JP4839069B2 - 浮遊粒子状物質測定装置 - Google Patents
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Description
なお、国内においては、10μm以上の粒子を100%カットと定義して「SPM」としているが、海外においては、10μmまたはそれ以上の粒子を50%カットと定義して「PM10」としている。
この浮遊粒子状物質測定装置によれば、浮遊粒子状物質の捕集及び濃度の測定といった一連の測定動作を全自動化することが可能である。
図4は従来技術の浮遊粒子状物質測定装置(PM10の例)の要部説明図である。浮遊粒子状物質測定装置1000の測定部は、図4で示すように、検出ユニット101、β線源102、半導体検出器103、巻取りリール201、濾紙202、キャプスタン203、送りリール204、モータ205、分粒器(PM10用)301、配管302、配管303、ポンプ304を備えている。
ポンプ304の吸引により分粒器301、配管302,検出ユニット101、配管303、ポンプ304の経路で試料大気が流れ、浮遊粒子状物質を含む試料大気が検出ユニット101に導入される。検出ユニット101内では濾紙202が配置されており、濾紙202が浮遊粒子状物質を捕集する。捕集後の試料大気は、配管303、ポンプ304を経て排気される。
測定原理であるが、浮遊粒子状物質が未捕集状態である最新の濾紙202を通過させた場合のβ線強度I0と、浮遊粒子状物質を捕集した状態の濾紙202を通過させた場合のβ線強度Iと、浮遊粒子状物質の単位質量当りのβ線吸収断面積kと、濾紙202の単位捕集面積当りの粒子の質量mと、全捕集面積Sと、積算吸引流量Vとを用いて、浮遊粒子状物質濃度Mは、次式のようになる。
浮遊粒子状物質測定装置1000の概略はこのようなものである。
このため、浮遊粒子状物質によるβ線の吸収以外にも水分がβ線を透過させないこととなって半導体検出器103へ到達するβ線強度が減少し、湿度が高い場合には実際よりも浮遊粒子状物質濃度を高く測定するおそれがある。そこで、従来技術では一般的に試料大気の湿度を所定値以下に抑えることで湿度の影響を取り除いている。
例えば外国論文に係る非特許文献1では浮遊粒子状物質の測定では試料大気をヒータにより30℃まで加温することで、湿度を60%以下に減らすことが記載されている。
また、特許文献1には、浮遊粒子状物質測定装置に類似した構成を有するダスト放射線モニタが記載され、湿度の影響を取り除くためにヒータにより昇温する点が記載されている。なお、特許文献1では測定精度を向上する目的ではなく、濾紙の送りを円滑にするために濾紙を乾燥させている。
特許文献2には、サンプルガスの温度や湿度を検出するセンサと、大気の温度や湿度を検出するセンサと、を備え、これらセンサからの検出信号を用いて温度や湿度を所定の値に制御している。
しかしながら、従来技術の浮遊粒子状物質測定装置では、相対湿度を所定値以下(例えば相対湿度60%以下)にして浮遊粒子状物質濃度Mの測定を行っており、例えば、相対湿度30%,50%という場合であっても測定が可能であった。そして、手分析のコンディショニング条件である湿度50%よりも試料大気の湿度が低い場合(例えば30%の場合)には、検出ユニット101内の湿度も低くなり、捕集粒子の水分吸着率が異なり、手分析による浮遊粒子状物質濃度Mと異なるという問題があった。浮遊粒子状物質測定装置でも手分析と同じ浮遊粒子状物質濃度Mを得ることができれば、高精度に自動測定することが可能になるので、その改善が要請されていた。
また、特許文献1に記載されたダストモニタは、濾紙を乾燥させる目的であって相対湿度を著しく低くするものであり、相対湿度が50%よりも低くなって浮遊粒子状物質濃度が手分析値より少なく測定されるという問題があった。
そこで、大気温度センサと大気湿度センサと両方とも定期的な清掃(現場の汚染状況によるが、2週間から1ヶ月に1回の清掃)が必要であり、場合によっては持ち帰って分解作業による清掃や再校正を行う必要があり、運用面・保守面で著しい手間を要するという問題があった。さらに清掃作業の間はデータが抜けて欠測するおそれもあった。
このRHセンサの場合は、エアーでダストを吹き飛ばしたり、センサの電気配線にダメージを与えないように、アルコール、洗剤、水などで洗い、乾燥させる必要がある、というものであり、現場で清掃することは困難であり、上記のように清掃に手間を要するという問題があった。
