JP3961690B2 - 両軸受リールのドラグ機構 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドラグ機構、特に、両軸受リールのスプールの糸繰り出し方向の回転をスタードラグの操作により可変に制動可能な両軸受リールのドラグ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
両軸受リールには、スプールの糸繰り出し方向の回転を制動するドラグ機構が設けられている。ドラグ機構は、スタードラグの操作によりドラグ力を調整できる。
一般に、両軸受リールのドラグ機構は、スプールに連動するメインギアとスタードラグとの間に互いに圧接可能かつメインギアに圧接可能に設けられた複数のディスク部材を備えている。両軸受リールでは、ハンドル軸に螺合するスタードラグの操作により、複数のディスク部材をハンドル軸の軸方向に相対移動させることで互いに圧接させてメインギアを介してスプールを制動する。
【0003】
この種の両軸受リールのドラグ機構では、ドラグ作動時に魚の引きにより相対回転するディスク部材の摩擦によりディスク部材が発熱する。したがってディスク部材の少なくともいずれかは耐摩耗性及び耐熱性を有する素材を用いるのが好ましい。
耐摩耗性及び耐熱性を有する素材として、従来、フェノール樹脂を紙や織布に含浸させて積層成型したフェノール樹脂積層素材やコルク素材やカーボン繊維強化樹脂素材や金属素材等がディスク部材に使用されている。このような材料を採用したドラグ機構では、ディスク部材表面に水分が付着した際の制動力の不安定化(ドラグしゃくり)を防止するために、ディスク部材の全面にグリースが塗布されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のドラグ機構では、ディスク部材間の摩擦力を大きくして小さな押圧力で大きなドラグ力が得られるようにするために、これらの素材とともにグリースを用いないようにするのが望ましい。しかし、グリースを用いないと、前述のようにドラグしゃくりが生じたり、ディスク部材同士の摩耗により発生した異物(糸くずやコルクくずやカーボン粉や金属粉等)がドラグ機構から飛散しやすい。異物がドラグ機構から飛散すると、近接するメインギアやピニオンギアの歯面に異物が付着してギアの噛み合いフィーリングを悪化させるおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、両軸受リールのドラグ機構において、小さな押圧力で大きなドラグ力が得られ、かつギアの噛み合いフィーリングを良好に維持することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る両軸受リールのドラグ機構は、両軸受リールのリール本体に回転自在に支持されたスプールの糸繰り出し方向の回転をハンドル軸に螺合する操作部材の回動操作により可変に制動可能な機構であって、第1回転部材と、第2回転部材と、1又は複数のディスク部材と、異物飛散防止手段とを備えている。第1回転部材は、リール本体に対して回転自在となるようにハンドル軸に装着される、メインギアを含む部材である。第2回転部材は、ハンドル軸に装着されリール本体に対してスプールの糸繰り出し方向へは回転が防止される部材である。ここで、ハンドル軸が糸繰り出し方向に回転できないようになっている両軸受リールでは、第2回転部材はハンドル軸に回転不能に装着され、ハンドル軸が糸繰り出し方向に回転可能な両軸受リールでは、第2回転部材は、ハンドル軸に糸繰り出し方向に回転できないように装着されている。1又は複数のディスク部材は、第1回転部材と第2回転部材との間に配置されている。異物飛散防止手段は、ディスク部材及び両回転部材の少なくとも一つの外周側に設けられ、ディスク部材及び両回転部材の摩耗により発生する異物の飛散を防止するための手段である。異物飛散防止手段は、ディスク部材及び前記両回転部材の少なくとも一つの外周部分に形成されたグリース層である。
【0007】
