コントローラ1,2,5,7に出力する。
図4は、実施例1の車両用自動変速機の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両に搭載された自動変速機ATの一例を示すスケルトン図である。
前記自動変速機ATは、前進7速後退1速の有段式自動変速機であり、エンジンEgとモータジェネレータMGのうち、少なくとも一方からの駆動力が変速機入力軸Inputから入力され、4つの遊星ギアと7つの摩擦締結要素とによって回転速度が変速されて変速機出力軸Outputから出力される。次に、変速機入力軸Inputと変速機出力軸Outputとの間の変速ギア機構(変速機構)について説明する。
変速機入力軸Input側から変速機出力軸Output側までの軸上に、順に第1遊星ギアG1と第2遊星ギアG2による第1遊星ギアセットGS1及び第3遊星ギアG3と第4遊星ギアG4による第2遊星ギアセットGS2が配置されている。また、摩擦締結要素として第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第3ブレーキB3、第4ブレーキB4が配置されている。また、第1ワンウェイクラッチF1と第2ワンウェイクラッチF2が配置されている。
前記第1遊星ギアG1は、第1サンギアS1と、第1リングギアR1と、両ギアS1,R1に噛み合う第1ピニオンP1を支持する第1キャリアPC1と、を有するシングルピニオン型遊星ギアである。
前記第2遊星ギアG2は、第2サンギアS2と、第2リングギアR2と、両ギアS2,R2に噛み合う第2ピニオンP2を支持する第2キャリアPC2と、を有するシングルピニオン型遊星ギアである。
前記第3遊星ギアG3は、第3サンギアS3と、第3リングギアR3と、両ギアS3,R3に噛み合う第3ピニオンP3を支持する第3キャリアPC3と、を有するシングルピニオン型遊星ギアである。
前記第4遊星ギアG4は、第4サンギアS4と、第4リングギアR4と、両ギアS4,R4に噛み合う第4ピニオンP4を支持する第4キャリアPC4と、を有するシングルピニオン型遊星ギアである。
前記変速機入力軸Inputは、第2リングギアR2に連結され、走行用駆動源(エンジンEgとモータジェネレータMG)からの回転駆動力を入力する。前記変速機出力軸Outputは、第3キャリアPC3に連結され、出力回転駆動力を、ファイナルギア等を介して駆動輪(左右後輪RL,RR)に伝達する。
前記第1リングギアR1と第2キャリアPC2と第4リングギアR4とは、第1連結メンバM1により一体的に連結される。前記第3リングギアR3と第4キャリアPC4とは、第2連結メンバM2により一体的に連結される。前記第1サンギアS1と第2サンギアS2とは、第3連結メンバM3により一体的に連結される。
前記第1遊星ギアセットGS1は、第1遊星ギアG1と第2遊星ギアG2とを、第1連結メンバM1と第3連結メンバM3とによって連結することで、4つの回転要素を有して構成される。また、第2遊星ギアセットGS2は、第3遊星ギアG3と第4遊星ギアG4とを、第2連結メンバM2によって連結することで、5つの回転要素を有して構成される。
前記第1遊星ギアセットGS1では、トルクが変速機入力軸Inputから第2リングギアR2に入力され、入力されたトルクは第1連結メンバM1を介して第2遊星ギアセットGS2に出力される。前記第2遊星ギアセットGS2では、トルクが変速機入力軸Inputから直接第2連結メンバM2に入力されると共に、第1連結メンバM1を介して第4リングギアR4に入力され、入力されたトルクは第3キャリアPC3から変速機出力軸Outputに出力される。
前記第1クラッチC1(インプットクラッチI/C)は、変速機入力軸Inputと第2連結メンバM2とを選択的に断接するクラッチである。前記第2クラッチC2(ダイレクトクラッチD/C)は、第4サンギアS4と第4キャリアPC4とを選択的に断接するクラッチである。前記第3クラッチC3(H&LRクラッチH&LR/C)は、第3サンギアS3と第4サンギアS4とを選択的に断接するクラッチである。
また、前記第2ワンウェイクラッチF2は、第3サンギアS3と第4サンギアS4の間に配置されている。これにより、第3クラッチC3が解放され、第3サンギアS3よりも第4サンギアS4の回転速度が大きい時、第3サンギアS3と第4サンギアS4とは独立した回転速度を発生する。よって、第3遊星ギアG3と第4遊星ギアG4が第2連結メンバM2を介して接続された構成となり、それぞれの遊星ギアが独立したギア比を達成する。
前記第1ブレーキB1(フロントブレーキFr/B)は、第1キャリアPC1の回転をトランスミッションケースCaseに対し選択的に停止させるブレーキである。また、第1ワンウェイクラッチF1は、第1ブレーキB1と並列に配置されている。前記第2ブレーキB2(ローブレーキLOW/B)は、第3サンギアS3の回転をトランスミッションケースCaseに対し選択的に停止させるブレーキである。前記第3ブレーキB3(2346ブレーキ2346/B)は、第1サンギアS1及び第2サンギアS2を連結する第3連結メンバM3の回転をトランスミッションケースCaseに対し選択的に停止させるブレーキである。前記第4ブレーキB4(リバースブレーキR/B)は、第4キャリアPC3の回転をトランスミッションケースCaseに対し選択的に停止させるブレーキである。
図5は、実施例1の車両用自動変速機の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両に搭載された自動変速機ATでの変速段ごとの各摩擦締結要素の締結状態を示す締結作動表である。なお、図2において、○印は当該摩擦締結要素が締結状態であることを示し、(○)印は少なくともエンジンブレーキ作動時に当該摩擦締結要素が締結状態であることを示し、無印は当該摩擦締結要素が解放状態であることを示す。
上記のように構成された変速ギア機構に設けられた各摩擦締結要素のうち、締結していた1つの摩擦締結要素を解放し、解放していた1つの摩擦締結要素を締結するという掛け替え変速を行うことで、下記のように、前進7速で後退1速の変速段を実現することができる。
すなわち、「1速段」では、第2ブレーキB2(発進用摩擦要素)のみが締結状態となり、これにより第1ワンウェイクラッチF1及び第2ワンウェイクラッチF2が係合する。「2速段」では、第2ブレーキB2及び第3ブレーキB3が締結状態となり、第2ワンウェイクラッチF2が係合する。「3速段」では、第2ブレーキB2、第3ブレーキB3及び第2クラッチC2が締結状態となり、第1ワンウェイクラッチF1及び第2ワンウェイクラッチF2はいずれも係合しない。「4速段」では、第3ブレーキB3、第2クラッチC2及び第3クラッチC3が締結状態となる。「5速段」では、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第3クラッチC3が締結状態となる。「6速段」では、第3ブレーキB3、第1クラッチC1及び第3クラッチC3が締結状態となる。「7速段」では、第1ブレーキB1、第1クラッチC1及び第3クラッチC3が締結状態となり、第1ワンウェイクラッチF1が係合する。「後退速段」では、第4ブレーキB4、第1ブレーキB1及び第3クラッチC3が締結状態となる。
ここで、図1に示す第2クラッチCL2としては、各変速段にて締結される摩擦締結要素を選択可能であるが、例えば、「1速段〜3速段」で第2ブレーキB2、「4速段」で第2クラッチC2、「5速段」で第3クラッチC3、「6速段と7速段」で第1クラッチC1が用いられる。
