本発明は、静電センサや角速度センサ等の検出手段によって撮影態勢に入ったことを検出した場合に直ちに給電制御を行い、初期化等の必要な処理の後に撮影を開始することができるようにしたものである。例えば、ユーザがカメラを構えた時点でシステム各部への電源投入やシステムの初期化処理が開始され、電源投入スイッチを操作してからシャッター釦を操作するまでの待ち時間が殆どかからず、ユーザがシャッターチャンスを逃してしまうといった事態の発生を未然に防ぐことができる。本発明は、スチルカメラやビデオカメラあるいは静止画及び動画の撮影が可能な各種の撮像装置に幅広く適用することができる。
図1は、本発明に係る撮像装置の基本構成例を示す図である。
撮像装置1は、電源スイッチや撮影用スイッチ等を含む操作手段2と、静電センサや角速度センサ等を用いた検出手段3を備えており、それらによる信号はシステム制御部4に送られて処理される。
操作手段(あるいは操作入力手段)2には、装置本体に設けられた各種の操作釦やスイッチ等が含まれ、図には、電源スイッチ2a、2aのみを示している。尚、電源スイッチ(あるいは、パワースイッチ)の操作信号は、電源投入のトリガー信号となるものである。例えば、デジタルスチルカメラ等への適用において、構成形態によっては、電源スイッチの数が1個とは限らず、複数個の電源スイッチを備えたシステムが挙げられ、本例では2つのスイッチを示している。
検出手段3は、撮影態勢への変化を検出するために設けられており、例えば、下記に示す構成形態が挙げられる。
(I)装置への接触を検出するためのセンサを用いる形態
(II)装置本体の姿勢変化を検出するためのセンサを用いる形態
(III)上記(I)及び(II)を併用する形態
先ず、上記(I)では、例えば、静電センサ等の接触検出用センサ3aが用いられ、ユーザが装置本体に触ったことを検出して、その検出信号をシステム制御部4に対して送出する。尚、検出感度が鋭敏すぎると、装置本体に僅かに触れただけで起動のための給電処理が行われてしまい、誤検出の頻度が多くなる等の問題が生じるので、検出感度を適度に設定して確実に接触を検出できるようにすることが好ましい。
また、上記(II)では、角速度センサあるいはジャイロセンサ等の姿勢検出用センサ3bが用いられ、ユーザが装置本体を把持したり動かしたときの装置姿勢の変化を検出して、その検出信号をシステム制御部4に対して送出する。尚、本発明の適用においては、角速度センサに限らず、例えば、速度変化を計測可能なセンサとして加速度センサを用いる形態や、さらには振動センサ等を設けて検出軸の数を増やすことで検出精度を高める形態等が挙げられる。あるいは、手振れ防止機能を備えたカメラ装置において、その手振れ検出用に搭載された角速度センサや加速度センサを利用して装置姿勢の変化を検出することによって、部品点数やコストの上昇を伴わずに検出手段を実装可能である。
検出精度の向上には、上記(I)又は(II)において同種のセンサを複数使用する方法と、上記(III)のように、異種のセンサを組み合わせて検出する方法とが挙げられ、判定処理を多面的に行う場合には後者が有効である。
尚、図1には、図示の便宜上、(III)の形態を想定し、検出手段3が複数種のセンサを含む例を示している。また、検出手段3からシステム制御部4への送信形態に関しては、アナログ方式や、デジタル方式(2値化方式やシリアル通信方式を含む。)が挙げられる(その詳細については後述する。)。
システム制御部4は、第1の制御手段4a及び第2の制御手段4bを備えており、例えば、下記に示す構成形態が挙げられる。
・各制御手段を各別の回路として形成して、システム制御部4を構成する形態
・1チップ化されたシステム制御部4内に、各制御手段の機能をもつ回路部を形成する形態。
いずれの形態においても、第1の制御手段4aは、撮像処理あるいは撮影した画像データの記録処理や再生処理に係る制御を行い、また、第2の制御手段4bは、操作手段2からの操作入力信号や検出手段3からの検出信号を監視して処理する。例えば、第1の制御手段4aには、マイクロコンピュータ等を用いることができる。また、第2の制御手段4bには、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のように特定用途向けの集積回路や、マイクロコンピュータ(第1の制御手段4aに用いるメインコンピュータに対してサブコンピュータとして用いられる。)等が挙げられる。
第1の制御手段4aの制御下に置かれるシステム構成部5については、撮像装置1の仕様やシステム構成の如何に応じて各種のデバイスが用いられるが、本例では、撮像処理や画像の記録及び再生処理を行う画像信号処理部5a(撮像手段及びカメラ信号処理部と、記録及び再生系信号処理部を含む。)と、液晶式表示パネル(LCD)等を用いた画像表示部5bを代表例として示している。
電源供給部6は、第1の制御手段4a、第2の制御手段4bや、システム構成部5の各部に電源供給を行うものである。尚、本発明の適用において電源供給部6の回路構成の如何を問わないが、例えば、バッテリ(一次電池や二次電池)、燃料電池等を用いた電源6aと、回路に必要な電源電圧を生成するための電源電圧生成部6bが設けられ、該生成部から電源ラインを介して各回路への電源供給が行われる。
本例では、バッテリパック等が撮像装置1の装置本体に装着された状態で電源6aから電源電圧生成部(DC−DCコンバータ等)6bへの給電が行われると、該生成部から第2の制御手段4bへの電源供給が直ちに行われる構成になっている。
第2の制御手段4bは、第1の制御手段4aよりも消費電力が小さいが、これは当該制御手段が操作信号や検出信号の監視や処理を担当しており、撮影前の待機状態において不必要な電力が消費されないようにするためである(例えば、マイクロコンピュータを使用した形態において、消費電流が百マイクロアンペア以下とされる。)。
これに対して、第1の制御手段4aには、動作周波数が固定された演算手段又は動作周波数の可変制御により電力制御が可能な演算手段が用いられるが、処理の高速化等が優先される場合において、第2の制御手段4bよりも消費電力が大きくなる。つまり、ユーザが電源投入操作を行って第1及び第2の制御手段とシステム構成部への電源供給を行って常に撮影可能な状態にしておけば、シャッターチャンスを逃す事態は避けられるが、その場合に消費される電力が大きくなってしまい、バッテリでの駆動時間が短くなってしまう。そこで、撮影前の待機状態では、消費電力が少ない第2の制御手段4bにのみ電源供給部6から電源供給が行われるように構成することで省電力効果が得られる。
本発明では、電源供給部6から第2の制御手段4bへの電源供給が行われる省電力状態において、検出手段3から撮影態勢への変化を示す信号を第2の制御手段4bが受けた場合に、電源供給部6から第1の制御手段4aやシステム構成部5の各部に電源供給が行われて撮影動作可能な給電状態へと移行する。つまり、撮像装置1における電力制御状態には、少なくとも下記に示す状態が含まれる。
・撮像動作が可能な第1の電力制御状態(以下、「S1」と記す。)
・S1よりも消費電力が小さい第2の電力制御状態(以下、「S2」と記す。)
