JP4844367B2 - 球冠状シュー - Google Patents

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Description

本発明は、斜板式圧縮機の斜板とピストンの間に配設されるシューに関するものであり、特に、樹脂シートを用いて形成された摺動層を表面にもつシューに関する。
金属製の基材の表面に樹脂製の摺動層を形成して、低摩擦性や耐焼付き性などを付与した摺動部材が、幅広い分野で用いられている。樹脂製の摺動層をもつ摺動部材を製造する方法としては、樹脂を塗料にして基材の表面へ塗装したり、溶融した樹脂を基材の表面で成形したり、などして、基材の表面に摺動層を形成するのが一般的である。
たとえば、特許文献1には、樹脂ワニスに固体潤滑剤や無機粒子を配合した塗料組成物を基材の表面に塗布後、硬化させて形成された摺動膜を有する摺動部材が開示されている。しかしながら、相手材との摺接面が曲面や球面である基材に塗料を用いて摺動膜を形成すると、摺動膜の表面にうねりやたれが生じ易い。そのため、摺動膜の形成後、膜厚や表面形状の不均一をなくすために研磨等が行われている。
摺接面が球面である基材の一例として、斜板式圧縮機のシューが挙げられる。たとえば、特許文献2には、斜板式圧縮機のシューであって、金属製の硬質層と、硬質層の上に形成され固体潤滑剤を含む合成樹脂の層と、を表面にもつシューが開示されている。特許文献2では、液体の塗布材料を用いたタンブラー処理またはスプレー処理により合成樹脂の層が形成されるため、うねりやたれの問題が生じることがある。
一方、特許文献3のように、基材の表面に樹脂シートを熱圧着すれば、厚みや表面状態が均一な樹脂製の摺動層が形成される。ところが、樹脂シートは平面状に広がるため、相手材との摺接面が球面である基材には、樹脂シートの形状を工夫しない限り、基材の球面に沿って摺動層を形成するのが困難である。
平面状に広がる樹脂シートであっても、樹脂シートを切り出した複数のシート片や、切れ込みを入れた樹脂シートを使用することにより、樹脂シートを球面に沿ってよれたり重なったりすることなく配置することは可能である。しかしながら、球面に重なりなく配置された樹脂シートにより摺動層が形成されても、シート片の形状や切れ込みの入れ方によっては、摺動性が低下したり、樹脂シートが扱いにくく熱圧着の作業性が悪化したり、といった問題がある。
特開2004−316499号公報 特開2002−174169号公報 特開2006−045493号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、斜板式圧縮機の斜板とピストンの間に配設されるシューであって、その凸球面に樹脂シートを熱圧着させて形成した摺動層を有する摺動性に優れたシューを提供することを目的とする。
本発明の球冠状シューは、斜板式圧縮機の斜板とピストンとの間に配設され、該ピストンと摺接する凸球面をもつピストン側摺接部と、該斜板と摺接する平面をもつ斜板側摺接部と、を備える球冠状のシューであって、
前記凸球面上に、スパイラル状の樹脂シートを、該樹脂シートの中心側の一端部が該凸球面の頂部側に位置するとともに該樹脂シートにおける互いに隣接して配置された部分に所定の間隔をもったヘリカル状に熱圧着してなる摺動層を有することを特徴とする。なお、「スパイラル」と「ヘリカル(へリックス)」はともに「螺旋」を意味するが、本明細書において、「スパイラル」は平面曲線、「ヘリカル」は空間曲線を意味する。
本発明の球冠状シューにおいて、前記樹脂シートは、該樹脂シートにおける互いに隣接する部分に所定の間隔をもったスパイラル状に切り出されてなるのが好ましい。
前記樹脂シートは、少なくとも表層部にポリアリールケトン樹脂を含むのが好ましい。また、前記樹脂シートは、熱可塑性ポリイミド樹脂およびポリアリールケトン樹脂を含む接着層と、該接着層に積層されポリアリールケトン樹脂を含む表面層と、からなる積層シートであってもよい。この際、前記ポリアリールケトン樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂であるのが好ましい。
また、本発明の球冠状シューにおいて、前記樹脂シートは、少なくとも表層部に固体潤滑剤を含むのが好ましい。
本発明の球冠状シュー(以下「シュー」と略記)は、ピストン側摺接部の凸球面の少なくとも一部に、樹脂シートを熱圧着してなる摺動層を有する。熱圧着される樹脂シートは、スパイラル状であるため、凸球面に沿わせやすくなるので樹脂シートの接着性(密着性)が向上し、また、熱圧着の際に生じる樹脂シートのよれが低減され、重なりが生じることもない。そのため、本発明のシューは、凸球面上に均一に形成された摺動層をもつ。本発明のシューにおいて、摺動層は均一に形成されるため、摺動層の形成後に研磨等の加工の必要がない。
また、樹脂シートは、凸球面上で、隣接して配置された部分に所定の間隔をもったヘリカル状に熱圧着される。樹脂シートが熱圧着されなかった部分には、樹脂シートが熱圧着されずに表出する凸球面と、隣接する樹脂シートの厚さ方向の面であって互いに対向する側面と、で3方向を区画された螺旋溝が形成される。この螺旋溝は、潤滑油を保持する油保持溝の役割を果たす。さらに、螺旋溝は、後に詳説するが、斜板式圧縮機の作動中に、ピストンと摺接する凸球面の摺動方向に対して常に交差するため、摩擦を低減する効果が高い。
以下に、本発明の球冠状シュー(シュー)を実施するための最良の形態を説明する。
本発明のシューは、斜板式圧縮機に用いられる。斜板式圧縮機は、斜板の回転をピストンの往復運動に変換して、気体の圧縮を行うものであり、シューは、斜板とピストンとの間に配設される。シューは、ピストンと摺接する凸球面をもつピストン側摺接部と、斜板と摺接する平面をもつ斜板側摺接部と、を備える球冠状を呈する。斜板式圧縮機に用いられるシューは、一般に「半球シュー」などと称されるが、各摺接部は、厳密に球面や平面とされているわけではない。すなわち、本明細書において、凸球面および平面は、球面や平面から僅かに外れた形状も含む。また、シューは、中空体であってもよい。そして、本発明のシューは、凸球面上に、樹脂シートを熱圧着してなる摺動層を有する。
本発明のシューにおいて、表面に摺動層が形成されるシュー本体の材質に特に限定はないが、金属製であるのが好ましい。金属製であれば、たとえば、鉄や鋼などの鉄系材料、アルミニウムやMg、Cu、Zn、Si、Mn等を含むアルミニウム合金、銅やZn、Al、Sn、Mn等を含む銅合金などが好ましい。シューの質量低減の目的で、アルミニウムまたはアルミニウム合金を使用する場合には、表面にNi−P、Ni−B、Ni−P−B−W、Co−P等の硬質メッキ層を形成するとよい。
また、シュー本体は、凸球面の少なくとも一部が粗面化されているとよく、十点平均粗さ(JIS)にして0.1〜10μmRzさらには1〜5μmRzの表面粗さであるのが好ましい。表面粗さが0.1μmRz以上であれば、凸球面と樹脂シートとの密着性が向上し、10μmRz以下であれば樹脂シートの表面(摺動面)への影響が小さくなるため好ましい。
樹脂シートは、シュー本体の表面に熱圧着することができれば、その材質に特に限定はなく、求められる摺動特性に応じて選択すればよい。たとえば、樹脂シートは、少なくとも表層部にポリアリールケトン樹脂を含むとよい。ポリアリールケトン樹脂は、熱可塑性樹脂の中でも、高い機械的強度をもち、耐熱性、難燃性、耐摩耗性、耐薬品性、耐加水分解性などに優れている。そのため、少なくとも表層部にポリアリールケトン樹脂を含む樹脂シートを用いて構成され、その表層部の表面を摺動面とした摺動層は、厳しい使用条件の下でも優れた摺動特性を示す。
