以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1に示すものは、フラットパネルディスプレイの一例として、液晶ディスプレイのパネル基板を示している。同図には2種類のパネル基板を示しており、PSは小型サイズのパネル基板(小型パネルPS)であり、PLは大型サイズのパネル基板(大型パネルPL)である。小型パネルPS及び大型パネルPLは、2枚の薄型のガラス基板1a、1bを貼り合わせて、中間に液晶を封入して構成している。そして、図2に示すように、小型パネルPSの3辺(1つの長辺及び2つの短辺)、また大型パネルPLの周囲4辺には、それぞれ複数のTCP(Tape Carrier Package)からなる電子回路部品2をTAB(Tape Automated Bonding)方式で搭載し、また各辺の電子回路部品2に接続するように印刷回路基板3(Print Circuit Board)を接続している。
以下において、電子回路部品2をTAB搭載する方式について説明しているが、他の方式を適用してもよい。例えば、チップ状のICパッケージをパネル基板に直接搭載するCOG(Chip On Glass)方式等の方式を適用することもできる。
小型パネルPS及び大型パネルPLには、電子回路部品2を接続し、また印刷回路基板3を接続する処理を行う必要がある。この一連の処理を行う製造・組立ラインの一例を図3に示す。ここで、図3に示す製造・組立ラインは、基本的には大型パネルPL用に設けている。図3で示す製造・組立ラインは複数のステージで構成しているが、各ステージに設けている処理装置は、大型パネルPLのサイズに合わせた装置構成を採用している。
図中において、10は搬入ステージであり、この搬入ステージ10には搬入された大型パネルPLのTAB搭載部をクリーニングする機構が設けられている。このクリーニングは、例えばテープクリーニングで大型パネルPLの表面を擦動するようにして行う。これによって、大型パネルPLのTAB搭載部の汚れを拭き取ることができる。
搬入ステージ10の下流側に位置するステージは大型パネルPLのTAB搭載部にACF(Anisotropic Conductive Film)テープを貼り付けるACF貼り付けステージ11である。ACFの貼り付けは、各電子回路部品2が搭載される部位に限定して個別的に貼り付けるのが望ましいが、大型パネルPLの全長にわたって貼り付けるようにすることもできる。
次の処理ステージは、電子回路部品2をTAB搭載するためのステージである。処理ステージ12は電子回路部品2をACFに仮圧着する仮圧着ステージであり、また処理ステージ13は仮圧着された電子回路部品2を加熱下で加圧することによって、ACFを介して大型パネルPLに固着させる本圧着ステージである。そして、処理ステージ14はこのようにして圧着させた電子回路部品2が正規の位置に搭載されているか否かを判定する検査ステージである。
さらに、処理ステージ15は印刷回路基板3を接続するPCB接続ステージである。ここで、大型パネルPLの各辺には複数の電子回路部品2が搭載されており、印刷回路基板3は、各辺に搭載されている全ての電子回路部品2と電気的に接続されることになる。そして、処理ステージ16は、電子回路部品2と印刷回路基板3との接続部に封止樹脂を塗布する樹脂塗布ステージである。また、この樹脂塗布ステージ16での処理が終了すると、大型パネルPLは次の工程に搬出されることになる。従って、この樹脂塗布ステージ16は搬出ステージを兼ねることになる。
