JP4843180B2 - チップホルダー、スクライブヘッドおよびスクライブ装置ならびにスクライブ方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス、シリコン、セラミックスなどの脆性材料の表面にスクライブラインを形成するのに好適なチップホルダー、スクライブヘッドおよびスクライブ装置ならびにスクライブ方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、脆性材料を切断する場合、カッターホイールに脆性材料の材質や厚みなどの諸条件に見合った荷重を負荷しながらカッターホイールを脆性材料の表面上を転動させてスクライブラインを形成した後、脆性材料に所定の力を負荷することにより、脆性材料をスクライブラインに沿って分断するようにしている。
【0003】
このような脆性材料を分断する加工に使用されるスクライブ装置10は、図6に示すように、水平面上で回転可能であって、載置された脆性材料、例えば、ガラス板Gを真空吸着手段によって固定するテーブル11と、テーブル11をY方向(図6において、紙面に直交する方向)に移動自在に支持する平行な一対のガイドレール12と、ガイドレール12に沿ってテーブル11を移動させるボールネジ13と、X方向(図6において、左右方向)に沿ってテーブル11の上方に架設されたガイドバー14と、ガイドバー14に摺動自在に設けられた摺動ユニット15と、摺動ユニット15を摺動させるモーター16と、摺動ユニット15に昇降自在に設けられたスクライブヘッド20と、スクライブヘッド20を昇降させるモーター17と、ガイドバー14の上方に配置され、ガラス板Gに記されたアライメントマークを認識する一対のカメラ18と、から構成されている。
【0004】
ここで、スクライブヘッド20は、図7に示すように、スクライブヘッド本体21と、スクライブヘッド本体21に設けられた軸受22に軸支された水平な支軸23に一端部が連結される一方、他端部がスクライブヘッド本体21に支軸23と平行に設けられた制止軸24と当接可能なベアリングケース25と、ベアリングケース25に設けられた軸受26に回転自在に軸支された垂直な回転軸27を有するチップホルダー28と、チップホルダー28の下端に挿通された水平なピン回りに回転自在に設けられたカッターホイール29と、スクライブヘッド本体21に設けられたエアシリンダなどの付勢手段30と、からなり、付勢手段30による付勢力がベアリングケース25およびチップホルダー28を介してカッターホイール29に加えられるようになっている。
【0005】
なお、カッターホイール29は、図7に示すように、チップホルダー28に、回転軸27の軸心よりもスクライブヘッド20の走行方向とは逆方向(図7において左方向)に変位した位置に設けられている。
【0006】
次に、このようなスクライブ装置10によってガラス板Gにスクライブラインを形成する手順について説明する。
【0007】
まず、テーブル11にガラス板Gが載置されると、ガラス板Gは、真空吸着手段によってテーブル11に固定される。そして、載置されたガラス板Gの位置が設定位置よりもずれているか否かが上方のカメラ18によりガラス板Gのアライメントマークを認識することで検出される。その結果、例えば、ガラス板Gが設定位置からテーブル11の回転軸回りにθだけずれていることが検出されると、テーブル11がその回転軸回りに−θだけ回転される。また、例えば、ガラス板GがY方向に距離aだけずれていることが検出されると、テーブル11がY方向に距離−aだけ移動される。
【0008】
