JP2002332959A - 球冠状シューおよびそれが配設された斜板式圧縮機 - Google Patents

球冠状シューおよびそれが配設された斜板式圧縮機

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JP2002332959A JP2001139539A JP2001139539A JP2002332959A JP 2002332959 A JP2002332959 A JP 2002332959A JP 2001139539 A JP2001139539 A JP 2001139539A JP 2001139539 A JP2001139539 A JP 2001139539A JP 2002332959 A JP2002332959 A JP 2002332959A
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shoe
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angle
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Manabu Sugiura
学 杉浦
Takahiro Sugioka
隆弘 杉岡
Akira Onoda
晃 小野田
Tomohiro Murakami
智洋 村上
Shinobu Okubo
忍 大久保
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Toyota Industries Corp
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Toyota Industries Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 斜板式圧縮機において斜板とピストンとの間
に配設されるシューであって、摺動特性が良好な球冠状
シューを得る。また、そのシューを用いることにより円
滑な動作が可能な斜板式圧縮機を得る。 【解決手段】 略平面の斜板側摺接面136と、略球面
のピストン側摺接面138とを有する球冠状シューにお
いて、側面140の斜板側摺接面136に隣接する部分
にテーパ面146を設け、そのテーパ面146と斜板側
摺接面136の延長面144とのなす角度αを20゜を
超え80゜以下とする。テーパ面146の作用により、
斜板との間に異物が入り込み難く、異物による傷の発生
が少なく、良好な摺動特性を有する。また、斜板側摺接
面136とテーパ面146との間のコーナR150を調
整すれば、さらに摺動特性が改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、斜板式圧縮機にお
いて斜板とピストンとの間に配設されるシューおよびそ
れを備えた斜板式圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】斜板式圧縮機は斜板の回転をピストンの
往復運動に変換して気体の圧縮を行うものであり、高速
回転する斜板と高速往復運動するピストンとの間には、
両者の円滑な動作を確保するために、摺動部材としての
シューが配設される。斜板が高速回転させられることか
ら、斜板とシューとの摺動特性は、特に良好であること
が要求される。シューは、球冠状のもの、つまり、略平
面をなし斜板と摺接する斜板側摺接面と、略球面をなし
ピストンと摺接するピストン側摺接面とを有する形状の
もが多く用いられ、この球冠状シューにおいては、その
斜板側摺接面とそれと摺接する斜板の摺接面との摺動特
性が特に良好であることが望まれる。両者の摺接面間に
は潤滑油が供給され、この潤滑油が両摺接面間に油膜を
形成することで、その摺動特性は良好に維持される。し
たがって、両摺接面間へ潤滑油が充分に引き込まれない
場合は、摺動特性は悪化する。
【0003】球冠状シューにおいて、両摺接面間に潤滑
油を充分に引き込ませるための従来技術が、例えば、特
開昭56−126686号公報に記載されている。この
技術は、シューの斜板側摺接面の外周側に隣接してテー
パ面を設け、このテーパ面とシューの斜板側摺接面の延
長面とのなす角度を0.5゜〜10゜とするというもの
である。この従来技術によれば、シューの外周に存在す
るテーパ面により、充分なる潤滑油の引き込みが達成さ
れる。
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果】しかし、摺動特性を悪化させる原因は、他にも存在
する。例えば、斜板式圧縮機には、その運転中において
各所の摩擦により発生する削り滓、各部品の製造過程お
いて発生し残存する微小なバリ、接続される冷媒配管か
ら導入される塵等の様々な異物が存在し得る。これらの
異物は、充分に管理されるべきものではあるが、完全に
排除することは難しく、異物が斜板とシューの両者の摺
接面間に引き込まれて介在する可能性がある。異物が両
摺接面間に介在した場合、その異物により両摺接面が傷
付き、摺動特性が悪化してしまう。本発明者の知見によ
れば、上記従来技術のシューのように、テーパ面の角度
が数度程度と小さい場合、潤滑油のみならず異物をも引
き込む可能性が高く、かかる球冠状シューでは満足でき
る摺動特性を得られていないというのが実情である。
【0004】そこで、本発明は、摺動特性が良好な球冠
状シューを得ることを課題としてなされたものであり、
また、そのシューを用いることにより円滑な動作が可能
な斜板式圧縮機を得ることを課題としてなされたもので
ある。本発明によって、下記各態様の球冠状シューおよ
び斜板式圧縮機が得られる。各態様は請求項と同様に、
項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の
番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本
発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の
技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載
のものに限定されると解釈されるべきではない。また、
一つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複
数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけでは
ない。一部の事項のみを選択して採用することも可能で
ある。
【0005】なお、以下の各項において、(1)項が請
求項1に相当し、(2)項と(4)項とを合わせたもの
が請求項2に、(6)項,(7)項および(10)項を
合わせたものが請求項3に、(16)項が請求項4に、
(18)項が請求項5に、それぞれ相当する。
【0006】(1)斜板式圧縮機において斜板とピスト
ンとの間に配設されるシューであって、その表面が、略
平面をなし斜板と摺接する斜板側摺接面と、略球面をな
しピストンと摺接するピストン側摺接面と、前記斜板側
摺接面と前記ピストン側摺接面とを繋ぐ側面とに概ね区
画され、その側面の前記斜板側摺接面に隣接する部分
が、その斜板側摺接面の延長面となす角度が20゜を超
え80゜以下のテーパ面とされたことを特徴とする球冠
状シュー。
【0007】テーパ面の角度(テーパ面と斜板側摺接面
の延長面とのなす角度のことをいう。特に断りのない限
り、以下そのように略す)が比較的小さい適切な角度で
ある場合、潤滑油の引き込み特性は良好となる。ところ
が、テーパ面の角度が小さいと、テーパ面と斜板の摺接
面との間に存在する異物の排斥特性が低下する。つま
り、テーパ面が異物に乗り上げ易くなり、乗り上げた状
態でシューが移動すれば、シューの斜板側摺接面と斜板
の摺接面との間にその異物が引き込まれる結果となる。
これに対し、テーパ面の角度を大きくすれば、そのテー
パ面は異物を押し除けるように作用する。すなわち、異
物排斥特性は、テーパ面の角度が大きくなるほど良好に
