JP4843460B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents

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Description

本発明は、調理器本体の上面を構成するトッププレート上に載置される被加熱調理器具を加熱するための誘導加熱コイルを備えた誘導加熱調理器に関する。
誘導加熱調理器においては、被加熱調理器具の材質を問わず加熱できるようにするために、アルミニウムや銅などの低透磁率で電気伝導度が高い材料で構成される被加熱調理器具を如何にしてトッププレートの上面から反発移動する「鍋浮き」現象が発生しないように、且つ、効果的に加熱するかが課題となっている。この課題を解決するための従来技術として、特許文献1には、誘導加熱コイルとトッププレートとの間にアルミニウムから形成される発熱体を挿入し、誘導加熱コイルにより発熱体に誘導電流を誘起させてジュール熱を発生させること(以下、誘導加熱と称す)により被加熱調理器具を加熱する構成が開示されている。
特許第3465712号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、発熱体を誘導加熱コイルで誘導加熱することで被加熱調理器具を加熱するため、加熱効率が悪いという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、被加熱調理器具の材質を問わず加熱することができ、低透磁率で電気伝導度が高い材料で構成される被加熱調理器具であっても効率良く加熱することができる誘導加熱調理器を提供することにある。
請求項1記載の誘導加熱調理器は、調理器本体と、この調理器本体の上面を構成し、被加熱調理器具が載置されるトッププレートと、このトッププレートの下方に配置され、高周波電流の供給により前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を誘導加熱する誘導加熱コイルと、前記トッププレートと前記誘導加熱コイルとの間に設けられ、通電されると発熱して前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を加熱する板状加熱体と、前記板状加熱体を支持する板状加熱体支えと、前記板状加熱体と前記板状加熱体支えとの間に設けられる断熱体とを有し、前記板状加熱体は、基板と、この基板に重ねられた通電発熱体とを備えていることを特徴とする。
請求項記載の誘導加熱調理器によれば、誘導加熱コイルの他に、通電されると発熱する板状加熱体を備えているので、被加熱調理器具の材質を問わず加熱することができる。その上、板状加熱体は通電されると発熱するので、誘導加熱コイルに通電することによって発熱体を誘導加熱し、そして、その発熱体の発する熱で被加熱調理器具を加熱する場合に比べ、効率良く加熱することができる。また、板状加熱体から発する熱で誘導加熱コイルが加熱されることを、断熱体によって効果的に防止できる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1ないし図7を参照して説明する。
図1は、システムキッチンに組み込まれた誘導加熱調理器を示す。図1に示すように、調理器本体1は、本体ケース2と、この本体ケース2の上方に配置されたトッププレート3とを備えており、トッププレート3が調理器本体1の上面を構成している。
上記トッププレート3は、例えば2箇所に被加熱調理器具を載置する載置部4を有しており、これら載置部の下方に夫々誘導加熱コイル5が配設されている。なお、図2には、被加熱調理器具としての鍋6が示されている。また、トッププレート3の載置部4の下方には、当該トッププレート3と誘導加熱コイル5との間に位置する2個の板状加熱体7が配設されており、各載置部4の中心部の直下位置に当たるトッププレート3の下面には、サーミスタなどで構成される温度検知部8が設けられている
