JP4845494B2 - ガソリン組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ガソリンの不快臭を低減したガソリン組成物に関する。特に、強い不快臭を示すメチルメルカプタン及びエチルメルカプタンを極微量まで除去し、比較的強い臭気を持つ二硫化炭素含有量や他硫黄化合物の含有量を調整することでトータルの臭気を改善したガソリン組成物に関する。
流動接触分解(FCC)プロセスから得られるガソリン基材や熱分解プロセスから得られるガソリン基材を用いてガソリンが生産される場合、苛性ソーダによる洗浄等の工程を経ると、ガソリン中の殆どのメルカプタン化合物は除去される。しかし、微量のメルカプタン化合物が残留する場合がある。この場合、特にメチルメルカプタン及びエチルメルカプタンなどが残留すると、その残留量がごく僅かであっても強い刺激臭を放つ。したがって、製油所や輸送所などにおけるタンクローリーへの積みこみ時や、ガソリンスタンドにおける荷降ろし時、または車両給油時に不快臭を放散する。
ガソリンの不快な臭気の原因物質としては、各種の硫黄化合物、オレフィン成分及び芳香族成分等多々あるが、その中で特にメルカプタン化合物は微量で強烈な不快臭を放散する。このメルカプタン化合物は苛性ソーダ洗浄等によりガソリンから除去されるが、接触分解ガソリン基材や熱分解ガソリン基材を用いた場合、どうしても極微量のメチルメルカプタンがガソリンに残留してしまう。特に炭素数の少ないメチルメルカプタン、エチルメルカプタンが残留するガソリンは極微量でも強い不快臭を放つ。
これらの不快臭を発するメルカプタン許容量については、例えば、非特許文献1には、ガソリンがオーダースイートであるためのメルカプタン許容量は0.001〜0.002wt%であること、またタイプ別では、それぞれエチルメルカプタン0.0002wt%、n−プロピルメルカプタン0.0010wt%、n−ブチルメルカプタン0.0017wt%であることが記載されている。また、非特許文献2にはメチルメルカプタンの環境臭気濃度は0.02ppmであることが記載され、それ以外のメルカプタンについてはKatz、Talbertらのデータが引用されているが、そのデータの信頼性は不明確であるとされている。
石油学会編「新石油精製プロセス」、幸書房、(1984)、p443 大喜多、重田共著、「微量ガス・悪臭の分析」、講談社、(1972)、p162
本発明は、これらのメルカプタンや他硫黄化合物が、それぞれ単独ではなく合わさった状態におけるガソリンへの臭気影響を明確にし、これにより必要以上の洗浄や、高価な吸着剤を使用した除去等、著しく製造コストを増加することなく、臭気を改善したガソリン組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、ガソリンの悪臭の程度は、特定のメルカプタン化合物、及びジサルファイド化合物に基づく硫黄分の含有量に影響されていることを見出した。また、一般に悪臭物質量と嗅覚刺激量との関係は、次式のWeber−Fechnerの法則、
E=K×LogR
(式中、Eは感覚量、Kは悪臭物質別の定数、及びRは悪臭物の質量を表す。)
で表現されることから、ガソリン中の特定のメルカプタン化合物、及びジサルファイド化合物に基づく硫黄分とその他の硫黄分について、上式にあてはめ、それぞれの質量の対数(Log)と定数K(臭気に対する重み付け)との積を、すなわち臭気の感覚量Eを積算した値がある特定値の範囲内であれば、不快臭が感じられなくなることを見出した。本発明をかかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明によるガソリン組成物は、全硫黄分が10質量ppm以下、メチルメルカプタン及びエチルメルカプタンの硫黄分がそれぞれ0.04質量ppm以下、プロピルメルカプタンの硫黄分が1.0質量ppm以下、二硫化炭素の硫黄分が0.4質量ppm以下、ジエン価が0.5g/100g以下、ジエン量が0.7質量%以下であり、次の式(1)で表される臭気指数(OI)が8以上であり、リサーチ法オクタン価(RON)が90以上、リード蒸気圧(RVP)が56.0kPa以上90kPa以下であることを特徴とする。
