JP4834230B2 - 釣り用リールのドラグ機構 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドラグ機構、特に、釣り用リールのリール本体に装着された糸巻用のスプールの糸繰り出し方向の回転を制動する釣り用リールのドラグ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
スピニングリールや両軸受リールや片軸受リール等の釣り用リールには、スプールの糸繰り出し方向の回転を制動するドラグ機構が設けられている。ドラグ機構は、ドラグ操作部材の操作によりドラグ力を調整できる。一般に、釣り用リールのドラグ機構は、スプール又はスプールに連動する連動部材に設けられた第1ディスクと、第1ディスクに対向して設けられ、ドラグ操作部材の操作により第1ディスクに圧接可能な第2ディスクとを備えている。両軸受リールでは、ハンドル軸に螺合するスタードラグやリール本体に揺動自在に設けられたドラグレバー(ドラグ操作部材の一例)の操作により、第2ディスクを第1ディスク(たとえばメインギア)に対してハンドル軸やスプール軸の軸方向に相対移動させることで第1ディスクに圧接させてスプールを制動する。スピニングリールでは、スプール先端に設けられスプール軸に螺合するドラグつまみを回転させ、第2ディスクをスプール軸の軸方向に移動させることで第1ディスク(たとえばスプール)に圧接させてスプールを制動する。
【0003】
この種の釣り用リールのドラグ機構では、ドラグ作動時に魚の引きにより両ディスクが一定の摩擦力で相対回転する。これにより安定したドラグ力が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
摩擦力を利用した前記従来のドラグ機構では、静摩擦係数と動摩擦係数との違いからは、2つのディスクの摩擦力がドラグ作動開始当初大きくなりその後小さくなって設定されたドラグ力になる、いわゆる起動しゃくりが生じやすい。起動しゃくりが発生すると、釣り糸にかかる張力が急激に変化するので釣り糸がふけやすく、魚が釣り針から外れやすくなる。また、引きの違い、つまりドラグ作動時の釣り糸の繰り出し速度の違いによりドラグ力が変動する現象も生じやすい。このような現象が生じると、ドラグ力をせっかく正しく設定してもドラグ力が変動してドラグの設定を頻繁にやり直さなければならない。
【0005】
本発明の課題は、釣り用リールのドラグ機構において、引きの違いよるドラグ力の変動を可及的に抑えることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る釣り用リールのドラグ機構は、釣り用リールのリール本体に装着された糸巻用のスプールの糸繰り出し方向の回転を制動する機構であって、第1ディスクと、第2ディスクと、調整機構と、ドラグディスクと、を備えている。第1ディスクは、スプールに連動して回転し、環状の第1制動面を有するものである。第2ディスクは、リール本体に少なくとも糸繰り出し方向に回転不能に連結され、第1ディスクの第1制動面と対向する第2制動面を有し、第1ディスクを押圧するものである。調整機構は、第2ディスクの押圧力を調整可能な機構である。この第1ディスクの第1及び第2ディスクの第2制動面の少なくともいずれかは、同芯に配置された複数の環状溝を有している。ドラグディスクは、第1ディスクと第2ディスクとの間に両ディスクに接触可能に配置されている。複数の環状溝は、第1及び第2制動面の少なくともいずれかの外周縁より径方向内側に配置されている。
【0007】
このドラグ機構では、ドラグが作動してスプールが糸繰り出し方向に回転すると、第1ディスクがスプールに連動して回転し、第2ディスクと相対回転する。このとき、このとき第2ディスクが第1ディスクを押圧してスプールが制動される。この押圧力は調整機構により調整でき、ドラグ力を任意に調整できる。ここでは、いずれかの制動面に回転方向に沿う環状溝が形成されているので、図5及び図6に示すように、糸繰り出し速度に対する依存度合いが小さくなる。このため、引きの違いによるドラグ力の変動抑えることができる。
【0008】
また、環状溝が同芯に配置されているので加工の際に持ち替える必要がなくなり、環状溝の形成が容易である。
【0009】
さらに、両ディスクが直接摩擦する構成に比べて間にドラグディスクが介装されるので、ドラグ力の変動をさらに抑えることができる。
【0010】
発明に係る釣り用リールのドラグ機構は、発明1に記載の機構において、釣り用リールはスピニングリールであり、第1ディスクは、スプールの内周側にスプールと一体形成されており、第2ディスクは、スプールを回転自在かつ軸方向移動不能に装着されるとともにリール本体に対して回転不能なスプール軸に回転不能に装着されている。この場合には、スプールと第1ディスクとが一体であるので、ドラグ機構の構成が簡素になる。