本体ケース2の前面には、操作パネル9とオーブン扉10が設けられており、使用者は、操作パネル9によって鍋6への加熱に関する各種操作を行うことができるようになっている。また、オーブン扉10の後方(本体ケース2の内部)には、図示しないオーブンが連なっている。
調理器本体1の内部であって、本体ケース2の上方に2個のコイルベース11が設けられており、このコイルベース11の上面側に前記誘導加熱コイル5が設けられている。この誘導加熱コイル5は、載置部4の直下となる位置にトッププレート3と対向して設けられており、鍋6を誘導加熱することができる構成となっている。
また、図2にも示すように、誘導加熱コイル5が支持される面(上面)と反対となるコイルベース11の面(下面)には、各誘導加熱コイル5の磁束の磁路を形成するための円形のフェライト12が、同じく円形の誘導加熱コイル5と同心となるように配置されている。尚、フェライト12は、誘導加熱コイル5と略同じ大きさに形成されている。
各誘導加熱コイル5の上方には、脚13を介してコイルベース11に取り付けられた板状加熱体支え14が夫々設けられており、これらの板状加熱体支え14の上面に板状加熱体7が、断熱体15を介して支持されている。板状加熱体7は、誘導加熱コイル5と同等の大きさになっている。
これらの板状加熱体支え14によって支えられた板状加熱体7は、誘導加熱コイル5とトッププレート3との間に位置されており、本実施形態では、各コイルベース11が複数本の圧縮コイルばね16を介して本体ケース2に支持されていることにより、その圧縮コイルばね16の弾発力によってトッププレート3の下面に接触するように配置されている。
ここで、図3ないし図5も参照して板状加熱体7の構成および板状加熱体7の板状加熱体支え14への取り付け構成について説明する。図3は、コイルベース11に取り付けられた状態の誘導加熱コイル5、板状加熱体7、断熱体15を分解して示す斜視図である。
板状加熱体7は、図3に示すように、4個の単位加熱体17からなる四分割型のもので、図4に示すように、全体としてほぼ円形状をなしている。4個の単位加熱体17は、同一構成のもので、ほぼ四分の一円の形状をなしている。各単位加熱体17は、図5に示すように、2枚のセラミック基板18、19を併せて構成される。
これらセラミック基板18、19は、窒化アルミからなり、焼成前の一方のセラミック基板18の片面には、通電発熱体20がパターン印刷によって付着される。そして、通電発熱体20を挟むようにして2枚のセラミック基板18、19を重ね合わせて焼成することにより、それらセラミック基板18、19が硬化すると共に互いに固着一体化される。これにより、通電発熱体20が2枚のセラミック基板18、19の間に重ね合わされた状態で一体化された単位加熱体17が形成される。
ここで、通電発熱体20は、例えばタングステンなどの非磁性の抵抗発熱材(通電されるとジュール熱を発する)からなり、図5に示すように、セラミック基板18に蛇行する線状に形成される。この通電発熱体20の形成領域は、板状加熱体7として構成されたとき、直径20cmの領域内に収まる領域に定められている。なお、通電発熱体20の両端には、リード線21が接続される。
一方、断熱体15は、繊維状セラミックの集成シートから構成され、板状加熱体7と同様に、4個の単位断熱体22からなる四分割型のもので、各単位断熱体22は、単位加熱体17と同一形状をなしている。また、板状加熱体7を受ける板状加熱体支え14は、板状加熱体7を構成する各単位加熱体17がずれ動かないようにするために、浅い4つの凹部23が形成されている。
そして、4個の各単位加熱体17は、各単位断熱体22の上に重ねられて板状加熱体支え14の各凹部23内に収容される。この場合、単位断熱体22は、凹部23から若干突出しており、トッププレート3の下面に直接接触できるようになっている。
図6は、誘導加熱調理器の制御系の電気的構成を示す機能ブロック図である。加熱制御手段としての加熱制御装置24は、誘導加熱コイル5および板状加熱体7の加熱制御を行うもので、鍋6の材質判定手段としても機能し、前記本体ケース2の内部に設けられ、図示しないマイクロコンピュータによって構成されている。この加熱制御装置24には、調理器本体1の操作パネル9から操作信号が入力されるとともに、前記温度検知部8から温度検知信号が入力される構成となっている。
