本発明の清掃シート1は、基台シート3に繊維結束体4を設けて清掃部2を形成している(図1)。繊維結束体4は、多数の繊維を束ねてシート状に形成されており、このような繊維結束体4としてはこれを構成する各繊維がばらけない程度に纏められたものを用いることができる。この繊維結束体4には必要に応じて部分的に融着、接着等により繊維同士が相互に接合されていても良い。
繊維結束体4は、図14に示すように、多数の長繊維Lを、シート状に並置して束ねて得られる長繊維束ね体18を、間隔をおいて(適宜間隔ごとに)長繊維の流れ方向と交差する方向(例えば、長繊維の長手方向と直交する方向)に接合して長繊維接合部19を形成した後、長繊維接合部19と長繊維接合部19の中間部を切断する等の方法で具体的に得ることができる。
繊維結束体4を構成する繊維としては、例えば綿、毛等の天然繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアクリル等の合成繊維、芯鞘型繊維、海島型繊維、サイドバイサイド型繊維等の複合繊維等が用いられるが、繊維相互を部分的に熱融着して結合する場合には、芯がポリプロピレン、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維が、鞘を構成するポリエチレンの優れた熱融着性と、芯を構成するポリプロピレンの腰の強さとを併せ持つため好ましい。繊維結束体4を構成する繊維は0.01mm〜0.3mm径程度の太さのものが使用されることが適度に埃を絡め取ることができて好ましい。また、繊維結束体4は、繊維の材質、太さ、色等が同一のもののみで構成されていても、これらの異なる2種類以上の繊維で構成されていても良い。
繊維結束体4は、これを構成する繊維の流れ方向に折り曲げられてなるものを用いてもよい。このように折り曲げによって屈曲部位を形成した繊維結束体4は、例えば、繊維結束体4を構成する繊維の流れ方向を直交する方向且つ繊維結束体4のほぼ中央位置に軸をとり、その軸のまわりに繊維の流れ方向に繊維結束体4を折り曲げ、その折り曲げられた部位を屈曲部位となすことによって、具体的に実現できる。
清掃シート1では、繊維結束体4を基台シート3に接合して清掃部2が形成されるが、その接合の際、繊維結束体4と基台シート3との接合位置には接合部7が形成される。この接合部7は、繊維結束体4を構成する繊維の流れ方向(長手方向)と交差する方向に線状に形成される。また、この接合は、繊維結束体4と基台シート3とが接着剤を用いて接着されることでも、熱融着にて繊維結束体4と基台シート3の両者が直接接着されることでも実施することができる。
清掃部2の形成にあたり、繊維結束体4を基台シート3に対し、接着剤を用いた接着にて設けられる場合、接着剤としては、二液硬化型接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤、エラストマー系接着剤、熱硬化樹脂系接着剤、瞬間接着型接着剤、ホットメルト型接着剤等を用いることができるが、加熱・冷却による迅速な接着作業が可能である観点からはホットメルト型接着剤が好ましく、また繊維への浸透性が良く深い接着層を得られる観点からは溶液型またはエマルジョン型の、熱可塑性樹脂系接着剤またはエラストマー系接着剤が好ましい。基台シート3と繊維結束体4のうち、予め接着剤を塗布しておく面はこれらのいずれでもよく、また両方でもよい。
清掃部2は、繊維結束体4が基台シート3に複数並べて配置され、且つ各繊維結束体4を基台シート3に接合することで形成されてもよい。
例えば、本発明の清掃シート1には、図2、図4(a)に示すように、繊維結束体4(4a1、4a2、4a3)が基台シート3の同一面(表面)上に複数設けられても良い。この場合、清掃シート1において、複数の繊維結束体4(4a1、4a2、4a3)は、繊維結束体4を構成する繊維の流れ方向にずれた位置に並置されて設けられている。
また、基台シート3に繊維結束体4が複数設けられる場合、複数の繊維結束体4の一部もしくは全部に、繊維が折り曲げられて屈曲部位を形成しているものが用いられてもよい。例えば、清掃シート1について、図3に示すように、3つの繊維結束体4が基台シート3に接合され、その全てが屈曲部位を形成した繊維結束体4(4c1、4c2、4c3)であってもよく、この場合、繊維結束体4の屈曲部位にて基台シート3に接合されて屈曲部6となすとともに接合部7を形成して清掃部2が形成されている。
基台シート3の繊維結束体4が複数設けられる場合、基台シート3に設けられる繊維結束体4の配置数には特に制限はないが、通常は2枚〜10枚が好ましい。
