JP4852468B2 - 耐熱性ウォーターホース補強用ポリエステル繊維 - Google Patents

耐熱性ウォーターホース補強用ポリエステル繊維 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性ウォーターホースの補強用繊維に関し、特にラジエーターホースに好適な耐熱性ウォーターホース補強用繊維に関する。
従来、自動車用ラジエーターホースなどの耐熱性ウォーターホースの補強用繊維としては、パラ系アラミド、ナイロン、ポリケトン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成繊維が用いられている(例えば、特許文献1〜3)。
このような耐熱性ウォーターホース用の補強繊維に求められる性能としては、強度が高いこと、モジュラスが高いこと、耐熱性に優れること、水など混合されるエチレングリコールなどのクーラント用の薬品に対して高い耐久性を持つこと、収縮率が小さく加工時の寸法変化が小さいこと、ゴムとの接着性に優れること、などがある。とりわけ近年は、特に自動車用途において、エンジンの高出力化や、エンジンルームのコンパクト化が進み、エンジンルーム内が非常に高温になる傾向があり、きわめて高い耐熱性が求められるようになってきている。
そして従来の汎用繊維であるビニロン繊維やナイロン繊維、あるいはPET繊維では、耐熱性が十分でないという問題が顕在化してきた。特に冷却水中に混合されるエチレングリコールなどの薬品に対する耐久性は、これらの繊維では不十分であり、ホースの寿命が短い要因となっていた。そこで、耐熱性ウォーターホース用の補強繊維として、ガラス転移温度が高く、耐薬品性に優れたパラ系アラミド繊維が注目されだしている。しかしアラミド繊維はモジュラスが高過ぎる故に、複雑な形状で加硫されるラジエーターホースなどの製造工程において、加工に伴う変形に繊維の伸びが追従しにくく、ブレードの目ズレなどが起こりやすくなり、使用しにくいという問題があった。また、アラミドコードは非常に高価であり、ラジエーターホース用のような汎用部品の補強用素材には経済的に使用しにくいという問題もあった。
これらの課題に対しては、例えば特許文献5では、芳香族ジカルボン酸と炭素数6〜12の脂肪族アルキレンジアミンからなるエチレングリコール中での耐久性に優れるポリアミド繊維が提案されている。しかし、原糸強度が低く、所定のホース強度を得るには多くの補強繊維が必要となり、ゴムとの接着性や経済性の点で問題があった。
特開平11−229275号公報 特開2001−355139号公報 特開2005−273034号公報
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、耐熱性、耐薬品性、加硫時の成形追随性に優れ、かつ比較的安価な耐熱性ウォーターホース補強用繊維を提供することにある。
本発明の耐熱性ウォーターホース補強用ポリエステル繊維は、エチレン−2,6−ナフタレート単位を80%以上含むポリエステル繊維であって、1段目の延伸倍率が全延伸倍率の80%以上、全延伸倍率が5.0〜7.0の多段延伸により得られるポリエステル繊維であり、強度が6cN/dtex以上、結節強力維持率が50%以上、かつ180℃におけるモジュラスが25℃におけるモジュラスの20%以下であることを特徴とする。
さらには、破断応力と破断前1%の伸度における応力との差であるターミナルモジュラスが0.1〜0.5cN/dtexであることや、180℃での熱収縮率が3〜7%であること、180℃、1000時間熱処理後の強力維持率が50%以上であることが好ましい。
また、本発明の自動車用ラジエーターホースは、上記本発明の耐熱性ウォーターホース補強用ポリエステル繊維を用いることを特徴とする。
本発明によれば、耐熱性、耐薬品性、加硫時の成形追随性に優れ、かつ比較的安価な耐熱性ウォーターホース補強用繊維が提供される。
本発明の耐熱性ウォーターホース補強用ポリエステル繊維は、エチレン−2,6−ナフタレート単位を80%以上含むポリエステル繊維であって、強度が6cN/dtex以上、結節強度維持率が50%以上、かつ180℃におけるモジュラスが25℃におけるモジュラスの20%以下であるポリエステル繊維、いわゆるポリエチレンナフタレート繊維である。
ここで、本発明でいうポリエチレンナフタレートとは、エチレン−2,6−ナフタレート単位を80モル%以上含んでおればよく、20モル%以下、好ましくは10モル%以下の割合で適当な第3成分を含む共重合体であっても差し支えない。一般にポリエチレン−2,6−ナフタレートは、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸またはその機能的誘導体を触媒の存在下で、適当な反応条件の下に重合せしめることによって合成される。このとき、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの重合完結前に、適当な1種または2種以上の第3成分を添加すれば、共重合ポリエチレンナフタレートが合成される。