そして、インバータ(高周波電流供給手段に相当)25には、商用交流電源26からの交流入力が整流回路(整流部に相当)27を介して直流に変換したものが駆動用電源として供給されている。前記加熱制御装置24は、これらの入力および予め記憶された制御プログラムに基づいて、インバータ25を制御し、このインバータ25を介して誘導加熱コイル5に高周波電流を供給して加熱制御する構成となっている。
また、誘導加熱コイル5には共振コンデンサ28が直列に接続されている。これらの誘導加熱コイル5または共振コンデンサ28は、鍋6などの材質に応じて出力調整を行なうため、誘導加熱コイル5の巻数が可変となるように構成し(例えば、多段コイル構成)、或は共振コンデンサ28の容量が可変となるように構成しても良い。
一方、商用交流電源からの交流入力がトライアック等のスイッチング素子からなる板状加熱体通電制御部29にも供給される。この板状加熱体通電制御部29は、板状加熱体7への交流電源の供給を制御するもので、その通電量は、加熱制御装置24からの指令により調整されている。
また、整流回路27の入力側と、インバータ25の出力側とには、夫々電流トランス30、31が配置されており、それらの検知信号は加熱制御装置24に与えられている。そして、加熱制御装置24は、誘導加熱調理器への入力電流とインバータ25の出力電流(コイル電流)とを検出するようになっている。
加熱制御装置24における材質判定手段としては、鍋6等の被加熱調理器具が高抵抗金属材料か否かを判定するもので、詳細は省略するが例えば一定の高周波電流を誘導加熱コイル5に供給して入力電流とインバータ25の出力電流であるコイル電流との関係に基づいて判定を行う。例えば、鉄などの磁性体の場合、誘導加熱コイル5が発生した磁束は鍋6を介して流れ易くなり、表皮効果(鍋6底の誘導加熱コイル5側に渦電流が集中する効果)も大きいので誘導加熱コイル5の等価抵抗も大きくなる。
一方、アルミや銅のように非磁性で抵抗が小さい材料の場合、誘導加熱コイル5が発生した磁束は鍋6に届き難くなり、漏れ磁束が多くなる。そして、比抵抗が小さく表皮効果も小さいので等価抵抗も小さくなる。この結果、入力電流と出力電流との大小の変化に基づき、材質を判定するとともに、予め設定された入力電力設定値に基づき誘導加熱コイル5による誘導加熱及び板状加熱体7による加熱を実行可能な構成となっている。
次に、上記構成の誘導加熱調理器の作用について説明する。
被調理物を収容した鍋6をトッププレート3の例えば載置部4に載置し、操作パネル9から必要な入力操作が行われることで加熱調理が開始される。このとき、加熱制御装置24が有する材質判定手段に基づき、鍋6の材質が高抵抗金属材料であると判断された場合、誘導加熱コイル5による加熱調理が行われる。
一方、鍋6の材質が高抵抗金属材料でない場合、加熱制御装置24は、材質がアルミや銅或いは非磁性SUSのような低抵抗の非磁性金属材料か、或いは土鍋のような非金属材料(若しくは無負荷)かを判断する。そして、低抵抗金属材料であれば、加熱制御装置24は、鍋6の底がトッププレート3より反発移動する「鍋浮き」現象を生じないように、予め設定された火力調整に基づく誘導加熱調理が実行される。
上記火力調整した加熱電力が通常の入力電力設定値より小さくなった場合には、加熱制御装置24は、その差の電力分が板状加熱体7に供給されるように板状加熱体通電制御部29を制御する。つまり、板状加熱体通電制御部29が、通電発熱体20に商用交流電源26から通電発熱体20に設けられた端子を介して電力を供給して、四分割構成された板状加熱体7の通電発熱体20からジュール熱を発生させる。
この通電発熱体20で発生したジュール熱は、板状加熱体7を構成する窒化アルミから形成されるセラミック基板18、19を介することにより、トッププレート3及び鍋6に対して均一に伝導され、熱伝導により鍋6を間接的に加熱する。