また、清掃シート1において基台シート3に繊維結束体4が複数設けられる場合、繊維結束体4を構成する繊維の長さ、太さ、密度(繊維の密集度)、構成する繊維の種類(素材)などを異にする複数種類の繊維結束体4が、基台シート3に設けられていてもよい。
繊維結束体4が基台シート3に複数設けられている場合、図4(b)、(c)、図5に示すように、繊維の長さを異にする繊維結束体4が基台シート3上に設けられてもよい。このとき、各繊維結束体4はそれぞれ任意の位置に配設できる。
例えば、図4(b)に示すように、繊維の長さが長い繊維結束体4b(4b1、4b2)よりも繊維の長さが短い繊維結束体4a(4a1、4a2、4a3)のほうが基台シート3の中央位置までの距離が近いように、基台シート3に配置され、それぞれ基台シート3に接合されてもよい。
また、図4(c)に示すように、繊維の長さが異なる繊維結束体4a、4bが、ずれた位置に交互に並んで配置され、それぞれ基台シート3に接合されていてもよい。
さらに繊維結束体4が基台シート3に複数設けられている場合、図5に示すように、互いに繊維の長さを異にする繊維結束体4a(4a1、4a3)、4bが基台シート3上に設けられてもよい。この場合、短い繊維からなる繊維結束体4a(4a1、4a3)と、それらよりも長い繊維からなる繊維結束体4とを、繊維結束体4a1、4a3よりも繊維結束体4bのほうが基台シート3の中央位置との離間距離が短い位置にある(基台シート3中央位置との距離が近い)ように並置されて設けられることが好ましい。
この清掃シート1では、基台シート3に並置される複数の繊維結束体4は、基台シート3の中央位置に近い位置に配置されているものほど、繊維結束体4を構成する繊維の長さが長いものとなっている。したがって、この清掃シート1によれば、繊維結束体4aで絡め取りきれないある程度大きな埃が、基台シート3の中央位置に近い位置に設けられた繊維結束体4bを構成する繊維にて効果的に絡め取られる。すると、この清掃シート1によれば、基台シート3の中央位置との離間距離が長い位置に設けられる繊維結束体4aにて細かな埃を絡め取らせ、基台シート3の中央位置との離間距離が短い位置に設けられた繊維結束体4bにてある程度大きな埃を絡め取らせる作用を効果的に発揮させることができ、基台シート3に設けられる複数の繊維結束体4全体について満遍なく埃を絡め取る機能を発揮させることができる。
また、基台シート3に繊維結束体4が複数設けられる場合、細い繊維からなる繊維結束体4と、これより太い繊維からなる繊維結束体4を用いると、腰の強い太い繊維が埃を掻き出し、掻き出された埃を細い繊維が取り込むように機能するため、より細かな埃から或る程度大きな埃までも十分に絡め取ることができて効果的な清掃を行うことができる。ここに、細い繊維としては、0.01mm〜0.05mm径のものが好ましい。また太い繊維としては、上記細い繊維よりも太ければ良いが、0.06mm〜0.3mm径の太さのものが好ましい。
さらに、基台シート3に繊維結束体4が複数設けられる場合、繊維の密集度が低い繊維結束体4と、これよりも繊維の密集度が高い繊維結束体4とが用いられてもよい。この場合、繊維の密集度の低い繊維結束体4よりも繊維の密集度の高い繊維結束体4のほうが基台シート3の中央位置に近い位置に並置されて設けられることが好ましい。こうすることで、清掃シート1は、基台シート3の中央位置からの離間距離が短い位置に設けられる繊維結束体4の繊維の密集度を高めることができ、その繊維結束体4を嵩高にすることができる。すると、清掃シート1は、基台シート3の中央位置からの離間距離が長い位置に設けられる繊維結束体4も、基台シート3の中央位置からの離間距離が短い位置に設けられる繊維結束体4も、より満遍なく埃に接触させることができ、各繊維結束体4全体について埃を絡め取る機能を発揮させることができる。
また、基台シート3に繊維結束体4が複数設けられる場合、隣合う繊維結束体4相互間のずれ幅(すなわち両者の間隔)は、特に限定されない。したがって、図4(d)に示すように、隣り合う繊維結束体4(4a1、4a2、4a3)の一部が互いに重なり合うように繊維結束体が基台シートに接合されていてもよい。この場合、繊維結束体4の重なり合いによって、清掃部2を嵩高にすることができ、清掃時にクッション性に優れた清掃シート1となすことができる。
こうした複数の繊維結束体4は、基台シート3の両面に設けられても片面のみ設けられてもよい。基台シート3の両面に複数の繊維結束体4が設けられる場合、繊維結束体4は任意の位置に設けて両面に清掃部2を形成することができる。
