JP4838603B2 - 化学的気相成長装置及びガス流路装置 - Google Patents

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本発明は、化学的気相成長装置に関し、特に、ガス供給配管から送入されるガスを受け入れて反応室内に搬送供給するためのガス流路構造の改良技術に関する。
化学的気相成長装置の反応室は、大別して縦型と横型に分類される。縦型反応室は、円筒形状の反応室の円筒軸方向を鉛直方向に設定し、基板を載置するサセプタの表面を水平に設定し、反応室の上方から基板面上に原料ガスが供給される構造となっている。縦型反応室は、反応室内の容積が大きくなるため、対流による攪拌等により供給ガスの滞留時間が長くなり堆積物の組成制御が困難であるという問題がある。これに対して、横型反応室は、円筒形状の反応室の円筒軸方向を水平方向に設定し、基板を載置するサセプタの表面を水平または斜めに設定し、反応室の側方から基板面上に原料ガスが供給される構造となっている。横型反応室は、縦型反応室より反応室内の容積を小さくでき、対流の影響を軽減でき、堆積物の組成制御が容易になるという利点がある。
また、横型反応室内において基板面上に原料ガスを供給する構造としては、基板面内で均質な堆積物を成長させるために、供給ガスの対流を抑制し、基板面の直径方向に対して均等に分布した流速で原料ガスを供給できることが望ましい。
かかる要請に対して、従来は、ガス供給配管から送入される原料ガスを受け入れて反応室内に搬送供給するためのガス流路装置(「フローチャネル」とも称される。)は、図14(A)の平面図及び同図(B)の側方断面透視図に示すように、前段のガス供給配管93が内部に挿入されている直方体の箱部分71と、上面視略三角形状に形成され、下流端の原料ガスの放出口73が横長のスリット状に開口され、下流へ行く程に流路断面の幅がテーパー状に広がり高さが低くなる後段部72が一体に形成された構造となっている(例えば、非特許文献1の図4.4(a)及び非特許文献2の図8.9等参照)。尚、図14(B)の側方断面透視図は、図14(A)の中心線(破線表示)を通る断面における断面透視図である。尚、図中のxyz座標は、ガス流路装置70の反応室に取り付けた状態を想定し、x方向を基板表面及び当該表面上に供給されるガス流の流線(流れ方向)と平行な方向、y方向を基板表面と平行で、当該表面上に供給されるガス流の流線と垂直な方向、z方向を基板表面と垂直な方向と規定する。
赤崎勇編著、「アドバンストエレクトロニクスシリーズ(I−1)III−V族化合物半導体」、初版、培風館、1994年5月20日、p.72 赤崎勇編著、「アドバンストエレクトロニクスシリーズ(I−21)III族窒化物半導体」、初版、培風館、1999年12月8日、p.154
GaAl1−XN(0≦X≦1)等の窒化物半導体を成長させる化学的気相成長装置では、図15に模式的に示すように、ガス供給配管から搬送される窒素原料となるアンモニア(NH)とキャリアガス(H)を反応室内に導入するガス流路装置と、ガリウム(Ga)またはアルミニウム(Al)の原料となるTMG(トリメチルガリウム)、TMA(トリメチルガリウム)等の有機金属とキャリアガス(H)を反応室内に導入する別系統のガス流路装置が積層されて、夫々のガス流路装置の横長の原料ガス放出口が高さ方向に積層して近接配置され、各原料ガスが基板面に近接して横方向から供給される構造となっている。
ここで、原料ガスを、例えば管断面積が3mm程度(管内径2mm程度)のガス供給配管を通して、0.1m/分の流量でガス流路装置に送入すると、ガス流路装置に送入された時点での流速は、約560m/秒と音速以上の極めて高速となる。かかる高速の原料ガス流をそのままの速度でガス流路装置に送入すると、図14に示すような構造であっても原料ガス放出口から放出される原料ガス流の一部はあまり減速されず、しかも、原料ガス放出口の幅方向に対して流速分布に大きなバラツキが生じて基板面内で均質な膜質の堆積物が成長できないという問題がある。
そこで、従来は、図14に示すように、ガス供給配管93の端部を遮蔽して、その端部手前の側壁部に複数のノズル孔94を開口して、ノズル孔94からシャワー状に噴出することで減速された原料ガス流をガス流路装置70に送入する構造を採用していた。
しかし、図14に示す従来構造のガス流路装置70では、以下に列挙する問題点があり、ガス供給配管93の端部構造を改良して原料ガス流の送入速度を減じても、原料ガス放出口の幅方向に対して流速分布に有意なバラツキが残り、基板面内で均質な膜質及び特性の堆積物の成長が困難であるという問題がある。
図14に示す従来構造のガス流路装置の第1の問題点は、ガス供給配管から送入されたガス流が、空間的な流速分布のバラツキや時間的な流速変動が十分に抑制されずに放出される点である。つまり、図14に示すように、ガス供給配管93の端部手前の側壁部に設けた複数のノズル孔94から、ガス流路装置70に挿入されたガス供給配管の先端部分を収容する直方体状の箱部分71の側壁面にガス流が噴出されるので、当該箱部分71内におけるガス流の圧力は、側壁面近傍で高圧状態となる。このため、直方体状の箱部分からテーパー状に広がる後段部72のガス流路に送入された時点でガス流の幅方向(図14中のy方向)の流速分布は、中央が低速で流線の中心に対して左右に高速部分が生じる(図16参照)。更に、テーパー状に広がる後段部72の流路は、送入された原料ガス流が十分に攪拌されず放出される構造であるため、空間的な流速分布のバラツキはそのまま維持され放出口73から基板表面上に放出される。更に、テーパー状に形成された後段部72の構造上、送入時の流速変化が途中で余り吸収されずに原料ガスが放出口73に伝達されるため、時間的な流速変化に弱く、送入側での流速変化の影響が堆積物の膜質に現れ易くなる。