このドラグ機構では、操作部材の操作により両回転部材及び各ディスク部材を圧接させた状態で魚の引き等によりスプールが糸繰り出し方向に回転すると、第1回転部材と第2回転部材と両回転部材の間に配置された1又は複数のディスク部材とが圧接しつつ相対回転してメインギアを介してスプールが制動される。このとき摩耗により異物が発生することがあるが、この異物は両回転部材及びディスク部材の少なくとも一つの外周側に設けられた飛散防止手段により飛散が防止される。このため、グリースを全面に用いることなく異物の飛散を抑えることができるので、小さな押圧力で大きなドラグ力が得られ、かつギアの噛み合いフィーリングを良好に維持できる。
【0008】
また、グリースを用いているが、グリース層の領域は両回転部材又はディスク部材の外周部分、すなわち両回転部材又はディスク部材の外周縁や外周端面だけであるので、摩擦 力の低下を少なくすることができ、小さな押圧力で大きなドラグ力が得られる。さらに、外周部分に形成されたグリース層に異物が付着して異物の飛散が防止されるので、ギアの噛み合いフィーリングを良好に維持できる。しかもグリース層を形成するだけで異物の飛散を防止できるので、異物飛散防止手段の構成が簡素である。
【0009】
発明2に係る両軸受リールのドラグ機構は、両軸受リールのリール本体に回転自在に支持されたスプールの糸繰り出し方向の回転をハンドル軸に螺合する操作部材の回動操作により可変に制動可能な機構であって、第1回転部材と、第2回転部材と、1又は複数のディスク部材と、異物飛散防止手段とを備えている。第1回転部材は、リール本体に対して回転自在となるようにハンドル軸に装着される、メインギアを含む部材である。第2回転部材は、ハンドル軸に装着されリール本体に対してスプールの糸繰り出し方向へは回転が防止される部材である。ここで、ハンドル軸が糸繰り出し方向に回転できないようになっている両軸受リールでは、第2回転部材はハンドル軸に回転不能に装着され、ハンドル軸が糸繰り出し方向に回転可能な両軸受リールでは、第2回転部材は、ハンドル軸に糸繰り出し方向に回転できないように装着されている。1又は複数のディスク部材は、第1回転部材と第2回転部材との間に配置されている。異物飛散防止手段は、ディスク部材及び両回転部材の少なくとも一つの外周側に設けられ、ディスク部材及び両回転部材の摩耗により発生する異物の飛散を防止するための手段である。異物飛散防止手段は、両回転部材及び複数のディスク部材の対向面のいずれかの外周縁に形成された環状凹部である。
【0010】
このドラグ機構では、操作部材の操作により両回転部材及び各ディスク部材を圧接させた状態で魚の引き等によりスプールが糸繰り出し方向に回転すると、第1回転部材と第2回転部材と両回転部材の間に配置された1又は複数のディスク部材とが圧接しつつ相対回転してメインギアを介してスプールが制動される。このとき摩耗により異物が発生することがあるが、この異物は両回転部材及びディスク部材の少なくとも一つの外周側に設けられた飛散防止手段により飛散が防止される。このため、グリースを全面に用いることなく異物の飛散を抑えることができるので、小さな押圧力で大きなドラグ力が得られ、かつギアの噛み合いフィーリングを良好に維持できる。
【0011】
また、両回転部材及び1又は複数のディスク部材の隙間から異物が発生してもそれが環状凹部に貯まって外部に飛散しにくくなる。
【0012】
発明に係る両軸受リールのドラグ機構は、発明1又は2に記載の機構において、1又は複数のディスク部材のうち少なくとも一つはグラファイト製である。この場合には、少なくとも一つのディスク部材がグラファイト製であるため、摩耗しても摩擦係数が変化しにくい。また、摩耗してもドラグ力が変動しにくく、経年変化によるドラグ性能の変動が少ない。また、ディスク部材の全面にグリースを塗らなくてもディスク部材表面に水分が付着した場合の制動力が安定する。
【0013】