さらに、材質が非金属材料か或いは無負荷の場合は、誘導加熱コイル5による誘導加熱は行なわず、非金属材料である場合には、通常の入力電力設定値に等しい電力を板状加熱体通電制御部29に供給して板状加熱体7のみによる加熱を行なう。
この場合、非金属材料か無負荷かの判別が必要となる。そこで、温度検知部8によって、板状加熱体7の加熱開始からの温度上昇度合いを検出し、例えば緩やかな温度上昇であれば土鍋などが設置されていると判別するが、比較的急激な温度上昇であれば無負荷であると判別し、板状加熱体7への通電も行われない。このように、鍋6の材質に応じて誘導加熱コイル5、或いは板状加熱体7による加熱調理、更には両者による加熱調理が実行される。
このような実施例によれば、以下の効果を奏する。
板状加熱体7のセラミック基板18、19は窒化アルミから形成されており、窒化アルミはアルミナと比較すると熱伝導率が高いので、通電発熱体20の熱が板状加熱体7全体に伝わり易くなる。このため、セラミック基板18、19表面において温度分布差が生じ難く、熱応力による割れを生じ難い。
ちなみに、熱伝導率は、アルミナが35W/mkであるのに対し、窒化アルミが150W/mkで、窒化アルミの方が相当高い。
図7は、セラミック基板18、19を窒化アルミから構成した単位加熱体(本発明品)17と、セラミック基板18、19をアルミナから構成した単位加熱体(比較例品)17とを発熱させた場合、セラミック基板18、19が自身の熱応力によって割れなかった上限温度を示したものである。この図7から明らかなように、セラミック基板18、19を窒化アルミで構成した本発明品の方が、高い温度まで割れず、耐熱性に優れていることが理解される。
従って、誘導加熱調理器の板状加熱体7を加熱して、高温の加熱調理を行う場合であっても、板状加熱体7のセラミック基板18、19を形成する窒化アルミの熱応力の限界を超えて、当該セラミック基板18、19が破損することを防止できる。
板状加熱体7の通電発熱体20がタングステン等の非磁性材料から構成されているので、誘導加熱コイル5から発生する磁束を吸収し難く、効果的な誘導加熱ができる。
板状加熱体7と板状加熱体支え14との間に繊維状セラミックの集成シートから形成される断熱体15が設けられているので、板状加熱体7から発生する熱で誘導加熱コイル5が加熱されることを効果的に防止できる。従って、誘導加熱コイル5をトッププレート3に近い位置に設けることができて、誘導加熱コイル5と鍋6との磁気結合を高めることができ、効果的な加熱調理を行うことが可能となる。また、断熱体15を形成する繊維状セラミックの集成シートは、クッション性に優れ、誘導加熱調理器の搬送時等において板状加熱体7が振動により破損することを防止できる。
一般的に使用されている鍋6の底面の直径は20cm以内に形成されているものが多いため、板状加熱体7の通電発熱体20が直径20cm以内の領域に形成されていることで、載置部4に置かれた鍋6を板状加熱体7で加熱する場合に、鍋6を効果的に加熱することができる。
一般的に使用されている鍋6の底面は円形状に形成されているものが多いため、板状加熱体7の通電発熱体20の外周が円形状に形成されていることで、載置部4に置かれた鍋6を板状加熱体7で加熱する場合に、鍋6の底面の形状と通電発熱体20の外周の形状を合致させることで、鍋6を効果的に加熱することができる。
板状加熱体7が複数に分割、例えば四分割になっているので、当該板状加熱体7のセラミック基板18、19を焼成する際に歪み難く、平面度を高くすることができる。従って、板状加熱体7とトッププレート3との密着を高めることができるので、熱伝達の効率が良く、効率の良い加熱調理が可能となる。
また、板状加熱体7の通電発熱体20を高温に発熱させることで加熱調理を行う場合に、セラミック基板18、19の内部に生じる熱応力が軽減され、高い温度の加熱調理においてもセラミック基板18、19が破損することを防止でき、より高い温度での加熱調理が可能となる。
板状加熱体通電制御部29が、トライアック等のスイッチング素子から構成されているので、板状加体へ供給する電力量を制御することができる。