したがって、例えば、基台シート3の互いに異なる面上に配設される繊維結束体4が、基台シート3を挟んで互いに重なり合う位置に配設されていてもよく(図6(a))、また、基台シート3を挟んで互いに繊維結束体4を構成する繊維の流れ方向にずれた位置に配設されていてもよい(図6(b))。
このように清掃シート1が清掃部2を基台シート3の両面に設けると、清掃シート1の両面を清掃に用いることができる。そのうえ、柄や台座に清掃シート1を取付けて清掃具として用いる際、基台シート3の一方の面(第1面)に形成された清掃部2が清掃具の柄や台座に接触し、且つ、基台シート3の他方の面(第2面)に形成された清掃部2が被清掃物に接触して、清掃が行われるにあたり、柄や台座に多少の凹凸があっても、これらに接触する第1面上の清掃部2がこうした凹凸を吸収するクッションの役割を果たすことができ、第2面上の清掃部2と被清掃物との接触をより充実させることができる。
清掃部2は、繊維結束体4と基台シート3の間に基材シート5を介在させて形成されている(図8(a))。
基材シート5としては、繊維結束体4、基台シート3の両者に対して接着可能なものであれば特に限定されず、上記した基台シート3に使用可能なものと同様のものを適宜用いることができる。
清掃部2においては、繊維結束体4と基材シート5とは、接着剤による接着にて接合されてもよいし、熱融着にて接合されてもよい。接着剤としては、上記した基台シート3と繊維結束体4との接着に用いることのできる接着剤と同様のものを適宜使用することができる。
また清掃部2の形成にあたり、繊維結束体4と基台シート3との間に基材シート5が介在するように、基材シート5が基台シート3に設けられるが、基材シート5と基台シート3との接合は、接着剤による接着にて接合されてもよいし、熱融着にて接合されてもよい。接着剤としては、上記した基台シート3と繊維結束体4との接着に用いることのできる接着剤と同様のものを適宜使用することができる。
清掃部2が形成されるにあたっては、基材シート5と同一の材料からなる長尺なシートの表面上に、多数の長繊維をシート状に束ねて長尺なシートの長手方向に沿うように並置して長繊維積層シートとなし、この長繊維積層シートを適宜間隔ごとに、繊維の流れ方向と交差する方向(例えば、繊維の長手方向と直交する方向)に接合して接合部を形成した後、接合部と接合部の中間部を切断する等の方法により、繊維結束体4を基材シート5に接合した合片23を得て、この合片23を基台シート3に設けることで、清掃部2の形成が実施できる(図8(a))。
また清掃部2は、繊維結束体4と基材シート5とを重ね合わせるとともに繊維結束体4を構成する繊維の流れ方向に繊維結束体4を内側に向けて繊維結束体4と基材シート5の両者を折り曲げて屈曲部6を形成してなるものを基台シート3に設けることで形成されてもよい(例えば図8(b)における合片23e、23f)。このような清掃部2の形成は、例えば、繊維結束体4と基材シート5とを重ね合わせるとともに繊維結束体4において繊維の流れ方向を直交する方向且つ繊維結束体4のほぼ中央位置に軸をとり、その軸のまわりに繊維結束体4を内側に向けるように繊維結束体4と基材シート5を折り曲げ、その折り曲げられた部位を屈曲部6となし、繊維結束体4と基材シート5を屈曲部6にて基台シート3に接合一体化することで具体的に実現することができる。このような清掃シート1によれば、繊維結束体4のみならず基材シート5も屈曲しているから、繊維結束体4を構成する繊維により埃が絡め取られるのみならず、基材シート5にも埃がよく接触してこの基材シート5にて埃を絡め取ることもでき、効率的よく埃を拭い取ることができる。
なお、図8(a)には清掃シート1において繊維結束体4が基台シート3に1つ設けられて清掃部2が形成される場合について示されているが、これに限らず、清掃シート1では、複数の繊維結束体4が基台シート3に接合されているものについても、また、基台シート3の両面に繊維結束体4を設けているものについても、繊維結束体4と基台シート3との間に基材シート5を備えて清掃部2が形成されてもよい。すなわち、例えば、図2、図3、図5に示すような清掃シート1における繊維結束体4a1、4a2、4a3、4b、4c1、4c2、4c3について、基材シート5を介在させてもよい。
また、清掃シート1は、繊維結束体4と基材シート5の両方が折り曲げられて屈曲部を形成している接合片を、基台シート3の片面もしくは両面に単数もしくは複数設けて、清掃部を構成してもよい。このとき清掃シート1には、例えば図8(b)に示すように、繊維結束体4を構成する繊維の長さを異にする複数種類の合片23e(23e1、23e2)、23fが設けられていることが好ましい。こうした清掃シート1によれば、隣合う繊維結束体4の間に基材シート5が介在して、繊維結束体4を構成する繊維同士が絡みあう虞を一層低減できる。また、そのような清掃シート1によれば、繊維結束体4を構成する繊維のみならず、基材シート5によっても塵や埃を拭き取ることが可能になり、より効果的な清掃を実施することができるようになる。