以上の処理ステージ10〜16には、それぞれ必要な処理を行うための機構が装着されているが、これら各処理機構の構成の説明は省略する。そして、各処理ステージ間には大型パネルPLを支持し、各処理ステージ間に大型パネルPLを受け渡すための手段として複数のホルダアームを装着した櫛歯式のパネルホルダを各処理ステージに設けている。ここで、パネルホルダは3本アーム構成のものと、4本アーム構成のものとが設けられている。図3において、17は3本アーム構成のパネルホルダを示し、18は4本アーム構成のパネルホルダを示している。同図から明らかなように、パネルホルダ17とパネルホルダ18とは交互に配設されており、図3の構成では、奇数番目の処理ステージにはパネルホルダ17が配置され、偶数番目の処理ステージにはパネルホルダ18が設置されている。なお、パネルホルダ17、18は交互に配列されておれば良く、奇数番目の処理ステージにはパネルホルダ18を、偶数番目の処理ステージにはパネルホルダ17を設けるように構成しても良い。
図4にパネルホルダ17の構成を示す。この図から明らかなように、パネルホルダ17は3本のホルダアーム20C、20L、20R(これらを総称する際には、ホルダアーム20という)を有し、これら各ホルダアーム20C、20L、20Rは取付部材21に支持されており、取付部材21によって、一体的に水平方向に回動可能となっている。そして、中央に位置するホルダアーム20Cは直線的なものであり、かつ取付部材21に固定的に設けた固定アームホルダである。一方、左右のホルダアーム20L、20Rは概略T字形状のものであり、ホルダアーム20Cに近接・離間する方向に平行移動させることによって、間隔調整が可能となっている。ホルダアーム20C、20L、20Rの表面には、複数個所に弾性部材からなる吸着パッド22が装着されており、これらの吸着パッド22には多数の吸着孔22aが設けられて、各大型パネルPLの裏面を真空吸着するようになっている。
また、パネルホルダ18は図5に示したように、4本のホルダアーム30C1、30C2、30L及び30R(これらを総称する際には、ホルダアーム30という)を有して構成される。中央に位置する2本のホルダアーム30C1、30C2は取付部材31に固定的に保持されている固定ホルダアームであり、左右両側に位置するホルダアーム30L、30Rは、それぞれ固定ホルダアーム30C1、30C2に近接・離間する方向に平行移動させることによって、間隔調整が可能となっている。そして、これら各ホルダアーム30C1、30C2、30L及び30Rにも、多数の吸着孔32aを設けた吸着パッド32が所定数だけ装着されている。
パネルホルダ17及び18において、左右両側に位置する可動のホルダアーム20L、20R及び30L、30Rを固定ホルダアーム20C、30C1、30C2に最も近接させた状態では、ホルダアーム30C1−30C2の間隔はホルダアーム20Cの幅寸法より大きく、またホルダアーム20C−20L及び20C−20Rの間隔はホルダアーム30C1及び30C2の幅寸法より大きくなっている。さらに、ホルダアーム30C1−30L及び30C2−30Rの間隔は、ホルダアーム20L、20Rの幅寸法より大きくなっている。このような寸法関係を持たせることによって、パネルホルダ17と18とは相互にホルダアームを入り組ませた状態に配置できることになる。
パネルホルダ17、18は夫々駆動機構を備えており、水平面上の相互に直交する2方向(X方向とY方向)、回転方向、垂直方向に変位させることが可能な構成となっている。前述したように、パネルホルダ17、18には、基本的には大型パネルPLを搭載して処理ステージ間を受け渡し、各処理ステージにおいて大型パネルPLに対して所定の処理を行うようにしている。つまり、パネルホルダ17、18や各処理ステージに備えられる処理装置は、全て大型パネルPLのサイズに合わせて設けているものである。
