JP4846442B2 - レーザー脱離イオン化質量分析用サンプルプレート - Google Patents
レーザー脱離イオン化質量分析用サンプルプレート Download PDFInfo
- Publication number
- JP4846442B2 JP4846442B2 JP2006136311A JP2006136311A JP4846442B2 JP 4846442 B2 JP4846442 B2 JP 4846442B2 JP 2006136311 A JP2006136311 A JP 2006136311A JP 2006136311 A JP2006136311 A JP 2006136311A JP 4846442 B2 JP4846442 B2 JP 4846442B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- sample plate
- analysis
- pyrolytic carbon
- sample
- carbon layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Description
本発明のサンプルプレートは、MALDI質量分析用であることが好ましく、また、飛行時間型質量分析装置用であることが好ましい。
本発明のサンプルプレートは、分析目的等に応じた形態を採ることができる。例えば、基板などの平板状、1個又は複数個の分析対象領域を形成するウェルなどの凹部や隔壁を有するマイクロタイタープレート状とすることができる。
熱分解炭素層を保持させる基材としては、サンプルプレートとしての剛性を保持する限り特に限定されない。多孔質であっても緻密質であってもよい。基材は、ステンレスなどの金属材料、導電性高分子材料も使用可能であるが、熱分解炭素層の形成等の観点から、800℃以上の耐熱性を有する基板であることが好ましい。こうした基板材料としては、セラミックス材料が好適である。セラミックス材料としては、例えば、カーボン、炭化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等が挙げられるが、なかでも、グラファイトが好ましく、より好ましくは等方性黒鉛である。等方性黒鉛は、熱分解炭素の熱CVDに必要な温度に対する耐熱性を備えるほか、それ自体も高い導電性を有している。さらに、組織が緻密であるため、面粗さの小さいサンプルプレートが製作しやすいことにより、安定した測定が可能である。また熱分解炭素膜との熱膨張係数差が小さいことより、コーティング膜の剥がれ、クラック等の問題が発生しにくい利点がある。
熱分解炭素層としては、既に説明したように、熱CVD法等により成膜された層など、炭化水素を少なくとも800℃以上で分解して堆積させた層が挙げられる。熱分解炭素層は、液体又は気体の浸透性が抑制された緻密質であることが好ましい。こうした熱分解炭素層をグラファイト(好ましくは等方性黒鉛)などの基材表面に備えるものとしては、一般に熱分解炭素皮膜黒鉛(例えば、パイロカーブ(イビデン株式会社製)、パイログラフ(東洋炭素株式会社製)および日立化成株式会社製品等)として入手することができる。
こうしたサンプルプレートは、適当な基材表面に熱CVD法等により熱分解炭素層を形成することによって得ることができる。サンプルプレートにおける熱分解炭素層の上記した表面粗さ、厚み、撥アセトニトリル水溶液性は、サンプルプレートの熱分解炭素層の特性として備えていれば足りる。すなわち、熱CVD法等により形成した熱分解炭素層そのままの特性であってもよいし、熱CVD法等により形成した熱分解炭素層に対してショットブラストや研磨などの表面処理を施した後の特性であってもよい。
本発明のサンプルプレートに保持する分析対象としては、特に制限なく、DNAやRNA、DNA/RNAキメラ、DNA/RNAハイブリッドなどの形態のポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、多糖類、糖タンパク質、脂質、PNA(ペプチド核酸)などが挙げられる。このような生体高分子は分析のために化学修飾が施されて誘導体化されていてもよい。また、分析対象としては、こうした生体高分子のほか、天然又は人工の有機化合物が挙げられる。こうした分析対象は、細胞や菌体抽出物、発酵産物、無細胞系抽出物、PCR産物、人工的な合成産物、タンパク質の酵素処理物等に含まれている。また、本発明のサンプルプレートを用いた分析対象は、特に、MALDIによって分析可能なあるいは分析するのが適した化合物であることが好適である。
本発明のサンプルプレートを用いた質量分析方法は、分析対象が保持されたサンプルプレートを用いることを特徴としている。すなわち、分析対象が保持されたサンプルプレートをまず作製し、その後このサンプルプレートに対して各種の分析手法を実施して分析結果を得ることを特徴としている。以下、まず分析対象が保持されたサンプルプレート及びその作製工程について説明する。
分析対象のサンプルプレートへの保持とは、少なくともサンプルプレート上の分析対象を分析するときまで一定位置に保持されていることを意味している。したがって、分析後の分析対象が洗浄等により容易にサンプルプレートから除去可能な程度の固定状態であっても、その分析対象はサンプルプレートに保持されているといえる。分析対象の保持形態は、特に限定されない。例えば、イオン結合、水素結合、静電的相互作用、疎水性相互作用、キレート等の非共有結合性の結合にて保持されていてもよいし、共有結合によって保持されていてもよい。また、こうした化学的結合以外であってもよく、サンプルプレート表面上の単に凹部に分析対象が存在している場合であっても、分析するときまで当該凹部に保持されている限り、この分析対象は保持されているといえる。固定形態は、分析対象の種類とサンプルプレートの材料や表面修飾等によって種々の形態がありうるが、質量分析におけるイオン化を考慮すれば非共有結合性の結合であることが好ましい。