発明に係る両軸受リールのドラグ機構は、発明に記載の機構において、複数のディスク部材及び両回転部材はグラファイト製のものとステンレス製のものとが交互に配置されている、この場合には、グリース等の潤滑油を全面に塗布する必要がないので、温度変化によるドラグ性能の変動を抑えられるとともに摩擦係数を高く維持でき大きなドラグ力を得やすい。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1において、本発明の一実施形態を採用した両軸受リールは、たとえば、5号の釣り糸を300m程度巻き付け可能な中型の丸型リールである。丸型リールは、リール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転用のハンドル組立体2と、ハンドル組立体2のリール本体1側に配置されたスタードラグ(操作部材の一例)3とを備えている。なお、この両軸受リールは、レベルワインド機構は有していない。
リール本体1には、スプール15が回転自在に装着されている。リール本体1は、竿取付脚4を介して釣り竿RDに装着され得る。リール本体1は、図2に示すように、所定の間隔をあけて配置された左右1対の側板10,11と側板10,11を連結する複数の支持部材12とを有するフレーム5と、フレーム5の両側方に装着された第1カバー13及び第2カバー14と、第2カバー14に装着された機構装着板16とを有している。機構装着板16は側板11に接触して配置され、機構装着板16と第2カバー14との間には、後述する各種機構を収納するための空間が形成されている。
【0015】
フレーム5はダイキャスト成形により得られ、第2カバー14は、金属薄板をプレス成形して得られる。1対の側板10,11及び第1カバー13は、それぞれ側面から見て円形をなしており、外周面はたとえば旋盤等を用いて機械加工されている。第2カバー14及び機構装着板16は、図2及び図3に示すように、側面から見て円形の一部が径方向に突出した形状である。第2カバー14は、ハンドル軸30(後述)の装着部分を中心に軸方向外方にも膨出している。
【0016】
支持部材12は、両側板10,11の外周に沿う形状で両側板10,11と一体で形成された板状の部材であり、たとえばリール本体1の後部と下部と上部との3か所で1対の側板10,11を連結している。このように側板10,11と複数の支持部材12とを一体で形成することで、リール本体1に大きな荷重が作用しても撓み等の変形が生じがたく、巻上げ効率の低下が抑制される。この支持部材12の外周部と側板10,11とは一体で、第1カバー13と同様に機械加工されている。
【0017】
下部の支持部材12には竿取付脚4が固定されている。竿取付脚4は、フレーム5の側板10,11間の中心位置Fに沿って配置されている。この中心位置Fは、スプール15の糸巻取部の中心位置でもある。後部の支持部材12には、リールを釣り竿とともに保持するための合成樹脂製のサムレスト17が装着されている。
【0018】
サムレスト17は、支持部材12の上部と後部とに接するように形成され、かつ後部が側板10,11から径方向外方、つまり後方に突出している。サムレスト17の上面後部は、下方に凸に湾曲しながら傾斜している。また、サムレスト17の上面後部の左端及び右端は、後方への突出量が左側にいくにつれて徐々に減少している。
【0019】
このような形状のサムレスト17を設け、このサムレスト17にたとえば左手の親指を置いて他の指で釣り竿RDをつかみ釣り竿RDとともにリールを握ることで、バーチカルジギング時等に釣り竿RDをリールとともに確実に保持できる。
ハンドル組立体2は、ハンドル軸30の先端に回転不能に装着されたクランクアーム6と、クランクアーム6の一端にクランクアーム6の一端部と直交する軸回りに回転自在に装着されたハンドル把手7と、ハンドル把手7をクランクアーム6に回転自在に装着するための回転支持部8とを有している。ハンドル組立体2において、クランクアーム6のハンドル軸30装着部分が回転支持部8装着部分よりリール本体1から離反している。つまり、ハンドル把手7の基端部の回転平面がクランクアーム6のハンドル軸30への固定部分の回転平面よりリール本体1側に接近している。
【0020】
クランクアーム6は、ハンドル軸30の径方向に延び2カ所で屈曲した平板状の金属製の部材である。クランクアーム6は、図2に示すように、ハンドル軸30の先端に形成された面取り部30aに回転不能に係止されており、固定ナット30bによりハンドル軸30に着脱自在に固定されている。
【0021】