なる。両摺接面間に異物が入り込んだ場合、その異物
は、摺接面の摩擦を大きくするだけでなく、それぞれの
摺接面を傷つける。それぞれに発生した傷は互いに相手
側をさらに傷つけ合うことになり、摺動特性を悪化させ
る原因となる。また、テーパ面角度が小さい場合、異物
にシューが乗り上げる格好となるため、狭い摺接面間に
異物が無理矢理押し込まれることになり、シューおよび
斜板の摺接面に発生する傷は深いものとなる。したがっ
て、深い傷ができ易く、その意味で、異物に耐える力つ
まり異物耐力に劣るものとなり、テーパ面角度の小さい
シューは、摺動特性が悪いものとなる。
【0008】一方で、テーパ面の角度が大きすぎる場
合、つまり、テーパ面の上記角度が90゜に近くなると
シュー製造上の問題が発生する。後の実施形態の項にお
いて詳しく説明するが、球冠状シューは一般に型鍛造に
よって製造される。例えば、鍛造に用いる金型セット
は、上記斜板側摺接面を主に成形する型と上記ピストン
側摺接面を主に成形する型とから構成され、この2つの
型によって形成されるキャビティ内で所定形状の素材を
塑性流動させて鍛造が行われる。そのような金型セット
を用いて鍛造を行う場合、球冠状シューはその高さの寸
法精度が特に重要であることから、すなわち、斜板側摺
接面とピストン側摺接面との面間距離の精度が重要であ
ることから、素材量のバラツキはその側面で吸収するよ
うにキャビティを形成するのが望ましい。しかし、上記
テーパ面の角度が大きすぎる場合は、素材量のバラツキ
をシュー側面で充分に吸収可能なキャビティを形成させ
ることが難しく、寸法精度の良好なシューを鍛造成形す
ることが困難となる。かかる理由から、素材量のバラツ
キを効率的に吸収するためにはテーパ面の角度がより小
さいほうが有利である。鍛造によって寸法精度が充分で
ないシューが成形された場合、鍛造後に行う研磨加工に
よる寸法調整に多大な時間を要し、シューの製造コスト
は著しく高くなる。したがって、寸法精度の高い球冠状
シュー安価に製造するためには、テーパ面の角度は小さ
いほうが望ましいのである。ちなみに、シューの高さ寸
法の精度が悪い場合は、例えば、シューとピストンとの
両摺接面間が大きくなりすぎるときは異物が入り易くな
り、また、両摺接面間が小さくなりすぎるときは両者間
の摩擦が過大になり、いずれのときも摺動特性は落ちる
ことになる。
【0009】本項に記載の球冠状シューは、テーパ面の
角度が20゜を超え80゜以下ととされていることか
ら、摺動特性および製造コストの両者について満足でき
る実用的な球冠状シューとなる。
【0010】ここで、球冠状シューは、上記形状、平た
く言えば、ピストンと係合する側がほぼ球面をなし、斜
板と係合する側がほぼ平面をなす形状であるため、一般
に半球シューと称されている。しかし、必ずしも厳密に
球面や平面とされるわけではなく、摺動性能の向上等を
目的として球面や平面から僅かに外れた形状とされるこ
とが多い。また、可変容量型圧縮機用のものは半球より
小さく、固定容量型圧縮機用のものは半球より大きくさ
れるのが普通である。可変容量型圧縮機においては、斜
板の両側に配設される一対のシューの両球面部がほぼ一
球面上に位置することが必要であるため、半球より斜板
の厚さの半分だけ小さくされる。また、固定容量型圧縮
機においては、上記のような制限がないため、シューの
平面部が摩耗した場合でも、摺動面の面積が減少しない
ようにする等の理由で、半球よりやや大きくされること
が多い。そこで、本明細書においては両タイプのシュー
を総称して球冠状シューと称する。
【0011】なお、本項記載の球冠状シューにおいて、
斜板側摺接面とピストン側摺接面とを繋ぐ側面は、斜板
側摺接面に隣接する部分に上記テーパ面を有するもので
あればよく、そのテーパ面となる部分を除く他の部分の
面の形状が限定されるものではない。例えば、そのテー
パ面がピストン側摺接面に繋がる態様のもの、つまりそ
のテーパ面が側面の全部を構成する態様であってもよ
い。また、例えば、他の部分が、斜板側摺接面の延長面
となす角度が90゜等の任意の角度となる円柱側面形状
の面あるいは円錐台側面形状の面をなし、その面がテー
パ面およびピストン側摺接面の両者に繋がる態様であっ
てもよい。また、テーパ面とピストン側摺接面とを繋ぐ
側面の部分が1つあるいは2つ以上の異なる曲率を有す
る曲面をなす態様のものであってもよい。
【0012】(2)前記テーパ面と前記斜板側摺接面の
延長面とのなす角度が30゜以上である(1)項に記載の
球冠状シュー。テーパ面の角度を30゜以上と比較的大
きくすれば、異物を排斥する特性は向上してシューの斜
板側摺接面の傷はより減少し、より摺動特性に優れた球
冠状シューとなる。
【0013】(3)前記テーパ面と前記斜板側摺接面の
延長面とのなす角度が40゜以上である(2)項に記載の
球冠状シュー。さらに、テーパ−面の角度を40゜以上
と大きくすれば、異物排斥特性はさらに向上し、さらに
摺動特性の良好な球冠状シューとなる。
【0014】(4)前記テーパ面と前記斜板側摺接面の
延長面とのなす角度が60゜以下である(1)項ないし(3)
項のいずれかに記載の球冠状シュー。テーパ面の角度6
0゜以下とすれば、鍛造金型セットのキャビティ内にお
いて、素材量のバラツキをシュー側面で吸収可能な空間
をより大きくすることができる。したがって、素材のバ
ラツキを許容する範囲が拡大することで、素材調製のた
めのコストがより削減でき、より安価に製造可能な球冠
状シューとなる。
【0015】(5)前記テーパ面と前記斜板側摺接面の
延長面とのなす角度が50゜以下である(4)項に記載の
球冠状シュー。テーパ面の角度を50゜以下とさらに小
さくすれば、素材量のバラツキの吸収がさらに容易にな
り、さらに安価に製造可能な球冠状シューとなる。
【0016】(6)前記テーパ面と前記斜板側摺接面と
がコーナRを挟んで互いに隣接する(1)項ないし(5)項の
いずれかに記載の球冠状シュー。テーパ面と斜板側摺接
面とが直接隣接する態様の場合、すなわち両面のコーナ
がいわゆるピン角の場合、そのコーナで斜板表面を擦る
状態となる。後に詳しく説明するが、斜板の摺接面に
は、潤滑性をより担保するために、固体潤滑剤を含んだ
潤滑被膜が形成される場合もあり、その潤滑被膜は比較
的強度、硬度が低く、そのような場合には、シューのピ
ン角のコーナが潤滑被膜を剥ぎ取るようにも作用する。
また、ピン角である場合、潤滑油まで排斥し、シューと
斜板とのそれぞれの摺接面の間に充分なる潤滑油を取り
入れることが難しくなる。さらにまた、球冠状シュー
は、表面を平滑にするためバレル研磨されることが多
く、ピン角のコーナを有するシューでは、このバレル研
磨において互いにぶつかり合あって打痕が付く可能性が
高い。また、後に詳しく説明するように、表面に金属メ
ッキ被膜を形成させたシューも存在し、かかるシューに
おいてピン角のコーナを有する場合、バレル研磨によっ
てそのコーナ部分の金属メッキ被膜が磨耗し、母材が露
出してしまう可能性もある。これらの現象は、いずれ
も、コーナがピン角であることによるデメリットであ
る。本項に記載の球冠状シューは、テーパ面と斜板側摺
接面とがコーナRを挟んで隣接しており、言い換えれ
ば、そのコーナに丸みを帯びており、上述したデメリッ
トの少ない、良好な品質の球冠状シューとなる。
【0017】(7)前記コーナRの曲率半径が0.05
mm以上である(6)項に記載の球冠状シュー。 (8)前記コーナRの曲率半径が0.1mm以上である
(7)項に記載の球冠状シュー。 (9)前記コーナRの曲率半径が0.15mm以上であ
る(8)項に記載の球冠状シュー。コーナRを設けること
による上記デメリットの緩和効果、すなわち、潤滑油の
摺接面間への取り込み,バレル研磨加工におけるシュー
の打痕の抑制,金属メッキ被膜磨耗抑制等の効果を実質
的に得るためには、0.05m以上の曲率半径を有する
コーナであることが望ましい。また、それらの効果は、
コーナRがある程度までは大きいほうが高くなる。した
がって、その効果を重視すれば、コーナRが0.1mm
以上であることが望ましく、0.15mm以上であるこ
とがより望ましい。