図6は、実施例1のATコントローラ7にて実行されるN−Dセレクト操作によるセレクト発進時油圧制御処理の流れを示すフローチャートである(セレクト発進時油圧制御手段)。以下、各ステップについて説明する。なお、このセレクト発進時油圧制御処理は、発進用摩擦要素である第2ブレーキB2の締結油圧の制御を行う。
ステップS61では、コントロールレバーによるセレクト位置(N,D,P,R等)を検出するインヒビタースイッチからのスイッチ信号に基づき、ニュートラルレンジからドライブレンジへのセレクト操作、つまり、N−Dセレクトが行われた否かを判断し、YES(N−Dセレクト有り)の場合はステップS62へ移行し、NO(N−Dセレクト無し)の場合はステップS61での判断を繰り返す。
ステップS62では、ステップS61でのN−Dセレクト有りとの判断、あるいは、ステップS65でのタイマー値<バックアップタイマー値であるとの判断に続き、タイマーのカウントアップを行い、ステップS63へ移行する。
ステップS63では、ステップS62でのタイマーカウントアップに続き、自動変速機ATの変速機入力軸の回転数を検出する変速機入力回転数センサからのセンサ信号に基づき、入力回転数変化率あるいは入力回転数変化量が所定値以上であるか否かを判断し、YES(入力回転数変化率あるいは入力回転数変化量が所定値以上)の場合ステップS64へ移行し、NO(入力回転数変化率あるいは入力回転数変化量が所定値未満)の場合はステップS65へ移行する(締結開始判定部)。
ここで、「入力回転数変化率」は、変速機入力回転数を時間により微分演算処理することで求められる。「入力回転数変化量」は、N−Dセレクト開始時の変速機入力回転数を記憶しておき、この記憶値と今回検出された変速機入力回転数の差により求められる。「所定値」は、発進用摩擦要素である第2ブレーキB2の締結開始判定を行う閾値であり、予め定められる。
ステップS64では、ステップS63での入力回転数変化率あるいは入力回転数変化量が所定値以上であるとの判断に続き、N−Dセレクト開始時点からステップS63の締結開始判定条件が成立した時点までの実締結開始時間と、予め定めた目標締結開始時間との偏差を演算し、ステップS66へ移行する。
ここで、「目標締結開始時間」は、自動変速機ATのノミナル品(構成部品のバラツキを抑えた基準品)を用い、N−Dセレクト操作時、圧力条件等を異ならせたピストンストローク圧制御により得られる締結開始時間の測定実験を行い、その実験結果として得られた複数の締結開始時間(=トルクの発生開始時間)のうち、ショックの発生や間延び感を与えることない最も適切な締結開始時間を選択することで決める。
ステップS65では、ステップS63での入力回転数変化率あるいは入力回転数変化量が所定値未満であるとの判断に続き、N−Dセレクト開始時点からカウントアップされているタイマー値が、設定されているバックアップタイマー値以上であるか否かを判断し、YES(タイマー値≧バックアップタイマー値)の場合はステップS66へ移行し、NO(タイマー値<バックアップタイマー値)の場合はステップS62へ戻る(バックアップタイマー判定部)。
ここで、「バックアップタイマー値」は、初期値として、様々なバラツキを考慮しても実際の締結開始タイミングより早期のタイミングによる判定とならないように、目標締結開始時間に、様々なバラツキ分のマージンを加えた時間、つまり、目標締結開始時間より十分に長い時間に設定される。そして、N−Dセレクト経験を重ねることによりタイマー値学習補正が行われたら、補正後のバックアップタイマー値に書き換えられる。
ステップS66では、ステップS64での実締結開始時間と目標締結開始時間の偏差演算、あるいは、ステップS65でのタイマー値≧バックアップタイマー値であるとの判断に続き、N−Dセレクト開始時から行われていたピストンストローク圧制御から、セレクトフェーズ圧制御へと移行し、セレクトフェーズ圧制御が終了したらエンドへ進む。
ここで、「ピストンストローク圧制御」とは、N−Dセレクト開始直後に行われバルブ回路に油を満たすキックチャージ圧制御と、第2ブレーキB2のピストン油室に油を満たすプリチャージ圧制御を経過した後、複数のブレーキプレート間の隙間を埋める(ガタ詰め)ために行われる油圧制御をいう。
「セレクトフェーズ圧制御」とは、セレクト発進操作による締結開始判定後、第2ブレーキB2を締結過渡期にフェーズを進行させるために行う油圧制御をいう。例えば、締結開始判定後、第2ブレーキB2の滑り締結により出力トルクをコントロールしながら発進するWSCフェーズ圧制御を行う。その後、変速機入力回転数を1速回転数まで徐々に低下させるイナーシャフェーズ圧制御から、1速圧まで油圧を立ち上げる終了フェーズ圧制御を経過し、第2ブレーキB2をライン圧により締結する1速フェーズ圧制御へと移行するような制御をいう。なお、前記「WSC」とは、「Wet Start Clutchの略」である。
図7は、実施例1のATコントローラ7にて実行されるN−Dセレクト操作によるセレクト発進時学習補正制御処理の流れを示すフローチャートである(セレクト発進時学習補正制御手段)。図8は、実締結開始時間と目標締結開始時間との偏差に対する油圧学習量(補正量)を示す油圧学習量特性図である。図9は、実締結開始時間と目標締結開始時間との偏差に対するバックアップタイマー学習量(補正量)を示すバックアップタイマー学習量特性図である。図10は、N−Dセレクト経験に基づいてバックアップタイマー値の学習補正が行われる際の偏差または油圧学習量の収束特性とバックアップタイマー値特性を示すタイムチャートである。以下、図7に示すフローチャートの各ステップについて説明する。
ステップS71では、スタート後、あるいは、ステップS71とステップS75とステップS78の条件不成立判断に続き、実締結開始時間と目標締結開始時間の偏差が演算されたN−Dセレクトを経験したか否かを判断し、YES(偏差演算のN−Dセレクト経験有り)の場合はステップS72へ移行し、NO(偏差演算のN−Dセレクト経験無し)の場合はステップS71の判断を繰り返す。
ステップS72では、ステップS71での偏差演算のN−Dセレクト経験有りとの判断に続き、セレクト発進時油圧制御処理フローチャートにて演算された実締結開始時間と目標締結開始時間の偏差を読み込み、ステップS73へ移行する。
ステップS73では、ステップS72での偏差読み込みに続き、読み込まれた偏差と、予め設定されている油圧学習量特性(図8)から、ピストンストローク圧制御時の油圧学習量を演算し、ステップS74へ移行する。
ここで、油圧学習量特性は、図8に示すように、偏差が正の値で実締結開始時間が目標締結開始時間より長い時間であるとき、ピストンストローク圧を高くする補正量を与え、偏差が負の値で実締結開始時間が目標締結開始時間より短い時間であるとき、ピストンストローク圧を低くする補正量を与える。油圧学習量(補正量)は、偏差εが−ε1〜+ε1のとき油圧学習量=0とし、偏差εが−ε1〜−ε2または+ε1〜+ε2のとき−ε2または+ε2に近づくほど油圧学習量の絶対値を大きな量とし、偏差εが−ε2〜−ε3または+ε2〜+ε3のとき油圧学習量の絶対値を大きな一定量とし、偏差εが−ε3未満または+ε3を超えるとき油圧学習量の絶対値を小さな一定量とする。
