JP4853202B2 - カラーフィルター保護膜用熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いたカラーフィルター - Google Patents
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Description
ここでいう硬度とは、液晶層の厚さを均一にするために必要とされる柱状スペーサーが保護膜にめり込まないような一定以上の抗張力を有することを指し、液晶ディスプレイの画像再現性に関わる重要な性能である。
また、本発明の第二の目的は、耐熱性や耐溶剤性といった基本性能を備えた上で、透明性、硬度に優れる樹脂硬化物の層を有するカラーフィルターを提供することにある。
すなわち、本発明は次の〔1〕および〔2〕である。
〔1〕下記の(A)、(B)、および(C)成分からなり、成分含有割合が(A)12
〜79重量%、(B)1〜47重量%、および(C)20〜42重量%であるカラーフィルター保護膜用樹脂組成物。
(A)重量平均分子量が3000〜100000であり、エポキシ当量が140から600g/molであり、エチレン性不飽和結合とエポキシ基を含有する単量体を用いて重合されたエポキシ基含有重合体
(B)重量平均分子量が330〜7000であり、エポキシ当量が150〜3500g/molであり、ビスフェノールA型またはノボラック型エポキシ樹脂、もしくは該エポキシ樹脂の核水素添加体からなる群より選ばれる多官能エポキシ樹脂
(C)シクロブタン環上に炭素数1〜3のアルキル基を有してもよい1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸化合物(c01)と、ビニルエーテル化合物(c11)または不飽和環状エーテル化合物(c12)との付加反応により得られるシクロブタンテトラカルボン酸ヘミアセタールエステル化合物
〔2〕前記の〔1〕に記載のカラーフィルター保護膜用樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物の層を有するカラーフィルター。
また、本発明によれば、液晶層の厚みを制御している柱状スペーサーが保護膜にめり込むことがなく、液晶層の厚みが均一性を保つことができるので、鮮鋭な画像が継続的に得られるカラーフィルターが提供される。
1.カラーフィルター保護膜用樹脂組成物
本発明のカラーフィルター保護膜用樹脂組成物は、下記の(A)、(B)、および(C)成分からなる。
(A)エポキシ基含有重合体
(B)多官能エポキシ樹脂
(C)シクロブタンテトラカルボン酸ヘミアセタールエステル化合物
以下、上記3成分について順に説明する。
本発明に用いるエポキシ基含有重合体(A)は、エチレン性不飽和結合とエポキシ基を含有する単量体(以降、エポキシ基含有単量体という)を用いて重合された重合体である。エポキシ基含有単量体は、具体的には式(1)〜(3)のいずれかの式で表される。
単量体を共重合して用いてもよい。
前記の式(2)において、R1は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、好ましくはメチル基である。炭素数が5を超えると重合性の点で不都合となる。また、R3は−CH2O−基または−CH2−基、R4は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基、好ましくは−CH2−基である。また、mは1〜7の整数であり、好ましくはm=1である。mが7を超えると、硬化後に硬化物のTgをはじめ十分な機械物性を得ることができない。
前記の式(3)において、R5は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、好ましくはメチル基である。炭素数が5を超えると重合性の点で不都合となる。また、nは1〜8の整数であり、好ましくはn=1である。kが8を超えると、硬化後に硬化物のTgをはじめ十分な機械物性を得ることができない。
これらのエポキシ基含有単量体のうち、入手性等の点から、グシシジルメタクリレートが好ましく挙げられる。
前記の式(5)において、R8は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、好ましくは水素またはメチル基であり、R9は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、シロキシアルキル基、または芳香族炭化水素基、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基である。R8の炭素数が5を超えたりR9の炭素数が12を超えたりすると、反応性が低下してしまい不都合となる。
前記式(6)において、R10は、水素原子または炭素数1〜12のシクロアルキル基、アリール基、またはアルカリール基、好ましくはシクロヘキシル基、またはフェニル基である。炭素数が12を超えると重合性の点で不都合となる。
