以下に添付図面を参照して、本発明に係る調湿装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である調湿装置を模式的に示したものである。ここに例示する調湿装置は、対象室1の内部に外気を導入して該対象室1の内部の湿度を所望の大きさに調整するためのものであり、除湿ロータ10と、第1給気路20と、第2給気路30とを備えて構成してある。
除湿ロータ10は、円柱状に形成した水分吸着体11が設けてある。水分吸着体11は、図示しないモータの駆動によりその中心軸を軸心として軸心回りに回転するものである。より詳細に説明すると、水分吸着体11は、互いに区画され、かつ空気の流路を構成する水分吸着領域24と水分放出領域35との間を交互に通過する態様で回転するものである。すなわち、除湿ロータ10は、区画された水分吸着領域24と水分放出領域35との間で水分吸着体11を循環移動させるものである。これにより水分吸着体11が回転すると、水分吸着領域24に位置した部分は水分放出領域35に移動し、次いで再び水分吸着領域24に移動することを順次繰り返すことになる。かかる水分吸着体11の詳細については後述する。
第1給気路20は、調湿装置を構成する筐体の内部に設けた経路であり、処理空気取入口21から取り入れた処理空気(外気)を処理空気吐出口22まで搬送するためのものである。この第1給気路20には、第1ブロア(第1送風手段)23、水分吸着領域24および第1冷却器25が処理空気取入口21側から順に設けてある。
第1ブロア23は、処理空気取入口21を通じて処理空気を導入するとともに、下流側に送出するための送風源となるものである。
水分吸着領域24は、通過する処理空気、すなわち第1ブロア23の駆動により処理空気取入口21から導入されて通過する処理空気の水分を水分吸着体11に吸着させるための領域である。これにより、通過する処理空気は、水分吸着領域24で除湿されることになる。
第1冷却器25は、水分吸着領域24を通過して除湿された処理空気を冷却するものである。この第1冷却器25は、図には明示しないが、冷凍機(圧縮機および凝縮器)と冷媒配管を通じて接続されて冷媒回路を構成しており、内部を通過する冷媒が蒸発することにより、周囲を通過する処理空気を冷却するものである。
また、第1給気路20は、処理空気吐出口22を介して供給ダクト40に通じている。供給ダクト40は処理空気吐出口22を通過した処理空気を対象室1の内部に供給するためのものである。この供給ダクト40は、第1供給配管41、第2供給配管42および第3供給配管43を備えて構成してあり、第1供給配管41と第2供給配管42との間には第1調整バルブ44を介在させ、第2供給配管42と第3供給配管43との間には第2調整バルブ45を介在させてある。
第1供給配管41は、一端が処理空気吐出口22に通じる態様で筐体に接続してあり、他端が第1調整バルブ44に接続してある。第2供給配管42は、一端が第1調整バルブ44に接続してあり、他端が第2調整バルブ45に接続してある。第3供給配管43は、一端が第2調整バルブ45に接続してあり、他端が対象室1の空気導入口(図示せず)に通じる態様で対象室1に接続してある。第1調整バルブ44は、第1供給配管41と第2供給配管42とを連通させる状態と、第1供給配管41と第2供給配管42とを遮断する状態との間で切り替わるものであり、前者の状態では第1供給配管41から第2供給配管42に空気(処理空気)が通過することを許容する一方、後者の状態では第1供給配管41を通過した空気を外部に排出するものである。第2調整バルブ45は、いわゆる三方弁のようなものであり、第2供給配管42および第3供給配管43以外にバイパス配管46に接続してある。この第2調整バルブ45は、第2供給配管42と第3供給配管43とを連通させる状態と、第3供給配管43とバイパス配管46とを連通する状態との間で切り替わるものであり、前者の状態では第2供給配管42から第3供給配管43に空気が通過することを許容する一方、後者の状態ではバイパス配管46から第3供給配管43に空気が通過することを許容するものである。