本発明では、パネルホルダ17、18には大型パネルPLだけではなく小型パネルPSを搭載して処理ステージ間を受け渡し、各処理ステージにおいて処理を行うようにする。ただし、システム全体は大型パネルPL用に構成されているため、1枚の小型パネルPSをそのまま適用することは不可能ではないが、作業に無駄が多く作業効率が大幅に低下する等といった問題から、1枚の小型パネルPSを単体で処理を行うことはしない。そこで、2枚の小型パネルPSを長辺同士が向かい合うように並べて仮想大型パネルPCを構成し、この仮想大型パネルPCを大型パネルPLとみなして搬送及び処理を行うようにしている。
以下、図6及び図7を参照して、処理ステージ12において仮想大型パネルPC及び大型パネルPLに仮圧着処理を行う場合について説明するが、仮圧着処理以外の処理を行う任意の処理ステージでも同様である。図6及び図7において破線で示している箇所は、仮圧着ステージ12に備えられる圧着機構の加圧刃60及び受け刃61である。図6(a)及び図7(a)の圧着機構は仮想大型パネルPC及び大型パネルPLの長辺に電子回路部品2を順次仮圧着している状態であり、図6(b)及び図7(b)の圧着機構は仮想大型パネルPC及び大型パネルPLの短辺に電子回路部品2を順次仮圧着している状態である。
加圧刃60は、パネルホルダ17に搭載されている仮想大型パネルPC又は大型パネルPLと電子回路部品2とを位置合わせした状態で、電子回路部品2に対して加熱及び加圧を行なって仮圧着状態にするものである。加圧刃60にはヒータを設けておき、ヒータの熱により加圧刃60の全体に熱を持たせておく。加圧刃60の温度は、ACFが熱硬化しない程度の温度に設定しておき、加熱された加圧刃60が加圧を行なうことにより、ACFが所定の粘着力を発揮し、電子回路部品2は仮圧着状態になる。受け刃61は、加圧刃60による加圧力を受けるための部材であり、仮想大型パネルPC、大型パネルPLのうち仮圧着する部位を支承する。このため、受け刃61は加圧刃60とほぼ同じ全長を有して構成している。
仮想大型パネルPCを構成する2枚の小型パネルPSを、第1の小型パネルPS1及び第2の小型パネルPS2とし、各小型パネルPSの長辺をL1、L2、短辺をS1、S2として説明する。また、大型パネルPL及び仮想大型パネルPCは周囲4辺の全てに対して電子回路部品2を接続するが、第1の小型パネルPS1と第2の小型パネルPS2とは、長辺L2、短辺S1、S2の合計3辺に対して電子回路部品2を接続し、長辺L1に対しては電子回路部品2を接続しない。仮想大型パネルPCを構成するときには、第1の小型パネルPS1の長辺L1と第2の小型パネルPS2の長辺L1とが向かい合うようにして並べて配置するようにする。このときに、第1の小型パネルPS1と第2の小型パネルPS2との間には若干の隙間を設けるようにして配置する。
ここで、第1の小型パネルPS1と第2の小型パネルPS2との間に若干の隙間を設けるようにした理由は、仮想大型パネルPCの長辺における各電子回路部品2の間隔を等しくするためである。第1の小型パネルPS1と第2の小型パネルPS2との短辺S1、S2には複数の電子回路部品2を接続しているが、各電子回路部品2の間隔は等しくなるように接続を行なう。ただし、2枚の小型パネルが隣り合う部分、つまり第1の小型パネルPS1の長辺L1側の端部の電子回路部品2と、第2の小型パネルPS2の長辺L1側の端部の電子回路部品2との間隔は、他の部分の電子回路部品2の間隔と同じになるとは限らない。そこで、第1の小型パネルPS1と第2の小型パネルPS2との間の隙間を、第1の小型パネルPS1の端部の電子回路部品2と第2の小型パネルPS2の端部の電子回路部品2との間隔が他の電子回路部品2の間隔と等しくなるようにして設ければ、仮想大型パネルPCの長辺に接続される全ての電子回路部品2の間隔を等しくすることができるためである。