本発明のカラーフィルター保護膜用樹脂組成物におけるエポキシ基含有重合体(A)は、常法の重合法により共重合することができる。すなわち重合方法は特に限定されず、ラジカル重合、イオン重合等の重合法を採ることができ、より具体的には重合開始剤の存在下、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の重合法を採ることができる。重合方法によっては単量体が多量に残存する場合があるが、この単量体が塗布硬化後の保護膜物性に影響を与える場合には、減圧留去法や再沈殿形成法等によって単量体を除去しても良い。
また、本発明に用いるエポキシ基含有重合体(A)のエポキシ当量は、140〜600g/molであり、好ましくは180〜550g/molである。エポキシ当量が140g/mol未満であると塗布硬化後の保護膜が強靭性を失い、600g/molを上回ると樹脂硬化物の層の硬度が低下する。さらに、高い強靭性が要求される用途の場合には、260〜550g/molであることが好ましい。エポキシ基含有重合体(A)のエポキシ当量が260g/mol以上であると、強靭性に優れ、密着性試験においても縁欠けが生じ難い。この際のエポキシ当量とは重合体についてのエポキシ基の当量を指し、JIS K 7236 :2001「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」に準じて測定される。
本発明に用いるエポキシ基含有化合物(B)は、1分子中にエポキシ基を2個以上有するものであって、ビスフェノールA型またはノボラック型エポキシ樹脂もしくは該エポキシ樹脂の核水素添加体からなる群より選ばれる多官能エポキシ樹脂である。
また、本発明に用いるエポキシ基含有化合物(B)の分子量は、330〜7000であり、好ましくは330〜6500、より好ましくは330〜6000である。エポキシ基含有化合物(B)の分子量が330未満であると、保護膜の硬度が低下する可能性があり、7000を上回ると塗布硬化後のムラが発生するなど外観が低下する可能性がある。なお、エポキシ基含有化合物(B)が重合体である場合には、当該分子量は重量平均分子量である。
さらに、エポキシ基含有化合物(B)のエポキシ当量は、150〜3500g/molであり、好ましくは160〜3300g/mol、より好ましくは180〜3000g/molである。エポキシ基含有化合物(B)のエポキシ当量が150g/mol未満であると、架橋密度が高くなり保護膜の強靭性、特に硬度が低下する可能性があり、3500g/molを上回ると保護膜の架橋密度が低くなり保護膜の硬度が著しく低下する可能性がある。
本発明に用いるエポキシ基含有化合物(B)は、上記の条件を満たせば、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。2種類以上を組み合わせて使用する際には、その混合物を本発明におけるエポキシ基含有化合物(B)とする。
これらのエポキシ基含有化合物のうち、流動性の観点から、式(7)のn2が0〜10のエポキシ基含有化合物、式(8)のn3が1〜12のエポキシ基含有化合物がより好ましい例として挙げられる。樹脂組成物の相溶性の面から最も好ましいのは式(7)で表される化合物である。
本発明に用いるエポキシ基含有化合物(B)は、ビスフェノールA型またはノボラック型エポキシ樹脂、もしくは該エポキシ樹脂の核水素添加体からなる群より選択され、さらに分子量およびエポキシ当量が上記範囲内にあるので、硬度が高く透明性に優れる保護膜を得ることができる。
本発明に用いるシクロブタンテトラカルボン酸ヘミアセタールエステル化合物(C)は、下記式(9)の構造を有する1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸化合物(c01)のカルボキシル基が下記式(10)で表されるビニルエーテル化合物(c11)または下記式(11)で表される不飽和環状エーテル化合物(c12)によって潜在化(以降、ブロック化ということがある。)された化合物である。
前記の式(9)で表されるカルボン酸化合物は、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸類であり、シクロブタン環上に置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有してしていても良い。前記の置換基としては具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられるが、好ましくは、炭素数1〜3の直鎖のアルキル基である。なお、以上のカルボン酸の中では、原料の入手性や製造のしやすさなどの点から、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸および1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸が好ましく挙げられる。
本発明に用いる1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸化合物(c01)は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ブロック化反応を行う際、反応系を均一にし、反応を容易にする目的で有機溶剤を使用してもよい。この際に使用する有機溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素、エーテル類、エステルおよびエーテルエステル類、ケトン類、リン酸エステル類、ニトリル類、非プロトン性極性溶媒、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類等が挙げられる。より好ましくは、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。当該有機溶剤としては、アルコール又はイオン性溶剤を除く有機溶剤であることが好ましい。アルコール又はイオン性溶剤に関しては脱ブロック反応を進行させる場合があることが知られており、樹脂組成物の保存安定性を著しく低下させ、本発明の効果を得ることが難しくなる場合があるからである。