第2給気路30は、調湿装置を構成する筐体の内部に設けてあり、上記第1給気路20とは区画された態様で該第1給気路20に並設して経路である。この第2給気路30は、再生空気取入口31から取り入れた再生空気(外気)を、再生空気吐出口32まで搬送するためのものである。かかる第2給気路30には、第2ブロア33、加熱器34、水分放出領域35および第2冷却器36が再生空気取入口31側から順に設けてある。
第2ブロア33は、再生空気取入口31を通じて再生空気を導入するとともに、下流側に送出するための送風源となるものである。
加熱器34は、再生空気取入口31を通じて取り入れた再生空気を加熱するものである。この加熱器34は、図には明示しないが、配管を通じて加熱源に接続することにより、例えば湯等の熱媒体が循環する熱媒体回路を構成している。加熱源は、熱媒体回路を流れる熱媒体を加熱するものである。加熱源で加熱された熱媒体が熱媒体回路を流れることにより、加熱器34の周囲を通過する再生空気を加熱することになる。
水分放出領域35は、再生空気が通過することにより、水分吸着体11に水分を放出させるための領域である。
第2冷却器36は、水分放出領域35を通過した再生空気を冷却するものである。この冷却器は、図には明示しないが、冷凍機(圧縮機および凝縮器)と冷媒配管を通じて接続されて冷媒回路を構成しており、内部を通過する冷媒が蒸発することにより、周囲を通過する再生空気を冷却するものである。
また、第2給気路30は、再生空気吐出口32を介して送出ダクト50に通じている。送出ダクト50は再生空気吐出口32を通過した再生空気を送出するためのものである。この送出ダクト50は、第1送出配管51および第2送出配管52を備えて構成してあり、第1送出配管51と第2送出配管52との間には送出調整バルブ53を介在させてある。
第1送出配管51は、一端が再生空気吐出口32に通じる態様で筐体に接続してあり、他端が送出調整バルブ53に接続してある。第2送出配管52は、一端が送出調整バルブ53に接続してあり、他端が外部に通じている。送出調整バルブ53は、いわゆる三方弁のようなものであり、第1送出配管51および第2送出配管52以外に上記バイパス配管46に接続してある。この送出調整バルブ53は、第1送出配管51と第2送出配管52とを連通させる状態と、第1送出配管51とバイパス配管46とを連通する状態との間で切り替わるものであり、前者の状態では第1送出配管51から第2送出配管52に空気が通過することを許容する一方、後者の状態では第1送出配管51からバイパス配管46に空気が通過することを許容するものである。
図2は、図1に示した調湿装置の制御系を示すブロック図である。尚、この図2には、上記調湿装置において本願の発明の特徴的な制御を実施する構成要素のみを示しており、その他の構成要素についての例示は割愛している。ここに例示するように、調湿装置は、室内湿度検知センサS1、再生温度検知センサS2、入力部55および制御ユニット60を備えている。
室内湿度検知センサS1は、図1に示すように、対象室1の内部に配設してあり、該対象室1の内部の湿度を検知するものである。この室内湿度検知センサS1で検知された湿度に関する情報は、制御ユニット60に送出される。本実施の形態では、室内湿度検知センサS1は、対象室1の内部の湿度を常時検知し、検知した湿度に関する情報は随時制御ユニット60に送出するものとする。
再生温度検知センサS2は、図1に示すように、第2給気路30における加熱器34の下流域、つまり加熱器34と水分放出領域35との間に配設してある。この再生温度検知センサS2は、加熱器34で加熱された再生空気の温度を検知するものである。再生温度検知センサS2で検知された温度に関する情報は、制御ユニット60に送出される。
入力部55は、各種入力を行うものであり、後述する制御指令も行われる。この入力部55で入力された情報や指令は、制御ユニット60に送出される。
制御ユニット60は、各種情報を記憶するメモリ65とともに調湿装置の動作の一部を統括する制御手段を構成しており、入力処理部61、比較判断部62、熱源駆動処理部63およびブロア駆動処理部64を備えている。
入力処理部61は、室内湿度検知センサS1、再生温度検知センサS2および入力部55からの各種情報の入力処理を行うものである。比較判断部62は、入力処理部61を通じて入力処理された情報、すなわち制御指令に含まれる目標湿度情報と、室内湿度検知センサS1により検知された湿度情報との比較判断処理を行うものである。