次いで、モーター16が駆動され、摺動ユニット15がガイドバー14に沿ってスクライブ開始位置に移動される。具体的には、図6において、カッターホイール29がガラス板Gの左端面の外側近傍に位置するように移動される。摺動ユニット15がスクライブ開始位置に移動されたならば、モーター17が駆動され、カッターホイール29がガラス板Gの表面から下方の位置(ガラス板Gの表面から下方へ0.05〜0.20mmの距離の位置)に達するまでスクライブヘッド20が下降させられる。その後、スクライブヘッド本体21に設けられた付勢手段30によりカッターホイール29に所定の荷重が加えられた状態でモーター16により摺動ユニット15、すなわち、スクライブヘッド20がガイドバー14に沿って移動されることにより、ガラス板Gの表面に連続するスクライブラインがX方向に形成される(例えば、出願人の出願に係る特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−328833号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述したスクライブヘッド20においては、カッターホイール29がチップホルダー28にその回転軸27の軸心よりも走行方向とは逆方向に変位して設けられており、スクライブ時は、支軸23側を先頭にして走行することから、ガラス板Gのうねりや反り、あるいは、ガラス板G表面の凹凸を通過するときに、カッターホイール29が上方へ突き上げられ、チップホルダー28が支軸23回りに回動してガラス板G表面から浮き上がろうとするものである。
【0011】
すなわち、支軸23を先頭にしてスクライブヘッド20を走行させると、カッターホイール29の刃先がガラス板Gの表面に接する点において、走行方向とは反対方向の摩擦力と、ガラス板Gの厚み方向に向かう押圧力の反力がカッターホイール29に発生する。この摩擦力と押圧力の反力の合力は、支軸23を中心とする回転モーメントとしてカッターホイール29に作用し、その結果、カッターホイール29は、チップホルダー28が支軸23回りに回動してガラス板Gから浮き上がろうとする。
【0012】
このようなチップホルダー28の浮き上がり現象が生じると、カッターホイール29の刃先がガラス板Gに加える押圧力が減殺されることとなり、その結果、深い垂直クラックが得られにくくなるといった問題があった。
【0013】
一方、カッターホイール29によって脆性材料に垂直クラックが発生するメカニズムを図8および図9に基づいて検討してみると、まず、スクライブ過程において、カッターホイール29の刃先に荷重が作用することで、刃先と当接している脆性材料の表面に弾性変形が生じ、次いで、刃先荷重の増大に伴って上記箇所に塑性変形が発生する(図9および図10(a)参照)。さらに刃先荷重が増大すると、塑性変形の限界点を超えることになり、その結果、脆性破壊が発生し、脆性材料の厚み方向に垂直クラックが成長し始める(図10(b)参照)。この垂直クラックの成長は、垂直クラックの先端が、刃先荷重の大きさや、脆性材料の材質や厚みなどに応じた深度(脆性材料の表面からの距離であって、以下、到達深度という。)に達した時点で終息する(図10(c)参照)。
【0014】
これを一定の材質、一定の厚みの脆性材料について見ると、垂直クラックの到達深度をコントロールできるのは刃先荷重だけとなる。すなわち、刃先荷重を増大させると、カッターホイール29の刃先が脆性材料の表面に食い込む深さが深くなり、垂直クラックを発生させるためのエネルギーが大きくなるため、垂直クラックの到達深度は深くなる。ところが、刃先荷重がある一定の大きさを超えると、いわゆる深い垂直クラックを得ることはできるものの、それと同時に、脆性材料の表面付近に蓄積された内部歪みが飽和状態となり、除荷過程(図10(d)参照)において、垂直クラックの成長方向とは全く異なる方向に向かうクラック、いわゆる、水平クラックが発生する(図10(e)(f)および図11(a)(b)参照)。このような水平クラックは、望ましくない切り粉を多量に発生させる原因となる。
【0015】
本発明者は、上述のメカニズムをさらに詳しく探求した結果、刃先荷重と垂直クラックの到達深度とは、図12に示すような関係があることを見出した。すなわち、垂直クラックの到達深度は、刃先荷重が増大するにしたがって緩やかに深くなる領域(A領域)がまず存在し、これに続いて、刃先荷重の増大に伴って急激に増加する領域(B領域)が存在し、さらに、刃先荷重が増大してもほとんど増加しない領域(C領域)が存在する。そして、C領域では、A領域やB領域では見られなかった水平クラックが大幅に増大するのである。