適当な第3成分としては、(a)2個のエステル形成官能基を有する化合物、例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン―2,7―ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのカルボン酸;グリコール酸、p―オキシ安息香酸、p―オキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸;プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、p―キシリレングリコール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、p,p′―ジフェノキシスルホン―1,4―ビス(β―ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2―ビス(p―β―ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ポリアルキレングリコール、p―フェニレンビス(ジメチルシクロヘキサン)などのオキシ化合物、あるいはその機能的誘導体;前記カルボン酸類、オキシカルボン酸類、オキシ化合物類またはその機能的誘導体から誘導される高重合度化合物などや、(b)1個のエステル形成官能基を有する化合物、例えば、安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどが挙げられる。さらに(c)3個以上のエステル形成官能基を有する化合物、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンなども、重合体が実質的に線状である範囲内で使用可能である。
また、前記ポリエステル中に、二酸化チタンなどの艶消剤やリン酸、亜リン酸およびそれらのエステルなどの安定剤等の添加剤が含まれていてもよいことはいうまでもない。
本発明の耐熱性ウォーターホース補強用ポリエステル繊維は、上記のようなポリエチレンナフタレート繊維であって、強度が6cN/dtex以上、結節強力維持率が50%以上、かつ180℃におけるモジュラスが25℃におけるモジュラスの20%以下であることを必須とする。
強度としては6cN/dtex以上であることが必須であるが、高強度であるほど好ましく、強度が低すぎる場合には、補強用繊維として耐久性も低下する傾向にある。またホースとしての所定の強度を得るための繊維量が多くなり、コストアップとなるばかりでなく、重量増となるため燃費を重視する自動車用途などに使用できなくなる。逆に強度のみが高すぎる場合には、繊維製造工程における単糸切れが増加し、ホース加工時にガイド類に毛羽が引っかかったりして工程通過性が悪化傾向にある。したがって7〜13cN/dtexの範囲が好ましく、7.5〜8.8cN/dtexの範囲が最も好ましい。
また、本発明のポリエステル繊維は、結節強力維持率が50%以上であることが必要である。結節強力が小さい場合、耐熱性ウォーターホース使用中のホースの伸縮によって繊維同士が擦過するため、製品ホースの耐久性が劣ったものとなる。ここで結節強力維持率とは、JIS L−1013の測定方法で得られる結節強力を破断時の強力にて除した値である。高い結節強力維持率を得るには、紡糸後の未延伸糸の配向度を低くすることが有効であり、複屈折率としては0.01以下だることが好ましく、更に好ましくは0.005以下である。この様な繊維を製造するためには、例えば延伸倍率を調整することによって得られ、1段目の延伸倍率を全延伸倍率の80%以上、更には85%以上とすることが好ましく、かつ全延伸倍率が5.0〜7.0の範囲に設定することで、高い結節強力が得られる。
本発明でもう一つの重要な特性は、180℃におけるモジュラスが25℃におけるモジュラスの20%以下であることである。繊維とゴムからなる耐熱性のウォーターホースは、そのゴム加硫時に補強用繊維のモジュラス低下率が大きいことが、複雑な形状への成形追随性のために必要であり、180℃におけるモジュラスが、25℃におけるモジュラスの20%以下となることが必須となる。好ましくは180℃におけるモジュラスが、25℃におけるモジュラスの5〜20%、さらには11〜18%の範囲であることがより好ましい。