【0011】
発明に係る釣り用リールのドラグ機構は、発明1に記載の機構において、釣り用リールは両軸受リールであり、第1ディスクは、スプールと連動して回転するメインギアであり、第2ディスクは、メインギアを回転自在に装着し、糸繰り出し方向への回転が禁止されたハンドル軸に回転不能に装着されている。この場合には、両軸受リールのスタードラグ型のドラグ機構において、起動しゃくり及び繰り出し速度によるドラグ変動を抑えることができる。
【0012】
発明に係る釣り用リールのドラグ機構は、発明1から3のいずれかに記載の機構において、ドラグディスクはフェルト製又はカーボングラファイト製である。ドラグディスクがフェルト製の場合には、摩擦係数が小さくなって起動しゃくりや速度によるドラグ力の変動をさらに抑えることができる。また、ドラグディスクがカーボングラファイト製の場合には、熱による変形が少なくなり、特にディスク枚数が増えた場合でも安定したドラグ性能が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
〔全体構成〕
図1において、本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、釣り竿に装着可能なリール本体2と、リール本体2に左右軸回りに回転自在に装着されたハンドル組立体1と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、糸開放姿勢と糸巻取姿勢とに揺動可能なベールアーム40を有しており、ハンドル組立体1の回転に連動して回転して釣り糸をスプール4に案内するものである。ロータ3は、リール本体2の前部に前後軸回りに回転自在に支持されている。スプール4は、ロータ3により案内された釣り糸を外周面に巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後軸方向に往復移動自在に配置されている。
【0014】
〔リール本体の構成〕
リール本体2は、図2に示すように、リール本体2の主部を構成するマグネシウム合金製のリールボディ2aと、リールボディ2aから斜め上前方に一体で延びるT字状の竿取付脚2bとを有している。
【0015】
リールボディ2aは、内部に機構装着用の空間を有しており、その空間内には、図2に示すように、ロータ3をハンドル組立体1の回転に連動して回転させるロータ駆動機構5と、スプール4を前後に移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構6とが設けられている。
【0016】
〔ロータ駆動機構の構成〕
ロータ駆動機構5は、ハンドル組立体1が回転不能に装着されたマスターギア11と、このマスターギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。
【0017】
マスターギア11は、フェースギアであり、マスターギア軸10と一体形成されている。マスターギア軸10は中心にハンドル組立体1が回転不能に係止される係止孔10aが形成された、たとえばステンレス製の中空の部材であり、その両端が、軸受を介してリールボディ2aに回転自在に支持されている。
【0018】
ピニオンギア12は、筒状の部材であり前後方向に沿って配置されリールボディ2aに回転自在に装着されている。ピニオンギア12の前部12aはロータ3の中心部を貫通しており、この貫通部分でナット33によりロータ3と固定されている。ピニオンギア12は、軸方向の中間部と後端部とでそれぞれ軸受14a,14bを介してリールボディ2aに回転自在に支持されている。このピニオンギア12の内部をスプール軸15が貫通している。ピニオンギア12は、マスターギア11に噛み合うとともに図示しない連結機構を介してオシレーティング機構6にも噛み合っている。
【0019】
〔オシレーティング機構の構成〕
オシレーティング機構6は、スプール軸15の下方に平行に配置された螺軸21と、螺軸21に沿って前後方向に移動するスライダ22と、螺軸21の先端に固定された中間ギア23とを有している。スライダ22は、螺軸21の螺旋状溝に係合する係合部材(図示せず)を有している。スライダ22は、螺軸21と平行に配置された上下2本のガイド軸24,24に移動自在に支持されている。スライダ22にはスプール軸15の後端が回転不能に固定されている。中間ギア23は、連結機構を介してピニオンギア12に噛み合っている。
【0020】
〔ロータの構成〕
ロータ3は、ピニオンギア12に固定された円筒部30と、円筒部30の側方に互いに対向して設けられた第1及び第2ロータアーム31,32と、釣り糸をスプール4に案内するためのベールアーム40とを有している。円筒部30と両ロータアーム31,32とは、たとえばアルミニウム合金製であり一体成形されている。