図6(a)は、仮想大型パネルPCの1つの長辺、つまり第1の小型パネルPS1の短辺S1と第2の小型パネルPS2の短辺S2とにより構成される辺に対して電子回路部品2を順次仮圧着する状態を示している。この状態で加圧刃60により加圧及び加熱を行なうことにより、第1の小型パネルPS1の短辺S1と第2の小型パネルPS2の短辺S2とに対して順次仮圧着処理を行うことができる。このとき、仮想大型パネルPCではなく、大型パネルPLであれば、その長辺の1つに対して順次仮圧着されることになる。
次に、図6(b)は、仮想大型パネルPCの1つの短辺、つまり第1の小型パネルPS1の長辺L2に対して電子回路部品2を順次仮圧着する状態を示している。この状態に仮想大型パネルPCの姿勢を変化させるために、パネルホルダ17に備えられる駆動機構が90度回転して、X方向及びY方向に所定位置だけ変位して位置合わせを行うようにする。この状態で加圧刃60により加圧及び加熱を行なうことにより、第1の小型パネルPS1の長辺L1に対して電子回路部品2を仮圧着させることができる。大型パネルPLであれば、その短辺の1つが仮圧着されることになる。
図7(a)は、仮想大型パネルPCのもう1つの長辺、つまり第1の小型パネルPS1の短辺S2と第2の小型パネルPS2の短辺S1とにより構成される辺に対して電子回路部品2を順次仮圧着する状態を示している。この状態に仮想大型パネルPCの姿勢を変化させるために、パネルホルダ17に備えられる駆動機構が90度回転して、X方向及びY方向に所定位置だけ変位して位置合わせを行なうようにする。そして、加圧刃60により加圧及び加熱を行なうことにより、第1の小型パネルPS1の短辺S2と第2の小型パネルPS2の短辺S1とに対して順次に仮圧着処理を行うことができる。大型パネルPLであれば、その長辺の1つに対して順次仮圧着されることになる。
次に、図7(b)は、仮想大型パネルPCのもう1つの短辺、つまり第2の小型パネルPS2の長辺L2に対して電子回路部品2を順次仮圧着する状態を示している。この状態に仮想大型パネルPCの姿勢を変化させるために、パネルホルダ17に備えられる駆動機構が90度回転して、X方向及びY方向に所定位置だけ変位して位置合わせを行うようにする。この状態で加圧刃60により加圧及び加熱を行なうことにより、第2の小型パネルPS2の長辺L1に対して電子回路部品2を仮圧着させることができる。大型パネルPLであれば、その短辺の1つが仮圧着されることになる。
以上により、大型パネルPLの周囲4辺に対して、そして仮想大型パネルPCの周囲4辺に対して電子回路部品2の仮圧着を行なう。大型パネルPLの場合は、2つの長辺及び2つの短辺に対して電子回路部品2を仮圧着するものであるが、仮想大型パネルPCの周囲4辺に対して電子回路部品2を仮圧着すると、第1の小型パネルPS1と第2の小型パネルPS2との夫々長辺L1を除く3辺、つまり長辺L2、短辺S1、S2に対して電子回路部品2が仮圧着される。本来なら、小型パネルは小型パネル用の製造・組立ラインで仮圧着等の処理が行われ、各小型パネルは別個独立に作業が行なわれるため、第1の小型パネルPS1の短辺S1、S2と第2の小型パネルPS2の短辺S1、S2とは、個別的に処理がされる。一方、2枚の小型パネルを1枚の仮想大型パネルとみなして、大型パネル用の製造・組立ラインで処理を行うことにより、2枚の小型パネルPS1、PS2の夫々の短辺に対して同時に電子回路部品2の接続処理を行うことができる。従って、全体としての処理効率の大幅な向上を図ることができる。
次に、図8を用いて、仮想大型パネルPCと大型パネルPLとの比較について説明する。図8において、第1の小型パネルPS1及び第2の小型パネルPS2(同図において一点鎖線で示す:総称して小型パネルPSとする)と大型パネルPL(同図において実線で示す)とは、アスペクト比が4:3であり、大型パネルPLは小型パネルPSよりも縦横夫々1.5倍のサイズを持つパネルである。従って、大型パネルPLの長辺L3、L4は小型パネルPSの長辺L1、L2よりも1.5倍の長さを有し、短辺S3、S4は小型パネルPSの短辺S1、S2よりも1.5倍の長さを有している。また、縦横が1.5倍であるため、大型パネルPLは小型パネルPSの2.25倍の画面サイズを持つパネル基板となる。