【0016】
これらのことから、刃先荷重の増大に伴って急激に垂直クラックの到達深度が増加する領域B内に相当する刃先荷重でスクライブすることによって、水平クラックを発生させることなく深い垂直クラックを得ることができる。
【0017】
しかしながら、B領域の刃先荷重の範囲は極めて狭く、通常のスクライブ時における刃先荷重の調節では、B領域の範囲内でスクライブすることは困難である。特に、前述した従来技術においては、チップホルダー28の浮き上がり現象の発生を避けることができず、これによってカッターホイール29への加圧力が減殺されることから、範囲が極めて狭いB領域内に刃先荷重を維持することは極めて困難であった。
【0018】
また、スクライブ開始時において、カッターホイール29が脆性材料の端縁に乗り上げる瞬間においても、チップホルダー28の浮き上がり現象が生じ、カッターホイール29の刃先が脆性材料に加える押圧力が減殺されて、端縁にスクライブラインが形成されない原因にもなっていた。
【0019】
本発明者は、脆性材料に対し、上述のB領域の刃先荷重に相当するスクライブ圧を安定して負荷することで刃先の脆性材料への食い込み量を一定に保つことができれば、水平クラックの発生を招来することなく極めて深い到達深度に達する垂直クラックを安定して確実に得られるばかりでなく、脆性材料のうねりや反り、あるいは、脆性材料の表面の凹凸といった外的要因によるスクライブラインの不安定化という問題も解消し得ることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0020】
すなわち、本発明は、脆性材料のうねりや反り、あるいは、脆性材料の表面の凹凸といった外的要因によってカッターホイールが脆性材料から受ける反力変動が発生しても、それに関係なく一定の食い込み量を維持しつつ、安定してスクライブラインを形成することのできるチップホルダー、スクライブヘッドおよびスクライブ装置ならびにスクライブ方法を提供するものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明のチップホルダーは、上下方向に延びる回転軸を設けた支持体と、支持体の回転軸の軸心よりも支持体の走行方向とは逆方向に変位した位置において支持体の上部に水平な支点ピンを介して回転自在に軸支されたホルダー本体と、ホルダー本体の支点ピンの軸心よりも支持体の走行方向に変位した位置においてホルダー本体の下部に水平なピンを介して回転自在に軸支されたガイドローラーと、ホルダー本体の支点ピンの軸心よりも支持体の走行方向とは反対方向に変位した位置においてホルダー本体の下部に水平なピンを介して回転自在に軸支されたカッターホイールと、から構成されることを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明のスクライブヘッドは、脆性材料上を走行可能なスクライブヘッド本体と、スクライブヘッド本体に設けられた軸受を介して回転自在に軸支された水平な支軸に一端部が連結される一方、他端部がスクライブヘッド本体に支軸と平行に設けられた制止軸と当接可能なベアリングケースと、ベアリングケースに設けられた軸受を介して回転軸が垂直な軸心回りに回転自在に軸支された請求項1記載のチップホルダーと、スクライブヘッド本体に設けられた付勢手段と、からなり、付勢手段を介してベアリングケースが制止軸に当接されるとともに、その制止軸に一定の押圧力で押圧されることを特徴とするものである。
【0023】
