JP4851727B2 - カプセル化微粒子、粒子分散体、および該粒子分散体の製造方法 - Google Patents

カプセル化微粒子、粒子分散体、および該粒子分散体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カプセル化微粒子、粒子分散体、および該粒子分散体の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、きわめて良好にカプセル化された微粒子、および該カプセル化微粒子がきわめて高含有量でかつきわめて良好に分散した粒子分散体、ならびにそのような粒子分散体の簡便安価な製造方法に関する。
近年、電子材料、光学材料、情報記録材料、成型材料、医薬品分野などにおいては、高性能化・高機能化を目的としてナノメートルサイズの素材が多く用いられるようになっている。こうしたナノメートルサイズの素材の高機能化、凝集防止、他素材への均一混合、保護などのために、素材表面への重合体の結合・堆積、あるいは素材のカプセル化が検討されている。
素材のカプセル化手法として、従来よりマイクロカプセル技術が知られている。しかし、この技術では、ナノメートルサイズの素材(例えば、直径100nm以下のナノ粒子)を一つずつ重合体で精密に被覆することは困難である。
1マイクロメートル未満の微粒子表面へ重合体を結合・堆積する手段としては、例えば、次のような技術が開示されている。
特開平6−239907号公報(特許第3367987号)には、アニオン性界面活性剤の存在下に有機顔料が分散された水系内で水溶性重合開始剤を用いて重合性単量体を重合することにより顔料含有重合体粒子が得られることが開示されている。特開平9−100303号公報には、水中で、ポリビニルアルコールなどのノニオン性高分子分散剤を用いて顔料を分散させた後、過硫酸カリウムや2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩基酸塩などの水溶性重合開始剤の存在下で、重合性単量体を添加してソープフリー乳化重合を行うことにより顔料被覆ポリマー分散液を製造する方法が開示されている。特開2000−290464号公報には、ノニオン性界面活性剤の存在下に有機または無機粒子が分散された水系内で、曇点以上の温度で水溶性重合開始剤を用いて重合性単量体を重合することにより表面に重合体が結合した粒子分散液が得られることが開示されている。
上記のいずれの方法においても、水溶性重合開始剤を用いて水性媒体中で生成した重合体を微粒子表面に堆積させる手段をとるため、重合体で被覆された微粒子のほかに、重合体の単純粒子、被覆されていない微粒子、数個の微粒子が凝集した粗大粒子などが同時に生成してしまう。さらに、生成粒子が非常に小さい場合には、これらを分離することはきわめて困難である。その結果、重合体で被覆された所望の微粒子のみを得ることができないという問題がある。
特開2001−187764号公報には、水性媒体中で分散粒子表面にラジカルを発生する界面活性剤を吸着させ、次いで重合性単量体を重合させて粒子表面に重合体層を形成する複合粒子の製造方法が開示されている。この方法では、重合体の単独粒子、被覆されていない微粒子、数個の微粒子が凝集した粗大粒子などの発生が低減される利点がある。しかし、この方法では、粒子を重合体で被覆するために特殊な重合開始剤と煩雑な手法とが必要とされるので、経済的に不利である。さらに、ラジカルを発生する界面活性化合物が吸着しにくい表面を有する粒子の場合には、重合体で被覆されていない粒子が発生するという問題がある。
以上のように、カプセル化されていない微粒子および複数個の微粒子が凝集した粗大粒子を実質的に含まないカプセル化微粒子分散体およびその製造方法が強く望まれている。
特開平6−239907号公報 特開平9−100303号公報 特開2000−290464号公報 特開2001−187764号公報
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、きわめて良好にカプセル化された微粒子、および該カプセル化微粒子がきわめて高含有量でかつきわめて良好に分散した粒子分散体、ならびにそのような粒子分散体の簡便安価な製造方法を提供することにある。本発明の別の目的は、経済的および工業的に価値のあるカプセル化微粒子、その分散体および該分散体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、コア粒子および非イオン性重合開始剤を含む水性分散液中で、特定の重合性単量体を共重合させると、コア粒子表面に生成共重合体が効率よく堆積するので、カプセル化されていない微粒子および凝集粗大粒子の生成がきわめて少なく、共重合体で被覆されたカプセル化粒子が収率良く得られることを見出した。さらに、コア粒子表面に生成共重合体が効率よく堆積するので、堆積共重合体の厚みのコントロールが容易であり、任意の適切な厚みを有する被覆層を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のカプセル化微粒子は、コア粒子と、該コア粒子を包囲する被覆層とを有し、該被覆層が、非イオン性重合開始剤由来の基を末端に有し、かつ該コア粒子と親和性のあるブロックを少なくとも有する共重合体を含む。
好ましい実施形態においては、上記共重合体は下記化学式(I)で表される:
Figure 0004851727
式(I)において、Rは非イオン性重合開始剤に由来する基であり、
R1およびR3は、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、
R2は、置換基を有していてもよいアリール基、含ケイ素置換基を有していてもよい直鎖状、環状または分岐状のアルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、直鎖状、環状または分岐状のフルオロアルキルオキシカルボニル基、フルオロアルキルカルボニルオキシ基、クロロ基あるいはシアノ基であり、
R4は、置換基を有していてもよいアリール基、含ケイ素置換基を有していてもよい直鎖状、環状または分岐状のアルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、直鎖状、環状または分岐状のフルオロアルキルオキシカルボニル基、フルオロアルキルカルボニルオキシ基、クロロ基、シアノ基、親水性置換基を有していてもよいアリール基、親水性置換基を有していてもよい直鎖状、環状または分岐状のアルキルオキシカルボニル基、ポリ(アルキレンオキシ)カルボニル基、(メタ)アクリロイル(ポリオキシアルキレン)オキシカルボニル基、カルボキシル基、N−置換基を有していてもよいアミノカルボニル基、あるいは置換基を有していてもよい複素環基であり、
R5は重合体末端であり、
xは10以上の整数であり、yは0または500以下の整数であり、zは0または1以上の整数であり、y<xである。
好ましい実施形態においては、カプセル化微粒子の平均粒子径Dpおよび変動係数CVpと、コア粒子の平均粒子径Dcおよび変動係数CVcとは、それぞれ
0.5≦Dp/Dc≦1.2
0.5≦CVp/CVc≦1.5
の関係を有し、かつ、粒子の長径と短径とが0.3<(短径/長径)<1の関係を有する。
本発明の別の局面によれば、粒子分散体が提供される。この粒子分散体は、上記カプセル化微粒子を含み、該カプセル化微粒子の粒子数が、粒子分散体に含まれるすべての粒子の粒子数の60%以上である。
本発明のさらに別の局面によれば、粒子分散体の製造方法が提供される。この製造方法は、コア粒子と非イオン性重合開始剤と分散剤と水性媒体とを含む水性分散液中で、25℃における水への溶解度が2.5重量%以下の重合性単量体を重合させる工程を含む。
好ましい実施形態においては、上記重合工程において、上記重合性単量体は上記水性媒体中に液滴として存在しない方法で供給される。