本発明のカラーフィルター保護膜用樹脂組成物において、組成物中のエポキシ基含有重合体(A)の配合割合は、12〜79重量%、より好ましくは40〜65重量%、さらに好ましくは40〜60重量%である。エポキシ基含有重合体(A)の配合割合が40重量%未満の場合には保護膜の密着性等の性能が低下する場合があり、65重量%を上回ると保護膜の強靭性を損なう場合があるため本発明の効果を得ることが難しい。
なお、本発明のカラーフィルター保護膜用樹脂組成物に対して、必須成分である(A)〜(C)以外の追加成分として、カルボキシル基、およびエポキシ基を含むカルボキシル基と反応しうる官能基を含む化合物を添加して使用する際には、本発明の効果を減じないため、添加分の官能基の増加を考慮して配合することが望ましい。
本発明のカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物は、溶剤、充填材、または添加剤を任意の量を添加して、塗布プロセスの種類に応じて最適な粘度に調整して使用することができる。
本発明のカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤、密着性向上助剤、表面調整剤、エポキシ樹脂またはオキセタン樹脂、粘度調整剤、その他の成分を添加して使用することができる。
<有機溶剤>
本発明のカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物には、使用に際して粘度等を調整する目的で有機溶剤を添加しても良い。この際に使用する有機溶剤としては、芳香族炭化水素、エーテル類、エステルおよびエーテルエステル類、ケトン類、リン酸エステル類、ニトリル類、非プロトン性極性溶媒、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類等が挙げられる。
これらの有機溶剤は1種単独または2種以上を適宜組み合わせて使用できる。
また、これら有機溶剤の添加量については特に制限はされず、所定膜厚、表明の平滑性、および成膜方法等に応じ、任意の量添加し、塗布適性を付与することができる。通常は、カラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物100重量部に対して、5〜2000重量部である。
本発明のカラーフィルター保護膜用熱硬化性樹脂組成物には、本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物の無色透明性を損なわない範囲において、硬化促進剤を適宜使用することもできる。添加しうる硬化促進剤としては、例えば、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルシクロヘキシルアミン等の3級アミン類;1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニル等の有機リン系化合物;テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等やその有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類;オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトン錯体等の有機金属化合物類;テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩類;三フッ化ホウ素、トリフェニルボレート等のホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二錫等の金属ハロゲン化物が挙げられる。さらには、高融点イミダゾール化合物、ジシアンジアミド、アミン等エポキシ樹脂等に付加したアミン付加型促進剤等の高融点分散型潜在性促進剤;イミダゾール系、リン系、ホスフィン系促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性促進剤;アミン塩型潜在性硬化促進剤、ルイス酸塩、ブレンステッド酸塩等の高温解離型の潜在性硬化促進剤等に代表される潜在性硬化促進剤も使用することができる。
本発明のカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物には、基材との間により高度な密着性が要求される場合、密着性を向上させるための助剤として金属石鹸を含むチタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミキレート剤等の密着性向上剤を添加することもできる。チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤としては、カルボン酸塩を含む金属石鹸タイプでもよい。これらのカップリング剤は1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて添加することができる。