ステップS74では、ステップS73での油圧学習量の演算に続き、読み込まれた偏差と、予め設定されているバックアップタイマー学習量特性(図9)から、セレクトフェーズ圧制御へ移行するために設定されているバックアップタイマー値の補正量であるバックアップタイマー学習量を演算し、ステップS75へ移行する。
ここで、バックアップタイマー学習量特性は、図9に示すように、偏差が正の値であるか負の値であるかにかかわらず、油圧学習補正による偏差の収束度合いに応じ、バックアップタイマー値を短くし、目標締結開始時間に近づける負の値による補正量を与える。バックアップタイマー学習量(補正量)は、偏差εが−ε4〜+ε4のときバックアップタイマー学習量=0とし、偏差εが−ε4〜−ε5または+ε4〜+ε5のとき−ε5または+ε5に近づくほどバックアップタイマー学習量を大きな量とし、偏差εが−ε5〜−ε6または+ε5〜+ε6のときバックアップタイマー学習量を大きな一定量とし、偏差εが−ε6未満または+ε6を超えるときバックアップタイマー学習量=0とする。
ステップS7へ移行する。
ステップS75では、ステップS74でのバックアップタイマー学習量の演算に続き、N−Dセレクト操作時から第2ブレーキB2の締結開始までの目標締結開始時間を取得するのに必要な複数の条件を学習許可条件とし、この複数の学習許可条件が同時に成立するか否かを判断し、YES(複数の学習許可条件が同時成立)の場合はステップS76へ移行し、NO(複数の学習許可条件のうち不成立条件有り)の場合はステップS71へ戻る(学習許可条件判定部)。
ここで、複数の学習許可条件とは、例えば、
・油温条件(第1閾値≦油温≦第2閾値)
・スロットル開度条件(TVO≦閾値)
・スロットル開速度条件(ΔTVO≦閾値)
・車速条件(VSP≦閾値)
・変速機出力回転数条件(OutREV≦閾値)
・アイドル条件(アイドルSWがON)
・エンジン始動条件(Eng始動一回目かつ油温≧閾値、Eng始動二回目以降)
・エアコン作動条件(エアコンON→OFF、エアコンOFF→ON以外)
・セレクトタイマー条件(D−Nタイマー≧閾値、R−Nタイマー≧閾値)
・セレクトモード条件(N−DまたはN−R)
・フェール条件(各種フェール時以外)
をいう。
ステップS76では、ステップS75での複数の学習許可条件が同時成立との判断に続き、ステップS73にて演算された油圧学習量によりピストンストローク圧制御時の指示油圧を補正し、ステップS77へ移行する(油圧学習補正部)。
ステップS77では、ステップS76でのピストンストローク圧制御時の指示油圧補正に続き、ステップS74にて演算されたバックアップタイマー学習量によりセレクト発進時油圧制御処理で用いられるバックアップタイマー値を補正し、ステップS78へ移行する(タイマー値学習補正部)。
すなわち、図10に示すように、油圧学習補正による偏差εあるいは油圧学習量の収束度合いに連動してバックアップタイマー値を補正する。具体的には、偏差εが±ε6となった時点からバックアップタイマー値の補正を開始し、偏差εが収束していき±ε4に近づくにしたがって徐々にバックアップタイマー値を短くする補正を行い、偏差εが±ε4となった時点にてバックアップタイマー値の補正を終了する。偏差εが±ε4となった時点にて補正を終了するのは、あくまでバックアップタイマー値であるので、偏差εが収束を完了(偏差ε=0)する前にマージンを持って学習(補正)を止める。
ステップS78では、ステップS77でのセレクト発進時油圧制御処理で用いられるバックアップタイマー値の補正に続き、偏差εが補正終了閾値である±ε4以下か否かを判断し、YES(偏差≦±ε4)の場合はエンドへ移行し、NO(偏差>±ε4)の場合はステップS71へ戻る。
次に、作用を説明する。
まず、「発進用摩擦要素の締結開始判定技術が有する課題」の説明を行い、続いて、実施例1の車両用自動変速機の制御装置における作用を、「N−Dセレクト発進時における発進用摩擦要素圧制御作用」、「N−Dセレクト発進経験による学習補正制御作用」に分けて説明する。
[発進用摩擦要素の締結開始判定技術が有する課題]
特開平6−11026号公報には、NレンジからDレンジへのセレクト操作時、発進用摩擦要素の締結開始(ガタ詰め)のタイミングを、変速機入力回転数であるタービン回転数の低下量に基づいて検出するものが知られている。
しかし、車両のパワートレインの構成、あるいは、運転状態によっては、変速機入力回転数(タービン回転数)の低下に基づく発進用摩擦要素の締結開始タイミングを検出できない場合がある。
例えば、実施例1に示すように、走行駆動源としてエンジンの他にモータジェネレータを備えたハイブリッド車両では、停車中にモータジェネレータが変速機入力回転数を目標回転数に保つ回転数制御を行う。このため、N−Dセレクト操作時に発進用摩擦要素が締結を開始し始めたとしても、モータジェネレータの回転数制御が働くことにより、低下しかかった変速機入力回転数がすぐに高められる。したがって、変速機入力回転数の低下量が、運転状態によっては非常に小さくなり、変速機入力回転数の低下に基づく発進用摩擦要素の締結開始タイミングを検出できない。
また、走行用駆動源としてエンジンのみを備えたエンジン車両(コンベ車)であっても、N−Dセレクト操作後のアクセル踏み込みにより、変速機入力回転数が吹け上がる場合は、発進用摩擦要素が締結を開始しても変速機入力回転数の低下量はごく僅かであり、また、変速機入力回転数の変化が不安定な変化となるため、変速機入力回転数の低下に基づく発進用摩擦要素の締結開始タイミングを検出できない。
このように、変速機入力回転数の低下に基づく発進用摩擦要素の締結開始タイミングを検出できない場合、バックアップタイマーを用いた時間管理により、発進用摩擦要素の締結開始を検出することになる。すなわち、NレンジからDレンジへのセレクト操作があったときからの時間を計測し、バックアップタイマー値による所定時間が経過したときを発進用摩擦要素の締結開始と判定する手法である。
しかし、発進用摩擦要素の締結開始タイミングは、個体バラツキ等によって一定ではなく、バックアップタイマー値により判定された締結開始タイミングが、実際の締結開始タイミングより早期のタイミングになると、発進用摩擦要素が急締結されて大きなセレクトショックが発生してしまうため、バックアップタイマー値は、マージンを持たせて十分に長い値に設定せざるを得ない。
しかしながら、このようなバックアップタイマー値の設定では、発進用摩擦要素の締結開始を判定するまでの時間に長いタイムラグが生じ、ドライバーが発進を意図してアクセルペダルを踏み込んでいるのにもかかわらず、セレクトフェーズ圧制御へ移行せず、駆動輪へ伝達される駆動力の発生が遅くなるというように、駆動力応答性が悪くなり、ドライバーに対し違和感を与える等の問題が生じる。
このように、変速機入力回転数の低下とバックアップタイマーの併用により、発進用摩擦要素の締結開始タイミング判定を行おうとする場合、変速機入力回転数の低下により判定できないときには、発進用摩擦要素の締結開始タイミングの判定が遅れてしまうことを回避することができない。特に、エンジン車両に比べて、変速機入力回転数の低下に基づいて発進用摩擦要素の締結開始タイミングを判定できない頻度が高くなるハイブリッド車両においては、解決すべき大きな課題となる。
[N−Dセレクト発進時における発進用摩擦要素圧制御作用]
図11は、N−Dセレクト発進時におけるセレクトレンジ・発進用摩擦要素圧・変速機入力回転数・入力回転数変化率・油圧学習補正・タイマー値学習補正の各特性を示すタイムチャートである。