先ず、S1の制御状態では、電源供給部6からシステム制御部4及びシステム構成部5への電源供給が行われており、S2との比較において消費電力が大きい。
また、S2の制御状態では、電源供給部6から第2の制御手段4bへの電源供給が行われており、第1の制御手段4aやシステム構成部5への電源供給は行われない。つまり、S2は、操作手段2によるスイッチ操作や、検出手段3による撮影態勢への変化を監視する省電力状態とされ、この制御状態において撮影態勢への変化を検出した場合、即ち、検出手段3による検出信号がトリガー信号として第2の制御手段4bに送出された場合には、S2からS1への移行制御が行われる。
これによって、第1の制御手段4aへの給電や初期化処理と、システム構成部5への給電等が行われて、撮影動作可能な給電状態へと移行する。この状態でユーザが電源スイッチを入れ、シャッター釦を押せば瞬時に撮影を開始することができる。また、S1の制御状態において、電源スイッチ2aによる電源投入操作が行われないか又は検出手段3から撮影態勢への変化を示す信号が検出されなくなった場合には、S2の制御状態へと自動的に遷移する。即ち、第1の制御手段4aやシステム構成部5の各部への電源供給が遮断されることで、省電力状態(S2)に移行する。
尚、説明の便宜上、撮像動作が可能な制御状態をS1のみとしたが、動作周波数の制御やデバイスへの給電制御によって節電効果を段階的に又は連続的に設定できるようにした構成形態への適用において、消費電力の如何に応じて電力制御状態を区分すること(S1を2以上のクラス別に区分すること)が可能である。
また、本例では、電源スイッチ2aの操作信号が第2の制御手段4bに送出されて処理される構成を示したが、電源スイッチ2aの操作信号が第1の制御手段4aに送出されて処理される構成等、各種形態で本発明を実施することができる。
次に、撮像装置1の電源制御処理のシーケンス例について、下記に示す3つの場合に分けて説明する。
(A)撮影態勢に入ったことが検出された後で、ユーザが電源スイッチを操作して撮影を開始しようとする場合
(B)撮影態勢に入ったことが検出されたが、その後にユーザが電源スイッチを操作しなかった場合
(C)撮影態勢に入ったことの検出と、ユーザによる電源スイッチの操作とがほぼ同時に行われた場合
先ず、(A)の場合について、下記に示す手順(1)乃至(7)に従って説明する。尚、図1において「○」印内に示す数字が、以下の括弧内の数字1乃至7に各々対応しており、時間経過に沿う処理の順序を表している。
(1)電源供給部6にバッテリを挿入すると、電源電圧生成部6bに電源が入る。
(2)電源電圧生成部6bから第2の制御手段4bに対して電源供給が行われ、これにより、いつでも電源スイッチ2aの操作信号を第2の制御手段4bが受け付けられる状態になる。
(3)撮影態勢に入ったことが検出手段3から第2の制御手段4bに通知される。例えば、上記形態(I)では、装置への接触を検出するために静電センサ等が用いられる。つまり、該センサを用いて装置に触れたことが検出されると、システム起動が行われる(例えば、バックグラウンド処理としてシステムの起動処理が行われる。)。また、上記形態(II)では、装置の姿勢変化を検出するために角速度センサ等が用いられ、センサを用いてユーザが装置を持ち上げて撮影しようとする態勢に入ったことが検出されると、システム起動が行われる(例えば、バックグラウンド処理としてシステムの起動処理が行われる。)。
(4)検出手段3から、撮影態勢に入ったことを知らせる信号を受けた第2の制御手段4bは、第1の制御手段4a及びシステム構成部5に対して電源供給を行うように電源電圧生成部6bに信号を送って指示する。
(5)指示を受けた電源電圧生成部6bは、システム全体に電源を供給し始める。つまり、第1の制御手段4aやシステム構成部5の各部に電源供給が行われる。
(6)システム全体に電源が行きわたると、それぞれのデバイスが動作可能な状態となり、第1の制御手段4aと第2の制御手段4bとの間の信号伝達や、第1の制御手段4aとシステム構成部5の画像信号処理部5aや画像表示部5b等との間の信号伝達を行うことができる。
(7)ユーザが電源スイッチ2aを操作した場合に、その操作信号が第2の制御手段4bに伝達される。第2の制御手段4bから第1の制御手段4aに信号が伝達され、瞬時に撮影を開始し得る状態になる。つまり、システムは既に起動されているため、短時間で撮影処理を行うことができる。
尚、本例では、撮影態勢に入ったことが検出手段3によって検出された場合に、第2の制御手段4bから電源電圧生成部6bへの指令によって第1の制御手段4aを含む各部への電源供給が行われるようにしたが、これに限らず、撮影前にシステムをサスペンド状態とする方法や、第1の制御手段4aの動作速度を抑える方法等が挙げられる。その場合には、撮影態勢に入ったことが検出手段3によって検出されると、システムが撮影可能な動作状態に戻るか、又は第1の制御手段4aの動作速度が大きくなって撮影処理等を支障なく行える状態となる。よって、システムの起動に要する時間は短くなるが、撮影態勢に入ったことが検出されない待機状態では、上記の例に比べて消費電力が増加する。
次に、上記(B)の場合、例えば、ユーザが装置を触ったが電源スイッチを押さなかった場合には、上記(1)乃至(6)に示す処理が行われるが、このままの状態でシステムを起動させていると電力を必要以上に消費してしまう。そこで、電源投入操作が行われないか又は検出手段3から撮影態勢への変化を示す信号が検出されなくなった場合には、上記S2(省電力状態)に移行させる。例えば、上記形態(I)において、一定時間の間にユーザが装置を触ったことを知らせる検出信号が第2の制御手段4bに送出されない場合等において、ユーザによる明示的な操作指示を必要とせずに、第1の制御手段4a及びシステム構成部5への電源供給を断つ(例えば、ユーザが関知することなくバックグラウンド処理で第2の制御手段4bを除いたシステムの各部への電源供給を停止させる。)。尚、この状態では、第2の制御手段4bにより操作信号や検出信号を監視するモードに入っており、その消費電力は第2の制御手段4bの処理に必要な最低限のレベルとされる。その後に、ユーザが装置に触る等、撮影態勢に入ったことが検出されると、上記(3)から(4)以降の処理へと進む。
上記(C)の場合、例えば、ユーザが装置に触った状態と、電源スイッチを押した状態とが同時又はほぼ同時に発生した場合には、従来と同様にシステムの起動処理が行われ、問題なく撮影モードに入ることができる。つまり、操作信号や検出信号を常に第2の制御手段4bで監視する構成形態では、撮影態勢への移行開始が検出手段3により検出され、同時に電源スイッチ2aが押されたとしても、それらを第2の制御手段4bにおいて把握できる。よって、図1において○印内の「7」を「3」に変更した上で、上記(4)以降の処理が行われる。
尚、撮影態勢への移行開始が何ら検出されない場合、例えば、上記形態(I)において、ユーザが装置に触らない場合には、上記(3)において撮影態勢に入ったことを示す検出信号が第2の制御手段4bには送られないため、システム起動、つまり、第1の制御手段4aへの電源供給や初期化処理、システム構成部5の各部への電源供給は行われない(最も消費電力が低い電力制御状態となる。)。