このような特性により加工時の変形に繊維が容易に追随し、ブレードの変形などを引き起こすことがなく、かつホースの実際の実使用温度領域である80℃前後では高いモジュラスがホースの膨張を抑えて、繰り返し変形による疲労を低減させることが可能となるのである。
また、本発明の耐熱性ウォーターホース補強用ポリエステル繊維のターミナルモジュラスは0.1〜0.5cN/dtexの範囲であることが好ましい。ここでターミナルモジュラスとは繊維を引張試験したときの破断前1%伸度時の応力と、破断応力との差であり、引張試験はつかみ長25cmの繊維を速度30cm/分で測定したものである。さらには0.22〜0.48cN/dtexであることが好ましい。このターミナルモジュラスが小さすぎると強度が低くなる傾向にあり、ターミナルモジュラスが大きすぎる場合には、ホースの伸張圧縮による疲労に対する性能の劣った繊維となる。
また、本発明のポリエステル繊維は、2次降伏点伸度が8%以下、かつ該2次降伏点伸度と破断伸度との差は2〜10%の範囲であることが好ましい。ここで2次降伏点伸度とは、繊維を引張試験に供した場合の応力・歪カーブ(荷伸曲線)における2回目の変曲点(2次降伏点)における伸度(歪)の値である。引張試験はつかみ長25cmで引張速度30cm/分で測定したものである。2次降伏点伸度は3%以上であることが好ましく、さらには4〜6%の範囲内であることが好ましい。また、2次降伏点伸度と破断伸度との差は2〜10%の範囲であることが好ましく、さらには4.0〜9.0%の範囲であることが好ましい。
2次降伏点伸度及び2次降伏から破断までの歪み率と、コード疲労性との物理的な相関は明らかでないが、2次降伏を過ぎてすぐに破断に至る繊維では、分子構造が剛直なものとなり複合体中での屈曲疲労により分子間の相互作用が低下し、フィブリル化が生じ易くなるためと考えられる。一方2次降伏点から破断までの幅が大きすぎる場合には、強度が低くなる傾向があるため好ましくない。
さらに、本発明の耐熱性ウォーターホース補強用ポリエステル繊維は4.0cN/dtexの負荷をかけた中間荷伸時の伸度が、8〜20%であることが好ましい。さらには8.0〜13.0%であることが好ましい。中間荷伸伸度が低すぎる場合には疲労性が低下し、高すぎる場合には補強用繊維の寸法安定性が劣るため好ましくない。
熱収縮率は3〜7%であることが好ましい。ここで熱収縮率は180℃で測定した乾熱収縮率である。熱収縮率が大きすぎるとホースとしたときの繊維・ゴム複合体での成形性が悪化し取扱いが困難となる傾向にある。
破断伸度は8〜20%であることが好ましい。さらには13%以下であることが最適である。破断伸度が小さすぎると繊維のタフネスが低いものとなり、また破断伸度が大きすぎると一般に強度が低くなるため好ましくない。
また、180℃雰囲気中に1000時間暴露された時の強力維持率が50%以上であることが好ましい。近年自動車のエンジンルームなどがますます高温化されており、耐熱性ウォーターホース補強用ポリエステル繊維としても180℃雰囲気中での強力維持率が重要である。
このようなポリエステル繊維であるためには、繊維の固有粘度が0.65〜1.00の範囲であることが好ましい。更に好ましくは0.70〜0.90である。固有粘度が小さい場合には耐薬品性に劣る傾向にある。逆に固有粘度が高すぎると溶融粘度が増大し、溶融工程でのポリマーの発熱が大きくなってポリマーの分解・劣化を促進したり、均一な粘度のポリマーが得難くなったりして、糸切れが生じ生産性が低下する傾向にある。
本発明の耐熱性ウォーターホース補強用ポリエステル繊維は、さらに繊維をマルチフィラメントとしコードの形態とすることも好ましい。さらには撚りを掛けることが好ましく、マルチフィラメント繊維に撚りを掛けることにより、強力利用率が平均化し、その疲労性が向上する。撚り数としては50〜1000回/mの範囲であることが好ましく、下撚りと上撚りを行い合糸したコードであることも好ましい。さらには、本発明のポリエステル繊維がマルチフィラメント糸条を構成する場合の総繊度は、250〜10000dtexの範囲であることがさらに好ましく、特には500〜4000dtexであることが好ましい。合糸する前の糸条を構成するフィラメント数は50〜3000フィラメントであることが好ましい。このようなマルチフィラメントとすることにより耐疲労性や柔軟性がより向上する。繊度が小さすぎる場合には強度が不足する傾向にある。逆に繊度が大きすぎる場合には太くなりすぎて柔軟性が得られない問題や、紡糸時に単糸間の膠着が起こりやすく安定した繊維の製造が困難となる傾向にある。
また、本発明のポリエステル繊維は、その表面に接着処理剤が付与された繊維であることが好ましい。特にレゾルシン・ホルマリン・ラテックス系の接着剤(RFL接着剤)を付与した場合には、ゴムとの接着性に優れ最適である。さらに、本発明では、接着に対する前処理剤として、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、ウレタン化合物やポリイミン化合物等を製糸工程等で繊維表面に付与しても差し支えなく、取扱い上の利便性からはエポキシ化合物を特に好適に用いることができる。
