JP4853544B2 - アンテナ - Google Patents

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本発明は携帯電話機の基地局アンテナに係わり、特に基地局アンテナの直下方向へのアンテナ利得を増加させたアンテナに関する。
従来、この種の携帯電話用基地局アンテナは、特許文献1に示すように、垂直方向に複数の放射素子を配列して構成し、それらの放射素子を概ね同位相で給電している。したがって、アンテナの横方向には、アンテナ利得は高いが、アンテナの直下の方向には、アンテナ利得が非常に小さいという欠点がある。このことから、都心部において、高層ビルの屋上に設置される場合が多い基地局アンテナは、その直下のビルの根元付近のエリアで、通信に必要な電界強度が得られにくく、携帯電話がつながりにくいという問題点がある。
図15は、従来の技術によるアンテナの断面図を示している。図15の構成では、本発明の導体板11(図2参照)やアンテナ23(図7参照)は具備されていない。したがって、従来技術のアンテナの放射は、図11(a)のように、水平方向に放射される放射電界40が主となる。これにより、従来技術のアンテナの放射ビームは、図16の主ビーム52のようになり、アンテナ直下ビーム53を発生するような下側への放射のメカニズムがない。このため、図16のように、従来の技術によるアンテナが基地局アンテナ51として用いられ、ビル50のような高い場所に設置されると、ビル50の足元近傍に電界が照射されない不感地帯が生じてしまうことになる。
特開平9−205322号公報(段落0017、図1)
従来の基地局アンテナでは、アンテナの直下の方向には、アンテナ利得が非常に小さく、基地局アンテナの直下付近では、通信に必要な電界強度が得られにくく、携帯電話が繋がりにくいという問題点がある。
本発明の目的は、アンテナの直下の方向においても、アンテナ利得がある程度得られるようにして、基地局アンテナの直下付近でも、通信に必要な電界強度が得られ、携帯電話が良好に繋がるようにすることである。
本発明によるアンテナは、放射素子と、前記放射素子を覆うレドームとを含むアンテナであって、前記アンテナの底部から、第1のアンテナが挿入され、前記第1のアンテナは同軸ケーブルの一端に接続され、前記同軸ケーブルの他端に第2のアンテナが接続されることを特徴とする。
本発明によるアンテナは、放射素子と、前記放射素子を覆うレドームとを含むアンテナであって、前記レドームの側面部から、第1のアンテナが挿入され、前記第1のアンテナは同軸ケーブルの一端に接続され、前記同軸ケーブルの他端に第2のアンテナが接続されることを特徴とする。
本発明によるアンテナは、前記第1のアンテナが、モノポール、ダイポール、ループアンテナまたはパッチアンテナで、前記第2のアンテナが、パッチアンテナ、ホーンアンテナ、八木アンテナ、モノポール、ダイポールまたはループアンテナであることを特徴とする。
本発明は、レドームの側面部に配置した帯状の導体が、レドーム内の放射素子から放射された電波を下側に導く導波器または反射導体として動作する。その結果、アンテナの直下の方向におけるアンテナの利得が改善され、通信に必要な電界強度が得られ、携帯電話が繋がり易くなるという効果がある。
また、底部またはレドーム側面より挿入した第1のアンテナと、第1のアンテナに一端を接続した同軸ケーブルと、同軸ケーブルの他端に接続した第2のアンテナを備える。その結果、アンテナの直下の方向におけるアンテナの利得が改善され、通信に必要な電界強度が得られ、携帯電話が繋がり易くなるという効果がある。
本発明の第1の実施例によるアンテナの斜視図(a)と断面図(b)である。 本発明の第2の実施例によるアンテナの側面図である。 本発明の第3の実施例によるアンテナの断面図である。 本発明の第4の実施例によるアンテナの斜視図(a)と断面図(b)である。 本発明の第5の実施例によるアンテナの斜視図(a)と断面図(b)である。 本発明の第6の実施例によるアンテナの断面図である。 本発明の第7の実施例によるアンテナの断面図である。 本発明の第8の実施例によるアンテナの断面図である。 本発明の第9の実施例によるアンテナの断面図である。 本発明の第10の実施例によるアンテナの断面図である。 本発明の第1の実施例によるアンテナの動作原理の説明図である。 本発明のアンテナの放射ビームの説明図である。 本発明の第4の実施例によるアンテナの動作原理の説明図である。 本発明の第8の実施例によるアンテナの動作原理の説明図である。 従来の技術によるアンテナの断面図である。 従来の技術によるアンテナの放射ビームの説明図である。
[構成の説明]