【0021】
図3に示すように、円筒部30の前部には前壁41が形成されており、前壁41の中心部には、後方に突出するボス部42が形成されている。このボス部42の中心部にはピニオンギア12に回転不能に係止される貫通孔が形成されており、この貫通孔をピニオンギア12の前部12a及びスプール軸15が貫通している。
【0022】
ピニオンギア12の前部12aにはナット33が螺合しており、このナット33によりピニオンギア12の先端部にロータ3が回転不能に固定される。ナット33の内周側には、軸受35が配置されている。軸受35は、スプール軸15とピニオンギア12の内面との間に隙間を確保するために設けられている。ナット33及び軸受35の前面には、内周側にリップを有するシール部材36が装着されている。シール部材36の先端はスプール軸15に接触している。これによりスプール軸15からリール本体2の内部への液体の浸入を防止できる。
【0023】
ボス部42に隣接して前述した逆転防止機構50が配置されている。逆転防止機構50は、図2に示すように、ワンウェイクラッチ51と、ワンウェイクラッチ51を作動状態(逆転禁止状態)と非作動状態(逆転許可状態)とに切り換える切換機構52とを有している。
【0024】
ワンウェイクラッチ51は、ピニオンギア12に内輪51aが回転不能に装着され、リールボディ2aの前部に外輪51bが回転不能に装着された内輪遊転型のローラ形のワンウェイクラッチである。
【0025】
切換機構52は、図2に示すようにストッパ軸53を有している。ストッパ軸53は、リールボディ2aに非作動姿勢と作動姿勢との間で揺動自在に装着されている。ストッパ軸53は、操作のためにリールボディ2a及び保護カバー13を貫通して後方に突出したストッパつまみ53aと、ストッパつまみ53aが固定された軸部53bと、軸部53bの先端に固定されたカム部53cとを有している。
【0026】
〔スプールの構成〕
スプール4は、図2に示すように、冷間鍛造されたアルミニウム合金製の浅溝形のものであり、ロータ3の第1ロータアーム31と第2ロータアーム32との間に配置されている。スプール4は、スプール軸15の先端部にドラグ機構60を介して連結されている。スプール4は、外周に釣り糸が巻かれる糸巻胴部4aと、糸巻胴部4aの後部に一体で形成されたスカート部4bと、糸巻胴部4aの前端に設けられたフランジ部4cとを有している。
【0027】
糸巻胴部4aは、図3及び図4に示すように、中心に筒状のボス部4gを有し、ボス部4g外周との間に筒状のドラグ収納部4hとを有する略3重の円筒状の部材であり、外周側の円筒部分の外周面はスプール軸15と平行な周面で構成されている。糸巻胴部4aは、ボス部4gに装着された2つの軸受56,57によりスプール軸15に回転自在に装着されている。ドラグ収納部4hと外周部とを連結する壁部4iには、周方向に間隔を隔てて多数の円形の透孔4jが形成されている。この透孔4jによりスプール4の強度を維持して軽量化を図っている。また、ドラグ収納部4hとボス部4gとを連結する環状の壁部4kの前面には、ドラグ性能を向上させるための同芯に配置された2つの環状溝85が形成されている。
【0028】
スカート部4bは、糸巻胴部4aの後端部から径方向に拡がった後に後方に延びる有底円筒部材である。スカート部4bの後部にも軽量化と意匠の向上を図るために透孔4mが形成されている。
【0029】
フランジ部4cは、糸巻胴部4aの前端部から径方向外方に一体的に形成された立ち上がり部4dと、立ち上がり部4dに着脱自在に装着された金属又はセラミック製のリング部4eとを有している。リング部4eは、糸巻胴部4aの内周面にねじ込まれたフランジ固定部材4fにより立ち上がり部4dに固定されている。
【0030】
スプール4は、スプール軸15に装着された位置決めワッシャ54に当接して位置決めされている。
【0031】
〔ドラグ機構の構成〕
ドラグ機構60は、スプール4とスプール軸15との間に装着されスプール4にドラグ力を作用させるための機構である。ドラグ機構60は、図3に示すように、ドラグ力を手で調整するためのつまみ部61と、つまみ部61によりスプール4側に押圧される複数枚のディスクからなる摩擦部62とを有している。
【0032】
つまみ部61は、スプール軸15に回転不能かつ軸方向移動自在に設けられた第1部材63と、第1部材63の軸方向前方に配置されスプール軸15に螺合する第2部材64と、第1部材63と第2部材64との間に装着された発音機構65とを有している。
【0033】