さらに、本発明のスクライブ装置は、直交するX方向またはY方向の一方向に延設された平行な一対のガイドレールと、ガイドレールに摺動自在に支持されるとともに、水平面上に回転可能なテーブルと、テーブルをガイドレールに沿って摺動させる第1駆動手段と、直交するX方向またはY方向の他方向に沿ってテーブルの上方に架設されたガイドバーと、ガイドバーに沿って摺動自在に支持された摺動ユニットと、摺動ユニットをガイドバーに沿って摺動させる第2駆動手段と、摺動ユニットに昇降自在に設けられた請求項2記載のスクライブヘッドと、スクライブヘッドを昇降させる第3駆動手段と、からなり、第2駆動手段を介してスクライブヘッドをガイドバーに沿って摺動させることにより、テーブルに載置固定された脆性材料に一定食い込み量のスクライブラインを形成することを特徴とするものである。
【0024】
本発明によれば、テーブルに固定された脆性材料に対して付勢手段を作動させ、予め設定された荷重をベアリングケースに付加させて、ベアリングケースを支軸回りに回転させ、その他端部を制止軸に当接させたスクライブヘッドを下降させて、カッターホイールが脆性材料に表面に当接するのに伴ってベアリングケースが制止軸から離れるときのスクライブヘッドの下降位置(零点位置)の検出(零点検出)を行った後、再びスクライブヘッドを上昇させ、スクライブヘッドをスクライブ開始位置、すなわち、ガイドローラーが脆性材料のスクライブ開始位置近傍の端縁部表面に位置し、カッターホイールが脆性材料から離隔する位置にそれぞれ位置するように移動させる。この後、スクライブヘッドを上記の零点位置より下方の所定位置に下降させる。
【0025】
ここで、支点ピンの軸心、ガイドローラーの軸心およびカッターホイールの軸心間を結ぶ三角形の相対的な位置関係に変化は生じないため、支点ピンの軸心が下降することにより、カッターホイールが脆性材料の表面から設定距離だけ下降した状態となる。すなわち、スクライブヘッドの下降量を調整することにより、支点ピンの軸心、ガイドローラーの軸心およびカッターホイールの軸心を結ぶ三角形の各辺の長さに基づいてカッターホイールの脆性材料の表面からの下降量が定まり、脆性材料に対するカッターホイールの食い込み量を規定することができる。次いで、スクライブヘッドを移動させることにより、脆性材料の表面に連続するスクライブラインを形成することができる。
【0026】
この際、カッターホイールの刃先が脆性材料のうねりや反り、あるいは、その表面の凹凸を通過するとき、走行方向と反対方向の摩擦力と、脆性材料に加えられるその厚み方向に向かう押圧力の反力とが合わさった合力が発生し、カッターホイールを上方へ突き上げようとしても、チップホルダーは、ベアリングケースが制止軸に当接されるとともに、付勢手段によって突き上げようとする合力に抗することができる一定の押圧力で押圧されていることにより、カッターホイールの一定の食い込み量を維持させることができる。しかも、カッターホイールの食い込み量を、その材料特有のB領域の刃先荷重に相当するカッターホイールの食い込み量となるように調整することも可能となる。
【0027】
この結果、脆性材料のうねりや反り、あるいは、脆性材料の表面の凹凸といった外的要因によるカッターホイールが受ける反力に変動が発生したとしても、脆性材料に対するカッターホイールの食い込み量を一定に保つことができるとともに、水平クラックの発生を招来することなく極めて深い到達深度に達する垂直クラックのスクライブラインをスクライブ開始位置から安定して確実に形成することができる。
【0028】
また、本発明のスクライブ方法は、請求項1記載のチップホルダーのカッターホイールおよびガイドローラーを脆性材料の表面に接する位置に下降させて零点検出を行った後、ガイドローラーが脆性材料の端縁部表面に、また、カッターホイールが脆性材料から離隔してそれぞれ位置するように、スクライブ開始位置に移動させ、次いで、チップホルダーを零点位置よりも下方の設定位置に下降させてカッターホイールを脆性材料の表面から下降させ、その後、チップホルダーを移動させることにより、脆性材料に食い込み量を規定されたカッターホイールを転動させてスクライブラインを形成することを特徴とするものである。
【0029】