【0018】(10)前記コーナRの曲率半径が0.5
mm以下である(6)項ないし(9)項のいずれかに記載の球
冠状シュー。 (11)前記コーナRの曲率半径が0.4mm以下であ
る(10)項に記載の球冠状シュー。 (12)前記コーナRの曲率半径が0.3mm以下であ
る(11)項に記載の球冠状シュー。コーナRが大きくなる
場合、比較的小さい異物は、上記テーパ面ではなくコー
ナRの部分で接する。その場合、異物を排斥する特性
は、異物との接点におけるコーナRへの接平面と上記斜
板側摺接面の延長面とのなす角度(以下、接平面角度と
いう)に依存する。テーパ面で異物と接触してその異物
を排斥する場合、接平面角度が大きいほど異物排斥特性
は向上する。コーナRの曲率半径が小さいほど、同じ大
きさの異物がそのコーナRに接触するときの接平面角度
が大きくなる。つまり、コーナRの曲率半径が小さいほ
ど異物の排斥特性は向上する。テーパ面で異物と接触し
その異物を排斥する場合、上述したように、テーパ面の
角度が20゜を超えるときに良好な異物の排斥特性が得
られる。同様に、コーナRの部分で異物と接触してその
異物を排斥する場合も、やはり、上記接平面角度が20
゜を超えるときに良好な異物排斥特性が得られると考え
られる。後に詳しく説明するが、一例を挙げれば、異物
を球体であると仮定した場合、コーナRの曲率半径が
0.5mmであって約30μmの直径の異物と接触する
ときに20゜の接平面角度が得られる。コーナRの曲率
半径が0.3mmであって約20μmの直径の異物と接
触するときにそれと同じ接平面角度が得られることにな
る。以上のことを総合すれば、異物排斥効果を重視する
場合、コーナRの曲率半径が0.5mm以下であること
がよく、0.4mm以下であることがより望ましく、
0.3mm以下であることがさらに望ましい。
【0019】(13)母材がアルミニウム系合金からな
る(1)項ないし(12)項のいずれかに記載の球冠状シュ
ー。本発明の球冠状シューは、その母材の材質が限定さ
れるものではない。種々の金属材料で形成することがで
きる。母材がアルミニウム系合金からなる本項に記載の
シューは、軽量であることから、特に軽量化が望まれる
斜板式圧縮機、例えば車両用エアコンディショナ等の用
途に供される斜板式圧縮機等に好適なシューとなる。ア
ルミニウム系合金は、その種類が限定されるものではな
い。既に慣用されているアルミニウム系合金、種々の公
知のアルミニウム系合金を用いることができる。より具
体的には、例えば、A4032等の共晶組成付近のAl
−Si系合金を用いることができる。Al−Si系合金
は、熱膨張率が小さく、耐磨耗性が良好であり、この合
金を用いれば、良好な摺動特性を有するシューとなる。
また、例えば、A2017,A2024等のAl−Cu
−Mg系の合金を用いることができる。Al−Cu−M
g系合金は強度が高いことから、この合金を用いれば、
高強度であり、耐久性に優れたシューとなる。
【0020】(14)前記表面の少なくとも一部に硬質
金属メッキ被膜が形成された(13)項に記載の球冠状シュ
ー。アルミニウム系の合金は、強度、硬度が低いことか
ら、変形し易く、傷が付き易く、また、耐磨耗性に劣る
という欠点がある。表面に硬質金属メッキ被膜が形成さ
れた本項に記載の球冠状シューは、その部分において、
高い耐磨耗性を有する。また、異物によっても傷が付き
難く、摺接面に硬質金属メッキ被膜を形成した場合は、
良好な摺動特性を有するシューとなる。硬質金属メッキ
被膜は、シュー表面の任意の一部にのみ、例えば斜板側
摺接面等にのみ形成されるものであってもよく、また、
シューの全表面に形成されるものであってもよい。
【0021】硬質金属メッキ被膜の種類は、限定される
ものではないが、母材となるアルミニウム系合金より高
い硬度を有するものであれば、傷の発生の抑制等の効果
を実質的に得ることができる。ビッカース硬さがHV
00以上の金属メッキ被膜であることが望ましく、かか
る硬質金属メッキ被膜を形成したシューは、耐摩耗性が
高く、また、傷発生を充分に抑制することが可能とな
る。具体的には、無電解ニッケルメッキ,Co−P系等
の無電解コバルトメッキ,硬質クロムメッキ等、種々の
メッキによる被膜を採用することができる。これらの中
でも、Ni−P,Ni−B等の無電解ニッケルメッキ
は、均一な硬質金属メッキ被膜を形成できることに加
え、その被膜は、析出時においてビッカース硬さHv5
00以上の高い硬度を有し、耐磨耗性、耐食性もに優れ
る。そのようなメリットを考慮した場合、硬質金属メッ
キ被膜は、無電解ニッケルメッキ被膜であることが望ま
しい。
【0022】硬質金属メッキ被膜は、単一の被膜層から
形成されるものでもよく、また、2以上の異なる種類の
被膜層が積層されて形成されるものであってもよい。例
えば、シュー表面を形成する外層と、外層と母材表面と
の間に介在する内層との2つの被膜層からなる態様で実
施することができる。無電解ニッケルメッキ被膜で2層
構造の被膜を形成させる場合、内層を主にリンを共析さ
せたNi−P系の無電解ニッケルメッキとし、外層をN
i−P系の無電解ニッケルメッキの中でも低リンであっ
て他元素をも共析させものとすることが望ましい。Ni
−P系のものは、母材となるアルミニウム合金との密着
性に優れ、成膜速度が大きく、メッキ浴材料等のメッキ
コストが安く、耐食性に優れている。したがって、かか
る態様のシューは、それらの利点を充分に発揮し、被膜
密着性、耐食性、耐久性等に優れた良好な特性を有する
球冠状シューとなる。なお、Ni−P系の無電解ニッケ
ルの中でも、ホウ素およびタングステンをも共析させた
Ni−P−B−W無電解ニッケルメッキは、耐磨耗性が
極めて優れる。したがって、それを外層に適用すること
がより望ましい。また、Ni−P無電解ニッケルメッキ
は、Ni−P系の無電解ニッケルメッキの中でも、極め
て安価であり、また、母材との密着性に優れる。したが
って、それを内層に提供することがより望ましい。な
お、Ni−P系無電解ニッケルメッキの内層とNi−B
系無電解ニッケルメッキの外層との2つの被膜層からな
る硬質金属メッキ被膜の場合、内層の膜厚を1μm〜2
5μm、外層の膜厚を19μm〜75μmとし、全体の
膜厚を20μm〜100μmとすることが望ましい。
【0023】(15)母材が鉄系合金からなる(1)項な
いし(12)項のいずれかに記載の球冠状シュー。鉄系の合
金は、安価であり、強度,硬度が比較的高い。したがっ
て、本項に記載のシューは、安価であり、耐磨耗性、耐
久性等に優れたシューとなる。鉄系の合金は、その種類
が限定されるものではないが、極めて硬度が高くかつ耐
磨耗性、耐熱性に極めて優れるという理由から、SUJ
2(鋼炭素クロム軸受鋼)を採用することが望ましい。
SUJ2製のシューの場合、調質のため、焼入れ、焼戻
し等の、熱処理を行って製造することが望ましい。
【0024】(16)斜板と、ピストンとを備えてな
り、その斜板とそのピストンとの間に、(1)項ないし(1
5)項のいずれかに記載の球冠状シューが配設されたこと
を特徴とする斜板式圧縮機。つまり、本項記載の斜板式
圧縮機は、上記それぞれの態様の球冠状シューを用いた
斜板式圧縮機であり、その態様に応じたそれぞれの利点
を享受でき、良好な摺動特性を有し、円滑に作動し、耐
久性に優れた斜板式圧縮機となる。
【0025】(17)前記斜板の母材が鉄系合金からな
る(16)項に記載の斜板式圧縮機。鉄系の合金は安価であ
り、鉄系合金からなる斜板を有する斜板式圧縮機は安価
である。また、例えば、可変容量型の斜板式圧縮機で
は、圧縮機容量の変化は斜板と斜板の回転軸とのなす角
度(傾斜角)によって調整されるが、一定の容量で運転
する場合には、斜板の傾斜角が一定であることが望まし
く、斜板の質量をある程度大きくすれば、その慣性力に
よって斜板の傾斜角は安定する。母材が鉄系合金からな
る斜板はその質量が比較的重く、大きな慣性力を得られ
ることで、かかる鉄系斜板を有する可変容量型の斜板式
圧縮機は安定性に優れる。その形状が複雑であることを
考慮すれば、鉄系斜板は鋳造成形されることが望まし
く、したがって、母材を形成する鉄系合金は鋳鉄である
