JP4840934B2 - 水処理方法 - Google Patents
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Description
ここで用いられる場合、以下の用語は、その文脈が他を明瞭に示さない限り、指定された定義を有する。「殺微生物剤」という用語は所定の位置での微生物の成長を阻害もしくは成長を制御することが可能な化合物を指す。殺微生物剤には殺バクテリア剤、殺真菌剤および殺藻剤が含まれる。「微生物」という用語は、例えば、真菌(例えば、酵母およびカビ)、細菌および藻類を含む。「位置」という用語は微生物による汚染を受ける産業システムもしくは製品を指す。「閉鎖冷却システム」という用語は、蒸発に対して開放されておらず、かつ水の損失が再循環率の5%未満である、産業冷却用途に用いられる水を含むシステムを指す。以下の略語が本明細書を通して用いられる。ppm=重量基準での100万分率(重量/重量)、mL=ミリリットル、AI=活性成分、すなわち、イソチアゾロンの総量。他に指定されない限り、温度は摂氏度(℃)であり、パーセンテージへの言及は重量基準である。
以下の例は、近年同定され、かつ使用中の金属加工用流体系から回収されるマイコバクテリア(グラム陽性、抗酸性菌)の制御に2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)殺生物剤を使用する概念を支持するデータを提供する。研究室および現場試料を用いる研究の結果は、MIT殺生物剤が汚染された金属加工用流体系において遭遇するマイコバクテリアの成長の制御において、特には公知の金属加工用流体殺生物剤と比較して、驚くべき効力を示すことを示している。加えて、MITの使用は、ホルムアルデヒドを含まないか、もしくは放出せず、かつ重金属、溶媒および臭気のない、1パック高pH安定殺生物剤処理を提供する。
金属加工用流体産業において通常用いられる幾つかの殺生物剤を、標準微生物学的効力手順;最小阻止濃度(MIC)および最小殺生物濃度(MBC)試験を用いたときの、マイコバクテリアの純粋培養物に対するそれらの有効性の基本レベルについて試験した。これらの試験において、すべての市販殺生物剤が、それらの典型的な最大使用率を下回るレベルで、評価されたマイコバクテリアの2つの株を阻害もしくは殺生する効力を示した。これらの研究室効力試験に基づき、これらの殺生物剤のすべてが、現場からの汚染された試料中のこれらの生物を殺すことにおいてそれらの典型的な使用率で良好な効力を示すものと期待された。
金属加工用流体、別名、金属機械加工用流体もしくは金属切削用流体は、金属加工用途において冷却および潤滑性のために用いられる。水系金属加工用流体は、それらの流体が開放環境で再循環されるため、様々なタイプの細菌および真菌による微生物汚染を受けやすい。様々なタイプのグラム陰性およびグラム陽性細菌、酵母、およびカビに遭遇する。近年同定され、かつこれらの流体中で回収されている具体的なグラム陽性菌のタイプの1つはマイコバクテリウム属のメンバー、別名、マイコバクテリアである。
マイコバクテリアは、ミコール酸をそれらの細胞壁に含み、標準細菌学的手順を用いる抗酸性染色に陽性に応答する、グラム陽性である細菌の属の1つを構成する。これらの生物は、近年、「過敏性肺炎」(HP)として知られる特定の健康問題の発生にも関連付けられており、これは、これらの細菌を含むエアロゾルが存在し得る金属機械加工もしくは金属加工環境において作業する個人が遭遇し得るものである(Shelton et al., 1999, Emerg. Infect. Dis. 5: 270−273;Moore et al., 2000, AIHJ 62: 205−213;Kreiss and Cox−Ganser, 1997, Am. J. Ind. Med. 32: 423−432)。
複数の流体中の、制御された条件下での並列試験における、金属加工用流体中の特定のマイコバクテリアの制御に対するこれらの殺生物剤の相対効力に関しては、限られたデータしか存在しない。最近の論文の1つは、PCMCが現場における汚染された系のマイコバクテリアの制御において非常に有効であり、それに対して、トリアジンおよびイソチアゾロン殺生物剤は有効ではないものと報告した(Rossmoore, et al., 2004, Lubes ″N Greases, April, 20〜27)。金属加工用流体においてPCMCを使用する欠点の1つは、適用する際のその強力なフェノール臭である。金属加工用流体の混合集合においてM.イヌノゲヌムを用いる別の最近の研究は、等しい生成物濃度で迅速に殺すことに対して、イソチアゾロン殺生物剤(CMT/MIT)がトリアジン、PCMC、およびオキサゾリジン殺生物剤に対して、より有効であったことを示した(Selvaraju et al., 2005, Appl. Env. Microbiol, 71:542〜546)。
高pHおよび高温条件下でのMI(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン)、BIT(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン)およびBNPD(2−ブロモ−2−ニトロ−プロパン−1,3−ジオール)の安定性を決定する研究を行った。MIは、pH9バッファ中、70℃で56日の保存の後、優れた安定性を示した。この時間にわたってMIの損失はなかった。BITは56日の研究にわたって安定性の減少を示し、第56日での活性成分の損失は32%であった。BNPDは、pH9および70℃で、5時間で完全に分解した。