<表面調整剤>
本発明のカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物には、該熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる保護膜の外観を向上させる目的で、あるいは、各配合成分の相溶性を向上させる目的で、表面調整剤を添加することもできる。表面調整剤は1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
前記の表面調整剤を添加して使用する場合、本発明のカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物100重量部に対して、通常0.001〜3重量%で配合される。
本発明の本発明のカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物100重量部に対して、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下で、エポキシ樹脂またはオキセタン樹脂を添加して使用してもよい。
本発明のカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物に対して、エポキシ樹脂またはオキセタン樹脂は、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、線膨張係数の調整、平坦性向上、表面硬度の向上、粘度調整、屈折率の調整、所定波長の光線吸収、密着性の向上等の目的で、本発明のカラーフィルター保護膜用樹脂組成物に任意量充填材を添加することができる。この際用いられる充填材としては、透明性を妨げるものでなければ特に限定されないが、シリカゾル、シリカゲル、酸化チタン、酸化アルミ、酸化セリウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等が例として挙げられる。これらの充填材は1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
また、本発明のカラーフィルター保護膜用の熱硬化性樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で、必要に応じて、エチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族ポリオール、フェノール化合物等の炭酸ガス発生防止剤、ポリアルキレングリコール等の可撓性付与剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、表面処理剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、レベリング剤、イオントラップ剤、摺動性改良剤、各種ゴム、有機ポリマービーズ、ガラスビーズ、揺変性付与剤、表面張力低下剤、消泡剤、光拡散剤、抗酸化剤、蛍光剤等の添加剤を配合することができる。
以下に本発明のカラーフィルター保護膜用樹脂組成物の配合、攪拌、分散手法に関して説明する。
本発明のカラーフィルター保護膜用樹脂組成物の調整に際しては、上記(A)〜(C)の必須成分をはじめとする各成分を一括配合しても良いし、各成分を溶剤に溶解した後に逐次配合しても良い。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。例えば、全成分を同時に溶剤に溶解して樹脂組成物を調製してもよいし、必要に応じては各成分を適宜2つ以上の溶液としておいて、使用時(塗布時)にこれらの溶液を混合して樹脂組成物として調製してもよい。
本発明のカラーフィルター保護膜用樹脂組成物に粘度調整剤や充填材を添加する場合には、モーターミル、シェイカー等の高シェア分散機を用いた分散を行っても良い。この際には、本発明における上記(A)〜(C)の必須成分をはじめとする各成分をバインダーとしたマスターバッチを予め作製しておき、使用時に配合するなどといった手法も取ることができる。ただし、本発明のシクロブタンテトラカルボン酸ヘミアセタールエステル化合物(C)は熱により脱ブロック反応が進行するため、(C)を含む組成物を分散する際には、80℃以上に加熱しないよう配慮が必要となる。
上記カラーフィルター保護膜用樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物の層は、一般的に保護膜と称されているものに特に限定されず、例えば、カラーフィルターの基板上に形成されたRGB画素と、液晶配向膜、ITO層、発光体、又は受光体等との間に形成される樹脂硬化物の層をいう。また、RGB画素に直接接していなくても、他の材料を介して間接的に保護する保護膜のような場合も含まれ、例えば、固体撮像素子のマイクロレンズとカラーフィルターの間に用いる中間膜、或いはカラーフィルターと電極の間に用いる中間膜も含まれる。