同第2の問題点は、図15に示すように複数種の原料ガスを一度に供給する場合に、ガス種によって重量が異なり、重い原料ガスほど流速分布のバラツキの影響を受け、また、ガス種によってその影響度が異なることから、基板面上へ原料ガス間の供給速度もばらつき、基板面内で均質な膜質及び均質な組成比の堆積物の成長が困難となる点である。図16を用いて当該問題点を更に説明する。図16(A)は、重い原料ガス(例えば、アンモニア(NH)とキャリアガス(H))の流速分布を示し、図16(B)は、軽い原料ガス(例えば、TMG、TMA等の有機金属とキャリアガス(H))の流速分布を示し、図16(C)は、上記2つの流速分布を重ねて表示した図である。図16(C)より、基板面内で原料ガスの供給量が変動するだけでなく、原料ガス間の供給量差も変動することが分かる。
同第3の問題点は、ガス供給配管の端部手前の側壁部に設けた複数のノズル孔の口径の加工精度が余り高くなく、その口径寸法のバラツキによってガス流路装置への送入時の流速が高速であるため、その流速のバラツキも大きくなり、同じ条件で成長させた堆積物の膜質や特性に装置間でバラツキが生じる点である。
GaAl1−XN(0≦X≦1)等の窒化物半導体を成長させて受光素子や発光素子を作製する場合に、P型の不純物やN型の不純物を原料ガスに混入して供給する際に、当該不純物がガス流路装置の流路内壁に付着して残存し、後続の堆積層に供給されるというメモリ効果を排除するために、ガス流路装置の壁材として当該付着の起こり難い石英が使用される。同第4の問題点は、この石英の加工が困難であるため、各部の加工寸法にバラツキが生じるために、ガス流路装置を別のガス流路装置に交換した場合に、条件出しを再度行う手間が生じる点である。
同第5の問題点は、ガス流路装置が石英製の場合に、3段以上積層可能な形状となると加工が複雑になるため、多段構造が困難である点である。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガス供給配管から送入されるガスを受け入れて反応室内の基板面上に、ガス流の流速バラツキを抑制して供給可能な化学的気相成長装置を提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る化学的気相成長装置は、ガス供給配管から送入されるガスを受け入れて反応室内に搬送供給するためのガス流路構造が、ガス供給配管から送入されるガス流を受け入れて流速を低減させる前段部と、前段部で減速されたガス流をガス流の流線と垂直で前記反応室内の基板載置面と平行な幅方向に拡散させて放出する後段部を有し、前記前段部が、前記ガス供給配管から送入された前記ガス流を衝突させて放散させる衝突放散構造部と、前記衝突放散構造部から放散された前記ガス流を外部に開口した放出口に導いて前記後段部に向けて放出する誘導放出構造部とからなり、前記衝突放散構造部が、前記ガス供給配管から送入された前記ガス流を受け入れる送入口より大きく開口して前記誘導放出構造部に連通する開口部を有する一部開口空間を内包して形成する開放壁構造を備え、前記誘導放出構造部内のガス流路空間が平板状で、前記ガス流路空間の容積が前記一部開口空間より大きく、前記誘導放出構造部の前記ガス流路空間の平板状の広がり方向の端面の一部に前記放出口が形成されていることを第1の特徴とする。
更に、本発明に係る化学的気相成長装置は、上記第1の特徴に加えて、前記前段部の前記衝突放散構造部に前記送入口が設けられ、前記送入口とは別個に前記開口部が形成されていることを第2の特徴とする。
更に、本発明に係る化学的気相成長装置は、上記第1の特徴に加えて、前記前段部の前記誘導放出構造部に前記送入口が設けられ、前記前段部の前記衝突放散構造部が前記誘導放出構造部の前記ガス流路空間内に形成され、前記衝突放散構造部が前記ガス供給配管から送入された前記ガス流を、前記開口部を通して前記一部開口空間内に受け入れ、放散した前記ガス流を、同じ前記開口部を通して前記誘導放出構造部に放出することを第3の特徴とする。
更に、本発明に係る化学的気相成長装置は、上記何れかの特徴に加えて、前記前段部の前記誘導放出構造部の前記ガス流路空間が屈曲した平板状に構成され、前記誘導放出構造部内の前記ガス流の流線が前記ガス流路空間に沿って屈曲していることを第4の特徴とする。
更に、本発明に係る化学的気相成長装置は、上記何れかの特徴に加えて、前記前段部の前記衝突放散構造部の前記放出口が形成されている端面の面積が、前記放出口の開口面積より大きいことを第5の特徴とする。
更に、本発明に係る化学的気相成長装置は、上記何れかの特徴に加えて、前記ガス流路構造の前記前段部が前記反応室の隔壁外に設置され、前記ガス流路構造の前記後段部が前記反応室の隔壁内に設置されていることを第6の特徴とする。
更に、本発明に係る化学的気相成長装置は、上記何れかの特徴に加えて、前記後段部が、前記ガス流の流線が45度以上屈曲する屈曲個所を2個所以上有する平板状のガス流路空間を有し、少なくとも1ヶ所以上の前記屈曲個所においてその上流側と下流側で前記ガス流路空間の前記ガス流の流線に垂直な断面での断面積が拡大していることを第7の特徴とする。
更に、本発明に係る化学的気相成長装置は、上記何れかの特徴に加えて、複数の前記ガス供給配管から各別に前記反応室内に至るガス流路を複数備え、前記各ガス流路が前記ガス流路構造を備えていることを第8の特徴とする。
更に、本発明に係る化学的気相成長装置は、上記第8の特徴に加えて、前記複数のガス流路の前記各ガス流路構造において、前記前段部同士が多段に積層されて一体に形成され、前記後段部同士が多段に積層されて一体に形成されていることを第9の特徴とする。
更に、本発明に係るガス流路装置は、ガス供給配管から送入されるガスを受け入れて反応室内に搬送供給するためのガス流路装置であって、上記第1乃至第9の何れかの特徴の化学的気相成長装置のガス流路構造を備えることを特徴とする。