この他には、装置の使用状況に応じた各種の状態が想定されるが、第2の制御手段4bにて電源管理や電力制御のシーケンスを設定することにより、如何なる状態においても問題なくシステムを起動して撮影可能な状態へと移行させることができる。
図2乃至図16は、本発明を、デジタル式カメラ等に適用する場合の実施例を示すものである。
図2は、上記形態(I)の一例として、静電センサ等を用いた構成例を示すものであり、(A)図はカメラ7の斜視図、(B)図は、カメラ筐体8の前面部8aを裏側からみた斜視図である。
本例では、撮像部9が設けられた前面部8aのうち、撮影時にユーザの手指が触れる範囲の裏面側に静電センサ等の接触検出用センサ3aを埋め込むことで装置に付設している。
この場合に、ユーザの手指がカメラに接触したことを、誤検出なしに把握することが重要である。つまり、センサIC等の感度を高くし過ぎると、手指以外の人体の接近等が誤って検出されてしまうために、過敏な反応が起きないようにする必要がある。
そこで、センサの感度を下げるとともに、センサの検出範囲、つまり、ユーザが触れたときに感知する場所を広くとることが好ましい。例えば、ユーザの手指が触れたときの検出量(静電量)が蓄積されて、それが予め決められた閾値を超えた場合に、撮影態勢への移行開始が判断されるように構成し、該閾値以下では、撮影を意図しない不意の接触や接近等であると判断することができる。
尚、本例は、例えば、外筐がプラスチック等の合成樹脂で形成されている場合には問題ないが、装置形態によっては、静電シールドが施されている場合があり、静電センサでの接触検出が不可能となる。
そのような場合には、図3に示すカメラ7Aのように、カメラ筐体8のうち、ユーザの手指が触れる場所の表面、例えば、(A)図に示すように前面部8aにセンサ3aを埋め込んだり、(B)図に示すように、表示部10、操作部11が設けられた後面部8bにセンサ3aを埋め込むといった構成を採用する。例えば、導電性を有するフィルム素子を用いれば良いが、これに限らず、導電性を有する各種材料で形成された検出用素子を用いることが可能である。
図4は、上記形態(II)の一例として、3軸の加速度センサを用いた構成例を示すものである。
本例に示すカメラ7Bでは、前面部8aの表面又は背面等に付設された姿勢検出用センサ3bによって、図中に示すX、Y、Zの各軸回りの姿勢変化が検出される。つまり、ユーザがカメラ7Bを持ち上げて撮影態勢に入ろうとしていることが、その姿勢変化に伴う速度の変化、即ち、加速度として検出される。
尚、3軸構成に限らず、2軸の角速度センサ等を用いても良く、また、手振れ検出用の角速度センサや加速度センサを流用しても良い。検出可能な軸の数が多いほど検出精度を上げることが可能になるが、設置スペースの確保やコスト上昇等を考慮する必要が生じる。
次に、システム起動に関する設定例を、図5の(A)乃至(G)に示す画面例に従って説明する。尚、本発明の適用上では、システムの起動設定方法や設定を行う場所等の如何を問わないが、以下の例では、画像表示手段上に呈示される設定画面上に、新たな項目(以下、「瞬間起動」と呼ぶ。)が追加されている場合について説明する。
(A)図は、セットアップ画面に遷移した時点での表示画面を示し、長方形の破線枠内に示す範囲は、操作者が現在選択している項目を示している。
十字操作キー等の操作手段(例えば、図3の操作部11参照)を用いて、ユーザが「下向き」の方向操作を行うと、左方のツールバーの表示子(アイコン)の選択位置が下方に移動して、(B)図となる。該表示子の右側に位置する選択画面に「瞬間起動」の項目が表示される。
ユーザが「瞬間起動」の選択を意図して、十字操作キー等の操作手段を用いて「右向き」の方向操作を行うと、(C)図において、メイン画面の上段にある「アイコン拡大」が選択される。しかし、ユーザが選びたいのは当該項目ではない。そこで、十字操作キー等を用いて、「下向き」の方向操作を行い、(D)図に示すように、「瞬間起動」の項目にカーソルを移動させる(本例では「通常」に設定されている。)。
「瞬間起動」の項目にカーソルが来ている状態で、ユーザが「右向き」の方向操作を行うと、(E)図に示すように、「瞬間起動」の設定を有効(図中の「ON」参照)にするか、無効(図中の「OFF」参照)にするかを選択できるようになる。
本例では、それまでの設定が「OFF」となっているため、ユーザが十字操作キー等で「下向き」の方向操作を行う。これにより、(F)図に示すように、設定の有効化、つまり、「ON」にカーソルを合わせることができる。
そして、選択項目の確定、つまり、「瞬間起動」の項目を「ON」に設定したい場合に、ユーザが十字操作キー等のセンターキー(決定釦)を押すと、(G)図に示す画面となって設定作業が終了する。
これら一連の動作により、「瞬間起動」の項目を有効(「ON」)に設定することができる。
尚、本例では、「瞬間起動」の選択において、その有効化又は無効化を「ON」又は「OFF」という名称で表示したが、名称や設定方法等に関してアプリケーションの設計に応じて自由に変更できることは勿論である。また、項目設定をセットアップ画面上で行う形態に限らず、トグル式の専用釦を設けたり、タッチパネル等の接触検知手段を表示面に設けて、ユーザが所望の項目を画面上で選べるようにした各種構成での実施が可能である。
図6は、システムの起動処理の流れを例示したフローチャート図である。
先ず、ステップS1では、電源スイッチの操作信号又は接触検出用センサ若しくは姿勢検出用センサによる検出信号がシステム(図1の第2の制御手段4b参照)に通知されたか否かを判断する。そして、操作信号又は検出信号が通知された場合には、ステップS2又はS4に進むが、そうでない場合には、操作信号又は検出信号の監視を継続する(この状態が上記S2の制御状態に相当し、省電力モードの状態にある。)。
検出信号によって撮影態勢への移行が予測される場合には、ステップS2に進み、システム制御部や構成部への電源供給及び初期化処理等がバックグラウンド処理として開始される。そして、所定の時間(例えば、1秒以内)で装置が撮影可能な状態となり(この状態が上記S1の制御状態に相当する。)、次ステップS3に進む。
また、電源スイッチの操作により電源投入指示が出された場合には、ステップS4に進み、システムの起動処理が通常通りに行われ(ここでの処理は従来と同様である。)、ステップS5に進む。
ステップS3では、一定時間内に電源スイッチの操作が行われたか否かを判断する。そして、予め決められた設定時間の経過前に電源投入の指示が出された場合にステップS5に進む。また、設定時間が経過しても(タイムアウト時)、電源投入の指示が出されない場合には、ステップS1に戻る。尚、電源スイッチの操作信号の有無に関する判断処理は、設定時間が経過するまでの間中行われる。
ステップS5では、システム構成部、例えば、前記した画像信号処理部5aの作動が完了し、画像表示部5bを構成するバックライト等が点灯して画面表示が行われる。