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施例によるアンテナの斜視図(a)と断面図(b)である。本発明の第1の実施例のアンテナは、垂直方向に配列された複数の放射素子7と支持部8より構成されるアンテナ部1と、アンテナ部1の全体をカバーする(覆う)レドーム2とを備える。さらに、レドーム2の側面部に配置された帯状の導体から構成される導体板10と、アンテナ部1およびレドーム2を支えるサポート部3とを備えて構成される。また、アンテナ部1に給電するために、通常、同軸ケーブル6が下側から接続される。同軸ケーブル6に入力された高周波電力は、複数の放射素子7に適当に分配されるように構成されている。なお、図1において、Uボルト4は、底板9を含むサポート部3をポール5に固定するための取付金具である。
図1(a)において、導体板10は、1個または複数個が配置される。通常、放射素子7は垂直偏波の場合が多く、このような場合、導体板10は縦長の導体となる。導体板10の長さは任意であるが、導体板10が有効に働くためには、通常、その長さを約0.5波長またはその±15%の値とすることが多い。導体板10の幅は、通常0.1波長以下に選ばれることが多い。また、導体板10は、波状やジグザグ状に形成してもよい。
図2は、本発明の第2の実施例によるアンテナの側面図である。導体より構成される導体板11は、レドーム2の側面に配置されている。本実施例は、帯状の導体板11が傾斜して取り付けられている。つまり、導体板11がレドーム軸2aに対して傾斜しており、図2(a)に対して図2(b)は逆に傾斜している。このようなケースは、放射素子7が傾斜した直線偏波の場合で同じ傾斜角度で導体板11を配置する場合や、放射素子7が垂直または水平偏波の場合で交差する偏波を意識的に発生させるような場合に用いられる。図2において、導体板11の長さは任意であるが、導体体11が有効に働くために、図1同様、その長さを約0.5波長またはその±15%の値とすることが多い。また、導体板11の幅は、通常0.1波長以下に選ばれることが多い。さらに、導体板11は、波状やジグザグ状に形成してもよい。その他の構成は、図1に同一である。
図3は、本発明の第3の実施例によるアンテナの断面図である。導体板12がレドーム2の内壁(側面部の裏側)に配置されている。この場合の導体板12は、図1の導体板10及び図2の導体板11と同じ形状の導体板を、レドーム2の内壁に配置したものである。レドーム2の内壁に配置することにより、風雨に直接さらされないので、錆びたり、剥がれ落ちたりしにくいという利点がある。また、導体板12は、波状やジグザグ状に形成してもよい。
図4(a)は、本発明の第4の実施例によるアンテナの斜視図を示している。導体板13は、レドーム2の円周上に閉じて巻かれた導体である。導体板13の幅は任意であるが、通常0.1波長以下に選ばれることが多い。また、円周上に巻かれた導体板13は、波状やジグザグ状に形成される場合もある。図4(b)は、本発明の第4の実施例によるアンテナの断面図を示している。導体板13は、図1(b)の場合と同様に、レドーム2の側面部に配置されている。いうまでもなく、導体板13は、図3の導体板12のようにレドーム2の内壁に配置してもよい。その他の構成は、図1に同一である。
図5(a)は、本発明の第5の実施例によるアンテナの斜視図を示している。導体板14は、レドーム2の円周上に閉じないで螺旋状(右回り、左回りを含む)に巻かれた導体である。導体板14の太さは任意であるが、通常0.1波長以下に選ばれることが多い。
また、導体板14の長さも任意であるが、0.5波長の整数倍に選ばれる場合が多い。さらに、円周上に巻かれた導体板14は、波状やジグザグ状に形成してもよい。図5(b)は、本発明の第5の実施例によるアンテナの断面図を示している。この場合、導体板14は断面が円であるが、導体板14が帯状の場合は、その断面は長方形となる。その他の構成は、図1に同一である。
図6は、本発明の第6の実施例によるアンテナの断面図である。導体板15は、レドーム2の内壁上(側面部の裏側)に閉じないで螺旋状に巻かれた導体である。導体板15の太さは任意であるが、通常0.1波長以下に選ばれることが多い。また、導体板15の長さも任意であるが、0.5波長の整数倍に選ばれる場合が多い。さらに、内壁上に巻かれた導体板15は、波状やジグザグ状に形成してもよい。第6の実施例の場合、導体板15は断面が円であるが、導体板15が帯状の場合は、その断面は長方形となる。その他の構成は、図1に同一である。
図7は、本発明の第7の実施例によるアンテナの断面図である。導体より構成されるモノポールのアンテナ20(第1のアンテナ)が、レドーム2の内側の底板9の上に配置されている。つまり、アンテナ1の底部から、モノポールのアンテナ20が挿入される構成になっている。このアンテナ20の長さは、通常、約0.25波長またはその奇数倍に選ばれることが多い。アンテナ20は、コネクタ21に接続され、同軸ケーブル22を介して、アンテナ23(第2のアンテナ)に接続される。アンテナ23は、プリント基板をエッチングして製作されるパッチアンテナである。アンテナ23は、通常、その放射方向が、下側に向くように設置される。具体的には、大地に対して水平方向から下側に60度〜80度程度に設置されることが多い。その他の構成は、図1に同一である。
