(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に、第1実施形態のモータを示す。図1に示すように、モータを構成する有底円筒状のモータハウジング1の内周面には、円筒状のマグネット2が固着されていると共に、同モータハウジング1の底部中央には、軸受3aが固定されている。尚、マグネット2は、周方向に6極の磁極を有していると共に、その径方向の厚さは、モータハウジング1の厚さと略等しく形成されている。そして、このモータハウジング1の開口部は、略円板状のエンドフレーム4にて閉塞されていると共に、該エンドフレーム4の中央には、前記軸受3aと対をなす軸受3bが固定されている。
前記エンドフレーム4におけるモータハウジング1側の面には、合成樹脂製のブラシホルダ5が固定されている。ブラシホルダ5は、エンドフレーム4に固定される円板状の固定板5aと、該固定板5a上からモータハウジング1の底部側に向かって延びる2つの四角筒状のブラシ保持部5b,5cとが一体に形成されてなる。2つのブラシ保持部5b,5cは、固定板5aの中央部から変位した位置で対称となる位置に配置されている。2つのブラシ保持部5b,5cの互いに対向する側壁には、固定板5aの板厚方向と同方向に沿って延びる挿入溝5d,5eがそれぞれ形成されている。
前記固定板5aの中央部には、2つの板ばね6,7の基端が固定されている。板ばね6,7は、固定板5aの中央部からそれぞれブラシ保持部5b,5cに向かって延びていると共に、先端に向かうに連れて徐々に固定板5aから遠ざかるように構成されている。そして、板ばね6,7は、前記挿入溝5d,5eからそれぞれブラシ保持部5b,5c内に挿入され、その先端はブラシ保持部5b,5c内に配置されている。
図1における左側のブラシ保持部5bには、略直方体状の陽極側ブラシ8が挿入されると共に、図1における右側のブラシ保持部5cには、略直方体状の陰極側ブラシ9が挿入されている。陽極側ブラシ8及び陰極側ブラシ9の固定板5a側の後端には、前記板ばね6,7の先端がそれぞれ当接しており、陽極側ブラシ8及び陰極側ブラシ9は、前記板ばね6,7によってそれぞれブラシ保持部5b,5cの開口部側に付勢されている。尚、陽極側ブラシ8及び陰極側ブラシ9は、外部の電源装置に接続されている。
前記モータハウジング1及び前記エンドフレーム4にて囲まれた空間内には、電機子11が回転可能に収容されている。電機子11を構成する回転軸12は、一対の前記軸受3a,3bによって回転可能に支持されていると共に、該回転軸12のエンドフレーム4側の端部は、前記固定板5a及びエンドフレーム4の中央部から、モータハウジング1の外部に向かって突出している。この回転軸12におけるモータハウジング1の底部寄りの位置には、コア13が固定されている。コア13は、回転軸12の径方向に沿って放射状に延びる8つのティース14a〜14hを有しており、これら8つのティース14a〜14h間の空間がスロット15a〜15hとなっている(図1においては、ティース14a〜14cのみを図示している。ティース14d〜h及びスロット15a〜15hは図6参照)。このコア13には、軸方向の両側から、コア13の内周面及び外周面(ティース14a〜14hの先端面)を除く部分を覆うインシュレータ16が装着されている。そして、各ティース14a〜14hには、各ティース14a〜14hの周方向の両側のスロット15a〜15hを通るように、インシュレータ16の上からコイル17a〜17hがそれぞれ集中巻きにて巻回されている。即ち、コア13と各コイル17a〜17hとは、インシュレータ16によって絶縁されている。尚、インシュレータ16において、軸方向の両端部を覆う部位の径方向外側の端部には、各コイル17a〜17hの径方向外側へのはみ出しを防止すべく軸方向に沿って延びるはみ出し防止壁16aが立設されている。そして、図2(a)に示すように、はみ出し防止壁16aの径方向内側の面には、該面の中央部で径方向内側に向かって突出する第1の保持凸部18aが設けられている。更に、第1の保持凸部18aの周方向の両側には、該第1の保持凸部18aとの間に間隔を空けた位置に、径方向内側に向かって突出する第2及び第3の保持凸部18b,18cが設けられている。この第1の保持凸部18aは変形円柱状をなしていると共に、第2及び第3の保持凸部18b,18cは円柱状をなしている。また、第1の保持凸部18aと第2の保持凸部18bとの間の間隔は、コイル17a〜17hを構成する導線19の直径と等しいか導線19の直径よりもやや狭くなっている。同様に、第1の保持凸部18aと第3の保持凸部18cとの間の間隔は、導線19の直径と等しいか導線19の直径よりもやや狭くなっている。そして、図2(a)及び図2(b)に示すように、各コイル17a〜17hの一端は、第1の保持凸部18aと第2の保持凸部18bとの間を通って軸方向に沿って引き出されていると共に、各コイル17a〜17hの他端は、第1の保持凸部18aと第3の保持凸部18cとの間を通って軸方向に沿って引き出されている(図2(b)参照)。各コイル17a〜17hの端部は、第1〜第3の保持凸部18a〜18c間を通ることにより、第1〜第3の保持凸部18a〜18cによって周方向から挟持され、軸方向に沿った状態に保たれる。
図1に示すように、前記回転軸12において、前記コア13と前記ブラシホルダ5との間となる位置には、整流子21が固定されている。図3は、整流子21の軸方向断面図であり、図4は、整流子21の底面図である。図3及び図4に示すように、整流子21は、周方向に配置された24個のセグメント22と、同電位となるセグメント22同士を短絡するための短絡部材23と、セグメント22及び短絡部材23を保持する保持部24とから構成されている。
図4に示すように、24個のセグメント22は、周方向に隣り合うセグメント22間に間隔を空けて、放射状に、且つ周方向に等角度間隔に配置されている。24個のセグメント22は、軸方向(図4における紙面直交方向)から見ると、径方向内側の端部から径方向外側に向かうに連れて徐々にその幅が広くなる略扇形状をなしており、隣り合うセグメント22間の間隔の周方向の幅が径方向に一定となっている。
各セグメント22は、軸方向から見た形状が略扇形状をなす板状のセグメント本体31を有していると共に、図3に示すように、該セグメント本体31の図3における下面は、平坦な摺接面31aとなっている。また、セグメント本体31の径方向内側の端部には、図3におけるやや上方へ延びた後、径方向内側に向かって前記摺接面31aと平行に延びる内周側接続部32が形成されている。内周側接続部32において、摺接面31aと平行に延びる部位は、図4に示すように、軸方向から見ると、径方向内側に向かうに連れて徐々に幅が狭くなる略台形状をなしていると共に、図3に示すように、その上面(図3における上面)は、前記摺接面31aと平行な内周側接続面32aとなっている。尚、内周側接続部32の図3における上下方向(軸方向に同じ)の厚さは、セグメント本体31の軸方向の厚さよりも薄い。そして、24個のセグメント22は、24個の摺接面31aが同一平面内に配置されると共に、24個の内周側接続面32aが同一平面内に配置されるように、放射状に配置されている。また、放射状に配置された24個のセグメント22において、内周側接続部32の先端を通る円の直径は、前記回転軸12の外径よりも大きい。
セグメント本体31の径方向外側の端面において、該端面の周方向の中央部から周方向に変位した位置には、図3における斜め上方に向かって延びる外周側接続部33がセグメント本体31と一体に設けられている。外周側接続部33は、その厚さがセグメント本体31よりも薄く形成されていると共に、内周側接続面32aよりもセグメント本体31の板厚方向に沿って摺接面31aから遠ざかる方向に突出している。そして、外周側接続部33の径方向内側を向く外周側接続面33aと、セグメント本体31の摺接面31aと平行な上面31bとは、鈍角をなしている。また、セグメント本体31の径方向外側の端面には、セグメント本体31と同じ厚さで径方向外側に向かって突出したコイル接続部34が設けられていると共に、該コイル接続部34の径方向外側の先端には、セグメント本体31の厚さ方向に沿って延びる接続溝34aが形成されている。図2(b)に示すように、接続溝34aにおける周方向の幅は、前記コイル17a〜17hを構成する導線19の直径と略等しく形成されていると共に、該接続溝34aの深さは、導線19の直径よりもやや深く形成されている。
図5に示すように、本実施形態の短絡部材23は、1つの短絡構成部材群41から構成されている。尚、図5は、保持部24を除く整流子21の構成部品、即ちセグメント22と短絡部材23とを示す平面図である。短絡構成部材群41は、各セグメント22の前記外周側接続部33に接続される24個の外周側端末42と、前記外周側端末42の内側で前記内周側接続部32上に載置される24個の内周側端末43と、外周側端末42と内周側端末43とを所定角度ずらして接続する24個の連結部44から構成されている。
図3に示すように、外周側端末42は、前記セグメント22の摺接面31aと平行に延びる板状をなしており、その径方向外側の端部には、前記外周側接続面33aと平行に延びる板状の接続片45が一体に形成されている。一方、内周側端末43は、内周側接続面32aと同様の台形状の板状をなすと共に、前記摺接面31aと平行、即ち内周側接続部32の内周側接続面32aと平行に配置されている。
図4に示すように、前記連結部44は、外周側端末42と内周側端末43とを120°ずらして接続するように、即ち、120°離れた位置にある外周側端末42と内周側端末43とを接続するように延びている。詳しくは、連結部44は、インボリュート曲線に沿った湾曲形状をなしていると共に、図5においては(図3における上方から見た場合に同じ)、各外周側端末42から、時計方向に120°離れた位置に配置された内周側端末43まで延びている。更に、インボリュート曲線に沿った湾曲形状をなすと共に、周方向に隣り合う連結部44同士は、互いに非接触となるように間隔を空けて配置されている。そして、図3に示すように、外周側端末42、内周側端末43、連結部44は、一体に形成されて一枚の平板状をなしている。また、短絡構成部材群41の板厚は、セグメント本体31の板厚(軸方向に沿った厚さ)よりも薄く形成されている。