好ましい実施形態においては、この製造方法は、上記重合性単量体を重合させた後、第2の重合性単量体を添加して重合させる工程をさらに含む。
本発明によれば、コア粒子および非イオン性重合開始剤を含む水性分散液中で、特定の重合性単量体を共重合させて、特定のブロックを有する共重合体を含む被覆層を形成することにより、きわめて良好にカプセル化された微粒子、および該カプセル化微粒子がきわめて高含有量でかつきわめて良好に分散した粒子分散体、ならびにそのような粒子分散体の簡便安価な製造方法が提供される。さらに、本発明によれば、経済的および工業的に価値のあるカプセル化微粒子、その分散体および該分散体の製造方法が提供される。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
本明細書において、用語「コア粒子と親和性のあるブロック」とは、重合体において複数の繰り返し単位の集合が全体としてコア粒子と親和性を有することを意味する。したがって、いわゆるブロック共重合体のブロックのように(親和性を有する)1種類の繰り返し単位で構成されるブロックのみならず、ランダム共重合体において一定の繰り返し単位からなる集合が全体として親和性を有する場合をも包含する。用語「平均粒子径」とは、体積基準平均粒子径を意味する。用語「変動係数の値」とは、(標準偏差/体積基準平均粒子径)×100の値を意味する。さらに、用語「表面張力」とは、固体状態での臨界表面張力を意味する。
A.カプセル化微粒子
本発明のカプセル化微粒子は、コア粒子と、該コア粒子を包囲する被覆層とを有する。以下、コア粒子および被覆層について詳細に説明する。
A−1.コア粒子
本発明のカプセル化微粒子のコア粒子を構成する材料としては、目的に応じて任意の適切な材料が採用され得る。代表的には、有機物質、無機物質、有機−無機ハイブリッド物質、あるいはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。ここで、混合物とは、異なる物質または同種物質が、分子レベルで均一に混合された状態、海−島構造のように相分離した状態あるいは分散した状態を包含する。さらに、材料自体の表面張力が上記の範囲外であっても、表面処理(例えば、ロジン処理、カップリング処理などの疎水化処理)によって表面張力が20〜60mN/mの範囲に設定できる材料も使用可能である。
有機物質としては、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸、セルロース誘導体などの合成高分子化合物;染料、顔料などの色素;ポリヌクレオチド(例えば、ペプチド、酵素、糖タンパク質、ポリリジンなどのポリアミノ酸、DNA、RNA)、多糖類(例えば、デンプン、デキストリン、シクロデキストリン、キトサン)などの生体関連高分子化合物;脂質、核酸塩基、補酵素、薬剤などの生体関連物質;有機非線形化合物、液晶などの機能性有機化合物;ならびに、有機金属化合物、金属錯体などの金属含有有機化合物が挙げられる。有機物質は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いられ得る。これらの有機物質は、目的に応じて適宜選択され得る。
上記顔料の具体例としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料;リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの溶性アゾ顔料;アリザリン、インダンスレン、チオインジゴマルーンなどの建染染料から誘導される顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料;ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料;イソインドリノン系顔料;キノフタロン系顔料;ジアンスラキノニルレッドなどのアントラキノン系顔料;カーボンブラック、酸化チタン系顔料、酸化鉄系顔料、カドミウム系顔料、コバルト系顔料などの無機顔料が挙げられる。
また、顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで示すと、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、125、128、137、138、147、148、153、154、166、168、C.I.ピグメントオレンジ13、16、36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、177、180、192、202、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、264、272、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26、C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントホワイト6、C.I.ピグメントイエロー37、C.I.ピグメントレッド101、C.I.ピグメントブルー28などを挙げることができる。顔料は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いられ得る。
無機物質としては、鉄、ニッケル、コバルト、銅、銀、金、白金、アルミニウムなどの金属または合金;酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、ニオブ酸リチウム、酸化錫、酸化インジウムなどの金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物などを挙げることができる。無機物質は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いられ得る。
好ましくは、コア粒子は、表面張力が20〜60mN/m、さらに好ましくは25〜55mN/m、もっとも好ましくは30〜55mN/mである。表面張力が20mN/mより小さいまたは60mN/mより大きい場合には、コア粒子表面と被覆層との親和性が不十分となり、十分にカプセル化されていない粒子が得られる場合が多い。
コア粒子の形状としては、目的に応じて任意の適切な形状が採用され得る。コア粒子は、例えば、球状、楕円形状、扁平状、ロッド状、平板状、無定形状、中空状、または凹凸状などであり得る。コア粒子の形態もまた、目的に応じて任意の適切な形態が採用され得る。コア粒子は、例えば、ゲル、非晶質固体、結晶、または液晶などであり得る。
コア粒子の大きさは、目的・用途およびコア粒子の形状等に応じて適宜変化し得る。例えば、カプセル化可能なコア粒子の平均粒子径は、好ましくは5〜600nm、さらに好ましくは20〜300nmである。このような超微粒子であっても重合体で効率よくカプセル化することが、本発明の特徴の1つである。なお、コア粒子は単一の微粒子であるのが好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲において複数の微粒子が凝集(または会合)した凝集体であってもよい。したがって、用語「コア粒子の平均粒子径」は、コア粒子の凝集体の平均粒子径をも包含する。
コア粒子は、単独で、あるいは、材質、形態および/または形状が異なるものを2種以上組み合わせて用いられ得る。
A−2.被覆層
本発明のカプセル化微粒子の被覆層は、非イオン性重合開始剤由来の基を末端に有し、かつ上記コア粒子と親和性のあるブロックを少なくとも有する共重合体を含む。このような共重合体で被覆層を形成することにより、カプセル化されていない微粒子および凝集粗大粒子の生成がきわめて少なく、きわめて良好にコア粒子が被覆されたカプセル化粒子が収率良く得られる。
より具体的には、上記共重合体は下記化学式(I)で表される:
Figure 0004851727