熱源駆動処理部63は、加熱器34による加熱量を調整するためのものであり、具体的には該加熱器34と熱媒体回路を構成する加熱源の駆動処理を行うものである。ブロア駆動処理部64は、第1ブロア23および第2ブロア33のそれぞれの駆動処理を行うものである。
次に、上記除湿ロータ10を構成する水分吸着体11について説明する。図3は、図1に示した除湿ロータ10の要部(水分吸着体11)の一部を拡大して示したものである。この図3に示すように、水分吸着体11は、上述したように円柱状の形態を成しており、コルゲートハニカム状の構造、すなわち段ボール積層体の構造を有している。このような水分吸着体11は、混抄紙(シート体)にコルゲート加工等を施して形成されている。
混抄紙は、繊維と、活性炭繊維もしくは活性炭粉末と、その他所望のバインダ樹脂や水等とを混合してなる混合物(基材)に水を加えて成るスラリーを抄紙して形成したものである。
繊維としては、木材パルプ、ポリエチレンパルプ、レーヨンパルプ、ビニロンパルプなどの各種パルプや、この各種パルプに、ポリエステル系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリオレフィン系繊維等の有機合成繊維や、ガラス繊維などの無機化合物繊維を単独で、あるいは複数を組み合わせたもの加えたものであっても良い。
上記混合物中における活性炭繊維もしくは活性炭粉末の含有割合は、50質量%以上75質量%以下である。混合物中における活性炭繊維もしくは活性炭粉末の含有割合が50質量%未満の場合には、十分な水分吸着能力を有する水分吸着体11を得ることができない一方、混合物中における活性炭繊維もしくは活性炭粉末の含有割合が75質量%を超える場合には、形成される混抄紙の紙質が硬くなりコルゲート加工時に亀裂等が生じてしまい、良好な水分吸着体11を得ることができない。
また活性炭繊維もしくは活性炭粉末は、吸湿性を発揮するために親水性であることが必要であり、そのため無機酸化物微粒子が混合物に固定、すなわち活性炭繊維もしくは活性炭粉末の表面に固定してある。
無機酸化物微粒子としては、ゼオライト系吸着剤、モレキュラシーブ、セピオライト、γ−アルミナなどの活性アルミナ、アルミノケイ酸塩、酸化ケイ素、シリカゲル、珪藻土などの吸着性を有する材料であれば良い。吸着活性の観点から無機酸化物微粒子の粒径は小さいことが好ましく、平均粒子径が50nm以上300nm以下である。ここで、無機酸化物微粒子の固定量は、活性炭(活性炭繊維もしくは活性炭粉末)の質量を基準として0.1質量%以上10質量%以下の割合であることが好ましい。無機酸化物微粒子の固定量が0.1質量%未満であると、良好な吸湿特性を得られない一方、10質量%を超えると、除湿性能の低下を招来する虞れがあるからである。このような無機酸化物微粒子を活性炭繊維もしくは活性炭粉末に固定するには、種々の方法があり、例えば珪酸塩やアルミン酸塩の溶液に浸漬し中和させるゾルゲル法による固定方法等を適用することができる。
このような水分吸着体11の特性について説明する。まず、水分吸着体11をデシカント性能評価用装置に組み込み、25rphの回転速度で連続回転させる。回転する水分吸着体11の下半分に1kgの乾燥空気あたり14gの水分を含む25℃の空気(相対湿度が70%RH)を風速0.6〜2.4m/sで通過させるとともに、回転する水分吸着体11の上半分に40〜65℃の加熱空気を同量通過させる。そして、水分吸着体11の下半分を通過して除湿された空気の湿度を測定し、乾燥空気1kgあたり(kg−DAあたり)の除湿量を算出して、面風速と除湿量との関係および再生温度と除湿量との関係を図4および図5に示した。ここで、面風速は、水分吸着体11を通過する空気の速度であり、再生温度は、水分吸着体11の上半分を通過する空気の温度である。
これらの図から、再生温度が40℃および50℃の場合は、面風速を下げても除湿量が変わらないことが理解され、再生温度が65℃の場合は、面風速が低いほど除湿量が増大することが明らかである。