上記第1乃至第3の特徴の化学的気相成長装置によれば、前段部の衝突放散構造部に高速で流入したガス流が開放壁構造に衝突して放散する際に、一部開口空間内に乱流が生じて流速が低下するとともに均等化されるため、誘導放出構造部内のガス流路空間内で流速分布が定在化せずに、ガス流の流線(流れ方向)に垂直な断面内での流速分布のバラツキが抑制される。また、衝突放散構造部の狭い一部開口空間内より広い誘導放出構造部内のガス流路空間に放出されるため更に流速が低下する。更に、誘導放出構造部内のガス流路空間が平板状であるため、ガス流路空間内でのガス流の対流が抑制されて層流となる。この結果、後段部に送出される時点でガス流が安定して減速されるため、最終的に後段部から放出されるガス流の流速分布のバラツキを従来構造に比べて大幅に抑制することができる。
また、従来構造では、本特徴のガス流路構造の後段部に相当するガス流路装置内にガス流が放出されるノズル孔の口径精度に大きく影響を受けていたが、本特徴構成では、従来構造のようなノズル孔を必要としないため、ノズル孔の加工精度に起因する流速分布のバラツキが発生しない。
更に、衝突放散構造部の一部開口空間の容積は、細径のガス供給配管から送入されるガス流を受け止めれば十分であるので小さくできるため、前段部全体の容積も小さくでき、前段部のガス流路内壁の表面積を大きくせずにガス流速の抑制が可能となり、原料ガスに含まれる不純物のメモリ効果を抑制できる。また、前段部のガス流路内壁の表面積を抑制できることから、加工が容易な金属を用いて前段部を構成可能となる。
以上の結果、本特徴の化学的気相成長装置により成長した堆積物の基板面内での膜質及び特性のバラツキを抑制でき、高性能なデバイスの作製が可能となる。
上記第4の特徴の化学的気相成長装置によれば、誘導放出構造部のガス流路空間が屈曲した平板状に構成されているため、ガス流路空間内で更にガス流が減速するとともに、ガス流の流線(流れ方向)に垂直な断面内での流速分布のバラツキが抑制され、最終的に後段部から放出されるガス流の流速分布のバラツキを従来構造に比べて大幅に抑制することができる。
上記第5の特徴の化学的気相成長装置によれば、放出口が形成されている端面の面積より放出口の開口面積が狭いことから、前段部からガス流が放出される際に、放出口の端縁部でガス流の攪拌が生じて流速分布の定在化が更に抑制され、後段部に送入する時点での流速分布のバラツキがより効果的に抑制される。
上記第6の特徴の化学的気相成長装置によれば、ガス供給配管を反応室の隔壁を通して挿入する必要がないため、ガス供給配管のガス流路構造への取り付け方向の自由度が増すため、複数の原料ガスの反応室内に同時に供給するためのガス流路構造の多段化が容易になる。
上記第7の特徴の化学的気相成長装置によれば、前段部から送入されたガス流が平板状のガス流路空間の屈曲個所において流線(流れ方向)が45度以上屈曲するため、ガス流の流速が大きい程、平板状のガス流路空間の壁部に強く衝突して乱流状態が生成され、流速が低下するとともに流路断面内での流速分布が均等化される。また、屈曲個所において流路断面が拡大するため、流速の低下と流速分布の均等化が促進される。この結果、後段部から反応室内の基板面上に放出されるガス流の流速分布のバラツキを従来構造に比べて大幅に抑制することができる。
上記第8の特徴の化学的気相成長装置によれば、複数のガス種を各別に、夫々のガス流の流速分布のバラツキを十分に抑制して同じ基板面上に供給することができる。夫々のガス流の流速分布のバラツキが抑制されることから、ガス種によって重量が異なっても、重量による流速分布のバラツキの影響度が緩和され、基板面内で均質な膜質及び組成比の堆積物の成長が容易となる。
上記第9の特徴の化学的気相成長装置によれば、複数のガス流路に対するガス流路構造を小型化でき、取り扱いが容易となる。
上記特徴のガス流路装置によれば、化学的気相成長装置に使用することで、上記第1乃至第9の特徴の化学的気相成長装置の作用効果を奏する化学的気相成長装置を提供することができる。
以下、本発明に係る化学的気相成長装置(以下、適宜「本発明装置」と略称する)の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では、GaAl1−XN(0≦X≦1)等の窒化物半導体の成長に使用可能な化学的気相成長(CVD)装置(例えば、有機金属化学的気相成長(MOCVD)装置)を想定して説明する。
〈第1実施形態〉
図1は、本発明装置1の第1実施形態における要部の概略構成を模式的に示す要部断面透視図であり、ガス供給配管90,91から送入される2種類の原料ガスA,Bを各別に受け入れて反応室内100のサセプタ101の表面102(基板載置面)に載置された基板103上に、横方向(図面左方向)から搬送供給する本発明に係るガス流路装置2が、反応室隔壁104へ取り付けられた状態を模式的に示す。図1は、基板載置面102の中心を通り、ガス流の搬送供給方向(x方向)に平行で基板載置面102に垂直な平面での断面図である。また、理解の簡単のため、図1中のガス流路装置2内の原料ガスA,Bの流れる流路空間にドット状パターンを付している。尚、ガス流路装置2より下流側の基板載置面の上方領域105には、ガス流路装置2から供給された原料ガスA,Bが周辺部へ拡散せずに、上方領域105を一定の断面流速で横方向(図面右方向)へ流動可能にするための流路断面積一定の石英製のカバー106が設けられている。
尚、図1を含む各図に説明の便宜のために表示されているxyz座標は、各図共通に、x方向を基板103の表面及び当該表面上に供給されるガス流の流線(流れ方向)と平行な方向、y方向を基板103の表面と平行で、当該表面上に供給されるガス流の流線と垂直な方向、z方向を基板103の表面と垂直な方向と規定する。また、本発明装置1の図1に図示されていない部分(供給ガス及び排気ガスの配管系統、加熱機構等)は、一般的なCVD装置或いはMOCVD装置と同じであるので詳細な説明は省略する。
図1に示すように、第1実施形態では、ガス流路装置2は、原料ガスA,B毎に独立したガス流路を備え、反応室隔壁104の外側に取り付けられた2つの前段部10,20と反応室隔壁104の内側に取り付けられた2つの後段部40,41で構成される。前段部10と後段部40で原料ガスAを搬送供給する第1のガス流路が形成され、前段部20と後段部41で原料ガスBを搬送供給する第2のガス流路が形成される。