分析対象をサンプルプレート上に直接保持するには、まず、分析対象をサンプルプレート上に供給する。分析対象は、サンプルプレート上で合成してもよいし、予め調製された分析対象をサンプルプレート上に供給してもよい。サンプルプレート上で直接分析対象を合成する場合としては、無細胞タンパク質合成系によりタンパク質を合成する場合や、サンプルプレート上でオリゴヌクレオチドを合成する場合が挙げられる。また、分析対象をサンプルプレートに供給するには、例えば、インクジェット法やピン法等を用いることができる。
分析対象が保持されたサンプルプレートについて分析工程を実施する。本分析工程においては、質量分析法を採用することが好ましい。質量分析工程におけるイオン化方法は、特に限定されないが、サンプルプレートをそのままイオン化に用いる観点からは、マトリックスを使用しないレーザー脱離イオン化(LDI)、マトリックスを使用するマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)を用いることが好ましい。なかでも、ペプチドやタンパク質などにはMALDIを用いることが好ましい。
本発明の質量分析装置は、本発明のサンプルプレートを備えている。本発明の質量分析装置は、LDI又はMALDIであり、さらに飛行時間型質量分析装置であることが好ましい。
(サンプルプレート作成工程)
被覆する熱分解炭素層の厚さ分を減寸してサンプルプレートの形状に研磨を施したセラミック基材に、熱分解炭素(イビデン社製パイロカーブ)をコーティングして実施例1および2のサンプルプレートを作製した。作製したサンプルプレートの外観をチェックしたところ、剥離、クラック等の問題はなかった。また、このとき使用したセラミック基材の材質、熱分解炭素層の層厚、基材の熱膨張係数、熱分解炭素層の面粗さは表1の通りであった。なお、これらの測定は、既に説明したとおりの方法で行った。
実施例及び比較例のサンプルプレートに対し、以下のようにして、分析対象を保持させた。分析対象物として、アンジオテンシン(angiotensin,MW1293)を500、250、125、62.5、31.3、15.6fmol/μlとなるよう20v/v%アセトニトリル溶液で希釈し、それぞれ1μlずつをポリプロピレン製のピペットを使用して載置し、結晶を析出させた後、熱分解炭素層の表面を観察した。なお、マトリックスは、α−シアノ−4−ヒドロキシケイヒ酸を使用し、その濃度は5mg/mlとし、1μmlを滴下した。実施例1及び2並びに比較例1及び2のアンジオテンシンを含むマトリックスの結晶の析出状態を、それぞれ図1A、図1B、図1C及び図1D及び表2に示す。また、これらのサンプルプレート上における20v/v%アセトニトリル水溶液の接触角を測定した。アセトニトリル水溶液との接触角を表1に併せて示す。
分析対象のブロットを保持させたサンプルプレートをMALDI−TOF質量分析装置(ABIVoyager DE−STR MALDITOF型質量分析計)を用いて分析し、アンジオテンシン(angiotensin,MW1293)に由来するピークと、バックグラウンドノイズとの比較を各希釈率にて実施し、測定の可否を確認した。測定可否について表2に示すとともに、実施例1、2及び比較例1、2の詳細な測定チャートを図2A、図2B、図2C及び図2Dにそれぞれ示す。また、実施例1,2及び比較例1,2におけるアンジオテンシン62.5fmol/μlの20v/v%アセトニトリル水溶液をブロットしたサンプルプレートにおける任意の単位の信号強度分布を図3に示す。
Claims (7)
- レーザー脱離イオン化質量分析用サンプルプレートであって、
分析対象の保持面として面粗さ(Ra)が2.0μm以下である熱分解炭素層(カーボンナノチューブ層を除く)をグラファイト製のセラミック基板上に備え、前記熱分解炭素層の厚さが20μm以上60μm以下であり、前記セラミック基板の熱膨張係数が2.0×10 -6 /℃以上4.8×10 -6 /℃以下である、
サンプルプレート。 - 前記面粗さ(Ra)は1.4μm以下である熱分解炭素層を備える、請求項1に記載のサンプルプレート。
- 20(v/v)%アセトニトリル水溶液に対する接触角が45°以上70°以下である、請求項1又は2に記載のサンプルプレート。
- 前記セラミック基板は等方性黒鉛である、請求項1〜3のいずれかに記載のサンプルプレート。
- 飛行時間型質量分析装置用である、請求項1〜4のいずれかに記載のサンプルプレート。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のサンプルプレートを備える、レーザー脱離イオン化質量分析装置。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のサンプルプレートを使用する、レーザー脱離イオン化質量分析方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006136311A JP4846442B2 (ja) | 2006-05-16 | 2006-05-16 | レーザー脱離イオン化質量分析用サンプルプレート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006136311A JP4846442B2 (ja) | 2006-05-16 | 2006-05-16 | レーザー脱離イオン化質量分析用サンプルプレート |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007309668A JP2007309668A (ja) | 2007-11-29 |