ステップS3において電源スイッチの操作が行われた時点から、ステップS5に移行するまでの時間が殆どかからない。即ち、ユーザが電源スイッチを操作してから瞬時に撮影準備が整う。
そして、ステップS6に進んで、シャッター釦が操作されて撮影指示の信号が出されたか否かが判断され、撮影指示を示す信号がシステムに通知された場合に次ステップS7に進み、撮影処理が開始される。
尚、ステップS1において、電源スイッチの操作信号と、センサの検出信号とがほぼ同時に入ってきた場合には、例えば、電源スイッチの操作信号が優先されてステップS4へと進む。
本例において特徴的な部分は、ステップS1から「S2→S3→S5」へと進む処理経路にあり、従来の構成では、ステップS1において、被写体をとり逃がさないように、電源スイッチを操作しても、S4での待ち時間が経過しない限りS5へと移行できない。その間に、シャッターチャンスを逃してしまうといった事態が生じる。
次に、撮影態勢への移行について静電センサや角速度センサ等を用いて検出した信号を、システム制御部4に通知する場合の構成例について説明する。
例えば、ユーザがカメラを持ち上げて撮影を開始しようとする態勢に入ったことを、角速度センサ等を用いてシステムに知らせるための送信形態としては、下記に示すような構成形態が挙げられる。
(1)アナログ方式
(2)デジタル方式
(2−1)2値化方式
(2−2)シリアル通信方式
尚、各方式間での電力の比較においては、「(1)アナログ方式>(2-2)シリアル通信方式≧(2-1)2値化方式」とされ、アナログ方式に比してデジタル方式では消費電力が少ない。これは、アナログ方式ではA/D変換器を動作させる必要性等から電力が増えることによる。
また、2値化方式では、High及びLowの2つの信号レベルを使用するため,システムでの検知が単純であって、撮影しない状態ではシステムを常にスリープ(Sleep)モードに入れることができるといった利点がある。
図7は、上記(1)の構成例12の要部を示したブロック図であり、検出部13、システム制御部4内の第2の制御手段4bを示している。
検出部13には、例えば、接触検出用センサ3aとしての静電センサ又は姿勢検出用センサ3bとしての角速度センサ等が用いられ、センサ出力はアナログ信号として第2の制御手段4bを構成するIC又はコンピュータに送出される。
第2の制御手段4bはその回路構成において、A/Dコンバータ14、比較器15、データ記憶部16、演算処理部17(CPU(Central Processing Unit)コア、ASIC等)を備えている。
A/Dコンバータ14は、検出部13からのアナログ信号を受け取って、これをデジタル信号に変換して比較器15に送出する。
データ記憶部16には、比較器15に送出するための閾値データが、出荷時にデータ書込み装置18を用いて記憶されている。例えば、EEPROM(Electrical Erasable and Programmable Read Only Memory)等の不揮発性記憶装置が用いられ、製品出荷時に閾値データを装置毎に書き込むことによって、センサの特性バラツキや装置に固有の製造上のバラツキに起因する検出誤差の問題、あるいは誤動作等を防止することができる(常に同じ閾値データを用いる場合に比して信頼性が高まる。)。また、製品が完成した後で実装部品の変更を余儀なくされることは、部品コストや時間がかかり、製造コストが高くなる原因となるが、不揮発性記憶装置へのデータの書き込みによって、CPUを用いたソフトウェア処理で設定値等を変更できることは、ハードウェアの完成後でも、自由に調整や設定変更等を行えるという利点を齎す。そして、外気温等の周囲環境条件に関して、ソフトウェアでの条件分岐処理をプログラム中に記述すれば柔軟に対応することが可能である。
データ記憶部16から読み出された閾値データは比較器15に送られて、A/Dコンバータ14によってデジタル化されたデータ(センサの検出データ)と比較される。そして、検出データが閾値データの示す条件を満たしている場合に、例えば、ユーザがカメラの所定範囲に触れたり、カメラを持ち上げて撮影態勢への移行が開始されたものと認識され、演算処理部17への割込み信号が発せられる。また、検出データが閾値データの示す条件を満たしていない場合には、撮影態勢に入っていないか、あるいは、一時的若しくは偶発的な接触又は姿勢変化、ノイズ等の外乱によるものと判断される。
比較器15からの割込み信号を受けて、演算処理部17を構成するCPUコア等のスリープ(Sleep)状態が解除され(wake up)、本来発揮し得るパフォーマンスをもってシステム動作が行われる。
尚、CPUコア等をスリープ状態とせず、常に起こした状態で検出データのサンプリング処理を行っても良いが、その際の消費電力が問題となる。つまり、CPUコアやASIC等が常に動作し続ける場合に消費される電力が問題となるときには、それらの動作周波数を充分に下げるか、又は上記のようにスリープ状態あるいは休止状態に入れて消費電力を殆どゼロに近い状態に設定することが好ましい。但し、A/Dコンバータ14、比較器15、データ記憶部16への電源供給を断つ訳にはいかないので、A/Dコンバータ14による変換後のデータと、データ記憶部16から読み出される閾値データとの比較演算が保証される最低限度の電力は常に消費される(つまり、第2の制御手段4bはその待機状態において、必要最低限の電力だけを消費し、撮影態勢への変化を示す信号を検出手段から受けたときにその休止状態が解除されて電源供給部に対して電源供給の指示信号を送出する。検出が失敗しない程度に間欠的な動作を行うことで消費電力を削減することが可能である。)。
図8及び図9は、上記(1)の方式に関するシステムの起動処理例を示すフローチャート図である。
先ず、図8のステップST1では、検出部13からのアナログ信号がA/Dコンバータ14に送られ、ここで変換されたデジタル信号が比較器15に送出されるとともに、データ記憶部16からの閾値データが比較器15に送出されて、両者が比較される。そして、検出データが、閾値データにより規定される条件を満たしている場合には、次ステップST2に進むが、そうでない場合には、検出データの監視を続ける。
ステップST2では、比較器15から演算処理部17に対して割込み信号が発生され、次ステップでスリープ状態が解除される。つまり、ステップST3に進み、演算処理部17が所定の動作速度をもって処理を行える状態に復帰する。そして、図9のステップST4に進む。
ステップST4において、電源スイッチの操作信号が第2の制御手段4bに通知されたか否かを判断する。そして、該操作信号が通知されない場合にはステップST5に進むが、該操作信号が通知された場合には、ステップST9に進む。
ステップST5では、システム制御部や構成部への電源供給及び初期化処理等がユーザに気付かれない形で開始される(バックグラウンド処理)。そして、所定の時間内で装置が撮影可能な状態となり、次ステップST6に進む。
ステップST6では、一定時間内に電源スイッチの操作が行われたか否かを判断する。そして、予め決められた設定時間の経過前に電源投入の指示が出された場合にステップST10に進む。また、設定時間が経過しても電源投入の指示が出されない場合(タイムアウト時)にはステップST7に進む。尚、電源スイッチの操作信号に関する判断処理は、設定時間が経過するまでの間中行われる。