図8は、本発明の第8の実施例によるアンテナの断面図である。導体より構成されるモノポールのアンテナ20(第1のアンテナ)がレドーム2の内側に配置されている。アンテナ20は、レドーム2の側面部に配置されたコネクタ21を介して接続、支持されている。アンテナ20の長さは、通常、約0.25波長またはその奇数倍に選ばれることが多い。コネクタ21には、同軸ケーブル22を介して、アンテナ23(第2のアンテナ)が接続される。アンテナ23は、プリント基板をエッチングして製作されるパッチアンテナである。アンテナ23は、通常、その放射方向が、下側に向くように設置される。具体的には、大地に対して水平方向から下側に60度〜80度程度に設置されることが多い。その他の構成は、図7に同一である。
図9は、本発明の第9の実施例によるアンテナの断面図である。図9は、図7のアンテナ23の代わりに、アンテナ24(第2のアンテナ)が接続されている。アンテナ24は、導体で構成されるホーンアンテナである。ホーンアンテナは、通常、その放射方向が、下側に向くように設置される。具体的には、大地に対して水平方向から下側に60度〜80度程度に設置されることが多い。その他の構成は、図7に同一である。
図10は、本発明の第10の実施例によるアンテナの断面図である。図10は、図8のアンテナ23の代わりに、アンテナ25(第2のアンテナ)が接続されている。アンテナ25は、複数の線状の導体より構成される八木アンテナである。八木アンテナは、通常、その放射方向が、下側に向くように設置される。具体的には、大地に対して水平方向から下側に60度〜80度程度に設置されることが多い。その他の構成は、図7に同一である。
[動作の説明]
図11は、本発明の第1の実施例によるアンテナの動作原理の説明図である。本アンテナの効果を明確にするために、はじめに従来のアンテナの動作について説明する。図11(a)は、従来のアンテナの場合である。垂直に配列された放射素子7は、その最大放射方向を大地に対して水平方向にもつ。よって、この放射電界40は水平方向に放射される。図11(b)は、本発明の場合を示している。放射素子7から放射される電界は、図11(a)同様に水平方向に放射されるが、その一部は導体板10を照射する。すなわち、図11(b)では、放射電界30が導体板10に照射され、導体板10上を流れた高周波電流が再放射され、放射電界31を発生させる。このことは、導体板10が導波器として動作していると考えると理解しやすい。通常、八木アンテナでは、長さが約0.5波長の給電すべき放射素子7の前方に、長さが0.5波長より短い導波器を配置することにより、その導波器方向に放射電界が強められ集中することが知られている。よって、本実施例でも、導体板10の長さを、使用波長の0.5波長より若干小さな値に選び、放射素子7と同一偏波となるように配置、すなわち、縦に配置すれば、上記説明の導波器と同様の効果が得られる。
そして、放射電界31は水平よりも下方向に放射されることになる。これは、導体板10が、放射素子7のやや下側に配置されているため、下側に放射電界を導いたことになる。なお、上記の説明で、放射素子7は水平方向への放射は最大であるが、それ以外の方向で放射が急激に小さくなる訳ではなく、ほぼコサインカーブに近い放射分布をもっている。従って、図11(a)でも下側方向への放射はあるが、図11(b)のように、導波器として動作する導体板10を付加した方が、より下側への放射が強められる。従って、導体板10は、必ずしも放射素子7の一部をカバーするように配置される必要はなく、放射素子7よりも多少下側でも、位置に応じた効果が得られる。 図12は、本発明のアンテナの放射ビームの説明図である。通常、携帯電話の基地局アンテナ51は、図12のように高いビル50の屋上に設置される場合が多い。このとき、基地局アンテナ51として、図11(a)のようなアンテナが用いられていると、その放射の主ビームは、図12の主ビーム52のようになり、ビル50の足元(直下)付近は電波が照射されずに不感地帯となってしまう。しかし、基地局アンテナ51に、本技術を用い、導体板10を付加すれば、図11(b)のように下側への放射も増加する。この増加分は、図12のアンテナ直下ビーム53となってビル50の足元付近を照射するので不感地帯は解消される。なお、第2および第3の実施例によるアンテナの動作原理も同様である。