OI=|3×Log10(MM)+2×Log10(EM)+Log10(PM)+0.5×Log10(CD)+0.1×Log10(TS−MM−EM−PM−CD)|・・・(1)
上式中、MMはメチルメルカプタンの硫黄分、EMはエチルメルカプタンの硫黄分、PMはプロピルメルカプタンの硫黄分、CDは二硫化炭素の硫黄分、及びTSは全硫黄分を示し、硫黄分は、硫黄としての質量ppmで示し、また前記化合物の各硫黄分の値が0.00質量ppm以下の場合、それらの対数値は−3とする。
なお、各化合物の硫黄分は、特別の断りがない限り、その化合物に含まれる硫黄(S)のみの組成物全体に対する質量割合で示す。

さらに、本発明によるガソリンは、ジエン価が0.5g/100g以下、ジエン量が0.7質量%以下であるものが好ましく、さらには、二硫化炭素硫黄分が0.01質量ppm以下、また、酸化防止剤を20mg/l以上含有するものが好ましく、さらにまた、リサーチ法オクタン価が92以上、かつ50容量%留出温度が102℃以下であるものが好ましい。また、エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)及び/又はエタノール(ETOH)を0.1容量%以上含有するものがさらに好ましい。

本発明によるガソリン組成物は、不快臭として寄与率の高いメチルメルカプタン及びエチルメルカプタン硫黄分の許容値を求め、他の硫黄化合物も含めた臭気の重み付けを行うことで、すなわち上記特定の式で表される臭気指数(OI)の値が特定の範囲内に含まれるように調製すればよいから、著しくコストを増大させることなく、臭気改善をすることが可能となる。
〔ガソリン基材〕
本発明は、メルカプタン硫黄分を比較的多く含有する流動接触分解ガソリン基材を主体とするガソリン組成物や、多様な硫黄化合物を比較的多く含む熱分解ガソリン基材を用いるガソリン組成物に特に有用である。したがって、本発明のガソリン組成物は、流動接触分解ガソリン基材を含むものであることが好ましく、さらに熱分解ガソリン基材を少量でも含むものであることが好ましい。
流動接触分解ガソリン基材は、軽油から減圧軽油までの石油留分の他、重油間接脱硫装置から得られる間脱軽油、重油直接脱硫装置から得られる直脱重油、常圧残さ油などを原料として用い、無定形シリカアルミナ、ゼオライトなどの触媒と接触分解して得られる高オクタン価のガソリン基材である。接触分解装置としては、公知の任意の製造プロセスを採用できる。例えば石油学会編「新石油精製プロセス」に記載のあるUOP接触分解法、フレキシクラッキング法、ウルトラ・オルソフロー法、テキサコ流動接触分解法などの流動接触分解法、RCC法、HOC法などの残油流動接触分解法などが挙げられる。
また、流動接触分解ガソリン基材は、硫黄含有量の比較的多い基材である。したがって、原料の硫黄含有量を予め調整してから流動接触分解したり、あるいは得られた流動接触分解ガソリンを、抽出、吸着、収着などの操作によって硫黄分を除去することが好ましい。また、流動接触分解ガソリンから硫黄分を収着除去するような場合、事前にジメチルホルムアミド(DMF)やアセトニトリルなどを用いた抽出蒸留法や水素化法によって予めジエンを除去しておくと効果的に硫黄分を低減することができる。
熱分解ガソリン基材としては、アスファルトを高温で熱分解させた際に生じるガソリン留分や、石油化学におけるナフサ熱分解装置(エチレンクラッカー)の生成物などが挙げられる。なお、熱分解ガソリン基材は、多様な硫黄化合物を多く含むが、他のガソリン基材と比較して特徴的なことは、比較的低沸点で高いRONを有すること、二硫化炭素を比較的多く含むことなどである。