第1部材63は、円筒部63aと円筒部63aより大径のリング状の鍔部63bとを有する鍔付き円筒状の部材である。円筒部63aの内周部には、スプール軸15に回転不能に係止する小判形状の係止孔66が形成されている。第1部材63の円筒部63aの後端面が摩擦部62に当接する。第1部材63の円筒部63aと糸巻胴部4aの内側のドラグ収納部4hの内周面との間には、外部から摩擦部62側への液体の侵入を防止するためのシール板71が装着されている。シール板71は、たとえば、ステンレス製のリング部材の周囲にNBR製の皿状の弾性部材をアウトサート成形して得られたシール部材であり、外周部にリップを有している。シール板71は、スナップリング79により図8左方に付勢されている。シール板71の図8左側面には、リング状の突起部71cが形成されている。この突起部71cは、後述するカバー部材68に当接して内周側への液体の侵入を防止している。シール板71のリップは、ドラグ収納部4hの内周面にきつくはめ込まれた筒状の当接部材76に当接している。当接部材76は、内周面が機械加工された高精度の部品であり、このような当接部材76の内周面にリップを接触させることによりシール性能を向上させることができる。
【0034】
第2部材64は、第1部材63と対向しかつ第1部材63と相対回動自在に設けられている。第2部材64は、第1部材63のスプール軸15方向前方に並べて配置されたつまみ本体67と、つまみ本体67の外周部に先端が固定され第1部材63を内部に相対回動自在に収納するカバー部材68とを有している。
【0035】
つまみ本体67は円盤状の部材であり、前面に前方に突出した略台形状のつまみ67aが形成されている。つまみ本体67の内部には、スプール軸15の先端に螺合するナット69が回転不能かつ軸方向移動自在に装着されている。また、第2部材64とナット69との間においてスプール軸15の外周にはコイルばね70が圧縮状態で配置されている。
【0036】
カバー部材68は、段付き有底筒状の部材であり、その底部を第1部材63の円筒部63aが貫通している。また、底部にシール板71の突起部71cが当接している。カバー部材68の筒部68aは、つまみ本体67の外周面にたとえば2本のスプリングピン74により固定されている。このような中空のスプリングピン74は、中心孔から針金状の治具を挿入して引っ掛けることにより取り外すことができる。スプリングピン74の先端外周側には、スプリングピン74の抜け止めとカバー部材68の先端外周部からの液体の浸入を防止するためのシールバンド75が装着されている。シールバンド75は断面が矩形の弾性体製の環状体であり、僅かに伸長した状態で装着されている。
【0037】
摩擦部62は、第1部材63に接触するディスク部材(第2ディスクの一例)81と、ディスク部材81に装着されたドラグ発音機構83と、スプール4の円板状の壁部(第1ディスクの一例)4kと、ディスク部材81と壁部4kとの間に配置されたドラグディスク82とを有している。ディスク部材81は内円板部81aと、内円板部81aの外周側から後方に延びる円筒部81bと、円筒部81bの後端部から径方向外方に延びる外円板部81cとを有している。ディスク部材81は、内円板部81aがスプール軸15に係止され、スプール軸15に対して回転不能である。また、外円板部81cにドラグ発音機構83が装着されるとともに、グラファイト製のドラグディスク82を介して壁部4kの前面に接触している。ドラグ発音機構83は、スプール軸15とスプール4との相対回動時、つまりドラグ作動時に発音する。
【0038】
このように構成されたドラグ機構60では、壁部4kに回転方向に沿う2本の環状溝85が形成されているので、引きの違いによる釣り糸の繰り出し速度の影響を受けにくくなり、引きの強さに関わらずドラグ力が安定する。本発明の2本の環状溝85が形成されたドラグ機構60と環状溝がない従来のドラグ機構とで繰り出し速度の違いによる影響を実験した。この実験結果を図5及び図6に示す。ここで、図5は本発明によるドラグ機構を装着した本発明品の場合を示し、図6は環状溝がない従来品を示している。また、実線は1m/sの低速で釣り糸を繰り出した場合を示し、破線は10m/sの高速で繰り出した場合を示す。
【0039】
図5及び図6から明らかなように、本発明品では、高速時と低速時とでドラグ力の変動が少なく、変動幅は平均で略17%程度である。これに対して環状溝がない従来品では平均で40%となり、高速時と低速時とでかなり変動することがわかる。この結果、魚の引きの違いによっても設定されたドラグ力が実際のドラグ力に対して大きく変動していることがわかった。
【0040】
このように、環状溝85を形成することにより、ドラグ作動後のドラグ力を引きの違いに関わらず安定させることができる。
【0041】
〔リールの操作及び動作〕