これらのような事情から温度センサや湿度センサに大気中の浮遊粒子などが付着しないようにして清掃作業を可能な限り不要とし、長期間にわたり計測可能にしたいという要請があった。
吸引手段により粒子径が所定粒径以下である浮遊粒子状物質を含む試料大気を採取する試料大気採取手段と、
試料大気から浮遊粒子状物質を連続的に捕集する捕集手段と、
捕集手段で捕集された浮遊粒子状物質がある捕集部と、捕集部にβ線を照射し、透過したβ線強度についての検出信号を出力する検出手段と、
捕集手段により捕集される時の試料大気の温度を吸引手段の上流側で計測して上流側温度信号を出力する上流側温度計測手段と、
捕集手段により捕集された後の試料大気の温度を吸引手段の下流側で計測して下流側温度信号を出力する下流側温度計測手段と、
捕集手段により捕集された後の試料大気の湿度を吸引手段の下流側で計測して下流側湿度信号を出力する下流側湿度計測手段と、
上流側温度計測手段からの上流側温度信号、下流側温度計測手段からの下流側温度信号、および下流側湿度計測手段からの下流側湿度信号に基づいて、吸引手段の上流側であって上流側温度を計測する箇所における上流側湿度を算出する上流側湿度算出手段と、
上流側湿度算出手段で算出した上流側湿度に基づいて試料大気の上流側湿度を設定湿度と略一致させる駆動信号を出力する駆動手段と、
駆動手段からの駆動信号に基づいて試料大気の湿度を調整する湿度調整手段と、
設定湿度と略等しい環境の下で、検出手段からの検出信号に基づいてβ線吸収方式により浮遊粒子状物質濃度を算出する濃度演算手段と、
を備えることを特徴とする。
請求項1に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
前記上流側温度を計測する上流側温度計測手段は、検出手段に一体的に配置され、捕集手段により捕集される時の試料大気の温度を、前記捕集部近傍において計測する手段であることを特徴とする。
請求項1または請求項2に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
試料大気採取手段の流路の最下流側に設けられ、前記下流側温度計測手段および前記下流側湿度計測手段を内部空間内に収容する収容手段を備えることを特徴とする。
請求項3に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
前記収容手段の内部空間を大きくして内部空間内の圧力を大気圧に近づけることを特徴とする。
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
前記湿度調整手段は、試料大気を昇温または降温させることにより湿度を調整する手段であることを特徴とする。
これらは、大別すると試料大気採取手段、捕集手段、検出手段、上流側温度計測手段、下流側温度計測手段、下流側湿度計測手段、収容手段、上流側湿度算出手段、駆動手段、湿度調整手段、濃度演算手段となる。以下各手段について説明する。
また、PM2.5(粒径2.5μmの浮遊粒子)については、後段にサイクロン方式の分粒器またはインパクタ方式の分粒器を設置して、2.5μm以下の微粒子を選択的に分粒しても良い。これらは測定対象に応じて適宜選択される。
捕集手段は、試料大気から浮遊粒子状物質を連続的に捕集する手段である。例えば本形態のように送りリール23、キャプスタン24、巻取リール25、濾紙40、モータM1、モータM2を備える。モータM1、モータM2の駆動信号はパワーI/Oボード15を介してCPUボード11から出力されている。
テープ状の濾紙40は、未使用の濾紙40を供給する送りリール23と、使用済みの濾紙40をロール状に巻回して収容する巻取りリール25と、により送り可能になされており、検出ユニット20内に一定長さが供給される。
モータM1は検出ユニット20の下部ブロック20bを上下動し、検出ユニット20内に搬送された浮遊粒子状物質捕集用の濾紙40を上下から挟み込んで固定するための開閉動作用モータ、モータM2は濾紙40の送り用モータである。この濾紙40は、モータM1により検出ユニット20が開かれたときに、モータM2により巻取リール25及びキャプスタン24を回転駆動することにより、一定周期(例えば1時間おき)経過後に濾紙40の未使用部分が送りリール23、キャプスタン24を経て検出ユニット20内へ送られるとともに、同じ長さだけ巻取りリール25に収容される。