スプール15は、図2に示すように、1対の側板10,11間に回転自在に配置されている。スプール15は、糸巻胴部15aと、糸巻胴部15aの両端に一体で形成されたフランジ部15bとを有している。スプール15の中心にはスプール軸25が貫通して固定されている。スプール軸25は第1カバー13及び機構装着板16に軸受26a,26bを介して回転自在に支持されている。
【0022】
機構装着板16と第2カバー14の間の空間には、ハンドル組立体2からのトルクをスプール15に伝えるための回転伝達機構20と、回転伝達機構20内に設けられたクラッチ機構21と、クラッチ機構21をオンオフ操作するためのクラッチ操作機構22とが配置されている。
【0023】
回転伝達機構20は、スプール15からハンドル組立体2側にトルクが逆に伝達された場合のトルクを規制するための回転制御機構23を含んでいる。また、側板11の中心部には糸繰り出し方向に自由回転するスプール15を制動するための遠心ブレーキ機構24が配置されている。側板10の外側で第1カバー13内には、スプール15回転時に発音させる発音機構や根がかりしたとき等にスプール15を完全にロックして糸切れしやすくするためのロック機構等が配置されている。
【0024】
回転伝達機構20は、一端にハンドル組立体2が固定されたハンドル軸30と、ハンドル軸30の他端に回転制御機構23を介して連結されたメインギア31と、メインギア31に噛み合うピニオンギア32とを有している。
【0025】
ハンドル軸30は、スプール軸25と平行に配置されており、一端側が機構装着板16に回転自在に支持されている。メインギア31は、ハンドル軸30に対して回転自在に装着されており、ハンドル軸30の一端側に回転制御機構23を介して相対回転不能に連結することが可能である。メインギア31の内周部には、リング状の収納空間31dが形成されている。また、メインギア31には、係止用の溝31bが収納空間31aの縁部に2カ所形成されている。このような構成では、クラッチ機構21がオンされた状態では、ハンドル組立体2からのトルクがメインギア31及びピニオンギア32を介してスプール15に直接伝達される。
【0026】
クラッチ機構21は、スプール軸25の外周部にスライド自在に装着された筒状のピニオンギア32と、ピニオンギア32の一部に配置された係合溝32aとスプール軸25に配置されたピン33とを有している。スプール軸25に沿ってピニオンギア32を摺動させて、係合溝32aをピン33と係合すれば、スプール軸25とピニオンギア32との間で回転力が伝達される。この状態が連結状態(クラッチオン状態)である。係合溝32aとピン33の係合を外せば、スプール軸25とピニオンギア32との間で回転力は伝達されない。この状態が遮断状態(クラッチオフ状態)である。クラッチオフ状態では、スプール15は自由に回転する。ピニオンギア32は、クラッチ操作機構22により係合溝32aとピン33とが係合する方向すなわちクラッチオン状態に付勢されている。クラッチ操作機構22は、リール本体1の第2カバー14に連結姿勢と遮断姿勢との間で揺動自在に装着されたクラッチレバー40を備えている。
【0027】
回転制御機構23は、ハンドル軸30を糸巻取方向にのみ回転させる(糸繰り出し方向の回転を禁止する)ローラ型のワンウェイクラッチ機構70と、スプール15の糸繰り出し方向の回転に対して設定したドラグ力を作用させるためのドラグ機構72と、ハンドル軸30を糸巻取方向にのみ回転させる爪式のラチェット機構74とを有している。
【0028】
なお、ハンドル軸30の逆転(糸繰り出し方向の回転)を禁止するだけであれば、ラチェット機構74のみを設けてワンウェイクラッチ機構70を省いてもよい。しかし、ラチェット機構74は、ラチェット爪がラチェットホイールに噛み合ったり外れたりする動作にある程度の時間がかかる。釣りの動作に要求される迅速で滑らかな逆転禁止動作を果たすには、前記のようなローラ型のワンウェイクラッチ機構70が好ましく、ワンウェイクラッチ機構70では負担できないような過大な力をラチェット機構74で負担することが有効である。
【0029】
