JP4835711B2 - 車両運動制御システム - Google Patents

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Description

この発明は、車両運動制御システムに関し、さらに詳しくは、ABS制御時にて車両の運動を安定化できる車両運動制御システムに関する。
近年の車両運動制御システムでは、ABS制御時にて車輪の制動圧を減圧させたときに、車輪の制動圧の増圧勾配を通常時よりも大きく設定して制動圧を早期に復帰させる制御(急増圧制御)が行われている。これにより、車輪の制動力が適正に確保されて、車両の運動あるいは挙動が安定化されている。かかる構成を採用する従来の車両運動制御システムとして、特許文献1に記載される技術が知られている。
特開2001−058566号公報
この発明は、ABS制御時にて車両の運動を安定化できる車両運動制御システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる車両運動制御システムでは、ABS制御時にて車輪の制動圧を減圧させたとき又は減圧後に制動圧を保持しているときに当該車輪の制動圧の増圧勾配を通常時よりも大きく設定する急増圧制御を行う車両運動制御システムであって、左右の前記車輪における接地荷重低下の発生をそれぞれ判定する接地荷重低下判定手段を備え、左右の前記車輪の双方にて接地荷重低下が発生しているときには、左右の前記車輪の双方にて前記急増圧制御が許可され、且つ、左右の前記車輪のうちの一方の車輪にて接地荷重低下が発生していると共に他方の車輪にて接地荷重低下が発生していないときには、左右の前記車輪の双方にて前記急増圧制御が禁止されることを特徴とする。
この車両運動制御システムでは、ABS制御により車輪の制動圧が減圧されたとき又は減圧後に制動圧を保持しているときに、この車輪の制動圧の増圧勾配を通常時よりも大きく設定して制動圧を早期に復帰させる急増圧制御が行われる。このとき、(1)左右の車輪の双方にて接地荷重低下が発生しているときには、左右の車輪の双方にて急増圧制御が行われる。したがって、接地荷重の低下に起因してABS制御が行われて左右の車輪の制動圧が減圧されたときに、各車輪の制動圧が本来の制動圧まで早期に復帰できる。これにより、車両の制動性能が適正に確保される利点がある。一方、(2)左右の車輪のうちの一方の車輪にて接地荷重低下が発生し、他方の車輪にて接地荷重低下が発生していないときには、左右の車輪の双方にて急増圧制御が禁止される。したがって、一方の車輪にて接地荷重低下によりABS制御が行われて制動圧が減圧されたときに、他方の車輪にて接地荷重低下が発生していない場合には、この他方の車輪にて制動圧が減圧されているか否かに関わらず、左右の車輪の双方にて急増圧制御が禁止される。かかる構成では、一方の車輪のみにて急増圧制御行われて、左右の車輪の制動力差が大きくなり、車両運動が不安定となる事態が防止される利点がある。
また、この発明にかかる車両運動制御システムでは、前輪にかかる左右の前記車輪にて前記急増圧制御が行われたときに、後輪にかかる左右の前記車輪においても前記急増圧制御が行われる。
この車両運動制御システムでは、前輪にて急増圧制御が行われたときに、これに追従して後輪でも急増圧制御が行われることにより、車両の挙動の安定性がより適正に確保される利点がある。
また、この発明にかかる車両運動制御システムでは、前記急増圧制御の実行後に前記車輪の制動圧が減圧されたときは、前記急増圧制御が禁止される。
この車両運動制御システムでは、急増圧制御の実行後に前記車輪の制動圧が減圧されたときは、急増圧制御が禁止されて、通常の増圧勾配にて制動圧の復帰が行われる。これにより、車両の挙動の安定性がより適正に確保される利点がある。
また、この発明にかかる車両運動制御システムでは、前記接地荷重低下判定手段が、鉛直方向の加速度を検出する上下加速度センサの出力値に基づいて接地荷重低下の発生の有無を判定する。
この車両運動制御システムでは、上下加速度センサの出力値が用いられることにより、接地荷重低下の発生の有無が適正に検出される利点がある。
また、この発明にかかる車両運動制御システムでは、前記接地荷重低下判定手段がサスストロークセンサの出力値に基づいて接地荷重低下の発生の有無を判定する。
この車両運動制御システムでは、サスストロークセンサの出力値が用いられることにより、接地荷重低下の発生の有無が適正に検出される利点がある。