N−Dセレクト発進時、図11の変速機入力回転数特性と入力回転数変化率特性に示すように、変速機入力回転数の低下(変化)により、発進用摩擦要素の締結開始タイミングを判定できる場合であって、入力回転数変化率(変化量)が所定値未満のときは、図6のフローチャートにおいて、ステップS61→ステップS62→ステップS63→ステップS65へと進み、その後、ステップS62→ステップS63→ステップS65へと進む流れが繰り返される。
そして、入力回転数変化率(変化量)が所定値以上になると、図6のフローチャートにおいて、ステップS63から、ステップS64→ステップS66へと進む。ステップS64では、N−Dセレクト開始時点からステップS63の締結開始判定条件が成立した時点までの実締結開始時間と、予め定めた目標締結開始時間との偏差が演算される。また、ステップS66では、N−Dセレクト開始時から行われていたピストンストローク圧制御から、セレクトフェーズ圧制御へ移行される。
N−Dセレクト発進時、変速機入力回転数の低下(変化)により、発進用摩擦要素の締結開始タイミングを判定できない場合であって、タイマー値がバックアップタイマー値未満のときは、図6のフローチャートにおいて、ステップS61→ステップS62→ステップS63→ステップS65へと進み、その後、ステップS62→ステップS63→ステップS65へと進む流れが繰り返される。
そして、タイマー値がバックアップタイマー値以上になると、図6のフローチャートにおいて、ステップS65からステップS66へと進む。このステップS66では、N−Dセレクト開始時から行われていたピストンストローク圧制御から、セレクトフェーズ圧制御へ移行される。
N−Dセレクト開始時から発進用摩擦要素の締結開始判定までの間のうち、N−Dセレクト開始直後には、図11に示すように、ステップ的に高圧作動油を供給するキックチャージ圧制御が行われ、バルブ回路に作動油が満たされる。続いて、キックチャージ圧より少し低い圧によるプリチャージ圧制御が行われ、第2ブレーキB2のピストン油室に作動油が満たされる。そして、予め定めた指示圧と時間によるキックチャージ圧制御とプリチャージ圧制御を終了すると、プリチャージ圧に比べ油圧レベルを低く抑えたピストンストローク圧制御が行われ、第2ブレーキB2(発進用摩擦要素)の複数のブレーキプレート間の隙間を埋めて、伝達トルクが発生する状態までガタ詰めされる。
発進用摩擦要素の締結開始判定後に移行するセレクトフェーズ圧制御では、図11に示すように、締結開始判定後、ピストンストローク圧に比べ油圧レベルを低く抑え、第2ブレーキB2を滑り締結させることにより、駆動力となる出力トルクをコントロールしながら発進するWSCフェーズ圧制御が行われる。その後、変速機入力回転数を1速回転数まで徐々に低下させるイナーシャフェーズ圧制御が行われ、イナーシャフェーズ圧制御が終了すると、1速圧まで油圧を立ち上げる終了フェーズ圧制御が行われ、さらに、第2ブレーキB2をライン圧により締結する1速フェーズ圧制御が行われる。
このように、N−Dセレクト発進時、ステップS63において、変速機入力回転数の低下を検出すると、変速機入力回転数の低下検出時点が締結開始タイミングであると判定される。一方、変速機入力回転数の低下を検出できない場合、ステップS65において、N−Dセレクト操作時からカウントアップされたタイマー値が、予め定めた目標締結開始時間より長い時間に設定されたバックアップタイマー値になると、その時点が締結開始タイミングであると判定される。したがって、N−Dセレクト発進時、変速機入力回転数の低下を検出できない場合であっても、バックアップタイマー値を用いた時間管理により、発進用摩擦要素である第2ブレーキB2の締結開始タイミングを判定することができる。
[N−Dセレクト発進経験による学習補正制御作用]
図12は、タイマー値学習補正による効果代を説明するため各バラツキを考慮した現状でのバックアップタイマー値(=本仕様での初期のバックアップタイマー値)と本仕様での学習後のバックアップタイマー値の対比を示す図である。
図6のフローチャートにおいて、実締結開始時間と目標締結開始時間の偏差が演算されたN−Dセレクトを経験した場合であって、目標締結開始時間を取得するのに必要な複数の学習許可条件が同時に成立する場合には、図7のフローチャートにおいて、ステップS71→ステップS72→ステップS73→ステップS74→ステップS75→ステップS76→ステップS77へと進む。
ここで、ステップS73では、読み込まれた偏差と、予め設定されている油圧学習量特性(図8)から、ピストンストローク圧制御時の油圧学習量が演算され、ステップS76では、ステップS73にて演算された油圧学習量によりピストンストローク圧制御時の指示油圧が補正される(図11の油圧学習補正)。
この油圧学習補正と併せて、ステップS74では、読み込まれた偏差と、予め設定されているバックアップタイマー学習量特性(図9)から、セレクトフェーズ圧制御へ移行するために設定されているバックアップタイマー値の補正量であるバックアップタイマー学習量が演算され、ステップS77では、ステップS74にて演算されたバックアップタイマー学習量によりセレクト発進時油圧制御処理で用いられるバックアップタイマー値が補正される(図11のタイマー値学習補正)。
そして、図7のフローチャートにおいて、ステップS78ヘと進み、ステップS78にて偏差>±ε4と判定されている間は、ステップS71へ戻って、油圧学習補正とタイマー値学習補正が繰り返される。その後、ステップS78にて偏差≦±ε4と判定されるとエンドへ移行する。
すなわち、図11の油圧学習補正特性に示すように、学習補正前において、目標締結開始時間に対しガタ詰め時間が短い場合には、ピストンストローク圧制御時の油圧学習量として負の値が演算され、ピストンストローク圧制御時の指示油圧を低下させる補正が行われる。この油圧学習補正によって、ガタ詰め時間が目標締結開始時間に近づいていき、最終的には、ガタ詰め時間(=実締結開始時間)が目標締結開始時間にほぼ一致することになる。
一方、図11のタイマー値学習補正特性に示すように、学習補正前において、初期のバックアップタイマー値は、各バラツキを考慮し、目標締結開始時間より十分に長い時間に設定されている。しかし、初期のバックアップタイマー値は、油圧学習補正の収束度合い(偏差εの大きさや油圧学習量の大きさを指標として判断)が、収束方向になるにしたがって、バックアップタイマー学習量が演算され、ステップS65のバックアップタイマー値を短くする補正が行われる。このタイマー値学習補正によって、バックアップタイマー値がシーン毎の目標締結開始時間に近づいていき、最終的には、バックアップタイマー値が僅かのマージンを残してシーン毎の目標締結開始時間に接近する。すなわち、油圧学習制御により、実締結開始時間が目標締結開始時間に近づくのに連動し、タイマー値学習補正により、バックアップタイマー値がシーン毎の目標締結開始時間に近づくという学習補正作用を示すことになる。
したがって、バックアップタイマー値が、僅かのマージンを残してシーン毎の目標締結開始時間に接近する適正値に学習補正されるため、バックアップタイマー値による判定が実際の締結開始タイミングよりも早い場合に生じるセレクトショックを抑制することができる。また、バックアップタイマー値による判定が実際の締結開始タイミングよりも遅い場合に生じる駆動力応答性の低下により、ドライバーに違和感を与えることもない。
ここで、図12を用いてタイマー値学習補正による効果代を説明する。