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態について図8を参照しながら説明する。本実施形態の誘導加熱調理器が第1の実施形態と相違するところは、断熱体15と板状加熱体支え14との間に更に別の断熱体32が設けられた点において異なっている。
即ち、図8は、載置部4の縦断正面図であり、図2と同一部分には、同一の符号を付しているが、断熱体15と板状加熱体支え14との間に、断熱体(第一の断熱体と称す)15と同様に四分割構成された別の断熱体(第二の断熱体と称す)32が設けられており、この第二の断熱体32は、線膨張係数が低い無機質材料例えばペタライトから形成されている。尚、第二の断熱体32は、板状加熱体7と第一の断熱体15との間に設けられていても良い。
本実施形態によれば、第一の断熱体15に無機質材料から形成される第二の断熱体32が密着して設けられているので、断熱効果がより高まり、誘導加熱コイル5をトッププレート3により近い位置に設けることで、効果的な加熱調理が行えるとともに、板状加熱体支え14をプラスチック部材等で構成できるのでコストの低減を図ることができる。また、第二の断熱体32は線膨張係数が低い無機質材料から形成されているので、板状加熱体7を高温にすることで加熱調理を行う場合でも、第二の断熱体32が膨張して板状加熱体支え14を破損することを防止できる。
(第3の実施形態)
次に本発明の第3の実施形態について図9を参照しながら説明する。本実施形態の誘導加熱調理器が第1の実施形態と異なるところは、板状加熱体33の各単位加熱体34が円形状に形成されているところにある。図9は、円形状の単位加熱体34から構成される板状加熱体33の平面図であり、板状加熱体33は、9個の単位加熱体34から構成されており、各単位加熱体34は、円形状に形成されている。
この板状加熱体33は、中心に設けられた単位加熱体34の外周面に接するように、8個の円形状の単位加熱体34が設けられていることで一体に構成されている。この各単位加熱体34には、通電発熱体20がパターン印刷によって付着されており、この通電発熱体20の形成領域は、板状加熱体33として構成されたとき、直径20cmの領域内に収まる領域に定められている。
本実施形態によれば、板状加熱体33を構成する複数の各単位加熱体34が円形状に形成されているので、熱応力が集中し易い角部分をなくすことができ、割れ難くすることができる。
(第4の実施形態)
次に本発明の第4の実施形態について図10を参照しながら説明する。本実施形態の誘導加熱調理器が第1の実施形態と異なるところは、例えば12分割型の板状加熱体35に温度検知素子(温度検知手段に相当)36が備えられているところにある。
図10は、温度検知素子36が備えられた板状加熱体35の平面図であり、板状加熱体35は、12個の単位加熱体37からなる12分割型のもので、全体として略円形状をなしている。12個の単位加熱体37は、互いに同一構成のもので、各単位加熱体37は、第1の実施形態における単位加熱体17と同様に構成されており、単位加熱体37毎には、通電発熱体20がパターン印刷によって付着されている。
単位加熱体37の内、対角に位置する4個の単位加熱体37は、誘導加熱コイル5よりも外側に突出した突出部38を有している。そして、各突出部38には、温度検知手段として例えばサーミスタからなる温度検知素子36が備えられている。つまり、4個の温度検知素子36は、板状加熱体35の中心からそれぞれが対称となる位置に備えられる。
次に、上記構成の誘導加熱調理器の作用について説明する。
板状加熱体35による加熱調理が行われる場合、4個の温度検知素子36で検知される板状加熱体35の温度に基づいて、加熱制御装置24は、通電発熱体20に対する電力の供給量を制御する。つまり、温度検知素子36による検知温度がセラミック基板18、19を形成する窒化アルミの限界温度に近づくと、加熱制御装置24は、通電発熱体20に供給する電力量を減らす制御を行う。
