JP4853113B2 - 炊飯器 - Google Patents

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本発明は、水の沸点以上の蒸気を利用し炊飯性能を向上させた炊飯器に関するものである。
従来の炊飯器においては、水がほぼなくなり米の流動性がなくなる、炊飯の最終工程である蒸らし工程で、それまでの加熱を継続し、米澱粉の糊化を完成させることが、美味なるご飯を炊くために必須であるが、この工程で、加熱を継続すると鍋底付近の米飯がこげてしまうため加熱を弱めることが多かった。そこで、加熱を弱めることに伴う糊化不足を防止し、炊飯性能を向上させるため、蓋体に高熱源である誘導加熱コイルを設けて鍋開口部の上方から米を加熱するようなものがあった(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−62956号公報
しかしながら、前記従来の構成では、鍋内上層の米が直接、誘導加熱コイルによる熱放射により加熱されることになるため、蒸らし工程においては、ご飯の水分が蒸発して乾燥して食味が落ちてしまうという現象が生じる。従って、鍋内の米飯全体が十分な炊飯性能を確保できる温度まで鍋上方から誘導加熱コイルで加熱できず、結局、十分な加熱が行えず、鍋内全体にわたって食味は完全なものではなかった。さらに、炊飯量が多いほど、加熱量を多くしなければならないにも拘わらず、炊飯量が多くなるほど、上層の米は誘導加熱コイルに接近するので乾燥しやすくなり、加熱を弱めなければならないという矛盾を生じていた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、炊飯量に関係なく、鍋内上層のご飯の乾燥による食味低下をなくし、鍋内の米飯全体の十分な炊飯性能を確保できるようにした炊飯器を提供することを目的とするものである。
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、炊飯器本体内に着脱自在に設けた鍋と、鍋の上部を覆う外蓋と、外蓋の鍋側に着脱自在に設けた加熱板と、加熱板の温度を検知する温度検知手段と、加熱板へ供給された水を加熱して鍋内に供給する蒸気を蒸発させる蒸気発生手段とを備え、前記加熱板には、蒸気発生手段により加熱される水を貯水する凹部と、凹部における喫水面より高くかつ温度検知手段が接触する凸部とを設けたものである。
これによって、蒸気を鍋上方から米に供給することができ、ご飯の乾燥を伴わず、食味低下をなくし炊飯性能を向上させることができる。また、加熱板の凹部には使用していくうちに水垢が付着するが、凸部は凹部における喫水面より高くしているため、水垢が温度検知手段の接触する凸部に到達せず、炊飯の繰り返しにおいても精度よく温度検知ができ、各炊飯合数に対して安定した炊飯性能を確保することができる。
本発明の炊飯器は、炊飯量に関係なく、鍋内上層のご飯の乾燥による食味低下をなくし、鍋内の米飯全体の十分な炊飯性能を確保することができる。
第1の発明は、炊飯器本体内に着脱自在に設けた鍋と、鍋の上部を覆う外蓋と、外蓋の鍋側に着脱自在に設けた加熱板と、加熱板の温度を検知する温度検知手段と、加熱板へ供給された水を加熱して鍋内に供給する蒸気を蒸発させる蒸気発生手段とを備え、前記加熱板には、蒸気発生手段により加熱される水を貯水する凹部と、凹部における喫水面より高くかつ温度検知手段が接触する凸部とを設けた炊飯器とすることにより、蒸気を鍋上方から米に供給することができ、ご飯の乾燥を伴わず、食味低下をなくし炊飯性能を向上させることができる。また、加熱板の凹部には使用していくうちに水垢が付着するが、凸部は凹部における喫水面より高くしているため、水垢が温度検知手段の接触する凸部に到達せず、炊飯の繰り返しにおいても精度よく温度検知ができ、各炊飯合数に対して安定した炊飯性能を確保することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、加熱板の凸部における温度検知手段と接触する接触面と、凹部における喫水面との間に一定の間隔を保持したことにより、水垢が温度検知手段の接触する凸部に付着することがない。このため、温度検知手段の感度を鈍らせることを防止し、温度検知手段を正常に動作させ、安定した炊飯性能を確保することができる。