次に、水分吸着体11をデシカント性能評価用装置に組み込み、25rphの回転速度で連続回転させる。回転する水分吸着体11の下半分に1kgの乾燥空気あたり14gの水分を含む25℃の空気(相対湿度が70%RH)を風速0.6〜2.4m/sで通過させるとともに、回転する水分吸着体11の上半分に40〜65℃の加熱空気を同量通過させる。そして、水分吸着体11の上半分を通過して加湿された空気の湿度を測定し、乾燥空気1kgあたり(kg−DAあたり)の加湿量を算出して、面風速と除湿量との関係および再生温度と除湿量との関係を図6および図7に示した。ここで、面風速は、水分吸着体11を通過する空気の速度であり、再生温度は、水分吸着体11の上半分を通過する空気の温度である。
これらの図から、再生温度が40℃および50℃の場合は、面風速を下げても加湿量が変わらないことが理解され、再生温度が65℃の場合は、面風速が低いほど加湿量が増大することが明らかである。また、再生温度を大きくすると水分吸着体11の下半分での除湿量、並びに水分吸着体11の上半分での加湿量が増大することが明らかである。
以上のような構成を有する調湿装置では、次のようにして対象室1の内部の湿度を所望の大きさに調整する。
まず、除湿運転を行う場合について説明する。かかる説明の前提として、モータの駆動により水分吸着体11が回転しており、第1ブロア23および第2ブロア33も駆動している。また、第1冷却器25と冷媒回路を構成する冷凍機、並びに加熱器34と熱媒体回路を構成する加熱源も駆動している一方、第2冷却器36と冷媒回路を構成する冷凍機は駆動していない。更に、第1調整バルブ44は第1供給配管41と第2供給配管42とを連通させ、第2調整バルブ45は第2供給配管42と第3供給配管43とを連通させており、送出調整バルブ53は第1送出配管51と第2送出配管52とを連通させているものとする。
第1ブロア23の駆動により、処理空気が処理空気取入口21を通じて取り入れられ、取り入れられた処理空気は、水分吸着領域24に至る。水分吸着領域24において、処理空気取入口21より取り入れられた処理空気、すなわち湿潤空気は、水分吸着体11を通過することにより水分が吸着され、これにより、処理空気の湿度が低下する。すなわち処理空気は除湿される。また、水分吸着体11の水分吸着領域24に対応する部分に吸着された水分は、水分吸着体11の回転とともに、水分吸着領域24から水分放出領域35に移動する。
水分吸着領域24で除湿された処理空気は、第1ブロア23の駆動により下流側に流れ、その後第1冷却器25に至る。第1冷却器25に至った処理空気は、該第1冷却器25の内部を流れる冷媒が蒸発することにより冷却されて所望の温度に調整され、第1ブロア23の駆動により、処理空気吐出口22を通じて供給ダクト40に吐出され、連通状態にある第1供給配管41、第2供給配管42および第3供給配管43を通じて対象室1の内部に供給される。
一方、第2ブロア33の駆動により、再生空気取入口31を通じて再生空気が取り入れられ、取り入れられた再生空気は、加熱器34に至る。加熱器34に至った再生空気は、加熱器34の内部を流れる熱媒体により加熱されて高温度の空気になり、水分放出領域35に至る。
水分放出領域35において、加熱器34で加熱された再生空気が通過することにより、水分吸着体11の対応する部分から水分が放出され、該再生空気の湿度が上昇する。その後、水分放出領域35を通過した再生空気は、第2ブロア33の駆動により、再生空気吐出口32を通じて送出ダクト50に吐出され、連通状態にある第1送出配管51および第2送出配管52を通じて外部に送出される。
水分吸着体11の水分放出領域35に対応する部分は、水分が放出されて乾燥するとともに、温度が上昇する。この温度が上昇し、かつ乾燥した水分吸着体11の対応部分は、水分吸着体11の回転とともに、水分放出領域35から水分吸着領域24に移動し、上述した動作を繰り返す。
そして、第1給気路20、第1ブロア23、水分吸着領域24、第1冷却器25および供給ダクト40が、除湿運転指令が与えられた場合に、第1送風手段を駆動させることにより、水分吸着領域に導入した空気を通過させて除湿し対象室内に供給する第1給気ユニットを構成している一方、第2給気路30、第2ブロア33、水分放出領域35および送出ダクト50が、除湿運転指令が与えられた場合に、第2送風手段を駆動させることにより、導入した空気を加熱器にて加熱し、水分放出領域に加熱した空気を通過させて外部に放出する第2給気ユニットを構成している。