上記のように構成された短絡部材23は、図3及び図4に示すように、周方向に配置された24個のセグメント22に対し、各接続片45を、各外周側接続部33の外周側接続面33aにそれぞれ当接させると共に、各内周側端末43を、各内周側接続部32の内周側接続面32aにそれぞれ当接させて配置されている。そして、短絡部材23が24個のセグメント22に対して配置された状態では、接続片45を除く短絡部材23におけるセグメント22側の面(図3における下側の面)が、内周側接続面32aと同一平面内に配置される。そのため、短絡部材23は、摺接面31aに対して平行に配置されると共に、板厚方向(軸方向に同じ)に互いに対向する前記セグメント本体31の前記上面31bと連結部44とは、間隔を空けて配置されることになり、互いに非接触とされる。そして、互いに接触する接続片45と外周側接続部33、及び内周側端末43と内周側接続部32は、それぞれ溶接により接合されている。これにより、接続片45を介して外周側端末42と外周側接続部33とが電気的に接続されると共に内周側端末43と内周側接続部32とが電気的に接続されている。24個のセグメント22に対して短絡部材23が電気的に接続されると、該短絡部材23によって周方向に120°間隔を空けて配置されたセグメント22同士が短絡される。
図3に示すように、略円板状をなす前記保持部24は、絶縁性の樹脂材料よりなり、前記セグメント22の一部及び前記短絡部材23を埋設させることにより、セグメント22及び短絡部材23を一体化して保持している。詳しくは、図4に示すように、保持部24の外径は、周方向に配置された24個のセグメント22のコイル接続部34の先端を通る円と略等しく形成されていると共に、マグネット2の内径よりも大きく且つモータハウジングの内径よりも小さく形成されている(図1参照)。このため、接続片45を介して外周側端末42がセグメント22の外周側接続部33に接続される短絡部材23の外径も、マグネット2の内径よりも大きく且つモータハウジング1の内径よりも小さく形成されることになる。そして、図3に示すように、保持部24は、該保持部24の軸方向の一端面24a(図3における下端面)よりも、各セグメント22の摺接面31aが軸方向に突出した位置に配置されるよう、且つ24個の摺接面31aが保持部24の軸方向の一端面24aと平行な同一平面内に配置されるように、24個のセグメント22を保持している。また、図4に示すように、保持部24を構成する樹脂材料は、周方向に隣り合うセグメント22間に介在されることにより、周方向に隣り合うセグメント22同士が短絡されることを防止している。更に、保持部24は、短絡部材23の全体を該保持部24の内部に埋設した状態で当該短絡部材23を保持している。そして、図3に示すように、保持部24を構成する樹脂材料は、板厚方向(軸方向に同じ)に互いに対向する前記セグメント本体31の前記上面31bと連結部44との間に介在され、連結部44とセグメント22とが短絡されることを防止している。
また、図4に示すように、保持部24の外周面には、コイル接続部34の周方向位置に対応する位置に、軸方向に沿って延びる24個の案内溝24bが形成されていると共に、該案内溝24bの周方向の幅は、コイル接続部34の周方向の幅よりも若干広く形成されている。そして、この案内溝24bが形成されることにより、コイル接続部34は、案内溝24bの底面24cから径方向外側に突出し、接続溝34aが保持部24と軸方向に重ならないようになっている。
更に、図3に示すように、保持部24の径方向中央部には、その直径が前記回転軸12の外径と等しいか若干小さく形成された嵌入孔24dが軸方向に沿って貫通して形成されている。そして、この嵌入孔24dの軸方向の他端側(図3における上端側)の開口周縁には、嵌入孔24dを延長するように軸方向に突出した円筒状のボス部24eが一体に形成されている。ボス部24eの内径は、嵌入孔24dの直径と等しいと共に、ボス部24eの軸方向の長さは、保持部24の厚さと略等しく形成されている。
上記のように構成された整流子21は、図1に示すように、セグメント22がコア13と逆方向を向くようにして、嵌入孔24d及びボス部24eに回転軸12が圧入されることにより、回転軸12に対して一体回転可能に固定されている。回転軸12に固定された整流子21においては、保持部24の板厚方向と回転軸12の軸方向とが一致している。そして、電機子11がモータハウジング1内に配置された状態では、各セグメント22の摺接面31aには、軸方向から前記陽極側ブラシ8及び前記陰極側ブラシ9の先端が摺接される。また、同状態では、整流子21は、マグネット2の図1における下端面よりもモータハウジング1の開口部側に配置されており、マグネット2の下端面と軸方向に対向する。
整流子21の所定のセグメント22には、対応する前記コイル17a〜17hの端部が接続されている。ここで、図6に、本実施形態の直流モータの結線図を示す。尚、本実施形態の直流モータにおいては、ティース14aとティース14hとの間に配置されたセグメント22から反時計方向に、セグメント番号「1」〜「24」を付すことにする。図6に示すように、周方向に隣り合って対をなす8対のセグメント22に、対応するコイル17a〜17hの端部が接続されている。8対のセグメント22間には、コイル17a〜17hの端部が接続されないセグメント22が1つずつ配置されている。例えば、周方向に隣り合って対をなすセグメント番号「2」,「3」のセグメント22には、コイル17aの一端と他端がそれぞれ接続されている。そして、セグメント番号「4」のセグメント22には何れのコイル17a〜17hの端部も接続されず、周方向に隣り合って対をなすセグメント番号「5」,「6」のセグメント22にコイル17bの一端と他端がそれぞれ接続されている。同様に、セグメント番号「4」のセグメント22から2つ置きのセグメント番号「7」,「10」,「13」,「16」,「19」,「22」,「1」のセグメント22には、何れのコイル17a〜17hの端部も接続されていない。そして、セグメント番号「8」,「9」のセグメント22にコイル17cの一端と他端がそれぞれ接続されており、セグメント番号「11」,「12」のセグメント22にコイル17dの一端と他端がそれぞれ接続されており、セグメント番号「14」,「15」のセグメント22にコイル17eの一端と他端がそれぞれ接続されている。更に、セグメント番号「17」,「18」のセグメント22にコイル17fの一端と他端がそれぞれ接続されており、セグメント番号「20」,「21」のセグメント22にコイル17gの一端と他端がそれぞれ接続されており、セグメント番号「23」,「14」のセグメント22にコイル17hの一端と他端がそれぞれ接続されている。
セグメント22に接続されるコイル17a〜17hの端部は、保持部24の外周面に形成された案内溝24bを通って、それぞれ対応するセグメント22のコイル接続部34に形成された接続溝34a内に案内される。この状態で、径方向外側から溶接が施され、コイル接続部34と各コイル17a〜17hの端部とが電気的に接続される。
上記のように構成された本第1実施形態の直流モータでは、外部の電源装置から陽極側ブラシ8及び陰極側ブラシ9を介してコイル17a〜17hに選択的に電流が供給されると、コイル17a〜17hにて発生される回転磁界に応じて電機子11が回転する。電機子11が回転すると整流子21が回転することから、陽極側ブラシ8及び陰極側ブラシ9に摺接するセグメント22が切り替わり、順次コイル17a〜17hの整流が行われる。
次に、上記のように構成された整流子21の製造方法について説明する。
まず、短絡部材23を形成する短絡部材形成工程が行われる。この短絡部材形成工程において、短絡部材23、即ち短絡構成部材群41は、導電性の板材(例えば銅板)をパンチ(何れも図示略)にて打ち抜いた後に、接続片45となる部位を折り曲げることにより形成される。図7(a)に、本短絡部材形成工程にて形成された短絡部材23の斜視図を示す。図7(a)に示すように、形成された短絡部材23においては、外周側端末42、内周側端末43、及び連結部44は、一体に形成されると共に平板状をなしている。
次に、セグメント22を形成するセグメント形成工程が行われる。このセグメント形成工程において、セグメント22は、導電性の板材をパンチ(何れも図示せず)にて打ち抜いた後に、外周側接続部33及び内周側接続部32を折り曲げて整形することにより形成される。尚、セグメント22は24個形成されると共に、これら24個のセグメント22は、個々に打ち抜き形成される。
次に、セグメント22に対して短絡部材23を配置する配置工程が行われる。この配置工程において、24個のセグメント22は、図7(b)に示すように、各セグメント22の摺接面31aが同一平面内に配置されるように、且つ放射状となるように配置される。そして、放射状に配置された24個のセグメント22に対して、平板状の短絡部材23が、摺接面31aと平行をなすように配置される。この時、短絡部材23は、内周側端末43を内周側接続面32aに当接させると共に、接続片45を外周側接続面33aに当接させて配置される。そして、セグメント22に対して短絡部材23が配置されると、図5に示す状態となる。セグメント22に対して短絡部材23が配置された状態では、短絡部材23におけるセグメント22側の面は、内周側接続面32aと同一平面内に配置されており、セグメント本体31の上面31bと連結部44とは、隙間を空けて配置されて互いに非接触となっている。
次に、短絡部材23とセグメント22とを接続する接合工程が行われる。この接合工程において、内周側端末43と内周側接続部32とが溶接により接合されると共に、接続片45と外周側接続部33とが溶接により接合される。これにより、外周側端末42が接続片45を介して外周側接続部33に電気的に接続されると共に、内周側端末43が内周側接続部32に電気的に接続される。
次に、保持部24を形成する保持部形成工程が行われる。この保持部形成工程において、互いに接続された24個のセグメント22及び短絡部材23は、保持部24形成用の成形型(図示略)内に配置される。その後、成形型内に、溶融した絶縁性樹脂材料が充填される。この時、絶縁性樹脂材料は、周方向に隣り合うセグメント22間、周方向に隣り合う連結部44間、及び軸方向に対向するセグメント本体31と連結部44との間の隙間にも充填される。そして、絶縁性樹脂材料が冷却されて硬化することにより、ボス部24eを有すると共にセグメント22及び短絡部材23を一体化して保持する保持部24が形成され、整流子21が完成する。整流子21は、保持部24が形成された後に成形型から取り出される。