ドラグ機構72は、図3に示すように、ハンドル軸30に螺合するスタードラグ3の操作によりドラグ力を調整可能である。ドラグ機構72は、メインギア(第1回転部材の一例)31と、ワンウェイクラッチ機構70に隣接して配置された配置されたディスク部材85(第2回転部材の一例)と、メインギア31と回転部材85との間に配置された5枚のドラグディスク80〜84と、ワンウェイクラッチ機構70とスタードラグ3との間に配置された2枚の皿ばね92,93とを有している。皿ばね92とワンウェイクラッチ機構70との間には、ハンドル軸30を回転自在に支持するための転がり軸受90とワッシャ91とが配置されている。スタードラグ3と皿ばね93との間にはワッシャ94が配置されている。
【0030】
ドラグディスク80〜82は、メインギア31内の収納空間31a内に収納される。ドラグディスク80は、グラファイト製のリング状の部材であり、円筒棒状のグラファイト素材を切断して得られる。ドラグディスク80は、メインギア31に対向して配置されておりメインギア31に圧接可能である。ドラグディスク81は、ハンドル軸30に形成された第1角形部30dに係止される四角形の中心孔81aを有している。このため、ドラグディスク81は、ハンドル軸30に対して回転不能でありドラグディスク80と相対回転可能である。ドラグディスク81はたとえばステンレス合金製である。ドラグディスク82は、グラファイト製のリング状の部材であり、ドラグディスク80と同様に円筒棒状のグラファイト素材を切断して得られる。ドラグディスク82は、ハンドル軸30に対して回転自在である。
【0031】
なお、ハンドル軸30には、第1角形部30dの図3左側に間隔を隔てて第2角形部30eが形成されており、第2角形部30eには鍔部30fも形成されている。この第2角形部30eには、ラチェット機構74を構成するラチェットホイール74aが回転不能に装着されており、ラチェットホイール74aとメインギア31との間には、ワッシャ99がラチェットホイール74aとメインギア31に圧接可能に装着されている。
【0032】
ドラグディスク83は、ステンレス合金製のリング状の部材でありハンドル軸30に対して回転自在である。ドラグディスク83の周縁部の対向する2カ所には、メインギア31側に延びる係止片83aが形成されている。係止片83aは、メインギア31の係止用の溝31bに係止される。この結果、ドラグディスク83は、メインギア31と一体回転する。ドラグディスク84は、グラファイト製のリング状の部材であり、ドラグディスク80と同様に円筒棒状のグラファイト素材を切断して得られる。ドラグディスク84は、ハンドル軸30に対して回転自在である。
【0033】
ディスク部材85は、ステンレス製のリング状の部材であり、内周部にハンドル軸30の面取り部30aに回転不能に係止される小判孔85aが形成されている。このため、ディスク部材85は、ハンドル軸30に対して回転不能である。また、この内周部の対向する2カ所には、係止凹部85bが形成されている。この係止凹部85bには、ワンウェイクラッチ機構70を構成する内輪86が回転不能に連結されている。この内輪86の一端には、係止凹部85bにはめ込まれる1対の係止突起86aがディスク部材85側に突出している。内輪86の他端は転がり軸受90に接触している。これにより内輪86は、ハンドル軸30とともに回転するようになっている。
【0034】
各ドラグディスク80〜84及びディスク部材85の外周部分には、図4に太線で示すように、グリース層95が形成されている。グリース層95は、メインギア31、ドラグディスク80〜84及びディスク部材85の摩耗により発生するカーボン粉や金属粉等の異物がディスク外に飛散してメインギア31やピニオンギア32の歯面に付着するのを防止するために設けられている。グリース層95は、各ドラグディスク80〜84及びディスク部材85の外周縁95a及び外周端面95bの少なくとも一方にグリースを薄く塗布することにより形成されている。このようなグリース層95を設けると、摩耗により発生する異物がグリース層95に付着して外部に飛散しにくくなり、ギアの噛み合いフィーリングの性能低下を抑えることができる。またグリースをドラグディスク80〜84及びディスク部材85の全面に塗布していないので、摩擦力の低下を抑えることができ、小さな押圧力で大きなドラグ力を得ることができる。
【0035】