まず、各バラツキを考慮した現状でのバックアップタイマー値(=本仕様での初期のバックアップタイマー値)は、図12の上部に示すように、操作パターン、油温等の環境バラツキ、トルクバラツキ、ハードバラツキ(μバラツキとクラッチクリアランス等)、油圧バラツキの全てを加え、上記各バラツキがあったとしても、棚外れしない時間に設定されている。
これに対し、本仕様での学習後のバックアップタイマー値は、実締結開始時間を目標締結開始時間に近づける油圧学習補正により、油圧バラツキと、ハードバラツキのうちクラッチクリアランス等によるバラツキをキャンセルすることができるため、これらのバラツキを除いた時間に設定されることになる。
したがって、油圧バラツキとクラッチクリアランス等によるバラツキの分が、タイマー値学習補正による効果代となる。なお、タイマー値学習補正に油温を追加すれば、環境バラツキ分も時間を短くすることが可能である。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用自動変速機の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 走行用駆動源(エンジンEng、モータジェネレータMG)に変速機入力軸Inputが接続され、変速機出力軸Outputが駆動輪(左右後輪RL,RR)に接続され、変速機構に車両発進時に締結される発進用摩擦要素(第2ブレーキB2)を有する自動変速機ATと、非走行レンジ(Nレンジ)から走行レンジ(Dレンジ)へのセレクト操作時、前記発進用摩擦要素の締結開始タイミングの判定により、前記発進用摩擦要素の油圧制御をピストンストローク圧制御からセレクトフェーズ圧制御へと移行するセレクト発進時油圧制御手段(図6)と、前記ピストンストローク圧制御での指示油圧を予め定めた目標締結開始時間に一致するように油圧学習補正するセレクト発進時学習補正制御手段(図7)と、を備えた車両用自動変速機の制御装置において、前記セレクト発進時油圧制御手段(図6)は、前記ピストンストローク圧制御による変速機入力回転数Niの低下を検出すると、その検出時点を締結開始タイミングであると判定する締結開始判定部(ステップS63)と、変速機入力回転数Niの低下を検出できない場合、セレクト操作時からカウントアップされたタイマー値が、予め定めた目標締結開始時間より長い時間に設定されたバックアップタイマー値になると、その時点を締結開始タイミングであると判定するバックアップタイマー判定部(ステップS65)を有し、前記セレクト発進時学習補正制御手段(図7)は、前記バックアップタイマー判定部に設定されたバックアップタイマー値を、前記油圧学習補正の収束度合いに基づいて、前記目標締結開始時間に近づける補正を行うタイマー値学習補正部(ステップS77)を有する。このため、セレクト発進時(N−Dセレクト発進時)、変速機入力回転数Niの低下を検出できない場合であっても、発進用摩擦要素(第2ブレーキB2)の締結開始タイミングの判定を確保することができるばかりでなく、セレクトショックを抑制しつつ、ドライバーに違和感を与えることのない適正なタイミングにて締結開始判定を行うことができる。
(2) 前記セレクト発進時学習補正制御手段(図7)は、変速機入力回転数Niの低下により締結開始タイミングの判定を経験したとき、セレクト操作時(N−Dセレクト操作時)から変速機入力回転数Niが低下するまでの実締結開始時間を取得し、予め定めた目標締結開始時間に対する取得された実締結開始時間の乖離状態(偏差ε)に基づいて、前記ピストンストローク圧制御での指示油圧を学習補正する油圧学習補正部(ステップS76)を有する。このため、油圧学習補正時、ピストンストローク圧制御での指示油圧を、速やかに実締結開始時間を目標締結開始時間に一致させる方向に補正することができる。
(3) 前記セレクト発進時学習補正制御手段(図7)は、セレクト操作時(N−Dセレクト操作時)から締結開始までの前記目標締結開始時間を取得するのに必要な複数の条件を学習許可条件とし、複数の学習許可条件が同時に成立するか否かを判定する学習許可条件判定部(ステップS75)を設け、前記油圧学習補正部(ステップS76)は、前記学習許可条件判定部による学習許可条件の成立時にピストンストローク圧制御での指示油圧を油圧学習量により補正することを許可する。このため、油圧学習補正時、学習に不適切な条件を含んで指示油圧補正を行う場合のような油圧学習量の変動が抑えられ、高い収束性により目標締結開始時間に近づける指示油圧補正を行うことができる。
(4) 前記タイマー値学習補正部(ステップS77)は、予め定めた目標締結開始時間に対する取得された実締結開始時間の乖離量(偏差ε)、または、前記ピストンストローク圧制御での指示油圧の補正量である油圧学習量を、前記油圧学習補正の収束度合いの指標値とし、バックアップタイマー値の補正を行う。このため、タイマー値学習補正において、制御処理中に演算される情報を指標値としながら、油圧学習補正の収束度合いを的確に推定することができる。
(5) 前記タイマー値学習補正部(ステップS77)は、前記油圧学習補正の収束度合いが高いほど、前記バックアップタイマー判定部(ステップS65)に設定されたバックアップタイマー値を、徐々に短いタイマー値に補正する。このため、タイマー値学習補正において、油圧学習補正が収束方向に移行し始める時点からバックアップタイマー値の補正が開始されることで、タイマー値学習補正の応答性を確保しながら、セレクトショックを抑制しつつ、締結開始判定を実際の締結開始タイミングに向かって徐々に近づけることができる。
(6) 前記自動変速機ATは、変速機入力軸Inputに走行用駆動源としてエンジンEngとモータジェネレータMGが接続されるハイブリッド車両(FRハイブリッド車両)に搭載され、前記モータジェネレータMGは、停車中、変速機入力回転数Niを目標回転数に保つ回転数制御により回転駆動する。このため、エンジン車両に比べ、変速機入力回転数Niの低下に基づいて発進用摩擦要素の締結開始タイミングを判定できない頻度が高くなるハイブリッド車両において、変速機入力回転数Niの低下により判定できないセレクト発進時に、発進用摩擦要素の締結開始タイミングの判定が遅れてしまうことを効果的に防止することができる。
実施例2は、油圧学習補正の収束を判定したら、バックアップタイマー値を狙いの値に一気に書き換えるようにした例である。
まず、構成を説明する。
図13は、実施例2のATコントローラ7にて実行されるN−Dセレクト操作によるセレクト発進時学習補正制御処理の流れを示すフローチャートである(セレクト発進時学習補正制御手段)。図14は、実締結開始時間と目標締結開始時間との偏差に対する油圧学習量(補正量)を示す油圧学習量特性図である。図15は、N−Dセレクト経験に基づいてバックアップタイマー値の学習補正が行われる際の偏差または油圧学習量の収束特性とバックアップタイマー値特性を示すタイムチャートである。以下、図13に示すフローチャートの各ステップについて説明する。なお、図13のステップS131,ステップS132,ステップS133,ステップS134,ステップS135の各ステップは、図7のステップS71,ステップS72,ステップS73,ステップS75,ステップS76の各ステップに対応するので、説明を省略する。
ステップS136では、ステップS135でのピストンストローク圧制御時の指示油圧補正に続き、偏差あるいは油圧学習量が収束しているか否かを判定し、YES(収束判定有り)の場合はステップS137へ移行し、NO(収束判定無し)の場合はステップS13へ戻る。