本発明によれば、チップホルダーのカッターホイールおよびガイドローラーを脆性材料の表面に接する位置に下降させて零点検出を行った後、スクライブ開始位置、すなわち、ガイドローラーが脆性材料の端縁部表面に位置し、カッターホイールが脆性材料から離隔して位置するように移動させる。次いで、チップホルダーを零点位置よりも下方の設定位置に下降させれば、カッターホイールを脆性材料の表面から一定深さだけ下降させることができる。その後、チップホルダーを移動させれば、カッターホイールは、脆性材料の表面から一定深さだけ下降した位置に保持されることから、その位置に保持されたカッターホイールによって脆性材料に一定のカッターホイールの食い込み量が維持されたスクライブラインを形成することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
図1および図2には、本発明のカッターホイールのチップホルダー1の一実施形態が示されている。
【0032】
このチップホルダー1は、上下方向に延びる回転軸2を設けた支持体3と、支持体3の回転軸2の軸心よりも支持体3の走行方向(図1(a)に記した矢印方向)とは逆方向に変位した位置において、支持体3の上部に水平な支点ピン4を介して回転自在に軸支されたホルダー本体5と、支点ピン4の軸心よりも支持体3の走行方向に変位した位置において、ホルダー本体5の下部に水平なピン6を介して回転自在に軸支されたガイドローラー7と、支点ピン4の軸心よりも支持体3の走行方向とは反対方向に変位した位置において、ホルダー本体5の下部に水平なピン8を介して回転自在に軸支されたカッターホイール9と、から構成されている。
【0033】
ここで、チップホルダー1は、従来技術のチップホルダー28に代えてスクライブヘッド20に取り付けられる(図3参照)。したがって、スクライブヘッド20およびスクライブ装置10については、図7および図6に示したものと構造的な相違はないため、同一の部材には同一の符号を用いる他、それらの詳細な説明は重複するため省略する。
【0034】
このようなチップホルダー1によって脆性材料、例えば、ガラス板Gにスクライブラインを形成する工程について説明する。
【0035】
まず、テーブル11にガラス板Gが載置されると、ガラス板Gを真空吸着手段によってテーブル11に固定した後、設定位置に位置決めする。次いで、モーター16を駆動し、摺動ユニット15をガイドバー14に沿ってスクライブ開始近傍位置に移動させた後、モーター17を駆動し、付勢手段30を作動させ、予め設定された荷重をベアリングケース25に付加させて、ベアリングケース25を支軸23の回りに回転させ、その他端部を制止軸24に当接させたスクライブヘッド20を下降させる。ここで、カッターホイール9の刃先およびガイドローラー7の外周面がガラス板Gの表面に接する位置に達するまで下降させて零点検出を行う(図4(a)参照)。
【0036】
零点検出が終了すれば、スクライブヘッド20を上昇させた後、モーター16を駆動し、スクライブヘッド20をガイドバー14に沿ってスクライブ開始位置に移動させる。この際、ガイドローラー7は、ガラス板Gのスクライブ開始位置近傍の端縁部表面に位置し、一方、カッターホイール9は、ガラス板Gから離隔する位置にある。
【0037】
この後、スクライブヘッド20を零点検出された零点位置より下方の設定位置に下降させる。
【0038】
ここで、チップホルダー1の支点ピン4の軸心、ガイドローラー7の軸心およびカッターホイール9の軸心間の相対的な位置関係に変化は生じないため、支点ピン4の軸心が下降することにより、ガイドローラー7がガラス板Gの表面をスクライブヘッド20の走行方向に転動し、また、カッターホイール9がガラス板Gの表面から下降した状態とされる(図4(b)参照)。
【0039】