この発明にかかる車両運動制御システムでは、車両運動制御システムでは、ABS制御により車輪の制動圧が減圧されたとき又は減圧後に制動圧を保持しているときに、この車輪の制動圧の増圧勾配を通常時よりも大きく設定して制動圧を早期に復帰させる急増圧制御が行われる。このとき、(1)左右の車輪の双方にて接地荷重低下が発生しているときには、左右の車輪の双方にて急増圧制御が行われる。したがって、接地荷重の低下に起因してABS制御が行われて左右の車輪の制動圧が減圧されたときに、各車輪の制動圧が本来の制動圧まで早期に復帰できる。これにより、車両の制動性能が適正に確保される利点がある。一方、(2)左右の車輪のうちの一方の車輪にて接地荷重低下が発生し、他方の車輪にて接地荷重低下が発生していないときには、左右の車輪の双方にて急増圧制御が禁止される。したがって、一方の車輪にて接地荷重低下によりABS制御が行われて制動圧が減圧されたときに、他方の車輪にて接地荷重低下が発生していない場合には、この他方の車輪にて制動圧が減圧されているか否かに関わらず、左右の車輪の双方にて急増圧制御が禁止される。かかる構成では、一方の車輪のみにて急増圧制御行われて、左右の車輪の制動力差が大きくなり、車両運動が不安定となる事態が防止される利点がある。
図1は、この発明の実施例にかかる車両運動制御システムを示す構成図である。 図2は、図1に記載した車両運動制御システムの作用を示すフローチャートである。 図3は、図1に記載した車両運動制御システムの作用を示す説明図である。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施例の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施例に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[車両運動制御システム]
この車両運動制御システム1は、車両10の運動あるいは挙動を制御(以下、車両運動制御という。)するシステムであり、例えば、車両10のABS(Antilock Brake System)機能、ブレーキアシスト機能、TRC(Traction Control System)機能、VSC(Vehicle Stability Control)機能などを実現できる。
この車両運動制御システム1は、制動力制御装置2と、制御ユニット3とを備える。なお、この実施例では、車両10がFR(Front engine Rear drive)形式を採用しており、車両10の左側後輪11RLおよび右側後輪11RRが車両10の駆動輪であり、左側前輪11FLおよび右側前輪11FRが車両10の操舵輪となっている。
制動力制御装置2は、各車輪11FR〜11RLに対する制動力を制御する装置であり、油圧回路21と、ホイールシリンダ22FR〜22RLと、ブレーキペダル23と、マスタシリンダ24とを有する。油圧回路21は、リザーバ、オイルポンプ、油圧保持弁、油圧減圧弁などにより構成される(図示省略)。この制動力制御装置2は、以下のように、車輪11FR〜11RLに制動力を付与する。すなわち、(1)通常運転時には、運転者によりブレーキペダル23が踏み込まれると、その踏み込み量がマスタシリンダ24を介して油圧回路21に伝達される。すると、油圧回路21がブレーキペダル23の踏み込み量に応じて各ホイールシリンダ22FR〜22RLの油圧を調整する。これにより、各ホイールシリンダ22FR〜22RLが駆動されて、各車輪11FR〜11RLに制動力(制動圧)が付与される。一方、(2)車両運動制御時には、車両の運動状態に基づいて各車輪11FR〜11RLに対する目標制動力が算出され、この目標制動力に基づき油圧回路21が駆動されて、各ホイールシリンダ22FR〜22RLの制動力が制御される。
制御ユニット3は、ECU(Electrical Control Unit)31と、各種センサ32FL〜38とを有する。各種センサ32〜38には、例えば、各車輪11FR〜11RLの車輪速度を検出する車輪速度センサ32FL〜32RL、車両10の操舵角を検出する操舵角センサ33、車両10のヨーレートを検出するヨーレートセンサ34、車両10の前後加速度を検出する前後加速度センサ35、車両10の横加速度を検出する横加速度センサ36、車両10の上下加速度(鉛直方向の加速度)を検出する上下加速度センサ37、マスタシリンダ24の圧力を検出するマスタ圧センサ38などが含まれる。この制御ユニット3では、ECU31が各種センサ32FL〜38の出力値に基づいて制動力制御装置2を制御する。これにより、所定の車両運動制御が行われて車両10の各種機能が実現される。