式(I)において、Rは非イオン性重合開始剤に由来する基であり;R1およびR3は、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり;R2は、置換基を有していてもよいアリール基、含ケイ素置換基を有していてもよい直鎖状、環状または分岐状のアルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、直鎖状、環状または分岐状のフルオロアルキルオキシカルボニル基、フルオロアルキルカルボニルオキシ基、クロロ基あるいはシアノ基であり;R4は、置換基を有していてもよいアリール基、含ケイ素置換基を有していてもよい直鎖状、環状または分岐状のアルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、直鎖状、環状または分岐状のフルオロアルキルオキシカルボニル基、フルオロアルキルカルボニルオキシ基、クロロ基、シアノ基、親水性置換基を有していてもよいアリール基、親水性置換基を有していてもよい直鎖状、環状または分岐状のアルキルオキシカルボニル基、ポリ(アルキレンオキシ)カルボニル基、(メタ)アクリロイル(ポリオキシアルキレン)オキシカルボニル基、カルボキシル基、N−置換基を有していてもよいアミノカルボニル基、あるいは置換基を有していてもよい複素環基であり;R5は任意の適切な重合体末端(代表的には、水素、アルキル基、ハロ基)であり;xは10以上の整数であり、yは0または500以下の整数であり、zは0または1以上の整数であり、y<xである。
式(I)におけるxは、好ましくは10≦x≦2000、さらに好ましくは20≦x≦1000であり、yは、好ましくはy=0または1≦y≦500、さらに好ましくは10≦y≦300であり、zは、好ましくはz=0または1≦z≦1000、さらに好ましくは10≦z≦500である。R2は、好ましくはアリール基である。R4は、目的・用途に応じて任意の適切な置換基が選択され得る。
非イオン性基(非イオン性重合開始剤由来の基)をその末端に有する共重合体を被覆層に含むことが、本発明の特徴の1つである。詳細は以下の通りである。上記被覆層は、コア粒子および非イオン性重合開始剤の存在下、重合性単量体を媒体(代表的には、水性媒体)中で共重合させることにより形成される(詳細は後述する)。重合においては、重合開始剤の分解によって発生したラジカルにより重合性単量体が重合し、媒体に不溶となった重合体がコア粒子表面に付着・堆積する。さらに、コア粒子表面に堆積した重合体と重合性単量体との重合が進み、被覆層の形成が進むと考えられる。したがって、ラジカルの連鎖移動の発生を考慮しても、被覆層中の重合体の末端には、後述する非イオン性重合開始剤の脱窒素残基(非イオン性重合開始剤由来の基と同一)が末端基として結合していると考えられる。一方、当該末端基が酸塩基塩のようなイオン性基(例えば、硫酸塩基)である場合には、生成重合体の媒体(特に、水性媒体)への溶解性が高くなる。したがって、重合体がコア粒子表面に付着・堆積するのが困難となり、かつ、重合体が自己乳化しやすくなる。その結果、カプセル化されない微粒子、重合体のみからなる粒子、および複数個の微粒子が凝集した粗大粒子が生成しやすくなる。他方、当該末端基が上記のような極性基を有さない場合には、重合性単量体の重合により生成する被覆層と水性媒体との親和性が低くなるため複数個の微粒子が凝集した粗大粒子が生成しやすくなる。
さらに、上記共重合体の繰り返し単位は、一定の集合体として上記コア粒子に対する親和性を有する。上記のように、繰り返し単位の集合体は、いわゆるブロック共重合体のブロックであってもよく、ランダム共重合体の繰り返し単位の一定の集合体であってもよい。ブロック共重合体が好ましい。コア粒子と媒体との両方に対して好ましい特性を有する共重合体が得られやすいからである。親和性の代表的な指標としては、表面張力が挙げられる。より具体的には、共重合体の表面張力とコア粒子の表面張力とが近接しているほど、親和性が高い。好ましくは、上記ブロック共重合体の表面張力は、20〜50mN/mである(すなわち、上記コア粒子の表面張力に近い値の表面張力を有する)。表面張力が20mN/mより小さいと、複数個の微粒子が凝集した粗大粒子が生成しやすくなる。表面張力が50mN/mより大きいと、重合体自身の媒体(特に、水性媒体)への親和性が高くなるので、重合体がコア粒子表面に付着・堆積するのが困難となる。その結果、被覆層の形成が困難となる場合が多い。
被覆層の厚み(絶対厚み)は、好ましくは1nm以上、さらに好ましくは2nm以上、最も好ましくは4nm以上である。1nmより薄いと被覆層としての効果が認められない場合が多い。なお、被覆層の絶対厚みの上限は、コア粒子の種類や用途によって変化し得るので一概には規定できない。コア粒子の平均粒子径に対する被覆層の相対的な厚みとしては、代表的には、コア粒子の平均粒子径の0.1%〜1000%である。被覆層の厚みは、上記ブロック共重合体を生成する重合性単量体の使用量を変化させることにより制御され得る。例えば、上記のような厚みの被覆層を形成し得る重合性単量体の使用量の目安は、必要量(コア粒子の平均粒子径および粒子数、ならびに所望の被覆層厚みから算出される使用量)の好ましくは1〜3倍、さらに好ましくは1.2〜2倍である。より具体的には、上記のような厚み(絶対厚み)の被覆層を形成し得る重合性単量体の使用量は、コア粒子100重量部に対して、好ましくは0.5重量部以上、さらに好ましくは1重量部以上である。
A−3.カプセル化微粒子全体の構成
本発明のカプセル化微粒子の平均粒子径は、コア粒子の平均粒子径に応じて変化し得る。カプセル化微粒子の平均粒子径は、好ましくは2.5〜800nm、さらに好ましくは3〜600nmである。また、カプセル化微粒子の変動係数CVpは、好ましくは5〜25%、さらに好ましくは5〜20%である。このように、本発明によれば、微小で、かつ、粒径分布の狭いカプセル化微粒子を得ることができる。
好ましくは、カプセル化微粒子の平均粒子径Dpとコア粒子の平均粒子径Dcとは、0.5≦Dp/Dc≦1.2の関係、さらに好ましくは0.6≦Dp/Dc≦1.1の関係を有する。したがって、例えばコア粒子の平均粒子径が100nmである場合には、得られるカプセル化微粒子の平均粒子径は、代表的には50nm〜120nmの範囲となる。通常、粒子表面に被覆層を形成すれば、得られる粒子の粒子径は被覆層の厚みに応じて元の粒子の粒子径よりも大きくなるはずであるが、本発明のカプセル化微粒子は、被覆層が形成されるにもかかわらず、コア粒子の平均粒子径の1.2倍以下であり、多くの場合、コア粒子の平均粒子径よりも小さくなる。この理由は理論的には明らかではないが、複数の粒子が凝集して形成されているコア粒子の粒子間に重合性単量体が入り込み、重合体生成(被覆層形成)に伴って、コア粒子の凝集が解消するためであると考えられる。
好ましくは、カプセル化微粒子の変動係数CVpと、コア粒子の変動係数CVcとは、0.5≦CVp/CVc≦1.5の関係、さらに好ましくは0.7≦CVp/CVc≦1.3の関係を有する。
カプセル化微粒子の形状もまた、コア粒子の形状や目的に応じて、任意の適切な形状が採用され得る。好ましくは、カプセル化微粒子は、球形に近い形状を有する。より具体的には、カプセル化微粒子の長径と短径とは、0.3<(短径/長径)<1の関係、さらに好ましくは0.5<(短径/長径)<1の関係を有する。さらに好ましくは、カプセル化微粒子(の被覆層)は、平滑な表面を有する。Dp/Dc、CVp/CVcおよび(短径/長径)が上記のような関係を有するという事実は、コア粒子のもとの粒径分布を維持しつつ、コア粒子が1つ1つカプセル化されていることを示している。
カプセル化微粒子に占めるコア粒子の割合は、目的や被覆層の厚みに応じて変化し得る。当該割合は、代表的には2〜98体積%、好ましくは5〜95体積%である。
B.粒子分散体
本発明の粒子分散体は、上記A項で説明したカプセル化微粒子と、該カプセル化微粒子を分散させる媒体とを含む。本発明のカプセル化微粒子は粒子径がきわめて小さいので、媒体に分散した形態(粒子分散体)で提供するのが実用的である。