0.069Mホウ酸、0.017Mクエン酸、0.066Mリン酸ナトリウムを含むpH9バッファを蒸留水中で調製した。殺生物剤をこのpH9バッファ溶液に添加し、加熱ブロック内に70℃で保存した。これらの試料を、5時間、並びに1、3、7、23、30、35および56日後の時点での活性成分濃度について試験した。初期殺生物剤用量は166ppm MI、199ppm BITおよび150ppm BNPDであった。
70℃で56日にわたって保存したとき、MIの損失はなかった。BITは安定性に劣り、70℃で32%分解した。BNPDの安定性は乏しく、5時間後にほぼ即時の全体的な分解が観察された。
MIおよびBITの安定性を様々なレドックス剤の存在下、pH7.0および9.0バッファにおいて、第2および第8日に評価した。それらの結果は、様々なレドックス条件下および高pHでのBITに対するMIのより高い安定性を示した。両殺生物剤はpH9で亜硫酸水素ナトリウムでの僅かな分解を示したが、pH7.0で有意に分解した。亜硫酸水素塩は、特には低pH値での、イソチアゾロンの公知の不活性化剤である。
酸化剤(2mM)は過酸化水素(H2O2、68ppm)、t−ブチルヒドロゲンペルオキシド(t−butyl hydrogen peroxide)(t−BHP、180ppm)、および過硫酸カリウム(K2O8S2、540ppm)を含んでいた。還元剤(2mM)はイソ−アスコルビン酸(IAA、352ppm)および亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3、208ppm)を含んでいた。殺生物剤は1mM濃度で試験し、これは115ppm MIおよび166ppm BITを表す。
これらの結果は、様々なレドックス条件下および高pHでのBITに対するMIのより高い安定性を示した。MIは試験した酸化剤のすべてでBITより安定であり、過酸化水素で第8日に唯一の最小pH効果が見られた。8日後に、すべての酸化剤、pH9で残留するBITは、存在するとしても、非常に少量であった。BITは、特には過酸化水素で、pH7に対してより高いpHでのより多くの分解も示した。MIは、BITに対して、アスコルビン酸還元剤に対するより良好な安定性を示し、pHによる影響はなかった。両殺生物剤は亜硫酸水素ナトリウム、pH9で僅かな分解を示したが、pH7.0では2日以内に有意に分解した(イソチアゾロンの公知の不活性化剤)。
概要
3種類のイソチアゾロンに対して、緩衝脱イオン水中、2種類の異なる温度(22℃および50℃)で安定性研究を行った。MIは最も安定であることが示され、50℃およびpH12で90日後に活性の僅かな損失が伴うのみであった。BITは、両温度で、pH10までは良好な安定性を示した。CMIは試験したイソチアゾロンのうちで最も安定性が低く、上昇する温度の影響を最も受けた。
殺生物剤をバッファ溶液に添加し、22℃および50℃で、HPLCを用いて0時間、21日、43日、および88〜90日での殺生物剤濃度を測定して安定性を試験した。殺生物剤の安定性は以下のバッファ溶液中で決定した。pH2、0.01M HC1;pH6、0.1M KH2PO4;pH8、0.025Mホウ酸塩;pH10,0.025Mホウ酸塩;pH12、0.05M Na2HPO4。試験した殺生物剤濃度は100ppm MI、200ppm BIT、44ppm CMIであった。
3種類のイソチアゾロンに対して、緩衝水中、2種類の異なる温度(22°および50℃)で安定性研究を行った。MIが最も安定な試験された殺生物剤であり、BITがそれに続き、CMIが条件の全範囲にわたって最も安定性が低かった。MIは室温でpH12まで優れた安定性を示した。50℃で、MIの安定性は、pH12のみではあるが、僅かに低下した。BITは室温および50℃でpH10まで優れた安定性を示した。pH12では、両温度で僅かな分解が生じた。CMIはpH10〜12、室温(22℃)での急速かつ完全な分解、およびpH6〜12、より高温での安定性の低さを示した。
細菌および真菌を用いる最小阻止濃度(MIC)研究は、3:1比CMI+MI組み合わせ製品中に存在するMIと比較して、MI単独が効力を示すのに有意に高い濃度を必要とすることを示した。CMI+MI組み合わせにおいて、抗微生物活性のレベルは単に塩素化イソチアゾロン(CMI)によるものであり、存在するMIの濃度は有効性に必要なMI単独の濃度よりも有意に低い。
最小阻止濃度(MIC)研究を行い、細菌および真菌の成長を阻害するのに必要な殺生物剤の最低濃度を決定した。試験は96ウェルマイクロタイタープレートにおいて行った。殺生物剤をプレート内の成長培地に添加し、連続的に希釈して一連の濃度を得た。細菌試験は、トリプチカーゼ大豆ブロス(TSB、pH7)において、mlあたり106コロニー形成単位で添加された一晩接種材料を用いて行った。試料を25℃で2日間インキュベートし、MIC値を成長・非成長基準で視覚的に決定した。真菌試験は、麦芽抽出物ブロス(MEB、pH4.7)において、mlあたり104コロニー形成単位で添加された5〜7日接種材料を用いて行った。試料を25℃で7日間インキュベートし、上述のようにMIC値を決定した。
これらのMIC研究は、細菌および真菌の両者の制御について、効力を示すのに必要なMIの濃度が、3:1比CMI:MI組み合わせ製品中に存在するMI濃度よりも有意に(10−100×)高いことを示す。細菌および真菌に対するMI単独の平均MIC値は、それぞれ、24および63ppm MI単独であり、それに対して、3:1組み合わせにおいては、MIは、それぞれ、0.56および0.34ppmで存在するのみであった。したがって、組み合わせ殺生物剤中に存在するMIはMI単独で必要とされるものよりも有意に少なく、配合イソチアゾロンのCMI成分が単独で観察される効力の原因であった。