このスピニングリールでは、キャスティング時等の糸繰り出し時にはベールアーム40を糸開放姿勢に倒す。この結果、釣り糸は仕掛けの自重によりスプール4の先端側から順に繰り出される。
【0042】
糸巻取時には、ベールアーム40を糸巻取姿勢側に戻す。これは、ハンドル組立体1を糸巻取方向に回転させると、ベール反転機構(図示せず)の働きにより自動的に行われる。ハンドル組立体1の回転力は、マスターギア軸10及びマスターギア11を介してピニオンギア12に伝達される。ピニオンギア12に伝達された回転力は、その前部12aからロータ3に伝達されるとともにピニオンギア12に噛み合う連結機構を介して中間ギア23によりオシレーティング機構6に伝達される。この結果、ロータ3が糸巻取方向に回転するとともにスプール4が前後に往復移動する。
【0043】
魚が仕掛けにかかって設定されたドラグ力より強い力で釣り糸を引っ張ると、ドラグ機構60が作動する。このとき、起動しゃくりが抑制されるとともに、その後のドラグ力も引きの違いに関わらず安定する。
【0044】
〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、フロントドラグ型のスピニングリールを例に説明したが、リアドラグ型のスピニングリールや他の形態の釣り用リールのドラグ機構にも本発明を適用できる。
【0045】
図7には、両軸受リールのスタードラグ型のドラグ機構を示し、図8には、両軸受リールのレバードラグ型のドラグ機構を示し、図9には片軸受リールのドラグ機構を示している。
【0046】
図7において、スタードラグ型の両軸受リールは、スプール90と先端にハンドル99が回転不能に装着されたハンドル軸91とがクラッチ機構92を介して連結されたリールである。スプール90の糸繰り出し方向の回転を制動するドラグ機構93は、スタードラグ94の回動操作によりドラグ力が調整される。ドラグ機構93は、ハンドル99の回転を伝達する回転伝達機構95の途中に配置されている。ドラグ機構93は、ハンドル軸91に螺合するスタードラグ94と、スプール90に連動して回転するメインギア(第1ディスクの一例)96と、ハンドル軸91に回転不能に装着されたディスク部材(第2ディスクの一例)97と、メインギア96とディスク部材97との間に配置されたドラグディスク98とを備えている。ハンドル軸91は、糸繰り出し方向の回転が禁止されている。メインギア96のドラグディスク98との接触面には、2本の環状溝96aが形成されている。ディスク部材97は、スタードラグ94により押圧されてドラグディスク98を介してメインギア96を押圧する。
【0047】
このような構成のスタードラグ型の両軸受リールのドラグ機構93でも、環状溝96aにより起動しゃくりが改善されかつ引きの違いによるドラグ力の変動を抑えることができる。
【0048】
図8において、レバードラグ型の両軸受リールは、スプール105とスプール軸106とがクラッチ機構107を介して連結されたリールである。スプール105を制動するドラグ機構100は、ドラグレバー101の揺動操作によりスプール軸106が軸方向に移動してドラグ力が調整される。ドラグ機構100は、ハンドル102の回転を伝達する回転伝達機構103の途中に配置されている。ドラグ機構100は、スプール90と連動回転するスプール軸106に回転不能に装着された第1ドラグ部110と、回転伝達機構103に連結された第2ドラグ部111とを備えている。回転伝達機構103は、糸繰り出し方向の回転が禁止されている。両ドラグ部110,111は圧接可能に対向して配置されており、ドラグレバー101を操作すると第1ドラグ部110がスプール軸106とともに軸方向に移動し、第2ドラグ部111との圧接力が変化しドラグ力が調整される。この第1ドラグ部110には、グラファイト製のディスク(第1ディスクの一例)110aが固着されており、第2ドラグ部111にはディスク(第2ディスクの一例)110aに対向してステンレス合金製のディスク111aが固着されている。ディスク111aの対向面には、2本の環状溝111bが同芯に形成されている。
【0049】
このような構成のドラグ機構100でも、設定されたドラグ力を超える魚の引きによりスプール105が糸繰り出し方向に回転して第2ドラグ部111に対して第1ドラグ部110が回転すると、前記実施形態と同様な効果が得られる。なお、レバードラグ型の両軸受リールにおいて、スプールに直接ディスクを固着した形態のものにおいても同様な効果が得られる。
【0050】