第1の小型パネルPS1と第2の小型パネルPS2とにより構成する仮想大型パネルPCは、長辺が大型パネルPLの長辺L3、L4と、短辺が大型パネルPLの短辺S3、S4と対応するように配置する。従って、第1の小型パネルPS1の短辺S1と第2の小型パネルPS2の短辺S2とにより構成される辺が大型パネルPLの長辺L3に対応し、第1の小型パネルPS1の短辺S2と第2の小型パネルPS2の短辺S1ととにより構成される辺が大型パネルPLの長辺L4に対応する。また、第1の小型パネルPS1の長辺L2と第2の小型パネルPS2の長辺L2とが、大型パネルPLの短辺S3、S4に対応する。
図8(a)に示すように、アスペクト比が4:3であり縦横の長さが1.5倍である場合には、仮想大型パネルPCの長辺、つまり小型パネルPSの短辺同士により構成される辺は、大型パネルPLの長辺L3、L4と同じサイズになる。また、同図(b)に示すように、仮想大型パネルPCの短辺、つまり小型パネルPSの長辺L1、L2は、大型パネルPLの短辺S3、S4よりも若干小さくなるが、その差は殆どない。このため、同図から明らかなように、仮想大型パネルPCと大型パネルPLとは、その形状が非常に近いものとなり、仮想大型パネルPCを大型パネルPLとみなすことができる。従って、異なるサイズのパネル基板に対して1つの処理機構で共用化を図ることができ、システムに汎用性を持たせることができる。そして、小型パネルPSのサイズに合致した処理機構を別個に設けることがなくなり、省スペース化や低コスト化を実現している。
以上が、処理ステージ内部の処理(仮圧着処理)である。次に、各処理ステージ間における仮想大型パネルPCの受け渡しについて説明する。2枚の小型パネルPSから構成する仮想大型パネルPCは、1枚の大型のパネル基板と同視して処理を行っていくため、2枚の小型パネルPSの相対位置関係を確実に維持しなくてはならない。このための搬送方式を説明していく。
搬入ステージ10に搬入される前段階で、第1の小型パネルPS1と第2の小型パネルPS2とを2枚並べて仮想大型パネルPCを構成しておく。そして、仮想大型パネルPCを搬入ステージ10に搬入して、この搬入ステージ10を含む各処理ステージ10〜16に順次搬送されて、仮想大型パネルPCに対してそれぞれ所定の処理が施されて、樹脂塗布ステージ16を搬出ステージとして、次の工程に送り出される。なお、仮圧着ステージ以外の処理ステージにおける処理の内容については、液晶パネルの製造工程において、電子回路部品2及び印刷回路基板3の接続工程として、従来から良く知られているものであるから、処理内容についての説明は省略する。
仮想大型パネルPCはパネルホルダ17及び18に搭載されて、各処理ステージ10〜16を搬送されて、そして所定の処理が施される。パネルホルダ17に仮想大型パネルPCを搭載するときには、仮想大型パネルPCを構成する第1の小型パネルPS1と第2の小型パネルPS2との長辺L1(電子回路部品2を接続しない辺)が中央部に位置するように、且つ長辺L1をパネルホルダ17の長さ方向に延在させるように配置させる。長辺L1をパネルホルダ17の長さ方向に延在させるように配置すると、仮想大型パネルPCの長辺(小型パネルPS1の短辺同士により構成される辺)の中間点がパネルホルダ17の回転中心となり、パネルホルダ17を回転させたときの回転半径が最も小さくなる。このため、回転動作を最小限にすることができる。また、パネルホルダ17の中心と仮想大型パネルPCの中心とを一致させることができるため、回転動作等を行うときに高い安定性を確保することができる。