図13は、本発明の第4の実施例によるアンテナの動作原理の説明図である。なお、第5および第6の実施例によるアンテナの動作原理も同様であり、ここでは導体板13は導体板14、15を代表する。図13では、導体板13は反射器として動作している。通常、八木アンテナでは、長さが約0.5波長の給電すべき放射素子7の後方に、長さが0.5波長より長い反射器を配置することにより、その反射器で反射させ、反対の方向に放射電界が強められ集中させることが知られている。よって、本例でも、導体板13の長さを、使用波長の0.5波長より大きな値に選び、螺旋のピッチ(導体板が螺旋状の場合)を大きめにして、放射素子7と同一偏波である垂直編波成分を少なからず反射するようにしておけば、放射素子7から放射された放射電界は導体板13に反射されることになる。
具体的には、放射電界32の一部である放射電界33は、導体板13によって反射されて、放射電界35となる。放射電界35は、通常、金属等の導体で構成される支持部8で反射され、放射電界36となって、下側に放射される。もちろん、このためには、導体板13は、適当な長さ、適当な螺旋のピッチ(導体板が螺旋状の場合)、レドーム2側面上の適当な位置に配置されることが条件である。通常は、一番下側に配置されている放射素子7の若干下側に配置することが望ましい。なお、図13では、放射電界33が、導体板13に反射されて放射電界34のように下側に反射される場合もあり、下側方向の電界は増加する。このように、図13のような場合においても、図12(b)の不感地帯は解消できる。
図14は、本発明の第8の実施例によるアンテナの動作原理の説明図である。図14では、アンテナ23があらかじめ下側を照射するように設置されている。この場合は、放射素子7から放射される放射電界60の一部が、アンテナ20で受信され、その高周波が同軸ケーブル22を介してアンテナ23に伝達され、アンテナ23より下側に放射電界61が照射される。この場合、アンテナ23は、電界の弱い方向に向けておくのが好ましい。
よって、図12のような場合は、ビル50の足元(根本)付近の不感地帯方向に向けておけば、不感地帯が解消される。なお、第7、第9および第10の実施例によるアンテナの動作原理も同様である。
さらに、付け加えて説明すると、本発明の技術の優れている点は、従来のアンテナに導体板10〜15を付加したり、アンテナ20及び23を付加することにより、図12の不感地帯をカバーすることができる点である。すなわち、従来のアンテナの設計を大きく変更することなく、不感地帯をなくすことができる訳である。
本発明の説明で、図7では、アンテナ20としてモノポールアンテナが、アンテナ23としてパッチアンテナが用いられているが、これらのアンテナの形式は特に限定することなく、いろいろな形式のアンテナが使用可能である。例えば、レドーム2の内部に設置されるアンテナ20としては、放射素子7との電磁界結合が得られればよいので、モノポール以外に、ダイポール、ループアンテナまたはパッチアンテナなどが使用可能である。アンテナが接続されている同軸ケーブル22のもう片方の端部(他端部)に接続されているアンテナ23についても、下方を放射すればよいので、パッチアンテナやホーンアンテナ、八木アンテナ以外に、モノポール、ダイポール、ループアンテナでも代用可能である。
これらのことは、図8〜図10についても同様である。
なお、本発明は、携帯電話の基地局アンテナで適用可能かつ有効な技術である。また、公衆用無線LAN(Local Area Network)基地局アンテナやホットスポット用の基地局アンテナとして有効である。
1 アンテナ部
2 レドーム
2a レドーム軸
3 サポート部
4 Uボルト
5 ポール
6 同軸ケーブル
7 放射素子
8 支持部
9 底板
10〜15 導体板
20 アンテナ
21 コネクタ
22 同軸ケーブル
23〜25 アンテナ
30〜36 放射電界
40 放射電界
50 ビル
51 基地局アンテナ
52 主ビーム
53 アンテナ直下ビーム
60 放射電界1

Claims (3)

  1. 放射素子と、前記放射素子を覆うレドームとを含むアンテナであって、
    前記アンテナの底部から、第1のアンテナが挿入され、前記第1のアンテナは同軸ケーブルの一端に接続され、前記同軸ケーブルの他端に第2のアンテナが接続されることを特徴とするアンテナ。
  2. 放射素子と、前記放射素子を覆うレドームとを含むアンテナであって、
    前記レドームの側面部から、第1のアンテナが挿入され、前記第1のアンテナは同軸ケーブルの一端に接続され、前記同軸ケーブルの他端に第2のアンテナが接続されることを特徴とするアンテナ。
  3. 前記第1のアンテナが、モノポール、ダイポール、ループアンテナまたはパッチアンテナで、前記第2のアンテナが、パッチアンテナ、ホーンアンテナ、八木アンテナ、モノポール、ダイポールまたはループアンテナであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンテナ。
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