本発明の粒子分散体は、分散微粒子として本発明のカプセル化微粒子のみを含むのが理想であるが、実際は、本発明のカプセル化微粒子以外の粒子(例えば、裸のコア粒子、上記重合体のみからなる粒子)を含み得る。しかし、本発明の粒子分散体は、従来の分散体に比べてカプセル化微粒子の含有率が顕著に高い。具体的には、本発明の粒子分散体中の上記カプセル化微粒子の粒子数は、粒子分散体に含まれるすべての粒子の粒子数の60%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。分散体のすべての粒子中のカプセル化微粒子の割合は、例えば透過型電子顕微鏡を用いて決定され得る。
媒体としては、粒子を分散可能な任意の適切な媒体が採用され得る。好ましい媒体の具体例としては、水、メタノールなどの低級アルコール、エチレングリコールなどのアルキレングリコール、アルキレングリコールのモノまたはジアルキルエーテル、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート、トリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールのモノまたはジアルキルエーテル、アセトンなどのケトン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル、ジメチルホルムアミドなどのアミド化合物、メチルピロリドンなどの含窒素複素環化合物、酢酸エチルなどの酢酸エステル、トルエンなどの芳香族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素が挙げられる。特に好ましい媒体は、水、低級アルコールである。これらは、後述の製造方法の媒体として好適に使用され得るので、製造後媒体を置換する必要がなく、生産性および経済性に優れるからである。これらの媒体は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用され得る。
本発明の粒子分散体における粒子の濃度は、目的・用途に応じて適宜設定され得る。濃度の制御は、例えば、濃縮あるいはコア粒子の量を変化させることにより行われ得る。粒子の濃度は、代表的には粒子分散体全体の0.1〜80重量%、好ましくは1〜50重量%の範囲である。
C.粒子分散体の製造方法
本発明の粒子分散体の製造方法は、コア粒子と非イオン性重合開始剤と分散剤と水性媒体とを含む水性分散液中で、25℃における水への溶解度が2.5重量%以下の重合性単量体を重合させる工程を含む。
C−1.水性分散液の調製
まず、水性分散液(コア粒子分散液)を調製する。具体的には、コア粒子を、非イオン性重合開始剤および分散剤とともに水性媒体に分散させる。分散液の各成分の添加順序(分散順序)は特に制限されず、各成分は任意の適切な順序で添加され得る。例えば、コア粒子と水性媒体と分散剤との混合液を分散した後、重合開始剤を添加してさらに分散させてもよく、コア粒子と水性媒体と分散剤と重合開始剤との混合液を分散して中間分散液(濃厚分散液)を調製した後、水性媒体で所定の濃度に希釈してもよい。分散手段としては、任意の適切な手段が採用され得る。分散手段の代表例としては、ペイントシェーカーなどによる機械的攪拌処理、超音波ホモジナイザーなどによる音波処理、マントンゴーリンなどによる加圧分散処理が挙げられる。本発明の製造方法によれば、煩雑な分散処理等は一切必要とされないので、高効率および低コストでカプセル化微粒子および粒子分散体を得ることができる。
コア粒子は、上記A−1項で説明したとおりである。コア粒子分散液中のコア粒子の濃度(使用量)は、コア粒子の種類、目的・用途、分散剤の種類・使用量等に応じて適宜調整され得る。コア粒子濃度は、コア粒子分散液全重量を基準として、代表的には0.1〜80重量%、好ましくは1〜50重量%の範囲である。コア粒子濃度が大きすぎると、重合体のみからなる粒子の生成が多くなる場合が多い。コア粒子濃度が小さすぎると、製品として十分な量のカプセル化微粒子が得られない場合が多い。適切な種類および濃度のコア粒子と適切な種類および濃度の分散剤とを組み合わせて用いることにより、重合体のみからなる粒子の生成が顕著に防止され得る。
非イオン性重合開始剤としては、非イオン性である限り任意の適切な重合開始剤が採用され得る。ここで、非イオン性重合開始剤とは、熱、光または適切な酸化剤の作用により分解してラジカルを発生し、不飽和二重結合を有する化合物(重合性単量体)を重合させる能力を有する化合物であって、構造中にアルカリ金属塩または有機塩基塩を形成していないカルボキシル基、無機酸塩または有機酸塩を形成していないアミノ基、オキシム基または含窒素複素環基、水酸基、アミド基、アルコキシ基、窒素原子を含まない複素環基などの極性基、すなわち塩となっていない極性基を含有する重合開始剤(代表的には、アゾ系重合開始剤)である。非イオン性重合開始剤は、水100gに対する溶解量(水溶性)が、好ましくは0.001〜5g、さらに好ましくは0.003〜4g、最も好ましくは0.005〜3gである。水溶性が0.001g/100gより小さいと、カプセル形成反応後に凝集粗大粒子が多く生成する場合が多い。水溶性が5g/100gより大きいと、カプセル化が不十分となる場合が多い。なお、水溶性は以下のようにして測定される:非イオン性重合開始剤に21℃のイオン交換水を攪拌しながら加えたときに、液が実質的に透明(0.1μmフィルターで液をろ過したときにろ過されないで残る非イオン性重合開始剤の量が10mg以下)となるイオン交換水の量を測定し、これをイオン交換水100gに溶解する非イオン性重合開始剤に換算する。このような重合開始剤を用いることにより、カプセル化されていない微粒子および凝集粗大粒子の生成がきわめて少なく、きわめて良好にコア粒子が被覆されたカプセル化粒子が収率良く得られる。
好ましい非イオン性重合開始剤の具体例としては、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1’-ビス(ヒドロキシブチルメチル)-2-ヒドロキシエチル]-プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)が挙げられる。さらに好ましくは、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)である。通常、これらのアゾ化合物は、下記のように分解する(ラジカル重合ハンドブック、エヌ・ティー・エス)
アゾ化合物:R-N=N-R → R・(3級炭素ラジカル)+N2
これらのラジカルが重合性単量体に付加して重合が開始する。したがって、重合体の少なくとも一方の末端は、これらのラジカルを元とする有機基R(本発明においては、非イオン性重合開始剤由来の基と一致)を有することになる。例えば、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)を用いた場合、分解によって生じた3級炭素ラジカルが付加して、重合体末端は下記構造を有することとなる。
HOOC-CH2CH2-C(CN)(CH3)-重合体
非イオン性重合開始剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いられ得る。非イオン性重合開始剤の使用量は、重合性単量体100重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜7重量部、最も好ましくは0.5〜5重量部である。使用量が0.05重量部より少ないと、重合性単量体が残存する場合が多い。10重量部より多いと、重合体のみからなる粒子の生成量が増す場合が多い。