ポリアリールケトン樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂やポリエーテルケトン樹脂などが挙げられる。ただし、ポリアリールケトン樹脂からなる樹脂シートを用いる場合には、ポリアリールケトン樹脂の融点が高く溶融し難いため、高温での熱圧着が行われる。そのため、熱圧着しても劣化しない耐熱性の高い基材を用いる必要がある。互いに相溶性のよいポリアリールケトン樹脂と熱可塑性ポリイミド樹脂とを含む樹脂シートであれば、300℃以下の低温であっても接着に適切な流動性を示す。また、樹脂シートは、低温の熱圧着であっても基材との密着性に優れる接着層と、この接着層に積層されポリアリールケトン樹脂を含む表面層と、からなる積層シートであってもよい。接着層としては、表面層の裏面にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を塗布した接着層、熱可塑性ポリイミド樹脂およびポリアリールケトン樹脂を含む接着層、などを用いることができる。熱可塑性ポリイミド樹脂としては、ポリエーテルイミド(PEI)が好ましい。
樹脂シートは、さらに、固体潤滑剤を含んでもよい。固体潤滑剤を含む樹脂シートを用いれば、摺動層の摺動特性が向上する。固体潤滑剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂やフッ化黒鉛、フッ化カルシウムなどのフッ素化合物、二硫化モリブデン、二硫化タングステン等の硫化物、黒鉛やタルクなどの層状構造物、Pb、Ag、Cu等の軟質金属やその化合物、など、固体潤滑剤として通常用いられているものであればよい。その他にも、酸化チタン、炭化タングステン、窒化ホウ素、メラミンシアヌレート等が使用できる。固体潤滑剤は、少なくとも表層部(摺動層の摺動面側)に含まれるのが好ましく、摺動層全体に含まれてもよい。
特開2006−45493号公報(特許文献3)に開示されているフィルムは、本発明において樹脂シートとして好適に用いることができる。
樹脂フィルムの厚さに特に限定はないが、5〜100μmであるとよい。この範囲であれば、熱圧着により均一な摺動層を形成することができる。なお、樹脂フィルムの厚さは、摺動層の厚さとほぼ同等である。
本発明のシューでは、摺動層は、スパイラル状の樹脂シートを凸球面上に熱圧着してなる。図1〜図3は、本発明のシューの一つの実施形態を示す図である。図1は本発明のシューの側面図、図2はシューの頂部から見た平面図である。図3は本発明のシューの断面図であって、図2に示す位置で切断した切断面を矢印の方向から見た断面図である。また、図4には、本発明のシューに使用可能な樹脂シートの形状を示す。
樹脂シートの形状としては、スパイラル状、つまり、同一平面上において一端部を中心として拡径しながら他端部へと延びる帯状のシートであればよい。樹脂シートの一例を図4に示す。図4の樹脂シート100は、中心側に位置する一端部101と他端部102とを両端部とする帯状体である。帯の幅(W1)に限定はなく、シューの寸法に合わせて適宜選択すればよい。樹脂シート100は、一端部101から他端部102へとスパイラル状に延びる。すなわち、樹脂シート100は、中心側の一端部101から、一端部101を中心として拡径しながら他端部102へと延びるが、このときの巻き数や巻き間隔(W2)にも限定はなく、シューの寸法に合わせて適宜選択すればよい。なお、巻き間隔(W2)は、スパイラル状の樹脂シート100において、径方向に隣接する樹脂シートの内側部と外側部とが対向する間隔であって、一定の間隔でスパイラル状に延びるとよい。また、図4では、巻き間隔(W2)が所定の間隔で形成されているが、スパイラル状の切れ込みを入れることで、巻き間隔をW2=0としてもよい。
樹脂シートは、薄板状シートがスパイラル状に切り出されてなるのが好ましく、薄板状シートは、既に説明した材質の樹脂からなればよい。薄板状シートから切り出された樹脂シートも平面状に広がるが、スパイラル状であるため、凸球面に沿わせても、シートのよれが低減され、凸球面に沿わせやすく、重なりが生じることもない。また、帯の幅と巻き間隔とが等しい場合(W1=W2)には、図5および図6に示すように、2枚の樹脂シート100を同一平面上で組み合わせて、薄板状シートSから無駄なく切り出すことができる。