なお、清掃シート1に繊維結束体4が複数設けられる場合において、複数の繊維結束体4のうちの一部が基材シート5を備えるものであってもよい。
本発明において基台シート3は、清掃シート1の薄肉のベースであり、清掃部2を保持するとともに、柔軟に変形可能なシートである。基台シート3の厚みおよび形状は、厚さ1mm以下の矩形の外形形状を有するのが一般的であるが、これに特に限定されるものではなく、例えば、基台シート3の形状について、円形、長円形、楕円形などとすることも可能である。
また基台シート3の材質については、繊維結束体4を接合して清掃部2を形成可能なものであれば特に限定されず、紙、織布、合成樹脂、不織布が好適に用いられる。このうち不織布が軽量性、強度、耐久性、接着性の観点から特に好適に用いられる。
不織布としては、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、
エアスルー不織布、ポイントボンド不織布等を用いることができるが、スパンボンド不織
布、サーマルボンド不織布が好ましい。不織布を構成する繊維としては、天然繊維、合成
繊維、複合繊維のいずれでも良い。不織布は、坪量20〜100g/m2程度のものが
好ましい。
また、基台シート3としては、不織布の片面側に多数の繊維がシート状に積層され、シート状の繊維の束を構成する繊維の流れ方向のほぼ中央位置で不織布と繊維の束とが線状に接合していると共に、該線状に接合した領域と平行する不織布の両端縁と間の位置で不織布と繊維の束とが断続的に点状に接合してなるシート(図示しない)が用いられても良い。このような基台シート3に清掃部2を形成して清掃シート1を構成する場合、基台シート3において繊維の束が積層されている面に対して清掃部2が形成される。こうすることで、清掃シート1は、清掃部2によって塵や埃を拭い取るだけでなく、基台シート3に積層された繊維の束でも埃や塵を拭い取ることができ、一層効果的に埃を拭い取ることができるものとなる。
基台シート3としては、上記したような不織布、シートなどを複数枚重ね合わせたもの(シート重ね合わせ体という)が用いられてもよい。
基台シート3がシート重ね合わせ体である場合において、清掃部2が基台シート3の両表面に形成されて清掃シート1が形成されてもよく(図7)、このような、清掃シート1によれば、シート重ね合わせ体を接合して接合部21を形成することで生じる空間部22に柄や手を挿入して複数の清掃面を有する清掃具となすことができる。
なお、図7に示すような清掃シート1は、図2に示す清掃シート1を2枚用い、これら2枚の清掃シート1を互いに清掃部2を外側に向けて接合して接合部21を形成することによっても得ることができる。
次に、図3に示す清掃シート1を例として、清掃シートの製造方法を詳細に説明する。
図9は、清掃シートの1つを製造するための清掃シートの製造装置における実施例の1つを示す概略説明図である。
清掃シートの製造装置100は、長尺な基台シート41を巻きつけたシートロール31と、多数の長尺な繊維(長繊維)を巻きつけた繊維ロール30、長尺な基台シート41を矢印T1方向に送出す送出ロール39、多数の長繊維をシート状に束ねた長繊維束ね体40にしつつ矢印T2方向に送出す送出ロール37、38、長繊維束ね体40を切断して繊維束ね体40aを形成させる切断刃をロール面に備えた上下一対の繊維切断ロール32、繊維束ね体40aを搬送する繊維束ね体搬送装置47、繊維束ね体搬送装置47にて搬送された繊維束ね体40aに対面する位置に配置されて繊維束ね体40aに屈曲部を付与して繊維折れ曲がり体40bとなす屈曲付与装置34、基台シート41と繊維折れ曲がり体40bとを熱により融着(熱融着)する加熱ロール35、基台シート41に融着された繊維折れ曲がり体40bを吸引するバキューム装置48と、繊維折れ曲がり体40bを融着した基台シート41を予め定めた長さにて切断する切断刃をロール面に備えた上下一対の基台切断ロール36とを備えている。
繊維束ね体搬送装置47は、網状に形成された搬送ベルト45aを備えたネットコンベア45と、搬送ベルト45aを介して繊維束ね体40aと向かい合う位置に設けられるバキューム装置46と、バキューム装置46に対して矢印T2方向の位置に並んで設けられるブロー装置33とを設けている。