上記の工程を経て形成された整流子21は、図8に示すように、コイル17a〜17hが巻回された状態のコア13が固定された回転軸12が、嵌入孔24dに圧入されることにより、回転軸12に対して一体回転可能に固定される。その後、各コイル17a〜17hの端部が、それぞれ対応するセグメント22のコイル接続部34に接続される。尚、また、保持部24の外径、即ち整流子21の外径は、マグネット2の内径よりも大きく且つモータハウジングの内径よりも小さく形成されていると共に、放射状に配置された24個のセグメント22におけるコイル接続部34の先端を通る円と略等しく形成されている。従って、各コイル17a〜17hの端部が引き出される位置と、コイル接続部34とは、径方向に近い位置に配置されることになる。また、各コイル17a〜17hの端部は、図2(a)に示すように、第1の保持凸部18aと第2の保持凸部18bとの間、及び第1の保持凸部18aと第3の保持凸部18cとの間の何れか一方を通って軸方向に沿って引き出されていることから、第1〜第3の保持凸部18a〜18cによって保持されて軸方向に延びた状態を保ち易くなっている。従って、コイル接続部34の接続溝34aに対して、各コイル17a〜17hの端部を配置し易い。そして、各コイル17a〜17hの端部がコイル接続部34の接続溝34a内に配置された状態で、コイル接続部34に対して整流子21の径方向外側から溶接が施され、セグメント22とコイル17a〜17hの端部とが電気的に接続される。これにより、電機子11が完成する。
上記したように、本第1実施形態によれば、以下の作用・効果を有する。
(1)セグメント22を保持する保持部24は円板状をなしていると共に、24個のセグメント22は、保持部24の板厚方向の一端に放射状に配置され、更に、陽極側ブラシ8及び陰極側ブラシ9が摺接される摺接面31aは、保持部24の板厚方向と直交するように形成されている。そして、整流子21は、保持部24の板厚方向と回転軸12の軸方向とを一致させて回転軸12に固定されていると共に、陽極側ブラシ8及び陰極側ブラシ9は、整流子21に対して軸方向から摺接する。従って、給電用ブラシが径方向から摺接する従来の整流子に比べて、直流モータの外径を大きくすることなく整流子21の外径を大きくすることができる。よって、従来の整流子に備えられる短絡部材に比べて、本第1実施形態の整流子21に備えられる短絡部材23の径方向の大きさを、整流子21の外径に応じて大きくすることができるようになり、連結部44の周方向の幅を大きくすることが可能となる。その結果、電流が流れる方向と直交する方向の連結部44の断面積を大きくすることができる。また、短絡構成部材群41の数を増やすことなく連結部44の断面積を大きくすることができるため、整流子21の部品点数の増加を防止すると共に、整流子21の軸方向(回転軸12の軸方向に沿った方向)の大型化を抑制することができる。更に、平板状の短絡部材23は、摺接面31aに対して平行に配置されていることから、短絡部材23は、セグメント22を保持する保持部24と平行に配置されていることになる。このように、平板状の短絡部材23を円板状の保持部24と平行に配置することにより、整流子21を軸方向により小型化することができる。また、給電用ブラシに径方向から摺接される従来の整流子においては、給電用ブラシが摺接する部位を確保するために、該整流子の軸方向の長さをある程度確保する必要があることから、当該整流子の軸方向の小型化は困難であった。しかし、本第1実施形態の整流子21には、陽極側ブラシ8及び陰極側ブラシ9は軸方向から摺接する。従って、保持部24の板厚を陽極側ブラシ8及び陰極側ブラシ9の先端の幅に関係無く設定することができることから、保持部24の板厚を薄くすることが可能となり、短絡部材23を備えた整流子21を軸方向に更に小型化することが可能となる。
(2)外周側端末42と内周側端末43との両方がそれぞれセグメント22に固定されることから、セグメント22に対する短絡部材23の位置が安定しやすくなる。また、外周側端末42は、セグメント22における保持部24の外周側の端部に設けられた外周側接続部33に接続され、内周側端末43は、セグメント22における保持部24の内周側の端部に設けられた内周側接続部32に接続されることから、保持部24の径方向に沿ったセグメント22の長さと、短絡部材23の径方向の長さとがほぼ等しくなる。従って、セグメント22及び短絡部材23の径方向の長さが互いに異なる場合に比べて、モータハウジング1内における無駄な空間を無くすことができる。
(3)各連結部44は、外周側端末42と内周側端末43とを120°ずらして接続することから、1つの短絡構成部材群41によって、周方向に120°間隔を空けて配置されたセグメント22同士を短絡することができる。そして、短絡部材23が1つの短絡構成部材群41から構成されることにより、整流子21の部品点数が低減されると共に、その組付けが容易となる。また、短絡部材23が複数の短絡構成部材群により構成されている場合よりも、短絡部材23を備えた整流子21の軸方向の小型化を図ることができる。
(4)保持部24の外径は、周方向に配置された24個のセグメント22のコイル接続部34の先端を通る円と略等しく形成されていると共に、マグネット2の内径よりも大きく且つモータハウジング1の内径よりも小さく形成されている。即ち、整流子21の外径は、モータハウジング1内で、マグネット2の内径よりも大きく形成されている。また、各セグメント22において対応するコイル17a〜17hの端部が接続されるコイル接続部34の先端は、保持部24の外周面と等しい位置に配置されている。従って、コイル接続部34とコア13の外周面(即ちティース17a〜17hの先端面)との間の径方向の距離は、給電用ブラシが径方向から整流子に摺接する従来の直流モータにおけるセグメントとコアの外周面との間の径方向の距離よりも短くなる。そして、各コイル17a〜17hの端部は、コア13の外周側から軸方向に沿って引き出されることから、給電用ブラシが径方向から整流子に摺接される場合よりも、コイル17a〜17hの端部が引き出される位置と、該端部を接続する位置(即ちコイル接続部34)とが径方向に近くなる。従って、各コイル17a〜17hの端部とセグメント22とを接続するために必要な導線19の長さをより短くすることができる。
(5)整流子21の外径(本実施形態では保持部24の外径に同じ)を、マグネット2の内径より大きく、且つモータハウジング1の内径より小さく設定することにより、モータハウジング1内において、整流子21の外径をより大きく設定することができる。従って、陽極側ブラシ8及び陰極側ブラシ9が軸方向から摺接する摺接面31aの面積を、モータハウジング1の外径を大きくすることなく最大限大きくすることができ、電機子11への給電量を大きくすることができる。
(6)整流子21は、マグネット2の図1における下端面よりもモータハウジング1の開口部側に配置されており、マグネット2の下端面と軸方向に対向する。従って、整流子21とマグネット2とは径方向に重ならないため、整流子21の外径(本実施形態では保持部24の外径に同じ)がマグネット2の内径より大きく形成されていても、該整流子21がマグネット2に接触することを防止することができる。
(7)各コイル17a〜17hの端部を接続するためのコイル接続部34は、整流子21の外周側に配置されていることから、各コイル17a〜17hの端部を対応するセグメント22に接続するための溶接は、径方向外側から行われる。例えば、当該溶接が軸方向から行われる場合、コア13や回転軸12によって溶接が行い難くなることがある。しかし、本第1実施形態のように、各コイル17a〜17hの端部を対応するセグメント22に接続するための溶接が径方向から行われると、コア13や回転軸12の影響を受けることなく溶接を行うためのスペースを確保することができるため、当該溶接をより容易に行うことができる。
(8)セグメント22の径方向外側の端部には、接続溝34aが形成されており、各コイル17a〜17hの端部は、対応するセグメント22の接続溝34a内に配置された状態で溶接されてセグメント22に接続される。従って、各コイル17a〜17hの端部は接続溝34a内に配置されることによりコイル接続部34によって周方向に位置決めされることから、各コイル17a〜17hの端部を対応するセグメント22に接続するための溶接を容易に行うことができる。
(9)コイル17a〜17hの端部は、第1〜第3の保持凸部18a〜18cによって周方向の両側から挟持されている。そのため、コイル17a〜17hの端部は、軸方向に引き出された状態に保たれやすくなる。その結果、各コイルの端部をセグメントにおける保持部の外周側の端部により容易に接続することができる。
(10)短絡部材23は、外周側端末42と外周側接続部33、及び内周側端末43と内周側接続部32を、それぞれ溶接にて接合することによりセグメント22に対して電気的に接続されている。そのため、短絡部材23とセグメント22との電気的接続を、互いの接触のみにより行う場合や、半田付け、かしめ等により行う場合よりも、確実なものとすることができる。
(11)保持部形成工程において、保持部24は、セグメント22及び短絡部材23の両方を保持するように形成されることから、セグメント22と短絡部材23とのそれぞれに対して保持部を形成する場合よりも、容易に整流子21を製造することができる。また、セグメント22及び短絡部材23の両方が絶縁性樹脂材料よりなる保持部24にて一体化されるため、本第1実施形態の製造方法にて製造された整流子21の回転中に、セグメント22に対して短絡部材23がずれることを防止することができる。更に、セグメント22と短絡部材23とが溶接だけで一体化されている場合よりも、セグメント22から短絡部材23が外れ難くなる。
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。尚、上記第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の直流モータには、上記第1実施形態の整流子21に替えて、図9に示す整流子61が備えられている。図9は、本第2実施形態の整流子61の平面図であり、図10は、整流子61の底面図であり、図11は、整流子61の軸方向断面図である。
図9に示すように、整流子61は、周方向に配置された24個のセグメント62と、同電位となるセグメント62同士を短絡するための短絡部材63と、セグメント62を保持する保持部64とから構成されている。
図10に示すように、24個のセグメント62は、周方向に隣り合うセグメント62間に間隔を空けて、放射状に、且つ周方向に等角度間隔に配置されている。24個のセグメント62は、軸方向(図9における紙面直交方向)から見ると、径方向内側の端部から径方向外側に向かうに連れて徐々にその幅が広くなる略扇形状をなしており、隣り合うセグメント62間の間隔の周方向の幅が径方向に一定となっている。