さらに、必要によっては、抽出、吸着、収着などによる硫黄分除去して用いてもよい。この際、蒸留分離やジエン低減処理等の公知の精製手段を組み合わせて硫黄分を効率的に除去することもできる。
本発明の製造方法に用いるETBE及びエタノールは、二酸化炭素増加防止の観点から、生産余剰となった玉蜀黍、砂糖黍、あるいは廃材のセルロース等から製造されるバイオエタノールを原料として生産されたものが好ましい。また、これらの含酸素化合物は特有の臭気を持ち、炭化水素の臭気をマスキングする効果を有し、また不快臭を有する、本発明で特定する硫黄化合物を含まないため、不快臭の希釈効果を有する。
本発明によるガソリン組成物に用いる、上記流動接触分解ガソリン基材や熱分解ガソリン基材以外のガソリン基材として、ブタン留分(C4)、脱硫ナフサ留分を分留して得られるイソペンタン留分(IC5)、脱硫軽質ナフサ(DS−LG)、脱硫重質ナフサを接触改質して得られる接触改質ガソリン、あるいは、接触改質ガソリンさらに分留して得られた炭素数7の炭化水素を主とする留分(後述のAC−7)や炭素数9の炭化水素を主とする留分(後述のAC−9)、ブチレンとイソブタンを主成分とする留分とを硫酸触媒により反応させて得たアルキレートガソリン(ALKG)などが挙げられる。その他、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)、t−アミルエチルエーテル(TAEE)、メタノール等の含酸素ガソリン基材等が挙げられる。これらのガソリン基材は、硫黄分を全く含まないか、殆ど含まない基材である。
[配合]
ガソリン全体における接触分解ガソリン基材の配合量は、レギュラーガソリンにおいては40容量%以上、好ましくは50容量%以上、特には60〜80容量%である。プレミアムガソリンにおいては接触分解ガソリンを蒸留分離した軽質接触分解ガソリンを25容量%以上、好ましくは30容量%以上、特には35容量%以上である。また、ガソリン全体における熱分解ガソリン基材の配合量は特に限定されないが、レギュラーガソリン及びプレミアムガソリンともに1%以上混合されることが好ましい。
また、ETBE及びETOHは炭化水素の臭気をマスキングし、本発明で特定する硫黄化合物を含まないことから、0.1容量%以上含有するのが好ましく、不快臭の希釈効果を上げるためには1.0容量%以上含有するのがさらに好ましい。また、これらの含酸素化合物は炭化水素に比べて発熱量が低く、空燃比の希薄化による冷機時運転性悪化を招くことから、ETBE及び/又はETOH含有量は合計で20.0容量%以下が好ましい。
接触分解ガソリン基材及び熱分解ガソリン基材以外に、接触改質ガソリン基材、アルキレートガソリン基材、直留ナフサを脱硫処理した脱硫ナフサ基材、及びメチルt−ブチルエーテル(MTBE)、t−アミルエチルエーテル(TAEE)、メタノール等の含酸素ガソリン基材等、公知のガソリン基材を配合することができる。これらのガソリン基材は、硫黄分が10質量ppm以下であることが好ましく、特には5質量ppm以下であることが好ましい。接触改質ガソリン基材やアルキレートガソリン基材の場合、蒸留してそれぞれ軽質留分と重質留分など、適宜の沸点範囲で分離して得られた留分を用いることにより、きめ細かく、フレキシブルにガソリン組成物をブレンド、調製することができる。
好ましい配合量を例示すれば、レギュラーガソリンにおいては接触分解ガソリン基材:50〜80容量%、脱硫ナフサ基材:0〜15容量%、接触改質ガソリン基材:5〜25容量%、アルキレートガソリン基材:0〜15容量%、熱分解ガソリン基材:0〜30容量%である。特に好ましくは、接触分解ガソリン基材:60〜75容量%、脱硫ナフサ基材:2〜10容量%、接触改質ガソリン基材:5〜15容量%、アルキレートガソリン基材:0〜10容量%、熱分解ガソリン基材:0〜20容量%、ETBE及び/又はETOHは0.1容量%以上、好ましくは1.0〜20.0容量%である。