カラーフィルターは、一例として、透明基板に所定のパターンで形成されたブラックマトリックスと、当該ブラックマトリックス間に所定のパターンで形成した画素部と、当該画素部を覆うように形成された保護膜を備えている。保護膜上に必要に応じて液晶駆動用の透明電極が形成される場合もある。また、ブラックマトリックス層が形成された領域に合わせて、透明電極板上若しくは画素部上若しくは保護膜上に柱状スペーサーが形成される場合もある。
本発明のカラーフィルター保護膜用樹脂組成物を塗布する方法に関しては、特に限定されるものではなく、通常用いられる塗布手法として、例えば、スピンコーター塗布法、浸漬塗布法、スプレーコーター塗布法、ロールコーター塗布法、スクリーン印刷塗布法、オフセット印刷塗布法、スリットコーター塗布法、ダイコーター塗布法等の単独または組み合わせにより、基材に塗布することができる。
次に、得られた塗膜を乾燥し、さらに必要に応じて予備加熱(以下、プリベーク)を行った後、本硬化加熱(以下、ポストベーク)を経て樹脂硬化物の層を形成する。この際には、プリベーク条件として40〜140℃、0〜1時間、ポストベーク条件として150〜280℃、0.2〜2時間が好ましい条件として挙げられる。また、この際の加熱手法としては、特に限定されるものではなく、例えば、密閉式硬化炉や連続硬化が可能なトンネル炉等の硬化装置を採用することができる。加熱源は特に制約されることなく、熱風循環、赤外線加熱、高周波加熱等の方法で行うことができる。
なお、本発明の樹脂硬化物の層は、塗布硬化後の膜厚は0.2〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜4μmである。塗布硬化後の膜厚が0.2μm未満の場合には、バリア性、平坦性等の保護膜に要求される性能を得ることが難しく、5μmを上回ると透明性、硬度等の性能が低下するおそれがあり好ましくない。ただし、高い平坦性が望まれる用途に関しては、塗布硬化後の膜厚が5〜20μmであっても良い。
以下に本実施例および比較例で用いた測定方法、評価方法を示す。
<重量平均分子量>
重量平均分子量(Mw)は、東ソー(株)製ゲルパミエーションクロマトグラフィー装置HLC−8220GPCを用い、カラムとして昭和電工(株)製SHODEX K−801を用い、THFを溶離液とし、RI検出器により測定してポリスチレン換算により求めた。
<粘度>
粘度は、循環式恒温水浴を装備したB型粘度計(東機産業(株)製)を用いて温度20℃で測定した。
<エポキシ当量>
エポキシ当量は、JIS K 7236:2001「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」によって規定される方法によって測定した。
保護膜を形成したサンプルを目視にて観察した。
○は無色透明、△は着色あるいは濁りがあったことを示す。
<透明性>
保護膜を形成したサンプルを、紫外−可視光分光硬度計(島津製作所製UV−3700)を用いて波長380nm〜800nmまでスキャンし、光線透過率を測定した。透過率が90%以上の時に良好と判定した。
<鉛筆硬度>
JIS K5600−5−4に規定される塗膜の機械的性質−引っかき硬度(鉛筆法)で硬度の評価を行った。評価の段階は通常の6B〜9Hの他、例えば4Hの鉛筆でできた傷が5本中1本ならば「4H」、0本ならば「4H+」というように、評価をより細分化した。
<硬度(抗張力)>
保護膜を形成したサンプルを、微小硬度計(島津製作所製島津ダイナミック微小硬度計DUH−W201)を用いて円錐台圧子圧縮試験を行った。圧子を塗膜上に降下させ、塗膜への進入深さ(=総変形量)から硬度(抗張力)を評価を行った。試験力および保持時間は、進入深さが膜厚の30%を超えないようにするため、荷重60mN、保持時間5秒とした。圧子がサンプル上底に接触した点を原点とし、設定荷重まで圧子は進入する。その後一定の保持時間(5秒間)を経て荷重を開放するまでに進入した深さを総変形量とする。
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた容量500mLの4つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PMA)を160重量部仕込み、攪拌しながら加熱して80℃に昇温した。次いで、80℃の温度でグリシジルメタクリレート(以下、GMA)114重量部、シクロヘキシルメタクリレート(以下、CHMA)86重量部、日本油脂(株)製の過酸化物系重合開始剤「パーヘキシルO(;商品名、純度93%)」(以下、h−O)7重量部、およびPMA33重量部を予め均一混合したもの(滴下成分)を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、98℃の温度を7時間維持した後、反応を終了した。重量平均分子量(Mw)34,000、固形分53%、粘度25Pa・s(20℃)および溶液のエポキシ当量520g/molのエポキシ基を有する重合体溶液(エポキシ基含有重合体のエポキシ当量280g/mol)を得た。
製造例A−1と同様にエポキシ基含有重合体(A−2〜A−5)、及び比較エポキシ基含有重合体(A’−6)を得た。各原料の仕込み比、滴下温度、重量平均分子量、固形分、粘度およびエポキシ当量を、製造例A−1と合わせて、表1に示す。
GMA:グリシジルメタクリレート