屈曲付与装置34は、上下方向に開口して中空に形成されており、基台シート41の長手方向に、その外側を逆テーパー形状に形成されるとともに、その内側には開口した底部に向かって幅狭になるように傾斜して傾斜溝34aを形成している。傾斜溝34aの傾斜状態は、繊維束ね体40aに付与される屈曲部の屈曲程度に応じて適宜設定される。
この製造装置100を用いて、本発明の清掃シートは次に示すように製造される。
まず、シートロール31より送出ロール39を通じて、矢印T1方向に、長尺な基台シート41が送りだされる。一方、多数の長尺な繊維が、繊維ロール30から送出され、これらの長繊維は束ねられてシート状の長繊維束ね体40を形成する。長繊維束ね体40は、送出ロール37、38を通じて、シート状の状態を保ちつつ矢印T2方向に送出され、さらに繊維切断ロール32に通じて、予め定めた長さで繊維切断ロール32の切断刃にて長繊維の流れ方向に交差する方向(例えば、長繊維の長手方向に直交する方向)に切断され、繊維束ね体40aが形成される。このとき繊維束ね体40aの矢印T2方向の長さは、矢印T2方向に長繊維束ね体40を送出す速度や、繊維切断ロール32のロール径や切断刃の設置数等を適宜設定することによって、適宜定めることができる。
繊維束ね体40aは、繊維束ね体搬送装置47にて搬送される。繊維束ね体搬送装置47による搬送は、バキューム装置46の吸引力により繊維束ね体40aがネットコンベア45の搬送ベルト45a表面に吸い付けられつつ搬送されることで、実施される。
繊維束ね体搬送装置47において、屈曲付与装置34の上面の開口部位に対して向かい合う位置の上方に搬送ベルト45aを介してブロー装置33が配置されており、繊維束ね体40aが、ブロー装置33が配置される位置まで搬送されると、ブロー装置からF1方向に吹き出すエアによって、矢印F1方向に基台シート41に向かって押付けられる(吹き付けられる)。このとき繊維束ね体40aは、屈曲付与装置34の傾斜溝34aに嵌まって折り曲げられて屈曲部を形成して繊維折れ曲がり体40bとなる。そして、ブロー装置33から吹き出したエアにより、繊維折れ曲がり体40bの屈曲部は、屈曲付与装置34の底部の開口から基台シート41の表面に押付けられる。繊維折れ曲がり体40bが基台シート41に押付けられると、屈曲付与装置34の底部の開口位置に対して基台シート41を挟んで向かい合う位置に設けられた加熱ロール35にて、繊維折れ曲がり体40bと基台シート41とが、繊維折り曲がり体40bの繊維の流れ方向と交差する方向(繊維の流れ方向を横切る方向)に線状に熱融着される。ここに、順次基台シート41に押付けられる繊維折れ曲がり体40bは基台シート41に対して適宜間隔を開けて順次融着されるが、その間隔は、矢印T1方向への基台シート41の送出速度などを適宜設定することによって適宜定めることができる。
基台シート41に融着した繊維折れ曲がり体40bは、矢印T2方向に送り出される基台シート41と一体に、矢印T2方向に屈曲付与装置34の外側へと送り出され、その際、屈曲付与装置34に対して矢印T2方向に配設されたバキューム装置48によって、吸引される。このとき、バキューム装置48は、繊維折れ曲がり体40bと基台シート41とが分離しない程度に、繊維折れ曲がり体40bを吸引する。このバキューム装置48による吸引により、この吸引を行わない場合に比べ、繊維折れ曲がり体40bを構成する繊維が基台シート41と屈曲付与装置34との隙間に存在している時間が短縮される。
なお、繊維折れ曲がり体40bと基台シート41とが熱融着すると、これと同時に繊維折れ曲がり体40bを構成する繊維が互いに接合された状態が形成されるので、繊維結束体が長尺な基台シートに接合されて清掃部が構成された状態を形成したものが得られる。
こうして長尺な基台シートに清掃部が構成された状態を形成したものが得られると、これを基台切断ロール36に通じて、適当な長さで切断し、清掃シート42が得られる。
この製造装置100を用いた清掃シートの製造方法においては、繊維折れ曲がり体40bと基台シート41との接合が熱融着を用いて実施されているが、これに限定されず、ホットメルト型接着剤などの接着剤により繊維折れ曲がり体40bと基台シート41とを接着することで実施されてもよい。繊維折れ曲がり体40bと基台シート41との接着剤による接着は、例えば、基台シート41を加熱ロール35に通じる前に、基台シート41上において繊維折れ曲がリ体40bとの接合部位となることが予定される位置に予めホットメルト型接着剤などの接着剤を付着させることで具体的に実現することができる。