このような除湿運転を行う調湿装置では、更に次のような除湿初期制御および除湿駆動制御が行われる。図8は、調湿装置を構成する制御ユニット60が実施する除湿初期制御の内容を示すフローチャートである。この図8を適宜参照しながら、調湿装置の動作について説明する。
除湿初期制御において制御ユニット60は、入力処理部61を通じて入力部55より制御指令が与えられたか否かを確認し(ステップS101)、制御指令が与えられていない場合には(ステップS101:No)、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
制御指令が与えられている場合には(ステップS101:Yes)、制御ユニット60は、入力処理部61を通じて入力処理された室内湿度検知センサS1からの湿度情報に含まれる検知湿度と、同じく入力処理部61を通じて入力された制御指令に含まれる目標湿度とを、比較判断部62を通じて検知湿度が目標湿度を超えているか否か判断する(ステップS102)。ここで、制御指令に含まれる目標温度に関する情報は、メモリ65に格納される。検知湿度が目標湿度を超えていない場合には(ステップS102:No)、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
検知湿度が目標湿度を超えている場合には(ステップS102:Yes)、制御ユニット60は、検知湿度が目標湿度に一致するまで熱源駆動処理部63を通じて加熱源の出力を増大、すなわち加熱器34の加熱量を増大させ(ステップS103,ステップS104)、検知湿度が目標湿度に一致したら(ステップS104:Yes)、その時点での加熱量を保持して(ステップS105)、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
図9は、調湿装置を構成する制御ユニット60が実施する除湿駆動制御の内容を示すフローチャートである。この図9を適宜参照しながら、調湿装置の動作についてさらに説明する。
上記除湿初期制御を行った場合に(ステップS201:Yes)、制御ユニット60は、ブロア駆動処理部64を通じて第1ブロア23および第2ブロア33の駆動出力を予め決められた大きさだけ低下させる(ステップS202)。これにより、水分吸着領域24および水分放出領域35を通過する処理空気および再生空気の風速は低下することになる。ここで、上記除湿初期制御を行っていない場合には、制御ユニット60は、上記ステップS202および後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
第1ブロア23および第2ブロア33の駆動出力を低下させた制御ユニット60は、入力処理部61を通じて入力処理された室内湿度検知センサS1からの湿度情報に含まれる検知湿度と、メモリ65に格納してある目標湿度とを、比較判断部62を通じて検知湿度が目標湿度を下回っているか否か判断する(ステップS203)。
検知湿度が目標湿度を下回っている場合には(ステップS203:Yes)、制御ユニット60は、検知湿度が目標湿度に一致するまで熱源駆動処理部63を通じて加熱源の出力を低減、すなわち加熱器34の加熱量を低減させ(ステップS204,ステップS205)、検知湿度が目標湿度に一致したら(ステップS205:Yes)、その時点での加熱量を保持して(ステップS206)、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
一方、検知湿度が目標湿度を下回っていなくて、検知湿度が目標湿度に一致している場合には(ステップS203:No,ステップS207:Yes)、制御ユニット60は、ブロア駆動処理部64を通じて、第1ブロア23および第2ブロア33をステップS202の際における出力での駆動と駆動停止とを繰り返して行う間欠駆動を実施し(ステップS208)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