図9において、片軸受リールは、ハンドル120によりスプール121を直接回転させるリールである。スプール121を制動するドラグ機構122は、ドラグつまみ123の揺動操作によりドラグ力が調整される。ドラグ機構122は、スプール121内部に配置されている。ドラグ機構122は、スプール軸130にワンウェイクラッチ124を介して連結された筒状のホルダ125と、ホルダ125に装着されたディスク部材128と、ディスク部材128に接触して配置されたドラグディスク126と、ドラグディスク126を押圧するための押圧機構127とを備えている。ディスク部材128のドラグディスク126に対向する制動面には、環状溝128aが形成されている。ホルダ125の一端面は、2枚のワッシャ129a,129bを介してスプール121の内側端面に当接している。ワンウェイクラッチ124は、ホルダ125がスプール軸130に対して糸巻上げ方向に回転するのは許容するが、糸繰り出し方向に相対回転するのは禁止する。ドラグディスク126はグラファイト製のリング状の部材であり、ホルダ125の他端面と押圧機構127との間に両者に接触可能に配置されている。
【0051】
このような実施形態においても、手で釣り糸を引っぱり出すときや魚の引きにより釣り糸が繰り出されるときに前記実施形態と同様な効果が得られる。
【0052】
b) 環状溝の形成場所はスプールに連動して回転する第1ディスクに限定されず第2ディスクに形成してもよく、両方のディスクに形成してもよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、いずれかの制動面に回転方向に沿う環状溝が形成されているので、静摩擦係数と動摩擦係数とが近づきドラグ作動当初に第2ディスクに対して第1ディスクがスムーズに回転を開始し、起動しゃくりを抑えることができる。また糸繰り出し速度に対する依存度合いが小さくなるので、引きの違いによるドラグ力の変動も抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を採用したスピニングリールの左側面図。
【図2】 その左断面図。
【図3】 ドラグ機構を示す断面部分図。
【図4】 図3のIV−IV断面図。
【図5】 本発明の一実施形態によるドラグ機構のドラグ性能を示すグラフ。
【図6】 従来例の図5に相当するグラフ。
【図7】 他の実施形態によるスタードラグ型のドラグ機構を有する両軸受リールの断面図。
【図8】 さらに他の実施形態によるレバードラグ型のドラグ機構を有する両軸受リールの断面図。
【図9】 さらに他の実施形態によるドラグ機構を有する片軸受リールの断面図。
【符号の説明】
2 リール本体
4 スプール
4k 壁部(第1ディスクの一例)
60 ドラグ機構
61 つまみ部
81 ディスク(第2ディスクの一例)
85 環状溝
93 ドラグ機構
94 スタードラグ
96 メインギア
96a 環状溝
97 ディスク部材
98 ドラグディスク
100 ドラグ機構
101 ドラグレバー
110 第1ドラグ部
111 第2ドラグ部
111b 環状溝
122 ドラグ機構
126 押圧機構
128 ディスク部材
128a 環状溝

Claims (4)

  1. 釣り用リールのリール本体に装着された糸巻用のスプールの糸繰り出し方向の回転を制動する釣り用リールのドラグ機構であって、
    前記スプールに連動して回転し、環状の第1制動面を有する第1ディスクと、
    前記リール本体に少なくとも前記糸繰り出し方向に回転不能に連結され、前記第1ディスクの前記第1制動面と対向する第2制動面を有し、第1ディスクを押圧する第2ディスクと
    前記第2ディスクの押圧力を調整可能な調整機構と、
    前記第1ディスクと第2ディスクとの間に前記両ディスクに接触可能に配置されたドラグディスクと、を備え
    前記第1及び第2制動面の少なくともいずれかは、同芯に配置された複数の環状溝を有し、
    前記複数の環状溝は、前記第1及び第2制動面の少なくともいずれかの外周縁より径方向内側に配置されている、釣り用リールのドラグ機構。
  2. 前記釣り用リールはスピニングリールであり、
    前記第1ディスクは、前記スプールの内周側に前記スプールと一体形成されており、
    前記第2ディスクは、前記スプールを回転自在かつ軸方向移動不能に装着するとともに前記リール本体に対して回転不能なスプール軸に回転不能に装着されている、請求項1に記載の釣り用リールのドラグ機構。
  3. 前記釣り用リールは両軸受リールであり、
    前記第1ディスクは、前記スプールと連動して回転するメインギアであり、前記第2ディスクは、前記メインギアを回転自在に装着し、糸繰り出し方向への回転が禁止されたハンドル軸に回転不能に装着されている、請求項1に記載の釣り用リールのドラグ機構。
  4. 前記ドラグディスクはフェルト製又はカーボングラファイト製である、請求項1から3のいずれか1項に記載の釣り用リールのドラグ機構。
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