プレミアムガソリンにおいてはイソペンタン(IC5)ガソリン基材:0〜30容量%、熱分解ガソリン基材:0〜30容量%、脱硫ナフサ基材:0〜20容量%、アルキレートガソリン基材:2〜30容量%、軽質接触分解ガソリン基材:2〜50容量%、接触改質ガソリン基材:10〜50容量%である。特に好ましくは、IC5ガソリン基材:0〜20容量%、熱分解ガソリン基材:1〜20容量%、脱硫ナフサ基材:0〜10容量%、アルキレートガソリン基材:2〜25容量%、軽質接触分解ガソリン基材:20〜40容量%、接触改質ガソリン基材:10〜40容量%、ETBE及び/又はETOHは0.1容量%以上、好ましくは1.0〜20.0容量%である。
〔他の添加物〕
さらに、本発明のガソリンには、当業界で公知の燃料油添加剤の1種又は2種以上を必要に応じて配合することができる。これらの配合量は適宜選べるが、通常は添加剤の合計配合量を0.1質量%以下に維持することが好ましい。本発明のガソリンで使用可能な燃料油添加剤を例示すれば、フェノール系、アミン系などの酸化防止剤、シッフ型化合物、チオアミド型化合物などの金属不活性化剤、有機リン系化合物などの表面着火防止剤、コハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミンなどの清浄分散剤、多価アルコール又はそのエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステルなどの助燃剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などの帯電防止剤、アゾ染料などの着色剤を挙げることができる。特に、酸化防止剤は、20mg/l以上含んでいることが好ましい。
〔本発明のガソリン〕
本発明によるガソリン組成物は、全硫黄分が10質量ppm以下、メチルメルカプタン及びエチルメルカプタン硫黄分がそれぞれ0.04質量ppm以下、プロピルメルカプタン硫黄分が1.0質量ppm以下、二硫化炭素硫黄分が0.4質量ppm以下であり、次の式(1)で表される臭気指数(OI)が8以上であるリサーチ法オクタン価(RON)が90以上、蒸気圧が90kPa以下のガソリン組成物である。
OI=|3×Log10(MM)+2×Log10(EM)+Log10(PM)+0.5×Log10(CD)+0.1×Log10(TS−MM−EM−PM−CD)| ・・・・・ (1)
上式中、MMはメチルメルカプタンの硫黄分、EMはエチルメルカプタンの硫黄分、PMはプロピルメルカプタンの硫黄分、CDは二硫化炭素の硫黄分、及びTSは全硫黄分を示し、硫黄分は、硫黄としての質量ppmで示し、また、前記化合物の各硫黄分の値が0.00質量ppm以下の場合、それらの対数値は−3とする。
さらに、このガソリン組成物は、排ガス浄化触媒の被毒防止から全硫黄分は5質量ppm以下が好ましく、不快臭として検出される確率を低減するためにはメチルメルカプタン及びエチルメルカプタン硫黄分がそれぞれ0.02質量ppm以下、プロピルメルカプタン硫黄分が0.5質量ppm以下、二硫化炭素分が0.2質量ppm以下であることが好ましい。なお、ここでプロピルメルカプタンは、異性体を含む総称であり、ノルマルプロピルメルカプタンとイソプロピルメルカプタンが含まれる。
ガソリン組成物中に含まれるメルカプタン、特に軽質のメルカプタンの含有量を低減することにより、臭気を効果的に低減することができる。この場合、トータルの硫黄分は、10質量ppm以下であれば、特に低減する必要はない。したがって、前記のメルカプタン含有量は、ガソリン組成物中からメルカプタンを除去するばかりでなく、メルカプタン以外の硫黄化合物に転換して低減することもできる。メルカプタン以外の硫黄化合物に転換するためには、苛性ソーダで洗浄する方法、ドクター法など公知の方法を適宜使用することができる。
