JP4852808B2 - 塗工装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被塗工物であるウェブの表面に塗工液を塗布するエクストルージョン式のダイヘッドを使用した塗工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エクストルージョン式のダイヘッドを使用する塗工装置は、均一な薄膜塗工が可能であることから種々の分野で広く利用されている。このダイヘッドは、例えば図1に示すように、液入口1からの塗工液を幅方向に広がらせるためのマニホールド2と、そのマニホールドから塗工液が押し出されるスリット3とを備えている。そして、ダイヘッドHの液入口から内部に流入した塗工液はマニホールド2にて幅方向に広がり、先端のスリット3から押し出されて、ウェブの表面に塗工されるようになっている。
【0003】
このダイヘッドによれば、ウェブに対して幅方向に均一な塗布を行うことができるが、沈降しやすい顔料粒子等を含むような塗工液を塗布する場合には、顔料粒子等の沈降を防止してスリットから塗工液を吐出する必要があり、そのために次の(1)〜(3)のような工夫がなされている。
【0004】
(1)図1に示すストレートマニホールド型のダイヘッドHのように、マニホールド2の水力相当直径(4×マニホールド断面積/マニホールド濡れ縁長さ)を全体的に小さくし、流速を上げる。
(2)図2に示す直線テーパーマニホールド型のダイヘッドHのように、マニホールド2の水力相当直径を液入口1から側端部に沿って直線的に減少させる。
(3)図3に示す曲線マニホールド型のダイヘッドHのように、単純な2〜3次関数等の曲線で補間し、液入口1から側端部に行くにしたがってなだらかにマニホールド断面積を減少させる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術で述べた方式のうち、(1)の方式は、全体的にRe数を増加させることで沈降を予防しようとするものであるが、沈降予防の効果を発揮するには、特に液入口付近のRe数が非常に大きくなるので、乱流を招いてしまうという問題点があり、また供給量を増加する必要があるため、塗工量に制限が出るという欠点があった。
【0006】
また、(2),(3)の方式は、マニホールド内流量が少なくなる端部の水力相当直径を小さくし、流速を増加させることで沈降予防を行おうとするものであるが、塗布精度の安定性に欠け、また端部での沈降が回避できない等の欠点があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、マニホールド内にて塗工液中の粒子が沈降・凝集することがないダイヘッドを備えた塗工装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決するために、本発明は、エクストルージョン式のダイヘッドを使用し、連続的に走行するウェブに対して沈降する粒子を含んだ塗工液の塗布を行う塗工装置であって、
2R:水力相当直径
X:液入口から幅方向の距離
W:ダイ幅方向の中心からダイ端部までの距離
としたときに、
R(X)=a(1−X/W) b
ただし、a=定数、b=1/3
の関係があり、ダイヘッドのマニホールド形状が、液入口からマニホールドの端部に進むにつれて、水力相当直径が曲線的に減少し、かつ水力相当直径の減少率が大きくなるように形成されていることを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では、マニホールド内の流速に加え、壁面せん断力(wall stress)に着目した。すなわち、流速(Re数)を上げることは、粒子の沈降速度に比べ、マニホールド内の流速を上げることであり、粒子の沈降率を減らす目的があり、また、沈降距離が短い壁面下部付近において、沈降した粒子を、流速に比例する壁面せん断力により壁面から引き剥がして流体と共に輸送する。
【0010】
ここで、ニュートン流体を例に、壁面せん断力と流速・水力相当直径の関係を説明する。
【0011】
ニュートン流体の場合、壁面せん断力τwは次式1)にて示される。ここで、μ:液粘度、u:平均流速、2R:水力相当直径、X:液入口から幅方向の距離、Q:流量、A:断面積である。
τw=4μu/R(X)
=4μQ(X)/A(X)・R(X)
=4μQ(X)/π・R(X)3 ・・・・1)
【0012】
また、マニホールド内の流量Qは、スリットからの吐出が幅方向において均一であれば、以下の式2)のように近似できる。ここで、W:ダイ幅方向の中心からダイ端部までの距離である。
Q(X)=Q(0)(1−X/W) ・・・・2)
【0013】
これを1)式へ代入し、τwがマニホールド内全領域において、コンスタントである条件を付加し、式を整理すると下記の式3)となる。ここで、a=定数、b=1/3である。
R(X)=a(1−X/W)b ・・・・3)
【0014】
このような曲線のマニホールドを図4に示す。顔料を含んだ塗工液を塗工するに際し、マニホールド2を図4の形状としたダイヘッドHを使用することにより、マニホールド内における顔料の沈降が解消された。
【0015】
なお、図4ではダイヘッドHの幅方向の中心位置に塗工液の液入口1を設けているが、この方式では、塗工液の流入時の動圧により、ダイヘッドHの両端部に比べて中央部の流量が多くなりやすいことや、マニホールド2内での塗工液の流れが乱流になりやすいことなどの問題が懸念される。そこで、図5に示すダイヘッドHのように、塗工液の液入口1をダイヘッド側面に設けることがより好ましい。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の塗工装置は、エクストルージョン式のダイヘッドを使用し、連続的に走行するウェブに対して沈降する粒子を含んだ塗工液の塗布を行う塗工装置であって、
2R:水力相当直径
X:液入口から幅方向の距離
W:ダイ幅方向の中心からダイ端部までの距離
としたときに、
R(X)=a(1−X/W) b
ただし、a=定数、b=1/3
の関係があり、ダイヘッドのマニホールド形状が、液入口からマニホールドの端部に進むにつれて、水力相当直径が曲線的に減少し、かつ水力相当直径の減少率が大きくなるように形成されていることを特徴としているので、沈降しやすい顔料を含む塗工液に関しても、マニホールド内において沈降せずに、面質・塗工量分布ともに良好な塗工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のストレートマニホールド型のダイヘッドの一例を示すもので、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A断面図である。
【図2】従来の直線テーパーマニホールド型のダイヘッドの一例を示すもので、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A断面図である。
【図3】従来の曲線マニホールド型のダイヘッドの一例を示すもので、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A断面図である。
【図4】本発明の塗工装置におけるマニホールドの一例を示すもので、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A断面図である。
【図5】本発明の塗工装置におけるマニホールドの別の例を示すもので、(A)は上面図、(B)は(A)のA−A断面図である。
【符号の説明】
H ダイヘッド
1 液入口
2 マニホールド
3 スリット

Claims (1)

  1. エクストルージョン式のダイヘッドを使用し、連続的に走行するウェブに対して沈降する粒子を含んだ塗工液の塗布を行う塗工装置であって、
    2R:水力相当直径
    X:液入口から幅方向の距離
    W:ダイ幅方向の中心からダイ端部までの距離
    としたときに、
    R(X)=a(1−X/W) b
    ただし、a=定数、b=1/3
    の関係があり、ダイヘッドのマニホールド形状が、液入口からマニホールドの端部に進むにつれて、水力相当直径が曲線的に減少し、かつ水力相当直径の減少率が大きくなるように形成されていることを特徴とする塗工装置。
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