そして、パネルホルダ17の中央部に第1の小型パネルPS1、第2の小型パネルPS2の長辺L1が位置するように配置することで、例えば仮想大型パネルPCの短辺や長辺に電子回路部品2を接続するときの容易性が向上するという効果も奏する。電子回路部品2は、仮想大型パネルPCを構成する第1の小型パネルPS1と第2の小型パネルPS2との長辺や短辺の所定位置に厳格にアライメントされて接続されなくてはならない。このため、カメラ等の撮影手段を用いて、画像認識を行ないながら電子回路部品2の接続を行なう。カメラの撮影範囲はある程度限られていることから、仮想大型パネルPCの電子回路部品2の接続位置にカメラを位置させなくてはならない。このときに、第1の小型パネルPS1と第2の小型パネルPS2との長辺L1の間には若干の隙間を設けており、しかもこの隙間はパネルホルダ17の中央部に位置しているため、この隙間を容易に画像認識することができる。そして、この隙間を基準として第1の小型パネルPS1、第2の小型パネルPS2の長さ分だけカメラを移動させれば、容易に電子回路部品2の接続位置にカメラを位置させることができる。このため、アライメントを行なう位置を簡単に検出でき、電子回路部品2の接続時における容易性が向上する。
そして、仮想大型パネルPCが各処理ステージに移行するに当っては、最下流側の処理ステージから順次仮想大型パネルPCが搬送される。即ち、搬出ステージとして機能する樹脂塗布ステージ16から全ての処理が完了した仮想大型パネルPCを搬出した後に、この樹脂塗布ステージ16にPCB接続ステージ15からの仮想大型パネルPCが搬送され、次いで検査ステージ14にある仮想大型パネルPCがPCB接続ステージ15に移行するというように、順繰りに仮想大型パネルPCの搬送が行われる。そこで、以下においては、先行の処理ステージと後続の処理ステージとを区別するために、前段側処理ステージをF、後段側処理ステージをSとして、ステージ間での仮想大型パネルPCの移載方法について図9乃至図11に基づいて説明する。
まず、上流側に位置する前段側処理ステージFで仮想大型パネルPCの処理が完了したものとし、またこのときには下流側に位置する後段側処理ステージSでは既に仮想大型パネルPCが搬出されているものとする。そして、ここでは、前段側処理ステージFにはパネルホルダ17が、また後段側処理ステージSではパネルホルダ18が位置しているものとする。
而して、図9の状態では、前段側処理ステージFに位置するパネルホルダ17はパネルに処理を施す処理動作位置にあり、また後段側処理ステージSに位置するパネルホルダ18は次の処理ステージへの移載位置に配置されている。なお、これらの図において、Oはパネルホルダ17に備えられる駆動機構の一部を構成するロータリテーブル40の回動中心である。
そこで、図10(a)に示したように、前段側処理ステージFにおいて、仮想大型パネルPCを保持しているパネルホルダ17を矢印Aで示したように、処理動作位置から退避位置に移行させ、次いで矢印Bで示したようにホルダアーム20を後段側処理ステージS側に向けて回動させる。これと共に、後段側処理ステージSのパネルホルダ18を180°回動させて、パネルホルダ17側に向ける。このときに、図10(b)にあるように、パネルホルダ17は中間の高さのパネル受け渡し位置とし、またパネルホルダ18は低位の受け取り待機位置とし、両者の間に高さの差Hを持たせる。
この状態から、パネルホルダ17及びパネルホルダ18をそれぞれ相互に近接する移載位置に移動させる。これが図11の状態であり、同図(a)で示したように、パネルホルダ17のホルダアーム20とパネルホルダ18のホルダアーム30とは入り組んだ状態となる。そして、同図(b)に示したように、ホルダアーム30はホルダアーム20より低い位置となっているので、仮想大型パネルPCの下部位置に位置することになる。