すなわち、日本全国各地域の水質相違があるため、水垢の付着レベルにも相違が発生するが、凸部における温度検知手段と接触する接触面と、凹部における喫水面との間に一定の間隔を保持したことで、その水質相違を吸収することができるものである。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、加熱板の凸部の周囲を覆ってカバーを配設したことにより、加熱板の凹部の水を加熱し蒸気を発生させる際に水の水滴が飛び散るが、凸部の周囲はカバーで覆われているため、カバーが温度検知手段の保護の役目をし、水滴が温度検知手段に付着することがない。このため、温度検知手段を正常に動作させ、安定した炊飯性能を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1〜図3は、本発明の実施の形態1における炊飯器を示している。
図1に示すように、本実施の形態における炊飯器は、炊飯器本体1の鍋収納部1a内に着脱自在に設けた鍋2と、鍋収納部1aの底部に設け鍋2を誘導加熱し炊飯・保温を行う底誘導コイル3と、鍋2底の温度を検知する鍋センサー4と、鍋センサー4の信号を受けて底誘導コイル3の通電量を制御し鍋2の加熱量を制御する制御部5と、炊飯器本体1の後部のヒンジ箱6に設けたヒンジ軸7にて軸支され鍋2の上部を覆う外蓋8と、外蓋8の鍋2側に着脱自在に設けた加熱板12と、外蓋8に着脱自在に取り付けられ加熱板12へ供給する水を貯水した給水タンク16と、加熱板12の温度を検知する温度検知手段21と、加熱板12へ供給された水を加熱して鍋2内に供給する蒸気を蒸発させる蒸気発生手段22とを備えている。
そして、前記加熱板12には、給水タンク16から供給され蒸気発生手段22により加熱される水を貯水する凹部18と、温度検知手段21が接触する天面部20が凹部18における喫水面より高い凸部19とを設けている。凸部19は凹部18内に位置している。
また、外蓋8の先端には蓋係合部9を設けており、閉蓋時に炊飯器本体1の前方のフックボタン10と係合し、炊飯または保温中に誤って外蓋8が開成するのを防止している。フックボタン10を押すと、蓋係合部9とフックボタン10の係合が外れ、炊飯器本体1の後部のヒンジ箱6に設けたヒンジばね11の力よって外蓋8が開成するように構成している。
また、加熱板12には、加熱板蒸気口12aと蒸気投入口25を複数設けている。加熱板蒸気口12aは、炊飯・保温中に発生する蒸気をここから蒸気口13を通して外部へ流出する。蒸気口パッキン14は加熱板蒸気口12aからの蒸気を蒸気口13に案内し、外蓋8の内部に流入するのを防止している。また、鍋パッキン15は加熱板12と鍋2のフランジ部2aの間から蒸気が外部へ漏れ出すのを防止している。蒸気投入口25は、加熱板12の凹部18から発生する蒸気を、空間24を介して鍋2内に供給する役割をなしている。
また、給水タンク16は、給水弁17を有しており、貯水した水を加熱板12の凹部18に滴下する構成としている。
また、蒸気発生手段22は、加熱板12の上方部に配設されており、加熱板12の凹部18に貯水した水を加熱し、蒸気を発生させる。そして、蒸気発生手段22には加熱板12を電磁誘導加熱する蓋誘導コイル23が設置され、この蓋誘導コイル23により、加熱板12の凹部18に貯水した水を加熱して蒸気にし、その蒸気を更に過加熱する役目をするものである。
次に、上記構成において動作を説明する。
炊飯を行う前に、給水タンク16に定量の水を入れ、外蓋8の所定の箇所に装着する。炊飯開始スイッチ(図示せず)を使用者が操作すると、炊飯工程が実施される。炊飯工程は浸水、炊き上げ、蒸らしの各工程に大分されている。それぞれの工程において、鍋2内部の米と水の状態が適正値として出力された温度が所定時間維持される。そのため、鍋センサー4の出力を検出しながら、底誘導コイル3、蒸気発生手段22の内部に配設された蓋誘導コイル23、給水タンク16に配設された給水弁17をそれぞれ駆動させる。
炊飯工程が実施された際、浸水工程からスタートし、その時点で給水弁17が駆動し、給水タンク16に貯水された水が、加熱板12の凹部18に溜まる。浸水工程時においては、鍋2内の米と水は、底誘導コイル3の電磁誘導加熱により、所定の温度に浸水される。その際、蒸気発生手段22の内部に配設された蓋誘導コイル23による加熱板12の電磁誘導加熱を行う必要はない。