ことが望ましい。さらに、鋳鉄の中では、強度が高く、
耐久性の高いという理由から、ダクタイル鋳鉄であるこ
とが望ましく、その中でもより高強度なFCD700で
あることがより好ましい。
【0026】(18)前記斜板の表面の前記球冠状シュ
ーが摺接する部分に潤滑被膜が形成された(16)項または
(17)項に記載の斜板式圧縮機。斜板とシューとの摺動
は、斜板が高速回転させられることから、極めて過酷な
条件となる。したがって、シューが摺動する斜板の表面
の部分に、潤滑を担保するための潤滑被膜を形成した本
項記載の斜板式圧縮機は、固体潤滑剤の働きにより、斜
板とシューとの間の摩擦が減じられ、極めて円滑な動作
が可能な斜板式圧縮機となる。なお、潤滑被膜は、摩擦
を減じるという機能から減摩被膜と称することもでき
る。
【0027】潤滑被膜は、例えば、固体潤滑剤を合成樹
脂で結着した被膜とすることができる。その場合、その
固体潤滑剤が、MoS2(二硫化モリブデン),BN
(窒化ホウ素),WS2(二硫化タングステン),グラ
ファイト,PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の
うち少なくとも1つを含む態様で実施でき、また、その
合成樹脂が、ポリアミドイミド,エポキシ樹脂,ポリエ
ーテルケトン,フェノール樹脂の少なくとも1つを含む
態様で実施できる。その場合、潤滑被膜の形成は、固体
潤滑剤を分散した合成樹脂を、スプレー等により斜板の
摺接面に塗布し、その樹脂を硬化させて行えばよい。な
お、潤滑被膜は、3μm〜30μmの膜厚を有すること
が望ましい。
【0028】上記潤滑被膜は、膜の強度が比較的小さ
く、シューと斜板との摺接面間に入り込んだ異物や、シ
ューの傷等によって、剥離、磨耗等させられ易い。上記
種々の態様の球冠状シューを採用する本項記載の斜板式
圧縮機は、上述したシューの作用により摺接面間に異物
が入りにくく、シューの傷の発生も抑制されていること
から、斜板の表面に形成された上記潤滑被膜を傷つける
ことが少なく、良好な摺動特性を長期にわたって維持可
能な斜板式圧縮機となる。
【0029】(19)前記斜板の表面の前記球冠状シュ
ーが摺接する部分に、アルミニウム,銅あるいはこれら
の合金からなる金属溶射膜が形成され、その表面に前記
潤滑被膜が形成されている(18)項に記載の斜板式圧縮
機。上述したように、潤滑被膜は、斜板の母材と比較的
して、その強度が低い。この潤滑被膜が磨耗、剥離等し
て除去された場合をも考慮すれば、その場合、斜板の母
材が直に摺動することになり、その部分の摺動特性は悪
化する。引き続いて母材の磨耗等が発生すれば、摺動特
性が著しく悪化する。母材と潤滑被膜との間に上記溶射
膜を形成させた斜板は、その金属溶射膜の良好な摺動特
性によって、上記潤滑被膜が除去された場合であって
も、良好な摺動特性を維持できることになる。なお、鉄
系合金からなるシューと母材が鉄系合金で形成された斜
板との摺接の場合、潤滑被膜が除去されたときには、同
種の材料が直接摺接することが考えられ、焼き付く可能
性もある。金属溶射膜は、かかる焼き付きを防止あるい
は抑制する機能をも有する。金属溶射被膜は、比較的安
価であるという理由から、アルミニウム溶射膜であるこ
とが望ましい。なお、金属溶射膜は、100μm〜20
0μmの膜厚を有することが望ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態とし
て、車両用エアコンディショナに用いられる斜板式圧縮
機とそれの構成部品である球冠状シューを例に取り、図
面に基づいて詳細に説明する。なお、説明の便宜上、ま
ず、斜板式圧縮機の全体構成を説明し、次いで、そのシ
ューの形状等およびそのシューと斜板との摺接状態を説
明した後、さらにそのシューの製造方法を説明する。
【0031】〈斜板圧縮機の全体構成〉図1に、本発明
の斜板式圧縮機を示す。図1において、10はシリンダ
ブロックであり、シリンダブロック10の中心軸線周り
の一円周上には、軸方向に延びる複数のシリンダボア1
2が形成されている。シリンダボア12の各々には、片
頭ピストン14(以下、ピストン14と略称する)が往
復運動可能に配設されている。シリンダブロック10の
軸方向の一端面(図1の左側の端面であり、前端面と称
する)には、フロントハウジング16が取り付けられ、
他方の端面(図1の右側の端面であり、後端面と称す
る)には、リヤハウジング18がバルブプレート20を
介して取り付けられている。フロントハウジング16,
リヤハウジング18,シリンダブロック10等により斜
板式圧縮機のハウジングが構成されている。リヤハウジ
ング18とバルブプレート20との間には、吸入室2
2,吐出室24が形成され、それぞれ、吸入ポート2
6,供給ポート28を経て、図示しない冷凍回路に接続
される。バルブプレート20には、吸入孔32,吸入バ
ルブ34,吐出孔36,吐出バルブ38等が設けられて
いる。
【0032】上記ハウジング内には、回転軸50が、シ
リンダブロック10の中心軸線を回転軸線として回転可
能に設けられている。回転軸50は、その両端部におい
てそれぞれフロントハウジング16,シリンダブロック
10にベアリングを介して回転可能に支持されている。
シリンダブロック10の中心部には、支持穴56が形成
されており、その支持穴56において上記ベアリングを
介して支持されているのである。回転軸50のフロント
ハウジング16側の端部は、図示しない駆動源としての
車両エンジンに、電磁クラッチ等のクラッチ装置を介し
て連結されている。したがって、車両エンジンの作動時
に、クラッチ装置によって回転軸50が車両エンジンに
接続されれば、回転軸50が自身の軸線まわりに回転さ
せられる。
【0033】回転軸50には、斜板60が軸方向に相対
移動可能かつ傾動可能に取り付けられている。斜板60
には、中心線を通る貫通穴61が形成され、この貫通穴
61を回転軸50が貫通している。貫通穴61は、両端
開口側ほど図1における上下方向に内のり寸法が漸増さ
せられ、それら両端部の横断面形状が長穴をなしてい
る。回転軸50にはまた、回転板62が固定され、スラ
ストベアリング64を介してフロントハウジング16に
受けられている。斜板60は、ヒンジ機構66により、
回転軸50と一体的に回転させられるとともに、軸方向
の移動を伴う傾動を許される。ヒンジ機構66は、回転
板62に固定的に設けられた支持アーム67と、斜板6
0に固定的に設けられ、支持アーム67のガイド穴68
にスライド可能に嵌合されたガイドピン69と、斜板6
0の貫通穴61と、回転軸50の外周面とを含むもので
ある。
【0034】前記ピストン14は、斜板60の外周部を
跨ぐ状態で係合させられる係合部70と、係合部70と
一体に設けられ、シリンダボア12に嵌合される頭部7
2とを備えている。本実施形態における頭部72は、中
空頭部とされて軽量化が図られている。頭部72,シリ
ンダボア12およびバルブプレート20が共同して圧縮
室を形成している。また、係合部70は一対の球冠状シ
ュー76(以下、シュー76と略称する)を介して斜板
60の外周部と係合させられている。シュー76につい
ては後に詳しく説明する。
【0035】斜板60の回転運動は、シュー76を介し
てピストン14の往復直線運動に変換される。ピストン
14が上死点から下死点へ移動する吸入行程において、
吸入室22内の冷媒ガスが吸入孔32,吸入バルブ34
を経てシリンダボア12内の圧縮室に吸入される。ピス
トン14が下死点から上死点へ移動する圧縮行程におい
て、シリンダボア12内の圧縮室の冷媒ガスが圧縮さ
れ、吐出穴36,吐出バルブ38を経て吐出室24に吐
出される。冷媒ガスの圧縮に伴ってピストン14には、
軸方向の圧縮反力が作用する。圧縮反力は、ピストン1
4,斜板60,回転板62およびスラストベアリング6
4を介してフロントハウジング16に受けられる。
【0036】シリンダブロック10を貫通して給気通路
80が設けられており、この給気通路80により、吐出
室24と、フロントハウジング16とシリンダブロック
10との間に形成された斜板室86とが接続されてい