ところで、検知湿度が目標湿度を下回っていなくて、検知湿度が目標湿度に一致していな場合には(ステップS203:No,ステップS207:No)、ステップS208の処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
本実施の形態における調湿装置では、このような除湿駆動制御におけるステップS202〜ステップS208の処理を1回だけに限らず複数回繰り返すことが好ましい。このように複数回繰り返すことにより、第1ブロア23および第2ブロア33の出力を徐々に低下させることができ、しかも加熱器34による加熱量を徐々に低減させることができる。
次に、加湿運転を行う場合について説明する。かかる説明の前提として、モータの駆動により水分吸着体11が回転しており、第1ブロア23および第2ブロア33も駆動している。また、第2冷却器36と冷媒回路を構成する冷凍機、並びに加熱器34と熱媒体回路を構成する加熱源も駆動している一方、第1冷却器25と冷媒回路を構成する冷凍機は駆動していない。更に、第1調整バルブ44は第1供給配管41と第2供給配管42とを遮断する状態にして、第1供給配管41を通過した処理空気を外部に排出するようにしてある。第2調整バルブ45は、第3供給配管43とバイパス配管46とを連通させており、送出調整バルブ53は第1送出配管51とバイパス配管46とを連通させているものとする。
第1ブロア23の駆動により、処理空気が処理空気取入口21を通じて取り入れられ、取り入れられた処理空気は、水分吸着領域24に至る。水分吸着領域24において、処理空気取入口21より取り入れられた処理空気、すなわち湿潤空気は、水分吸着体11を通過することにより水分が吸着され、これにより、処理空気の湿度が低下する。すなわち処理空気は除湿される。また、水分吸着体11の水分吸着領域24に対応する部分に吸着された水分は、水分吸着体11の回転とともに、水分吸着領域24から水分放出領域35に移動する。
水分吸着領域24で除湿された処理空気は、第1ブロア23の駆動により下流側に流れ、その後第1冷却器25の周囲を通過して、処理空気吐出口22を通じて供給ダクト40に吐出され、第1供給配管41を通過した後に、第1調整バルブ44を通じて外部に放出される。
一方、第2ブロア33の駆動により、再生空気取入口31を通じて再生空気が取り入れられ、取り入れられた再生空気は、加熱器34に至る。加熱器34に至った再生空気は、加熱器34の内部を流れる熱媒体により加熱されて高温度の空気になり、水分放出領域35に至る。
水分放出領域35において、加熱器34で加熱された再生空気が通過することにより、水分吸着体11の対応する部分から水分が放出され、該再生空気の湿度が上昇する。その後、水分放出領域35を通過した再生空気は、第2ブロア33の駆動により下流側に流れ、その後第2冷却器36に至る。第2冷却器36に至った再生空気は、該第2冷却器36の内部を流れる冷媒が蒸発することにより冷却されて所望の温度に調整され、第2ブロア33の駆動により、再生空気吐出口32を通じて送出ダクト50に吐出され、連通状態にある第1送出配管51、バイパス配管46および第3供給配管43を通じて対象室1の内部に供給される。
水分吸着体11の水分放出領域35に対応する部分は、水分が放出されて乾燥するとともに、温度が上昇する。この温度が上昇し、かつ乾燥した水分吸着体11の対応部分は、水分吸着体11の回転とともに、水分放出領域35から水分吸着領域24に移動し、上述した動作を繰り返す。
このような加湿運転を行う調湿装置では、更に次のような加湿初期制御および加湿駆動制御が行われる。図10は、調湿装置を構成する制御ユニット60が実施する加湿初期制御の内容を示すフローチャートである。この図10を適宜参照しながら、調湿装置の動作について説明する。
加湿初期制御において制御ユニット60は、入力処理部61を通じて入力部55より制御指令が与えられたか否かを確認し(ステップS301)、制御指令が与えられていない場合には(ステップS301:No)、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