図2及び図3に示すように、2つの前段部10,20は何れも、ガス供給配管90,91から夫々送入されたガス流を衝突させて放散させる衝突放散構造部11,21と、衝突放散構造部11,21から放散されたガス流を外部に開口した放出口14,24に導いて後段部40,41に向けて放出する誘導放出構造部12,22とを備えて構成される。図2及び図3は前段部10,20を各別に示す3面図で、(A)が前段部10,20の内部構造を上面(+z方向)側から透視した平面透視図で、(B)が前段部10,20の正面図で、(C)が前段部10,20の内部構造を側面(−y方向)側から透視した側面透視図である。
原料ガスA用の前段部10では、図2に示すように、衝突放散構造部11は、誘導放出構造部12に向けて1面が全面開口し、他の1面の一部がガス供給配管90と接続する送入口13として開口する5面の壁によって囲まれた直方体状の一部開口空間15を備えて構成され、誘導放出構造部12は、L字型に屈曲した平板状のガス流路空間16を備えて構成される。誘導放出構造部12の一部開口空間15は、開口面15bを介して誘導放出構造部12のガス流路空間16の上流端中央部分に連通する。
ガス流路空間16の流路断面積S2(=h2×w2)は、一部開口空間15の開口面積S1(=h1×w1)より大きく、ガス流路空間16の内容積V2(=S2×(l2+l3))は、一部開口空間15の内容積V1(=S1×d1)より大きい。更に、放出口14の開口面積S3(=h3×w2)は、ガス流路空間16の流路断面積S2より小さくなっている。尚、ガス流路の断面とは、ガス流の流線(流れ方向)に垂直な断面を意味する。また、平板状のガス流路空間16とは、互いに平行に対向する2つの平面壁に挟まれた扁平な空間を意味し、第1実施形態では、2つの平面壁は対向しつつガス流の流線に沿って直角に屈曲している。
図2に示す構成により、原料ガスA用の前段部10では、送入口13から高速で流入したガス流が一部開口空間15の送入口13に対向する壁面15aに先ず衝突して散乱し、乱流状態となって開口面15bを通過してガス流路空間16に無秩序に流入してガス流の流線に垂直な幅方向の左右にも速やかに広がる。この結果、ガス流路空間16の流路断面内でのガス流の流速分布が、左右の端部においても極端に低下せずにある程度均等化される。ガス流路空間16内に流入したガス流は、更に、L字型に屈曲した屈曲個所の壁面16aに衝突して散乱するため、更に減速するとともに、ガス流路断面内での流速分布のバラツキが抑制される。また、ガス流路空間16の屈曲個所を通過したガス流は、放出口14の高さh3が、ガス流路空間16の高さh2より低いため、ガス流路空間16の上下の対向する壁面近傍のガス流は、放出口14の上下両側の端面に衝突して散乱するため、更に減速するとともに、ガス流路断面内での流速分布のバラツキが抑制される。
一方、原料ガスB用の前段部20では、図3に示すように、衝突放散構造部21は、誘導放出構造部22に向けて1面が全面開口した5面の平面壁によって囲まれた直方体状の一部開口空間25を備えて構成され、誘導放出構造部22は、平板状のガス流路空間26を備えて構成される。ガス供給配管91と接続する送入口23は、ガス流路空間26の1つの端面内の中央に形成され、送入口23と一部開口空間25の開口面25bは対向している。衝突放散構造部21の一部開口空間25は、誘導放出構造部22のガス流路空間26に包囲されており、開口面25bを介してガス流路空間26と連通している。
ガス流路空間26の内容積V4(=h4×w4×d4−V3’:V3’は一部開口空間15の外容積)は、一部開口空間25の内容積V3(=h4×w3×d3)より大きい。更に、放出口24の開口面積S6(=h5×w5)は、ガス流路空間26の流路断面積S6(=h4×w4)より小さくなっている。
図3に示す構成により、原料ガスB用の前段部20では、送入口22から高速で流入したガス流が開口面25bを通過して一部開口空間25の送入口22に対向する壁面25aに先ず衝突して散乱し、乱流状態となって開口面25bを通過してガス流路空間26に無秩序に流入してガス流の流線に垂直な幅方向の左右にも速やかに広がる。この結果、ガス流路空間26の流路断面内でのガス流の流速分布がある程度均等化される。ガス流路空間26内に流入して左右に広がったガス流は、衝突放散構造部21の両側を回り込んで、放出口24に向かって流れ込む。衝突放散構造部21の両側を回り込んだガス流は、放出口24の高さh5が、ガス流路空間26の高さh4より短いため、ガス流路空間26の上下の対向する壁面近傍のガス流は、放出口24の上下両側の端面に衝突して散乱するため、更に減速するとともに、ガス流路断面内での流速分布のバラツキが抑制される。
第1実施形態では、2つの前段部10,20は何れも、一部開口空間15やガス流路空間16の一部または全部を切削加工により形成した2以上の金属部材(例えば、ステンレス鋼SUS304)を溶接或いはビス止め等によって気密接合して組み立てて構成する。これにより、石英材を使用する従来のガス流路装置に比べて、前段部の製作が容易に行えるとともに、多段に積層して一体化するのも容易となる。尚、前段部10,20はガス流路内壁の表面積が、後段部40,41より小さいため、石英材に比べてメモリ効果の大きい金属材料の使用が可能であるが、メモリ効果の小さい石英材等のセラミック製としてもよい。
第1実施形態では、後段部40,41は、図14に示す従来のガス流路装置70の後段部71と同様の上面視略三角形状の構造で石英製のものを使用している。具体的には、後段部40は、図4に示すように、図14に示す従来のガス流路装置70の後段部72と同様の上面視略三角形状で下流へ行く程に流路断面の幅がテーパー状に広がり高さが低くなる構造となっている。後段部41は、後段部40を上下反転させた後段部40,41の境界面(xy面)を挟んで対称な形状である。