分散剤としては、コア粒子を媒体に分散できる能力を有する限り、任意の適切な分散剤が採用され得る。少量添加で分散効果および重合時の安定化効果の大きいものが好ましい。そのような分散剤としては、媒体への分散機能と微粒子への吸着機能が分離したブロックポリマー、櫛型ポリマーが挙げられる。具体的には、ポリアルキルメタクリレートまたはポリスチレンブロックとポリアクリル酸ブロックとからなるブロックポリマー、ポリアルキルメタクリレートまたはポリスチレンブロックとポリエチレングリコールブロックとからなるブロックポリマー、スチレンまたはアルキルメタクリレートとポリエチレングリコールマクロマーとからなる櫛型ポリマーが挙げられる。また、微粒子に対する親和性を有する官能基が末端または側鎖に結合しているポリマーも使用され得る。このようなポリマーの代表例としては、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体が挙げられる。
本発明に使用可能な市販の分散剤としては、例えば、ソルスパース13940、ソルスパース13240、ソルスパース13940、ソルスパース32550、ソルスパース31845、ソルスパース20000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース41090(アビシア社製);ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック184、ディスパービック190、ディスパービック191、ディスパービック192、ディスパービック2001、ディスパービック2050(ビックケミー社製);EFKA-46、EFKA-47、EFKA-48、EFKA-49、EFKA-1501、EFKA-1502、EFKA-4540、EFKA-4550、ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453(EFKAケミカル社製);アジスパーPB711、アジスパーPA111、アジスパーPB811、アジスパーPB821、アジスパーPW911(味の素社製);フローレンDOPA-158、フローレンDOPA-22、フローレンDOPA-17、フローレンTG-700、フローレンTG-720W、フローレン-730W、フローレン-740W、フローレン-745W(共栄社化学社製);ジョンクリル678、ジョンクリル679、ジョンクリル62(ジョンソンポリマー社製)が挙げられる。分散剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いられ得る。
分散剤の使用量は、コア粒子100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、さらに好ましくは、1〜30重量部、最も好ましくは3〜20重量部である。使用量が0.1重量部より少ないと、分散安定化が得られない場合が多い。使用量が50重量部を超えても、効果は変わらない場合が多い。
水性媒体としては、水、あるいは水と水溶性有機液体との混合物が用いられ得る。水と水溶性有機液体との混合物を用いる場合には、重合性単量体の重合体が不溶になるような混合割合が選択される。水溶性有機液体としては、例えば、メタノールなどの低級アルコール、エチレングリコールなどのアルキレングリコール、アルキレングリコールのモノまたはジアルキルエーテル、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート、トリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールのモノまたはジアルキルエーテル、アセトンなどのケトン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル、ジメチルホルムアミドなどのアミド化合物、メチルピロリドンなどの含窒素複素環化合物が挙げられる。これらの水溶性有機液体は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いられ得る。組み合わせて用いる場合には、重合性単量体の重合体が不溶になるような混合割合が選択される。
水性媒体の使用量は、コア粒子分散液中のコア粒子濃度が上記の好ましい濃度範囲(代表的には2重量%以下)となるように調整され得る。中間分散液を調製する場合には、中間分散液におけるコア粒子濃度が好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜20重量%になるように調整され得る。
C−2.重合
上記で得られた水性分散液に重合性単量体を添加し、当該単量体を重合してコア粒子を包囲する被覆層を形成し、カプセル化微粒子および粒子分散体を得る。本発明の製造方法に用いられる重合性単量体は、好ましくは、上記式(I)で表されるような共重合体を生成し得、かつ、25℃における水への溶解度が2.5重量%以下である。25℃における水への溶解度が2.5重量%より大きい重合性単量体を用いると、生成重合体がコア粒子表面に付着・堆積するのが困難となる場合が多い。その結果、重合体単独粒子の生成が多くなり、被覆層の形成が困難となる場合が多い。このような重合性単量体の具体例としては、スチレン、塩化ビニル、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、ビニルアルキルエーテルなどの単官能または多官能ビニル化合物;(メタ)アクリル酸メチル、n-ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フッ素化アルキル(メタ)アクリレートなどの単官能または多官能(メタ)アクリル酸の直鎖状、分岐状または環状アルキルエステルが挙げられる。これらは一括で共重合してもよく、段階的に(順番に)添加して共重合してもよい。段階的に共重合するのが好ましい。段階的に共重合することにより、目的に応じた適切な特性を有するブロック共重合体が得られる場合が多い。上記単量体に加えて、2段階目以降に添加されるのが好ましい重合性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。グリシジルメタクリレートなどの反応性単量体を用いた場合、その反応性基を利用してカプセル化微粒子をさらに機能化することが可能となる。2段階目以降に添加される重合性単量体の水への溶解度については、目的に応じて任意の適切な溶解度を有する重合性単量体が採用され得る。なお、2段階以上で共重合する場合、第2(またはそれ以降)の重合性単量体は、好ましくは、前の段階の重合体末端のラジカルが失活しないうちに添加される。さらに好ましくは、第2(またはそれ以降)の重合性単量体は、前の段階の重合性単量体が70%以上、とりわけ好ましくは80%以上重合した後で添加され得る。添加方法としては、滴下してもよく一括で加えてもよい。
重合反応としては、上記非イオン性重合開始剤から発生するラジカルを利用するものである限り、任意の適切なメカニズムが採用され得る。代表的には、加熱が挙げられる。加熱温度は、重合開始剤の種類に応じて、好ましくは40〜100℃、さらに好ましくは50〜80℃である。
重合反応を行う環境は、目的に応じて任意の適切な環境が採用され得る。例えば、重合反応は、周囲の雰囲気下で行ってもよく不活性雰囲気(例えば、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの希ガス)下で行ってもよい。また、重合反応は、加圧下で行ってもよく常圧下で行ってもよい。通常、重合反応は、不活性雰囲気下で、常圧で行う場合が多い。
好ましくは、重合工程において、重合性単量体は、水性媒体中に液滴として存在しない方法で供給される。ここで、「水性媒体中に液滴として存在しない」とは、水性媒体に供給される当該重合性単量体の量が、重合温度における該重合性単量体の水への溶解量以下に維持されていることをいう。すなわち、本発明では、重合性単量体の重合は、媒体中に重合性単量体が拡散・溶解した状態で行われる。そうすることにより、コア粒子を重合体で精密に被覆することができる。一方、重合性単量体が媒体中に液滴状態で存在すると、当該液滴にコア粒子が取り込まれる場合がある。その結果、コア粒子を重合体で精密に被覆することができなくなるばかりか、粗大粒子の発生原因ともなり得る。重合性単量体をこのような少量で供給する方法としては、例えば、重合性単量体を極小量滴下する方法、重合性単量体と水性媒体との2相分離状態で重合を行う方法が挙げられる。2相分離状態で重合を行う方法が採用される場合が多い。この方法によれば、水相と単量体相との相分離状態を維持するようにして緩やかに撹拌することにより、水性媒体中の重合性単量体濃度を上記溶解度以下に維持することができる。一方、2相を懸濁状態にしてしまうと、粗大粒子が生成してしまう場合が多い。