M−100:脂環式エポキシ基含有単量体、ダイセル化学工業(株)製商品名「サイクロマーM−100」
VBGE:ビニルベンジルグリシジルエーテル、セイミケミカル(株)製
St:スチレン
h−O:過酸化物系重合開始剤、日本油脂(株)製商品名「パーヘキシルO」、純度93%)
窒素雰囲気下、無水マレイン酸30.00gと炭酸ジエチル300.0gをフラスコ内に加えた後、光環化反応を反応時間5℃で33時間、マグネットスターラーを用いて攪拌しながら行った。反応後に反応液中に生成析出している1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物をろ紙でろ過後、減圧乾燥(50℃、10mmHg)して完全に溶媒を除いた。得られた1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物の収量は、23.51gであった(収率78.4%、純度99.1%)。
<製造例C−2:1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物>
窒素雰囲気下、2,3−ジメチル無水マレイン酸30.00gと炭酸ジエチル300.0gをフラスコ中に加えた後、光環化反応を反応温度5℃で33時間、マグネットスターラーを用いて撹拌しながら行った。反応後に反応液中に生成析出している1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物をろ紙で濾過後、減圧乾燥(50℃、10mmHg)して完全に溶媒を除いた。得られた1,2,3,4−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物の収量は13.51gであった(収率45.0%、純度98.7%)。
製造例1で得られた1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物20.0g、脱イオン水36.7g、テトラヒドロフラン300.0gをフラスコ中に加え、反応温度95℃で5時間、マグネットスターラーを用いて撹拌しながら行った。反応後、ヘキサン/テトラヒドロフラン混合液を用い、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸を再結晶させることにより目的物を得た。得られた1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸の収量は18.16gであった(収率90.8%、純度99.0%)。
<製造例C−4:1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸の合成>
製造例2で得られた1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物20.0g、脱イオン水36.7g、テトラヒドロフラン300.0gをフラスコ中に加え、反応温度95℃で5時間、マグネットスターラーを用いて撹拌しながら行った。反応後、ヘキサン/テトラヒドロフラン混合液を用い、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸を再結晶させることにより目的物を得た。得られた1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸の収量は18.16gであった(収率82.6%、純度99.0%)。
なお、製造には、100W高圧水銀灯(セン特殊光源(株)製、電源:HB−101、光源:HL100CH−5)を用いた。また、反応容器としては、上記光源を収納できる500mLの平底円筒型フラスコ(内径:80mm)を使用した。
純度はプロトン核磁気共鳴スペクトル測定での積分値から求めた。
温度計、還流冷却器、撹拌機を備えた4つ口フラスコに、それぞれ表1記載の組成の単量体を仕込み、それぞれの反応条件で反応させた。その後、反応物の酸価が1.0mgKOH/g以下になったことを確認して反応を終了した。
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、PMA50重量部、製造例1で得られた1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸(以下、CBTA)12.6重量部、n−プロピルビニルエーテル(以下、nPr−VE)37.4重量部を仕込み、攪拌しながら加熱し70℃に昇温した。次いで、温度を保ちながら攪拌し続け、混合物の酸価が2.0mgKOH/g以下になったところで反応を終了し、溶液の酸価0.9mgKOH/gのブロック化されたカルボキシル基を2個以上有する硬化剤溶液(C−1)が得られた。
なお、酸価及び全酸当量は、JIS K 0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」の加水分解酸価測定によって測定した。
製造例C−5と同様にシクロブタンテトラカルボン酸ヘミアセタールエステル化合物(C−6〜C−8)、及び比較多価カルボン酸ヘミアセタールエステル化合物(C’−9)を得た。各原料の仕込み比、反応温度、酸価および全酸当量を表2に示す。
CBTA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸
CHTA:1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸
PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
AP−8:大八化学工業(株)製2−エチルヘキシルアシッドホスフェート
表3に示す配合割合で、各成分を十分に攪拌し、溶解してカラーフィルター保護膜用樹脂組成物を得た。得られた各カラーフィルター保護膜用樹脂組成物の保存安定性試験を上記の方法で行った。また、各樹脂組成物を孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過した後、スピンコーターを用いてガラス基板(日本電気硝子(株)製;商品名;OA−10、無アルカリガラス)に800rpmで回転塗布した。塗布後、ガラス基板を80℃のクリーンオーブン中にて5分間乾燥処理後、230℃のクリーンオーブン中にて30分間処理し、塗膜を硬化させた。実施例の全ての場合において、得られた塗膜の表面は極めて平滑であり、ピンホール等は全く見られなかった。微細形状測定器((株)小坂研究所製;商品名;SURFCORDER ET400)によって測定した膜厚は2.0〜2.5μmであった。また、得られた各カラーフィルター保護膜用樹脂組成物の樹脂硬化物の層について、下記の手法で外観、透明性および硬度(抗張力)の各試験を行った。結果を配合割合とともに表3に示す。
<比較例1〜3>
表4に示す配合割合で、各成分を十分に攪拌し、溶解して比較例のカラーフィルター保護膜用樹脂組成物を得た。実施例と全く同じ方法によって、比較例の樹脂組成物を用いて樹脂硬化物の層を得た。比較例の全ての場合において、得られた塗膜の表面は平滑であり、ピンホール等は全く見られなかった。実施例と測定した膜厚は2.0〜2.5μmであった。また、得られた樹脂硬化物の層について実施例と同様にして外観、透明性、および硬度(抗張力)の各試験を行った。結果を配合割合とともに表4に示す。
Ep828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製商品名「エピコート828」、エポキシ当量190(g/mol)、分子量約380
Ep1007:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製商品名「エピコート1007」、エポキシ当量2,000(g/mol)分子量約3,000
Ep157:ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製商品名「エピコート157」、エポキシ当量210(g/mol)、分子量約2,100
ZrCp:カプロン酸ジルコニウム
TiOc:オクチル酸チタン
TPP:トリフェニルフォスフェート
LC−1:熱潜在性触媒、日本油脂(株)製商品名「ノフキュアーLC−1」(亜鉛含量14重量%)
KBM:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン信越化学工業(株)製商品名「KBM403」
一方で、比較例1においては、本発明に用いるエポキシ基含有重合体(A)よりもエポキシ当量の大きい重合体を用いているため保護膜の架橋密度が低く、本発明の目的とする硬度に達することができていない。比較例2においては、本発明に用いるカルボン酸ヘミアセタールエステル化合物(C)とはカルボン酸構造の異なるミアセタールエステル化合物を用いているため、本発明の目的とする硬度に達することができていない。比較例3においては、本発明に用いるエポキシ基含有化合物(B)とは異なる化合物を用いているため、本発明の目的とする硬度に達することができていない。
以上から、本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いたときにのみ、本願の目的を達することができることが明らかである。
Claims (2)
- 下記の(A)、(B)、および(C)成分からなり、成分含有割合が(A)12〜79重量%、(B)1〜47重量%、および(C)20〜42重量%であるカラーフィルター保護膜用樹脂組成物。
(A)重量平均分子量が3000〜100000であり、エポキシ当量が140〜600g/molであり、エチレン性不飽和結合とエポキシ基を含有する単量体を用いて重合されたエポキシ基含有重合体
(B)重量平均分子量が330〜7000であり、エポキシ当量が150〜3500g/molであり、ビスフェノールA型またはノボラック型エポキシ樹脂、もしくは該エポキシ樹脂の核水素添加体からなる群より選ばれる多官能エポキシ樹脂
(C)シクロブタン環上に炭素数1〜3のアルキル基を有してもよい1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸化合物(c01)と、ビニルエーテル化合物(c11)または不飽和環状エーテル化合物(c12)との付加反応により得られるシクロブタンテトラカルボン酸ヘミアセタールエステル化合物 - 請求項1のカラーフィルター保護膜用樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物の層を有するカラーフィルター。
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