第1実施形態では、後段部40,41に従来のガス流路装置と同様の構造を採用しているが、2つの前段部10,20に本発明装置1に特有なガス流路構造を採用したため、基板103の表面上の堆積物の基板面内での膜質のバラツキを、図14に示す従来のガス流路装置に比べて大幅に改善できた。
図5に、図1に示すガス流路装置2を用いて、原料ガスAとしてTMAとキャリアガス(H)、原料ガスBとしてアンモニア(NH)とキャリアガス(H)を夫々供給し、基板103上にAlN(窒化アルミニウム)膜を成長させ、y方向での屈折率と膜厚の面内分布を測定した結果を示す。原料ガスの断面流速(流量をカバー106内の断面積で除した平均流速)を、2.438m/秒と1.625m/秒と異ならせてガス流量の違いによる影響も同時に調べた。これは、流速が遅い場合に、流速分布が均一化されても、慣性力の大きい流量の大きい状態で膜厚の面内分布が乱れるガス流路装置は性能が低いと判断すべきであるためである。
測定点は、基板(2インチ径ウェハ)の中心を通るy方向の直線上の11点である。膜厚の測定値は11点の最大値で正規化して表示しているが、実際には、測定精度の確保できる50〜100nmの範囲内の膜厚としている。屈折率と膜厚の測定は、レーザエリプソメータを用いて同時に測定している。AlNは反応速度が速いため原料ガス流の流速を上昇させないと均一性が出し難くい。一方、流速分布のバラツキは流速が速いほど顕著に現れる。従って、AlN膜を用いることで、流速分布のバラツキの程度を効果的に調べることができる。
図6に、比較例として、図14に示す従来のガス流路装置を用いて、基板103上にAlN膜を成長させ、y方向での屈折率と膜厚の面内分布を測定した結果を示す。原料ガスのカバー106内の断面流速を、1.464m/秒と0.97m/秒と異ならせてガス流量の違いによる影響も同時に調べた。
図5及び図6より、本発明装置1のガス流路装置2の方が、従来のガス流路装置に比べて、基板面内での屈折率分布のバラツキが大幅に抑制されていることが分かり、均質な膜質が得られることが明らかとなった。
尚、図5に示す膜厚の面内分布を測定結果において、ガス流速が低い方が、基板の端縁部(中心から遠い部分)ほど膜厚が薄くなる傾向が大きいが、この点については第2実施形態の同様の測定結果と合わせて考察する。
〈第2実施形態〉
図7は、本発明装置1の第2実施形態における要部の概略構成を模式的に示す要部断面透視図であり、ガス供給配管90,91から送入される2種類の原料ガスA,Bを各別に受け入れて反応室内100のサセプタ101の表面102(基板載置面)に載置された基板103上に、横方向(図面左方向)から搬送供給する本発明に係るガス流路装置3が、反応室隔壁104へ取り付けられた状態を模式的に示す。図7は、基板載置面102の中心を通り、ガス流の搬送供給方向(x方向)に平行で基板載置面102に垂直な平面での断面図である。また、理解の簡単のため、図7中のガス流路装置3内の原料ガスA,Bの流れる流路空間にドット状パターンを付している。本発明装置1の図7に図示されていない部分(供給ガス及び排気ガスの配管系統、加熱機構等)は、一般的なCVD装置或いはMOCVD装置と同じであるので詳細な説明は省略する。図7中、図1〜図3と同じ部位には同じ符号を付して説明する。
図7に示すように、第2実施形態では、ガス流路装置3は、原料ガスA,B毎に独立したガス流路を備え、反応室隔壁104の外側に取り付けられた2つの前段部10,20と反応室隔壁104の内側に取り付けられた2つの後段部50,51で構成される。前段部10と後段部50で原料ガスAを搬送供給する第1のガス流路が形成され、前段部20と後段部51で原料ガスBを搬送供給する第2のガス流路が形成される。
第2実施形態の本発明装置1では、ガス流路装置3の後段部50,51の構造が本発明に特有の構造を有し、従来のガス流路装置の後段部と類似する構造の後段部を備えた第1実施形態と相違する。第2実施形態では、2つの前段部10,20は第1実施形態と全く同じである。従って、前段部10,20についての重複する説明は割愛する。
図8に示すように、後段部50は、4個所で直角に屈曲する平板状のガス流路空間52〜56を有し、ガス流路空間52からガス流路空間53への最初の屈曲箇所と、ガス流路空間54からガス流路空間55への3番目の屈曲箇所の2個所で、ガス流路の断面積が拡大する構造となっている。図8は後段部50を各別に示す4面図で、(A)が後段部50の内部構造を上面(+z方向)側から透視した平面透視図で、(B)が後段部50の正面図で、(C)が後段部50の背面図で、(D)が後段部50の内部構造を側面(−y方向)側から透視した側面透視図である。
後段部50におけるガス流路の断面積の拡大は、具体的には、ガス流路断面の幅(y方向の寸法)が拡大しており、例えば、1回目で約1.75倍、2回目で約1.43倍、合計で約2.5倍に拡大している。ガス流路空間52の上流端に前段部10からのガス流を受け入れるガス流路空間52のガス流路断面積と同じ開口面積の送入口57が開口し、ガス流路空間56の下流端に反応室内100へガス流を放出するガス流路空間56のガス流路断面積と同じ開口面積の放出口58が開口している。尚、ガス流路断面とは、ガス流の流線(流れ方向)に垂直な断面を意味する。また、平板状のガス流路空間52〜56は、夫々が、互いに平行に対向する2つの平面壁に挟まれた扁平な空間を意味し、2つの平面壁が対向しつつガス流の流線に沿って、隣接するガス流路空間との間で直角に屈曲している。
後段部50は、前段部10,20と同様に金属部材(例えば、ステンレス鋼SUS304)で作製してもよいが、ガス流路内壁面の表面積が前段部10,20より広くなるため、メモリ効果低減の観点から、石英材等のセラミックで作製するのが好ましい。また、後段部50のガス流路内壁面の表面積は、第1実施形態の後段部40,41のガス流路内壁面の表面積と同じになるように各ガス流路空間52〜56の流路長を設定すればよい。