なお、この製造装置100は、図3に示す清掃シートを製造するために用いられるのみならず、図1、図2、図4〜図8に示されるような他の実施例についても適用することができる。
例えば、図3に示すような清掃部2の繊維結束体4に屈曲部6を形成した清掃シートと異なり繊維結束体4に屈曲部6を形成していない清掃シートは、製造装置100から屈曲付与装置34をとり外したものを製造装置として用いることで具体的に製造することができる。
また、図4に示すように繊維結束体を構成する繊維の長さが異なる繊維結束体を基台シートに設けている清掃シートは、例えば、清掃装置100において繊維切断ロール32のロール面に設けた切断刃の設置位置を適宜変えることで、繊維の長さの異なる複数種類の繊維束ね体40aを形成し、それらを適宜間隔にて基台シート41に接合することで、具体的に製造できる。
図5に示すように基材シート5を繊維結束体4と基台シート3の間に介在させている清掃シートを製造するには、例えば製造装置100において、基材シート5と材料を同じくする長尺なシート(長尺基材シートという。)を巻きつけた基材シートロールを配設するとともに、その長尺基材シートを、基材シートロールから送出されて、長繊維束ね体40の下方側より送出ロール38に通ずるように構成すればよい。
このような構成が製造装置100に用いられると、長尺基材シート上に長繊維束ね体40が重なって長繊維積層シートが形成されて、この長繊維積層シートが矢印T2方向に送出されて、繊維切断ロール32にて長尺基材シート上と長繊維束ね体40とが一体的に切断されることにより、長尺基材シートを基材シートとなすとともに基材シート上に繊維束ね体40aを重ね合わせたものを形成することができる。基材シート上に繊維束ね体40aを重ね合わせたものは、ネットコンベア45にて搬送され、ブロー装置33によって基台シート41に向かって押付けられ、さらに基材シートと繊維束ね体40aとが一体的に折り曲げられて屈曲部が形成される。そして、その屈曲部が押付装置33によって基台シート41の表面に押付けられて、加熱ロール35にて、繊維束ね体40aを構成する繊維、基台シートや基材シートが融着一体化される。このとき、繊維束ね体40aを構成する繊維同士が接合されるとともにそれらの繊維と基材シートも接合されて合片が形成され、さらに基材シートと基台シートも接合されて清掃部が構成された状態が形成される。すなわち、繊維結束体と基台シートでなる合片を基台シート41に接合させて清掃部を構成したものが得られる。
こうして清掃部を基台シートに形成したものが得られると、これが基台切断ロール36で適当な長さにて切断され、清掃部を基台シートに形成した清掃シートが製造される。
次に、清掃シート1を用いた清掃具について、図5に示す清掃シート1を用いた場合を例にして、さらに詳細に説明する。この清掃シート1には、清掃部2形成領域(図10における領域G−H)の外側にあって繊維結束体4を構成する繊維の流れ方向外側の領域(領域Hの外側領域)にシート取付け部17が形成されている。
清掃シート1を用いた清掃具は、柄72を付けた台座70に清掃シート1を取付けられて、床清掃用モップ75(第1の清掃具という)となる(図11)。
このような清掃シート1を台座70に取り付けるにあたり、清掃シート1を台座70に当接させ、清掃シート1のシート取付け部17を折り曲げて台座70の上面に巻き付ける。台座70の上面には係止片71が設けられており、シート取付け部17の端部4ヵ所の位置で台座70の上面の係止片にて係止されることで清掃シート1が台座に取付けられ、床清掃用モップ75が得られる。清掃シート1における係止片71との係止位置は、台座70における係止片71の設置位置と、清掃シート1の大きさによって適宜定められる。
なお、図10、図11に示すように、台座70に取付けられる清掃シート1には、シート取付け部17に粘着部15が形成されても良い。
粘着部15は、粘着剤を塗布した両面テープを清掃シート1に付着させて形成されても、粘着剤を付着したローラを清掃シート1に当てることで粘着剤を塗布して形成されても、また、スプレー器で粘着剤を吹き付けることに設けられてもよい。
粘着部15の形成に用いる粘着剤としては、粘着性を有する物質(粘着性物質)から適宜選択可能であるが、ホットメルト系粘着剤、ゴム系粘着剤、溶剤粘着剤、アクリル系溶剤粘着剤、水系粘着剤等が具体的に例示できる。
この清掃シート1は、清掃の際、清掃部2で拭い取りきれない微細な塵や埃がある場合でも、その塵や埃に粘着部15を押し付けることで、このような塵や埃までをも捕捉することができる。