摺動層は、凸球面上に、樹脂シートをヘリカル状に熱圧着してなる摺動層をもつ。樹脂シートは、既に述べたようにスパイラル状であるため、凸球面に沿わせても、シートのよれが低減され、凸球面に沿わせやすく、重なりが生じることもない。本発明のシューの一例を図1〜図3に示す。なお、図1〜図3に示される樹脂シート100は、図4の樹脂シート100である。シューは、ピストンと摺接する凸球面11をもつピストン側摺接部10と、斜板と摺接する平面21をもつ斜板側摺接部20と、を備える。樹脂シート100は、その中心側の一端部101がピストン側摺接部10(凸球面11)の頂部1側に位置する。そして、樹脂シート100は、凸球面11上に沿ってヘリカル状、つまり、スパイラル状の樹脂シート100を軸方向(軸は図中のX)に伸ばした状態で凸球面11上に位置する。このとき、樹脂シート100は、隣接して配置された部分に所定の間隔をもったヘリカル状となる。樹脂シート100は、周方向と垂直な方向に隣接する樹脂シートの内側部と外側部とが一定の間隔をもって配置されるとよい。樹脂シート100が所定の間隔をもって配置されることで、凸球面11上にヘリカル状の螺旋溝13が形成される。螺旋溝13は、凸球面11と、隣接する樹脂シート100の略厚さ方向の面であって互いに対向する側面と、で3方向を区画されてなる。この螺旋溝13は、潤滑油を保持する油保持溝の役割を果たす。なお、シュー本体の頂部に、油保持のための凹部が形成されている場合には、ヘリカル状に連続する螺旋溝13の一端部であって頂部1に位置する終端部に、凹部が位置するとよい。
樹脂シートの熱圧着は、シュー本体および/または樹脂シートを加熱してから、シュー本体の所定の位置に樹脂シートを載置して加圧して行ってもよいし、シュー本体の所定の位置に樹脂シートを載置してから加圧しつつ加熱して熱圧着されてもよい。熱圧着に関しては、樹脂シートの材質に応じた最適な方法を選択すればよい。
本発明のシューは、前述のように、車両等に搭載される斜板式圧縮機において、斜板とピストンとの間に配設されて用いられる。図7に、斜板式圧縮機の具体例を示す。図7において、シリンダブロック92の軸方向の一端面(図7の左側の端面)には、フロントハウジング91が取り付けられ、他方の端面(図7の右側の端面)には、リヤハウジング93がバルブプレート94を介して取り付けられている。フロントハウジング91、リヤハウジング93およびシリンダブロック92等により斜板式圧縮機のハウジングが構成されている。
シリンダブロック92の中心軸線周りの一円周上には、軸方向に延びる複数のシリンダボア95が形成されている。シリンダボア95の各々には、片頭ピストン96(以下、ピストン96と略称する)が往復運動可能に配設されている。リヤハウジング93とバルブプレート94との間には、吸入室や吐出室が形成され、図示しない吸入ポートや供給ポートを経て冷凍回路に接続される。また、バルブプレート94には、図示しない吸入孔、吸入バルブ、吐出孔、吐出バルブ等が設けられている。
上記ハウジング内には、回転軸90が、シリンダブロック92の中心軸線を回転軸線として回転可能に設けられている。回転軸90は、その両端部においてそれぞれフロントハウジング91とシリンダブロック92にベアリングを介して回転可能に支持されている。回転軸90のフロントハウジング91側の端部は、駆動源に連結され、回転軸90は中心軸のまわりに回転する。
回転軸90には、斜板98が軸方向に相対移動可能かつ傾動可能に取り付けられている。斜板98には、中心線を通る貫通穴が形成され、この貫通穴を回転軸90が貫通している。回転軸90には、回転板90aが固定され、スラストベアリングを介してフロントハウジング91に受けられている。斜板98は、ヒンジ機構90bにより、回転軸90と一体的に回転するとともに、軸方向の移動を伴う傾動が可能となる。