図8に示す構成により、後段部50では、前段部10で減速され流速分布のバラツキが抑制されたガス流が送入口57から流入し、ガス流路空間52を通ってガス流路空間53に移行する屈曲個所でガス流路空間53の壁面53aに衝突して散乱し、ガス流路断面積の拡大したガス流路空間53に流入するため、更に減速するとともに、ガス流路断面内での流速分布のバラツキが更に抑制される。ガス流路空間53を通過したガス流は、ガス流路空間54に移行する屈曲個所でガス流路空間54の壁面54aに衝突して散乱するため、更に減速するとともに、ガス流路断面内での流速分布のバラツキが抑制される。ガス流路空間54を通過したガス流は、ガス流路空間55に移行する屈曲個所でガス流路空間55の壁面55aに衝突して散乱し、ガス流路断面積の拡大したガス流路空間55に流入するため、更に減速するとともに、ガス流路断面内での流速分布のバラツキが抑制される。そして、ガス流路空間55を通過したガス流は、ガス流路空間56に移行する屈曲個所でガス流路空間56の壁面56aに衝突して散乱するため、更に減速するとともに、ガス流路断面内での流速分布のバラツキが抑制され、放出口58から反応室内100へ放出される。
以上のように、第2実施形態では、第1実施形態と比較して、後段部50の平板状のガス流路空間52〜56の複数の屈曲構造とガス流路断面積の拡大によって、更に、送入口57から流入したガス流が減速され、ガス流路断面内での流速分布のバラツキが抑制されて放出口58から反応室内100へ放出される。
後段部51は、図8に示す後段部50を上下反転させた後段部50,51の境界面(xy面)を挟んで対称な形状であり、実質的な構造は後段部50と同じであるので、重複する説明は割愛する。
図9に、図7に示すガス流路装置2を用いて、第1実施形態と同様の要領で、原料ガスAとしてTMAとキャリアガス(H)、原料ガスBとしてアンモニア(NH)とキャリアガス(H)を夫々供給し、基板103上にAlN(窒化アルミニウム)膜を成長させ、y方向での屈折率と膜厚の面内分布を測定した結果を示す。原料ガスのカバー106内の断面流速を、2.03m/秒、0.82m/秒、0.42m/秒、及び、0.25m/秒と8倍以上の流速比で4通りに異ならせて流速の違いによる影響も同時に調べた。測定点は、基板(2インチ径ウェハ)の中心を通るy方向の直線上の11点である。膜厚の測定値は11点の最大値で正規化して表示している。屈折率と膜厚の測定等は、第1実施形態と同様である。
図10に、比較例として、図14に示す従来のガス流路装置を用いて、基板103上にAlN膜を成長させ、y方向での屈折率と膜厚の面内分布を測定した結果を示す。原料ガスのカバー106内の断面流速を、1.464m/秒、0.97m/秒、0.732m/秒、0.485m/秒、及び、0.267m/秒と約6倍の流速比で5通りに異ならせて流速の違いによる影響も同時に調べた。尚、図10の測定結果の高速側の一部は、図6の測定結果と同じである。
図9及び図10より、本発明装置1のガス流路装置2の方が、従来のガス流路装置に比べて、基板面内での屈折率分布のバラツキが大幅に抑制されていることが分かり、均質な膜質が得られることが明らかとなった。
更に、図9及び図5の測定結果より、第2実施形態では、後段部50,51で更なる流速分布の抑制を施した結果、従来のガス流路装置と同様の構造の後段部40,41を使用した第1実施形態に比べて、ガス流速が低い場合でも、基板面内での屈折率分布のバラツキが効果的に抑制されていることが分かる。
次に、本発明装置の別実施形態について説明する。
〈1〉上記各実施形態では、ガス流路装置2,3は2系統のガス流路を備えている場合を想定して説明したが、ガス流路の系統数は2に限定されるものではなく、1または3以上であっても構わない。また、ガス流路の全てが原料ガス供給に使用されるのではなく、一部のガス流路が、バリアガス供給に使用されても構わない。
図11の要部断面透視図に、第2実施形態のガス流路装置3を3系統のガス流路用に変形した本発明装置1の別実施形態における要部の概略構成を模式的に示す。図11は、基板載置面102の中心を通り、ガス流の搬送供給方向(x方向)に平行で基板載置面102に垂直な平面での断面図である。また、理解の簡単のため、図11中のガス流路装置4内の原料ガスA,BとバリアガスCの流れる流路空間にドット状パターンを付している。本発明装置1の図11に図示されていない部分(供給ガス及び排気ガスの配管系統、加熱機構等)は、一般的なCVD装置或いはMOCVD装置と同じであるので詳細な説明は省略する。図11中、図1及び図7と同じ部位には同じ符号を付して説明する。
図11に示す別実施形態では、ガス流路装置4は、原料ガスA,BとバリアガスC毎に独立したガス流路を備え、反応室隔壁104の外側に取り付けられた3つの前段部10,20,30と反応室隔壁104の内側に取り付けられた3つのガス流路を備えた後段部60で構成される。前段部10と後段部60の上段部61でバリアガスCを搬送供給する第1のガス流路が形成され、前段部20と後段部60の中段部62で原料ガスAを搬送供給する第2のガス流路が形成され、前段部30と後段部60の下段部63で原料ガスBを搬送供給する第3のガス流路が形成される。
前段部10,20は、第1及び第2実施形態の各前段部10,20と同じであり、前段部30は、前段部10を上下反転させた形状で、前段部10,20,30の全体で上下対称な構造となっている。
後段部60は、3つのガス流路を夫々個別に形成した個別の後段部の組み立てたものではなく、1つの後段部が3つのガス流路を備えて構造となっている。例えば、第1のガス流路の上側の部材と、第1と第2のガス流路の間の部材と、第2と第3のガス流路の間の部材と、第3のガス流路の下側の部材を接合して作製される。
〈2〉上記各実施形態及び別実施形態において、ガス流路装置2,3,4の前段部10,20,30の構造及び素材は上記各実施形態のものに限定されるものではない。また、ガス供給配管90,91のガス流路装置2,3,4への挿入方向も上記各実施形態のものに限定されるものではない。