上記のようにして得られたカプセル化微粒子は、慣用の方法、例えば、濾過、遠心分離などの分離手段で分離してもよく、必要により洗浄してもよい。通常は、カプセル化微粒子は上記B項で説明したような媒体中に分散させて、粒子分散体として提供される。媒体は、上記の調製に用いられた水性媒体のままでもよく、目的に応じて任意の適切な媒体に置換してもよい。
本発明の粒子分散体は、非常に高濃度でカプセル化微粒子を含み、カプセル化されていない微粒子は特性に実質的に影響を及ぼさない程度にしか含まない。したがって、粒子分散体中の実質的にほとんど全ての粒子(カプセル化微粒子)は同じ表面状態を有する。さらに、本発明のカプセル化微粒子は、マトリックス(例えば、ポリマーマトリックス)および媒体(例えば、有機溶媒、バインダーなど)への分散性が良好であるとともに、被覆層の組成および厚みを容易に調整することが可能であるため、種々の用途に好適に利用され得る。例えば、透明性を有するプラスチック製品に顔料などを添加する場合であっても、カプセル化微粒子はポリマーマトリックスへの分散性が高いので、透明性を維持しつつ、顔料の添加が可能である。したがって、本発明のカプセル化微粒子および粒子分散体は、印刷インキ、インク用材料、インクジェット用インキ、カラーペースト、およびカラーフィルター用色材(顔料分散液)として有用である。さらに、本発明のカプセル化微粒子は、粒径分布が狭く、かつ小粒径であるので、種々の機能性材料(例えば、デジタルペーパー用表示材料)として有用である。加えて、コア粒子として薬剤などの有機または無機粒子を使用すれば、カプセル化が可能であり、薬剤のコントロールリリースが可能である。したがって、診断薬担体、ドラッグデリバリー用担体などとして有用である。さらに、保冷剤や蓄熱材としても有用であり、液晶材料としても有用である。また、電気泳動型表示素子用材料としても好適に利用され得る。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(コア粒子分散液の調製)
コア粒子(青色顔料:Pigment
B1ue 15.3)1g、分散剤(商品名ソルスハ゜ース24000scアビシア社製)0.1g、およびトルエン15mlを50mlのガラス瓶にとり、セラミックビーズ(直径1mm)を加えてペイントシェーカーで7時間分散した。
別に水溶性分散剤(商品名Disperby191,BYK-Chemie社製)0.4g、非イオン性重合開始剤である4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(商品名VA-501和光純薬杜製)0.03gおよび水9.5gを40mlのガラス瓶に入れて、ジルコニアビーズ(直径1mm)50gを加えて、ぺイントシューカーにて0.5時間混合した。なお、非イオン性重合開始剤の水溶性は以下のようにして測定した:試料に21℃のイオン交換水を攪拌しながら加えたときに、試料溶液が実質的に透明(0.1μmフィルターでろ過したときにろ過されないで残る試料の量が10mg以下)となるイオン交換水の量を測定し、これをイオン交換水100gに溶解する試料の量に換算して、非イオン性重合開始剤の水溶性とした。
次いで、上記混合液およびドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム0.01gの水溶液100mLに上記コア粒子分散液を加え、超音波ホモジナイザーを用いて乳化した。そして、乳化液を1晩放置してコア粒子分散液を得た。
分散液中の粒度分布を粒度分布計(マイクロトラックUPA日機装社製)で測定したところ、体積基準平均粒子径mv=0.267μm、CV値=17.1%であった。
(粒子分散体の調製)
上記で得られたコア粒子分散液とスチレン1.7m1をバイアル瓶に入れ、内部を窒素置換した後、70℃で緩やかに攪拌しながら重合を行った。次いで、水層上のスチレン層が消失した後、窒素置換したメチルメタクリレート0.3m1を加えて重合を10時間継続した。重合終了後の生成粒子の粒度分布は、mv=0.232μm、CV=16.9%であった。次いで遠心沈降により生成粒子を回収した。
生成粒子を電界放出型透過電子顕徴鏡(FE-TEM:HitachiHF-2000日立製作所製)により観察したところ、全ての粒子が球形をしており、中心部と周辺部にコントラストの異なる同心円状の二重構造が観察された。外円部(内側の円と外側の円との間のリング状の部分)の厚み(幅)は、約20nmであった。これらの粒子をさらにエネルギー分散型蛍光X線分析装置{EDX:Kevex Sigma Kevex社製}で分析したところ、約90個数%の粒子で中心部に銅が検出され、周辺部では検出されなかった。以上から、生成粒子は、コア粒子が約20nmの厚みを有する重合体で被覆されているカプセル化微粒子を約90個数%含み、残りはコア粒子を含まない重合体単独粒子であることがわかった。
なお、上記カプセル化微粒子をテトラヒドロフラン(THF)に再分散してTEMで観察したところ、全ての粒子が不定形となっていた。これは、被覆ポリマーがTHFに溶解してコア粒子が露出したことを示唆している。
さらに、生成粒子を遠心沈降を用いてメタノールで洗浄して分散剤を除いた後、水に再分散させたところ良好に分散し、分散液は60℃で1週間放置しても沈降はなく安定であった。
(コア粒子分散液の調製)
実施例1と同様にしてコア粒子分散液を得た。
(粒子分散体の調製)
上記で得られたコア粒子分散液とスチレン1m1をバイアル瓶に入れ、内部を窒素置換した後、70℃で緩やかに攪拌しながら重合を行った。次いで、水層上のスチレン層が消失した後、窒素置換したメタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン(チッソ社製)1m1を加えて重合を10時間継続した。重合終了後の生成粒子の粒度分布は、mv=0.253μm、CV=17.2%であった。次いで遠心沈降により生成粒子を回収した。
得られた粒子を電界放出型透過電子顕徴鏡(FE-TEM:HitachiHF-2000日立製作所製)により観察したところ、全ての粒子が球形をしており、中心部と周辺部にコントラストの異なる同心円状の二重構造が観察された。外円部の厚みは、約15nmであった。これらの粒子をさらにエネルギー分散型蛍光X線分析装置{EDX:Kevex Sigma Kevex社製}で分析したところ、約80個数%の粒子で中心部に銅が検出され、周辺部では検出されなかった。以上から、生成粒子は、コア粒子が約15nmの厚みを有する重合体で被覆されているカプセル化微粒子を約80個数%含み、残りはコア粒子を含まない重合体単独粒子であることがわかった。
なお、上記カプセル化微粒子をテトラヒドロフラン(THF)に再分散してTEMで観察したところ、全て球形のままで、形状の変化は観られなかった。これは、スチレンに続いてメタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランをさらに重合すると、被覆層を構成する重合体が架橋されて不溶化することを示唆している。
(コア粒子分散液の調製)
実施例1と同様にしてコア粒子分散液を得た。
(粒子分散体の調製)