る。給気通路80の途中には、電磁制御弁90が設けら
れており、この電磁制御弁90のソレノイド92への電
流供給は、コンピュータを主体とする制御装置(図示省
略)により、冷房負荷等の情報に応じて制御される。
【0037】回転軸50の内部には、排出通路100が
設けられている。排出通路100は、一端において前記
支持穴56に開口させられるとともに、他端において斜
板室86に開口させられている。支持穴56は排出ポー
ト104を経て吸入室22に連通させられている。
【0038】本斜板式圧縮機は可変容量型であり、高圧
側である吐出室24と低圧側である吸入室22との圧力
差を利用して斜板室86内の圧力が制御されることによ
り、ピストン14の前後に作用するシリンダボア12内
の圧縮室の圧力と斜板室86の圧力との差が調節され、
斜板60の傾斜角度が変更されてピストン14のストロ
ークが変更され、圧縮機の吐出容量が調節される。具体
的には、電磁制御弁90の励磁,消磁の制御により、斜
板室86が吐出室24に連通させられたり、遮断された
りすることによって、斜板室86の圧力が制御される。
【0039】シリンダブロック10およびピストン14
は、金属の一種であるアルミニウム合金製のものとさ
れ、ピストン14の外周面には、フッ素樹脂のコーティ
ングが施されている。フッ素樹脂でコーティングすれ
ば、同種金属との直接接触を回避して焼付きを防止しつ
つシリンダボア12との嵌合隙間を可及的に小さくする
ことができる。ただし、シリンダブロック10やピスト
ン14の材料、コーティング層の材質等は、上述の材料
等に限らず、他の材料等であってもよい。
【0040】ピストン14の係合部70は、概してU字
形をなし、頭部72の中心軸線と直交する方向に互いに
平行に延びる一対のアーム部120,122と、これら
アーム部120,122の基端同士を連結する連結部1
24とを備えている。アーム部120,122の互いに
対向する側面には、それぞれシュー76を保持しつつシ
ュー76と摺接する凹球面状の摺接面128が形成され
ている。これら2つの摺接面128は同一球面上に位置
している。
【0041】上記シュー76が摺動する斜板60は、そ
の母材がダクタイル鋳鉄(FCD700)からなる。シ
ュー76が摺接する摺接面132,134には、図示し
ていないが、母材の表面に金属溶射膜であるアルミニウ
ム溶射膜が形成され、さらにその表面に潤滑被膜が形成
されている。この潤滑被膜は、合成樹脂にMoS2およ
びグラファイトを分散させたものであり、摺接面におけ
る摩擦を充分に減じてシュー76と斜板60との摺動特
性を良好なものとしている。なお、アルミニウム溶射膜
は、潤滑被膜が何らかの要因で、磨耗、剥離等して除去
された場合であっても、母材が直接摺接することを防止
しつつ、摺動特性を良好に保つように機能する。本斜板
60においては、潤滑被膜の膜厚は15μmであり、ア
ルミニウム溶射被膜の膜厚は60μmである。なお、斜
板の母材の材質、潤滑被膜の種類,膜厚あるいはそれの
有無、アルミニウム溶射膜の膜厚あるいはそれの有無等
の斜板の構成については、前述したような種々の構成と
することができる。
【0042】〈シューの形状等およびシューと斜板との
摺接状態〉図2に、シュー76の正面断面図を示す。シ
ュー76は、その表面が、略平面をなし斜板60と摺接
する斜板側摺接面136と、略球面をなしピストン14
と摺接するピストン側摺接面138と、斜板側摺接面1
36とピストン側摺接面138とを繋ぐ側面140とに
概ね区画される。斜板側摺接面136は、厳密には僅か
に中高の曲面(例えば、曲率半径がきわめて大きい凸球
面)とされている。また、斜板側摺接面136の中央に
は、潤滑油を貯留させて摺動特性をより良好なものとす
るための凹所142が形成されている。したがって、斜
板側摺接面136は、環状の面となる。
【0043】また、斜板側摺接面136とピストン側摺
接面138とを繋ぐ側面140は、斜板側摺接面136
に隣接する部分が斜板側摺接面136の延長面144と
所定の角度α(以下、テーパ面角度αと称す)をなすテ
ーパ面146(円錐台の側面の形状となっている)とな
っている。本実施形態のシュー76では、テーパ面角度
αは45゜になっている。また、側面140は、テーパ
面146以外の部分(図においてテーパ面146の上部
に位置する部分)が、比較的大きな曲率の曲面148と
なっている。そして、この曲面148は、テーパ面14
6およびピストン側摺接面138のそれぞれに明確な境
目なく滑らかに繋がっている。また、テーパ面146と
斜板側摺接面136とは、コーナR150を介して繋が
っている。言い換えれば、テーパ面146と斜板側摺接
面136とは、コーナR150を挟んで互いに隣接して
いる。本実施形態のシュー76では、このコーナR15
0、厳密にはコーナR150の曲率半径は、0.2mm
になっている。なお、凹所142を形成する面と斜板側
摺接面136との間にも同様の小さなコーナRが存在し
ている。
【0044】図1をも参照しつつさらに説明すれば、一
対のシュー76は、ピストン側摺接面138においてピ
ストン14の摺接面128に摺動可能に保持され、斜板
側摺接面136において斜板60の外周部の両側面であ
る両摺接面132,134に接触し、斜板60の外周部
を両側から挟持する。言い換えれば、シュー76は、斜
板側摺接面136において斜板60と摺動し、ピストン
側摺接面138においてピストン14と摺動するものと
なっている。なお、一対のシュー76は、その状態でピ
ストン側摺接面138が同一球面上に位置するように設
計されている。つまり、シュー76は、半球より斜板6
0の厚さの略半分だけ小さい高さをもつ球冠に近い形状
をなしている。
【0045】シュー76は、母材152と、母材152
の表面を被覆する硬質金属メッキ被膜154とからな
る。図2には、硬質金属メッキ被膜154の厚みが、理
解を容易にするために誇大に示されている。母材152
は、アルミニウムを主成分とし、共晶付近の組成割合と
なるようにシリコンを含有するA4032相当のAl−
Si系合金からなる。硬質金属メッキ被膜154は、無
電解ニッケルメッキ被膜であり、硬度,強度が高く、シ
ュー76の磨耗を防止するとともにシュー76に傷がつ
くのを防止している。図には示していないが、硬質金属
メッキ被膜154は、シュー76の表面を形成する外層
と、外層と母材表面との間に介在する内層との2つの被
膜層からなり、それぞれ、外層はNi−P−B−W無電
解ニッケルメッキによる、内層はNi−P無電解ニッケ
ルメッキによる被膜層である。ちなみに、外層の平均膜
厚は25μm、内層の平均膜厚は25μmで、硬質金属
メッキ被膜154全体での平均膜厚が50μmとなって
いる。なお、母材152の材質、硬質金属メッキ被膜1
54のメッキ材質、膜厚、層数等の構成に付いては、本
実施形態のものに限らず、前述したような種々の構成と
することができる。
【0046】図3に、シュー76と斜板60のと摺接状
態を、拡大した一部断面で示す。本図では、解り易くす
るために、シュー76の硬質金属メッキ被膜および斜板
のアルミニウム溶射膜,潤滑被膜を省略してある。シュ
ー76の斜板側摺接面136は、上述したように、僅か
に中高の曲面となっていることから、摺接状態におい
て、シュー76の外周側の斜板側摺接面136と斜板6
0の摺接面132,134(以下、単に摺接面132と
略す)との間には、微小間隔の隙間160が存在する。
この隙間160の存在により、摺接面間に良好な潤滑油
膜の形成がなされ、摺動特性が向上する。なお、理解を
容易にするため、図3では、隙間160は誇張して示さ
れている。このシュー76のテーパ面146と斜板側摺
接面136の延長面144とのなす角度(テーパ面角度
α)は、実際には、摺接状態におけるテーパ面146と
斜板60の摺接面132とのなす角度(擬似テーパ面角
度α’と称する)と若干の差があるが、その差は極めて
小さく(図では誇張してある)、テーパ面角度αと擬似
テーパ面角度α’とは殆ど同じ角度と考えて問題はな
い。したがって、以下の説明においては、テーパ面角度
αについてのみ考察する。