検出ユニット20の上部ブロック20aにはβ線源21が、下部ブロック20bにはβ線源21と対向するように半導体検出器22が設けられており、先に説明した流路とβ線放射方向が交差するように配置される。この上部ブロック20aと下部ブロック20bとの間を濾紙40が通過する。検出手段の検出原理は先に説明した従来技術と同様にβ線吸収方式を採用しており、重複する説明を省略する。
そこで、検出ユニット20内に湿度センサよりもはるかに小型である温度センサを設置し、検出した検出ユニット20内の温度から大気圧下における相対湿度を割り出してユニット内湿度を算出し、このユニット内湿度に基づいて検出セル20内が相対湿度50%となるように湿度調整するものである。
ポンプ27の動作により試料大気を分粒器26・配管29を経て検出ユニット20へ導入し、濾紙40の表面で浮遊粒子状物質を捕集しているものとする。このような状況下で試料大気に対して湿度調節動作を行っている。
続いて、CPUボード11は、上流側湿度算出手段として機能し、先に求めたセル内飽和水蒸気圧、ユニット内飽和水蒸気圧およびセル内湿度から次式のようにユニット内相対湿度を算出する。
算出したユニット内相対湿度が50%より高いとき、CPUボード11は、湿度調整手段を駆動する駆動手段として機能し、パワーI/Oボード15を介して湿度調整手段であるヒータユニット35を昇温駆動する。すると試料大気が温度上昇して相対湿度が低くなっていき、試料大気のユニット内相対湿度が50%となるように維持される。
一方、算出したユニット内相対湿度が50%より低いとき、CPUボード11は、湿度調整手段を駆動する駆動手段として機能し、パワーI/Oボード15を介して湿度調整手段であるヒータユニット35を降温駆動する。すると試料大気が温度降下して相対湿度が高くなっていき、試料大気の相対湿度が50%となるように維持される。これら試料大気の昇温・降温は必要時のみ行うこととなる。
以下同様の湿度調整を順次自動的に行い、ユニット内相対湿度は設定湿度と一致するようになされる。
オペレータが操作パネル12を操作すると、測定開始するような操作信号がCPUボード11へ入力される。CPUボード11は各部へ制御信号を出力する。このとき既に検出ユニット20には濾紙40の未捕集部分が載置され、上部ブロック20aと下部ブロック20bとにより強固に挟持されるともに、β線が漏出しないように密封されるものとする。まず、β線源21によりβ線を照射する。そして、半導体検出器22からの検出信号が、CPUボード11のメモリ部に一時的に記憶される。一番最初に記憶された検出信号は、β線強度I0となる。
続いて、I/Oボード14を介してポンプ27へ駆動信号を出力する。大気中から試料大気が吸引され、試料大気の採取が開始される。この場合、上記したように流量センサ28からの流量信号をI/Oボード14を介してCPUボード11が入力しており、所定設定流量を維持するような駆動信号を、I/Oボード14を介してモータM3へ送信しており、モータM3によりバルブが開閉制御されて、流量が所定設定流量となるように調節される。
そしてメモリに登録された、β線強度I0 、β線強度Iに加え上記定数S,k,Vを読み出して、上記数1に基づいてβ線吸収方式により浮遊粒子状物質濃度Mを算出する。この浮遊粒子状物質濃度MをCPUボード11が記録計13に記録させる。
記録終了後、濾紙40を移動させる。まず、CPUボード11はI/Oボード14、パワーI/Oボード15を介してモータM1を駆動し、検出ユニット20の下部ブロック20bを降下させて、濾紙40を移動可能な状態とする。続いて、CPUボード11はI/Oボード14、パワーI/Oボード15を介してモータM2を駆動して濾紙40を送り、未使用部分を検出ユニット20に配置する。そして、下部ブロック20bが上昇して最初の状態に戻り、以後、同様の動作を繰り返して自動的に浮遊粒子状物質測定を行うというものである。
なお、先に説明した設定湿度は予めCPUボード11のメモリ部に設定登録されているものとして説明したが、例えば、操作パネル12を介してCPUボード11のメモリ部に新たに登録できるようにしても良い。