ステップST7において、演算処理部17を構成するCPUコア等がスリープ状態に規定された後に、図8のステップST1に戻る。
ST8に示すように、電源スイッチが操作されたときの外部割込み信号が発生されて演算処理部17が所定の動作速度をもって処理を行える状態に復帰していることを前提として、ステップST9では、電源投入指示に従ってシステムの起動処理が通常通りに行われた後(ここでの処理は従来と同様である。)、ステップST10に進む。
ステップST10では、システム構成部、例えば、前記した画像信号処理部5aの作動が完了し、画像表示部5bを構成するバックライト等が点灯して画面表示が行われる。
ステップST6において電源スイッチの操作が行われた時点から、ステップST10に移行するまでの時間が殆どかからない。即ち、ユーザが電源スイッチを操作してから瞬時に撮影準備が整う。
そして、ステップST11に進んで、シャッター釦が操作されて撮影指示の信号が出されたか否かが判断され、撮影指示を示す信号がシステムに通知された場合に次ステップST12に進み、撮影処理が開始される。
上記(1)のアナログ方式では、システム制御部に閾値データをもたせることで、ソフトウェアによる柔軟な判断処理を行うことができる。そのため、検出部13による検出値を他の用途(例えば、手振れ補正処理等)にも利用することができる。また、検出部13内には比較回路やシステム制御部との通信回路等が不要であり、検出部の小型化や部品点数の削減、設置面積やスペースの低減等の面で有利である。
次に、上記(2)のデジタル方式について説明する。
図10は、上記(2−1)の構成例12Aの要部を示したブロック図である。
検出部13Aには、センサの他に、データ記憶部16と比較器15が設けられている。接触検出用センサ3aとしての静電センサ又は姿勢検出用センサ3bとしての角速度センサ等が用いられ、センサの出力信号は比較器15に送られる。
データ記憶部16には出荷時にデータ書込み装置18を用いて書き込まれた閾値データが格納されており、該閾値データが読み出されて比較器15に送られる。
比較器15は、センサによる検出信号と、上記閾値データを示す信号との間で比較演算を行い、その結果、センサ検出値が閾値データの示す条件を満たしている場合には、例えば、ユーザがカメラの所定範囲に触れたり、カメラを持ち上げて撮影態勢への移行が開始されたものと認識される。そして、その認識結果を示す2値化信号(例えば、Hレベル信号)が第2の制御手段4bに対して出力される。また、センサ検出値が閾値データの示す条件を満たしていない場合には、撮影態勢に入っていないか、あるいは、一時的若しくは偶発的な接触又は姿勢変化、ノイズ等の外乱によるものと判断される。そして、その結果を示す2値化信号(例えば、Lレベル信号)が第2の制御手段4bに対して出力される。
尚、閾値データを格納するためのデータ記憶部16を用いる構成の他には、例えば、比較器15に対する外付け回路19による定数値を出荷時に調整して閾値を設定する構成が挙げられ、図には、その両形態を便宜上併せて示している。
第2の制御手段4bは、割込み発生器20及び演算処理部17(CPUコア、ASIC等)を用いて構成されており、比較器15の出力信号、つまり、2値化された信号が割込み発生器20に送出される。そして、撮影態勢への移行開始を示す信号を割込み発生器20が受けたときに、演算処理部17に対して割込みがかかり、スリープ状態が解除されて、CPUコア等が所定の動作速度をもって処理を行える状態となる。
図11は、上記(2−1)の方式に関するシステムの起動処理例の要部を示すフローチャート図であり、上記(1)の方式について説明した処理例との相違部分だけを示している。
先ず、ステップST20では、センサによる検出信号と、閾値データを示す信号が比較器15にて比較される。そして、検出値が閾値により規定される条件を満たしている場合には、次ステップST21に進むが、そうでない場合には、センサによる検出値の監視を続ける。
ステップST21では、比較器15からの2値化信号を割込み発生器20が受けて演算処理部17に対して割込み信号が発生され、スリープ状態が解除される。これによって、次ステップST22では、演算処理部17が所定の動作速度をもって処理を行える状態となる。そして、図9のステップST4に進む。
これ以後の処理は、図9において説明した通りであるが、ステップST7において演算処理部17を構成するCPUコア等がスリープ状態に規定された後には、図11のステップST20に戻る。尚、スリープ状態において、第2の制御手段4bでは割込み発生器20しか動作していないので消費電力は低い。
図12は、上記(2−2)の構成例12Bの要部を示したブロック図である。
図10に示す構成との相違点は、下記の通りである。
・検出部13Bにおいて比較器15の後段にシリアル通信部21が設けられていること
・第2の制御手段4bには、シリアル通信部21との間で情報のやりとりを行うシリアル通信及び割込み発生部22が設けられていること。
・演算処理部17において、シリアルデータとして検出部13Bから送られてきた検出データを、データ記憶部16に記憶されている閾値データと比較する構成形態では、第2の制御手段4b内にデータ記憶部16が設けられていて、出荷時にはデータ書込み装置18を用いてデータ記憶部16に閾値データ等の書込み処理が行われること(例えば、検出部13Bの比較器15は不要であり、センサの検出信号がシリアル通信部21を介して第2の制御手段4bに送出される。)。
本例において、閾値データを格納するためのデータ記憶部16を図10と同様に検出部12Bに設けても構わない。
図12では、閾値データを格納するためのデータ記憶部16を第2の制御手段4bに設けた構成形態と、比較器15に対する外付け回路19による定数値を出荷時に調整して閾値を設定する構成形態とを便宜上併せて示している。尚、検出部13Bの比較器15を用いる比較処理と、第2の制御手段4bにデータ記憶部16を設けて演算処理部17にて行う比較処理とを併用する形態では、判断を2重に行うことで確実性を高めることができ、あるいは判断結果の検証、比較処理のバックアップ(例えば、比較回路15の故障時等)に有用である。
比較器15又は演算処理部17において、センサによる検出値と閾値との間で比較演算が行われる。その結果、センサ検出値が閾値の示す条件を満たしている場合には、例えば、ユーザがカメラの所定範囲に触れたり、カメラを持ち上げて撮影態勢への移行が開始されたものと認識される。その認識結果を示すデータ又はセンサの検出データはシリアル通信部21からシリアル通信及び割込み発生部22に対して送信される。また、センサ検出値が閾値の示す条件を満たしていない場合には、撮影態勢に入っていないか、あるいは、一時的若しくは偶発的な接触又は姿勢変化、ノイズ等の外乱によるものと判断される。その結果を示すデータ又はセンサの検出データはシリアル通信部21からシリアル通信及び割込み発生部22に対して送信される。尚、シリアル通信フォーマットには、各種の方式(SIO、UART、I2C等)を用いることができる。