上記で得られたコア粒子分散液とスチレン1m1をバイアル瓶に入れ、窒素置換した後、70℃で緩やかに攪拌しながら重合を行った。次いで、水層上のスチレン層が消失した後、窒素置換したアクリルアミド(ナカライテスク社製)1g/蒸留水1g溶液を加えて重合を10時間継続した。重合終了後の生成粒子の粒度分布は、mv=0.214μm、CV=16.4%であった。次いで遠心沈降により生成粒子を回収した。次いで、回収粒子をメタノールで洗浄し、乾燥した。
得られた粒子を電界放出型透過電子顕徴鏡(FE-TEM:HitachiHF-2000日立製作所製)により観察したところ、全ての粒子が球形をしており、中心部と周辺部にコントラストの異なる同心円状の二重構造が観察された。外円部の厚みは約10nmであった。これらの粒子をさらにエネルギー分散型蛍光X線分析装置{EDX:Kevex Sigma Kevex社製}で分析したところ、約83個数%の粒子で中心部に銅が検出され、周辺部では検出されなかった。以上から、生成粒子は、コア粒子が約10nmの厚みを有する重合体で被覆されているカプセル化微粒子を約83個数%含み、残りはコア粒子を含まない重合体単独粒子であることがわかった。
なお、生成粒子の水分散液のpHを1〜13の広い範囲で変化させても全く凝集が観られなかった。また、生成粒子はメタノールに良好に分散した。
これらはアクリルアミドを重合していない実施例1の生成粒子では見られない性質であり、アクリルアミドの重合によりカプセル化微粒子被覆層の表面状態が変化したことを示唆している。
(比較例1)
(コア粒子分散液の調製)
非イオン性重合開始剤である4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)を用いない以外は、実施例1と同様にしてコア粒子分散液を得た。
(粒子分散体の調製)
上記で得られたコア粒子分散液に過硫酸カリウム(ナカライテスク製)0.03gを溶解させた後スチレン2m1とバイアル瓶に入れ、窒素置換した後、70℃で緩やかに攪拌しながら重合を行った。
重合終了後、分散液を光学顕微鏡で観察したところ、数十個の顔料粒子が固まって粗大粒子となっていた。
(比較例2)
(コア粒子分散液の調製)
実施例1と同様にしてコア粒子分散液を得た。
(粒子分散体の調製)
スチレンに替えてアクリロニトリル(水溶性7.9%)を用いる以外は、実施例1と同様にして重合を行った。重合終了後、遠心沈降により生成粒子を回収した。
得られた粒子を電界放出型透過電子顕徴鏡(FE-TEM:HitachiHF-2000日立製作所製)により観察したところ、不定形の顔料粒子と球形粒子の混合物であった。
(コア粒子分散液の調製)
コア粒子(青色顔料;Pigment B1ue 15:3)1g、水溶性分散剤(商品名Disperby191、BYK-Chemie社製)0.3g、および水8.6gを40mlのガラス瓶に入れて、ジルコニアビーズ(直径1mm)50gを加えて、ぺイントシューカーにて1時間分散を行った。
次いで、非イオン性重合開始剤である2,2'‐アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン] (商品名VA‐061和光純薬杜製)0.03gを加え、さらにペイントシェーカーにて0.5時間分散を行った。得られた分散液の粒度分布は、mv=0.231μm、CV=17.2%であった。
(粒子分散体の調製)
上記で得られたコア粒子分散液を90mlの蒸留水で希釈後、200mlのバイアル瓶に移し、スチレン1.7m1を添加して内部を窒素置換した後、70℃で緩やかに攪拌しながら重合を行った。次いで、水層上のスチレン層が消失した後、窒素置換したメチルメタクリレート0.3m1を加えて重合を10時間継続した。重合終了後の生成粒子の粒度分布は、mv=0.121μm、CV=17.4%であった。次いで遠心沈降により生成粒子を回収した。
得られた粒子を電界放出型透過電子顕徴鏡(FE-TEM:HitachiHF-2000日立製作所製)により観察したところ、全ての粒子が球形をしており、中心部と周辺部にコントラストの異なる同心円状の二重構造が観察された。
さらに、生成粒子を遠心沈降を用いてメタノールで洗浄して分散剤を除いた後、水に再分散させたところ良好に分散し、分散液は60℃で1週間放置しても沈降はなく安定であった。
(コア粒子分散液の調製)
実施例4と同様にしてコア粒子分散液を得た。
(粒子分散体の調製)
スチレンに替えてスチレン1.2gとn-ブチルアクリレート0.5gの混合モノマーを用いる以外は、実施例1と同様にして重合を行った。重合終了後、遠心沈降により生成粒子を回収した。
得られた粒子を電界放出型透過電子顕徴鏡(FE-TEM:HitachiHF-2000日立製作所製)により観察したところ、全ての粒子が球形をしており、中心部と周辺部にコントラストの異なる同心円状の二重構造が観察された。
また、得られた粒子の熱分析(Rigaku Thermoflex TAS300 DSC8230D)を行ったところ30℃にTgが観測された。
(コア粒子分散液の調製)
2,2'‐アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]の替わりに非イオン性重合開始剤であるジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(商品名V-601和光純薬社製)を0.03g用いる以外は、実施例4と同様にしてコア粒子分散液を得た。
(粒子分散体の調製)
実施例4と同様にして重合を行った。重合終了後の生成粒子の粒度分布は、mv=0.119μm、CV=17.2%であった。次いで遠心沈降により生成粒子を回収した。
得られた粒子を電界放出型透過電子顕徴鏡(FE-TEM:HitachiHF-2000日立製作所製)により観察したところ、全ての粒子が球形をしており、中心部と周辺部にコントラストの異なる同心円状の二重構造が観察された。
(コア粒子分散液の調製)
コア粒子(アゾ系黄色顔料:Pigment
Ye11ow 74〉1gを用いたこと、および、重合開始剤を加える前の分散を5時間としたこと以外は実施例4と同様にして、コア粒子分散液を調製した。
(粒子分散体の調製)
上記で得られたコア粒子分散液を用いたこと以外は実施例4と同様にして、粒子分散体を調製した。生成粒子の粒度分布は、mv=0.058μm、CV=17.4%であった。
得られた粒子を電界放出型透過電子顕徴鏡(FE-TEM:HitachiHF-2000日立製作所製)により観察したところ、全ての粒子が球形をしていた。
(コア粒子分散液の調製)
コア粒子(緑色顔料:Pigment
Green 7)1gを用いたこと、および、重合開始剤を加える前の分散を3時間としたこと以外は実施例4と同様にして、コア粒子分散液を調製した。得られた分散液の粒度分布は、mv=0.160μm、CV=17.7%であった。
(粒子分散体の調製)
上記で得られたコア粒子分散液を用いたこと以外は実施例4と同様にして、粒子分散体を調製した。生成粒子の粒度分布は、mv=0.084μm、CV=17.9%であった。
得られた粒子を電界放出型透過電子顕徴鏡(FE-TEM:HitachiHF-2000日立製作所製)により観察したところ、全ての粒子が球形をしていた。
(コア粒子分散液の調製)
コア粒子(黒色顔料;Pigment b1ack7,商品名MA100,三菱化学社製)1g、水溶性分散剤(商品名Disperby191,BYK-Chemie社製)0.4g、および水9.5gを40mlのガラス瓶に入れて、ジルコニアビーズ(直径1mm)50gを加えて、ぺイントシューカーにて2時間分散を行った。
次いで、非イオン性重合開始剤である4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(商品名VA-501和光純薬杜製)0.03gを加え、さらにペイントシェーカーにて0.5時間分散を行った。得られた分散液の粒度分布は、mv=0.206μm、CV=18.2%であった。
(粒子分散体の調製)