そこで、パネルホルダ18側を作動させて、矢印Uで示したように、このパネルホルダ18を上昇させる。そして、パネルホルダ18が受け取り待機位置からパネル受け渡し位置まで上昇すると、パネルホルダ18側で仮想大型パネルPCに対する吸引力を作用させる。そして、パネルホルダ17側の真空吸着を解除し、図11(b)に仮想線で示したように、パネルホルダ18の上昇をさらに継続して、受け取り完了位置となし、またパネルホルダ17は受け取り待機位置まで下降させる。これによって、仮想大型パネルPCは前段側処理ステージFのパネルホルダ17から後段側処理ステージSのパネルホルダ18へと移行したことになる。
そして、その後に、後段側処理ステージSでは、仮想大型パネルPCを受け取ったパネルホルダ18はステージ内位置に変位させ、次いでパネルホルダ18のホルダアーム30を後段側処理ステージSに向けるようになし、さらに退避位置から処理動作位置に変位させる。このときにおいて、仮想大型パネルPCへの処理はパネル受け渡し位置、受け取り待機位置または受け取り完了位置のいずれかの高さ位置とする。この高さ位置は仮想大型パネルPCに対する処理に応じた位置とする。
一方、仮想大型パネルPCを受け渡した前段側処理ステージFのパネルホルダ17は、さらに前の処理ステージから仮想大型パネルPCを受け取るようにする。このためには、パネルホルダ17は仮想大型パネルPCを受け取るべき処理ステージに向けるように水平方向に180°回動させ、受け取り待機位置まで下降させる。そして、移載位置に変位させることによって、手前側の処理ステージから仮想大型パネルPCを受け取る。
以上のようにして、仮想大型パネルPCは各処理ステージ間をピッチ送りされて、それぞれの処理ステージで所要の処理が施される。各処理ステージにおいて、仮想大型パネルPCに対して処理を行っている間は、パネルホルダ17、18によって仮想大型パネルPCに対して裏面から真空吸着しており、しかもそれぞれ3本及び4本のホルダアーム20、30によって仮想大型パネルPCを広い面積で支持しているので、仮想大型パネルPCは安定的に保持され、2枚の小型パネルPSの間に位置ずれを起こさない。
また、仮想大型パネルPCを処理ステージ間で移載する際には、パネルホルダ17のホルダアーム20とパネルホルダ18のホルダアーム30とが交互に配置されるようになり、即ちホルダアーム30L、20L、30C1、20C、30C2、20R、30Rの順に配列され、仮想大型パネルPCの裏面が受け渡し側のパネルホルダのホルダアームで吸着保持された状態から、受け取り側のパネルホルダのホルダアームによる吸着に切り換わることによって、仮想大型パネルPCの移載が実行されるので、この移載時に仮想大型パネルPCに作用する重力によって曲げや歪み等といったストレスを受けることがなくなり、仮想大型パネルPCの変形や損傷等が生じるおそれはない。そして、2枚の小型パネルPSの相対位置関係を確実に維持することができる。
さらに、仮想大型パネルPCの移載は、パネルホルダ17とパネルホルダ18とが入り組むように相互に近接させた後、一方のパネルホルダを上昇させる動作で行われることから、動きが単純になり、迅速かつ円滑に仮想大型パネルPCの移載を行うことができる。また、一方のパネルホルダが上昇して、他方のパネルホルダの高さ位置となる直前までは、この他方のパネルホルダで仮想大型パネルPCを保持し、パネルホルダの高さ位置を逆転させる時に仮想大型パネルPCに吸着力を作用させるパネルホルダを切り換えることによって、仮想大型パネルPCの安定性が良好となり、移載中に仮想大型パネルPCに位置ずれが生じることを防止できる。