そしてこのような本発明の耐熱性ウォーターホース補強用ポリエステル繊維は次のような方法により製造することが可能である。例えば、エチレン−2,6−ナフタレート単位を80%以上含むポリエチレンナフタレートを溶融紡糸して得た繊維を一旦巻き取ることなく多段延伸するポリエチレンナフタレート繊維の製造方法であって、引取ローラーと第1延伸ローラーとの間において、プリストレッチを行い、総延伸倍率を5倍以上とし、最後に緊張熱処理を行う製造方法により製造することが可能である。
このようにして得られた本発明の耐熱性ウォーターホース補強用ポリエステル繊維を用いた自動車用ラジエーターホースは、繊維・ゴム複合体とすることにより本発明のポリエステル繊維の特性が最も発揮できる。この繊維とゴム弾性体との複合体は、全体的に伸縮された場合でも、補強に用いられたポリエステル繊維の物性が耐疲労性に優れているため、複合体としても耐久性に非常に優れたものとなるのである。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例における各項目は以下の方法で測定した。
(1)固有粘度
樹脂をフェノールとオルトジクロロベンゼンとの混合溶媒(容量比6:4)に溶解し、ウベローデ型粘度管を用いて、35℃で測定した粘度から求めた。
(2)強度、破断伸度、中間伸度
JIS L−1013に準拠し、島津製作所製オートグラフを使用して破断時の強力および伸度を測定した。繊維用キャプスタン型つかみ具を用い、つかみ長25cm、引張速度30cm/分で測定した。破断したときの強度、伸度および中間伸度として4.0cN/dtex応力時の伸度を測定した。
(3)結節強力
JIS L−1013に準拠し、順手、逆手の平均値を求めた。
(4)乾熱収縮率
JIS L−1013 8.18.2に準じ、温度180℃で測定した。
(5)ターミナルモジュラス
ターミナルモジュラスとは繊維を引張試験したときの破断する伸度の1%前の伸度のときの応力と、破断応力との差である。すなわち破断伸度直前1%の応力差(cN/dtex)をターミナルモジュラスとした。
(6)2次降伏点伸度
荷伸曲線の形状から、2次降伏点の伸度を図1のようにして求めた。このとき2次降伏点伸度とは、繊維を引張試験に供した場合の応力・歪カーブ(荷伸曲線)における2回目の変曲点(2次降伏点)における伸度(歪)の値である。引張試験は上記(2)強度と同様に、試験長25cmの繊維を速度30cm/分で測定したものである。
(7)高温耐久性
180℃雰囲気中にホースを1000時間暴露させた後、ゴム中から補強繊維を取り出し、未処理ホースの補強繊維との強力比を求めた。
(8)ホース耐久性
100℃においてホースに0〜1×10Paのインパルス内圧を加えて繰り返し屈曲させたときの、ホース破裂時の屈曲回数を示す。
(9)糸温度
非接触式糸温度計「ノンタクトII」(帝人エンジニアリング製) を用い、延伸途中の糸温度を実測した。
(10)複屈折率
偏光顕微鏡を用い、ブロムナフタレンを浸漬液としペレックコンペンセンターを用いた
リターデーション法により測定した。(共立出版社発行:高分子実験化学講座 高分子
物性11参照)
[繊維用処理剤の調整]
苛性ソーダ水溶液およびアンモニア水溶液を加えた水に、酸性触媒で反応したレゾルシン・ホルマリン初期縮合物(住友化学(株)製、スミカノール700S:65%水溶液)を添加して十分に攪拌し分散させる。これにホルマリンをレゾルシン/ホルマリン(R:F)比が1:2(モル比)となるように添加して均一に混合し、温度20℃で2時間熟成させた。次に、ニッポール2518FS(日本ゼオン(株)製、スチレン・ブタジエン・ビニルピリジンターポリマー(Vp)水乳化物)およびLT−50(電気化学工業(株)製、クロロプレンゴムラテックス(CR):50%乳化物)を所定の割合で混合したものを、前記レゾルシン・ホルマリン初期縮合分散液と固形分比率(RF/L比)で1:9(重量比)、また、エラストロンBN69(第一工業製薬(株)製、ジフェニルメタンジイソシアネートメチルエチルケトンオキシムブロック化合物:33%水分散物)をRFLと固形分比率で6:1(重量比)となるよう加えてさらに温度20℃で24時間熟成させた。繊維処理使用直前にデナボンド(ナガセ化成工業(株)製、特殊クロロフェノール化合物20%溶液)をRFLの固形分対比で30%(重量比)となるよう添加し、十分攪拌して処理剤の調整を行った。なお、該処理剤の粘度、付着量のコントロールは処理剤への水の添加希釈により調節した。
[実施例]