上記で得られたコア粒子分散液を90mlの蒸留水で希釈後、200mlのバイアル瓶に移し、スチレン1.7m1を添加して内部を窒素置換した後、70℃で緩やかに攪拌しながら重合を行った。次いで、水層上のスチレン層が消失した後、窒素置換したメチルメタクリレート0.3m1を加えて重合を10時間継続した。重合終了後の生成粒子の粒度分布は、mv=0.188μm、CV=18.4%であった。次いで遠心沈降により生成粒子を回収した。
得られた粒子を電界放出型透過電子顕徴鏡(FE-TEM:HitachiHF-2000日立製作所製)により観察したところ、全ての粒子が球形をしていた。
(コア粒子分散液の調製)
コア粒子(赤色顔料:Pigment red 57:1;商品名Irga1ite-Rubine 4BL、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)1gを用いたこと以外は実施例9と同様にして、コア粒子分散液を調製した。得られた分散液の粒度分布は、mv=0.131μm、CV=16.3%であった。
(粒子分散体の調製)
上記で得られたコア粒子分散液を用いたこと以外は実施例7と同様にして、粒子分散体を調製した。生成粒子の粒度分布は、mv=0.066μm、CV=17.4%であった。
得られた粒子を電界放出型透過電子顕徴鏡(FE-TEM:HitachiHF-2000日立製作所製)により観察したところ、全ての粒子が球形をしていた。
(コア粒子分散液の調製)
コア粒子(赤色顔料:Pigment
Red 254)1g、水溶性分散剤(商品名Disperby191、BYK-Chemie社製)0.5g、および水8.4gを40mlのガラス瓶に入れて、ジルコニアビーズ(直径1mm)50gを加えて、ぺイントシューカーにて2時間分散を行った。
次いで、非イオン性重合開始剤である2,2'‐アゾビス[2−イミダゾリン−2−イル]プロパン0.03gを加え、さらにペイントシェーカーにて0.5時間分散を行った。得られた分散液の粒度分布は、mv=0.133μm、CV=17.8%であった。
(粒子分散体の調製)
上記で得られたコア粒子分散液を90mlの蒸留水で希釈後、200mlのバイアル瓶に移し、スチレン1.7m1を添加して内部を窒素置換した後、70℃で緩やかに攪拌しながら重合を行った。次いで、水層上のスチレン層が消失した後、窒素置換したメチルメタクリレート0.3m1を加えて重合を10時間継続した。重合終了後の生成粒子の粒度分布は、mv=0.099μm、CV=17.1%であった。次いで遠心沈降により生成粒子を回収した。
得られた粒子を電界放出型透過電子顕徴鏡(FE-TEM:HitachiHF-2000日立製作所製)により観察したところ、全ての粒子が球形をしていた。
コア粒子(赤色顔料:Pigment Red 122)1gを用いたこと、および、重合開始剤を加える前の分散を4時間としたこと以外は実施例11と同様にして、コア粒子分散液を調製した。得られた分散液の粒度分布は、mv=0.381μm、CV=18.8%であった。
(粒子分散体の調製)
実施例11と同様にして、粒子分散体を調製した。重合終了後の生成粒子の粒度分布は、mv=0.214μm、CV=18.5%であった。次いで遠心沈降により生成粒子を回収した。
得られた粒子を電界放出型透過電子顕徴鏡(FE-TEM:HitachiHF-2000、日立製作所製)により観察したところ、全ての粒子が球形をしていた。
(コア粒子分散液の調製)
実施例1と同様にしてコア粒子分散液を得た。
(粒子分散体の調製)
上記で得られたコア粒子分散液とスチレン3mlをバイアル瓶に入れ、窒素置換した後、70℃で緩やかに撹拌しながら17時間重合を行った。
得られた粒子を電界放出型透過電子顕徴鏡(FE-TEM:HitachiHF-2000日立製作所製)により観察したところ、全ての粒子が球形をしており、中心部と周辺部にコントラストの異なる同心円状の二重構造が観察された。外円部の厚みは約30nmであった。これらの粒子をさらにエネルギー分散型蛍光X線分析装置{EDX:Kevex Sigma Kevex社製}で分析したところ、約81個数%の粒子で中心部に銅が検出され、周辺部では検出されなかった。以上から、生成粒子は、コア粒子が重合体で被覆されているカプセル化微粒子を約81個数%含み、残りはコア粒子を含まない重合体単独粒子であることがわかった。
(比較例3)
(コア粒子分散液の調製)
実施例1と同様にしてコア粒子分散液を得た。
上記分散液にスチレン1mlとアクリルアミド1gを同時に加えたこと以外は実施例3と同様にして、重合を17時間継続した。重合終了後の生成粒子を透過電子顕徴鏡(TEM:HitachiH7100日立製作所製)により観察したところ、球形粒子は見られず、不定形の顔料粒子のみが観察された。
(比較例4)
2,2'‐アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]の代わりに2,2'‐アゾビスイソブチロニトリル(ナカライテスク製)0.03gを用いたこと以外は実施例4と同様にして、コア粒子分散液および粒子分散体を調製した。重合終了後、分散液を光学顕微鏡で観察したところ、数十個の粒子が固まって粗大粒子となっていた。

Claims (4)

  1. コア粒子と該コア粒子を包囲する被覆層とを有するカプセル化微粒子と、分散剤と、を含む水性分散体であって、
    該コア粒子が、表面張力が20〜60mN/mである、無機物質および顔料から選択される材料で構成され、
    該被覆層が、25℃の水への溶解度が2.5重量%以下であり、かつ、スチレンを含む重合性単量体を、該分散剤によって分散された該コア粒子を含む水性媒体中に重合温度における水への溶解度以下の濃度で拡散および溶解した状態で、非イオン性重合開始剤を用いて重合することによって得られる、該コア粒子と親和性を有するブロックを少なくとも有する共重合体で形成され
    該非イオン性重合開始剤が、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1’-ビス(ヒドロキシブチルメチル)-2-ヒドロキシエチル]-プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、および4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)から選択される、
    水性分散体。
  2. コア粒子と該コア粒子を包囲する被覆層とを有するカプセル化微粒子と、分散剤と、を含む水性分散体であって、
    該コア粒子が、表面張力が20〜60mN/mである、無機物質および顔料から選択される材料で構成され、
    該被覆層が、スチレンを、該分散剤によって分散された該コア粒子を含む水性媒体中に重合温度における水への溶解度以下の濃度で拡散および溶解した状態で、非イオン性重合開始剤を用いて重合した後、さらに第2の重合性単量体を添加して重合することによって得られる、表面張力が20〜50mN/mである共重合体で形成され
    該非イオン性重合開始剤が、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1’-ビス(ヒドロキシブチルメチル)-2-ヒドロキシエチル]-プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、および4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)から選択される、
    水性分散体。
  3. 前記第2の重合性単量体が、単官能ビニル化合物、多官能ビニル化合物、単官能(メタ)アクリル酸の直鎖状、分岐状または環状アルキルエステル、および、多官能(メタ)アクリル酸の直鎖状、分岐状または環状アルキルエステルから選択される少なくとも1つを含む、請求項2に記載の水性分散体。
  4. 前記カプセル化微粒子の粒子数が、粒子分散体に含まれるすべての粒子の粒子数の60%以上である、請求項1から3のいずれかに記載の水性分散体。
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