検出部13Bが比較器15を有する形態では、例えば、撮影態勢への移行開始を示す信号をシリアル通信及び割込み発生部22が受けたときには、演算処理部17に対して割込みがかかり、スリープ状態が解除されて、CPUコア等が所定の動作速度をもって処理を行える状態となる。
また、第2の制御手段4bがデータ記憶部16を有する形態では、センサの検出データをシリアル通信及び割込み発生部22が受けたときに割込みが発生し、演算処理部17にてセンサの検出値とデータ記憶部16からの閾値とが比較され、その結果、撮影態勢への移行開始が判断されると、CPUコア等が所定の動作速度をもって処理を行える状態となる。
図13は、上記(2−2)の方式に関するシステムの起動処理例の要部を示すフローチャート図であり、上記(1)の方式について説明した処理例との相違部分だけを示している。
先ず、ステップST30では、例えば、センサによる検出値と閾値とが比較器15にて比較される。そして、検出値が閾値により規定される条件を満たしている場合には、次ステップST31に進むが、そうでない場合には、センサによる検出値の監視を続ける。
ステップST31では、比較器15からシリアル通信部21を介して演算処理部17に割込みがかかり、スリープ状態が解除される。
これによって、次ステップST32では、演算処理部17が所定の動作速度をもって処理を行える状態となる。そして、図9のステップST4に進む。
これ以後の処理は、図9において説明した通りであるが、ステップST7において演算処理部17を構成するCPUコア等がスリープ状態に規定された後には、図13のステップST30に戻る。
本方式では、検出部13Bと第2の制御手段4bとの間の情報伝達をシリアルデータ通信で行っているので、上記方式(2−1)に比べて多量の情報を送受できる等の利点がある。そのため、CPU等を用いた演算処理部の側でも再度データの比較を行えるので、センサ認識に関して柔軟な対応が可能である。また、検出部13Bからの検出データがシリアル通信によって第2の制御手段4bに送られて来ることで割込みが発生するため、該制御手段4bを消費電力の低い状態(省電力モード)で動作させることができる。
以上に説明したように、上記(1)の方式では、検出部と第2の制御手段4bとの比較において検出部の構成が簡単化され、上記(2)の方式では、第2の制御手段4bの構成が簡単化される。
次に、上記(III)の形態、即ち、装置への接触検出と、装置の姿勢変化の検出を組み合わせることにより、検出精度を高めるための構成例について説明する。
例えば、カメラ本体への手指等の接触状態が静電センサにより検出され、かつ、カメラを構える際の姿勢変化が角速度センサによる速度変化として検出された場合に、撮影態勢に入ったことが判定されて、システムの起動処理が行われる。
図14は、システム起動に関する設定方法を例示したものであり、画面例を(A)乃至(H)図に示している。尚、本例では、「瞬間起動」に係る設定項目として、「通常」、「高速」、「最高速」の3種類のモード選択が可能である。
(A)乃至(C)図については、図5と同様であり、(C)、(D)図では、「瞬間起動」の項目において「通常」モードが設定されているものとする。
(D)図に示すように、「瞬間起動」の項目にカーソルが来ている状態で、ユーザが「右向き」の方向操作を行うと、(E)図に示すように、「瞬間起動」の設定について、3モードのうちどのモードにするかを選択可能な状態になる。
本例では、それまでの設定状態が「通常」モードとなっているため、ユーザが十字操作キー等で「下向き」の方向操作を行うと、これにより、(F)図に示すように、「高速」モードにカーソルを合わせることができる。さらに「下向き」の方向操作を行って、(G)図に示すように、「最高速」モードにカーソルを合わせることができる。
そして、選択項目の確定、つまり、ユーザが十字操作キー等のセンターキー(決定釦)を押すと、(H)図に示す画面となって設定作業が終了する。
これら一連の動作により、「瞬間起動」を所望のモードに設定することができる。
次に、上記形態(III)において上記方式(1)及び(2)を適用した構成例について説明する。
先ず、上記(1)の構成形態について説明するが、図7において、例えば、検出部13が、静電センサ及び角速度センサ若しくは加速度センサを備えており、各センサの出力するアナログ信号(破線矢印参照)がA/Dコンバータ14に送出される。尚、データ記憶部16には出荷時にデータ書込み装置18を用いて書き込まれた閾値データがセンサ毎に格納されており、それぞれの閾値データが読み出されて比較器15に送られる。
図15は、上記「高速」モードの設定がなされている場合において、システムの起動処理例の要部を示すフローチャート図であり、図8で説明した処理例との相違部分だけを示している。
先ず、各センサの検出信号が第2の制御手段4bに送出されると、ステップST40では、静電センサによる検出データ(A/D変換後のデータ)と、データ記憶部16からの閾値データが比較器15に送出されて、両者が比較される。そして、検出データが閾値データにより規定される条件を満たしている場合には、次ステップST41に進むが、そうでない場合には、センサによる検出値の監視を続ける。
ステップST41では、角速度センサ(又は加速度センサ)による検出データ(A/D変換後のデータ)と、データ記憶部16からの閾値データが比較器15に送出されて、両者が比較される。そして、検出データが閾値データにより規定される条件を満たしている場合には、次ステップST42に進むが、そうでない場合にはステップST40に戻って、センサによる検出値の監視を続ける。
ステップST42では、演算処理部17をスリープ状態から覚醒させる(awake)のに必要な処理を行う。つまり、比較器15から演算処理部17に対して割込み信号が発生され、スリープ状態が解除される。これによって、次ステップST43では、演算処理部17が所定の動作速度をもって処理を行える状態となる。そして、図9のステップST4に進む。
これ以後の処理は、図9において説明した通りであるが、ステップST7において演算処理部17を構成するCPUコア等がスリープ状態に規定された後に、図15のステップST40に戻る。
尚、本例では、静電センサによる検出、つまり、接触検出を先行させているが、これに限らず、装置の姿勢検出を先行させ、例えば、ステップST40において角速度センサ又は加速度センサによる検出データと閾値データとを比較し、ステップST41にて、静電センサによる検出データと閾値データとを比較しても構わない。
いずれにしても、接触検出及び姿勢検出によって撮影態勢に入ったことの判定が確実に行われ、システムの起動処理が行われる。
図16は、上記「最高速」モードの設定がなされている場合において、システムの起動処理例の要部を示すフローチャート図であり、図8で説明した処理例との相違部分だけを示している。