JP4846442B2 true JP4846442B2 (ja) | 2011-12-28 |
Family
ID=38842673
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006136311A Expired - Fee Related JP4846442B2 (ja) | 2006-05-16 | 2006-05-16 | レーザー脱離イオン化質量分析用サンプルプレート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4846442B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012145351A (ja) * | 2011-01-07 | 2012-08-02 | Dainippon Toryo Co Ltd | 質量分析用基板 |
CN102539515A (zh) * | 2011-12-27 | 2012-07-04 | 北京大学 | 常温常压表面辅助激光解吸附质谱的高灵敏度检测方法 |
JP2014232055A (ja) * | 2013-05-29 | 2014-12-11 | 株式会社島津製作所 | Maldi質量分析用測定基板 |
JP6363527B2 (ja) * | 2015-02-06 | 2018-07-25 | シチズンファインデバイス株式会社 | 試料積載プレート |
CN107076705B (zh) | 2015-09-03 | 2019-11-26 | 浜松光子学株式会社 | 表面辅助激光解吸电离法、质量分析方法和质量分析装置 |
JP2021004150A (ja) * | 2019-06-26 | 2021-01-14 | イビデン株式会社 | 炭素系複合材料 |
JP7364375B2 (ja) * | 2019-07-12 | 2023-10-18 | イビデン株式会社 | 炭素複合部材 |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6243562A (ja) * | 1985-08-21 | 1987-02-25 | Shimadzu Corp | レ−ザイオン化質量分析計用試料作成方法および試料ホルダ |
JPS63210087A (ja) * | 1987-02-25 | 1988-08-31 | 日立化成工業株式会社 | 熱分解炭素被覆黒鉛材 |
JP3548769B2 (ja) * | 1999-06-29 | 2004-07-28 | 旭テクネイオン株式会社 | 微細で均一な結晶を形成するためのカーボン製支持板及びその応用 |
JP4432411B2 (ja) * | 2003-09-05 | 2010-03-17 | 株式会社島津製作所 | レーザー脱離イオン化質量分析法 |
JP4113139B2 (ja) * | 2004-02-23 | 2008-07-09 | 東洋鋼鈑株式会社 | 固体支持体及び該固体支持体上に複数の物質又は複合体を脱離/イオン化することにより質量分析する方法 |
JP2007535106A (ja) * | 2004-04-27 | 2007-11-29 | コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ | 試料分析へのカーボンナノチューブの利用 |
US7256394B2 (en) * | 2004-09-24 | 2007-08-14 | Agilent Technologies, Inc. | Target support and method |
WO2007017701A1 (en) * | 2005-08-09 | 2007-02-15 | University Of Sunderland | Fingerprint analysis using mass spectrometry |
JP2007108015A (ja) * | 2005-10-13 | 2007-04-26 | Biologica:Kk | 分析用の保持体及びその利用 |
-
2006
- 2006-05-16 JP JP2006136311A patent/JP4846442B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007309668A (ja) | 2007-11-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4846442B2 (ja) | レーザー脱離イオン化質量分析用サンプルプレート | |
US9651487B2 (en) | Surface plasmon resonance compatible carbon thin films | |
US6558902B1 (en) | Infrared matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometric analysis of macromolecules | |