ここで、偏差あるいは油圧学習量の収束判定に用いる判定閾値は、図14に示すように、偏差については±ε0、油圧学習量については±ΔP0に設定する。すなわち、偏差≦±ε0または油圧学習量≦±ΔP0が成立すると、油圧学習補正が収束であると判定する。
ステップS137では、ステップS136での学習(偏差)の収束判定に続き、セレクト発進時油圧制御処理で用いられるバックアップタイマー値を、マージンを抑えた狙いのバックアップタイマー値に書き換える補正をし、エンドへ移行する(タイマー値学習補正部)。
すなわち、図15に示すように、油圧学習補正による偏差εあるいは油圧学習量が収束してゆき、収束判定がなされると、棚外れを考慮して長めに設定されているバックアップタイマー値が、一気に狙いのバックアップタイマー値に補正される。この場合も、あくまでバックアップタイマー値であるので、狙いのバックアップタイマー値はマージンを持ったものとされる。なお、他の構成は、実施例1の図1〜図6に示す構成と同様であるので、図示ならびに説明を省略する。
次に、作用を説明する。
実施例2の車両用自動変速機の制御装置における「N−Dセレクト発進経験による学習補正制御作用」を説明する。
[N−Dセレクト発進経験による学習補正制御作用]
図6のフローチャートにおいて、実締結開始時間と目標締結開始時間の偏差が演算されたN−Dセレクトを経験した場合であって、目標締結開始時間を取得するのに必要な複数の学習許可条件が同時に成立する場合には、図13のフローチャートにおいて、ステップS131→ステップS132→ステップS133→ステップS134→ステップS135→ステップS136へと進む。
ここで、ステップS133では、読み込まれた偏差と、予め設定されている油圧学習量特性(図14)から、ピストンストローク圧制御時の油圧学習量が演算され、ステップS135では、ステップS133にて演算された油圧学習量によりピストンストローク圧制御時の指示油圧が補正される(図11の油圧学習補正)。
そして、図13のフローチャートにおいて、ステップS136にて、学習(偏差)が収束していないと判定されている間は、ステップS131へ戻って、油圧学習補正が繰り返される。その後、ステップS136にて、学習(偏差)が収束したと判定されると、ステップS137へと進み、セレクト発進時油圧制御処理で用いられるバックアップタイマー値を、マージンを抑えた狙いのバックアップタイマー値に書き換える補正が行われる。
すなわち、油圧学習制御により、実締結開始時間が目標締結開始時間に近づいて収束していると判定されると、この収束判定に連動し、タイマー値学習補正により、初期のバックアップタイマー値を、シーン毎の目標締結開始時間による狙いのバックアップタイマー値に、一気に近づけるという学習補正作用を示すことになる。
したがって、バックアップタイマー値が、僅かのマージンを残してシーン毎の目標締結開始時間に接近する適正値に学習補正されるため、バックアップタイマー値による判定が実際の締結開始タイミングよりも早い場合に生じるセレクトショックを抑制することができる。また、バックアップタイマー値による判定が実際の締結開始タイミングよりも遅い場合に生じる駆動力応答性の低下により、ドライバーに違和感を与えることもない。
加えて、タイマー値学習補正において、油圧学習補正が収束判定されるまではバックアップタイマー値は初期値のままで、収束判定時にバックアップタイマー値が狙いの値に補正されることで、実施例1のように毎回演算する必要が無く、演算負荷が軽減されることになる。
なお、「N−Dセレクト発進時における発進用摩擦要素圧制御作用」は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両用自動変速機の制御装置にあっては、実施例1の(1)〜(4),(6)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(7) 前記セレクト発進時学習補正制御手段(図13)は、前記油圧学習補正の収束度合いをあらわす指標値が閾値以下となった場合に学習収束であると判定する学習収束判定部(ステップS136)を設け、前記タイマー値学習補正部(ステップS137)は、前記学習収束判定部により学習収束であると判定されると、前記バックアップタイマー判定部(ステップS65)に設定されたバックアップタイマー値を、目標締結開始時間に近い狙いのバックアップタイマー値に書き換える。このため、タイマー値学習補正において、油圧学習補正が収束判定されるまではバックアップタイマー値は初期値のままで、収束判定時にバックアップタイマー値が狙いの値に補正されることで、補正演算負荷の増大を抑えながら、セレクトショックを抑制しつつ、締結開始判定を実際の締結開始タイミングに向かって一気に近づけることができる。
以上、本発明の車両用自動変速機の制御装置を実施例1および実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1,2では、NレンジからDレンジへのセレクト発進を行う例を示した。しかし、NレンジからRレンジへのセレクト発進を行う例としても良い。さらに、PレンジからDレンジやPレンジからRレンジへのセレクト発進を行う例であっても良い。
実施例1,2では、自動変速機として、前進7速後退1速の自動変速機の例を示した。しかし、前進7速以外の変速段を有する有段変速機の例としても良い。さらに、無段階の変速比を得る無段変速機の例であっても良い。要するに、走行用駆動源に変速機入力軸が接続され、変速機出力軸が駆動輪に接続され、変速機構に車両発進時に締結される発進用摩擦要素を有する自動変速機であれば、具体的な自動変速機の構成は、実施例1,2の構成に限られることはない。
実施例1,2では、車両用自動変速機の制御装置をFRハイブリッド車両に適用する例を示したが、FFハイブリッド車両は勿論のこと、走行用駆動源としてエンジンのみを備えたエンジン車両に対しても適用することができる。さらに、走行用駆動源としてモータのみを備えた電気自動車や燃料電池車等の車両用自動変速機の制御装置に対しても適用することができる。
実施例1の車両用自動変速機の制御装置が適用された後輪駆動によるFRハイブリッド車両(車両の一例)を示す全体システム図である。 実施例1の車両用自動変速機の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10にて実行される演算処理を示す制御ブロック図である。 FRハイブリッド車両の統合コントローラ10でのモード選択処理を行う際に用いられるEV-HEV選択マップを示す図である。 実施例1の車両用自動変速機の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両に搭載された自動変速機ATの一例を示すスケルトン図である。 実施例1の車両用自動変速機の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両に搭載された自動変速機ATでの変速段ごとの各摩擦締結要素の締結状態を示す締結作動表である。 実施例1のATコントローラ7にて実行されるN−Dセレクト操作によるセレクト発進時油圧制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のATコントローラ7にて実行されるN−Dセレクト操作によるセレクト発進時学習補正制御処理の流れを示すフローチャートである。 