JP4848338B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
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一般的にはウエット洗浄が採用されており、ウエット洗浄は、例えば、超純水による超音波洗浄→IPA(イソプロピルアルコール)による超音波洗浄→IPAの蒸気乾燥からなる工程である。
ドライ洗浄には、エアジェット、紫外線とオゾンで有機物を分解するUVオゾン(UVは強度等の順に、紫外線ランプによるUV、低圧水銀灯によるUVや、エキシマUVなどがある)、大気圧プラズマなどがある。表面に付着している微細な有機物を除去する必要があるので、紫外線とオゾンで有機物を分解するエキシマUVや、表面化学反応で有機物を分解する大気圧プラズマが適している。
詳しくは、従来の磁気ディスクの洗浄方法(ウエット洗浄、又はドライ洗浄)では、主表面については異物をある程度洗浄して除去できるが十分には除去されず、磁気ヘッドの浮上量が8nm以下というような低フライングハイトでは、スクラッチ、ヘッドクラッシュなどが発生してしまう。また、内外周の端面部分も十分には洗浄されず、異物が残ったままである。端面に残った異物は、洗浄時に主表面等に再付着したり、磁気記録媒体の使用時に記録、再生面の側に回りこみ、磁気ヘッドの浮上量が8nm以下というような低フライングハイトにおいて、記録の読み書きができなくなることや、ヘッドクラッシュの原因となる可能性がある。
そこで、磁気ヘッドの浮上量が8nm以下というような低フライングハイトの要求を満たすべく、ウエット洗浄後、各種ドライ洗浄を行うことを試みた。その際、ウエット洗浄やドライ洗浄の種類や強度を変えて種々実験したが、磁気ヘッドの浮上量が8nm以下というような低フライングハイトに要求される基板の主表面及び内外周端面の清浄度を、基板にダメージを与えずに、得ることは難しいことが判った。
この原因を追及したところ、磁気ディスクにおいて、有機系のコンタミネーション(以下、有機物コンタミという)が問題であり、この有機物コンタミの問題は、主表面よりも端面に多く生じることがわかった。また、相対的に強度の強いエキシマUVをディスクの主表面に照射すると、変質が生じて磁気特性に影響が生じるおそれがあることがわかった。
また、本発明の他の目的は、磁気ヘッドの浮上量が8nm以下というような低フライングハイトに要求される基板の主表面及び内外周端面の双方の清浄度を、基板にダメージを与えずに得ることできる情報記録媒体の製造方法を提供することにある。
(構成1)基板上に少なくとも磁性層を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
基板における端面のみにエキシマUVを照射することによってドライ洗浄を行う工程を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(構成2)基板の端面以外の箇所にエキシマUVが照射光が当たらないようにするための遮蔽板を用いて基板の端面のみにエキシマUVを照射することを特徴とする構成1記載の磁気記録媒体の製造方法。
(構成3)基板の主表面のドライ洗浄は、エキシマUVと比べて低エネルギーのUVを用いて行うことを特徴とする構成1又は2記載の磁気記録媒体の製造方法。
(構成4)前記ドライ洗浄のタイミングは、保護層形成後、潤滑層形成前であることを特徴とする構成1〜3のいずれか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(構成5)構成1〜3のいずれか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法によって得られたこととを特徴とする磁気記録媒体。
また、本発明の磁気記録媒体の製造方法によれば、磁気ヘッドの浮上量が8nm以下というような低フライングハイトに要求される基板の主表面及び内外周端面の双方の清浄度を、基板にダメージを与えずに得ることできる情報記録媒体の製造方法を提供できる。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、基板上に少なくとも磁性層を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
基板における端面のみにエキシマUVを照射することによってドライ洗浄を行う工程を有することを特徴とする(構成1)。
上記構成1に係る発明によれば、主表面を変質させることなく、磁気ヘッドの浮上量が8nm以下というような低フライングハイトで問題となる基板の端面の有機物コンタミを除去できる情報記録媒体の製造方法を提供できる。
本発明において、基板における端面は、外周端面、内周端面をさす。端面は、基板の主表面と外周面(側面)又は内周面との間の面取り面、及び、基板の外周面(側面)又は内周面、をさす。