粘着部15は剥離紙などの剥離材で予め被覆されておくことが好ましい。粘着部15を剥離紙で被覆しておけば、必要に応じて剥離紙をはがして粘着部15を露出させて埃を取るようにすることができる。
なお、本発明の清掃シート1において、粘着部15が配設された領域の周囲に間欠的な切れ目(ミシン目20)を穿設してもよい。この場合、清掃シート1に形成されたミシン目20にて、清掃シート1から粘着部15を必要に応じて千切り取る等によって、粘着部15を容易に切り離すことができる。
清掃シート1には、図10に示すように、基台シート3の面のうち清掃部2が形成された面に対する背面にあって清掃部2形成領域(図10における領域G−H)の外側にあたる領域に、接合部形成部16(16a、16b、16c、16d)が形成されていてもよい。この場合、接合部形成部16(16a、16b、16c、16d)は、基台シート3の四隅寄りの位置で、清掃シート1における係止片71との係止位置と重ならない位置に設けられていることが好ましい。
このように接合部形成部16を形成した清掃シート1を用いると、次に示すように清掃シート1を把持柄80に取付けられて、図12に示すような清掃用ハンディモップとなすことができる(第2の清掃具という)。
把持柄80は、B方向にバネ状に弾性的に広がって清掃シート1を固定する固定部81を構成する支持棒83、84と、グリップ部82とから構成される。
このような把持柄80に対して清掃シート1を取り付けるにあたり、清掃部2を外向きにして清掃シート1の一方の端縁側を他方の端縁側に折り返して互いに重ね合わせることで、接合部形成部16の形成された領域に接合部90、90を形成させて、清掃シート1を筒状にしておく(図12)。
筒状の清掃シート1の開口部85の矢印A−B方向の開口幅は、接合部形成部16を設けた位置に応じて適宜設定することができるが、筒状の清掃シート1を矢印B方向に引っ張ったときの開口幅が把持柄80に設けられている支持棒83、84の間隔よりも幅狭になるように筒状の清掃シート1が形成されていることが好ましい。このように構成されていると、支持棒83、84を開口部85に挿入する際、支持棒83、84の間隔は矢印A方向に狭められ、開口部85より把持柄80が挿入された後は、支持棒83、84の復元力による外方への力(B方向への作用力)が働き、支持棒83、84は筒状の清掃シート1内部に確実に保持され、清掃時に清掃シート1が把持柄80から容易に離脱することはない。
清掃シート1を用いた清掃用ハンディモップは、図12に示すもののほか、清掃シート1を筒状にして清掃部2の繊維結束体4を構成する繊維の流れ方向に開口部85を形成し(図13)、開口部85に把持柄80を挿入してなるものでもよい(第3の清掃具という)。
この清掃用ハンディモップに用いる筒状の清掃シート1は、清掃部2を外向きにして清掃シート1を繊維結束体4の繊維の流れ方向に折り返して重ね合わせて接合部形成部16の形成領域に、接合部90、90を形成することで、得ることができる(図13)。
なお、図10では、清掃シート1が接合部形成部16を4箇所設けている場合について示されているが、接合部形成部16の配設箇所の数はこれに限定されず、筒状の清掃シート1を形成することができれば、接合部形成部16は1箇所のみ設けられてもよいし、図10における領域G−Hの外側位置に5箇所以上設けられてもよい。
接合部形成部16には、粘着部15に用いられる粘着性物質と同様のものを用いることができる。なお、接合部形成部16に用いられる粘着性物質としては、可剥性粘着物質が用いられても良い。このような物質が用いられると、接合部90の形成と解除を容易に繰り返し行うことが可能になる。
接合部形成部16の形成にあたっては、粘着部15と同様に両面テープ等により設けられる方法が用いられても良い。
また、接合部形成部16としては、上記した粘着性物質を用いる他、清掃シート1を筒状にする際に接合部形成部同士(16a、16b)(16c、16d)が対面するように形成してこれらが互いに重なり合うことによって接合部が形成されるようなものを用いることができ、マジックテープ(登録商標)などを具体的に挙げることができる。
マジックテープは、基材シート片表面にフック状の突出端を多数形成させたフック状基材シート片と、基材シート片表面上にパイル状の突出端を多数形成したパイル状基材シート片とを備えており、フック状基材シート片とパイル状基材シート片とを重ねあわせることで両者が強く接合されて接合部を形成する。このようなマジックテープを接合部形成部16に用いられる場合、例えば、清掃シート1には、マジックテープを構成するフック状基材シート片とパイル状基材シート片の二枚の組み合わせが、それぞれ接合部形成部(16a、16b)の組み合わせに対応するように設けられる。接合部形成部(16c、16d)についても、フック状基材シート片とパイル状基材シート片の二枚の組み合わせに対応するように設けられる。この清掃シート1を上記したように折り返して筒状にする際には、接合部形成部(16a、16b)の組合わせ、接合部形成部(16c、16d)の組合わせにてそれぞれ重なり合う場合に接合部が形成される。したがって、この清掃シート1によれば、接合部を特定の位置に局限して形成させることができる。