実締結開始時間と目標締結開始時間との偏差に対する油圧学習量(補正量)を示す油圧学習量特性図である。 実締結開始時間と目標締結開始時間との偏差に対するバックアップタイマー学習量(補正量)を示すバックアップタイマー学習量特性図である。 N−Dセレクト経験に基づいてバックアップタイマー値の学習補正が行われる際の偏差または油圧学習量の収束特性とバックアップタイマー値特性を示すタイムチャートである。 N−Dセレクト発進時におけるセレクトレンジ・発進用摩擦要素圧・変速機入力回転数・入力回転数変化率・油圧学習補正・タイマー値学習補正の各特性を示すタイムチャートである。 タイマー値学習補正による効果代を説明するため各バラツキを考慮した現状でのバックアップタイマー値(=本仕様での初期のバックアップタイマー値)と本仕様での学習後のバックアップタイマー値の対比を示す図である。 実施例2のATコントローラ7にて実行されるN−Dセレクト操作によるセレクト発進時学習補正制御処理の流れを示すフローチャートである(セレクト発進時学習補正制御手段)。 実締結開始時間と目標締結開始時間との偏差に対する油圧学習量(補正量)を示す油圧学習量特性図である。 N−Dセレクト経験に基づいてバックアップタイマー値の学習補正が行われる際の偏差または油圧学習量の収束特性とバックアップタイマー値特性を示すタイムチャートである。
符号の説明
Eng エンジン(走行用駆動源)
MG モータジェネレータ(走行用駆動源)
Input 変速機入力軸
Output 変速機出力軸
RL 左後輪(駆動輪)
RR 右後輪(駆動輪)
B2 第2ブレーキB2(発進用摩擦要素)
AT 自動変速機
7 ATコントローラ

Claims (7)

  1. 走行用駆動源に変速機入力軸が接続され、変速機出力軸が駆動輪に接続され、変速機構に車両発進時に締結される発進用摩擦要素を有する自動変速機と、
    非走行レンジから走行レンジへのセレクト操作時、前記発進用摩擦要素の締結開始タイミングの判定により、前記発進用摩擦要素の油圧制御をピストンストローク圧制御からセレクトフェーズ圧制御へと移行するセレクト発進時油圧制御手段と、
    前記ピストンストローク圧制御での指示油圧を予め定めた目標締結開始時間に一致するように油圧学習補正するセレクト発進時学習補正制御手段と、
    を備えた車両用自動変速機の制御装置において、
    前記セレクト発進時油圧制御手段は、前記ピストンストローク圧制御による変速機入力回転数の低下を検出すると、その検出時点を締結開始タイミングであると判定する締結開始判定部と、変速機入力回転数の低下を検出できない場合、セレクト操作時からカウントアップされたタイマー値が、予め定めた目標締結開始時間より長い時間に設定されたバックアップタイマー値になると、その時点を締結開始タイミングであると判定するバックアップタイマー判定部を有し、
    前記セレクト発進時学習補正制御手段は、前記バックアップタイマー判定部に設定されたバックアップタイマー値を、前記油圧学習補正の収束度合いに基づいて、前記目標締結開始時間に近づける補正を行うタイマー値学習補正部を有することを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。
  2. 請求項1に記載された車両用自動変速機の制御装置において、
    前記セレクト発進時学習補正制御手段は、変速機入力回転数の低下により締結開始タイミングの判定を経験したとき、セレクト操作時から変速機入力回転数が低下するまでの実締結開始時間を取得し、予め定めた目標締結開始時間に対する取得された実締結開始時間の乖離状態に基づいて、前記ピストンストローク圧制御での指示油圧を学習補正する油圧学習補正部を有することを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。
  3. 請求項2に記載された車両用自動変速機の制御装置において、
    前記セレクト発進時学習補正制御手段は、セレクト操作時から締結開始までの前記目標締結開始時間を取得するのに必要な複数の条件を学習許可条件とし、複数の学習許可条件が同時に成立するか否かを判定する学習許可条件判定部を設け、
    前記油圧学習補正部は、前記学習許可条件判定部による学習許可条件の成立時にピストンストローク圧制御での指示油圧を油圧学習量により補正することを許可することを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載された車両用自動変速機の制御装置において、
    前記タイマー値学習補正部は、予め定めた目標締結開始時間に対する取得された実締結開始時間の乖離量、または、前記ピストンストローク圧制御での指示油圧の補正量である油圧学習量を、前記油圧学習補正の収束度合いの指標値とし、バックアップタイマー値の補正を行うことを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載された車両用自動変速機の制御装置において、
    前記タイマー値学習補正部は、前記油圧学習補正の収束度合いが高いほど、前記バックアップタイマー判定部に設定されたバックアップタイマー値を、徐々に短いタイマー値に補正することを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。
  6. 請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載された車両用自動変速機の制御装置において、
    前記セレクト発進時学習補正制御手段は、前記油圧学習補正の収束度合いをあらわす指標値が閾値以下となった場合に学習収束であると判定する学習収束判定部を設け、
    前記タイマー値学習補正部は、前記学習収束判定部により学習収束であると判定されると、前記バックアップタイマー判定部に設定されたバックアップタイマー値を、目標締結開始時間に近い狙いのバックアップタイマー値に書き換えることを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。
  7. 請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載された車両用自動変速機の制御装置において、
    前記自動変速機は、変速機入力軸に走行用駆動源としてエンジンとモータジェネレータが接続されるハイブリッド車両に搭載され、
    前記モータジェネレータは、停車中、変速機入力回転数を目標回転数に保つ回転数制御により回転駆動することを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。
JP2008243651A 2008-09-24 2008-09-24 車両用自動変速機の制御装置 Active JP4856140B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008243651A JP4856140B2 (ja) 2008-09-24 2008-09-24 車両用自動変速機の制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008243651A JP4856140B2 (ja) 2008-09-24 2008-09-24 車両用自動変速機の制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010077981A JP2010077981A (ja) 2010-04-08
JP4856140B2 true JP4856140B2 (ja) 2012-01-18

Family

ID=42208669

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008243651A Active JP4856140B2 (ja) 2008-09-24 2008-09-24 車両用自動変速機の制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4856140B2 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5455790B2 (ja) * 2010-05-28 2014-03-26 ダイハツ工業株式会社 発進クラッチ制御装置
JP5496855B2 (ja) 2010-11-01 2014-05-21 ジヤトコ株式会社 車両の制御装置
JP5693151B2 (ja) 2010-11-01 2015-04-01 ジヤトコ株式会社 車両の制御装置
JP5496854B2 (ja) 2010-11-01 2014-05-21 ジヤトコ株式会社 車両の制御装置
JP5693152B2 (ja) 2010-11-01 2015-04-01 ジヤトコ株式会社 車両の油圧制御装置
JP5383626B2 (ja) * 2010-11-01 2014-01-08 ジヤトコ株式会社 車両の制御装置
JP5501260B2 (ja) 2011-02-03 2014-05-21 ジヤトコ株式会社 車両の制御装置
JP5759547B2 (ja) * 2011-07-01 2015-08-05 ジヤトコ株式会社 車両の制御装置
EP2727786B1 (en) * 2011-07-01 2019-05-15 Jatco Ltd Device for controlling hybrid vehicle
CN104602942B (zh) * 2012-08-31 2017-05-03 日产自动车株式会社 空档判定装置以及车辆的控制装置
JP5993357B2 (ja) * 2013-09-13 2016-09-14 ジヤトコ株式会社 車両の制御装置
JP6651686B2 (ja) * 2015-10-28 2020-02-19 ジヤトコ株式会社 自動変速機の制御装置
JP6269691B2 (ja) * 2016-01-20 2018-01-31 トヨタ自動車株式会社 車両用動力伝達装置の制御装置
JP6278080B1 (ja) * 2016-08-18 2018-02-14 マツダ株式会社 自動変速機の変速制御装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3189216B2 (ja) * 1992-06-25 2001-07-16 ジヤトコ・トランステクノロジー株式会社 自動変速機の液圧制御装置
JP3773977B2 (ja) * 1995-01-18 2006-05-10 三菱自動車工業株式会社 自動変速機の変速制御装置
JP3541571B2 (ja) * 1996-07-05 2004-07-14 トヨタ自動車株式会社 ハイブリッド車両の制御装置
JPH10103483A (ja) * 1996-09-30 1998-04-21 Mazda Motor Corp 自動変速機の制御装置
JP4085946B2 (ja) * 2003-09-26 2008-05-14 アイシン精機株式会社 自動変速機及び自動変速機の油圧制御装置
JP2008025724A (ja) * 2006-07-21 2008-02-07 Hitachi Ltd 自動変速機の制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010077981A (ja) 2010-04-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4856140B2 (ja) 車両用自動変速機の制御装置
KR101342197B1 (ko) 자동 변속기
JP4341611B2 (ja) ハイブリッド車両のエンジン再始動制御装置
JP5200734B2 (ja) 車両のクラッチ制御装置
KR101293014B1 (ko) 차량의 유압 제어 장치
KR20130081298A (ko) 하이브리드 차량의 제어 장치
US8874299B2 (en) Vehicle control system for electrically driven vehicle
JP5212199B2 (ja) ハイブリッド車両のクラッチ制御装置
JP2011093480A (ja) 車両用制御装置
JP5434066B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP5789997B2 (ja) ハイブリッド車輌の制御装置
WO2014119088A1 (ja) 自動変速機の制御装置
JP5200733B2 (ja) ハイブリッド車両のクラッチ制御装置
JP5035228B2 (ja) 電動車両の制御装置
JP5413008B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP4976441B2 (ja) 車両の制御装置
JP5141369B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP5180888B2 (ja) 電動車両の制御装置
JP5338958B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP5954035B2 (ja) 自動変速機の変速制御装置および変速制御方法
JP5549144B2 (ja) 電動車両の制御装置
JP5338332B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP6212936B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置
JP4134977B2 (ja) ハイブリッド変速機のモード切り替え制御装置
JP5251958B2 (ja) ハイブリッド車両の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100210

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111025

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111027

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111027

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141104

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4856140

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313118

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350