先ず、各センサの検出信号が第2の制御手段4bに送出されると、ステップST50では、静電センサによる検出データ(A/D変換後のデータ)と、データ記憶部16からの閾値データが比較器15に送出されて、両者が比較される。そして、検出データが閾値データにより規定される条件を満たしている場合には、次ステップST51に進むが、そうでない場合には、ステップST53に進む。
ステップST51では、演算処理部17をスリープ状態から覚醒させるのに必要な処理を行う。つまり、比較器15から演算処理部17に対して割込み信号が発生され、スリープ状態が解除される。これによって、次ステップST52では、演算処理部17が所定の動作速度をもって処理を行える状態となる。そして、図9のステップST4に進む。
ステップST53において、角速度センサ又は加速度センサによる検出データ(A/D変換後のデータ)と、データ記憶部16からの閾値データが比較器15に送出されて、両者が比較される。そして、検出データが閾値データにより規定される条件を満たしている場合には、次ステップST54に進むが、そうでない場合にはステップST50に戻って、センサによる検出値の監視を続ける。
ステップST54では、演算処理部17をスリープ状態から覚醒させるのに必要な処理を行う。つまり、比較器15から演算処理部17に対して割込み信号が発生され、スリープ状態が解除される。これによって、次ステップST55では、演算処理部17が所定の動作速度をもって処理を行える状態となる。そして、図9のステップST4に進む。
これ以後の処理は、図9において説明した通りであるが、ステップST7において演算処理部17を構成するCPUコア等がスリープ状態に規定された後には、図16のステップST50に戻る。
尚、図には、理解し易いように、接触検出と姿勢検出とを分けて示しているが、ST51とST54、ST52とST55とは実質的に同じ処理であり、よって、例えば、ST50において接触検出値が閾値条件を満たす場合にステップST54へと進めば良い(この場合に、ST51、ST52は不要である。)。
本例では、静電センサによる検出、つまり、接触検出を先行させているが、これに限らず、装置の姿勢検出を先行させ、例えば、ステップST50において角速度センサ又は加速度センサによる検出データとの閾値データとを比較し、ステップST53にて、静電センサによる検出データと閾値データとを比較しても構わない。
いずれにしても、接触検出又は姿勢検出によって撮影態勢に入ったことが判明した場合には、直ちにシステムの起動処理が行われる。
次に、上記(2−1)の形態について説明する。
図10において、例えば、検出部13Aが、静電センサ及び角速度センサ若しくは加速度センサを備えており、各センサの出力信号が比較器15に送出される。尚、データ記憶部16には、出荷時にデータ書込み装置18を用いて書き込まれた閾値データがセンサ毎に格納されており、それぞれの閾値データが読み出されて比較器15に送られるか、あるいは、比較器15に対する外付け回路19により、センサ毎の定数値を出荷時に調整して閾値がそれぞれ設定される。
比較器15の出力、つまり、2値化された信号が割込み発生器20に送出され、演算処理部17に対して割込みがかけられる。
上記「高速」モードの設定がなされている場合において、図15を用いてシステムの起動処理例の要部を説明する。
先ず、各センサの検出信号が第2の制御手段4bに送出されると、ステップST40では、静電センサによる検出信号と、その閾値を示す信号が比較器15にて比較される。そして、センサの検出値が閾値により規定される条件を満たしている場合には、次ステップST41に進むが、そうでない場合には、センサの検出値の監視を続ける。
ステップST41では、角速度センサ又は加速度センサによる検出信号と、閾値を示す信号が比較器15に送出されて、両者が比較される。そして、センサの検出値が閾値により規定される条件を満たしている場合には、次ステップST42に進むが、そうでない場合にはステップST40に戻って、センサによる検出値の監視を続ける。
ステップST42では、2値化された信号が比較器15から割込み発生器20に送られ、ここで発生される割込み信号が演算処理部17に送られて、スリープ状態が解除される。これによって、次ステップST43では、演算処理部17が所定の動作速度をもって処理を行える状態となる。そして、図9のステップST4に進む。
これ以後の処理は、図9において説明した通りであるが、ステップST7において演算処理部17を構成するCPUコア等がスリープ状態に規定された後には、図15のステップST40に戻る。
尚、装置の姿勢検出を先行させる形態では、例えば、ステップST40において角速度センサ又は加速度センサによる検出値と閾値とを比較し、ステップST41にて、静電センサによる検出値と閾値とを比較すれば良い。
いずれにしても、接触検出及び姿勢検出によって撮影態勢に入ったことの判定が2値化された信号に基づいて確実に行われ、システムの起動処理が行われる。
上記「最高速」モードの設定がなされている場合の、システム起動処理例としては、図16において、先ず、各センサの検出信号が第2の制御手段4bに送出される。
ステップST50では、静電センサによる検出信号と、その閾値を示す信号が比較器15にて比較される。そして、センサの検出値が閾値により規定される条件を満たしている場合には、次ステップST51に進むが、そうでない場合には、ステップST53に進む。
ステップST51では、比較器15からの2値化された信号を割込み発生器20が受ける。これにより、演算処理部17に対して割込み信号が発生され、スリープ状態が解除され、次ステップST52では、演算処理部17が所定の動作速度をもって処理を行える状態となる。そして、図9のステップST4に進む。
ステップST53において、角速度センサ又は加速度センサによる検出信号と、データ記憶部16からの閾値を示す信号が比較器15に送出されて、両者が比較される。そして、センサの検出値が閾値により規定される条件を満たしている場合には、次ステップST74に進むが、そうでない場合にはステップST50に戻って、センサによる検出値の監視を続ける。
ステップST54では、比較器15からの2値化された信号を割込み発生器20が受ける。これにより、演算処理部17に対して割込み信号が発生され、スリープ状態が解除され、次ステップST55では、演算処理部17が所定の動作速度をもって処理を行える状態となる。そして、図9のステップST4に進む。
これ以後の処理は、図9において説明した通りであるが、ステップST7において演算処理部17を構成するCPUコア等がスリープ状態に規定された後には、図16のステップST50に戻る。
尚、装置の姿勢検出を先行させる形態では、例えば、ステップST50において角速度センサ又は加速度センサによる検出値と閾値とを比較し、ステップST53にて、静電センサによる検出値と閾値とを比較すれば良い。
いずれにしても、接触検出又は姿勢検出によって撮影態勢に入ったことが2値化された信号に基づいて判明した場合には、直ちにシステムの起動処理が行われる。
次に、上記(2−2)の形態について説明する。