清掃シート1に接合部形成部16が設けられ、その接合部形成部16としてマジックテープが用いられる場合には、接合部形成部(16a、16d)、接合部形成部(16b、16c)をそれぞれフック状基材シート片とパイル状基材シート片のいずれかに対応させることが好ましい。
このような清掃シート1によれば、接合部形成部16a、16cに対してそれぞれ接合部形成部16b、16dを対面させ重ね合わせることにより接合部を形成して清掃シートを筒状にすることができるとともに、接合部形成部16a、16bに対してそれぞれ接合部形成部16c、16dを対面させ重ね合わせることによっても清掃シートを筒状にすることができ、第2の清掃具および第3の清掃具の両者を得ることができる。
本発明の清掃シート1を用いた清掃具(第1の清掃具、第2の清掃具、第3の清掃具)を説明するにあたり、清掃シート1として基台シート3の一方の面に清掃部2を形成したものが用いられる場合について説明したが、これに限定されず、清掃部2を基台シート3の両面に形成した清掃シート1(例えば図6に示すような清掃シート1)を用いて清掃具を構成してもよい。
このように清掃シート1が清掃部2を基台シート3の両面に形成すると、清掃シート1の両面を清掃に用いることができる。
なお、この清掃シート1について、基台シート3の両面に粘着部15が形成されてもよく、さらに、それぞれの粘着部15の周囲にミシン目が穿設されていてもよい。こうすることで、基台シート3の一方の面に設けた清掃部2で埃を絡め取りさらに粘着部15を用いて硬くて重みのある大きな塵などを付着させた後、基台シート3の他方の面に設けた清掃部2にて清掃を行う際、硬い塵の付着した粘着部15を、基台シート3から切り離すことができ、清掃時に粘着部15面上に付着した硬い塵が被清掃物などに接触して傷つけてしまう虞を低減することができる。
また、この清掃シート1についても、基台シート3に、接合部形成部16が設けられてもよく、特に、基台シート3の両面に接合部形成部16が設けられていることが好ましい。こうすることで、清掃シート1を上記したような第2の清掃具、第3の清掃具となして使用する場合においても、基台シート3の両方の面を清掃に用いることができるようになる。
基台シート3の両面に清掃部2が形成された清掃シート1を用いた清掃具によれば、基台シート3の一方の面(第1面)に形成された清掃部2が手や清掃具の把持柄80や床清掃用モップの台座70に接触し、且つ、基台シート3の他方の面(第2面)に形成された清掃部2が被清掃物に接触して、清掃が行われる場合、手や把持柄80、台座70に多少の凹凸があっても、これらに接触する第1面上の清掃部2が凹凸を吸収するクッションの役割を果たすことができ、第2面上の清掃部2と被清掃物との接触をより充実させることができる。
なお、清掃シート1が、清掃部2を基台シート3の一方の面(第1面)にのみ接合して設けており、基台シート3の他方の面(第2面)には清掃部2を設けていない場合、清掃シート1には、基台シート3の第2面に手を挿入可能な開口部を備えた袋体が着脱自在に設けられてもよい。
また、清掃シート1は、基台シート3の第2面に、両面テープなどの粘着部を設けてもよい。この場合、基台シート3の第2面に設けた粘着部に対し、第2の清掃具にて示されるような把持柄80を押しつけることで、把持柄80と清掃シート1とを固定することができる。
また、清掃シート1は、基台シート3の第2面に、マジックテープを構成するフック状基材シート片とパイル状基材シート片のいずれかを設けてもよい。そして、それに対応するフック状基材シート片やパイル状基材シート片のいずれかを第2の清掃具にて示されるような把持柄80に設け、清掃シート1を把持柄80にマジックテープを介して着脱自在に接合してもよい。例えば、基台シート3の第2面にフック状基材シート片を設け、把持柄80にパイル状基材シート片を設けておれば、把持柄80のパイル状基材シート片を基台シート3の第2面に設けたフック状基材シート片に押付けることで、把持柄80のパイル状基材シート片と清掃シート1のフック状基材シート片とで接合部が形成され、把持柄80と清掃シート1とが固定される。