[ABS制御]
この車両運動制御システム1では、例えば、ABS制御が以下のように行われる。まず、各種センサ32〜38の出力値に基づいて路面摩擦係数が推定され、各車輪11FR〜11RLの制御モードが決定される。この制御モードは、各車輪11FR〜11RLに対する制動圧(制動力)の制御モードであり、減圧、保持または増圧のいずれか一つから選択される。そして、この制御モードに基づいて、制動力制御装置2の油圧回路21が駆動されて、各ホイールシリンダ22FR〜22RLの流体圧が減圧、保持あるいは増圧される。これにより、各車輪11FR〜11RLの制動圧が制御されて、車両10のスピンやドリフトアウト、車輪のスリップなどが抑制される。
[接地荷重低下時における制動圧の急増圧制御]
一般に、車両がジャンプしたり大きなうねりのある路面を走行したりすると、全部あるいは一部の車輪にて接地荷重低下(車輪の浮き上がりによる接地荷重抜け)が発生する。すると、接地荷重低下した車輪では、路面摩擦係数が実際の走行路面の摩擦係数よりも低く推定されるため、車輪の制動圧が減圧されてABS制御が行われる。その後に、車輪の制動圧が緩やかに増圧されて元の制動圧に復帰する。したがって、接地荷重低下により車輪の制動圧が減圧されると、本来の制動圧(現在の走行路面に対応した制動圧)に復帰するまでに所定の時間が必要となる。このため、制動圧の復帰が遅れて車両の運動が不安定となるおそれがある。
そこで、この車両運動制御システム1では、接地荷重低下時のABS制御により車輪の制動圧が減圧されたときに、この車輪の制動圧の増圧勾配を通常時よりも大きく設定して制動圧を早期に復帰させる制御(制動圧の急増圧制御)が行われる。この制御は、例えば、以下のように行われる(図2参照)。なお、この実施例では、車両10の駆動輪11RR、11RLについて急増圧制御が行われる例について説明する。
まず、ステップST1では、左右の駆動輪11RR、11RLの接地荷重が取得される。例えば、この実施例では、各駆動輪11RR、11RLの接地荷重が上下加速度センサ37の出力値(図3(c)参照)などに基づいて算出されている。
次に、ステップST2では、左右の駆動輪11RR、11RLの双方にて接地荷重低下が発生しているか否かの判定が行われる(接地荷重低下判定ステップST2)。例えば、左右の駆動輪11RR、11RLの双方の接地荷重が所定の閾値を下回っているときに、肯定判定が行われる。さらに、左右の駆動輪11RR、11RLの双方にて接地荷重が所定時間(例えば、50[ms]〜100[ms])継続して所定の閾値を下回っているときに、肯定判定が行われることが好ましい。所定時間の継続を条件とすることにより、ノイズによる誤判定が低減される。このステップST2にて、肯定判定が行われた場合には、ステップST3に進み、否定判定が行われた場合には、処理が終了される。
次に、ステップST3では、左右の駆動輪11RR、11RLの双方にて制動圧が減圧されているか否かの判定が行われる。すなわち、駆動輪11RR、11RLにて接地荷重低下が発生すると、駆動輪11RR、11RLの車輪速度が一時的に低下する(図3(a)参照)。このとき、ドライバーによる制動力要求(ブレーキペダルの踏み込み)があると、ABS制御が行われて、駆動輪11RR、11RLの制動圧が減圧される(図3(b)、(e)および(f)参照)。このとき、左右の駆動輪11RR、11RLの双方にて制動圧が減圧されている場合にのみ、肯定判定が行われる。したがって、一方の車輪11RR(11RL)にて制動圧が減圧され、他方の車輪11RL(11RR)にて制動圧が減圧されていないときには、否定判定が行われる。なお、「制動圧の減圧」には、制動圧が一度減圧された後に保持されている場合も含まれる。このステップST3にて、肯定判定が行われた場合には、ステップST4に進み、否定判定が行われた場合には、ステップST7に進む。