例えば、ガス供給配管90を縦方向(±z方向)から挿入してガス流路装置2,3,4と接続する前段部の構造として、図2に示す前段部10に代えて、図12に示す構造の前段部20aでもよい。前段部20aは、図3に示す前段部20の変形例で、前段部20とは、送入口23の位置が異なり、衝突放散構造部21の壁面に設けられている。その他の構成は、前段部20と同じであるので、重複する説明は省略する。
更に、ガス供給配管90を横方向(−x方向)から挿入してガス流路装置2,3,4と接続する前段部の構造として、図3に示す前段部20に代えて、図13に示す構造の前段部10aでもよい。前段部10aは、図2に示す前段部10の変形例で、前段部10とは、送入口13の位置が異なり、衝突放散構造部11の壁面ではなく、衝突放散構造部11の開口面15bに対向する誘導放出構造部12の壁面に設けられている。その他の構成は、前段部10と同じであるので、重複する説明は省略する。
更に、ガス供給配管90を縦方向(±z方向)から挿入してガス流路装置2,3,4と接続する前段部10,20aに代えて、ガス供給配管90を横方向(−x方向)から挿入してガス流路装置2,3,4と接続する前段部20,10aを使用しても良いし、逆に、ガス供給配管90を横方向(−x方向)から挿入してガス流路装置2,3,4と接続する前段部20,10aに代えて、ガス供給配管90を縦方向(±z方向)から挿入してガス流路装置2,3,4と接続する前段部10,20aを使用しても良い。
〈3〉更に、上記各実施形態及び別実施形態において、ガス流路装置2,3,4の前段部10,20,30の放出口14,24の開口面積は、ガス流路空間16の流路断面積S2より小さくなっている場合を説明したが、放出口14,24の開口面積は、前段部10,20,30の下流側端面で狭小化せずに、前段部10,20,30を取り付ける反応室隔壁104の貫通孔の開口断面積だけを狭小化するようにしても同様の効果を奏することができる。
〈4〉更に、上記各実施形態及び別実施形態において、ガス流路装置2,3,4の前段部10,20,30は、反応室隔壁104の外側に設置する場合を説明したが、ガス流路装置2,3,4の全体を反応室隔壁104の内側に設置するようにしても構わない。但し、この場合は、ガス供給配管90,91,92は横方向(−x方向)からガス流路装置2,3,4へ挿入するのが好ましい。
〈5〉上記各実施形態における、ガス流路装置2,3,4の各部の寸法は、基板103の直径に合わせて適正な値に設定すればよい。例えば、5インチウェハ(直径約50mm)の場合、後段部の放出口は、幅(y方向)が約100mm、高さ(z方向)が約5mmに開口する。
〈6〉上記第2実施形態、別実施形態〈1〉では、後段部50,51,60の各屈曲個所の屈曲角度が直角の場合を説明したが、必ずしも直角である必要はなく、各屈曲個所で流速分布のバラツキ抑制効果を奏することのできる角度、例えば、45度以上であればよい。また、屈曲個所も4個所に限定されるものではなく、2個所以上あればよい。
〈7〉上記各実施形態における反応室は横型構造に限定されるものではなく、縦型構造でもよく、また、反応室内100の基板載置面102の個数も1つに限定されるものではなく、また、1つの基板載置面102に複数の基板を載置可能な形態であっても構わない。反応室内100の基板載置面102が複数の場合には、基板載置面102毎に、ガス流路装置2,3,4を設けるようにしても構わない。
本発明に係る化学的気相成長装置は、GaAl1−XN(0≦X≦1)等の窒化物半導体の成長に使用可能な化学的気相成長装置、特に、有機金属化学的気相成長装置に利用可能である。
本発明に係る化学的気相成長装置の第1実施形態における要部の概略構成を模式的に示す要部断面透視図 本発明に係る化学的気相成長装置の第1実施形態におけるガス流路装置の前段部の第1の構成例を示す(A)内部構造を上面側から透視した平面透視図、(B)正面図、及び、(C)内部構造を側面側から透視した側面透視図 本発明に係る化学的気相成長装置の第1実施形態におけるガス流路装置の前段部の第2の構成例を示す(A)内部構造を上面側から透視した平面透視図、(B)正面図、及び、(C)内部構造を側面側から透視した側面透視図 本発明に係る化学的気相成長装置の第1実施形態におけるガス流路装置の後段部の一構成例を示す(A)平面図と(B)側方断面透視図 本発明に係る化学的気相成長装置の第1実施形態におけるガス流路装置を用いて成長させたAlN膜の屈折率と膜厚の面内分布の測定結果を示す図 従来のガス流路装置を用いて成長させたAlN膜の屈折率と膜厚の面内分布の測定結果を示す図 本発明に係る化学的気相成長装置の第2実施形態における要部の概略構成を模式的に示す要部断面透視図 本発明に係る化学的気相成長装置の第2実施形態におけるガス流路装置の後段部の一構成例を示す(A)内部構造を上面側から透視した平面透視図、(B)正面図、(C)背面図、及び、(D)内部構造を側面側から透視した側面透視図 本発明に係る化学的気相成長装置の第2実施形態におけるガス流路装置を用いて成長させたAlN膜の屈折率と膜厚の面内分布の測定結果を示す図 従来のガス流路装置を用いて成長させたAlN膜の屈折率と膜厚の面内分布の測定結果を示す図 本発明に係る化学的気相成長装置の別実施形態における要部の概略構成を模式的に示す要部断面透視図 本発明に係るガス流路装置の前段部の他の構成例を示す(A)内部構造を上面側から透視した平面透視図、(B)正面図、及び、(C)内部構造を側面側から透視した側面透視図 本発明に係るガス流路装置の前段部の他の構成例を示す(A)内部構造を上面側から透視した平面透視図、(B)正面図、及び、(C)内部構造を側面側から透視した側面透視図 従来構造のガス流路装置の概略構成を示す(A)平面図と(B)側方断面透視図 従来の化学的気相成長装置における複数のガス流路装置の構成例を模式的に示す図 従来構造のガス流路装置における流速分布のバラツキの問題点を説明する図