制御指令が与えられている場合には(ステップS301:Yes)、制御ユニット60は、入力処理部61を通じて入力処理された室内湿度検知センサS1からの湿度情報に含まれる検知湿度と、同じく入力処理部61を通じて入力された制御指令に含まれる目標湿度とを、比較判断部62を通じて検知湿度が目標湿度を下回っているか否かを判断する(ステップS302)。ここで、制御指令に含まれる目標温度に関する情報は、メモリ65に格納される。検知湿度が目標湿度を下回っていない場合には(ステップS302:No)、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
検知湿度が目標湿度を下回っている場合には(ステップS302:Yes)、制御ユニット60は、検知湿度が目標湿度に一致するまで熱源駆動処理部63を通じて加熱源の出力を増大、すなわち加熱器34の加熱量を増大させ(ステップS303,ステップS304)、検知湿度が目標湿度に一致したら(ステップS304:Yes)、その時点での加熱量を保持して(ステップS305)、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
図11は、調湿装置を構成する制御ユニット60が実施する加湿駆動制御の内容を示すフローチャートである。この図11を適宜参照しながら、調湿装置の動作についてさらに説明する。
上記加湿初期制御を行った場合に(ステップS401:Yes)、制御ユニット60は、ブロア駆動処理部64を通じて第1ブロア23および第2ブロア33の駆動出力を予め決められた大きさだけ低下させる(ステップS402)。これにより、水分吸着領域24および水分放出領域35を通過する処理空気および再生空気の風速は低下することになる。ここで、上記加湿初期制御を行っていない場合には、制御ユニット60は、上記ステップS402および後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
第1ブロア23および第2ブロア33の駆動出力を低下させた制御ユニット60は、入力処理部61を通じて入力処理された室内湿度検知センサS1からの湿度情報に含まれる検知湿度と、メモリ65に格納してある目標湿度とを、比較判断部62を通じて検知湿度が目標湿度を超えているか否かを判断する(ステップS403)。
検知湿度が目標湿度を超えている場合には(ステップS403:Yes)、制御ユニット60は、検知湿度が目標湿度に一致するまで熱源駆動処理部63を通じて加熱源の出力を低減、すなわち加熱器34の加熱量を低減させ(ステップS404,ステップS405)、検知湿度が目標湿度に一致したら(ステップS405:Yes)、その時点での加熱量を保持して(ステップS406)、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
一方、検知湿度が目標湿度を超えていなくて、検知湿度が目標湿度に一致している場合には(ステップS403:No,ステップS407:Yes)、制御ユニット60は、ブロア駆動処理部64を通じて、第1ブロア23および第2ブロア33をステップS402の際における出力での駆動と駆動停止とを繰り返して行う間欠駆動を実施し(ステップS408)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
ところで、検知湿度が目標湿度を超えていなくて、検知湿度が目標湿度に一致していな場合には(ステップS403:No,ステップS407:No)、ステップS408の処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