ピストン96は、斜板98の外周部を跨ぐ状態で係合させられる係合部と、係合部と一体に設けられ、シリンダボア95に摺動可能に嵌挿される頭部とを備えている。ピストン96の頭部、シリンダボア95およびバルブプレート94により圧縮室が区画されている。
図7に示される斜板式圧縮機において、球冠状のシュー99は、ピストン96の係合部と斜板98の外周部とを摺動可能に連結する。シュー99は、1つのピストンに対して一対で用いられ、斜板98の外周部を挟持する。ピストン96の係合部は、一対のシュー99を介して、斜板98に係合する。このとき、斜板98の外周面98pとシュー99の平面99p、ピストン96の係合部の摺動面96qとシュー99の凸球面99q、とが当接する。ピストン96、斜板98およびシュー99は、98p/99p間、96q/99q間で摺動することで、斜板98の回転運動が、シュー99を介してピストン96の往復直線運動に変換される。
ここで、図8に、シュー99のピストン側摺接部(凸球面99q)の摺動方向を示す。なお、図8は、シュー99の側面図であって、矢印A−A’〜矢印D−D’は、それぞれ摺動方向の一例を示す。シュー99は、以上説明した斜板式圧縮機の作動中に、斜板98とピストン96との間で軸Xを中心として回転することがある。たとえば、図8のA−A’方向に摺動していても、シュー99が回転することで摺動方向が変化し、図8のB−B’方向等に摺動するようになる。一般的に、潤滑油を保持する油保持溝の壁面が、摺動方向に対して交差して位置すると、摺動面と壁面との間で油圧が発生してピストン96の係合部の摺動面96qとシュー99の凸球面99qとの間に油膜が形成されやすい。したがって、油保持溝が摺動方向と交差すると、油膜が形成されやすく、摩擦低減効果が高くなる。そのため、仮に、シュー99が斜板98とピストン96との間で回転して、凸球面99qとピストン96の摺動面96qとの摺動方向が変わっても、油保持溝と摺動方向とが交差するのが望ましい。
比較例として、本発明のシューとは異なる摺動層をもつシューを図9に示す。図9は、比較例のシューを頂部から見た平面図である。比較例のシューは、シュー本体の凸球面上61に、略二等辺三角形の12枚の樹脂シート600を等間隔に周方向に並べて熱圧着してなる摺動層をもつ。隣接する樹脂シート600は、間隔をもって並べられており、頂部で交差するとともに平面視で径方向に延びる6本の油保持溝63が形成される。このようなシューにおいて、平面視での摺動方向が、図9のY−Y’方向に平行である場合には、全ての油保持溝63は摺動方向と交差するため、潤滑油の低摩擦効果が得られる。ところが、斜板式圧縮機の作動中にシューが回転して摺動方向が変化し、変化後の摺動方向が図9のZ−Z’方向である場合には、一部の油保持溝63が摺動方向に沿って、平面視で平行となるため、潤滑油の低摩擦効果が低下する。
一方、本発明のシューであれば、斜板式圧縮機の作動中にシューが回転して摺動方向が変化しても、螺旋溝は常に摺動方向に対して交差するため、高い摩擦低減効果が安定して得られる。また、ヘリカル状に延びる螺旋溝(油保持溝)からは潤滑油が流出し難いため、いったん螺旋溝に保持された潤滑油は、長期にわたって摺動に寄与する。
以上、本発明の球冠状シューの製造方法の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
半球体の半球面上にスパイラル状の樹脂シートを熱圧着した。半球体への樹脂シートの熱圧着は、上記実施形態に基づいて以下の手順で行った。
半球体は、直径20mmの球体を半分にした形状であり、その外面は、平面と半球面とからなる。半球体はアルミニウム合金製で、外面には、表面粗さが4〜5μmRzとなるようにショットブラスト処理を施した。