また、浮遊粒子状物質濃度Mを記録計13に記録するものとして説明したが、さらにI/Oボード14に接続された表示部(図示しない)を搭載し、浮遊粒子状物質濃度Mを表示するような形態を追加しても良い。さらにまた、ハードディスク、光磁気ディスク、USBメモリと接続可能、もしくは、搭載するようにして、これら記憶部にデータを出力するような形態を追加しても良い。
また、一定の選択可能な湿度及び温度条件を維持して、湿度や温度の影響による粒子状物質測定における標準測定法の手分析との差をなくすことができる。
11:CPUボード
12:操作パネル
13:記録計
14:I/Oボード
15:パワーI/Oボード
16:アンプボード
17:外部入出力端子
20:検出ユニット
21:β線源
22:半導体検出器
23:送りリール
24:キャプスタン
25:巻取リール
26:分粒器
27:ポンプ
28:流量センサ(熱式流量センサ)
29:配管
30:配管
31:配管
32:下流側温度センサ
33:下流側湿度センサ
34:測定セル
35:ヒータユニット
36:上流側温度センサ
40:濾紙
40a:捕集部
M1,M2,M3:モータ
Claims (5)
- 吸引手段により粒子径が所定粒径以下である浮遊粒子状物質を含む試料大気を採取する試料大気採取手段と、
試料大気から浮遊粒子状物質を連続的に捕集する捕集手段と、
捕集手段で捕集された浮遊粒子状物質がある捕集部と、捕集部にβ線を照射し、透過したβ線強度についての検出信号を出力する検出手段と、
捕集手段により捕集される時の試料大気の温度を吸引手段の上流側で計測して上流側温度信号を出力する上流側温度計測手段と、
捕集手段により捕集された後の試料大気の温度を吸引手段の下流側で計測して下流側温度信号を出力する下流側温度計測手段と、
捕集手段により捕集された後の試料大気の湿度を吸引手段の下流側で計測して下流側湿度信号を出力する下流側湿度計測手段と、
上流側温度計測手段からの上流側温度信号、下流側温度計測手段からの下流側温度信号、および下流側湿度計測手段からの下流側湿度信号に基づいて、吸引手段の上流側であって上流側温度を計測する箇所における上流側湿度を算出する上流側湿度算出手段と、
上流側湿度算出手段で算出した上流側湿度に基づいて試料大気の上流側湿度を設定湿度と略一致させる駆動信号を出力する駆動手段と、
駆動手段からの駆動信号に基づいて試料大気の湿度を調整する湿度調整手段と、
設定湿度と略等しい環境の下で、検出手段からの検出信号に基づいてβ線吸収方式により浮遊粒子状物質濃度を算出する濃度演算手段と、
を備えることを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。 - 請求項1に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
前記上流側温度を計測する上流側温度計測手段は、検出手段に一体的に配置され、捕集手段により捕集される時の試料大気の温度を、前記捕集部近傍において計測する手段であることを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。 - 請求項1または請求項2に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
試料大気採取手段の流路の最下流側に設けられ、前記下流側温度計測手段および前記下流側湿度計測手段を内部空間内に収容する収容手段を備えることを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。 - 請求項3に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
前記収容手段の内部空間を大きくして内部空間内の圧力を大気圧に近づけることを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。 - 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の浮遊粒子状物質測定装置において、
前記湿度調整手段は、試料大気を昇温または降温させることにより湿度を調整する手段であることを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
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