なお、ガソリン中の硫黄分は、排気ガス中で酸化硫黄化合物となり、窒素酸化物除去触媒を被毒する。被毒した窒素酸化物触媒の活性を回復するために、還元雰囲気を形成して酸化硫黄化合物を除去しなければならなくなる。この還元雰囲気を形成するために燃料が使用され、エンジン全体の燃費を悪化する原因となっている。したがって、ガソリン中の硫黄分は少ないほど燃費は向上する。
また、本発明のガソリンは、不快臭低減効果を上げるために臭気指数(OI)が10以上、さらには16以上、ノッキングを回避することによる燃焼効率上昇やエンジンの圧縮比向上による燃費改善効果からオクタン価が市販レギュラーガソリンより高い92〜96又はプレミアムガソリン相当の98〜102が好ましい。また、蒸発ガス低減や燃費改善効果から蒸気圧が90kPa以下、好ましくは85kPa以下、さらに好ましくは80kPa以下、冷機時始動性改善効果から好ましくは45kPa以上、さらに好ましくは50kPa以上である。
さらに、本発明のガソリン組成物は、酸化安定性改善やオレフィン臭の低減効果からジエン価が0.5g/100g以下、さらには0.3g/100g以下、ジエン量が0.7質量%以下、さらに0.6質量%以下であることが好ましく、また、酸化安定性をさらに向上させるためには、酸化防止剤を20mg/l以上含んでいることが好ましい。さらに、不快臭改善から二硫化炭素の硫黄分は0.01質量ppm以下が好ましい。また、RONはノッキングを回避することによる燃焼効率上昇やエンジンの圧縮比向上による燃費改善効果から92以上が好ましく、かつ、冷機時運転性改善効果から50容量%留出温度は102℃以下、さらには100℃以下、特には90〜99℃であることが好ましい。

以下に、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの例により何ら制限されるものではない。
実施例及び比較例となるガソリン組成物を調製するに際して、用いたガソリン基材は、次のものである。
IC5:
脱硫ナフサ留分、あるいは接触改質ガソリンを蒸留分離することにより得たイソペンタンを多く含む炭素数5の炭化水素が主体の留分であり、炭素数5の炭化水素を95%以上含有する。
DS−LG:
脱硫直留軽質ナフサであり、中東系原油のナフサ留分を水素化脱硫後、その軽質分を蒸留分離することにより得た。
CK−LG:
アスファルト留分を高温(500℃)で熱分解し、その熱分解成分の軽質ナフサ留分を蒸留分離し、その後マーロックス法による抽出酸化で、温度40℃、圧力0.5MPa、ソーダ循環量を原料ガソリン量の10%として洗浄することにより得た、脱硫した熱分解軽質ナフサである。
CK−LG(二段洗浄)
前記のCK−LGと1規定の苛性ソーダ水溶液を1:1(容量)で混合し、20℃で3分間撹拌し、1分間静置させて上澄みを採取した。
ALKG:
ブチレンを主成分とする留分とイソブタンを主成分とする留分とを硫酸触媒によりアルキル化反応させて得た、いわゆるアルキレートガソリンであり、炭素数8のイソパラフィン分の高い炭化水素を主成分とする。
FCCG:
脱硫軽油および脱硫重油を固体触媒により流動床式反応装置を用いて接触分解し、その後温度40℃、圧力0.5MPa、ソーダ循環量を原料に対して10%にすることにより得た、オレフィン分の高い炭化水素、すなわち流動接触分解ガソリン(FCCG)である。
FCCG(二段洗浄):
前記流動接触分解ガソリン(FCCG)と1規定の苛性ソーダ溶液を1:1(容量)で混合し、20℃で3分間撹拌し、1分間静置させて上澄みを採取した。
FC−LG:
前記流動接触分解ガソリン(FCCG)を軽質留分と重質留分に蒸留分離して得た軽質留分(FC−LG)である。
FC−LG(洗浄):
前記の流動接触分解ガソリンの軽質留分(FC−LG)と1規定の苛性ソーダ溶液を1:1(容量)で混合し、20℃で3分間撹拌し、1分間静置させて上澄みを採取した。