【0047】シュー76が斜板60と摺動する状態(図
の→の方向にシュー76が相対的に動くものとする)に
おいて、斜板60の表面に存在する潤滑油は、シュー7
6のテーパ面146と斜板60の摺接面132とで区画
される断面が楔形の楔状空間162から、隙間160に
導かれる。楔状空間162内に異物164が入り込んだ
場合、本実施形態のシュー76ではテーパ面角度αが4
5゜,コーナR150の曲率半径が0.2mmでであ
り、適正な値となっているため、摺動特性に大きな影響
を与えるような比較的大きな異物はテーパ面146によ
って隙間160に入り込むことを阻止される。つまり、
適切なテーパ面角度である場合、異物164は、そのテ
ーパ面によって排斥される。したがって、適切なテーパ
面角度のテーパ面を有する本発明のシューは、異物の排
斥特性に優れ、異物が摺接面間に入り込みにくく、良好
な摺動特性が得られる。
【0048】ここで、コーナR150の曲率半径につい
て考察する。図3では、比較的大きな異物164が、楔
状空間162内に入り込んだ場合を図示している。コー
ナR150が比較的大きい場合であって、異物164が
比較的小さい場合は、異物164はコーナR150に接
触する。この様子を、図4に示す。この場合の、異物の
排斥特性は、異物164とコーナR150との接点にお
けるコーナR150への接平面166と、シュー76の
斜板側摺接面136の延長面144(本図の場合は斜板
の摺接面132と同じ面とみなしている)とのなす角β
(接平面角度βという)によって決まる。この接平面角
度βが大きい場合には異物の排斥特性は良好であり、あ
る程度小さくなる場合には異物が摺接面間に引き込まれ
易くなる。
【0049】異物164を球体と仮定し、この球体の直
径つまり異物粒径をqとし、コーナR150の曲率半径
をrとした場合、接平面角度βと異物粒径qおよび曲率
半径rとの間には、次式の関係が成立する。 r−r・cosβ=q/2+(q/2)・cosβ この関係式から計算により求めた各種異物粒径qおよび
各種曲率半径rの場合の接平面角度βを図5に示す。
【0050】図5から判るように、同じ異物粒径qで
は、コーナRrが小さいほうが接平面角度βが大きくな
り、同じコーナRrでは、異物粒径qが大きいほうが接
平面角度βが大きくなる。また、上記実施形態のシュー
76の場合、テーパ面角度αが45゜,コーナR150
の曲率半径が0.2mmでであり、約70μmの粒径の
異物146までが、テーパ面146に接触し、それ以下
の粒径の異物164がコーナR150に接触することが
判る。そして、上記実施形態のシュー76では、コーナ
Rに接触するものであっても、粒径20μm程度の異物
146までが接平面角度を20゜超え、かなり小さな粒
径の異物146までも排斥する効果の高いことが確認で
きる。
【0051】異物排斥効果の1つの目安として、接平面
角度20゜を設定した場合、コーナRの曲率半径が0.
5mmである場合、約30μm以上の粒径の異物の排斥
効果において優れるとすることができ、また、コーナR
の曲率半径が0.3mmである場合、約20μm以上の
粒径の異物の排斥効果において優れるとすることができ
る。
【0052】異物の排斥効果は、上述したようにコーナ
Rの曲率半径が小さいほうが優れる。しかし、これと逆
に、潤滑油の摺接面間への引き込みは、ある程度曲率半
径が小さいほうが良好である。また、前述したように、
コーナRが小さすぎることによるデメリットも存在す
る。そこで、シューのコーナRは、異物排斥効果と潤滑
油の引き込み効果等との兼ね合いを考慮して、そのシュ
ーの目的に応じた適切な曲率半径を設定すればよい。
【0053】なお、図示はしないが、比較のため従来の
シューについて説明すれば、前述したように、従来のシ
ューはこのテーパ面角度が数゜程度と小さい。かかるシ
ューでは、楔状空間に入り込んだ異物が容易に排斥され
ず、テーパ面が異物に乗り上げる格好となり、シューの
移動に伴って異物が摺接面間に押し込まれる状態とな
る。つまり、いわゆる楔効果によって異物が引き込まれ
易い。したがって、従来のシューでは、異物が摺接面間
に入り込み易いばかりか、入り込んだ異物がシューの斜
板側摺接面を深く傷付けることになる。また、斜板の摺
接面に形成された潤滑被膜を引っ掻くように削除する可
能性が高く、斜板の摺接面をも傷付けることになる。こ
れらの現象が奏合することで、従来のシューの摺動特性
は、満足できるものとはならない。
【0054】上記実施形態のシュー76においては、テ
ーパ面角度αが45゜、コーナR150の大きさ(曲率
半径)が0.2mmである。本発明のシューでは、テー
パ面角度およびコーナRの大きさは、前記〔発明が解決
しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に示
したように、目的とするシューに応じて任意の値を採用
することができる。また、上記実施形態のシュー76で
は、側面140は、テーパ面146とそれに繋がる曲面
148とから構成される。本発明のシューでは、上記構
成の側面に代えて、例えば、図6に示すような構成の側
面を採用できる。図6(a)に示すシュー76では、側
面140は、テーパ面146のみで構成される。つま
り、テーパ面146が、斜板側摺接面136とピストン
側摺接面138との両者に繋がる態様のシューである。
図6(b)に示すシュー76では、側面は140は、テ
ーパ面146と円筒面168とから構成される。つま
り、一端が斜板側摺接面136の外周に繋がるテーパ面
146の他端が円筒面168の一端に繋がり、円筒面1
68の他端がピストン側摺接面138の外周に繋がる態
様のシューである。このように、本発明のシューでは、
その側面が種々の形状となるように形成することができ
る。
【0055】〈シューの製造方法〉上記実施形態のシュ
ー76の製造方法の一例を説明する。この製造方法によ
れば、シューは、部分成形工程→鍛造工程→調質熱処理
工程→研磨工程→メッキ工程→仕上研磨工程を経て製造
される。部分成形工程から研磨工程まででシュー76の
母材152が成形され、メッキ工程で硬質金属メッキ被
膜154が形成される。以下、素材について説明した
後、各工程を順に説明する。
【0056】素材は、上述したアルミニウム系合金であ
り、シュー76の母材152の外径より小さな外径を有
しかつその高さより大きな高さを有する円柱形状をなす
ものである。この素材は、鋳造して得られた所定の組成
のアルミニウム合金からなるビレットを押出加工し、さ
らに引き抜き加工することで所定径の丸棒を作製し、そ
の丸棒に焼きなまし処理を施し、その処理後の丸棒を鋸
盤で所定の長さに切断し、さらに切断後の素材を表面を
平滑にすべくバレル研磨して調製したものである。
【0057】素材は、部分成形工程において、その一部
分を成形する部分成形加工が行われる。詳しくは、シュ
ー76の斜板側摺接面136の中央部に存在する凹所1
42の加工が行われる。部分成形工程の様子を、模式的
に図7に示す。部分成形は、素材170の外径と略同じ
内径でかつ素材170の高さより深い深さの開口空間を
172有する下型174と、開口空間172に挿入され
るパンチ176とを備えた金型セット178を用い、プ
レス設備によって行われる。開口空間172内に素材1
70をセットし、パンチ176の先端を素材170に押
し付け、所定の位置までパンチ176を下降させ、その
先端を据え込むようにして行う。パンチ176の先端の
跡が、凹所142(厳密には、凹所142の部分の母材
152の形状)となる。
【0058】次いで、部分成形された素材は、鍛造工程
において、鍛造成形される。鍛造工程の様子を、模式的
に図8に示す。鍛造成形は、上型180と下型182と
からなる金型セット184を用い、鍛造装置によって、
冷間で行われる。金型セット184は、上型180と下
型182とが合わさって閉型した状態において、シュー
76の母材152と略同じ形状のキャビティを形成す
る。下型182は、その中央部に、シュー76の斜板側
摺接面136の凹所142にぴったりと嵌る形状をなす
突起186を有し、部分成形された素材188を型内に