図12において、例えば、検出部13Bが、静電センサ及び角速度センサ若しくは加速度センサを備えており、各センサの出力信号が比較器15に送出されるか又はシリアル通信により演算処理部17に送出される。尚、データ記憶部16には出荷時にデータ書込み装置18を用いて書き込まれた閾値データがセンサ毎に格納されており、それぞれの閾値データが読み出されて演算処理部17に送られる。あるいは、比較器15に対する外付け回路19により、センサ毎の定数値を出荷時に調整して閾値がそれぞれ設定される。
比較器15の出力信号は、シリアル通信部21を介して、第2の制御手段4bを構成するシリアル通信及び割込み発生部22に送出され、ここで発生される割込み信号が演算処理部17に送られる。あるいは、検出部13Bからの検出データが演算処理部17に送信され、ここで検出値とデータ記憶部16からの閾値とが比較される。
上記「高速」モードの設定がなされている場合の、システム起動処理例としては、図15において、先ず、各センサの検出信号が第2の制御手段4bに送出される。
ステップST40では、例えば、静電センサによる検出信号と、その閾値を示す信号が比較器15に送出されて、両者が比較される。そして、センサの検出値が閾値により規定される条件を満たしている場合には、次ステップST41に進むが、そうでない場合には、センサの検出値の監視を続ける。
ステップST41では、角速度センサ又は加速度センサによる検出信号と、閾値を示す信号が比較器15にて比較される。そして、センサの検出値が閾値により規定される条件を満たしている場合には、次ステップST42に進むが、そうでない場合にはステップST40に戻って、センサによる検出値の監視を続ける。
ステップST42では、比較器15からシリアル通信部21を介して信号がシリアル通信及び割込み発生部22に送られ、ここで発生される割込み信号が演算処理部17に送られて、スリープ状態が解除される。これによって、次ステップST43では、演算処理部17が所定の動作速度をもって処理を行える状態となる。そして、図9のステップST4に進む。
これ以後の処理は、図9において説明した通りであるが、ステップST7において演算処理部17を構成するCPUコア等がスリープ状態に規定された後には、図15のステップST40に戻る。
尚、本例では、静電センサによる検出、つまり、接触検出を先行させているが、これに限らず、装置の姿勢検出を先行させ、例えば、ステップST40において角速度センサ又は加速度センサによる検出値と閾値とを比較し、ステップST41にて、静電センサによる検出値と閾値とを比較しても構わない。
いずれにしても、接触検出及び姿勢検出によって撮影態勢に入ったことの判定がシリアル通信を介して確実に行われ、システムの起動処理が行われる。
尚、検出部13Bの比較器15を用いない形態では、ステップST40、ST41において、各センサの検出データがシリアル通信によって演算処理部17に送られて割込みが発生し、ここでそれぞれの検出値がデータ記憶部16からの閾値と比較される。その結果、撮影態勢への開始が判断された場合にはステップST41から直接ST43に進んでCPUコア等が所定の動作速度で処理を行える状態となる。
上記「最高速」モードの設定がなされている場合の、システム起動処理例としては、図16において、先ず、各センサの検出信号が第2の制御手段4bに送出される。
ステップST50では、例えば、静電センサによる検出信号と閾値を示す信号が比較器15にて比較される。そして、センサの検出値が閾値により規定される条件を満たしている場合には、次ステップST51に進むが、そうでない場合には、ステップST53に進む。
ステップST51では、比較器15からシリアル通信部21を介して信号がシリアル通信及び割込み発生部22に送られ、これにより、演算処理部17に対して割込み信号が発生され、スリープ状態が解除される。次ステップST52では、演算処理部17が所定の動作速度をもって処理を行える状態となる。そして、図9のステップST4に進む。
ステップST53において、角速度センサ又は加速度センサによる検出信号と、データ記憶部16からの閾値を示す信号が比較器15に送出されて、両者が比較される。そして、センサの検出値が閾値により規定される条件を満たしている場合には、次ステップST54に進むが、そうでない場合にはステップST50に戻って、センサによる検出値の監視を続ける。
ステップST54では、比較器15からシリアル通信部21を介して信号がシリアル通信及び割込み発生部22に送られる。これにより、演算処理部17に対して割込み信号が発生され、スリープ状態が解除される。次ステップST55では、演算処理部17が所定の動作速度をもって処理を行える状態となる。そして、図9のステップST4に進む。
これ以後の処理は、図9において説明した通りであるが、ステップST7において演算処理部17を構成するCPUコア等がスリープ状態に規定された後には、図16のステップST50に戻る。
尚、装置の姿勢検出を先行させる形態では、例えば、ステップST50において角速度センサ又は加速度センサによる検出値と閾値とを比較し、ステップST53にて、静電センサによる検出値と閾値とを比較すれば良い。
いずれにしても、接触検出又は姿勢検出によって撮影態勢に入ったことがシリアル通信を介して判明した場合には、直ちにシステムの起動処理が行われる。
尚、検出部13Bの比較器15を用いない形態では、ステップST50、ST53において、各センサの検出データがシリアル通信によって演算処理部17に送られ、ここでそれぞれの検出値がデータ記憶部16からの閾値と比較される。その結果、撮影態勢への移行開始が判断された場合にステップS52やST55に進んでCPUコア等が所定の動作速度で処理を行える状態となる。
以上に説明した構成によれば、例えば、下記に示す利点が得られる。
・システムの起動性について
従来の装置では,電源スイッチを押してから起動完了までに、速いものでも1秒程度の時間がかかる。そのために、一瞬で通り過ぎる被写体等を撮りたい瞬間があったとしても、撮り損じる場合が起こる。これに対して、上記したように、撮影態勢への移行やその予備的動作を静電センサや角速度センサ等を用いて検出して、システムをユーザに気付かれずにバックグランドで起動させることにより、直ちに撮影処理を開始し得る状態を保証することができる。その結果、シャッターチャンスを逃す確率が低減される。
・システムの消費電力について
システムの起動時間をゼロにすることが難しいため、例えば、常にシステムへの電源供給を行って撮影可能状態を確保する方法では、その代償としてどうしても消費電力の増加によりバッテリでの駆動時間が短くなる。これでは、利便性の面で問題があり、充電済みバッテリ等を常備して携行しなければならない。これに対して、上記したように、装置への接触検出や装置姿勢の検出、スイッチ操作等を監視するために、必要最低限度の消費電力でもって装置を待機状態にしておき、撮影態勢に入ったことが判明した場合にシステムへの電源供給を本格的に開始させて撮影可能な状態へと移行させる。つまり、システムの電源を常に入れている訳ではなく、ユーザが撮影を意図しない待機状態において無駄な電力が消費されることがないので、節電効果を充分に発揮させることができ、携帯型機器等への適用においてバッテリの駆動時間を延ばすことができる。