具体的には、図5に示すように、図4(a)に示した零点位置からベアリングケース25を介してチップホルダー1を距離tだけ下降させることにより、支点ピン4の軸心、ガイドローラー7の軸心およびカッターホイール9の軸心を結ぶ三角形の関係から、カッターホイール9を距離sだけ下降させることができる。したがって、カッターホイール9の刃先は、ガラス板Gの表面から距離sの地点に常時位置することになり、ガラス板Gに対するカッターホイール9の食い込み量を規定することができる。換言するならば、脆性材料の種類や厚みなどによって脆性材料に対する食い込み量が規定されるとき、支点ピン4の軸心、ガイドローラー7の軸心およびカッターホイール9の軸心を結ぶ三角形の各辺の長さに基づいてチップホルダー1の下降量を調整すれば、一定の食い込み量を得ることができるものである。
【0040】
このようにして、必要な食い込み量sだけカッターホイール9を下降させたならば、モーター16を駆動し、摺動ユニット15を介してスクライブヘッド20をガイドバー14に沿って移動させることにより、ガラス板Gの表面に連続するスクライブラインを形成することができる。
【0041】
この際、ガラス板Gのうねりや反り、あるいは、ガラス板G表面の凹凸を通過するとき、カッターホイール9の刃先がガラス板Gの表面に接する点において、走行方向と反対の方向の摩擦力と、ガラス板Gに加えるその厚み方向に向かう押圧力の反力との合力が発生し、カッターホイール9を上方へ突き上げようとしても、チップホルダー1、すなわち、ベアリングケース25が制止軸24に当接されるとともに、付勢手段30によってカッターホイール9を上方へ突き上げようとする合力に抗することができる一定の押圧力で押圧されていることにより、カッターホイール9の刃先を食い込み量sの位置に維持することができる。
【0042】
なお、前述した合力は、ホルダー本体5を支点ピン4回りに回転させる回転モーメントとしても作用するが、この回転モーメントは、ガイドローラー7をガラス板Gの表面に押圧する方向に作用するため、ガイドローラー7の移動は生じない。
【0043】
しかも、付勢手段30によって、ベアリングケース25を介してカッターホイール9は、常に一定の押圧力で押圧されることから、カッターホイール9の食い込み量sを、その材料特有のB領域の刃先荷重に相当するように調整することも可能となる。
【0044】
この結果、脆性材料のうねりや反り、あるいは、脆性材料の表面の凹凸といった外的要因によるカッターホイール9の刃先が受ける反力の変動が発生したとしても、ガラス板Gに対するカッターホイール9の刃先の食い込み量を一定に保つことができるとともに、水平クラックの発生を招来することなく極めて深い到達深度に達する垂直クラックのスクライブラインを安定して確実に形成することができる。
【0045】
なお、スクライブ開始時において、カッターホイール9がガラス板Gの端縁に乗り上げる瞬間においても、カッターホイール9の刃先のガラス板Gへの食い込み量sが一定に保たれているため、チップホルダー1の浮き上がり現象が発生せず、ガラス板Gの端縁から確実に前述したスクライブラインを形成することができる。
【0046】
なお、前述した実施形態においては、脆性材料としてガラス板Gを例示し、ガラス板Gにスクライブラインを形成する場合を説明したが、ガラス板に限定するものではない。
【0047】
【発明の効果】
このように本発明によれば、脆性材料のうねりや反り、あるいは、脆性材料の表面の凹凸といった外的要因によるカッターホイールの刃先が受ける反力の変動が発生したとしても、カッターホイールの刃先の脆性材料への食い込み量を一定に保つことができるとともに、脆性材料に対し、B領域の刃先荷重に相当するカッターホイールの刃先の食い込み量に調整することができることから、水平クラックの発生を招来することなく極めて深い到達深度に達する垂直クラックのスクライブラインをスクライブ開始位置から安定して確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカッターホイールのチップホルダーの一実施形態を示す側面図および後面図である。
【図2】図1のチップホルダーの分解斜視図である。
【図3】図1のチップホルダーを備えたスクライブヘッドを示す側面図である。
【図4】図1のチップホルダーによるスクライブ工程を示す説明図である。
【図5】図1のチップホルダーの支点ピン、ガイドローラーおよびカッターホイールの関係を模式的に示す説明図である。