各セグメント62は、軸方向から見た形状が略扇形状をなす板状のセグメント本体71を有していると共に、図11(a)に示すように、該セグメント本体71における下面は、平坦な摺接面71aとなっている。また、セグメント本体71における摺接面71aと平行な上面71bの径方向の中央部には、周方向から見た形状が矩形状をなす充填凹部72が形成されている。そして、図10に示すように、セグメント本体71の径方向外側の端面71cには、セグメント本体71と同じ厚さで径方向外側に向かって突出したコイル接続部73が設けられていると共に、該コイル接続部73の径方向外側の先端には、セグメント本体71の厚さ方向に沿って延びる接続溝73aが形成されている。接続溝73aにおける周方向の幅は、前記コイル17a〜17hを構成する導線19(図1参照)の直径と略等しく形成されている。また、接続溝73aの深さは、導線19の直径よりも深く形成されていると共に、接続溝73aの底面73bは、軸方向から見ると、その径方向位置が、セグメント本体71の径方向外側の端面71cと同じ位置となっている。
略円板状をなす保持部64は、絶縁性の樹脂材料よりなり、その板厚はセグメント本体71の板厚よりも薄く形成されている。また、保持部64の軸方向の一端面64aには、円環状をなすと共に軸方向に突出したセグメント保持凸部64bが形成されている。24個のセグメント62は、このセグメント保持凸部64bが充填凹部72内に配置された状態で、保持部64によって保持されている。そして、保持部64を軸方向から見ると、該保持部64の外周縁は、セグメント本体71の径方向外側の端面71cと同じ位置となっている。
また、図11(a)に示すように、保持部64の径方向中央部には、その直径が回転軸12(図1参照)の外径と等しいか若干小さく形成された嵌入孔64cが軸方向に沿って貫通して形成されている。そして、嵌入孔64cの軸方向の他端側(図11(a)における上端側)の開口周縁には、嵌入孔64cを延長するように軸方向に突出した円筒状のボス部64dが一体に形成されている。ボス部64dの内径は、嵌入孔64cの直径と等しいと共に、ボス部64dの軸方向の長さは、保持部64の厚さと略等しく形成されている。尚、保持部64におけるセグメント62が配置された側と逆側の端面64e、即ちボス部64dが形成された側の端面64eは、セグメント本体71の摺接面71aと平行に形成されている。
図9に示すように、前記短絡部材63は、第1短絡構成部材群81及び第2短絡構成部材群91の2つの短絡構成部材群から構成されている。
第1短絡構成部材群81は、周方向に配置され、略長方形の板状をなす24個の第1外周側端末82と、第1外周側端末82の内側で周方向に配置され、略台形の板状をなす24個の第1内周側端末83と、第1外周側端末82と第1内周側端末83とを所定角度ずらして接続する24個の第1連結部84とを備えて構成されている。
24個の第1外周側端末82は、保持部64におけるセグメント62が配置された側と逆側の端面64e上に、軸方向から見てその径方向外側の端部が保持部64の外周縁と同じ位置となるように、且つ、保持部64を挟んで24個のセグメント62にそれぞれ対応する位置となるように配置されている。これら第1外周側端末82の周方向の幅は、前記接続溝73aの周方向の幅と略等しく形成されている。そして、図11(a)に示すように、各第1外周側端末82の径方向外側の端部には、該第1外周側端末82と直交する方向、即ち軸方向に沿ってセグメント62側に向かって延びる第1接続片85が一体に設けられている。各第1接続片85は、図10に示すように、接続溝73aの底面73bに当接するように接続溝73a内に挿入されていると共に、その先端は、摺接面71aと同一平面内に配置されている(図11(a)参照)。そして、第1接続片85は、接続溝73a内に配置されることにより、セグメント62の径方向外側(即ち保持部64の外周側)の端部を構成する接続溝73aの底面73bと径方向に対向している。
24個の前記第1内周側端末83は、前記端面64e上で、ボス部64dの周囲に、周方向に等角度間隔に配置されている。各第1内周側端末83の径方向位置は、各第1外周側端末82の径方向位置と一致している。これら第1内周側端末83の周方向の幅は、第1外周側端末82の周方向の幅よりも若干小さく形成されている。
図9に示すように、24個の前記第1連結部84は、第1外周側端末82と第1内周側端末83とを60°ずらして接続するように、即ち60°離れた位置にある第1外周側端末82と第1内周側端末83とを接続するように延びている。詳しくは、第1連結部84は、インボリュート曲線に沿った湾曲形状をなしていると共に、前記端面64e側から見ると(即ち図9においては)、各第1外周側端末82から、反時計方向に60°離れた位置に配置された第1内周側端末83まで延びている。そして、各第1連結部84の幅は、周方向に隣り合う第1連結部84同士が互いに非接触となるような幅に設定されている。
上記のように構成された第1短絡構成部材群81では、第1外周側端末82,第1内周側端末83,及び第1連結部84は、一体に形成されて一枚の平板状をなしている。また、第1短絡構成部材群81の板厚は、セグメント本体71の板厚(軸方向に沿った厚さ)よりも薄く形成されている。
前記第2短絡構成部材群91は、周方向に配置され、略長方形の板状をなす24個の第2外周側端末92と、第2外周側端末92の内側で周方向に配置され、略台形の板状をなす24個の第2内周側端末93と、第2外周側端末92と第2内周側端末93とを所定角度ずらして接続する24個の第2連結部94とを備えて構成されている。
24個の第2外周側端末92は、前記第1外周側端末82上に積層されており、その周方向の幅は第1外周側端末82と等しく形成されると共に、図11(a)に示すように、その径方向の長さは第1外周側端末82よりも第1接続片85の板厚分だけ径方向外側に長く形成されている。そして、各第2外周側端末92の径方向外側の端部には、該第2外周側端末92と直交する方向、即ち軸方向に沿ってセグメント62側に向かって延びる第2接続片95が一体に設けられている。各第2接続片95は、第1接続片85の径方向外側の面に当接するように接続溝73a内に挿入されていると共に、その先端は、摺接面71aと同一平面内に配置されている。そして、第2接続片95は、第1接続片85と同様に、接続溝73a内に配置されることにより、セグメント62の径方向外側の端部を構成する接続溝73aの底面73bと径方向に対向している。
図9に示すように、24個の前記第2内周側端末93は、前記第1内周側端末83と同じ形状をなしていると共に、第1内周側端末83上に積層されている。また、24個の前記第2連結部94は、第2外周側端末92と第2内周側端末93とを60°ずらして接続するように、即ち60°離れた位置にある第2外周側端末92と第2内周側端末93とを接続するように延びている。詳しくは、第2連結部94は、インボリュート曲線に沿った湾曲形状をなしていると共に、前記端面64e側から見ると(即ち図9においては)、各第2外周側端末92から、時計方向に60°離れた位置に配置された第2内周側端末93まで延びている。そして、各第2連結部94の幅は、第1連結部84と同様に、周方向に隣り合う第2連結部94同士が互いに非接触となるような幅に設定されている。また、第1連結部84と第2連結部94とを板厚方向に非接触とするために、第1連結部84と第2連結部94との間には、円環状の絶縁紙101が介在されている(図11(b)参照)。
上記のように構成された第2短絡構成部材群91では、第2外周側端末92,第2内周側端末93,及び第2連結部94は、一体に形成されて一枚の平板状をなしている。また、第2短絡構成部材群91の板厚は、セグメント本体71の板厚(軸方向に沿った厚さ)よりも薄く形成されている。
短絡部材63は、上記の第1短絡構成部材群81及び第2短絡構成部材群91を、第1及び第2連結部84,94が互いに逆向きとなるように板厚方向に積層して形成されている。そして、板厚方向に積層された第1及び第2外周側端末82,92同士、第1及び第2内周側端末83,93同士は、それぞれ溶接により接合され、電気的に接続されている。このように、短絡部材63は、平板状の第1及び第2短絡構成部材群81,91を積層して形成されていることから、平板状をなしている。そして、短絡部材63は、保持部64におけるセグメント62が配置された側と逆側の端面64e上で、ボス部64dの周囲に配置されて、摺接面71aと平行をなしている。また、短絡部材63は、接続溝73a内に第1及び第2接続片85,95が挿入された状態で径方向からコイル接続部73に溶接が施されることにより、セグメント62に電気的に接続されている。因みに、第1及び第2外周側端末82,92は、第1及び第2接続片85,95を介してセグメント62にそれぞれ接続されることになる。また、短絡部材63は、周方向に60°間隔を空けて配置された第1外周側端末82と第1内周側端末83とを連結する第1連結部84と、周方向に60°間隔を空けて配置された第2外周側端末92と第2内周側端末93とを連結する第2連結部94とが逆向きに積層されて形成されている。従って、各第1及び第2外周側端末82,92がセグメント62にそれぞれ接続されると、120°間隔を空けて配置されたセグメント62同士が短絡される。
上記のように構成された整流子61は、セグメント62がコア13と逆方向を向くようにして、嵌入孔64c及びボス部64dに回転軸12が圧入されることにより、回転軸12に対して一体回転可能に固定される。回転軸12に固定された整流子61においては、保持部64の板厚方向と回転軸12の軸方向とが一致している。そして、該整流子61を備えた電機子(図示略)がモータハウジング1内に配置された状態では、各セグメント62の摺接面71aには、上記第1実施形態と同様に、軸方向から前記陽極側ブラシ8及び前記陰極側ブラシ9の先端が摺接される(図1参照)。
尚、整流子61の外径、即ち、各セグメント62のコイル接続部73の先端を通る円の直径は、マグネット2の内径よりも大きく且つモータハウジング1の内径よりも小さく形成されている(図1参照)。このため、第1及び第2接続片85,95が各コイル接続部73の接続溝73aに挿入される短絡部材63の外径も、マグネット2の内径よりも大きく且つモータハウジング1の内径よりも小さく形成されることになる。また、整流子61を備えた電機子(図示略)がモータハウジング1内に配置された状態では、整流子61は、マグネット2の図1における下端面よりもモータハウジング1の開口部側に配置されており、整流子61とマグネット2とは径方向に重ならない。