AC−7:
脱硫重質ナフサを固体触媒により移動床式反応装置を用いて改質反応させることにより、芳香族分の高い炭化水素、すなわち改質ガソリンが得られる。これを蒸留分離することにより得た軽質留分、すなわち軽質改質ガソリン(AC−7)であり、炭素数7の炭化水素を95%以上含有する。
AC−9:
前記の改質ガソリンの蒸留分離において得られた重質留分、すなわち重質改質ガソリン(AC−9)であり、炭素数11以上の炭化水素を5%以下、炭素数9及び10の炭化水素を90%以上含有する。
エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE):
ETBE試薬(95%純度品:和光純薬工業(株)製)を用いた。
エタノール(ETOH):
エタノール試薬(95%純度品:和光純薬工業(株)製)を用いた。
上記ガソリン基材の性状を表1に示す。これらのガソリン基材を、表2の上部に示す混合割合(容量%)でブレンドし、また全部のガソリン組成物に共通して酸化防止剤として、N,N−ジセカンダリーブチルパラフェニレンジアミン25%、4−メチル−2,6−ジターシャリーブチルフェノール75%混合品を20mg/lとなるように添加し、実施例1〜5及び比較例1〜4のガソリン組成物を調製した。ガソリン組成物の性状を表2に併せて示す。また、参考例1として市販のプレミアムガソリン(市販PG)、参考例2として市販PGにETBEを7.0容量%添加して調整したガソリン(市販PG+ETBE7%)及び参考例3として市販レギュラーガソリンにETOHを3.0容量%添加して調整したガソリン(市販RG+ETOH3%)の性状も表2に併せて示す。
Figure 0004845494
Figure 0004845494
なお、表1及び表2に示すガソリン基材の性状、及び実施例、比較例のガソリン組成物の性状は、次の方法により測定した。
密度:JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法」
オクタン価(RON):JIS K 2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」のリサーチ法オクタン価試験方法
蒸気圧(RVP):JIS K 2258「原油及び燃料油−蒸気圧試験方法−リード法」
蒸留性状:JIS K 2254「石油製品−蒸留試験法」
全硫黄分:JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」の微量電量滴定式酸化法に準拠して、小数点以下2桁まで求めた。
各硫黄化合物の硫黄分:ガスクロSCD分析で各硫黄化合物の質量比率(質量ppm)を求め、当該硫黄化合物に占める硫黄分の割合を乗じることで小数点以下2桁まで算出した。
ジエン価及びジエン量:ジエン価はUOP法326−82に従い、試料100gと反応する無水マレイン酸と当量のヨウ素のグラム数を求めた。ジエン量はJIS K 2536−2(ガスクロマトグラフによる全成分の求め方)により、二重結合を二つ持つ成分の合計量(容量%)を求めた。ジエン価及びジエン量により検出される化合物はともに接触分解ガソリン及び熱分解ガソリンに多く含まれ、特有の臭気をもつ他、特にジエン価が高い場合はガソリンの酸化安定性を悪化させる。
ガソリン組成物の臭気試験は、パネラーを9名選定し、各試料を50ml褐色スクリュー瓶に半分入れ、ランダム化した番号を割り当てることにより被験者にはマスキングした状態にして、ダミー1本(基準ガソリンを含有)を入れた計5本の試料について、不快臭がない基準ガソリン(ALKGとAC−7との半々での混合物)に対する不快臭の強さ(極めて強い、不快臭あり、やや不快臭あり、不快臭がない(基準ガソリンと同じ))の官能試験を行った。この不快臭の強さごとに分類される合計人数により、表3のようにランク分けし、実施例及び比較例のガソリン組成物の臭気を評価した。なお、ダミーを基準ガソリンとは異なると判定した人は除外することとしたが、本試験で該当者はいなかった。