本実施の形態における調湿装置では、このような加湿駆動制御におけるステップS402〜ステップS408の処理を1回だけに限らず複数回繰り返すことが好ましい。このように複数回繰り返すことにより、第1ブロア23および第2ブロア33の出力を徐々に低下させることができ、しかも加熱器34による加熱量を徐々に低減させることができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態における調湿装置では、水分吸着体11が、活性炭繊維もしくは活性炭粉末を50質量%以上75質量%以下の割合で含有した混合物に、平均粒子径が50nm以上300nm以下の無機酸化物微粒子を固定して成る混抄紙をコルゲート加工等して形成したものであるので、図4〜図7に示すように、水分吸着領域24および水分放出領域35を通過する空気(処理空気および再生空気)の速度が小さくすると除湿量および加湿量が増大、あるいは除湿量および加湿量が保持される特質を有し、しかも水分放出領域35を通過する空気の温度を大きくすると水分吸着領域24での除湿量、並びに水分放出領域35での加湿量が増大する特質を有することになる。
そして、調湿装置によれば、水分吸着領域24および水分放出領域35のそれぞれを通過する空気(処理空気および再生空気)の速度を一定にした状態で加熱器34による再生空気の加熱量を増大させることにより、対象室1の内部の湿度を予め決められた目標湿度に近づける除湿初期制御と、除湿初期制御により対象室1の内部の湿度が目標湿度に一致した後に、第1ブロア23および第2ブロア33の駆動出力を低下させて水分吸着領域24および水分放出領域35のそれぞれを通過する空気の速度を低下させる処理と、該処理により対象室1の内部の湿度が目標湿度を下回った場合に、加熱器34による再生空気の加熱量を低減させる処理とを必要に応じて繰り返すことにより対象室1の内部の湿度を目標湿度に近づける除湿駆動制御とを行うので、第1ブロア23および第2ブロア33の出力を低下させ、かつ加熱器34による加熱量を低減させながら、対象室1の内部の湿度を目標湿度に一致させることができる。従って、省エネルギー化を図りながら、対象室1の内部の湿度を所望の大きさに調整することができる。
また、上記調湿装置によれば、第1ブロア23および第2ブロア33の駆動出力を低下させて水分吸着領域24および水分放出領域35のそれぞれを通過する空気の速度を低下させる処理によっても対象室1の内部の湿度が目標湿度に一致した状態が保持されている場合には、第1ブロア23および第2ブロア33を間欠駆動させる処理を必要に応じて繰り返すので、第1ブロア23および第2ブロア33の出力を低下させることができる。従って、省エネルギー化を図りながら、対象室1の内部の湿度を所望の大きさに調整することができる。
更に、調湿装置によれば、水分吸着領域24および水分放出領域35のそれぞれを通過する空気(処理空気および再生空気)の速度を一定にした状態で加熱器34による再生空気の加熱量を増大させることにより、対象室1の内部の湿度を予め決められた目標湿度に近づける加湿初期制御と、加湿初期制御により対象室1の内部の湿度が目標湿度に一致した後に、第1ブロア23および第2ブロア33の駆動出力を低下させて水分吸着領域24および水分放出領域35のそれぞれを通過する空気の速度を低下させる処理と、該処理により対象室1の内部の湿度が目標湿度を上回った場合に、加熱器34による再生空気の加熱量を低減させる処理とを必要に応じて繰り返すことにより対象室1の内部の湿度を目標湿度に近づける加湿駆動制御とを行うので、第1ブロア23および第2ブロア33の出力を低下させ、かつ加熱器34による加熱量を低減させながら、対象室1の内部の湿度を目標湿度に一致させることができる。従って、省エネルギー化を図りながら、対象室1の内部の湿度を所望の大きさに調整することができる。
また更に、上記調湿装置によれば、第1ブロア23および第2ブロア33の駆動出力を低下させて水分吸着領域24および水分放出領域35のそれぞれを通過する空気の速度を低下させる処理によっても対象室1の内部の湿度が目標湿度に一致した状態が保持されている場合には、第1ブロア23および第2ブロア33を間欠駆動させる処理を必要に応じて繰り返すので、第1ブロア23および第2ブロア33の出力を低下させることができる。従って、省エネルギー化を図りながら、対象室1の内部の湿度を所望の大きさに調整することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。例えば、上述した実施の形態では、上記ステップS208およびステップS408では、第1ブロア23および第2ブロア33を間欠駆動させていたが、本発明では、第1ブロア23および第2ブロア33の駆動出力を更に低下させる処理を行っても構わない。