整流子61の所定のセグメント62には、上記第1実施形態と同様に、対応する前記コイル17a〜17hの端部が接続されている。詳しくは、周方向に隣り合って対をなす8対のセグメント62に、対応するコイル17a〜17hの端部がそれぞれ接続されている。8対のセグメント62間には、コイル17a〜17hの端部が接続されないセグメント62が1つずつ配置されている。そして、所定のセグメント62に接続されるコイル17a〜17hの端部は、それぞれ対応するセグメント62のコイル接続部73に形成された接続溝73a内に配置される。この状態で、径方向外側から溶接が施され、コイル接続部73と各コイル17a〜17hの端部とが電気的に接続される。
次に、上記のように構成された整流子61の製造方法について説明する。
まず、短絡部材63を形成する短絡部材形成工程が行われる。この短絡部材形成工程では、導電性の板材(例えば銅板)をパンチ(何れも図示せず)にて打ち抜いた後に、第1接続片85及び第2接続片95となる部位を折り曲げることにより、第1短絡構成部材群81及び第2短絡構成部材群91が形成される。尚、図12に、本短部材形成工程において形成された第1短絡構成部材群81、及び第2短絡構成部材群91を図示している。そして、各第1接続片85の径方向外側の面に、それぞれ第2接続片95の径方向内側の面が当接するように、第1短絡構成部材群81に第2短絡構成部材群91を積層する。この時、積層される第1連結部84と第2連結部94との間には、絶縁紙101が介在される。第1短絡構成部材群81と第2短絡構成部材群91とが積層されると、各第1外周側端末82にそれぞれ第2外周側端末92が板厚方向に積層されると共に、各第1内周側端末83にそれぞれ第2内周側端末93が板厚方向に積層される。また、第1短絡構成部材群81と第2短絡構成部材群91とが積層された状態では、第1接続片85の先端と第2接続片95の先端とは同一平面内に位置している。そして、第1及び第2外周側端末82,92同士、及び第1及び第2内周側端末83,93同士がそれぞれ溶接により接合されて、短絡部材63が完成する。図13(a)に、本短絡構成部材形成工程にて形成された短絡部材63の斜視図を示す。図13(a)に示すように、形成された短絡部材63においては、第1及び第2接続片85,95を除く第1及び第2短絡構成部材群81,91は、平板状をなしていることから、これら第1及び第2短絡構成部材群81,91を積層して形成された短絡部材63は、平板状をなしている。
次に、セグメント62を形成するセグメント形成工程が行われる。このセグメント形成工程において、セグメント62は、導電性の板材をパンチ(何れも図示せず)にて打ち抜くことにより形成される。尚、充填凹部72は、セグメント62を打ち抜く際に、同時セグメント本体71の一部が肉薄に形成されることにより設けられる。尚、セグメント62は24個形成されると共に、これら24個のセグメント62は、個々に打ち抜き形成される。
次に、保持部64を形成する保持部形成工程が行われる。この保持部形成工程においては、保持部64形成用の成形型(図示略)内に、24個のセグメント62が、各セグメント62の摺接面71aが同一平面内に配置されるように、且つ放射状となるように配置される。その後、成形型内に、溶融した絶縁性樹脂材料が充填される。この時、絶縁性樹脂材料は、セグメント保持凸部64bを形成すべく、セグメント62の充填凹部72内にも充填される。そして、絶縁性樹脂材料が冷却されて硬化することにより、24個のセグメント62を保持すると共にボス部64dを有する保持部64が形成される。完成した保持部64は、成形型から取り出される。図13(b)に、本保持部形成工程にて形成された保持部64の斜視図を示す。
次に、保持部64によって保持されたセグメント62に対して短絡部材63を配置する配置工程が行われる。この配置工程において、図13(a)及び図13(b)に示すように、短絡部材63は、保持部64におけるセグメント62が配置された側と逆側の端面64e側で、第1接続片85及び第2接続片95の先端が、保持部64側を向くように配置される。そして、保持部64と短絡部材63とは、互いに近づくように軸方向に沿って相対移動され、第1及び第2接続片85,95が、対応するセグメント62の径方向外側の端部に設けられたコイル接続部73の接続溝73aに挿入される。短絡部材63と保持部64とは、第1接続片85を除く第1短絡構成部材群81が保持部64の端面64eに当接するまで軸方向に沿って相対移動される。第1短絡構成部材群81が保持部64の端面64eに当接した状態では、第1及び第2接続片85,95の先端が、摺接面71aと同一平面内に配置され、第1接続片85の径方向内側の面が接続溝73aの底面に当接すると共に第2接続片95の径方向内側の面が第1接続片85の径方向外側の面に当接している。また、同状態では、第1及び第2接続片85,95を除く平板状の短絡部材63は、摺接面71aに対して平行に配置されている。
次に、保持部64によって保持されたセグメント62と短絡部材63とを接続する接合工程が行われる。この接合工程において、コイル接続部73と、接続溝73aに挿入された第1及び第2接続片85,95とが、溶接により接合される。これにより、第1及び第2外周側端末82,92とセグメント62とが、第1及び第2接続片85,95を介して電気的に接続され、整流子61が完成する。
上記の工程を経て形成された整流子61は、コイル17a〜17hが巻回された状態のコア13が固定された回転軸12が、嵌入孔64cに圧入されることにより、回転軸12に対して一体回転可能に固定される。その後、各コイル17a〜17hの端部が、それぞれ対応するセグメント62のコイル接続部73の接続溝73a内に配置される。そして、各コイル17a〜17hの端部がコイル接続部73の接続溝73a内に配置された状態で、コイル接続部73に対して整流子61の径方向外側から溶接が施され、セグメント62とコイル17a〜17hの端部とが電気的に接続される。これにより、整流子61を備えた電機子が完成する。
上記したように、本第2実施形態によれば、上記第1実施形態の(4)〜(9)の作用・効果に加えて、以下の作用・効果を有する。
(1)セグメント62を保持する保持部64は円板状をなしていると共に、24個のセグメント62は、保持部64の板厚方向の一端に放射状に配置され、更に、陽極側ブラシ8及び陰極側ブラシ9が摺接される摺接面71aは、保持部64の板厚方向と直交するように形成されている。そして、整流子61は、保持部64の板厚方向と回転軸12の軸方向とを一致させて回転軸12に固定されていると共に、陽極側ブラシ8及び陰極側ブラシ9は、整流子61に対して軸方向から摺接する。従って、給電用ブラシに径方向から摺接される従来の整流子に比べて、直流モータの外径を大きくすることなく整流子61の外径を大きくすることができる。よって、従来の整流子に備えられる短絡部材に比べて、本第2実施形態の整流子61に備えられる短絡部材63の径方向の大きさを、整流子61の外径に応じて大きくすることができるようになり、第1及び第2連結部84,94の周方向の幅を大きくすることが可能となる。その結果、電流が流れる方向と直交する方向の第1及び第2連結部84,94の断面積を大きくすることができる。また、第1及び第2短絡構成部材群81,91の数を増やすことなく第1及び第2連結部84,94の断面積を大きくすることができるため、整流子61の部品点数の増加を防止すると共に、整流子61の軸方向(回転軸12の軸方向に沿った方向)の大型化を抑制することができる。更に、平板状の短絡部材63は、摺接面71aに対して平行に配置されていることから、短絡部材63は、セグメント62を保持する保持部64に対して平行に配置されていることになる。このように、平板状の短絡部材63を円板状の保持部64に対して平行に配置することにより、整流子61を軸方向により小型化することができる。また、給電用ブラシに径方向から摺接される従来の整流子においては、給電用ブラシが摺接する部位を確保するために、該整流子の軸方向の長さをある程度確保する必要があることから、当該整流子の軸方向の小型化は困難であった。しかし、本第2実施形態の整流子61には、陽極側ブラシ8及び陰極側ブラシ9は軸方向から摺接する。従って、保持部64の板厚を陽極側ブラシ8及び陰極側ブラシ9の先端の幅に関係無く設定することができることから、保持部64の板厚を薄くすることが可能となり、短絡部材63を備えた整流子61を軸方向に更に小型化することが可能となる。
(2)本第2実施形態の短絡部材63は、第1及び第2短絡構成部材群81,91の2つの短絡構成部材群から構成されていると共に、第1及び第2短絡構成部材群81,91は、第1連結部84と第2連結部94とが互いに逆向きとなるように積層されている。そして、各第1連結部84は、周方向に60°ずれた位置にある第1外周側端末82と第1内周側端末83とを連結していると共に、各第2連結部94は、周方向に60°ずれた位置にある第2外周側端末92と第2内周側端末93とを連結している。更に、第1及び第2外周側端末82,92同士、及び第1及び第2内周側端末83,93同士がそれぞれ溶接により接合されている。そのため、第1及び第2接続片85,95を介して第1及び第2外周側端末82,92がセグメント62にそれぞれ接続されることにより、周方向に120°間隔を空けて配置されたセグメント62同士が同電位となるように接続される。従って、上記第1実施形態のように、外周側端末42及び内周側端末43の両方をセグメント22に接続する場合よりも、セグメント62と短絡部材63とを接続する部位が少ないため、セグメント62と短絡部材63との接続を容易に行うことができる。
(3)短絡部材63は、2つの短絡構成部材群、即ち第1短絡構成部材群81及び第2短絡構成部材群91から構成されている。周方向に120°間隔を空けて配置されたセグメント62同士を短絡する場合であって、外周側端末と内周側端末とを60°ずらして連結する連結部を備えた短絡構成部材群を用いる場合には、短絡部材を構成する短絡構成部材群の数は最低2つ必要である。即ち、本第2実施形態のように、短絡部材63を2つの短絡構成部材群、即ち第1短絡構成部材群81及び第2短絡構成部材群91にて構成することにより、外周側端末と内周側端末とを60°ずらして連結する連結部を備えた短絡構成部材群を用いる場合において、部品点数を最小とすることができる。その結果、短絡構成部材群(第1及び第2短絡構成部材群81,91)の数が最小の2枚であるため、整流子61の組付けを容易に行うことができる。また、外周側端末と内周側端末とを60°ずらして連結する連結部を備えた短絡構成部材群を用いる場合において、短絡構成部材群を3つ以上用いて短絡部材63を構成する場合よりも、整流子21の軸方向の小型化を図ることができる。