細菌および真菌を用いる最小阻止濃度(MIC)研究は、増加するpH(pH9対pH7)によって、MIの効力が有意に影響されることがなく、それに対して、よりアルカリ性の条件下(pH9)で、BITは微生物成長の制御に対する有効性に劣ることを示した。これらの知見に基づき、MIは高pH条件下での微生物の有効な制御により望ましい殺生物剤であった。
最小阻止濃度(MIC)研究を行い、細菌および真菌の成長を阻害するのに必要な殺生物剤の最小濃度を決定した。試験は96ウェルマイクロタイタープレートにおいて行った。殺生物剤をプレート内の成長培地に添加し、連続的に希釈して一連の濃度を得た。試験は1/2強度トリプチカーゼ大豆ブロス(TSB、pH7.1もしくはpH9.0に調整)中で行った。細菌および真菌を試料にmlあたり106コロニー形成単位で添加し、30℃で3日間インキュベートした。MIC値は成長・非成長基準で視覚的に決定した。
細菌および真菌を用いる最小阻止濃度(MIC)研究は、増加するpH(pH9対pH7)によって、MIの効力が有意に影響されることがなく、それに対して、よりアルカリ性の条件下(pH9)で、BITは微生物成長の制御に対する有効性に劣ることを示した。
MIのMIC値は、pH9.0対pH7.1で、抗微生物活性に大きな差は示さなかった。両pH値での結果は一般に同一であったか、もしくはMIC試験の決定限界であるマイクロタイタープレート内の1ウェル(2×差に等しい)以内であった。MIで試験した生物のいずれも、pHの関数としての効力に2×を上回る変化を示したものはなかった。
これらの結果は、高pH条件を伴う用途における使用に非常に有効な殺生物剤として、MIを示す。
標準実験培地中のマイコバクテリアの純粋培養物に対する、市販殺生物剤を用いる最小阻止濃度(MIC)および最小殺生物濃度(MBC)研究
使用中のシステムからの金属加工用流体の汚染試料におけるマイコバクテリアの根絶および制御に対する最大推奨投与濃度での殺生物有効性の比較
使用中のシステムからの金属加工用流体の汚染試料におけるマイコバクテリアの根絶および制御についての、最大推奨添加濃度の50%での殺生物剤有効性の比較
侵襲性金属加工用流体中でのCMIT(MCC含有および非含有)に対するMITの安定性の比較
1.金属加工用流体中の過敏性肺炎(HP)に関連するマイコバクテリア、特には、M.イムノゲヌムの成長を制御する方法であって、臭気が少なく、ホルムアルデヒドを放出もしくは含有せず、金属塩(特には、銅)を含まず、塩素化イソチアゾロン、特には、クロロメチルイソチアゾロ(CMIT)を含まず、かつアルカリ性金属加工用流体(pH>7)中で非常に安定であるMIT殺生物剤を1パック処理として用いる方法。
a.50から300ppmでのMITでの処理が好ましく、100−200ppmがより好ましく、125〜150ppmが最も好ましい。
b.マイコバクテリアの制御は最小で添加後48時間で達成される。
c.マイコバクテリアの濃度を現場で監視し、マイコバクテリアの成長が処理後に抑制されていることを確認する。
Claims (4)
- 9〜10.5のpHおよび少なくとも35℃で、かつ60℃以下の温度を有する閉鎖冷却システムにおける水を、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含む組成物を添加することによって処理する方法であって、前記組成物は金属イオンと、非水系溶媒と、揮発性有機化合物と、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン以外のすべての殺生物剤とを実質的に含まず、金属イオンと、非水系溶媒と、揮発性有機化合物と、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン以外のすべての殺生物剤とが前記水に別に添加されることはなく、並びに2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンは水中で15ppmから500ppmの2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン濃度を生成するのに十分な量で存在する、方法。
- 2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの濃度が25ppmから300ppmである請求項1記載の方法。
- 2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの濃度が30ppmから200ppmである請求項2記載の方法。
- 金属イオンと、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン以外のすべての殺生物剤とを実質的に含まない50〜300ppmの2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを、8〜12のpHを有し2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン以外のすべての殺生物剤を実質的に含まない金属加工用流体に添加することを含む、
金属加工用流体におけるマイコバクテリアの成長を制御する方法。
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