符号の説明
1: 本発明に係る化学的気相成長装置
2,3,4: 本発明に係るガス流路装置
10,10a,20,20a,30: 前段部
11,21: 衝突放散構造部
12,22: 誘導放出構造部
13,23: 前段部の送入口
14,24: 前段部の放出口
15,25: 一部開口空間
15a,25a: 一部開口空間の衝突壁面
15b,25b: 一部開口空間の開口面
16,26: 平板状のガス流路空間
12,22: 誘導放出構造部
40,41,50,51,60: 後段部
52〜56: 平板状のガス流路空間
53a〜56a: ガス流路空間の衝突壁面
57: 後段部の送入口
58: 後段部の放出口
61: 後段部の上段部
62: 後段部の中段部
63: 後段部の下段部
70: 従来のガス流路装置
71: 従来のガス流路装置の箱部分
72: 従来のガス流路装置の後段部
73: 従来のガス流路装置の放出口
90,91、92,93:ガス供給配管
94: ガス供給配管のノズル孔
100: 反応室内
101: サセプタ
102: 基板載置面
103: 基板
104: 反応室隔壁
105: 基板載置面の上方領域
106: カバー
A,B: 原料ガス
C: バリアガス
d1: 前段部の一部開口空間の奥行き
d4: 前段部のガス流路空間の奥行き
h1: 前段部の一部開口空間とその開口面の高さ
h2: 前段部のガス流路空間の高さ
h3,h5: 前段部の放出口の高さ
h4: 前段部の一部開口空間とガス流路空間の高さ
l2,l3: 前段部のガス流路空間の流路長
w1,w3: 前段部の一部開口空間とその開口面の幅
w2: 前段部のガス流路空間及び放出口の幅
w4: 前段部のガス流路空間の幅
w5: 前段部の放出口の幅

Claims (10)

  1. ガス供給配管から送入されるガスを受け入れて反応室内に搬送供給するためのガス流路構造が、
    ガス供給配管から送入されるガス流を受け入れて流速を低減させる前段部と、前段部で減速されたガス流を前記ガス流の流線と垂直で前記反応室内の基板載置面と平行な幅方向に拡散させて放出する後段部を有し、
    前記前段部が、前記ガス供給配管から送入された前記ガス流を衝突させて放散させる衝突放散構造部と、前記衝突放散構造部から放散された前記ガス流を外部に開口した放出口に導いて前記後段部に向けて放出する誘導放出構造部とからなり、
    前記衝突放散構造部が、前記ガス供給配管から送入された前記ガス流を受け入れる送入口より大きく開口して前記誘導放出構造部に連通する開口部を有する一部開口空間を内包して形成する開放壁構造を備え、
    前記誘導放出構造部内のガス流路空間が平板状で、前記ガス流路空間の容積が前記一部開口空間より大きく、
    前記誘導放出構造部の前記ガス流路空間の平板状の広がり方向の端面の一部に前記放出口が形成されていることを特徴とする化学的気相成長装置。
  2. 前記前段部の前記衝突放散構造部に前記送入口が設けられ、前記送入口とは別個に前記開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の化学的気相成長装置。
  3. 前記前段部の前記誘導放出構造部に前記送入口が設けられ、前記前段部の前記衝突放散構造部が前記誘導放出構造部の前記ガス流路空間内に形成され、
    前記衝突放散構造部が前記ガス供給配管から送入された前記ガス流を、前記開口部を通して前記一部開口空間内に受け入れ、放散した前記ガス流を、同じ前記開口部を通して前記誘導放出構造部に放出することを特徴とする請求項1に記載の化学的気相成長装置。
  4. 前記前段部の前記誘導放出構造部の前記ガス流路空間が屈曲した平板状に構成され、前記誘導放出構造部内の前記ガス流の流線が前記ガス流路空間に沿って屈曲していることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の化学的気相成長装置。
  5. 前記前段部の前記衝突放散構造部の前記放出口が形成されている端面の面積が、前記放出口の開口面積より大きいことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の化学的気相成長装置。
  6. 前記ガス流路構造の前記前段部が前記反応室の隔壁外に設置され、前記ガス流路構造の前記後段部が前記反応室の隔壁内に設置されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の化学的気相成長装置。
  7. 前記後段部が、前記ガス流の流線が45度以上屈曲する屈曲個所を2個所以上有する屈曲した平板状のガス流路空間を有し、
    少なくとも1ヶ所以上の前記屈曲個所においてその上流側と下流側で前記ガス流路空間の前記ガス流の流線に垂直な断面での断面積が拡大していることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の化学的気相成長装置。
  8. 複数の前記ガス供給配管から各別に前記反応室内に至るガス流路を複数備え、
    前記各ガス流路が前記ガス流路構造を備えていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の化学的気相成長装置。
  9. 前記複数のガス流路の前記各ガス流路構造において、前記前段部同士が多段に積層されて一体に形成され、前記後段部同士が多段に積層されて一体に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の化学的気相成長装置。
  10. ガス供給配管から送入されるガスを受け入れて反応室内に搬送供給するためのガス流路装置であって、請求項1〜9の何れか1項に記載の化学的気相成長装置のガス流路構造を備えることを特徴とするガス流路装置。
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