パネルホルダ17、18を構成する各ホルダアーム20、30はロータリテーブル40を取り付ける取付部材21、31に取り付けられているが、これら各ホルダアーム20、30は取付部材21、31に固定的に装着しても良いが、異なるサイズの仮想大型パネルPCや大型パネルPLの処理を可能にするためには、ホルダアームの一部を取付部材21、31に位置調整可能に装着すれば良い。即ち、図12に示したように、パネルホルダ17及び18における各ホルダアームのうち、中央に位置するホルダアーム20Cと、ホルダアーム30C1、30C2は固定的に保持されており、それらの両側に位置するホルダアーム20L、20R及び30L、30Rは、それぞれホルダアーム20C及びホルダアーム30C1、30C2に対して近接・離間する方向に位置調整可能に取り付けられている。
図12に搭載されている仮想大型パネルPCは、図11までに示してきた仮想大型パネルよりもサイズが大きいパネルであり、パネルホルダ17、18に搭載可能な最大サイズのパネルである。パネルの取り扱いサイズの変更は段階的または無段階的に設定することができる。そして、パネルを中間位置で1または2箇所と、左右の両側端位置またはその近傍とで支持させる。また、図13に示したように、パネルホルダ17とパネルホルダ18とを入り組ませたときに、相互に干渉しない位置関係となるように、ホルダアーム20L、20R及び30L、30Rの位置が調整されていなければならない。このようにパネルホルダ17、18の各ホルダアームの位置を調整することにより、フリーサイズのパネルに対応することができるようになる。
以上のパネルホルダ17、18を用いて、2枚の小型パネルから構成した仮想大型パネルPCを1枚の大型パネルPLとみなして各処理ステージ間を受け渡し、また各処理ステージで処理を行うことにより、2枚の小型パネルを大型パネルPLに適した製造・組立ラインに適用することができる。これにより、製造・組立ラインを共通化することができ、システムの汎用性を確保することができる。2枚の小型パネルはパネルホルダ17、18により円滑且つ確実にステージ間を受け渡されるため、パネルに対してストレスが作用することなく、相対位置関係を確実に維持しながらステージ間を受け渡していくことができる。各処理ステージ10〜16では、仮想大型パネルPCに対して処理を行うために、2枚の小型パネルに対して同時に処理を行うことができ、処理の高速化を図ることができる。
以上の小型パネルPSは周囲3辺に対して電子回路部品2を接続するものについて説明してきたが、小型パネルPSの周囲2辺(直交する長辺と短辺との2辺)に対して接続するものであってもよい。例えば、図14には、小型パネルPS1とPS2との短辺S2同士が隣り合うようにして並べた仮想大型パネルを示している。このようにして仮想大型パネルを配置した状態で、小型パネルPS1の長辺L1と小型パネルPS2の長辺L2とのうち小型パネルPS2の長辺L2に対して電子回路部品2を接続する。次に、仮想大型パネルを(反時計回りに)90度回転して、小型パネルPS2の短辺S1に電子回路部品2を接続する。次に、仮想大型パネルをさらに90度回転して、小型パネルPS1の長辺L2と小型パネルPS2の長辺L1とのうち小型パネルPS1の長辺L2に対して電子回路部品2を接続する。そして、さらに仮想大型パネルを90度回転して、仮想大型パネルPS1の短辺S1に対して電子回路部品2を接続する。これにより、同種の小型パネルPS1とPS2とは、夫々長辺L2と短辺S1との周囲2辺に対して電子回路部品2を接続することができる。
次に、小型パネルPSの周囲1辺に対して電子回路部品2を接続する場合について説明する。図15に示すように、小型パネルPS1の短辺S1と小型パネルPS2の短辺S2とが隣り合うように並べて配置する。そして、仮想大型パネルの1つの長辺、つまり小型パネルPS1の長辺L2と小型パネルPS2の長辺L2とに対して電子回路部品2を接続するようにする。これにより、同種の小型パネルPS1とPS2との1つの長辺L2に対して電子回路部品2を接続することができる。この場合には、仮想大型パネルを回転させることなく処理を終了させることができる。