次に、炊き上げ工程時において、鍋2内の米と水は底誘導コイル3の駆動による電磁誘導加熱により加熱される。その際、鍋2の加熱温度を底センサー4により検知し、その検知温度を制御部5に送り、底誘導コイル3の電力入力時間を調整し、炊飯の炊き上げ工程を行い、鍋2内部の水の煮沸が進行する。鍋2内部の米がご飯に変わる時点では、鍋2の温度は高温になり、さらに加熱を行うとご飯の底部がこげ付いてしまうので、ある所定温度を底センサー4により検知されると、制御部5により底誘導コイル3への電力供給は低減するようにし、ご飯の底部のこげ付きが発生しないようにしている。その中で、鍋2上部の加熱は米がご飯にかわり鍋2内部の水がなくなりかけている時点から、蒸気発生手段22の内部に配設された蓋誘導コイル23を駆動させ、加熱板12の電磁誘導加熱を始める。その電磁誘導加熱により、加熱板12の全体の温度上昇と加熱板12の凹部18に貯水した水を煮沸し、水を蒸気にする。
そして、その蒸気は加熱板12と蒸気発生手段22の間の空間24内に充満し、更に蒸気発生手段22の内部に配設された蓋誘導コイル23による加熱板12の電磁誘導加熱により温度上昇し、蒸気は過加熱(100℃以上)される。その過加熱された蒸気は、加熱板12に配設された蒸気投入口25から鍋2内部に投入されることとなる。よって、鍋2内部のご飯の上層部は、加熱板12の全体の温度上昇による熱量と、過加熱された蒸気の熱量により加熱され、鍋2内部の水がなくなりかける時点においてのご飯の加熱をより推進し、ご飯の澱粉化を促進させ、底誘導コイル3からの加熱の低減によるご飯のこげ付き防止を実施するとともに、炊飯性能の向上となっている。
次に、蒸らし工程においては、鍋2内部の米は、ご飯となっており、水は存在しない。その中で、底誘導コイル3による電磁誘導加熱を行い、鍋2の温度上昇を行うと、ご飯の底部はこげ付いてしまうので、底誘導コイル3の電磁誘導加熱をご飯がこげつかない必要最低限度の加熱しか行えず、ご飯の澱粉化の促進が行えなかったが、蒸気発生手段22の内部に配設された蓋誘導コイル23による加熱板12の電磁誘導加熱による加熱板12の凹部18に貯水した水を煮沸した蒸気により、炊き上げ工程での鍋2内部の水がなくなりかける時点の工程と同じような炊飯プロセスにより、鍋2上層部のご飯の澱粉化を促進し、さらに、蒸らし工程においては、炊き上げ工程と比較し、加熱板12の凹部18に溜めた水の煮沸時間が長いため、鍋2内に投入する過加熱された蒸気の量は多く、鍋2内部のご飯の澱粉化をさらに促進し、ご飯のこげ付きがないが、炊飯性能を向上することができる。
次に、図2、図3を用いて、加熱板12の凹部18内の所定箇所に配設した凸部19の作用について説明する。
すでに説明したように、加熱板12の所定箇所には、蒸気にするための水を貯水する凹部18が配設され、水26が溜められ、喫水面27となっている。また、加熱板12の凹部18内の所定箇所に凸部19が配設されており、凸部19の天面部20は喫水面27より上方に位置している。そして、図2に示すように、凸部19の天面部20に接触し、加熱板12の凸部19の温度検知を行う温度検知手段21が配設されている。温度検知手段21には、センサーケース28が配設されている。センサーケース28はアルミニウムなどの熱伝導性の高い材料にて、外装部にアルマイト処理などを施し、天面部20との摩擦抵抗を少なくし、温度検知手段21の温度検知を確保している。また、センサーケース28は、蒸気発生手段22にネジなどにより機械的に固定されたセンサー台29内に配設された押さえバネ30に挟持された構成であり、センサーケース28は上下方向に移動可能である。そのため、センサーケース28は加熱板12の凸部19の天面部20と確実に接触し、温度検知手段21は温度検知を安定して行うことができるものである。
上記の構成において、加熱板12の凹部18に水を貯水し、炊飯中に蒸発させるが、日本全国各地域のおいて、水の水質に相違があるため、図3に示すように、水26の喫水面27の外周部に水垢が付着するケースがある。しかし、水26の喫水面27とセンサーケース28までの一定の間隔32を確保することで、天面部20やセンサーケース28に水垢が付着することなく、温度検知手段21は安定した動作を行うことができ、よって安定した炊飯工程および安定した蒸気の発生、ゆえに炊飯性能を安定化させることとなる。ここで、前記一定の間隔32は、加熱板12の凸部19の天面部20から喫水面27までの垂直距離33が2〜7mmであれば、一定の間隔32を7〜15mmにすることにより、水垢31が天面部20とセンサーケース28の接触面に付着しにくくなる。