次に、ステップST4では、左右の駆動輪11RR、11RLに対する制動圧の急増圧制御が行われる。すなわち、左右の駆動輪11RR、11RLの双方にて接地荷重低下が発生していると判定(ST2)され、且つ、左右の駆動輪11RR、11RLの双方にて制動圧が減圧されていると判定(ST3)されたときに、急増圧要求フラグが立てられて(図3(d)参照)、制動圧の急増圧制御が行われる。したがって、車輪速度(図3(a)参照)の上昇回復に伴い制動圧が増圧されたときに、各駆動輪11RR、11RLの制動圧が本来の制動圧まで早期に復帰する(図3(e)参照)。これにより、車両10の制動性能が適正に確保される。
なお、この実施例では、制動圧の急増圧制御が左右の駆動輪11RR、11RLに対する制動圧の増圧勾配を通常時よりも大きく設定する制御により行われる。しかし、これに限らず、例えば、ABS制御における路面摩擦係数の推定値の更新勾配を通常時よりも大きく設定する制御により急増圧制御が行われてもよい。
また、この実施例では、駆動輪(後輪11RR、11RL)のみについて接地荷重低下の有無が判定されて、制動圧の急増圧制御が行われている(図3(e)および(f)参照)。しかし、これに限らず、左右の前輪11FR、11FLおよび左右の後輪11RR、11RLの各組について接地荷重低下の有無が判定されて急増圧制御が行われても良い(図示省略)。
次に、ステップST5では、急増圧制御を解除するか否かの判定が行われる。例えば、急増圧制御にかかる車輪11RR、11RLの制動圧が再び減圧された場合や所定の制動圧まで復帰した場合、あるいは、摩擦係数の上限値相当の減速度が発生した場合などに、肯定判定が行われる。そして、肯定判定の場合には、ステップST6に進み、否定判定の場合には、ステップST5が繰り返される。
次に、ステップST6では、制動圧の急増圧制御が解除される。これにより、制動圧の増圧勾配が通常時と同じ増圧勾配に戻される。
次に、ステップST7では、通常時の増圧勾配のまま制動圧の復帰が行われる。すなわち、一方の車輪11RR(11RL)にて制動圧が減圧され、他方の車輪11RL(11RR)にて制動圧が減圧されていないときには、急増圧制御(ST6)が行われず、減圧されている車輪11RR(11RL)の制動圧が緩やかに増圧されて元の制動圧まで復帰する。したがって、ABS制御時にて、左右の車輪のうちの一方の車輪でのみ急増圧制御が行われる事態が防止されるので、車両10の挙動の安定性が適正に確保される。
[効果]
以上説明したように、この車両運動制御システム1では、ABS制御により車輪の制動圧が減圧されたとき又は減圧後に制動圧を保持しているときに、この車輪の制動圧の増圧勾配を通常時よりも大きく設定して制動圧を早期に復帰させる急増圧制御が行われる(図2参照)。
このとき、(1)左右の車輪11RR、11RLの双方にて接地荷重低下が発生しているときには、左右の車輪11RR、11RLの双方にて急増圧制御(ST4)が行われる。したがって、接地荷重の低下に起因してABS制御が行われて左右の車輪11RR、11RLの制動圧が減圧されたときに、各車輪11RR、11RLの制動圧が本来の制動圧まで早期に復帰できる。これにより、車両10の制動性能が適正に確保される利点がある。
一方、(2)左右の車輪11RR、11RLのうちの一方の車輪11RR(11RL)にて接地荷重低下が発生し、他方の車輪11RL(11RR)にて接地荷重低下が発生していないときには、左右の車輪11RR、11RLの双方にて急増圧制御が禁止される。したがって、一方の車輪11RR(11RL)にて接地荷重低下によりABS制御が行われて制動圧が減圧されたときに、他方の車輪11RL(11RR)にて接地荷重低下が発生していない場合には、この他方の車輪にて制動圧11RL(11RR)が減圧されているか否かに関わらず、左右の車輪11RR、11RLの双方にて急増圧制御が禁止される。かかる構成では、一方の車輪のみにて急増圧制御行われて、左右の車輪の回転数差(あるいは制動力差)が大きくなり、車両運動が不安定となる事態が防止される利点がある。また、かかる構成では、例えば、低μ路の走行時にて片輪がジャンプしたときに、車両運動の安定性が適正に確保される利点がある。すなわち、低μ路走行時には、接地荷重低下が発生していない他方の車輪においても低μ路走行に起因したABS制御が行われる可能性が高い。このとき、急増圧制御を許可すると、低μ路走行に対する車両運動の安定性(スリップ等への対応)が確保されないおそれがある。
これらにより、車両の運動の安定性が適正に確保される利点がある。
[付加的事項]