また、エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)及び/又はエタノール(ETOH)を混合したガソリン組成物の臭気試験は、前記と同様にパネラーを9名選定し、各試料を50ml褐色スクリュー瓶に半分入れ、ランダム化した番号を割り当てることにより被験者にはマスキングした状態にして、ダミー1本(基準ガソリンを含有)を入れた計3本の試料について、不快臭がない基準ガソリン(ETBE又はETOHは特有の臭気を有するので、これらの臭気がガソリンの不快臭に与える影響を小さくするため、ALKGとAC−7との半々での混合物に、ETBE又はETOHを試料とほぼ同濃度になるようにそれぞれ7容量%、3容量%添加した)に対する不快臭の強さ(極めて強い、不快臭あり、やや不快臭あり、不快臭がない(基準ガソリンと同じ))の官能試験を行った。この不快臭の強さごとに分類される合計人数により、表3のようにランク分けし、実施例及び比較例のガソリン組成物の臭気を評価した。なお、ダミーを基準ガソリンとは異なると判定した人は除外することとしたが、本試験で該当者はいなかった。
Figure 0004845494
表2に示した実施例1、2では、比較例1、2で用いている、FCCG、CK−LGを用いず、代わりに苛性ソーダで洗浄したFCCG(二段洗浄)、CK−LG(二段洗浄)を用いた。これにより、コストを著しく増大させることなく、不快臭を低減することができた。実施例4では、比較例3で用いている、FC−LG、CK−LGを用いず、代わりに苛性ソーダで洗浄したFC−LG(洗浄)、CK−LG(二段洗浄)を用いた。これにより、コストを著しく増大させることなく、不快臭を低減することができた。また、実施例5では、比較例4で用いている、FCCGを用いず、代わりに苛性ソーダで洗浄したFCCG(二段洗浄)を用いた。これにより、コストを著しく増大させることなく、不快臭を低減することができた。

Claims (5)

  1. 全硫黄分が10質量ppm以下、メチルメルカプタン及びエチルメルカプタンの硫黄分がそれぞれ0.04質量ppm以下、プロピルメルカプタンの硫黄分が1.0質量ppm以下、二硫化炭素の硫黄分が0.4質量ppm以下、ジエン価が0.5g/100g以下、ジエン量が0.7質量%以下であり、次の式(1)で表される臭気指数(OI)が8以上であり、リサーチオクタン価が90以上、かつリード蒸気圧が56.0kPa以上90kPa以下であることを特徴とするガソリン組成物、
    OI=|3×Log10(MM)+2×Log10(EM)+Log10(PM)+0.5×Log10(CD)+0.1×Log10(TS−MM−EM−PM−CD)|・・・(1)
    (上式中、MMはメチルメルカプタンの硫黄分、EMはエチルメルカプタンの硫黄分、PMはプロピルメルカプタンの硫黄分、CDは二硫化炭素の硫黄分、及びTSは全硫黄分を示し、硫黄分は、硫黄換算の質量ppmで示し、また前記化合物の各硫黄分の値が0.00質量ppm以下の場合、それらの対数値は−3とする。)
  2. 酸化防止剤を20mg/l以上含む請求項に記載のガソリン組成物。
  3. 二硫化炭素の硫黄分が0.01質量ppm以下である請求項1〜のいずれかに記載のガソリン組成物。
  4. リサーチ法オクタン価が92以上であり、50%留出温度が102℃以下である請求項1〜のいずれかに記載のガソリン組成物。
  5. エチルターシャリーブチルエーテル及び/又はエタノールを0.1容量%以上含有する請求項1〜のいずれかに記載のガソリン組成物
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