(4)第1及び第2接続片85,95は、セグメント62における保持部64の径方向外側の端部に設けられた接続溝73a内に挿入されている。即ち、第1及び第2接続片85,95は、セグメント62における保持部64の外周側の端部と対向する位置に配置されている。従って、第1及び第2接続片85,95によって、短絡部材63の径方向の移動が規制され、第1及び第2接続片85,95を介してセグメント62にそれぞれ接続された第1及び第2外周側端末82,92とセグメント62との接続状態を安定したものとすることができる。また、第1及び第2接続片85,95は、セグメント62における保持部64の径方向外側の端部に設けられた接続溝73a内に挿入されていることから、コイル接続部73及び第1及び第2接続片85,95によって、短絡部材63の周方向の移動も規制される。よって、第1及び第2接続片85,95を介してセグメント62にそれぞれ接続された第1及び第2外周側端末82,92とセグメント62との接続状態をより安定したものとすることができる。
(5)第1及び第2短絡構成部材群81,91の板厚は、セグメント62の板厚よりも薄く形成されている。従って、板厚が薄い方の第1及び第2短絡構成部材群81,91に、折り曲げて形成される第1及び第2接続片85,95を設けることにより、セグメント62を折り曲げて短絡部材63とセグメント62とを接続するための部位を形成する場合よりも、第1及び第2短絡構成部材群81,91及びセグメント62を容易に形成することができる。
(6)短絡部材63は、ボス部64dの外周に配置されているため、その径方向の移動がボス部64dによって規制される。従って、保持部64の図11(a)における上側の端面64e上における短絡部材63の配置位置が、径方向にずれ難くなる。
(7)配置工程において、第1及び第2接続片85,95をコイル接続部73の接続溝73aに挿入することにより、24個のセグメント62対する短絡部材63の周方向及び径方向の位置決めを容易に行うことができる。
(8)保持部形成工程を行って複数のセグメント62を保持部64にて保持した後に、配置工程が行われてセグメント62に対して短絡部材63が配置される。従って、セグメント62同士の配置位置が、保持部64によって確定された状態で配置工程を行うことになるため、セグメント62に対する短絡部材23の配置を容易に行うことができる。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記第1実施形態の整流子21においては、セグメント22及び短絡部材23の両方が保持部24にて一体化されて保持されている。しかしながら、整流子は、図14に示すように構成されるものであってもよい。尚、図14においては、上記第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付している。図14に示す整流子111は、24個のセグメント22を保持する円板状の保持部112の図14における上端面112a上に、短絡部材23が配置されて構成されている。保持部112は、絶縁性の樹脂材料よりなり、摺接面が同一平面内に配置されるように放射状に配置されたセグメント22の一部を埋設させることにより、セグメント22を保持している。詳しくは、保持部112は、セグメント22の外周側接続部33の基端部を埋設させて24個のセグメントを保持しており、該保持部112の軸方向の一端側にセグメント22の摺接面が配置されると共に、軸方向の他端側(上端面112a側)に外周側接続部33の先端が配置されている。尚、保持部112の上端面112a(摺接面と逆側の面)は、摺接面と平行をなしている。また、保持部112の外径は、放射状に配置されたセグメント22のコイル接続部34の先端を通る円と略等しく形成されていると共に、その外径は、マグネット2の内径よりも大きく且つモータハウジングの内径よりも小さく形成されている(図1参照)。更に、保持部112の外周面には、上記第1実施形態の案内溝24bと同様の案内溝112bが形成されている。そして、短絡部材23は、保持部112の上端面112a上に配置されることにより、セグメント22の摺接面に対して平行に配置されている。また、上端面112a上に配置された短絡部材23においては、各接続片45が外周側接続部33にそれぞれ当接すると共に、各内周側端末43が各内周側接続部32にそれぞれ当接している。尚、保持部112の径方向中央部には、整流子111を回転軸12に固定するための絶縁性樹脂材料よりなる円環状の固定部材113(図14中一点鎖線にて図示)が一体に設けられている。
このように構成された整流子111を製造するには、短絡部材形成工程及びセグメント形成工程の後、保持部形成工程が行われる。この保持部形成工程においては、保持部112形成用の成形型(図示略)内に、セグメント22の摺接面が同一平面内に配置されるように且つ放射状にとなるように24個のセグメント22を配置した後に、成形型内に、溶融した絶縁性樹脂材料を充填する。そして、成形型内の絶縁性樹脂材料を冷却して固化させることにより、保持部112が形成される。図15に、短絡部材形成工程にて形成された短絡部材23、及び保持部形成工程にて形成された保持部112の斜視図を示す。次いで、保持部112にて保持されたセグメント22に対して短絡部材23を配置する配置工程が行われる。この配置工程では、保持部112の上端面112a上に短絡部材23を配置することにより、短絡部材23をセグメント22の摺接面に対して平行に配置する。この時、各接続片45は外周側接続部33にそれぞれ当接され、各内周側端末43は内周側接続部32にそれぞれ当接される。次いで、接合工程において、接続片45と外周側接続部33、及び内周側端末43と内周側接続部32が、それぞれ溶接により接合される。これにより、接続片45を介して外周側端末42が外周側接続部33と電気的に接続されると共に、内周側端末43と内周側接続部32とが電気的に接続されて、図14に示す整流子111が完成する。
このようにすると、保持部形成工程を行って複数のセグメント22を保持部112にて保持した後に、配置工程が行われてセグメント22に対して短絡部材23が配置される。従って、セグメント22同士の配置位置が、保持部112によって確定された状態で配置工程を行うことになるため、セグメント22に対する短絡部材23の配置を容易に行うことができる。
また、整流子は、図16に示すように構成されるものであってもよい。尚、図16においては、上記第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付している。図16に示す整流子121は、図14に示す保持部112と同一形状をなし24個のセグメント22を保持する第1の保持部122の図16における上端面122a上に、短絡部材23の一部を埋設させて該短絡部材23を保持する円板状の第2の保持部123が配置されて構成されている。第2の保持部123は、短絡部材23の連結部44を覆うように円環状に形成されており、その外径は第1の保持部122よりも若干小さく形成されると共に、その内径は第1の保持部122の内径よりも若干大きく形成されている。また、第2の保持部123の板厚は、短絡部材23の板厚よりも厚く、且つ第1の保持部122の板厚よりも薄く形成されている。そして、第2の保持部123に保持された短絡部材23は、第1の保持部122の上端面122a上に配置されることにより、セグメント22の摺接面に対して平行に配置されている。また、上端面112a上に配置された短絡部材23においては、各接続片45が外周側接続部33にそれぞれ当接すると共に、各内周側端末43が各内周側接続部32にそれぞれ当接している。また、第1の保持部122と第2の保持部123とは、性質の異なる絶縁性樹脂材料により形成されている。例えば、第1の保持部122は、陽極側ブラシ8及び陰極側ブラシ9が摺接されるセグメント22を保持することから、第2の保持部123に比べて硬度の高い絶縁性樹脂材料にて形成されている。一方、セグメント22よりも板厚の薄い短絡部材23を保持する第2の保持部123は、第1の保持部122よりも硬度の低い絶縁性樹脂材料にて形成されている。尚、第1の保持部122及び第2の保持部123の径方向中央部には、整流子121を回転軸12に固定するための絶縁性樹脂材料よりなる円環状の固定部材124(図16中一点鎖線にて図示)が一体に設けられている。
このように構成された整流子121を製造するには、短絡部材形成工程及びセグメント形成工程の後、保持部形成工程が行われる。この保持部形成工程は、第1の保持部122を形成する第1の保持部形成工程と、第2の保持部123を形成する第2の保持部形成工程とを備えている。そして、第1の保持部形成工程においては、第1の保持部122形成用の成形型(図示略)内に、セグメント22の摺接面が同一平面内に配置されるように且つ放射状となるように24個のセグメント22を配置した後に、成形型内に第1の保持部122形成用の溶融した絶縁性樹脂材料を充填する。そして、成形型内の絶縁性樹脂材料を冷却して固化させることにより第1の保持部122が形成される。一方、第2の保持部形成工程においては、第2の保持部123形成用の成形型(図示略)内に、短絡部材23を配置した後に、成形型内に第2の保持部123形成用の溶融した絶縁性樹脂材料を充填する。そして、成形型内の絶縁性樹脂材料を冷却して固化させることにより第2の保持部123が形成される。図17に、第1の保持部形成工程にて形成された第1の保持部122、及び第2の保持部形成工程にて形成された第2の保持部123の斜視図を示す。次いで、第1の保持部122にて保持されたセグメント22に対して第2の保持部123にて保持された短絡部材23を配置する配置工程が行われる。この配置工程では、第1の保持部122の上端面122a上に、短絡部材23を保持する第2の保持部123を配置することにより、短絡部材23をセグメント22の摺接面に対して平行に配置する。この時、各接続片45は外周側接続部33にそれぞれ当接され、各内周側端末43は内周側接続部32にそれぞれ当接される。次いで、接合工程において、接続片45と外周側接続部33、及び内周側端末43と内周側接続部32が、それぞれ溶接により接合される。これにより、接続片45を介して外周側端末42が外周側接続部33と電気的に接続されると共に、内周側端末43と内周側接続部32とが電気的に接続されて、図16に示す整流子121が完成する。
このようにすると、第1の保持部形成工程において、セグメント22を保持する第1の保持部122が形成されると共に、第2の保持部形成工程において、短絡部材23を保持する第2の保持部123が形成される。従って、セグメント22を保持する保持部と、短絡部材23を保持部する保持部とを個別に形成するため、第1の保持部122と第2の保持部123とを、それぞれ性質の異なる絶縁性樹脂材料を使用して形成することができる。また、保持部形成工程の後に配置工程を行うため、配置工程においては、セグメント22は第1の保持部122にて保持されると共に、短絡部材23は第2の保持部123にて保持されている。従って、セグメント22に対する短絡部材23の配置を容易に行うことができる。尚、第1の保持部122と第2の保持部123とは、同じ絶縁性樹脂材料よりなるものであってもよい。
・上記第2実施形態の整流子61は、保持部64にて保持されたセグメント62に対して、短絡部材63が平行に配置された構成となっている。しかしながら、整流子は、図18に示すように構成されるものであってもよい。尚、図18においては、上記第2実施形態と同一の構成については同一の符号を付している。図18に示す整流子131は、放射状に配置された24個のセグメント62を保持する円板状の第1の保持部132の図18における上端面132a上に、短絡部材63の一部を埋設させて該短絡部材63を保持する円板状の第2の保持部133が配置されて構成されている。第1の保持部132は、軸方向から見ると、その外周縁がセグメント本体71の径方向外側の端面71cと同じ位置となるように、その外径が設定されている。そして、第1の保持部132の図18における下端面132bには、上記第2実施形態のセグメント保持凸部64bと同様のセグメント保持凸部(図示略)が形成されており、該セグメント保持凸部によって24個のセグメント62を保持している。また、第1の保持部132の上端面132aは、摺接面と平行に形成されている。更に、第1の保持部132の径方向中央部には、回転軸12を嵌入するための嵌入孔132cが形成されていると共に、該嵌入孔132cにおけるセグメント62と逆側の開口の周縁には、上記第2実施形態と同様の円筒状のボス部132dが形成されている。第2の保持部133は、第1接続片85を除く第1短絡構成部材群81、及び第2接続片95を除く第2短絡構成部材群91埋設させて短絡部材63を保持している。尚、第2の保持部133の外径は、第1の保持部132の外径と等しく形成されていると共に、第1接続片85及び第2接続片95は、第2の保持部133の外周面から突出している。また、第2の保持部133の径方向の中央部には、前記ボス部132dが挿通される挿通孔133aが形成されており、第2の保持部133は、第1の保持部132におけるボス部132d側の端面上(即ち上端面132a上)において、ボス部132dの周囲に配置されている。第2の保持部133が第1の保持部132の上端面132a上に配置された状態では、第1接続片85及び第2接続片95を除く短絡部材63は、摺接面に対して平行に配置されている。また、同状態では、上記第2実施形態と同様に、第1接続片85及び第2接続片95は、コイル接続部73の接続溝73a内に挿入されてセグメント62に当接している。尚、図18に示す整流子131においては、積層方向に対向する第1連結部84及び第2連結部94(図18においては図示略)は、積層方向に非接触となるように構成されている。例えば、第1及び第2連結部84,94の互いに対向する側の面に凹部を形成して、第1及び第2連結部84,94を第1及び第2短絡構成部材群81,91におけるその他の部位よりも肉薄に形成することにより、第1及び第2連結部84,94を積層方向に非接触としてもよい。また例えば、上記第2実施形態と同様に第1及び第2連結部84,94間に絶縁紙101を介在させてもよい。更に、積層方向に互いに離間するように、第1及び第2連結部84,94を若干湾曲させた形状に形成してもよい。また更に、第1及び第2内周側端末83,93のうち少なくとも第2内周側端末93の径方向内側の端部に、第1及び第2接続片85,95と同様の接続片を形成し、第1連結部84と第2連結部94との間に間隙が設けられるように、第1短絡構成部材群81に対して第2短絡構成部材群91を配置してもよい。また、第1の保持部132と第2の保持部133とは、性質の異なる絶縁性樹脂材料により形成されている。例えば、第1の保持部132は、陽極側ブラシ8及び陰極側ブラシ9が摺接されるセグメント62を保持することから、第2の保持部133に比べて硬度の高い絶縁性樹脂材料にて形成されている。一方、セグメント62よりも板厚の薄い短絡部材63を保持する第2の保持部133は、第1の保持部132よりも硬度の低い絶縁性樹脂材料にて形成されている。そして、このように構成された整流子131の外径、即ち、各セグメント62のコイル接続部73の先端を通る円の直径は、マグネット2の内径よりも大きく且つモータハウジング1の内径よりも小さく形成されている(図1参照)。
このように構成された整流子131を製造するには、短絡部材形成工程及びセグメント形成工程が行われる。図19に短絡部材形成工程にて形成された短絡部材63の斜視図を示す。そして、保持部形成工程が行われる。尚、保持部形成工程の前に、第1及び第2外周側端末82,92同士(若しくは第1及び第2接続片85,95同士)、及び、第1及び第2内周側端末83,93同士を溶接により接合する接合工程を行ってもよい。保持部形成工程は、第1の保持部132を形成する第1の保持部形成工程と、第2の保持部133を形成する第2の保持部形成工程とを備えている。そして、第1の保持部形成工程においては、第1の保持部132形成用の成形型(図示略)内に、セグメント62の摺接面が同一平面内に配置されるように且つ放射状となるように24個のセグメント62を配置した後に、成形型内に、第1の保持部132形成用の溶融した絶縁性樹脂材料を充填する。そして、成形型内の絶縁性樹脂材料を冷却して固化させることにより24個のセグメント62を保持する第1の保持部132が形成される。一方、第2の保持部形成工程においては、第2の保持部133形成用の成形型(図示略)内に、短絡部材63を配置した後に、成形型内に、第2の保持部133形成用の溶融した絶縁性樹脂材料を充填する。そして、成形型内の絶縁性樹脂材料を冷却して固化させることにより第2の保持部133が形成される。図20に、第1の保持部形成工程にて形成された第1の保持部132、及び第2の保持部形成工程にて形成された第2の保持部133の斜視図を示す。次いで、第1の保持部132にて保持されたセグメント62に対して第2の保持部133にて保持された短絡部材63を配置する配置工程が行われる。この配置工程では、第1の保持部132の上端面132a上に、短絡部材63を保持する第2の保持部133を配置することにより、短絡部材63をセグメント62の摺接面に対して平行に配置する。この時、第1及び第2接続片85,95が、コイル接続部73に形成された接続溝73a内に挿入される。次いで、保持部64によって保持されたセグメント62と短絡部材63とを接続する接合工程が行われる。この接合工程において、コイル接続部73と、接続溝73aに挿入された第1及び第2接続片85,95とが、溶接により接合され、図18に示す整流子131が完成する。
このようにすると、第1の保持部形成工程において、セグメント62を保持する第1の保持部132が形成されると共に、第2の保持部形成工程において、短絡部材63を保持する第2の保持部133が形成される。従って、セグメント62を保持する保持部と、短絡部材63を保持部する保持部とを個別に形成するため、第1の保持部132と第2の保持部133とを、それぞれ性質の異なる絶縁性樹脂材料を使用して形成することができる。また、保持部形成工程の後に配置工程を行うため、配置工程においては、セグメント62は第1の保持部132にて保持されると共に、短絡部材63は第2の保持部133にて保持されている。従って、セグメント62に対する短絡部材63の配置を容易に行うことができる。尚、第1の保持部132と第2の保持部133とは、同じ絶縁性樹脂材料よりなるものであってもよい。
また、整流子は、図21に示すように構成されるものであってもよい。尚、図21においては、上記第2実施形態と同一の構成については同一の符号を付している。図21に示す整流子141は、セグメント62及び短絡部材63の両方が絶縁性樹脂材料よりなる円板状の保持部142にて一体化されて保持されている。この保持部142の外径は、上記第2実施形態の保持部64の外径と等しく形成されている。そして、保持部142の図21における下端面142aには、上記第2実施形態のセグメント保持凸部64bと同様のセグメント保持凸部(図示略)が形成されており、該セグメント保持凸部によって24個のセグメント62を保持している。また、保持部142におけるセグメント62と逆側の端面、即ち図21における上端面142bは、セグメント62の摺接面と平行に形成されている。更に、保持部142の径方向中央部には、回転軸12を嵌入するための嵌入孔142cが形成されていると共に、該嵌入孔142cにおけるセグメント62と逆側の開口の周縁には、上記第2実施形態と同様の円筒状のボス部142dが形成されている。尚、短絡部材63の第1連結部84及び第2連結部94は、図18に示す整流子131の第1及び第2連結部84,94と同様に、積層方向に互いに非接触となるように構成されている。
このように構成された整流子141を製造するには、短絡部材形成工程、及びセグメント形成工程を行った後、配置工程が行われる。この配置工程では、図22に示すように、摺接面が同一平面内に配置されるように24個のセグメント62が放射状に配置されると共に、これらのセグメント62に対して、短絡部材63が、第1接続片85及び第2接続片95をセグメント62の接続溝73aに挿入しつつ配置される。次いで、保持部形成工程が行われる。保持部形成工程において、セグメント62及び該セグメント62に対して配置された短絡部材63は、保持部142形成用の成形型(図示略)内に配置される。因みに、成形型内で、セグメント62に対して短絡部材63を配置する配置工程を行ってもよい。そして、成形型内に溶融した絶縁性樹脂材料が充填されて、絶縁性樹脂材料が冷却されて固化することにより、保持部142が完成し、図21に示す整流子141が完成する。
このようにすると、保持部形成工程において、保持部142は、セグメント62及び短絡部材63の両方を保持するように形成されることから、セグメント62と短絡部材63とのそれぞれに対して保持部を形成する場合よりも、容易に整流子141を製造することができる。また、セグメント62及び短絡部材63は絶縁性樹脂材料よりなる保持部64にて一体化されるため、整流子141の回転中に、セグメント62に対して短絡部材63がずれることを防止することができる。
・上記第1実施形態では、接続片45と外周側接続部33、及び、内周側端末43と内周側接続部32は、それぞれ溶接により接続されている。しかしながら、電気的な接続が確保されるのであれば、接続片45と外周側接続部33、及び、内周側端末43と内周側接続部32は、それぞれ接触することにより電気的に接続されているものであってもよい。また、接続片45と外周側接続部33、及び、内周側端末43と内周側接続部32は、それぞれ、かしめ、半田付け等により電気的に接続されるものであってもよい。同様に、上記第2実施形態では、第1及び第2外周側端末82,92同士、第1及び第2内周側端末83,93同士、及び第1及び第2接続片85,95とコイル接続部73とは、それぞれ溶接により接続されているが、電気的な接続が確保されるのであれば、接触、かしめ、半田付け等により電気的に接続されるものであってもよい。
・上記第1実施形態では、外周側端末42に設けられた接続片45を外周側接続部33の外周側接続面33aに当接させて溶接すると共に、内周側端末43を内周側接続部32の内周側接続面32aに当接させて溶接することにより、セグメント22と短絡部材23とを接続している。しかしながら、外周側端末42及び内周側端末43に、軸方向に沿って延びる上記第2実施形態の第1及び第2接続片85,95と同様の接続片を形成し、セグメント22における保持部24の外周側及び内周側の端面にそれぞれ当接させることによりセグメント22と短絡部材23とを接続してもよい。逆に、上記第2実施形態の整流子61において、セグメント62をセグメント22のように形成し、更に、第1外周側端末82及び第2外周側端末92を外周側端末42のように形成して、セグメント62と短絡部材63とを接続してもよい。
・上記第2実施形態では、第1及び第2接続片85,95を介して第1及び第2外周側端末82,92がセグメント62に接続されることにより、短絡部材63がセグメント62に電気的に接続されている。しかしながら、第1及び第2内周側端末83,93をセグメント62に接続することにより、短絡部材63をセグメント62に電気的に接続してもよい。
・上記第1実施形態では、接合工程において、内周側端末43と内周側接続部32とが溶接により接合されると共に、接続片45と外周側接続部33とが溶接により接合されることにより、短絡部材23がセグメント22に電気的に接続される。また、上記第2実施形態では、接合工程において、コイル接続部73と、接続溝73aに挿入された第1及び第2接続片85,95とが、溶接により接合されることにより、短絡部材63がセグメント62に電気的に接続される。しかしながら、接合工程において、半田付けや、かしめにより、短絡部材23,63をセグメント22,62に電気的に接続してもよい。また、上記第1実施形態において、内周側端末43と内周側接続部32とをそれぞれ接触させると共に、接続片45と外周側接続部33とをそれぞれ接触させることにより、短絡部材23をセグメント22に電気的に接続する場合には、接合工程を省略する。同様に、第2実施形態において、コイル接続部73と第1及び第2接続片85,95とをそれぞれ接触させることにより、短絡部材63をセグメント62に電気的に接続する場合には、接合工程を省略する。このように、接合工程を省略すると、整流子21,61を製造する際の工程数が少なくなり、製造時間の短縮を図ることができる。
・上記各実施形態において、短絡部材形成工程とセグメント形成工程とは、同時に行われるものであってもよいし、先にセグメント形成工程が行われてもよい。
・上記第1実施形態では、整流子21の外径(第1実施形態では保持部24の外径に同じ)は、マグネット2の内径よりも大きく且つモータハウジング1の内径よりも小さく形成されている。しかしながら、整流子21の外径は、モータハウジング1内で、マグネット2の内径よりも小さく形成されてもよい。この場合、整流子21の外径をコア13の外径以上の大きさに形成すると、コイル17a〜17hの端部が引き出される位置と、該端部が接続される位置(即ちセグメント22における保持部24の外周側の端部)とが径方向により近くなるため、コイル17a〜17hの端部をセグメント22に接続するために必要な導線19の長さをより短くすることができる。更に、整流子21の外径をコア13の外径と等しく形成すると、24個のセグメント22のコイル接続部34は整流子21の外周側に配置されていると共に、各コイル17a〜17hの端部はコア13の外周側から軸方向に沿って引き出されることから、より一層各コイル17a〜17hの端部をコイル接続部34に接続しやすくなる。尚、上記第2実施形態の整流子61についても、外径を上記と同様に設定することにより、同様の作用・効果を得ることができる。
・上記各実施形態では、整流子21,61の保持部24,64には、ボス部24e,64dが設けられているが、ボス部24e,64dが無い構成であってもよい。
・上記第1実施形態では、短絡部材23は、1つの短絡構成部材群41から構成されているが、複数の短絡構成部材群41から構成されてもよい。この場合、複数の短絡構成部材群41は、その板厚方向から見て、連結部44が、外周側端末42と内周側端末43とを全て同方向に120°ずらして連結するように積層される。また、上記第2実施形態では、短絡部材63は、第1及び第2短絡構成部材群81,91の2つの短絡構成部材群から構成されているが、3つ以上の短絡構成部材群から構成されてもよい。この場合、3つ以上の短絡構成部材群は、外周側端末同士及び内周側端末同士がそれぞれ板厚方向に積層されるように積層される。更に、3つ以上の短絡構成部材群のうち、少なくとも一対の短絡構成部材群は、連結部が互いに逆向きとなるように且つ当該連結部同士が積層方向に非接触となるように積層される。因みに、上記各実施形態の整流子21,61には、給電用ブラシは軸方向から摺接するため、径方向から給電用ブラシが摺接する従来の整流子とは異なり、保持部の板厚を給電用ブラシの先端の幅に関係無く設定することができる。従って、上記のように複数の短絡構成部材群を用いて短絡部材を構成した場合であっても、保持部の板厚を薄く設定することにより、整流子21,61の軸方向の大型化を抑制しつつ、連結部44,84,94における電流と直交する方向の断面積を更に大きくすることができる。
・上記各実施形態では、短絡部材23,63は、周方向に120°間隔を空けて配置されたセグメント22,62同士を短絡するように構成されている。しかしながら、短絡するセグメント22,62間の周方向の間隔は、120°でなくてもよい。この場合、短絡されるセグメント間の周方向の間隔をθ°とすると、上記第1実施形態の短絡部材23においては、各連結部44は、外周側端末42と内周側端末43とをθ°ずらして接続するように構成される。また、上記第2実施形態の短絡部材63においては、第1連結部84は、第1外周側端末82と第1内周側端末83とを周方向に(θ/2)°ずらして連結すると共に、第2連結部94は、第2外周側端末92と第2内周側端末93とを周方向(第1連結部84と逆方向)に(θ/2)°ずらして連結するように構成される。
・上記第1実施形態では、短絡構成部材群41を構成する外周側端末42、内周側端末43及び連結部44は、一枚の平板状をなしている。また、上記第2実施形態では、第1及び第2短絡構成部材群81,91を構成する第1及び第2外周側端末82,92、第1及び第2内周側端末83,93及び第1及び第2連結部84,94は、それぞれ一枚の平板状をなしている。しかしながら、各短絡構成部材群41,81,91を構成する、外周側端末42,82,92、内周側端末43,83,93及び連結部44,84,94は、全ての部位が完全に平坦な平板状でなくてもよく、例えば、連結部44,84,94に凹部が形成されていたり、湾曲形状をなしていたりしてもよい。
・上記各実施形態の直流モータは、磁極の数が6極のマグネット2、及び24個のセグメント22(若しくはセグメント62)を備えている。しかしながら、直流モータに備えられるマグネット磁極の数は、4極以上の偶数であればよい。また、直流モータに備えられるセグメントの数は、12個以上であればよい。そして、直流モータに備えられるコイルの数は、マグネットの磁極の数に応じて適宜変更してもよい。
上記各実施形態、及び上記各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)前記保持部は、前記セグメント及び前記短絡部材の両方を一体化して保持していることを特徴とする。このようにすると、例えば、セグメントと短絡部材とが溶接だけで一体化されている場合よりも、セグメントから短絡部材が外れ難くなる。
1…モータハウジング、2…マグネット、8…給電用ブラシとしての陽極側ブラシ、9…給電用ブラシとしての陰極側ブラシ、11…電機子、12…回転軸、13…コア、14a〜14h…ティース、16…インシュレータ、17a〜17h…コイル、18a…保持凸部としての第1の保持凸部、18b…保持凸部としての第2の保持凸部、18c…保持凸部としての第3の保持凸部、19…導線、21,61,111,121,131,141…整流子、22,62…セグメント、23,63…短絡部材、24,64,112,142…保持部、31a,71a…摺接面、32…内周側接続部、33…外周側接続部、41…短絡構成部材群、42…外周側端末、43…内周側端末、44…連結部、64c,132c…嵌入孔、64d,132d…ボス部、64e…保持部におけるボス部が形成された側の面としての端面、81…短絡構成部材群としての第1短絡構成部材群、82…外周側端末としての第1外周側端末、83…内周側端末としての第1内周側端末、84…連結部としての第1連結部、85…接続片としての第1接続片、91…短絡構成部材群としての第2短絡構成部材群、92…外周側端末としての第2外周側端末、93…内周側端末としての第2内周側端末、94…連結部としての第2連結部、95…接続片としての第2接続片、122,132…保持部としての第1の保持部、123,133…保持部としての第2の保持部、132a…保持部におけるボス部が形成された側の面としての上端面。