板状加熱体35による加熱調理中に、温度検知素子36毎で検知された温度において所定温度以上の差が生じた場合、加熱制御装置24は、鍋6が載置部4上でずれて置かれていると判断する。この場合、他の温度検知素子36での検知温度よりも検知温度が高かった温度検知素子36が備えられる単位加熱体37の上方には、鍋6が位置していないと判断して、加熱制御装置24は、他の温度検知素子36での検知温度よりも検知温度が高かった温度検知素子36が備えられる単位加熱体37の通電発熱体20に対して、供給する電力量を減らす制御を行う。或いは、報知手段としてのブザー等による報知を行う。
本実施形態によれば、板状加熱体35に温度検知素子36が設けられており、この温度検知素子36によって検知された板状加熱体35の温度に基づいて、加熱制御装置24が通電発熱体20に通電する電力量を制御しているので、板状加熱体35を形成するセラミック基板18、19の限界温度を上回らないように加熱調理を行うことができる。従って、セラミック基板18、19を形成する材質が破損する限界温度の付近まで板状加熱体35を加熱することができるので、高温による効果的な加熱調理が可能となる。
また、各単位加熱体37での検知温度に基づいて、鍋6のずれを検知することができるので、載置部4上でずれて載置された鍋6を加熱調理する際に、加熱制御装置24が各単位加熱体37に対して供給する電力量を制御するので、無駄のない、効率の良い加熱調理が可能となる。
さらに、温度検知素子36が、誘導加熱コイル5よりも外側に位置する突出部38に備えられているので、誘導加熱コイル5から発生する磁束の影響を受け難く、温度検知精度が低下することを防止できる。
(第5の実施形態)
次に本発明の第5の実施形態について図11を参照しながら説明する。本実施形態の誘導加熱調理器は、板状加熱体7が誘導加熱コイル5と共通の整流回路27を介して、商用交流電源26に接続されているところが異なっている。図11は、誘導加熱調理器の電気回路図であり、第1の実施形態と同一の構成には、同一の符号を付している。
商用交流電源26に全波整流回路からなる整流回路27の交流入力端子が接続されており、整流回路27の直流出力端子に板状加熱体7側のリアクタ39および平滑コンデンサ40の平滑回路41と、誘導加熱コイル5側のリアクタ42および平滑コンデンサ43の平滑回路44が並列に接続されている。板状加熱体7側の平滑コンデンサ40の両端子には、板状加熱体7と板状加熱体通電制御部29とが直列に接続されている。
板状加熱体通電制御部29は、スイッチング素子としてのnチャネル型のIGBT48から構成されている。誘導加熱コイル5側の平滑コンデンサ43の両端子には、インバータ25が接続されており、このインバータ25には、誘導加熱コイル5と共振コンデンサ28とが直列に接続されている。
次に、上記構成の誘導加熱調理器の作用について説明する。
板状加熱体7による加熱調理を行う場合、商用交流電源26から供給される交流入力が整流回路27で直流出力に変換されて、その直流出力が平滑回路41に供給される。平滑回路41に供給された直流入力は平滑されて、板状加熱体7に供給される。この際、加熱制御装置24からのオンオフ信号によって板状加熱体通電制御部29のオンオフ制御が行われることで、板状加熱体7への通断電制御が行われる。加熱制御装置24が、板状加熱体通電制御部29のオン時間を長く(オンデューティを大きく)すれば、板状加熱体7に供給される電力量が増え、オン時間を短くすれば、板状加熱体7に供給される電力量が減る。
本実施形態によれば、板状加熱体7には、整流回路27で変換された直流入力が供給されているので、加熱制御装置24による板状加熱体通電制御部29のオンオフ制御によって、板状加熱体7に対する電力量制御を容易に行うことができる。従って、加熱調理時の火力調整が容易にできる。
また、誘導加熱コイル5と板状加熱体7に、共通の整流回路27を介して電力が供給されるので、製造コストの低減、制御回路の簡略化を図ることができる。
(第6の実施形態)
次に本発明の第6の実施形態について図12ないし15を参照しながら説明する。本実施形態の誘導加熱調理器は、板状加熱体7がチョッパ回路(電圧制御手段に相当)45によって電圧制御されるところが異なっている。図12は、誘導加熱調理器の電気回路図であり、第5の実施形態と同一部分には、同一の符号を付している。