なお、この車両運動制御システム1では、前輪(進行方向前側)にかかる左右の車輪11FR、11FLにて急増圧制御(ST4)が行われたときに、後輪にかかる左右の車輪11RR、11RLにおいても急増圧制御が行われることが好ましい(図示省略)。例えば、ジャンプ等による接地荷重低下が前輪11FR、11FLにて発生したときには、同じ路面を通る後輪11RR、11RLにおいても接地荷重低下が発生し得る。したがって、前輪11FR、11FLにて急増圧制御が行われたときに、これに追従して後輪11RR、11RLでも急増圧制御が行われることにより、車両の挙動の安定性がより適正に確保される利点がある。
また、この車両運動制御システム1では、急増圧制御の実行後に車輪11RR、11RLの制動圧が減圧されたときは、急増圧制御が禁止されることが好ましい(図示省略)。すなわち、接地荷重の低下に起因してABS制御が行われて左右の車輪11RR、11RLの制動圧が減圧されると、左右の車輪11RR、11RLの双方にて急増圧制御が行われる(ST2〜ST4)(図2参照)。このとき、ABS制御が再び行われて車輪11RR、11RLの制動圧が減圧されたときには、以後の急増圧制御が禁止されることが好ましい。例えば、急増圧制御がABS制御の初回の増圧時にのみ行われ、2回目以降の増圧時には、急増圧制御が禁止されて通常の増圧勾配にて制動圧の復帰が行われる。これにより、車両の挙動の安定性がより適正に確保される利点がある。
また、この実施例では、接地荷重低下判定ステップST2にて、鉛直方向の加速度を検出する上下加速度センサ37の出力値に基づいて接地荷重低下の発生の有無が判定されている。したがって、上下加速度センサ37の出力値が用いられることにより、接地荷重低下の発生の有無が適正に検出されている。
しかし、これに限らず、各駆動輪11RR、11RLのサスペンションにそれぞれ設置されたサスストロークセンサの出力値に基づいて、接地荷重低下の有無が判定されても良い(図示省略)。また、各駆動輪11RR、11RLのハブに設置された歪みゲージの出力値に基づいて、接地荷重低下の有無が判定されても良い(図示省略)。これらによっても、接地荷重低下の発生の有無が適正に検出される。
以上のように、この発明にかかる車両運動制御システムは、ABS制御時にて車両の運動を安定化できる点で有用である。
1 車両運動制御システム
2 制動力制御装置
3 制御ユニット
10 車両
11FR〜11RL 車輪
11RR、11RL 駆動輪(後輪)
21 油圧回路
22FR〜22RL ホイールシリンダ
23 ブレーキペダル
24 マスタシリンダ
32FL〜32RL 車輪速度センサ
33 操舵角センサ
34 ヨーレートセンサ
35 前後加速度センサ
36 横加速度センサ
37 上下加速度センサ
38 マスタ圧センサ

Claims (5)

  1. ABS制御時にて車輪の制動圧を減圧させたとき又は減圧後に制動圧を保持しているときに当該車輪の制動圧の増圧勾配を通常時よりも大きく設定する急増圧制御を行う車両運動制御システムであって、
    左右の前記車輪における接地荷重低下の発生をそれぞれ判定する接地荷重低下判定手段を備え、
    左右の前記車輪の双方にて接地荷重低下が発生しているときには、左右の前記車輪の双方にて前記急増圧制御が許可され、且つ、
    左右の前記車輪のうちの一方の車輪にて接地荷重低下が発生していると共に他方の車輪にて接地荷重低下が発生していないときには、左右の前記車輪の双方にて前記急増圧制御が禁止されることを特徴とする車両運動制御システム。
  2. 前輪にかかる左右の前記車輪にて前記急増圧制御が行われたときに、後輪にかかる左右の前記車輪においても前記急増圧制御が行われる請求項1に記載の車両運動制御システム。
  3. 前記急増圧制御の実行後に前記車輪の制動圧が減圧されたときは、前記急増圧制御が禁止される請求項1または2に記載の車両運動制御システム。
  4. 前記接地荷重低下判定手段が、鉛直方向の加速度を検出する上下加速度センサの出力値に基づいて接地荷重低下の発生の有無を判定する請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両運動制御システム。
  5. 前記接地荷重低下判定手段がサスストロークセンサの出力値に基づいて接地荷重低下の発生の有無を判定する請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両運動制御システム。
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