皿ばね92、93は、周縁部が接触するように配置されている。皿ばね92,93は、メインギア31、各ドラグディスク80〜84及びディスク部材85への圧接力を調節するために設けられている。
【0036】
次に、リールの動作について説明する。
【0037】
釣りを行う前には、スタードラグ3を回転させてドラグ力を調整する。ドラグ力を調整する場合には、ばね秤や目標とする魚と同程度の重さを有する重りを釣り糸の先端に連結し、連結したはかりや重りを引っ張って所望のドラグ力が発生するようにスタードラグ3を回転させる。
【0038】
スタードラグ3を図3時計回りに回転させると、ハンドル軸30に螺合するスタードラグ3がリール本体1に近づく方向に軸方向に移動する。これにより皿ばね92,93が撓んでワッシャ91,転がり軸受90及び内輪86をハンドル軸30の基端側(図3左側)に押圧する。すると、メインギア31、各ドラグディスク80〜84及びディスク部材85の圧接力が高まりドラグ力が強くなる。逆にスタードラグ3を反時計回りに回転させると、スタードラグ3がハンドル軸30の先端側に移動し、メインギア31、各ドラグディスク80〜84及びディスク部材85の圧接力が低まりドラグ力が弱くなる。
釣り糸を繰り出す時には、クラッチレバー40によりクラッチ機構21をクラッチオフ状態にする。これによりスプール15が自由回転状態になり、ジグ(仕掛け)の自重によりスプール15が糸繰り出し方向に回転し、釣り糸がスプール15から繰り出される。ジグが海底に到達するとハンドル組立体2を糸巻取方向に回転させてバーチカルジギングを開始する。ハンドル組立体2を糸巻取方向に回転させると図示しないクラッチリターン機構によりクラッチオン状態になる。
【0039】
バーチカルジギングを行うときには、たとえば、左の脇に釣り竿RDの図示しない後端部を挟み、リール本体1の後部に固定されたサムレスト17に左手の親指を置き、残りの指で釣り竿を掴んでリールと釣り竿RDとを保持し、左手で釣り竿RDをしゃくりつつ右手でハンドル組立体2のハンドル把手7をつまみ、高速でハンドル軸30を回すポンピング動作を繰り返す。
【0040】
ハンドル組立体2を糸巻取方向に回転させると、ハンドル組立体2の回転がハンドル軸30からワンウェイクラッチ機構70、ドラグ機構72を介してメインギア31にそのまま伝達される。このときクラッチ機構21はオン状態のため、メインギア31の回転はピニオンギア32からスプール15に伝達されて、釣り糸が巻き上げられる。このとき、ワンウェイクラッチ機構70及びラチェット機構74では、回転が糸巻取方向であるので回転を許容する。
【0041】
魚の引きなどで釣り糸が繰り出される際には、スプール15の回転がメインギア31に伝達され、ドラグ機構72を介してハンドル軸30およびワンウェイクラッチ機構70に伝わる。ワンウェイクラッチ機構70ではハンドル軸30の逆転が禁止される。魚の引きが弱ければ、スプール15は回転せず釣り糸が引き出されることもない。そして、魚の引きが強くなりスプール15の回転力が大きくなると、伝達される回転力がドラグ機構72の設定されたドラグ力を超える。すると、ドラグ機構72でメインギア31,ドラグディスク80〜84及びディスク部材85の滑りが生じるので、メインギア31を含むスプール15側は回転を始める。このとき、スプール15には常にドラグ機構72から一定の抵抗力すなわちドラグ力が作用する。
【0042】
このドラグ力が作用するときドラグディスク80〜84の一部がグラファイト製であるので、摩耗してもドラグ力が変動しにくく、経年変化によるドラグ性能の変動が少ない。しかも、グリース等の潤滑油を全面に塗布する必要がないので、温度変化によるドラグ性能の変動を抑えられるとともに摩擦係数を高く維持でき大きなドラグ力を得やすい。さらに摩耗により異物が発生しても、グリース層95に付着して外部に飛散しにくい。このため、異物の飛散によるギアの噛み合いフィーリングの低下を抑えることができる。
【0043】
〔他の実施形態
(a) 図に示すように、加工しやすいメインギア31やステンレス製のドラグディスク81,83やディスク部材85の外周縁に形成された環状溝98により異物飛散防止手段を実現してもよい。この場合、対向するディスクの隙間から異物が発生してもそれが環状溝98に貯まって外部に飛散しにくくなる。