セットにする場合、形成された凹所142にこの突起1
86を挿入して素材188が位置決めされる。このよう
に、鍛造成形の前に予め凹所142を形成させておけ
ば、その凹所142を利用して型内の適正位置に素材1
88をセットでき、鍛造成形における塑性流動が等方化
され、鍛造されたシュー76の母材152は、形状寸法
のバラツキが小さく、高品質なものとなる。素材188
をセットした後、上型180を下降させて閉型すること
で、母材152が鍛造成形される。
【0059】より詳しく説明すれば、下型182の金型
面のうちの平面部190が、シュー76の斜板側摺接面
136(厳密には、斜板側摺接面136の部分の母材1
52の面)を成形し、傾斜部192が、テーパ面146
(厳密には、テーパ面146の部分の母材152の面)
を成形する。したがって、平面部190と傾斜部192
とのなす角度が、上記テーパ面角度αを決定する。ま
た、平面部190と傾斜部192との間の金型面につけ
られたコーナR194が、シュー76のコーナR150
を決定付ける。同様に、上型180の金型面196がシ
ュー76のピストン側摺接面138(厳密には、ピスト
ン側摺接面138の部分の母材152の面)を成形す
る。閉型した状態での下型182の平面部190と上型
180の金型面196との間隔が、シュー76の高さ寸
法(厳密には母材152の高さ寸法)を決定付ける。
【0060】球冠状シューは、その高さ寸法が高精度で
あることを要求される。しかし、都合のよいことに、上
記鍛造成形では、素材量のバラツキが成形された母材1
52の高さ寸法に影響を与えない。すなわち、母材15
2の外周部には、金型内に素材が充満されずに残る空間
198が存在するようになっており、この空間は、素材
量のバラツキを吸収する空間となる。言い換えれば、シ
ュー76の側面140のうち曲面148の部分が、あた
かも自由鍛造であるかのように、その素材量のバラツキ
に応じた形状に成形され、それ以外の部分である斜板側
摺接面136,ピストン側摺接面138および側面14
0のテーパ面146が、良好な寸法精度で成形される。
本実施形態のシューでは、テーパ面角度αが45゜であ
るため、素材量のバラツキを吸収するための金型内の空
間198の容積が大きく採れる。したがって、ある程度
大きなバラツキをもつ素材であっても寸法精度の高い鍛
造成形が可能となる。よって、素材調整のためのコスト
を削減でき、安価にシューを製造できることになる。な
お、テーパ面角度αが大きくなるにつれ、上記空間19
8の容積が小さくなることから、吸収できる素材量のバ
ラツキは小さくなる。
【0061】なお、本製造方法においては、鍛造成形は
一工程で行っているが、加工度の低いいくつかのサブ鍛
造成形を順次行う多工程の鍛造成形であってもよい。こ
の場合、いずれかのサブ鍛造成形の合間に、成形品に焼
きなまし処理を行うこともできる。
【0062】鍛造工程で成形された母材152は、調質
熱処理工程において、調質熱処理が行われる。本実施形
態のシューでは、施される調質熱処理は、T6処理であ
り、溶体化処理を行った後人工時効硬化処理を行う。溶
体化処理の条件は、加熱炉中に、約490℃の温度下、
約1時間保持した後、常温まで急冷すればよい。そして
人工時効硬化処理は、加熱炉中に約180℃の温度で約
5時間保持して行えばよい。なお、このT6処理に代え
て、T7処理を行ってもよい。T7処理は、溶体化処理
を行った後安定化処理を行うもので、その場合は、上記
条件の溶体化処理後、加熱炉中に約200℃の温度で約
5時間保持するという条件の安定化処理を行えばよい。
【0063】調質熱処理が施されたシュー76の母材1
52は、研磨工程において、寸法調整,表面平滑化等の
ための研磨加工が行われる。この研磨加工では、平面研
磨およびバレル研磨の2つの研磨加工を行う。平面研磨
は、斜板側摺接面136の部分の母材152の表面を研
磨するものであり、平面研磨機により、いくつかの母材
152を整列させ、遊離砥粒を用いて行う。バレル研磨
は、母材152の表面全体を研磨するものであり、バレ
ル研磨機中に遊離砥粒とともに母材152を投入して行
う。平面研磨は、シュー76の高さの微調整を主目的と
するものであり、寸法調整としての役割が大きい。これ
に対しバレル研磨は、どちらかといえば、シューの表面
を平滑にする役割が大きい。なお、この2つ研磨加工
は、いずれを先に行うものであってもよい。
【0064】次に、研磨された母材152は、メッキ工
程において、その表面に硬質金属メッキ被膜が形成され
る。メッキは、無電解ニッケルメッキであり、内層とし
てNi−Pメッキを、外層としてNi−P−B−Wメッ
キを、その順に行う。メッキは、公知の方法に従い、所
定の前処理を行った後、所定のメッキ浴に浸漬させて行
えばよい。
【0065】表面が硬質金属メッキ被膜154で被覆さ
れた母材152、つまりシュー76は、仕上研磨工程に
おいて、研磨加工が施される。この仕上研磨工程では、
主にバレル研磨を行い、必要とあらば平面研磨をも行
い、その後にバフ研磨が行われる。バレル研磨および平
面研磨については、上記研磨工程の場合と同様の方法で
行えばよい。バレル研磨においてはシュー76同士がぶ
つかり合うため、シュー76の表面にピン角あるいはそ
れに近いコーナが存在する場合、そのコーナにより互い
に傷付け合うことも考えられる。また、そのコーナの部
分に形成された硬質金属メッキ被膜154が大きく磨耗
し、場合によっては母材152が露出してしまうことも
考えられる。しかし、本実施形態のシュー76では、明
確なコーナとして存在するテーパ面146と斜板側摺接
面136との隣接する部分が、0.2mmという適切な
曲率半径のコーナR150となっているため、互いに傷
付け合うあるいは硬質金属メッキ被膜154が磨耗する
ことが充分に抑制される。
【0066】以上、説明した各工程を経て、上記球冠状
シュー76が完成する。製造方法は、上述した製造方法
に限定されるものでなく、本発明のシューは、製造対象
とする各種のシューの仕様に応じ、種々の態様の製造方
法で製造することが可能である。
【0067】〈他の実施形態の許容〉以上、本発明の一
実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態
に限定されるものではない。例えば、斜板との係合部の
両側に頭部を有する両頭ピストンを備える斜板式圧縮
機、ないしは、固定容量型斜板式圧縮機等、あるいは、
それらに配設される球冠状シューに適用することも可能
であり、その他、本発明は、前記〔発明が解決しようと
する課題,課題解決手段および効果〕の項に記載された
態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変
更、改良を施した形態で実施することができる。
【0068】
【実施例】上記〔発明の実施の形態〕の項で説明した球
冠状シューに基づいて、テーパ面の角度を変更したいく
つかのシューを作製した。また、従来から採用されてい
る形状のシューをも作製した。そしてそれぞれのシュー
に対して、斜板側摺接面の異物に対する性能(異物の排
斥特性、異物耐力等)を調査すべく、試験(以下、異物
耐力試験と称する)を行った。作製したシュー,異物耐
力試験の条件等およびその結果について、本〔実施例〕
の項において説明する。
【0069】〈作製した球冠状シュー〉シューは、5種
類の形状のものを作製し、それぞれを、#1〜#5と番
号付けした。作製したシューの主要部の形状を図9に模
式的に示す。 #1〜#5それぞれのシューの母材の材
質,表面に形成された硬質金属メッキ被膜の種類,膜厚
等については、上記〔発明の実施の形態〕の項で説明し
たものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0070】#1のシューは、従来から用いられている
形状のシューであり、その主要部の形状は、図9(a)
に示すとおりである。斜板側摺接面136の延長面14
4とテーパ−面146とのなす角度、つまりテーパ面角
度α1が10゜と小さい。斜板側摺接面136とテーパ
面146とに挟まれるコーナRの曲率半径R1は、0.