整流回路27の直流出力端子が、チョッパ回路45を介して、板状加熱体7側の平滑回路41と直列に接続されている。このチョッパ回路45は、IGBT46とダイオード47から構成されており、IGBT46には加熱制御装置24が接続されており、ダイオード47は図示の極性で接続されている。
次に、上記構成の誘導加熱調理器の作用について図13ないし図15も参照しながら説明する。チョッパ回路45のIGBT46をオンオフ制御する場合、そのオンデューティを変えることにより、平滑回路41の出力電圧V1を図13に示すように高低変化させることができる。そこで、板状加熱体7による加熱調理を行う場合、加熱制御装置24は、チョッパ回路45のIGBT46のオンデューティを低から高へと徐々に変化させることによって平滑回路41の出力電圧V1を、図14に示すように、加熱開始当初は低くし、以後、定常電圧となるまで徐々に上昇させる。加えて、板状加熱体通電制御部29のIGBT48をオンオフ制御することによって、図16に示すように、板状加熱体7への印加電圧の実効値を更に変化させることができ、板状加熱体7の発熱量制御をより細かく行い得るようになる。
また、板状加熱体7に供給する直流電圧を、チョッパ回路45と板状加熱体通電制御部29によるオンオフ制御によって電圧制御するので、誘導加熱調理器の立ち上がり時の電圧を徐々に上げることで、板状加熱体7のセラミック基板18、19が破損することを防止できる。
(その他の実施形態)
本発明は、上記し且つ図面に記載した各実施形態にのみ限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。
第1の実施形態において、板状加熱体7のセラミック基板18、19は、窒化ケイ素から形成されており、窒化アルミの曲げ強度が約300MPaなのに対して、窒化ケイ素のでは600MPa以上である。
これによれば、板状加熱体7のセラミック基板18、19が、窒化ケイ素から形成されているので、窒化アルミで形成されるセラミック基板18、19よりも曲げ強度が強く、急激な温度上昇が起きた場合であっても破損を防止することができる。従って、板状加熱体7を急激に加熱して、高温で加熱調理を行うことが可能となる。
上記一実施形態では、通電発熱体20が2枚のセラミック基板18、19の間に重ね合わされた状態で一体化されて単位加熱体17が形成されているとしたが、セラミック基板18、19のどちらか一方に通電発熱体20をパターン印刷して、当該通電発熱体20が露出した状態で単位加熱体17が形成されるものでも良い。
これによれば、セラミック基板が一枚で単位加熱体17を形成することができるので、製造コストの低減が可能となる。
本発明の第一の実施例を示す誘導加熱調理器本体の縦断面図 載置部の縦断正面図 誘導加熱コイル、板状加熱体、断熱体の分解斜視図 板状加熱体の平面図 板状加熱体の分解斜視図 誘導加熱調理器の制御系の電気的構成を示す機能ブロック図 アルミナと窒化アルミの耐熱温度を示す図 本発明の第2の実施形態を示す図2相当図 本発明の第3の実施形態を示す図4相当図 本発明の第4の実施形態を示す図4相当図 本発明の第5の実施形態を示す誘導加熱調理器の電気的構成図 本発明の第6の実施形態を示す図11相当図 チョッパ回路による平滑回路の出力電圧変化図 チョッパ回路による平滑回路の出力電圧制御図 スイッチング素子による板状加熱体への印加電力図
符号の説明
図面中、1は調理器本体、3はトッププレート、5は誘導加熱コイル、6は鍋(被加熱調理器具)、7、33、35は板状加熱体、15は断熱体、18、19はセラミック基板、20は通電発熱体、24は加熱制御装置(加熱制御手段)、25はインバータ(高周波電流供給手段)、26は商用交流電源、27は整流回路(整流部)、29は板状加熱体通電制御部(電圧制御手段)、32は第二の断熱体(別の断熱体)、36は温度検知素子(温度検知手段)、45はチョッパ回路、48はIGBT(スイッチング素子)を示す。

Claims (17)