【0044】
) 前記実施形態では、ドラグディスクの素材としてグラファイト素材やステンレス合金を使用したが、本発明はこれに限定されずドラグディスクの素材はカーボン繊維強化樹脂やフェノール樹脂積層素材やコルク素材等の他の素材でもよい。
【0045】
) 前記実施形態では、放射状に延びるスタードラグ3によりドラグ機構72を操作したが、第2カバーに設けられたレバー状の操作部材によりドラグ機構72を操作してもよい。
【0046】
) 前記実施形態では、メインギア31がハンドル軸30に回転自在に装着されていたが、メインギア31がハンドル軸30に回転不能に連結され、ディスク部材がハンドル軸に糸繰り出し方向の回転が防止されるように装着されているドラグ機構にも本発明を適用可能である。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、ドラグ作動時に摩耗により異物が発生しても、この異物は両回転部材及びディスク部材の少なくとも一つの外周側に設けられた飛散防止手段により飛散が防止される。このため、グリースを全面に用いることなく異物の飛散を抑えることができるので、小さな押圧力で大きなドラグ力が得られ、かつギアの噛み合いフィーリングを良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を採用した両軸受リールの斜視図。
【図2】 その断面図。
【図3】 ドラグ機構の分解斜視図。
【図4】 ドラグ機構の断面拡大部分図。
【図5】 他の実施形態の図4に相当する図
符号の説明】
1 リール本体
3 スタードラグ
15 スプール
30 ハンドル軸
31 メインギア
72 ドラグ機構
80〜84 ドラグディスク
85 ディスク部材
95 グリース
8 環状溝

Claims (4)

  1. 両軸受リールのリール本体に回転自在に支持されたスプールの糸繰り出し方向の回転を操作部材の回動操作により可変に制動可能な両軸受リールのドラグ機構であって、
    前記リール本体に対して回転自在となるように前記ハンドル軸に装着される、メインギアを含む第1回転部材と、
    前記ハンドル軸に装着され前記リール本体に対して前記スプールの糸繰り出し方向へは回転が防止される第2回転部材と、
    前記第1回転部材と前記第2回転部材との間に配置された1又は複数のディスク部材と、
    前記ディスク部材及び前記両回転部材の少なくとも一つの外周側に設けられ、前記ディスク部材及び前記両回転部材の摩耗により発生する異物の飛散を防止するための異物飛散防止手段と、を備え、
    前記異物飛散防止手段は、前記ディスク部材及び前記両回転部材の少なくとも一つの外周部分に形成されたグリース層である、両軸受リールのドラグ機構。
  2. 両軸受リールのリール本体に回転自在に支持されたスプールの糸繰り出し方向の回転を操作部材の回動操作により可変に制動可能な両軸受リールのドラグ機構であって、
    前記リール本体に対して回転自在となるように前記ハンドル軸に装着される、メインギアを含む第1回転部材と、
    前記ハンドル軸に装着され前記リール本体に対して前記スプールの糸繰り出し方向へは回転が防止される第2回転部材と、
    前記第1回転部材と前記第2回転部材との間に配置された1又は複数のディスク部材と、
    前記ディスク部材及び前記両回転部材の少なくとも一つの外周側に設けられ、前記ディスク部材及び前記両回転部材の摩耗により発生する異物の飛散を防止するための異物飛散防止手段と、を備え、
    前記異物飛散防止手段は、前記両回転部材及び前記複数のディスク部材の対向面のいずれかの外周縁に形成された環状凹部である、両軸受リールのドラグ機構。
  3. 前記1又は複数のディスク部材の少なくとも一つはグラファイト製である、請求項1又は2に記載の両軸受リールのドラグ機構。
  4. 前記複数のディスク部材及び両回転部材はグラファイト製のものとステンレス製のものとが交互に配置されている、請求項に記載の両軸受リールのドラグ機構。
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