本発明において、外周端面を均一にエキシマUVを照射するには、例えば図1に示すように、支持部1に回転可能に設けられたスピンドル2に基板中心部の円孔を装着し、基板3を回転させながら、基板の外周端面7に、UV光源4からエキシマUVを照射する方法を用いることができる。
本発明において、内周端面を均一にエキシマ照射するには、例えば図2に示すように、基板搭載台5に搭載した基板3の円孔に対し、角度をつけて配置したUV光源4からエキシマUVを斜めに照射することで内周端面8に均一に照射が可能になる。
本発明においては、基板の外周端面及び内周端面の双方についてエキシマUVを照射することによってドライ洗浄を行うことが好ましい。
本発明において、主表面を均一にエキシマUVを照射するには、例えば図3に示すように、基板全体に照射可能なUV光源4を用いて基板全体に照射する方法や、例えば図4に示すように、UV光源4自体を移動させながら(必要に応じ基板を基板を回転させながら)照射する方法、を用いることができる。
エキシマUVの照射距離は、2mm〜30mmが望ましい。30mm以上では、オゾンや原子状酸素の濃度が低く、エキシマUVの効果が薄れる。
エキシマUVを端面に照射する場合、照射距離は、2mm〜10mmが望ましい。オゾンや原子状酸素の濃度が高く、エキシマUVの効果が大きいためである。
エキシマUVを主表面に照射する場合、照射距離は、3mm〜15mmが望ましい。オゾンや原子状酸素の濃度が高く、エキシマUVの効果が大きいためである。
本発明では、まず、磁性層等を有する基板にウエット洗浄を行い大きい異物などはウエット洗浄で取り除く。ウエット洗浄においては、主表面、内外周の洗浄が不十分であり、これらの部分に付着している有機物などの異物を十分に除去することができない。
ここで、磁気ディスクにおいて、有機物のコンタミの問題は、主表面よりも端面に多く生じる。また、エキシマUVをディスクの主表面に照射すると、変質が生じて磁気特性に影響が生じるおそれがある。
そこで、本発明では、磁性層等を有する基板の端面のみにエキシマUVを照射することによって、ドライ洗浄を行う。これにより、主表面を変質させることなく、問題となる端面の有機物コンタミを除去できる。
また、本発明では、例えば、(1)エキシマUVと比べて低エネルギーのUV(例えば低圧水銀灯によるUV)を用いて、(2)エキシマUVを用いる場合は、エキシマUV光源と基板主表面との距理を、端面にエキシマUVを照射する場合に比べ、大きくし、相対的な強度を低くして、主表面のドライ洗浄を行うことが好ましい。これにより、主表面を変質させることなく、問題となる主表面の有機物コンタミを除去できる。問題となる主表面の有機物コンタミを除去したことで、主表面の有機物コンタミに起因するスクラッチ、ヘッドクラッシュの発生を抑制できる。
磁気ディスクの製造工程における保護層形成後、潤滑層形成前の基板について、ウエット洗浄として、超純水による超音波洗浄→IPA(イソプロピルアルコール)による超音波洗浄→IPAの蒸気乾燥からなる工程を実施した。
次に、実施例1では、基板の端面のみにエキシマUVを照射することによって、ドライ洗浄を行った。その際、エキシマUVの中心波長は、172nmとした。また、エキシマUVの照射距離(基板の端面とエキシマUV光源との間隔)は、2mmとした。
比較例1では、基板の端面にエキシマUVを照射しなかった。
上記で得られた各基板上に潤滑層を形成し、磁気ディスクを得た。
得られた各磁気ディスクを85℃、湿度80%の環境下で4日間保管した。
比較例1に係る磁気ディスクでは、主表面の最外周部に、イオンの滲み出し(記録、再生面の側への回りこみ)と見られるムラが検出された。イオンの滲み出しは、端面の有機物コンタミが原因と考えられる。
実施例1に係る磁気ディスクでは、イオンの滲み出しは見られなかった。
2 スピンドル
3 基板
4 UV光源
5 基板搭載台
6 主表面
7 外周端面
8 内周端面
Claims (4)
- 基板上に少なくとも磁性層を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
基板における端面のみにエキシマUVを照射することによってドライ洗浄を行う工程を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 基板の端面以外の箇所にエキシマUVが照射光が当たらないようにするための遮蔽板を用いて基板の端面のみにエキシマUVを照射することを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 基板の主表面のドライ洗浄は、エキシマUVと比べて低エネルギーのUVを用いて行うことを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記ドライ洗浄のタイミングは、保護層形成後、潤滑層形成前であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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