US20070218564A1 (en) | Use of a Composite or Composition of Diamond and Other Material for Analysis of Analytes | |
US20100148052A1 (en) | Analytical carrier and application thereof | |
WO1998012355A1 (en) | Methods of preparing nucleic acids for mass spectrometric analysis | |
JP2007170870A (ja) | 質量分析を用いたinsitu検出方法 | |
Foret et al. | Liquid phase interfacing and miniaturization in matrix‐assisted laser desorption/ionization mass spectrometry | |
Chen et al. | Roles of water, acidity, and surface morphology in surface-assisted laser desorption/ionization of amino acids | |
Sauer | The essence of DNA sample preparation for MALDI mass spectrometry | |
JP3860130B2 (ja) | 固体支持体及び該固体支持体上に固定化された複数の物質又は複合体を脱離/イオン化することにより質量分析する方法 | |
JP3548769B2 (ja) | 微細で均一な結晶を形成するためのカーボン製支持板及びその応用 | |
EP1465231A2 (en) | Methods and devices for performing matrix assisted laser desorption/ionization protocols | |
US20030180957A1 (en) | Target and method | |
WO2005080960A1 (ja) | 固体支持体及び該固体支持体上に複数の物質又は複合体を脱離/イオン化することにより質量分析する方法 | |
US20070084996A1 (en) | Method of preventing analyte alteration in diagnostic apparatuses involving contact of liquid and electrode | |
JP2009014433A (ja) | 固体支持体において生体分子の修飾を分析する方法 | |
JP4644263B2 (ja) | 固体支持体及び該固体支持体上に複数の物質又は複合体を脱離/イオン化することにより質量分析する方法 | |
Afonso et al. | Activated surfaces for laser desorption mass spectrometry: application for peptide and protein analysis | |
US20050242039A1 (en) | Deposition of dissolved analyte to hydrophobic surfaces by desolvation of organic solvents | |
Rainer et al. | Carbon based sample supports and matrices for laser desorption/ionization mass spectrometry | |
JP2008261780A (ja) | プレート上の複数個の分析対象に対する反応方法及び反応装置 | |
KR20190107779A (ko) | 그래핀을 이용한 maldi 질량 분석 플레이트 및 이를 이용하는 질량 분석 방법 | |
JP2006170857A (ja) | 固体支持体上の生体分子を質量分析する方法およびそのための固体支持体 | |
Dias | A microdevice for the improved presentation of biological samples for MALDI-TOF mass spectrometry |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090508 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110624 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110628 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110825 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110927 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111012 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141021 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |