以下、本発明をその一種であるパチンコ式スロットマシン(回胴式遊技機、以下、「パチスロ機」と示す)に具体化した一実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。
図1には、パチスロ機10の機表側が略示されており、パチスロ機10は、前面を開口した直方体状の本体11と、当該本体の左側縁側に対して回動開閉可能に軸支された前面扉12とを備えている。本体11の略中央部には3列のドラム13〜15よりなるドラムユニット(可変表示装置)Uが配設され、各ドラム13〜15には複数の図柄が予め定めた配列に従い描かれた図柄列13a〜15aが当該ドラム13〜15の周方向に沿って表示されている。そして、このドラムユニットUでは、各ドラム13〜15を回転させて図柄組み合わせゲーム(変動ゲーム)が行われ、各ドラム13〜15の図柄列13a〜15aによって、図柄組み合わせが形成されるようになっている。これらの図柄組み合わせは、予め定めた複数の図柄有効ラインL1〜L5上に形成されるようになっている。また、各ドラム13〜15には、各ドラム13〜15の回転位置を検出するために、各ドラム13〜15に対応するようにリールセンサSE2〜SE4(図3に示す)が配設されている。
また、ドラムユニットUの前方位置となる前面扉12には、各種装飾を施した透明パネル板17が配設され、当該透明パネル板17には、前記ドラムユニットUを透視可能に保護するための図柄表示窓20が形成されている。また、前記透明パネル板17には、ゲーム(図柄組み合わせゲーム)に関わる情報を報知する表示部19が構成されている。表示部19には、ベット数を表示する賭率表示部21、クレジット数を表示する貯留枚数表示部22、付与される賞メダルの枚数を表示する賞枚数表示部23、ゲームの進行に合わせて点灯/消灯をする電飾ランプ24及び状態ランプ25が形成されている。そして、表示部19の下方位置には、ゲーム中(図柄組み合わせゲーム中)に表示演出を行う表示演出部26が配設されている。
また、前面扉12の前面において透明パネル板17の下方位置には、メダル投入口28が配設されている。メダル投入口28の奥方には、メダルの通過を検知するメダルセンサSE1(図3に示す)が配設されている。また、前記下方位置には、BETボタン29、MAXBETボタン30、クレジットボタン31、スタートレバー32、ストップボタン33〜35が配設されている。さらに、前面扉12の前面における下部中央部にはメダル排出口36が形成されている。また、前面扉12の前面における下部には、メダル排出口36から排出されたメダルを受ける受皿37とともに、音声演出を行うスピーカ27が配設されている。
また、図1に破線で示すように、パチスロ機10本体においてドラムユニットUの下方となる位置には、パチスロ機10内部において、投入されたメダルを貯留するためのホッパー38が配置されている。このホッパー38の下方側にはメダル排出口36が位置し、図柄組み合わせが予め定める賞態様(役)になった場合には、ホッパー38に貯留されたメダルがメダル排出口36へと払い出されるようになっている。前面扉12の裏面側においてメダル投入口28の下方位置には、該メダル投入口28とホッパー38とを繋ぐようにメダルセレクター39が配設されている。
また、本実施形態のパチスロ機10には、クレジット機能が搭載されている。このクレジット機能は、パチスロ機10内部でメダルを貯留データとして貯留記憶しておく機能である。貯留データ(クレジット)には、予め定めた上限数(本実施形態では50枚)が定められており、この上限数の範囲内でメダルがクレジットとして記憶可能になっている。そして、クレジット機能を使用している場合、前記予め定める賞態様になってもクレジット数が上限数を超えるまではクレジットとして記憶される。前記上限数を超える場合、ホッパー38からメダル排出口36にメダルが排出(払い出し)される。なお、クレジットとしてクレジット数が増加する、及びメダル排出口36からメダルを排出することを、遊技者にメダル(賞メダル)を付与するという。また、メダルをメダル排出口36に排出するホッパー38、及び払い出すメダルをクレジットとして記憶させるメインCPU40aが払出手段となる。
本実施形態のパチスロ機10は、遊技媒体とするメダルを用いてドラムユニットUによる図柄組み合わせゲームが行われる。すなわち、遊技者は、メダル投入口28からメダルを投入するか、BETボタン29又はMAXBETボタン30を操作してベット数を設定した後、スタートレバー32を操作してドラムユニットUの各ドラム13〜15を回転させる。各ドラム13〜15の回転が開始してから一定時間が経過するか、又は遊技者がストップボタン33〜35を操作すると各ドラム13〜15が停止する。各ストップボタン33〜35は、各ドラム13〜15に対応しており、ストップボタン33にはドラム13、ストップボタン34にはドラム14、ストップボタン35にはドラム15が対応している。そして、前記ベット数によって有効とされる図柄有効ライン上に形成された図柄組み合わせに応じて、遊技者に賞メダルが付与されるようになっている。すなわち、予め定めた賞態様になった場合には、該賞態様に予め定められた枚数の賞メダルが遊技者に付与されるようになっている。
本実施形態のパチスロ機10には、図1に示すように、図柄組み合わせが有効となる図柄有効ラインとして最大で図柄有効ラインL1〜L5の5本が形成されるようになっている。図柄有効ラインL1〜L5は、各ドラム13〜15の上段、中段及び下段に水平に一直線状に形成される図柄有効ラインL1〜L3と、ドラム13の上段、ドラム14の中段及びドラム15の下段、又はドラム13の下段、ドラム14の中段及びドラム15の上段に斜めに一直線状に形成される図柄有効ラインL4,L5となっている。そして、1回のゲームにおいて、選択されるベット数に応じて有効とされる図柄有効ラインが定められている。本実施形態では、ベット数が3段階(以下、1段階目をベット1、2段階目をベット2、3段階目をベット3と示す)選択可能であり、メダル投入口28への1枚のメダル投入、BETボタン29又はMAXBETボタン30によって1段階ずつ最大で3段階までベット可能となっている。そして、ベット1では図柄有効ラインL1の1本が有効となり、ベット2では図柄有効ラインL1〜L3の3本が有効となる。また、ベット3では図柄有効ラインL1〜L5の全て(5本)が有効となるようになっている。
本実施形態のパチスロ機10において、図柄有効ラインL1〜L5上に停止する図柄組み合わせについて図2に基づき説明する。図2には、ドラム13を第1リール、ドラム14を第2リール、ドラム15を第3リールと示し、各図柄有効ライン上に停止(停止表示)される図柄組み合わせを示している。
本実施形態では、賞メダルの付与(払い出し)が行われる役として、「セブン役」、「バー役」、「ベル役」、「プラム役」、「チェリー役」が設けられている。そして、「セブン」を示す図柄が図柄有効ラインL1〜L5となる直線状に3つ停止した場合、セブン役に定める15枚の賞メダルが付与される。また、「バー」を示す図柄が図柄有効ラインL1〜L5となる直線状に3つ停止した場合、バー役に定める15枚の賞メダルが付与される。また、「ベル」を示す図柄が図柄有効ラインL1〜L5となる直線状に3つ停止した場合、ベル役に定める15枚の賞メダルが付与される。また、「プラム」を示す図柄が図柄有効ラインL1〜L5となる直線状に3つ停止した場合、プラム役に定める8枚の賞メダルが付与される。また、「チェリー」を示す図柄がドラム13の中段に1つ停止した場合、チェリー役に定める2枚の賞メダルが付与される。また、「チェリー」を示す図柄がドラム13の上段又は下段に1つ停止した場合、図柄有効ラインL2及び図柄有効ラインL4、又は図柄有効ラインL3及び図柄有効ラインL5の2種類の図柄有効ライン上に停止したこととなり、チェリー役に定める賞メダルの2倍に相当する4枚の賞メダルが付与される。なお、チェリー役では、ドラム14及びドラム15に停止する図柄はどの図柄であっても良い。
また、次のゲームをメダルの投入なし(ベットしない)で行うことができる役として、「リプレイ(再遊技)」が設けられている。そして、「リプレイ」を示す図柄が図柄有効ラインL1〜L5となる直線状に3つ停止した場合、再遊技役が停止した図柄組み合わせゲームが行われたベット数と同じベット数で次のゲームを行うことができる。例えば、ベット1のゲームで再遊技役が停止した場合、ベット1でのゲームが保証される。また、ベット3のゲームで再遊技役が停止した場合、ベット3でのゲームが保証される。すなわち、再遊技役では、当該再遊技役が停止したゲームのベット数に相当する賞メダルが付与されることとなる。以下、ベル役、プラム役、チェリー役及び再遊技役を「小役」と示す。
また、セブン役が図柄有効ラインL1〜L5上に直線状に停止した場合、賞メダルの付与とともに、多数の賞メダルを獲得することができるチャンスとなる特定遊技状態として「ビッグボーナスゲーム」が付与される。また、バー役が図柄有効ラインL1〜L5上に直線状に停止した場合、賞メダルの付与とともに、遊技者が多数の賞メダルを獲得することができるチャンスとなる特定遊技状態として「レギュラーボーナスゲーム」が付与される。
ビッグボーナスゲームが開始されると、バー役(レギュラーボーナスゲーム)の当選確率が一般遊技に比べて上昇されるようになっている。一般遊技とはビッグボーナスゲーム及びレギュラーボーナスゲーム以外のゲームのことである。そして、ビッグボーナスゲームは、セブン役が停止することを開始契機とし、遊技者が消費(投入)したメダルの枚数に拘わらず予め定めた上限数(本実施形態では360枚)の賞メダルが遊技者に付与される(払い出される)ことを終了契機としている。また、レギュラーボーナスゲームが開始されると、小役に当選する確率(当選確率)が一般遊技に比べて上昇されるようになっている。レギュラーボーナスゲームは、バー役が成立することを開始契機とし、予め定めた回数(本実施形態では8回の小役に当選するまで又は12回)のゲームを行うことを終了契機としている。そして、遊技者は、ビッグボーナスゲーム及びレギュラーボーナスゲームに当選することを目的にゲームを行っている。以下、セブン役、バー役を「特定遊技役」と示し、ビッグボーナスゲーム及びレギュラーボーナスゲームを総称して「ボーナスゲーム」と示す。また、小役及び特定遊技役(セブン役、バー役)を総称して当選役とする。
また、図2に示される賞態様(小役及び特定遊技役)を示す図柄組み合わせがいずれの図柄有効ラインL1〜L5に停止していない(賞態様以外の図柄組み合わせが図柄有効ラインL1〜L5に停止した)場合、賞メダルが付与されない(零枚の賞メダルが付与される)はずれ役(はずれ役に当選)とするようになっている。なお、賞メダルが付与されない場合とは、内部抽選ではずれ役に当選している場合、及び内部抽選で小役又は特定遊技役に当選しているが賞態様の図柄組み合わせが停止していない場合(取りこぼし)である。
そして、本実施形態のパチスロ機10では、スタートレバー(開始操作手段)32の操作を開始契機として1回のゲーム(図柄組み合わせゲーム)が開始し、ストップボタン33〜35の操作又は所定の時間の経過により図柄組み合わせが停止される。図柄組み合わせが停止されると、当該図柄組み合わせに応じて賞メダルが付与される(はずれ役の場合には零枚付与される)ことを終了契機として、1回のゲームが終了する。本実施形態では、ビッグボーナスゲーム中及びレギュラーボーナスゲーム中も、前記開始契機としてゲームを開始し、前記終了契機としてゲームを終了させる1回のゲームが行われる。
次に、パチスロ機10の制御構成を図3及び図4に基づき説明する。
パチスロ機10の機裏側には、遊技機全体を制御する主制御基板40が装着されている。主制御基板40は、遊技機全体を制御するための各種処理を実行し、該処理結果に応じて各種の制御信号(制御コマンド)を演算処理し、該制御信号(制御コマンド)を出力する。また、機裏側には、電飾ランプ24、状態ランプ25、表示演出部26、スピーカ27を制御する演出制御基板41が装着されている。演出制御基板41は、主制御基板40が出力した各種の制御信号を入力し、該制御信号に基づき所定の制御を実行する。また、パチスロ機10の機裏側には、遊技場の電源(例えば、AC24V)を、パチスロ機10を構成する各種構成部材に供給する電源基板121が装着されている。なお、主制御基板40は、主制御基板40に不正基板を装着できないようにするために、ケースカバーに収容されて機裏側に装着されている。
以下、電源基板121、主制御基板40、演出制御基板41の具体的な構成を説明する。
図4に示すように、電源基板121には、遊技場の電源をパチスロ機10への供給電圧として電源電圧V1(例えば、DC30V)に変換処理する電源回路124が設けられている。電源回路124には、主制御基板40及び演出制御基板41が接続されている。そして、電源回路124は、変換処理された後の電源電圧V1を主制御基板40及び演出制御基板41に対応する供給すべき所定の電源電圧V2,V3にさらに変換処理し、変換後の電源電圧V2,V3を主制御基板40及び演出制御基板41に供給するようになっている。
また、電源基板121には、電源断監視回路125が設けられており、電源断監視回路125が電源回路124に接続されている。電源断監視回路125は、電源回路124から供給される電源電圧V1の電圧値を監視するようになっている。すなわち、電源断監視回路125は、電源電圧V1が所定の電圧V(例えば、DC20V)に降下したか否かを判定している。なお、この電圧Vは、遊技に支障をきたすことなくパチスロ機10を動作させるために最低限必要な電圧とされる。ここで、電源電圧V1が電圧Vに降下するのは、例えば、電源断(電源OFF)時や停電時の場合である。この場合、パチスロ機10に電源が供給されなくなってしまうため、電源電圧V1から電圧Vに降下する。これとは逆に、電源投入(電源ON)時や復電(復旧電源)時の場合は、パチスロ機10に電源が供給されるので、電圧が上昇して電源電圧V1となる。
また、電源基板121には、リセット信号回路126が設けられており、リセット信号回路126は電源断監視回路125に接続されている。電源断監視回路125は、その判定結果が肯定(即ち、電源電圧V1≦電圧V)である場合に、主制御基板40及びリセット信号回路126に対して電源電圧V1が電圧Vに降下したことを示す電源断信号Sを出力するようになっている。また、リセット信号回路126は、電源供給の開始時(電源投入時或いは復電時)又は電源断信号Sの入力時に、主制御基板40及び演出制御基板41に対してリセット信号Reを出力し、主制御基板40及び演出制御基板41の動作を規制するようになっている。このリセット信号Reは、その信号レベルとしてハイレベル状態とローレベル状態を示す2値信号となっている。なお、本実施形態では、リセット信号Reを入力(出力)する場合には、リセット信号Reの信号レベルをハイレベル状態にし、リセット信号Reの入力(出力)を停止する場合には、リセット信号Reの信号レベルをローレベル状態にすることとしている。また、リセット信号回路126は、リセット信号Reのハイレベル状態を一定の時間A1(例えば、400ms〜1800ms程度)の間継続した後、リセット信号Reの出力状態をハイレベル状態からローレベル状態に遷移させるようになっている。
また、電源基板121は、例えば、電気二重層コンデンサからなるバックアップ用電源(図示略)を備えている。そして、バックアップ用電源は、電源回路124に接続されており、該電源回路124から電源電圧が当該バックアップ用電源に供給されるようになっている。また、電源基板121は、主制御基板40(RAM40c)に記憶保持され、パチスロ機10の動作中に適宜書き換えられる各種制御情報(記憶内容)を消去したい場合に操作されるRAMクリアスイッチ136を備えている。そして、RAMクリアスイッチ136には、該RAMクリアスイッチ136の操作を受けて、記憶保持された記憶内容の消去(初期化処理)を指示する初期化指示信号を、主制御基板40に出力するためのRAMクリアスイッチ回路137が接続されている。本実施形態では、RAMクリアスイッチ136は、遊技店の店員のみの操作が許容されるように機裏側に設けられており、該RAMクリアスイッチ136を操作すると、RAMクリアスイッチ回路137から初期化指示信号が出力されるようになっている。そして、該RAMクリアスイッチ136を操作しながら(操作と同時に)電源を投入すると、RAMクリアスイッチ回路137から初期化指示信号が出力されて、初期化処理が実行されるようになっている。従って、本実施形態のRAMクリアスイッチ136とRAMクリアスイッチ回路137は、パチスロ機10の電源投入時に初期化処理の実行を指示する初期化指示手段となる。
次に、主制御基板40について説明する。主制御基板40は、メインCPU40aを備えている。また、メインCPU40aには、ROM40b、RAM40c及び乱数発生器40eが接続されている。メインCPU40aは、乱数発生器40eが生成した当選役決定乱数(内部抽選役決定用乱数)を取得可能に構成されている。乱数発生器40eは、当選役決定乱数の値を所定の周期毎に順次更新し、更新後の値を乱数発生器40eが有する所定の記憶領域に設定して更新前の値を書き換えている。当選役決定乱数は、当選役決定テーブルに従い役(内部抽選役)を決定する際に使用する乱数である。従って、本実施形態の乱数発生器40eは、当選役決定乱数の値を所定の周期毎に順次更新する乱数更新手段となる。
前記当選役決定乱数は、予め定められた数値範囲内(例えば、「0」〜「65535」の全65536通りの整数)の数値を取り得るように、乱数発生器40eが所定の周期毎に数値を1加算して更新するようになっている。そして、乱数発生器40eは、更新後の値を当選役決定乱数の値として所定の記憶領域に記憶し、既に記憶されている当選役決定乱数の値を書き換えることで当選役決定乱数の値を順次更新するようになっている。より詳しく言えば、乱数発生器40eは、更新を開始する際の値(初期値)を最小値である「0」とし、該初期値から順に「0」→「1」→…→「65534」→「65535」というように数値を1加算して更新するようになっている。そして、乱数発生器40eは、当選役決定乱数の値として更新された数値が最後に更新される数値(終期値)である「65535(最大値)」に達すると、再び「0」〜「65535」までの数値を1加算して更新するようになっている。即ち、本実施形態のパチスロ機10では、当選役決定乱数の値を「0」〜「65535」に更新するまでを当選役決定乱数の1周期として当選役決定乱数の値を順次更新し、この1周期の更新処理をパチスロ機10の動作中、繰り返し実行するようになっている。なお、本実施形態の乱数発生器40eは、図示しない外部発振回路から所定の周波数(本実施形態では、10MHz)のクロック信号を入力し、当該クロック信号の周期に基づき当選役決定乱数を更新している。すなわち、当選役決定乱数は、10MHzの周期で、1加算されて更新されるようになっている。換言すれば、1秒で10000000回更新されるようになっている。
また、図3に示すように、主制御基板40(メインCPU40a)には、メダルセンサSE1が接続されている。メインCPU40aには、メダルセンサSE1でメダルを検知する毎に、メダルを検知したことを示すメダル検知信号が入力されるようになっている。
また、メインCPU40aには、リールセンサSE2〜SE4が接続されている。メインCPU40aには、図柄表示窓20で表示されている図柄(ドラム13〜15の回転位置)に応じてリールセンサSE2〜SE4が出力する第1〜第3の位置信号が入力されるようになっている。メインCPU40aは、第1〜第3の位置信号によりドラム13〜15の回転位置及び停止位置を把握し、第1〜第3の位置信号に基づきドラム13〜15の回転及び停止制御を行う。
また、メインCPU40aには、BETボタン29、MAXBETボタン30、クレジットボタン31、スタートレバー32及びストップボタン33〜35が接続されている。メインCPU40aには、各ボタン29〜35が操作されると、各ボタン29〜35が操作されたことを示す各種操作信号が入力されるようになっている。そして、メインCPU40aは、各種操作信号を入力すると、各種操作信号に定める所定の制御を行う。なお、本実施形態では、スタートレバー32から入力される操作信号のことを開始操作信号と示す場合がある。
また、メインCPU40aには、賭率表示部21、貯留枚数表示部22、賞枚数表示部23が接続されている。メインCPU40aは、遊技者のメダルの投入、BETボタン29又はMAXBETボタン30の操作に基づき、賭率表示部21の表示制御を行う。また、メインCPU40aは、BETボタン29又はMAXBETボタン30の使用によるクレジット数の減少や、役(賞態様)に基づき賞メダルが払い出されることによるクレジット数の増加や、遊技者のメダルの投入によるクレジット数の増加をクレジットとして記憶し、その内容を貯留枚数表示部22に表示させその都度表示制御を行う。また、メインCPU40aは、役に基づき賞メダルを払い出す場合、払い出す賞メダルの枚数を賞枚数表示部23に表示させる表示制御を行う。
また、メインCPU40aには、ホッパー38が接続されている。メインCPU40aは、各役(賞態様)に定められる賞枚数に基づき払い出す賞メダルの賞枚数を決定した場合、クレジット数を確認し当該クレジット数の上限数を超える場合、駆動信号をホッパー38に出力して、駆動信号を1回出力する毎に賞メダルを1枚払い出させるように制御する。
また、ROM40bには、パチスロ機10を制御するための主制御プログラムや、割込み処理プログラム、電源断処理プログラムなどが記憶されている。また、ROM40bには、複数の当選役決定テーブル(図5参照)が記憶されている。当選役決定テーブルには、当選役決定乱数の取り得る値(本実施形態では「0〜65535(全65536通りの整数)」)が各役に振り分けられており、当選役決定テーブルに振り分けられる乱数の個数に基づき、各役の当選確率が定められている。そして、メインCPU40aは、抽出する当選役決定乱数と、当選役決定テーブルを参照し、その参照結果に基づき役の種類を決定する役抽選を行う。
次に、本実施形態のパチスロ機10の当選役決定テーブルについて、図5に基づき説明する。
図5には、各遊技状態(一般遊技、ビッグボーナスゲーム、レギュラーボーナスゲーム)の各役に振り分けられる乱数値(乱数の個数)及び各役の当選確率が定められた当選役決定テーブルT1〜T3が示されている。
図5(a)に示すように、当選役決定テーブルT1は、一般遊技で用いられるテーブルである。当選役決定テーブルT1では、ビッグボーナスゲームとなるセブン役に0〜210の乱数値(211個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が211/65536とされている。また、レギュラーボーナスゲームとなるバー役に211〜384の乱数値(174個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が174/65536とされている。また、ベル役に385〜629の乱数値(245個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が245/65536とされている。また、チェリー役に630〜812の乱数値(183個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が183/65536とされている。また、プラム役に813〜6262の乱数値(5450個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が5450/65536とされている。また、再遊技役に6263〜13117の乱数値(6855個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が6855/65536とされている。また、はずれ役に13118〜65536の乱数値(52418個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が52418/65536とされている。当選役決定テーブルT1に基づき役抽選が行われる場合、遊技者は、セブン役、バー役を出現させる(セブン役、バー役に当選する)ことを第1の目的として遊技を行うことになる。
図5(b)に示すように、当選役決定テーブルT2は、ビッグボーナスゲームで用いられるテーブルである。当選役決定テーブルT2では、バー役に0〜12678の乱数値(12679個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が12679/65536とされている。また、ベル役に12679〜12923の乱数値(245個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が245/65536とされている。また、チェリー役に12924〜13106の乱数値(183個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が183/65536とされている。また、プラム役に13107〜18556の乱数値(5450個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が5450/65536とされている。また、再遊技役に18557〜25411の乱数値(6855個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が6855/65536とされている。また、はずれ役に25412〜65536の乱数値(40124個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が40124/65536とされている。当選役決定テーブルT2に基づき役抽選が行われる場合、遊技者は、バー役を出現させる(バー役に当選する)ことを第1の目的として遊技を行うことになる。
図5(c)に示すように、当選役決定テーブルT3は、レギュラーボーナスゲームで用いられるテーブルである。当選役決定テーブルT3では、ベル役に0〜12923の乱数値(12924個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が12923/65536とされている。また、チェリー役に12924〜13106の乱数値(183個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が183/65536とされている。また、プラム役に13107〜18556の乱数値(5450個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が5450/65536とされている。また、再遊技役に18557〜25411の乱数値(6855個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が6855/65536とされている。また、はずれ役に25412〜65536の乱数値(40124個の乱数)が振り分けられ、その当選確率が40124/65536とされている。当選役決定テーブルT3に基づき役抽選が行われる場合、遊技者は、ベル役を出現させる(ベル役に当選する)ことを第1の目的として遊技を行うことになる。
また、ROM40bには、役毎に払い出す賞メダルの枚数を定めた払出テーブルが記憶されている。払出テーブルでは、セブン役に15枚、バー役に15枚、ベル役に15枚、プラム役に8枚、チェリー役に2枚の賞メダルの払い出しが対応付けられている。本実施形態では、当選役決定テーブルT1〜T3を記憶するROM40bが記憶手段として機能する。
また、RAM40cには、パチスロ機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報が記憶(設定)されるようになっている。具体的には、RAM40cには、メインCPU40aによって当選役決定乱数に基づき、特定遊技役及び小役に当選した場合、その当選を示す情報(フラグなど)が役毎に設定されるようになっている。また、RAM40cには、カウント数Cが記憶(設定)される。カウント数Cは、ビッグボーナスゲームで遊技者が獲得した(遊技者に払い出された)賞メダルの枚数を示すものである。また、RAM40cには、レギュラーボーナスゲームの開始時点からのゲーム回数及び小役に当選した回数がメインCPU40aによってカウントされるようになっている。
また、RAM40cは、電源基板121のバックアップ用電源が接続されており、電源電圧V1(電源)の遮断時(電圧Vへの降下時)において、バックアップ用電源から供給された電源電圧VB(例えば、DC5V)に基づき各種制御情報を記憶保持可能に構成されている。これにより、電源遮断時における遊技状態(遊技内容)をバックアップすることが可能となる。
また、主制御基板40には、図4に示すように、リセット入力回路(遅延手段)40dが設けられている。リセット入力回路40dは、電源基板121のリセット信号回路126に接続されており、該リセット信号回路126が出力したリセット信号Reを入力するようになっている。そして、リセット入力回路40dは、入力したリセット信号ReをメインCPU40aに出力するようになっている。このとき、リセット入力回路40dは、リセット信号回路126からのリセット信号Reの入力状態がハイレベル状態を継続する時間A1に、予め定めた遅延時間A2(一定の時間)を加えた時間A1+A2の間、メインCPU40aに対するリセット信号Reの出力状態をハイレベル状態とするようになっている。そして、リセット入力回路40dは、時間A1+A2の経過後、リセット信号Reの出力状態をハイレベル状態からローレベル状態に遷移させるようになっている。なお、このリセット信号Reがハイレベル状態からローレベル状態に遷移すると、メインCPU40aは、起動を開始するようになっている。即ち、メインCPU40aは、リセット信号の信号レベルがハイレベル状態となっている間、動作(制御処理)の実行が規制されるようになっている。従って、本実施形態では、リセット信号Reが起動指示信号となる。
次に、主制御基板40のメインCPU40aが実行する各種処理について説明する。
まず、電源断処理プログラムに基づく処理について説明する。主制御基板40(メインCPU40a)は、電源断監視回路125から電源断信号Sを入力すると、電源断処理プログラムに基づき、バックアップ処理を実行する。即ち、メインCPU40aは、電源断信号Sの入力を契機に電源断処理プログラムを実行し、電源断信号Sを入力していない場合には電源断処理プログラムを実行しない(バックアップ処理を実行しない)。バックアップ処理にてメインCPU40aは、RAM40cに記憶保持されている当選役を示すフラグなど各種制御情報に加えて、新たにレジスタ及びスタックポインタなどの制御情報をRAM40cに記憶保持させる。また、メインCPU40aは、RAM40cにバックアップフラグ(電源投入時にRAM40cに記憶保持されている制御情報が正しいか否かを判定するためのフラグ)を設定する。その後、メインCPU40aは、RAM40cへのアクセスを禁止し、リセット入力回路40d(リセット信号回路126)から出力されたリセット信号Reが入力される(ハイレベル状態になる)まで待機する。そして、リセット信号Reを入力すると、メインCPU40aの動作は規制される。
次に、主制御プログラムに基づく処理について説明する。
主制御基板40のリセット入力回路40dは、電源供給の開始に伴いリセット信号回路126から出力されたリセット信号Reを入力すると、メインCPU40aに対して所定の規制時間の間、リセット信号Reを継続出力する(ハイレベル状態に維持する)。そして、リセット入力回路40dからのリセット信号Reの出力が停止され(ローレベル状態に遷移され)、メインCPU40aへのリセット信号Reの入力が停止すると(ローレベル状態に遷移すると)、メインCPU40aは起動し、主制御プログラム(図6参照)を実行する。
メインCPU40aは、主制御プログラムに基づき、遊技中、所定周期毎に実行する割込み処理プログラムの割込みを禁止に設定し、該割込み処理プログラムの実行を待機状態とする(ステップM1)。そして、メインCPU40aは、レジスタ、ポートなどの各種デバイスの初期設定を行う(ステップM2)。続いて、メインCPU40aは、RAM40cに記憶保持された各種制御情報(当選役を示すフラグや、バックアップフラグなど)の消去を指示する初期化指示信号を入力したか否かを判定する(ステップM3)。そして、この判定結果が肯定の場合、即ち、初期化指示信号を入力していた場合、メインCPU40aは、RAM40cに記憶保持された各種制御情報を消去(クリア)する(ステップM4)。
次に、メインCPU40aは、RAM40cに対して遊技を開始させるための各種初期値を設定することにより、RAM40cを初期化する(ステップM5)。続いて、メインCPU40aは、スタックポインタを初期設定する(ステップM6)。従って、本実施形態のステップM4〜ステップM6の処理は初期化処理となる。そして、メインCPU40aは、RAM40cを初期化したことに基づく各種制御信号(初期化信号)を演出制御基板41に対して出力する(ステップM7)。ステップM7の処理では、例えば、演出制御基板41に対して電飾ランプを点灯させるための制御コマンド(制御信号)が出力される。
次に、メインCPU40aは、割込み処理プログラムの実行周期(本実施形態では、2ms)を設定する(ステップM8)。そして、メインCPU40aは、前記ステップM1で禁止した割込み処理プログラムの割込みを許可に設定する(ステップM9)。続いて、メインCPU40aは、内部抽選役に直接関与しない乱数(例えば、演出のパターンを選択する際に使用する演出用の乱数など)の更新処理を実行し(ステップM10)、前記ステップM9に移行する。以降、メインCPU40aは、割込み処理プログラムの割込みが発生するまでステップM9とステップM10の処理を繰り返し実行する。その後、割込み処理プログラムの割込みが発生すると、メインCPU40aは、主制御プログラムから割込み処理プログラムに移行し、該割込み処理プログラムに基づきパチスロ機10の遊技を制御する。
一方、ステップM3の判定結果が否定、即ち、初期化指示信号を入力していない場合、メインCPU40aは、RAM40cに記憶保持された制御情報(記憶内容)があるか否か、また記憶保持された制御情報がある場合には記憶保持された制御情報に異常があるか否かを判定する(ステップM11)。このとき、メインCPU40aは、電源断時に実行される電源断処理プログラムにおいてRAM40cに設定されたバックアップフラグ(バックアップ実行情報)を確認することで、RAM40cに記憶保持された制御情報が正常な情報であるか否か判定する。そして、その判定結果が肯定、即ち、RAM40cに記憶保持された制御情報に異常がある場合、メインCPU40aはステップM4に移行してRAM40cを初期化する。これ以降、メインCPU40aは、ステップM5〜ステップM10の処理を実行する。従って、RAM40cに記憶保持された制御情報が異常である場合、RAM40cは初期値が設定されて、初期化されることとなる。
なお、ステップM11の判定結果が肯定となる場合としては、電源断時に電源断処理プログラムを実行したものの、バックアップ処理が正常に行われなかった場合やバックアップ処理後にノイズ等によって、記憶内容に異常が発生した場合がある。なお、このような場合にはバックアップフラグが異常(異常値)を示すことになる。また、電源が遮断されていない時(電源断信号Sを入力せず)に、メインCPU40aがリセット信号Reを入力し、メイン制御プログラムを最初(ステップM1)から実行した場合(即ち、メインCPU40aが再起動した場合)がある。なお、この場合にはバックアップ処理を実行していないことから、バックアップフラグは設定されない。メインCPU40aが再起動する要因としては、電源基板121のリセット信号回路126の誤動作か、又はリセット信号Reと同様の機能(役割)を果たす類似の信号(以下、この信号を「不正リセット信号Re1」と示す)が不正に取り付けられた不正基板から出力されたことが考えられる。従って、本実施形態では、不正リセット信号Re1は、起動指示信号となる。
主制御プログラムの説明に戻り、ステップM11の判定結果が否定、即ち、RAM40cに記憶保持された制御情報が正常である場合、メインCPU40aは制御情報として記憶保持されているスタックポインタを復帰設定する(ステップM12)。また、メインCPU40aは、RAM40cに記憶保持されているバックアップフラグをクリアする(ステップM13)。そして、メインCPU40aは、割込み処理プログラムの戻り番地としてRAM40cに記憶保持されている制御情報に基づき電源断前の戻り番地を設定し、該戻り番地から割込み処理プログラムに基づきパチスロ機10の遊技を制御する(ステップM14)。
なお、乱数発生器40eは、起動後(主制御基板40への電源の供給後)初期値「0」から当選役決定乱数の更新を開始する。
次に割込み処理プログラムついて説明する。
メインCPU40aは、割込み処理プログラムに基づき、当選役決定乱数の取得や役抽選(当り判定)などの各種処理を実行するようになっている。例えば、メインCPU40aは、メダル投入口28よりメダルが投入される、BETボタン29が操作される又はMAXBETボタン30が操作されると、賭率指定される賭率を設定する。そして、メインCPU40aは、スタートレバー32が操作され、開始操作信号を入力すると、当該開始操作信号の入力を契機に役抽選を行う。なお、本実施形態では、開始操作信号Nを入力(出力)する場合には、開始操作信号Nの信号レベルをハイレベル状態にし、開始操作信号Nの入力(出力)を停止する場合には、開始操作信号Nの信号レベルをローレベル状態にすることとしている。
前記役抽選において、メインCPU40aは、開始操作信号Nの入力を契機に当選役決定乱数を乱数発生器40eから取得し、当該乱数を参照するための当選役決定テーブルを決定する。具体的には、メインCPU40aは、遊技状態に応じて役抽選で参照する当選役決定テーブルを、複数の当選役決定テーブルT1〜T3の中から1つ選択する。
本実施形態において、メインCPU40aは、遊技状態が一般遊技である場合には、当選役決定テーブルT1を選択し、ビッグボーナスゲームの場合には、当選役決定テーブルT2を選択する。また、メインCPU40aは、レギュラーボーナスゲームの場合には、当選役決定テーブルT3を選択する。メインCPU40aは、RAM40cにフラグなどを設定することで遊技状態を把握している。また、セブン役及びバー役の特定遊技役が内部的に決定されているにも拘わらず、当該特定遊技役を示す図柄がゲームにて有効となっているいずれの図柄有効ラインにも表示されていない場合(所謂、役持ち越し状態時)には、メインCPU40aは、該特定遊技役の抽選が行われない図示しない当選役決定テーブルにより小役の役抽選を行う。
続いて、当選役決定テーブルを選択したメインCPU40aは、当選役を決定し、その決定した当選役の情報をRAM40cに記憶(設定)する。従って、本実施形態では、メインCPU40aは、当選役に当選したか否かを判定する当り判定を行う制御装置となる。そして、メインCPU40aは、ドラム13〜15を制御し当該ドラム13〜15を回転動作させる。
続いて、メインCPU40aは、ストップボタン33〜35が操作された場合、ドラム13〜15(操作されたストップボタン33〜35に対応するドラム13〜15)を役抽選の抽選結果に基づき停止させる停止制御を行う。そして、メインCPU40aは、ドラム13〜15の全て(ドラムユニットU)が停止したことを契機に、入賞判定を行う。入賞判定において、メインCPU40aは、役抽選によって内部的に決定した当選役(内部抽選役)と、図柄表示窓20に表示されている役を示す図柄組み合わせとが一致するか否かを判定する。すなわち、本実施形態では、役抽選で内部的に当選した役と、図柄表示窓20に最終的に表示された図柄組み合わせが示す役とが一致する場合(入賞判定の判定結果が肯定の場合)、役の入賞が決定される。入賞とは、ゲームの結果、役による特典(賞メダル、再遊技、ビッグボーナスゲーム、レギュラーボーナスゲーム)が遊技者に付与されることである。例えば、役抽選でチェリー役に当選したにも拘わらず図柄表示窓20にチェリー図柄が表示されなかった場合や、役抽選でセブン役に当選したにも拘わらず図柄表示窓20にセブン役に対応する図柄組み合わせが表示されなかった場合である。すなわち、役抽選で内部的に当選した役と、図柄表示窓20に最終的に表示された図柄組み合わせが示す役とが一致しなかった場合(入賞判定の判定結果が否定の場合)、役の入賞は決定されず役による特典が遊技者に付与されない。
また、本実施形態のパチスロ機10では、各役に対する図柄組み合わせの停止テーブルが予め定められている。停止テーブルには、例えば、ベル役が役抽選で決定された場合、ドラム13〜15(図柄列13a〜15a)の停止位置(図柄組み合わせ)が定められている。そして、停止テーブルは、各役毎に用意されており、メインCPU40aは、停止指示(ストップボタン33〜35の操作及び所定時間の経過)を契機として、停止テーブルに従いドラム13〜15の停止制御を行う。また、メインCPU40aは、ドラム13〜15の停止制御を行う場合、ストップボタン33〜35の操作及び所定時間の経過後に所定の範囲内(最大で4つの図柄分)で強制的にドラム13〜15を制御し、任意の図柄組み合わせを図柄表示窓20に表示させるようにしている。すなわち、メインCPU40aは、ドラム13〜15の停止指示を契機として、所定の範囲内でドラム13〜15の停止制御を行えるようになっている。以下の説明では、各ドラム13〜15(ドラムユニットU)の回転方向を基準として図柄列13a〜15aの図柄の位置(前後)を説明する。
メインCPU40aは、回転中のドラム13〜15の停止指示がされる場合、リールセンサSE2〜SE4により停止指示時に図柄表示窓20に回転表示されている図柄を把握している。そして、その図柄が停止テーブルに定める図柄(位置)でない場合、メインCPU40aは、所定の範囲内で強制的に停止制御を行う。このため、ドラム13〜15は、遊技者がストップボタン33〜35を押したタイミングで停止するとは限らず、遊技者の操作とドラム13〜15の停止のタイミングは一致しない場合(所謂、「スベリ」)がある。
また、本実施形態では、図柄列13a〜15aは、ベル役、プラム役、再遊技役に対応する停止テーブル(図柄組み合わせ)をドラム13〜15の停止指示がどのタイミングで行われた場合でも停止可能(図柄表示窓20に最終的に表示可能)とする配列となっている。そして、メインCPU40aは、役抽選でベル役、プラム役、再遊技役を決定する場合、有効とされる図柄有効ラインL1〜L5のいずれかに各役(ベル役、プラム役、再遊技役)を停止させる。
また、図柄列13a〜15aは、チェリー図柄を図柄列13a上の離れた位置に2個配置し、チェリー役に対応する停止テーブル(図柄組み合わせ)をドラム13の停止指示のタイミングによっては停止可能でない(所謂、「取りこぼし」)が発生する配列となっている。取りこぼしとは、役抽選に当選したものの入賞に至らなかったことを示している。そして、メインCPU40aは、役抽選でチェリー役を決定する場合、有効とされる図柄有効ラインL1〜L5のいずれかにチェリー役を停止させることができるようにする。具体的には、メインCPU40aが図柄表示窓20の上段、中段及び下段のいずれかにチェリー図柄を停止させる場合、停止指示時の図柄の少なくとも4図柄前(メインCPU40aが停止制御を行える所定範囲内)にチェリー図柄があることが必要である。そして、メインCPU40aは、ドラム13の図柄表示窓20の上段、中段及び下段のいずれかにチェリー図柄を停止させる場合、停止指示時の図柄の少なくとも4図柄後(メインCPU40aが停止制御を行える所定範囲内)にチェリー図柄がないときには、チェリー役の取りこぼし目を停止させるようになっている。チェリー役の取りこぼし目に対応する停止テーブルとして、有効とされる図柄有効ラインL1〜L5上に「プラム・プラム・リプレイ」が停止するようになっている。すなわち、遊技者は、チェリー役を入賞させるには、図柄列13aのチェリー図柄から少なくとも4図柄前にある図柄を狙ってストップボタン33の操作(所謂、「目押し」)をすることが必要であり、チェリー図柄を目押しすることで役を入賞させることができる。一方、図柄列13aのチェリー図柄の少なくとも4図柄前にある図柄を目押ししない場合には、取りこぼし目である「プラム・プラム・リプレイ」(チャンス目)が停止するようになっている。このため、チェリー役を取りこぼした場合、遊技者は、チェリー役に対応する賞メダル(2枚又は4枚)を獲得することができない。
また、メインCPU40aは、セブン役及びバー役の特定遊技役を決定している場合、有効とされる図柄有効ラインL1〜L5のいずれかに当選している特定遊技役を停止させることができるようにする。具体的には、メインCPU40aが有効とされる図柄有効ラインを形成する各ドラム13〜15の上段、中段又は下段に特定遊技役に対応する図柄を停止させる場合、停止指示時の少なくとも4図柄前に該図柄があることが必要である。そして、メインCPU40aは、有効とされる図柄有効ラインを形成する各ドラム13〜15の上段、中段又は下段に停止指示時の図柄の少なくとも4図柄後に特定遊技役に対応する図柄がないときには、特定遊技役の取りこぼし目(所謂、リーチ目など)を停止させるようになっている。すなわち、遊技者は、特定遊技役を入賞させるには、図柄列13aの特定遊技役に対応する図柄から少なくとも4図柄前にある図柄を狙ってストップボタン33〜35を操作することが必要であり、特定遊技役に対応する図柄を目押しすることで役を入賞させることができる。また、本実施形態では、一度、特定遊技役に当選すると、特定遊技役が入賞するまでの間、特定遊技役を入賞させることができる状態が継続されるようになっている。このため、特定遊技役に対応する図柄の目押しに失敗しても、次ゲーム以降、特定遊技役を入賞させることができる。
また、メインCPU40aは、はずれ役を決定する場合、有効とされる図柄有効ラインL1〜L5のいずれにも、小役及び特定遊技役を停止させないように各ドラム13〜15の停止制御を行う。例えば、メインCPU40aは、ドラム13及びドラム14が停止され、有効とされる図柄有効ライン上にベル図柄が2個停止すると、ドラム15の該図柄有効ラインを形成する位置(上段、中段又は下段)にベル図柄が停止しないように制御する。
続いて、メインCPU40aは、前記入賞判定において、小役(ベル役、プラム役、チェリー役、再遊技役)の入賞を決定した場合、各小役に応じた枚数の賞メダル及び特典を遊技者に付与する。そして、メインCPU40aは、賞メダルを遊技者に付与する場合には、賞メダルを払い出す又はクレジット数を増加させることで1回のゲームを終了させる。また、メインCPU40aは、再遊技を遊技者に付与する場合には、自動的に再遊技に応じた賭率(今回のゲームと同等の賭率)を設定して1回のゲームを終了させる。ゲームの終了時、メインCPU40aは、当選役などを記憶した情報をクリアし、次の遊技の処理に移行する。
また、メインCPU40aは、前記入賞判定において、特定遊技役(セブン役、バー役)の入賞を決定した場合、各特定遊技役に応じた枚数(15枚)の賞メダル及び特典を遊技者に付与する。そして、メインCPU40aは、賞メダルを払い出す又はクレジット数を増加させることで1回のゲームを終了させるとともに、ボーナスゲームを遊技者に付与する。そして、メインCPU40aは、ボーナスゲームを開始させることを示す情報をRAM40cに設定して1回のゲームを終了させる。ゲームの終了時、メインCPU40aは、特定遊技役の当選などを記憶した情報をクリアし、次の遊技の処理に移行する。
また、メインCPU40aは、前記入賞判定において、はずれ役の入賞を決定した場合、1回の賞メダルの付与を行わず1回のゲームを終了させる。そして、ゲームの終了時、メインCPU40aは、当選役などを記憶した情報をクリアし、次の遊技の処理に移行する。
また、ゲームにおいて、メインCPU40aは、セブン役を入賞させ、ビッグボーナスゲームを開始させた場合、セブン役入賞の次ゲーム(ビッグボーナスゲーム開始後、1回目のゲーム)からカウント数Cのカウントを開始する。また、メインCPU40aは、図5(b)の当選役決定テーブルにおいて、当選役を決定した場合、その1回のゲームの終了時に遊技者に払い出した賞メダルの枚数を加算していく。そして、メインCPU40aは、遊技者に払い出した賞メダルの枚数が360枚になるまで、カウントを継続し、遊技者に払い出した賞メダルの枚数が360枚となるゲームの終了を以ってビッグボーナスゲームを終了させる。また、メインCPU40aは、ビッグボーナスゲーム中にレギュラーボーナスゲームが決定され、当該レギュラーボーナスゲームを入賞させた場合には、図5(c)に示す当選役決定テーブルにおいて、当選役を決定し、後述するレギュラーボーナスゲーム時に行う処理と同時にカウント数のカウントを行う。ビッグボーナスゲームの終了時、メインCPU40aは、ビッグボーナス開始時に設定した情報をクリアする。
また、ゲームにおいて、メインCPU40aは、バー役を入賞させ、レギュラーボーナスゲームを開始させた場合、バー役入賞の次ゲーム(レギュラーボーナスゲーム開始後、1回目のゲーム)からゲームの回数及び小役に当選した回数のカウントを開始する。また、メインCPU40aは、図5(c)の当選役決定テーブルにおいて、当選役を決定した場合、その1回のゲームの終了時にゲームの回数及び小役に当選した回数を更新する。そして、メインCPU40aは、ゲームの回数が12回又は小役の当選回数が8回になるまで、カウントを継続し、ゲームの回数が12回又は小役の当選回数が8回となるゲームの終了を以ってレギュラーボーナスゲームを終了させる。レギュラーボーナスゲームの終了時、メインCPU40aは、レギュラーボーナス開始時に設定した情報をクリアする。
次に、演出制御基板41の構成を説明する。
演出制御基板41には、サブCPU41aと、ROM41bと、RAM41cとが設けられている。サブCPU41aには、ROM41bと、RAM41cとが接続されている。ROM41bには、遊技演出(表示演出、発光演出、音声演出)を制御するための遊技演出制御プログラムなどが記憶されている。また、RAM41cには、パチスロ機10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報(各種制御フラグ、各種タイマの値など)が記憶(設定)されるようになっている。
また、演出制御基板41には、リセット入力回路41dが設けられている。このリセット入力回路41dは、電源基板121のリセット信号回路126に接続されており、該リセット信号回路126が出力したリセット信号Reを入力するようになっている。また、リセット入力回路41dは、サブCPU41aに接続されており、リセット信号Reを入力すると、該リセット信号Reを予め定めた時間A1の間、サブCPU41aに継続出力するようになっている。サブCPU41aは、リセット信号Reの信号レベルがハイレベル状態となっている間、動作(制御処理)の実行が規制され、信号レベルがローレベル状態になると、起動を開始する。本実施形態では、リセット入力回路41dにおけるリセット信号Reの出力時間A1が、主制御基板40のリセット入力回路40dにおけるリセット信号Reの出力時間(出力時間A1+遅延時間A2)よりも短く設定されている。このため、サブCPU41aは、メインCPU40aよりも早く起動を開始することとなる。そして、演出制御基板41のサブCPU41aは、起動を開始すると、初期設定を行う。この初期設定において、サブCPU41aは、RAM41cの記憶内容の初期化などの処理を行う。
そして、サブCPU41aは、初期設定終了後、通常処理に移行する。この通常処理において、サブCPU41aは、主制御基板40(メインCPU40a)から制御コマンドを入力すると、遊技演出制御プログラムに基づき、入力した制御コマンドに応じた制御を行う。なお、サブCPU41aは、メインCPU40aが起動するよりも早く起動して、通常処理に移行するため、メインCPU40aの起動直後に制御コマンドを入力しても、制御コマンドに応じた処理を確実に実行することができる。
そして、本実施形態のパチスロ機10では、主制御基板40のメインCPU40aとスタートレバー32との間に、スタートレバー32からメインCPU40aへ出力される開始操作信号Nをランダムに遅延させる不正防止回路Iが接続されている。以下、不正防止回路Iについて図7及び図8に基づき詳しく説明する。
不正防止回路Iは、主制御基板40に設けられており、信号保持回路80を介してスタートレバー32に接続されている。不正防止回路Iは、信号保持回路80を介してスタートレバー32からの開始操作信号Nを入力するようになっている。そして、不正防止回路Iは、メインCPU40aと接続されており、開始操作信号Nを信号保持回路80から入力すると、当該開始操作信号NをメインCPU40aに出力するようになっている。
前記信号保持回路80は、不正防止回路Iと同一基板(主制御基板40)上に設けられている(図4参照)。そして、図7に示すように、信号保持回路80は、不正防止回路Iから出力される開始操作信号Nを出力契機信号として入力するようになっており、スタートレバー32から開始操作信号Nを入力した場合、出力契機信号を入力するまで開始操作信号Nを不正防止回路Iに出力し続けるようになっている。本実施形態では、信号保持回路80は、フリップフロップ(D−FF)にて構成されている。
前記不正防止回路Iは、当該信号保持回路80から開始操作信号Nが入力されるようになっている。図8に示すように、不正防止回路Iには、タイミングジェネレータ51(Timing Generator)と遅延回路52が設けられており、当該タイミングジェネレータ51及び遅延回路52に信号保持回路80からの開始操作信号Nが入力されるようになっている。
遅延回路52は、タイミングジェネレータ51と接続されている。そして、遅延回路52は、信号保持回路80から入力した開始操作信号Nの信号レベルが異なる状態に遷移した場合、タイミングジェネレータ51からの指示(信号)を受けた後にメインCPU40a側に出力する開始操作信号Nの信号レベルを異なる状態に遷移させる。すなわち、遅延回路52は、入力した開始操作信号Nを遅延してメインCPU40a側に出力するようになっている。なお、開始操作信号Nの信号レベルが異なる状態に遷移するとは、ハイレベル状態からローレベル状態へ遷移すること又はローレベル状態からハイレベル状態へ遷移することである。
そして、タイミングジェネレータ51は、不正防止回路Iに設けられた発振回路53(oscillator)に接続されている。発振回路53は、内部クロック信号を生成し、当該内部クロック信号を所定の周期毎に出力している。タイミングジェネレータ51は、この内部クロック信号を入力し、この内部クロック信号に基づき不正防止回路Iにおいて同期を取っている。また、発振回路53は、不正防止回路Iに設けられた第1カウンタ54(10bit binary counter1)に接続されており、第1カウンタ54は、発振回路53から内部クロック信号を入力する。そして、第1カウンタ54は、当該内部クロック信号を入力する毎に(内部クロック信号の周期毎に)、予め定められた数値範囲内(例えば、「0」〜「1023」の全1024通りの整数)でカウンタ値を1加算して更新する。すなわち、第1カウンタ54は、更新を開始する際の値(初期値)を最小値である「0」とし、該初期値から順に「0」→「1」→…→「1022」→「1023」というようにカウンタ値を1加算して更新する。そして、第1カウンタ54は、カウンタ値が最後に更新される数値(終期値)である「1023(最大値)」に達すると、再び「0」〜「1023」までの数値を1加算して更新する。つまり、本実施形態では、「0」〜「1023」までを1周期としてカウンタ値を順次更新し、この1周期の更新処理をパチスロ機10の動作中、繰り返し実行する。なお、カウンタ値の更新周期(すなわち、内部クロック信号の周期)は、当選役決定乱数の更新周期と異なるようになっている。
また、タイミングジェネレータ51は、不正防止回路Iに設けられたレジスタ55(10bit register)と接続されている。レジスタ55は、カウンタ値を入力可能に第1カウンタ54に接続されている。そして、タイミングジェネレータ51は、不正防止回路Iに入力される開始操作信号Nの信号レベルが異なる状態に遷移すると、レジスタ55に第1カウンタ54のカウンタ値を記憶するように指示(信号)を送るようになっている。このレジスタ55は、タイミングジェネレータ51からの当該指示を受けると、第1カウンタ54のカウンタ値を記憶するようになっている。すなわち、レジスタ55は、不正防止回路Iに入力される開始操作信号Nの信号レベルが異なる状態に遷移したときにおける第1カウンタ54のカウンタ値を記憶するようになっている。
また、タイミングジェネレータ51は、不正防止回路Iに設けられた第2カウンタ56(10bit binary counter2)と接続されている。第2カウンタ56は、不正防止回路Iに設けられた分周回路60から所定の周期を有する更新用クロック信号を入力するようになっている。そして、第2カウンタ56は、当該更新用クロック信号を入力する毎に(更新用クロック信号の周期毎に)、予め定められた数値範囲内(例えば、「0」〜「1023」の全1024通りの整数)で判定値を1加算して更新するようになっている。すなわち、第2カウンタ56は、更新を開始する際の値(初期値)を最小値である「0」とし、該初期値から順に「0」→「1」→…→「1022」→「1023」というように判定値を1加算して更新するようになっている。なお、本実施形態では、分周回路60は、外部発振回路70が出力した外部クロック信号の周波数を16000分の1にしたものを、更新用クロック信号として第2カウンタ56に出力するようになっている。そして、外部クロック信号(更新用クロック信号)の周波数は、16MHzであり、判定値の更新周期(更新用クロック信号の周期)は、当選役決定乱数の更新周期と異なるように設定されている。
そして、タイミングジェネレータ51は、不正防止回路Iに入力される開始操作信号Nの信号レベルが異なる状態に遷移すると、第2カウンタ56に対して、初期値「0」から判定値を更新するように指示(信号)を送るようになっている。すなわち、第2カウンタ56は、レジスタ55にカウンタ値が記憶された後から判定値の更新を開始するようになっている。そして、第2カウンタ56は、判定値を更新する毎に、判定値がカウンタ値と一致するか否か判定し、判定値がカウンタ値と一致すると判定すると、タイミングジェネレータ51にその旨の通知(信号)を送る。
そして、タイミングジェネレータ51は、第2カウンタ56から判定値とカウンタ値と一致したとの通知を受け取ると、遅延回路52に対してメインCPU40a側に出力する開始操作信号Nの信号レベルを異なる状態に遷移するように指示する。これにより、遅延回路52は、メインCPU40a側に出力する開始操作信号Nの信号レベルを異なる状態に遷移する。
以上のことから、第1カウンタ54がカウンタ値を更新する更新手段となる。また、レジスタ55がカウンタ値を取得する取得手段となる。また、第2カウンタ56が判定値を更新する計測手段となる。また、遅延回路52が、開始操作信号Nを出力する出力手段となる。また、発振回路53が、第1カウンタ54に内部クロック信号を出力する第1信号生成手段となり、外部発振回路70が、第2カウンタ56に外部クロック信号を出力する第2信号生成手段となる。また、発振回路53が、第1カウンタ54に内部クロック信号を出力する第1発振回路となり、外部発振回路70が、第2カウンタ56に外部クロック信号を出力する第2発振回路となる。また、タイミングジェネレータ51が、遅延回路52に対して開始操作信号Nの信号レベルを異なる状態に遷移させることを指示するタイミング指示回路となる。
このように、開始操作信号Nの信号レベルが異なる状態に遷移したとき、レジスタ55に第1カウンタ54のカウンタ値を記憶させると共に、第2カウンタ56に判定値を更新させる。タイミングジェネレータ51は、判定値とカウンタ値が一致したとき、遅延回路52に開始操作信号Nの信号レベルを異なる状態に遷移させるように指示する。このため、開始操作信号Nの信号レベルが異なる状態に遷移したときにおけるカウンタ値及び判定値の更新周期によって開始操作信号Nの遅延時間が左右される。
そして、第1カウンタ54は、不正防止回路I、すなわち、主制御基板40に電源が供給されてから、カウンタ値を更新し続ける。このため、開始操作信号Nの信号レベルが異なる状態に遷移したときのカウンタ値は、開始操作信号Nの信号レベルが異なる状態に遷移するときが一定でないので、結果的に乱数となり、開始操作信号Nの遅延時間が一定でなくなる。すなわち、不正防止回路Iに入力された開始操作信号Nの信号レベルが異なる状態に遷移したときから、不正防止回路IがメインCPU40a側に出力する開始操作信号Nの信号レベルを異なる状態に遷移させるタイミングまでの遅延時間は、一定でなくなる。
このため、開始操作信号Nを主制御基板40に入力してからメインCPU40aが乱数発生器40eから当選役決定乱数を取得するまでの時間が一定でなくなる。そして、不正機具などを用いて、当選役が決定される乱数値と一致する当選役決定乱数を取得するようなタイミングを把握し、当該タイミングを狙って開始操作信号N又は不正開始操作信号N1を入力しても、当選役が決定される乱数値と一致する当選役決定乱数を取得できなくなる。なお、不正開始操作信号N1は、開始操作信号Nと同様の機能(役割)を果たす類似の信号である。
また、カウンタ値の更新周期と、判定値の更新周期は異なっているため、遅延時間を予測するには、2つの異なる周期を考慮する必要がある。すなわち、カウント値の値を予測して判定値の更新周期で計測する必要がある。このため、遅延時間を予測して不正開始操作信号N1を出力することを困難にすることができ、不正を確実に防止できる。
また、本実施形態の発振回路53は、コンデンサ、キャパシタ、抵抗などから構成されており、これらの性能には通常ばらつきがあり、また、電源が供給されていないときにおいてコンデンサの残留電荷などにも通常ばらつきがある。このため、電源投入直後において、発振回路53が生成する内部クロック信号の周期は、一定でない場合が多い。また、電源投入からメインCPU40aにリセット信号Reが入力されるまでの間に、第1カウンタ54のカウンタ値は、少なくとも複数回更新されるようになっている。すなわち、発振回路53は、電源投入からメインCPU40aにリセット信号Reが入力されるまでの間に、複数回内部クロック信号を入力する程度の速さの周期を有する内部クロック信号を生成するようになっている。以上のことから、電源投入後からのカウンタ値を予測することは困難であるため、遅延時間を把握することができにくくなる。
また、本実施形態において、カウンタ値は不正防止回路I内部で更新されており、カウンタ値の更新周期は、環境変化やICの個体差により変化することがあるため、カウンタ値を把握することは困難である。また、発振回路53が出力する内部クロック信号の周期、すなわち、カウンタ値の更新周期と、当選役決定乱数の更新周期は同期していないため、当選役決定乱数を把握しつつ、カウンタ値を把握することは極めて困難となる。同様に、カウンタ値の更新周期と、判定値の更新周期も異なるため(非同期であるため)、判定値を把握しつつ、カウンタ値を把握することは極めて困難となる。従って、当選役が決定されるタイミングを狙いつつ、開始操作信号Nの遅延時間を把握することは極めて困難である。
また、不正防止回路Iは、開始操作信号Nの信号レベルが異なる状態に遷移するたびに、当該遷移するタイミングを遅延させる。このため、開始操作信号Nの入力時間が短すぎた場合、不正防止回路Iから開始操作信号Nが正常に出力されない場合がある。より詳しくは、不正防止回路Iに入力される開始操作信号Nがハイレベル状態に遷移したときからローレベル状態に遷移するまでの時間が、不正防止回路Iに入力される開始操作信号Nがハイレベル状態に遷移してから遅延回路52が出力するリセット信号Reをハイレベル状態に遷移するまでの時間よりも短い場合、正常に出力されない場合がある。具体的には、分周回路60が外部クロック信号の周波数(16MHz)を16000分の1にして更新用クロック信号の更新周期を1KHzとしたため、不正防止回路Iは、開始操作信号Nを最大1024ms遅延させる場合がある。そして、不正防止回路Iが、出力する開始操作信号Nを1024ms遅延させた場合、開始操作信号Nの入力時間が1024msより短い時間で終了すると、開始操作信号Nが正常に出力されなくなる虞がある。
その一方で、最大遅延時間を短くした場合、当選役決定乱数があまりずれなくなる可能性が高くなり、不正な当選役が発生しやすくなるといった問題がある。つまり、最大遅延時間を短くした場合、開始操作信号Nを確実に入力できる一方、当選役が決定されるタイミングが狙いやすくなってしまう。
そこで、本実施形態では、信号保持回路80を設けることにより、不正防止回路IがメインCPU40aに開始操作信号Nを出力するまで開始操作信号Nを不正防止回路Iに出力し続けるようにした。これにより、不正防止回路Iから開始操作信号Nが出力されるまで信号保持回路80から開始操作信号Nが入力され続けられることとなり、開始操作信号Nを正常に出力することができる。その一方で、開始操作信号Nの最大遅延時間を長くすることができ、不正な当選役が決定されることを確実に防止できる。なお、例えば、更新用クロック信号の周波数を変更する等して開始操作信号Nの最大遅延時間を1024msより長くした場合、開始操作信号NがメインCPU40aに入力されるタイミングが大きく遅延し、当選役が決定されるタイミングから大きくずれて、当選役が決定されない可能性がより高くなる。
また、不正防止回路Iに設けられた分周回路60は、不正防止回路Iの外部であって、主制御基板40に設けられた外部発振回路70から入力した外部クロック信号の周波数が高い場合に、当該外部クロック信号の周波数を分周して周波数を低くして更新用クロック信号とすることができるように構成されている。具体的には、分周回路60には、データ線S1,S2が設けられており、このデータ線S1,S2への信号の入力状況に応じて外部クロック信号の周波数を16000分の1又は20000分の1に分周した信号を更新用クロック信号として出力する、若しくはそのまま更新用クロック信号として出力するようになっている。
より詳しくは、分周回路60は、第3カウンタ61(15bit binary counter3)、データセレクタ63(SEL)、分割器62(Divide 20000/Divide16000)、及び選択切替器64(MUX:Multiplexer )から構成されている。そして、データセレクタ63は、データ線S1,S2から入力された信号に基づき、分割器62に対して外部から入力した外部クロック信号の周波数を、そのままにして出力するか、若しくは16000分の1又は20000分の1に分周して出力するかを設定する。そのままの周期で更新用クロック信号として出力すると設定された場合、データセレクタ63は、選択切替器64に対して、外部から入力した外部クロック信号をそのまま更新用クロック信号として第2カウンタ56に出力するように指示する。これにより、外部から入力された外部クロック信号は、そのまま更新用クロック信号として第2カウンタ56に出力される。例えば、分周回路60は、1KHz(キロヘルツ)の外部クロック信号を入力した場合には、分周せずに、1KHzの更新用クロック信号として第2カウンタ56に出力する。
一方、16000分の1に分周すると設定された場合は、データセレクタ63は、分割器62に対してその旨を指示する。この指示を受けた分割器62は、第3カウンタ61が16000回外部クロック信号を入力すると計測する毎に、選択切替器64に対して1回更新用クロック信号を出力させる。すなわち、外部から入力された外部クロック信号を16000回入力する毎に、選択切替器64に1回更新用クロック信号を出力する。選択切替器64は、当該更新用クロック信号を第2カウンタ56に出力する。なお、20000分の1に分周する場合も同様の処理を行うので詳細な説明は省略する。例えば、分周回路60は、16MHz(メガヘルツ)の外部クロック信号を入力した場合には、周波数を16000分の1に分周して、1KHzの更新用クロック信号として出力する。同様に、分周回路60は、20MHz(メガヘルツ)の外部クロック信号を入力した場合には、周波数を20000分の1に分周して、1KHzの更新用クロック信号として出力する。
本実施形態では、外部発振回路70から入力された外部クロック信号の周波数を16000分の1にしたものを、更新用クロック信号として出力するように、データ線S1,S2へ信号が入力されるようになっている。
このように、外部から入力した外部クロック信号を分周することにより、様々な周波数を有する外部クロック信号を入力しても、判定値を更新するのに適切な周期を有する(例えば、1KHzの)更新用クロック信号に変換することができる。また、外部クロック信号の分周した場合、当選役決定乱数と判定値の更新周期が異なるため、判定値の更新周期を把握しにくくなり、当選役が決定されるタイミングの把握を一層困難なものとすることができる。
次に、不正防止回路Iにおいて、開始操作信号N(不正開始操作信号N1)の信号レベルが遷移するタイミングについて図9に基づき説明する。
スタートレバー32が操作されると(又は不正基板からの不正開始操作信号N1の出力)がなされると(時点P1)、信号保持回路80に入力される開始操作信号N(又は不正開始操作信号N1、以下同じ)の信号レベルは、ローレベル状態からハイレベル状態に遷移する。これにより、信号保持回路80は、不正防止回路Iに対して出力する開始操作信号Nの信号レベルをローレベル状態からハイレベル状態に遷移する。
不正防止回路Iに入力される開始操作信号Nの信号レベルが、ローレベル状態からハイレベル状態に遷移すると、不正防止回路Iのタイミングジェネレータ51は、レジスタ55に第1カウンタ54のカウンタ値を記憶するように指示をする。この指示を受けてレジスタ55は、第1カウンタ54のカウンタ値を記憶する。それと共に、タイミングジェネレータ51は、第2カウンタ56に対して初期値から判定値を更新させるように指示をする。この指示を受けて第2カウンタ56は、分周回路60から入力した更新用クロック信号の周期毎に判定値を初期値から更新する。そして、第2カウンタ56は、判定値がレジスタ55に記憶されたカウンタ値と一致すると、タイミングジェネレータ51に対して判定値がカウンタ値に一致した旨を指示する。この指示を受けたタイミングジェネレータ51は、遅延回路52に開始操作信号Nの信号レベルを異なる状態に遷移させるように指示する。
この指示を受けた遅延回路52は、メインCPU40a側に出力する開始操作信号Nの信号レベルをローレベル状態からハイレベル状態に遷移させる(時点P2)。すなわち、遅延回路52は、ハイレベル状態に遷移したときのカウンタ値に更新用クロック信号の周期を乗じた時間α1だけメインCPU40a側に出力する開始操作信号Nの信号レベルをハイレベル状態に遷移させるタイミングを遅延させる。メインCPU40aに入力される開始操作信号Nの信号レベルがハイレベル状態となると、メインCPU40aは、当選役決定乱数を取得し、RAM40cに記憶する。
また、不正防止回路Iは、出力契機信号を信号保持回路80に出力する。信号保持回路80は、この出力契機信号を入力すると、不正防止回路Iに対して出力する開始操作信号Nの信号レベルをハイレベル状態からローレベル状態に遷移する。
不正防止回路Iに入力される開始操作信号Nの信号レベルがハイレベル状態からローレベル状態に遷移する(時点P2)と、タイミングジェネレータ51は、レジスタ55に第1カウンタ54のカウンタ値を記憶するように指示をする。この指示を受けてレジスタ55は、第1カウンタ54のカウンタ値を記憶する。それと共に、タイミングジェネレータ51は、第2カウンタ56に対して初期値から判定値を更新させるように指示をする。この指示を受けて第2カウンタ56は、更新用クロック信号の周期毎に判定値を初期値から更新する。そして、第2カウンタ56は、判定値がレジスタ55に記憶されたカウンタ値と一致すると、タイミングジェネレータ51に対して判定値がカウンタ値に一致した旨を指示する。この指示を受けたタイミングジェネレータ51は、遅延回路52に開始操作信号Nの信号レベルを異なる状態に遷移させるように指示する。
この指示を受けた遅延回路52は、メインCPU40a側に出力する開始操作信号Nの信号レベルをハイレベル状態からローレベル状態に遷移させる(時点P3)。すなわち、遅延回路52は、ローレベル状態に遷移したときのカウンタ値に更新用クロック信号の周期を乗じた時間α2だけメインCPU40a側に出力する開始操作信号Nの信号レベルをローレベル状態に遷移させるタイミングを遅延させる。
以上のように、メインCPU40aに入力される開始操作信号N(不正開始操作信号N1)は不正防止回路Iにより遅延される。この遅延時間は、カウンタ値及び判定値の更新周期に基づいて決定されるため、極めて予測しにくい。このため、不正基板から出力された不正開始操作信号N1がいつメインCPU40aに入力されるかが不明となる。従って、不正基板が当選役の決定タイミングを把握したとしても、当選役が決定されるタイミングを狙って当選役決定乱数を取得することができず、不正を防止できる。
以上詳述したように、本実施形態は、以下の効果を有する。
(1)不正防止回路Iは、開始操作信号N(不正開始操作信号N1)の入力が開始(又は終了)したときにレジスタ55が取得したカウンタ値と、レジスタ55がカウンタ値を取得した後から第2カウンタ56が更新する判定値とが一致した場合に、メインCPU40aに出力する開始操作信号Nの信号レベルを異なる状態に遷移する。すなわち、スタートレバー32又は不正基板から開始操作信号N(又は不正開始操作信号N1)の入力が開始(又は終了)されたときからカウンタ値及び判定値に基づく時間遅延して、開始操作信号Nは、メインCPU40aへ入力が開始(又は終了)される。そして、遅延する時間は、発振回路53により出力された内部クロック信号の周期毎に更新されるカウンタ値と更新用クロック信号の周期毎に更新される判定値に基づいて決定される。すなわち、2つの信号の更新周期を考慮しなくてはならないため、遅延時間を極めて予測しにくい。以上のことから、スタートレバー32又は不正基板から当選役の決定タイミングを狙って開始操作信号N(又は不正開始操作信号N1)が出力されても、不正防止回路Iは、当該開始操作信号N(不正開始操作信号N1)をランダムに遅延させてメインCPU40aに入力させることができる。従って、当選役の発生タイミングを狙って開始操作信号N(又は不正開始操作信号N1)をメインCPU40aに入力させることを困難にすることができ、不正を防止できる。
(2)カウンタ値は、当選役決定乱数の更新周期とは異なる所定の更新周期毎に更新される。このため、不正に当選役を発生させるためには、カウンタ値の更新周期と、判定値の更新周期と、当選役決定乱数の更新周期とを把握しなくてはならない。従って、当選役の発生タイミングを狙って開始操作信号をメインCPU40aに入力させることを困難にすることができ、不正を防止できる。
(3)不正防止回路Iは、開始操作信号N(又は不正開始操作信号N1)の信号レベルが異なる状態に遷移するたびに、そのタイミングを遅延させて開始操作信号N(又は不正開始操作信号N1)をメインCPU40a側に出力する。このため、開始操作信号N(不正開始操作信号N1)の信号レベルが、ローレベル状態からハイレベル状態に遷移した場合に当選役決定乱数を取得するようにしても、ハイレベル状態からローレベル状態に遷移した場合に当選役決定乱数を取得するようにしても、当選役決定乱数を取得するタイミングを遅延させることができる。
(4)発振回路53に使用されているコンデンサや抵抗には、通常、性能のばらつきがあり、また、電源投入時においてコンデンサに蓄えられている残留電荷も通常ばらつきがあるため、電源投入後において、発振回路53が出力するクロック信号の周期にはばらつきが生じる。このため、カウント値を把握することが困難となり、開始操作信号Nの遅延時間を予測しにくくなる。従って、当選役が決定されるタイミングを狙って開始操作信号NをメインCPU40aに入力することが困難となる。
(5)主制御基板40は、ケースカバー内に収容されており、当該ケースカバーには、外部から主制御基板40に直接不正回路などを装着できないように不正防止対策がなされている。このため、主制御基板40に不正防止回路Iを取り付けることにより、メインCPU40aと不正防止回路Iとの間に不正基板が取り付けられることを防止できる。従って、不正防止回路Iを介して開始操作信号Nを入力することが確実にできる。すなわち、確実に開始操作信号N(又は不正開始操作信号N1)を遅延させてメインCPU40aに入力することができる。
(6)不正防止回路Iは、開始操作信号N(不正開始操作信号N1)の信号レベルが異なる状態に遷移するたびに、そのタイミングを遅延させて開始操作信号NをメインCPU40aに出力する。このため、開始操作信号Nの入力時間が短すぎると、メインCPU40aに出力する開始操作信号N(不正開始操作信号N1)がハイレベル状態となる前に不正防止回路Iに入力される開始操作信号N(不正開始操作信号N1)がローレベル状態となる場合がある。この場合、不正防止回路Iは、正常に開始操作信号N(不正開始操作信号N1)をメインCPU40a側に出力することができなくなる。そこで、不正防止回路IがメインCPU40aに開始操作信号Nを出力するまで、開始操作信号Nを不正防止回路Iに出力し続ける信号保持回路80を設けた。これにより、信号保持回路80が入力した開始操作信号Nの入力時間が短い場合でも、不正防止回路Iは、開始操作信号NをメインCPU40aに出力するまで、確実に開始操作信号Nが入力することができる。従って、開始操作信号NをメインCPU40aに確実に出力できる。
(7)不正防止回路Iに分周回路60を設け、不正防止回路Iの外部に備えられた外部発振回路70から入力した外部クロック信号の周期を遅くしたものを更新用クロック信号として出力することができるようにした。このため、高周波数の外部クロック信号を入力しても、リセット信号Reを十分に遅延させることができる。
(8)更新用クロック信号の周期毎に、第2カウンタ56は判定値を更新する。このため、更新用クロック信号の周期と当選役決定乱数の更新周期を異ならせた場合、不正基板は、2つの信号の更新周期を把握しなければ、当選役が決定されるタイミングで開始操作信号Nを入力することができなくなる。
(9)カウンタ値の更新周期を定める内部クロック信号を生成、出力する発振回路53を不正防止回路Iに設けた。このため、内部クロック信号の周期を不正防止回路Iの外部から認識することは困難となる。従って、当選役が決定されるタイミングを把握し難くでき、不正を防止できる。
(10)不正防止回路Iの外部に設けた外部発振回路70から入力した外部クロック信号の周波数を分周回路60により16000分の1又は20000分の1に分周することができるようにした。このため、外部発振回路70から入力した外部クロック信号がどれだけ分周されているか不正防止回路Iの外部からは認識しにくくなり、判定値の更新周期を認識することが困難となる。従って、当選役が決定されるタイミングを把握し難くでき、不正を防止できる。
尚、上記実施形態は、次のような別の実施形態(別例)にて具体化できる。
○上記実施形態において、乱数発生器40eが、当選役決定乱数を更新していたが、メインCPU40aが、当選役決定乱数を更新しても良い。そして、この場合、不正防止回路Iをリセット入力回路40dとメインCPU40aとの間にさらに設けても良い。これにより、不正基板が、不正リセット信号Re1を出力して、強制的に当選役決定乱数を初期化して、当選役が決定されるタイミングを把握しようとしても、起動開始のタイミングが遅延するため、当選役が決定されるタイミングの把握を困難にすることができる。また、不正防止回路Iを、リセット入力回路40dとメインCPU40aとの間、及びスタートレバー32とメインCPU40aとの間の両方に設けることにより、起動開始のタイミング及び開始操作信号Nの入力タイミングに遅延時間が生じる。このため、起動開始のタイミングの遅延時間及び開始操作信号Nの入力タイミングの遅延時間という2つ異なる遅延時間を予測しなければ、当選役が決定されるタイミングを予測し、且つ、当選役が決定されるタイミングを狙って開始操作信号NをメインCPU40aに入力することはできない。そして、2つ異なる遅延時間を予測するには、多数の乱数値(カウント値や判定値など)の更新周期を把握する必要がある。従って、不正基板が当選役が決定されるタイミングを狙って開始操作信号Nを入力させるためには、多くの信号の更新周期を把握しなくてはならず、極めて困難となる。従って、当選役の発生タイミングを狙って開始操作信号をメインCPU40aに入力させることを困難にすることができ、不正を防止できる。
○上記実施形態において、開始操作信号N(不正開始操作信号N1)が不正防止回路Iを介して主制御基板40に入力されるならば、不正防止回路Iを主制御基板40に設けなくても良い。
○上記実施形態において、判定値の更新周期が開始操作信号Nの遅延時間を設けるために適切な周期になるならば、外部発振回路70が出力する外部クロック信号を分周する分周回路60を設けなくても良い。すなわち、第2カウンタ56は、外部発振回路70が出力する外部クロック信号の周期毎に判定値を更新するようにしても良い。
○上記実施形態において、メインCPU40aは、開始操作信号Nがローレベル状態からハイレベル状態に遷移したときに当選役決定乱数を取得するようになっていたが、ハイレベル状態からローレベル状態に遷移したときに当選役決定乱数を取得するようにしても良い。上記実施形態において、不正防止回路Iは、ローレベル状態からハイレベル状態に遷移したとき及びハイレベル状態からローレベル状態に遷移したときに遅延させている。また、ローレベル状態からハイレベル状態に遷移したときの遅延時間と、ハイレベル状態からローレベル状態に遷移したときの遅延時間は異ならせている。このため、ハイレベル状態からローレベル状態に遷移したときに当選役決定乱数を取得するようにした場合、2つの遅延時間(α1+α2)を考慮しなければ、不正な当選役を決定させることができなくなる。従って、当選役決定タイミングを狙って開始操作信号N(又は不正開始操作信号N1)をメインCPU40aに入力させることを困難にすることができ、不正を防止できる。
○上記実施形態において、不正防止回路Iは、開始操作信号N(不正開始操作信号N1)の信号レベルが異なる状態に遷移するたびに、その遷移するタイミングを遅延させていた。この別例として、メインCPU40aにより当選役決定乱数の取得がハイレベル状態からローレベル状態に遷移するタイミングで行われるのであれば、開始操作信号Nがハイレベル状態からローレベル状態に遷移するときだけ遅延させるようにしてもよい。また、メインCPU40aによる当選役決定乱数の取得がローレベル状態からハイレベル状態に遷移するタイミングで行われるのであれば、開始操作信号Nがローレベル状態からハイレベル状態に遷移するときだけ遅延させるようにしてもよい。
○上記実施形態において、当選役決定乱数は、最大値まで更新されると、最小値から継続して更新するようにしていたが、必ずしも最小値から継続して更新しなくても良い。例えば、乱数発生器40eに予め当選役決定乱数の初期値乱数を記憶しておき、当選役決定乱数が1周期終了する毎に、乱数発生器40eに記憶された初期値から当選役決定乱数を1周期更新しても良い。具体的には、「0」→「1」→…→「65535」→「10000」→「10001」→…といように、最大値の次に、最小値でない初期値から継続して更新しても良い。このようにすれば、当選役が決定される当選役決定乱数を取得するタイミングが、1周期毎に変化することとなる。このため、当選役が決定されるタイミングを把握するには、乱数発生器40eに記憶された初期値乱数も考慮しなければならなくなる。従って、当選役が決定されるタイミングを把握しにくくすることができ、不正を防止できる。
○上記実施形態では、不正防止回路Iが出力する開始操作信号Nの信号レベルを遷移させるタイミングを決定するために、判定値を1ずつ加算していき、カウンタ値に達するか否か判定していたが、カウンタ値を1ずつ減算していき、カウンタ値が0になったか否かを判定するようにしても良い。
○上記実施形態では、外部クロック信号を出力する外部発振回路70を不正防止回路Iの外部に設けていたが、不正防止回路Iに設けても良い。このようにすれば、判定値の更新周期がより判別しにくくなり、不正を防止できる。
○上記実施形態では、内部クロック信号を生成、出力する発振回路53を不正防止回路Iに設けたが、不正防止回路Iの外部に発振回路53を設けても良い。
○上記実施形態では、バックアップ処理が実行可能に構成されていたが、バックアップ処理ができなくてもよい。この場合、電源遮断時には、必ず初期化処理がなされることとなる。
○上記実施形態では、RAMクリアスイッチ136及びRAMクリアスイッチ回路137を設けたが、設けなくても良い。
○上記実施形態において、バックアップ処理において、乱数発生器40eの値(当選役決定乱数の値)は、記憶保持されなかったが、記憶保持するようにしても良い。
○上記実施形態では、開始操作信号N(不正開始操作信号N1)の信号レベルがハイレベル状態のとき、開始操作信号N(不正開始操作信号N1)が入力(出力)されたとし、ローレベル状態のとき、開始操作信号N(不正開始操作信号N1)の入力(出力)が終了したとしていた。この別例として、開始操作信号N(不正開始操作信号N1)の信号レベルがローレベル状態のとき、開始操作信号N(不正開始操作信号N1)が入力(出力)されたとし、ハイレベル状態のとき、開始操作信号N(不正開始操作信号N1)の入力(出力)が終了したとしてもよい。
○上記実施形態では、信号保持回路80は、不正防止回路IがメインCPU40aへ出力した開始操作信号Nを出力契機信号として入力していた。この別例として、信号保持回路80は、メインCPU40aが開始操作信号Nを入力した場合に出力する信号を出力契機信号として入力するようにしても良い。すなわち、信号保持回路80は、メインCPU40aによる指示に従って、開始操作信号Nを不正防止回路Iに出力し続けるようにしても良い。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記不正防止回路は、前記制御装置が設けられた基板と同一基板に設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の遊技機。
(ロ)前記不正防止回路は、第2信号生成手段から入力した信号の周期を分周する分周回路を備え、前記計測手段は、前記分周回路が分周した信号の周期毎に判定値を更新することを特徴とする請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の遊技機。
(ハ)第1信号生成手段により出力された信号の周期と、第2信号生成手段により出力された信号の周期は、異なることを特徴とする請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の遊技機。
10…パチスロ遊技機(遊技機)、32…スタートレバー(開始操作手段)、40…主制御基板、40a…メインCPU(制御装置)、41…演出制御基板、41a…サブCPU、51…タイミングジェネレータ(タイミング指示回路)、52…遅延回路(出力手段)、53…発振回路(第1信号生成手段、第1発振回路)、54…第1カウンタ(更新手段)、55…レジスタ(取得手段)、56…第2カウンタ(計測手段)、60…分周回路、61…第3カウンタ、62…分割器、63…データセレクタ、64…選択切替器、70…外部発振回路(第2信号生成手段、第2発振回路)、80…信号保持回路、121…電源基板、124…電源回路、125…電源断監視回路、126…リセット信号回路、136…RAMクリアスイッチ、137…RAMクリアスイッチ回路、I…不正防止回路、S…電源断信号、U…ドラムユニット、N…開始操作信号、N1…不正開始操作信号(開始操作信号)。