【図6】従来のスクライブ装置の一例を示す概略正面図である。
【図7】図6のスクライブ装置のスクライブヘッドを示す側面図である。
【図8】カッターホイールによるスクライブ加工の様子を模式的に示す側面図である。
【図9】図8のスクライブ加工における垂直クラックが生成される様子を模式的に示す正面図である。
【図10】カッターホイールによるスクライブ加工において垂直クラックと水平クラックの発生状態を示す説明図である。
【図11】カッターホイールによるスクライブ加工の除荷過程において水平クラックの発生状態を加圧力の大小に関連して示す説明図である。
【図12】カッターホイールによるスクライブ加工において刃先荷重と垂直クラックの到達深度との関係を示す関係図である。
【符号の説明】
1 チップホルダー
2 回転軸
3 支持体
4 支点ピン
5 ホルダー本体
6,8 ピン
7 ガイドローラー
9 カッターホイール
10 スクライブ装置
11 テーブル
12 ガイドレール
14 ガイドバー
15 摺動ユニット
20 スクライブヘッド
21 スクライブヘッド本体
23 支軸
24 制止軸
25 ベアリングケース
G ガラス板(脆性材料)
Claims (4)
- 上下方向に延びる回転軸を設けた支持体と、支持体の回転軸の軸心よりも支持体の走行方向とは逆方向に変位した位置において支持体の上部に水平な支点ピンを介して回転自在に軸支されたホルダー本体と、ホルダー本体の支点ピンの軸心よりも支持体の走行方向に変位した位置においてホルダー本体の下部に水平なピンを介して回転自在に軸支されたガイドローラーと、ホルダー本体の支点ピンの軸心よりも支持体の走行方向とは反対方向に変位した位置においてホルダー本体の下部に水平なピンを介して回転自在に軸支されたカッターホイールと、から構成されることを特徴とするチップホルダー。
- 脆性材料上を走行可能なスクライブヘッド本体と、スクライブヘッド本体に設けられた軸受を介して回転自在に軸支された水平な支軸に一端部が連結される一方、他端部がスクライブヘッド本体に支軸と平行に設けられた制止軸と当接可能なベアリングケースと、ベアリングケースに設けられた軸受を介して回転軸が垂直な軸心回りに回転自在に軸支された請求項1記載のチップホルダーと、スクライブヘッド本体に設けられた付勢手段と、からなり、付勢手段を介してベアリングケースが制止軸に当接されるとともに、その制止軸に一定の押圧力で押圧されることを特徴とするスクライブヘッド。
- 直交するX方向またはY方向の一方向に延設された平行な一対のガイドレールと、ガイドレールに摺動自在に支持されるとともに、水平面上に回転可能なテーブルと、テーブルをガイドレールに沿って摺動させる第1駆動手段と、直交するX方向またはY方向の他方向に沿ってテーブルの上方に架設されたガイドバーと、ガイドバーに沿って摺動自在に支持された摺動ユニットと、摺動ユニットをガイドバーに沿って摺動させる第2駆動手段と、摺動ユニットに昇降自在に設けられた請求項2記載のスクライブヘッドと、スクライブヘッドを昇降させる第3駆動手段と、からなり、第2駆動手段を介してスクライブヘッドをガイドバーに沿って摺動させることにより、テーブルに載置固定された脆性材料に一定食い込み量のスクライブラインを形成することを特徴とするスクライブ装置。
- 請求項1記載のチップホルダーのカッターホイールおよびガイドローラーを脆性材料の表面に接する位置に下降させて零点検出を行った後、ガイドローラーが脆性材料の端縁部表面に、また、カッターホイールが脆性材料から離隔してそれぞれ位置するように、スクライブ開始位置に移動させ、次いで、チップホルダーを零点位置よりも下方の設定位置に下降させてカッターホイールを脆性材料の表面から下降させ、その後、チップホルダーを移動させて脆性材料に規定されたカッターホイールの食い込み量でスクライブラインを形成することを特徴とするスクライブ方法。
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