7mmである。テーパ面146と斜板の摺接面とで区画
される空間(本図ではテーパ面146と延長面144と
で区画される空間)、つまり楔状空間162の開口の高
さh1は0.16mmとなっている。
【0071】#2〜#4のシューは、本発明のシューで
あり、その主要部の形状は、図9(b)に示すとおりで
ある。テーパ面角度α2を、それぞれ、#2のシューで
は45゜と、#3のシューでは60゜と、#4のシュー
では70゜とした。すなわち、#2〜#4のいずれのシ
ューも、従来品である#1のシューに比べて、テーパ面
角αは大きなものとなっている。斜板側摺接面136と
テーパ面146とに挟まれるコーナRの曲率半径R
2は、いずれのシューも0.2mmとした。楔状空間1
62の開口の高さh2は、それぞれ、#2のシューでは
0.67mmと、#3のシューでは0.82mmと、#
4のシューでは0.89mmとなっている。
【0072】#5のシューは、比較のために作製したシ
ューであり、その主要部の形状は図9(c)に示すとお
りである。この#5のシューではテーパ面を設けず、側
面140と延長面144とのなす角度α3を90゜とし
た(テーパ面を延長面144と直角にしたと解すること
もできる)。つまり、円柱側面形状の側面140を斜板
側摺接面136に隣接させた形状をなしている。側面1
40と斜板側摺接面136とに挟まれるコーナの曲率半
径R3は略0mm、すなわち、そのコーナはピン角のコ
ーナとなっている。
【0073】〈異物耐力試験の条件等〉異物耐力試験
は、上記#1〜#5のシューを、実際の斜板に摺接させ
て行うものとした。異物耐力試験の様子を図10に示
す。異物耐力試験機210は、回転する斜板60と、そ
の摺接面132の上の対向する位置にシュー76を摺接
させることのできるシュー保持具212とを含んで構成
される。シュー保持具212は、シュー76のピストン
側摺接面を摺動保持し、斜板側摺接面を斜板60の摺接
面132に摺接可能にする。また、シュー保持具212
は、シュー76を斜板60に向かって所定の力で押し付
けることが可能となっている。斜板60は実機のもので
あり、母材の材質,摺接面132に形成されたアルミニ
ウム溶射膜の膜厚,潤滑被膜の種類および膜厚等につい
ては、上記〔発明の実施の形態〕の項で説明したものと
同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0074】試験の条件は、斜板60の摺接面132を
50μLの潤滑油で潤滑させ、#1〜#5のそれぞれの
シューを、シュー保持具212で保持しかつ斜板に向か
って784Nの力で押え付け、摺接面132に異物を模
擬した鋳物の粉砕粉を摺接面全体に10mg撒いた状態
で、斜板を1回転させるものとした。なお、鋳物粉は分
級して、その粒径が38〜75μmのものと、75〜1
20μmのものとの2種類を用意し、それぞれの鋳物粉
に対する試験を行った。試験後のシュー76の斜板側摺
接面に付いた傷の数と、付いた傷の最大深さとをもって
評価した。なお、傷の数は目視にて数えるものとし、傷
の深さは粗さ計にて測定するものとした。
【0075】〈評価結果〉下記〔表1〕に、それぞれの
鋳物粉について行った異物耐力試験の結果として、#1
〜#5の各シューに付いた傷の数および最大傷深さを、
各シューのテーパ面角度αおよびコーナRとともに示
す。また、図11に、粒径が38〜75μmの鋳物粉に
ついて行ったときの傷の数および最大傷深さを、図12
に、粒径が75〜120μmの鋳物粉について行ったと
きの傷の数および最大傷深さを、それぞれグラフにして
示す。
【0076】
【表1】
【0077】上記〔表1〕,図11および図12から明
らかなように、いずれの鋳物粉の場合も、テーパ面角度
αが10゜と小さい#1のシューは、傷の数が多く、か
つ、傷の深さが深い。それに対し、テーパ面角度αが大
きい#2〜#4のシューは、傷の数も少なく、また、傷
の深さも浅い。特に、大きな粒径の異物はシューおよび
斜板の摺接面を著しく傷付け、摺動特性を悪化させる程
度が高い。この大きな径の異物をシミュレートした75
〜120μmの粒径の鋳物粉についての試験結果におい
て、その傷の数の差、傷深さの差が大きく、その点から
も、テーパ面角度αが大きい#2〜#4のシューは、異
物排斥特性が良好であり、異物耐力に優れ、摺動特性の
極めて良好なシューであることが確認できる。
【0078】なお、テーパ−面を有さずかつピン角のコ
ーナを有する#5のシューは、比較のために作製したも
のである。この#5のシューは、#2〜#4のシューと
同様、異物排斥特性,異物耐力に優れるものの、前述し
たように、寸法精度の高いものを安価に製造することが
できず、また、そのコーナで斜板の摺接面を傷付ける可
能性があるため、実用的ではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である斜板式圧縮機を示す
正面断面図である。
【図2】図1に示す斜板圧縮機に配設される球冠状シュ
ーを示す正面断面図である。
【図3】図2に示す球冠状シューが斜板と摺接している
状態を示す一部拡大断面図である。
【図4】球冠状シューが斜板と摺接している状態におい
て、比較的コーナーRの大きいシューに比較的小さい異
物が接触する様子を示す一部拡大断面図である。
【図5】異物がコーナRに接触する状態において、異物
粒径q、コーナRの曲率半径rおよび接平面角度βとの
関係を示す図表である。
【図6】本発明の球冠状シューの異なる態様の側面の形
状を示す一部正面図である。
【図7】図2に示す球冠状シューの製造における部分成
形工程の様子を模式的に示す正面断面図である。
【図8】図2に示す球冠状シューの製造における鍛造工
程の様子を模式的に示す正面断面図である。
【図9】異物耐力試験を行った球冠状シューの主要部の
形状を模式的に示す正面一部断面図である。
【図10】異物耐力試験の様子を示す正面断面図であ
る。
【図11】異物耐力試験の結果として、粒径が38〜7
5μmの鋳物粉について行ったときの傷の数および最大
傷深さを示すグラフである。
【図12】異物耐力試験の結果として、粒径が75〜1
20μmの鋳物粉について行ったときの傷の数および最
大傷深さを示すグラフである。
【符号の説明】
14:片頭ピストン 60:斜板 76:シュー
132,134:摺接面(斜板の) 136:斜板
側摺接面 138:ピストン側摺接面 140:側
面 144:延長面(斜板側摺接面の) 146:
テーパ面 150:コーナR 152:母材(シュー
の) 154:硬質金属メッキ被膜 164:異物 166:接平面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野田 晃 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 村上 智洋 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 大久保 忍 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 Fターム(参考) 3H076 AA06 BB17 BB26 CC12 CC20 CC29 CC33 CC34 CC83

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 斜板式圧縮機において斜板とピストンと
    の間に配設されるシューであって、 その表面が、略平面をなし斜板と摺接する斜板側摺接面
    と、略球面をなしピストンと摺接するピストン側摺接面
    と、前記斜板側摺接面と前記ピストン側摺接面とを繋ぐ
    側面とに概ね区画され、 その側面の前記斜板側摺接面に隣接する部分が、その斜
    板側摺接面の延長面となす角度が20゜を超え80゜以
    下のテーパ面とされたことを特徴とする球冠状シュー。
  2. 【請求項2】 前記テーパ面と前記斜板側摺接面の延長
    面とのなす角度が30゜以上60゜以下である請求項1
    に記載の球冠状シュー。
  3. 【請求項3】 前記テーパ面と前記斜板側摺接面とがコ
    ーナRを挟んで互いに隣接し、そのコーナRの曲率半径
    が0.05mm以上0.5mm以下である請求項1また
    は請求項2に記載の球冠状シュー。
  4. 【請求項4】 斜板と、ピストンとを備えてなり、その
    斜板とそのピストンとの間に、請求項1ないし請求項3
    のいずれかに記載の球冠状シューが配設されたことを特
    徴とする斜板式圧縮機。
  5. 【請求項5】 前記斜板の表面の前記球冠状シューが摺
    接する部分に潤滑被膜が形成された請求項4に記載の斜
    板式圧縮機。
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