共押出により作製されたPEEK樹脂からなる表面層とPEEK樹脂とPEI樹脂とからなる接着層との二層からなる積層フィルム(厚さ50μm)から、図4に示すスパイラル状の樹脂シートを切り出した。樹脂シートは、幅(図4のW1)1.2mmの帯状で、径方向に隣接する内側部と外側部との間隔(図4のW2)を1.2mmとした。また、樹脂シートの最大径(図4のR)を15mmとした。
次に、スパイラル状に切り出された樹脂フィルムを、その中心側の一端部が半球体の頂部に位置するように半球体の表面に載置した状態で、ホットプレスした。ホットプレスは、平坦な面をもつプレス台に、平面側を下にして半球体を配置し、載置された樹脂フィルムの上から、半球体と略同一の曲率を有する曲面からなる凹部を有する金型を押圧しつつ加熱することで行った。プレスは、荷重150kgのもと280℃で60秒間行った。
熱圧着後の半球面を目視で観察したところ、熱圧着された樹脂シートは、よれることなく凸球面に沿って熱圧着された。また、一定の幅をもつ螺旋溝が形成された。また、樹脂シートの表面(摺動面となる)の表面粗さは、0.1μmRzであった。
本発明の球冠状シューの一つの実施形態を示す側面図である。 本発明の球冠状シューの一つの実施形態を示す図であって、球冠状シューの頂部から見た平面図である。 本発明の球冠状シューの一つの実施形態を示す図であって、図2に示す位置で切断した断面図である。 本発明の球冠状シューに使用可能な樹脂シートの形状を示す平面図である。 本発明の球冠状シューに使用可能な樹脂シートの形状を示す平面図であって、薄板状シートから切り出される2枚の樹脂シートの配置の一例を示す。 本発明の球冠状シューに使用可能な樹脂シートが切り出される薄板状シートの平面図であって、複数枚の樹脂シートを薄板状シート上へ配置する配置方法の一例を示す。 本発明の球冠状シューが採用される斜板式圧縮機を示す説明図である。 本発明の球冠状シューを斜板式圧縮機のシューとして用いる際の摺動方向を示す説明図である。 比較例のシューを示す図であって、シューの頂部から見た平面図である。
符号の説明
1:頂部
10:ピストン側摺接部
11:凸球面
13:螺旋溝
20:斜板側摺接部
21:平面
100:樹脂シート 101:一端部 102:他端部
S:薄板状シート

Claims (7)

  1. 斜板式圧縮機の斜板とピストンとの間に配設され、該ピストンと摺接する凸球面をもつピストン側摺接部と、該斜板と摺接する平面をもつ斜板側摺接部と、を備える球冠状のシューであって、
    前記凸球面上に、スパイラル状の樹脂シートを、該樹脂シートの中心側の一端部が該凸球面の頂部側に位置するとともに該樹脂シートにおける互いに隣接して配置された部分に所定の間隔をもったヘリカル状に熱圧着してなる摺動層を有することを特徴とする球冠状シュー。
  2. 前記樹脂シートは、該樹脂シートにおける互いに隣接する部分に所定の間隔をもったスパイラル状に切り出されてなる請求項1記載の球冠状シュー。
  3. 前記樹脂シートは、少なくとも表層部にポリアリールケトン樹脂を含む請求項1記載の球冠状シュー。
  4. 前記樹脂シートは、熱可塑性ポリイミド樹脂およびポリアリールケトン樹脂を含む接着層と、該接着層に積層されポリアリールケトン樹脂を含む表面層と、からなる積層シートである請求項1記載の球冠状シュー。
  5. 前記ポリアリールケトン樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂である請求項3または4記載の球冠状シュー。
  6. 前記樹脂シートは、少なくとも表層部に固体潤滑剤を含む請求項1記載の球冠状シュー。
  7. 互いに隣接して配置された部分において互いに対向する前記樹脂シートの側面と、該樹脂シートが熱圧着されずに表出する前記凸球面と、で3方向を区画された螺旋溝からなる油保持溝を有する請求項1〜6のいずれかに記載の球冠状シュー。
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