また、加熱板12の凸部19の天面部20から喫水面27までの垂直距離33が2mm未満の場合であると、一定の間隔32を大きく例えば15mm以上とらないと、センサーケース28に水垢31が付着して、温度検知手段21が誤検知する恐れがある。
ここで、一定の間隔32をさらに大きくとれば、水垢31がセンサーケース28に付着しにくくなるが、加熱板12の凹部18からセンサーケース28までの距離が大きくなり、前記凹部18の水26の有無による温度検知手段21の検知性能が悪くなり、炊飯工程を正常に行うことができにくくなり炊飯性能の低下につながることがある。
したがって、垂直距離33を2〜7mmで一定の間隔32を7〜15mmにとることにより、センサーケース28への水垢31の付着を防止しつつ、温度検知手段21の検知を良くして、温度検知手段21の誤検知はなくなり安定した炊飯性能工程を行うことができる。また、一定の間隔32は、日本全国各地域の水質の相違による水垢のレベルを吸収し、センサーケース28までに水垢が到達しない寸法関係になるようにも配慮されている。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における炊飯器の要部を示している。実施の形態1と基本構成は同じであるので、同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
本実施の形態では、加熱板22の凸部19の周囲を覆ってカバー34を配設したものである。このカバー34の配設構成は、種々のものが考えられるが、本実施の形態では、蒸気発生手段22から筒状に設けられ、凸部19の天面部20と温度検知手段21との接触面を覆う構成となっている。その他の構成は実施の形態1と同じである。
炊飯工程の炊き上げと蒸らしの工程においては、加熱板12の凹部18に貯水した水を煮沸し、蒸気にするが、その煮沸の際に、炊飯器本体1の設置状況、例えば炊飯器本体1が傾いた状況にて設置されていると、加熱板12の凹部18に貯水した水が、煮沸時に煮沸した泡の勢いなどにより水滴となり、センサーケース28に付着する恐れがある。そのため、凸部19の周囲、つまり蒸気発生手段22のセンサーケース28の外周周囲にカバー34を配設することで、カバー34が凸部19とセンサーケース28の保護となり、煮沸時の水が凸部19やセンサーケース28に付着しないという役目がある。そうすることで、いかなる炊飯器本体1の設置状況下でも、加熱板12の凸部19の温度検知を行う温度検知手段21の温度検知を安定することができ、安定した炊飯工程を行うことができ炊飯性能を安定させることができるものである。
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、炊飯量に関係なく、鍋内上層のご飯の乾燥による食味低下をなくし、鍋内の米飯全体の十分な炊飯性能を確保することができるので、家庭用のみならず業務用の炊飯器などの用途にも応用できる。
本発明の実施の形態1における炊飯器の縦断面図 同炊飯器の要部の断面図 同炊飯器の加熱板の斜視図 本発明の実施の形態2における炊飯器の要部の断面図
符号の説明
1 炊飯器本体
2 鍋
8 外蓋
12 加熱板
16 給水タンク
18 凹部
19 凸部
21 温度検知手段
22 蒸気発生手段

Claims (3)

  1. 炊飯器本体内に着脱自在に設けた鍋と、鍋の上部を覆う外蓋と、外蓋の鍋側に着脱自在に設けた加熱板と、加熱板の温度を検知する温度検知手段と、加熱板へ供給された水を加熱して鍋内に供給する蒸気を蒸発させる蒸気発生手段とを備え、前記加熱板には、蒸気発生手段により加熱される水を貯水する凹部と、凹部における喫水面より高くかつ温度検知手段が接触する凸部とを設けた炊飯器。
  2. 加熱板の凸部における温度検知手段と接触する接触面と、凹部における喫水面との間に一定の間隔を保持した請求項1に記載の炊飯器。
  3. 加熱板の凸部の周囲を覆ってカバーを配設した請求項1または2に記載の炊飯器。
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