  1. 調理器本体と、
    この調理器本体の上面を構成し、被加熱調理器具が載置されるトッププレートと、
    このトッププレートの下方に配置され、高周波電流の供給により前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を誘導加熱する誘導加熱コイルと、
    前記トッププレートと前記誘導加熱コイルとの間に設けられ、通電されると発熱して前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を加熱する板状加熱体と、
    前記板状加熱体を支持する板状加熱体支えと、
    前記板状加熱体と前記板状加熱体支えとの間に設けられる断熱体とを有し、
    前記板状加熱体は、基板と、この基板に重ねられた通電発熱体とを備えていることを特徴とする誘導加熱調理器。
  2. 前記断熱体はクッション性を有することを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
  3. 前記通電発熱体は、複数設けられていることを特徴とする請求項2記載の誘導加熱調理器。
  4. 前記通電発熱体は、蛇行する線状に形成されることを特徴とする請求項3記載の誘導加熱調理器。
  5. 前記誘導加熱コイルが設けられるコイルベースを有し、
    前記板状加熱体支えは、前記コイルベースに設けられ、
    前記コイルベースが、ばねを介して前記調理器本体に設けられることにより、前記板状加熱体は、前記トッププレートの下面に接触するように配置されていることを特徴とする請求項4記載の誘導加熱調理器。
  6. 前記板状加熱体には、当該板状加熱体の温度を検出する温度検知手段が設けられていることを特徴とする請求項5記載の誘導加熱調理器。
  7. 前記温度検知手段の検出温度に応じて前記板状加熱体の通電を制御する加熱制御手段を有することを特徴とする請求項6記載の誘導加熱調理器。
  8. 前記温度検出手段は、前記誘導加熱コイルの外側に位置していることを特徴とする請求項7記載の誘導加熱調理器。
  9. 前記断熱体は、繊維状セラミックから形成され、
    前記板状加熱体支えは、プラスチックで構成されていることを特徴とする請求項8記載の誘導加熱調理器。
  10. 前記断熱体と前記板状加熱体支えとの間には、無機質材料の別の断熱体が設けられていることを特徴とする請求項9記載の誘導加熱調理器。
  11. 前記板状加熱体は、複数に分割されていることを特徴とする請求項10記載の誘導加熱調理器。
  12. 前記通電発熱体は、非磁性の金属から形成されることを特徴とする請求項11記載の誘導加熱調理器。
  13. 前記基板は、窒化アルミまたは窒化ケイ素からなるセラミック基板により構成されることを特徴とする請求項12記載の誘導加熱調理器。
  14. 前記板状加熱体に対する通電開始時に前記板状加熱体に印加する電圧を徐々に上昇させる電圧制御手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
  15. 前記板状加熱体は、スイッチング素子により通電制御されることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
  16. 前記板状加熱体は、チョッパ回路により電圧制御されることを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
  17. 商用交流電源を整流して得た駆動用電源を基に、前記誘導加熱コイルに供給する高周波電流を出力する高周波電流供給手段が設けられていると共に、
    前記商用交流電源を整流して得た駆動用電源を基にして前記板状加熱体に通電する通電手段が設けられ、
    前記高周波電流供給手段の整流部と、前記通電手段の整流部とは、共通の整流部として構成されていることを特徴とする請求項1ないし16のいずれかに記載の誘導加熱調理器。
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