固有粘度0.64のポリエチレンナフタレート樹脂を真空下、240℃で固相重合を行い、固有粘度0.76のチップを得た。このチップをエクストルーダーを用いて320℃の温度に溶融し、直径0.6mmで250個の円形の細孔を有する紡糸口金を通して吐出した。ポリマー吐出量は最終延伸糸の繊度が1100dtexとなるように調整した。
紡出した糸条を口金直下に設けた400℃、250mmの加熱域を通過させた後、25℃の冷風を吹付けて冷却固化し、キスロールにて紡糸油剤を付与した後、紡糸速度=640m/分で引き取った。この未延伸糸の複屈折率は0.007であった。
引き取った未延伸糸は一旦巻き取ることなく連続して延伸工程に供給し、引取ローラーと第一延伸ローラーとの間でプリストレッチをかけた後、170℃に加熱した供給ロール上で予熱した後、全延伸倍率が5.5倍となるように2段延伸した。
延伸した繊維を245℃に加熱した熱セットロール上で熱固定した後、定長緊張熱処理を行い、3000m/分の速度で巻き取った。
得られた繊維は、エチレン−2,6−ナフタレート単位からなるポリエチレンナフタレ
ート繊維であって、強度が8.4cN/dtex、2次降伏点伸度が5.6%、破断伸度
が12.0%、破断伸度と2次降伏点伸度の差は6.4%、破断応力と破断前1%の伸度
における応力との差であるターミナルモジュラスが0.13cN/dtex、中間伸度が
3.1%、乾熱収縮率は5.5%であった。
さらに得られた延伸糸に10T/10cmの撚りをかけて撚糸コードとし、ポリエポキシド化合物(商品名:デナコールEX611;ナガセ化成株式会社製、ソルビトールグリシジルエーテル)とブロックドポリイソシアネート化合物(商品名:S3;明成化学工業株式会社製)を有効成分量比率で20:80に混合したものを、5重量%水分散液に調整した処理液に浸漬し、たるまない程度のテンションをかけ150℃下2分間乾燥させ、次いで235℃で1分間の熱処理を行った。
次いで、上記方法で調整した繊維用処理剤中に上記処理コードを浸漬した後、220℃で1分間の熱処理を行った。得られた接着処理ポリエステル繊維コードには、ポリエポキシド化合物処理剤の付着量が0.8重量%、RFL処理剤の固形分が1.2重量%付着していた。
得られた接着処理ポリエステル繊維コードを交差角108度でエチレンプロピレン系共重合体ゴムからなる内管ゴムにブレードし、その上に同じくエチレンプロピレン系共重合体ゴムからなる外管ゴムを配置した。得られたホースを150℃の蒸気加硫釜中で30分間加硫して耐熱性ウォーターホースを得た。
得られた本発明のホースを自動車のラジエーターホース用として使用したところ長期間安定して使用することができた。その他の繊維を用いて作成されたホースでの結果と併せて表1に示す。
[比較例]
比較として実施例のポリエチレンナフタレート繊維(PEN、1100dtex、25
0フィラメント)に変えて、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET、帝人ファイバー
製、テトロン、1100dtex/200フィラメント)、パラ系芳香族ポリアミド繊維
(パラ系アラミド、帝人テクノプロダク製、テクノーラ、1100dtex、667フ
ィラメント)を用いた例を表1に併せて示す。
Figure 0004852468
2次降伏点を求めるための荷伸曲線のグラフである。
符号の説明
1、1次降伏点
2、2次降伏点
3、破断点

Claims (5)

  1. エチレン−2,6−ナフタレート単位を80%以上含むポリエステル繊維であって、1段目の延伸倍率が全延伸倍率の80%以上、全延伸倍率が5.0〜7.0の多段延伸により得られるポリエステル繊維であり、強度が6cN/dtex以上、結節強力維持率が50%以上、かつ180℃におけるモジュラスが25℃におけるモジュラスの20%以下であることを特徴とする耐熱性ウォーターホース補強用ポリエステル繊維。
  2. 破断応力と破断前1%の伸度における応力との差であるターミナルモジュラスが0.1〜0.5cN/dtexである請求項1記載の耐熱性ウォーターホース補強用ポリエステル繊維。
  3. 2次降伏点伸度が8%以下かつ該2次降伏点伸度と破断伸度の差が4.0〜9.0%の範囲である請求項1または2記載の耐熱性ウォーターホース補強用ポリエステル繊維。
  4. 180℃での熱収縮率が3〜7%である請求項1〜3のいずれか1項記載の耐熱性ウォーターホース補強用ポリエステル繊維。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の耐熱性ウォーターホース補強用ポリエステル繊維を用いることを特徴とする自動車用ラジエーターホース。
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