以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るサイドスタンドスイッチが適用された自動二輪車の側面図である。自動二輪車1のメインフレーム4の車体前方側には、ハンドル2によって操舵可能とされるフロントフォーク3が取り付けられており、該フロントフォーク3の下端部に前輪WFが回転自在に軸支されている。前記メインフレーム4は、乗員が着座するシート8を支持するリヤフレーム5と車体後方側で連結されている。また、メインフレーム4の下方に一端部が連結されるスイングアーム10は、前記リヤフレーム5に取り付けられたリヤクッション9によって吊り下げられることで揺動可能とされており、その他端部には、エンジン6が発生する駆動力で回転する後輪WRが軸支されている。
前記メインフレーム4の車体下方に取り付けられたブラケット21には、回動軸としてのピボットボルト40によってサイドスタンドバー20が回動可能に取り付けられており、自動二輪車1は、図示する突出位置において前輪WFおよび後輪WRならびにサイドスタンドバー20の3点によって自立が可能である。本実施形態においては、前記ピボットボルト40の軸上に、後述するスイッチユニット(図2参照)が取り付けられており、該スイッチユニットによって、前記サイドスタンドバー20が突出位置にあるか格納位置にあるかを判定することができる。そして、燃料タンク7の近傍に配設される点火ユニット11は、前記スイッチユニットに連結された配線コード13から前記判定情報を受け取ると共に、該判定情報に基づいて、エンジン6の点火プラグ(不図示)に接続されたハイテンションコード12への電力の供給を禁止することができるように構成されている。上記した構成によれば、例えば、サイドスタンドバー20が図示の突出位置にあるときには、前記エンジン6が始動しないようにすることが可能となる。
図2は、前記サイドスタンドバー20およびその近傍に配設される構成部品を示す斜視図である。前記メインフレーム4に取り付けられるブラケット21には、前記ピボットボルト40が嵌合する嵌合孔30が設けられ、その近傍には、溝部29aを有するフックピン29が取り付けられている。また、金属等で形成される前記サイドスタンドバー20は、車体外側方向に屈曲された本体部23に、略楕円形の接地板24、フックピン25、略コの字型のピボット部26を取り付けた構成とされている。前記ピボット部26には、前記ピボットボルト40が嵌合する嵌合孔27と、後述する位置決めピンが挿入されるピン孔28とが形成されている。また、金属等で一体的に形成される前記ピボットボルト40は、周方向に溝部44aが設けられた係合軸44と、締め付け時に使用される6角頭部43と、円柱状の摺動部41と、ナット91と螺合するネジ部42とを有する構成とされている。
本発明の一実施形態に係るスイッチユニット50は、樹脂等で形成されたベース51の内部にロータリー式のスイッチを収納した構成とされ、前記ベース51の一端部には、略U字状の係合部57とコネクタ52とが設けられている。前記コネクタ52は、前記配線コード13(図1参照)の一端側と接続されて、前記ロータリー式スイッチからの信号が前記点火ユニット11に出力されるように構成されている。
上記した各構成部品を組み立てる際には、まず、前記ピボット部26のコの字型部を前記ブラケット21に係合させながら、前記ピボットボルト40を嵌合孔27に挿入し、前記ブラケット21の裏面側で前記ネジ部42にナット91を螺合させる。そして、前記スイッチユニット50は、前記フックピン29に係合部57を係合させると共に、前記ピボットボルト40の係合軸44に、前記ベース51の裏面側に設けられた係合孔(図4参照)を押し込んで係合させることで取り付けることができる。したがって、前記スイッチユニット50の取り付けにネジ等は不要で、取付作業は容易である。なお、スプリング90は、前記フックピン29の溝部29aに上側フック90aを係合させると共に、前記本体部23のフックピン25に下側フック90bを係合させることで、前記サイドスタンドバー20が格納位置または突出位置に安定的に保持されるようにする付勢力を与える機能を有する。
図3は、前記ブラケット21に、サイドスタンドバー20およびスイッチユニット50を取付けた状態を示す正面図である。前記と同一の符号は、前記と同一または同等部分を示す。本実施形態に係るサイドスタンドバー20は、図示実線で示す突出位置から、略水平となる格納位置20aまでの略110度の範囲内で回動可能とされている。また、該図では、前記突出位置と格納位置20aとの間の所定の中間位置20bとして、ブラケット21側のフックピン29の中心29cと、係合軸44の中心44cと、サイドスタンドバー20の本体部23側のフックピン25の中心25c(図2参照)とが一直線上に並ぶ、すなわち、中立位置を示している。
中間位置としては、上記中立位置以外で、突出位置と格納位置の間であれば任意に設定できる。
前記スイッチユニット50のベース51は、前記フックピン29およびピボットボルト40の2点によって前記ブラケット21に回動不能に支持されている。これに対し、前記ベース51に収納されるロータリー式スイッチは、前記ピン孔28と係合する位置決めピン55が設けられたロータリー53(図4参照)を有しており、該ロータリー53が前記サイドスタンドバー20と一体的に回動することで、スイッチ出力を変化させるように構成されている。
図4は、前記スイッチユニット50の裏面側を示す斜視図である。前記と同一の符号は、前記と同一または同等部分を示す。前記ベース51の裏面側、すなわち前記ピボットボルト40に取り付けられる面側には、環状のオイルシール56を介して、ロータリー53が回動自在に係合されている。該ロータリー53は、前記ベース51と同様に樹脂等で形成され、その略中央に前記係合軸44が係合される筒状部54が形成されると共に、径方向外側の端部の壁面には、位置決めピン55が一体的に形成されている。そして、本実施形態に係るロータリー53の筒状部54には、その内周面54bに、前記係合軸44の係合溝44aと係合する凸状部としての凸部54a(図5参照)が形成されている。
図5は、前記スイッチユニット50およびサイドスタンドバー20の正面図である。前記と同一の符号は、前記と同一または同等部分を示す。該図では、前記サイドスタンドバー20が所定の中間位置でかつ、中立位置(フックピン29の中心29cと、係合軸44の中心44cと、フックピン25の中心25cとが一直線上に並ぶ位置)にある状態を示している。前記筒状部54の内周面54bには、中心を挟んで対角線上に一対の略半月形状の凸部54aが一体的に形成されており、該凸部54aが前記係合軸44の係合溝44aと係合することで、前記ロータリー53(図4参照)がピボットボルト40の中心に対して回動可能に軸支されることになる。なお、前記ピボットボルト40は、サイドスタンドバー20と一体に回動するように構成されている。また、前記凸部54aは、例えば、図示するように、前記フックピン29および係合軸44の中心線上に回動させることができる。そして、前記筒状部54と係合軸44とを係合させる際には、ベース51とロータリー53をあらかじめ小組みしておき、前記ベース51を係合軸44に強く押し込むことで、ロータリー53の弾性的に変形可能な樹脂部品の一部である前記凸部54aおよびその近傍を若干変形させることになる。
一方、前記ロータリー53とベース51とはあらかじめ組み付けられており、前記筒状部54と、前記ベース51に形成された嵌合部60とが係合することによって回動可能に軸支されている。そして、本実施形態に係る嵌合部60には、その内周面の一部に、前記筒状部54の外周面と接触しない欠損部が形成されることに伴う隙間61が設けられている。この隙間61は、例えば、前記フックピン29の中心29cと係合軸44の中心44cとを結ぶ線上に設けることができる。そして、該図に示すような前記凸部54aおよび隙間61の配置関係によれば、前記サイドスタンドバー20を所定の中間位置でかつ、中立位置とした際に、前記凸部54aの径方向外側に前記隙間61が配置されることになる。したがって、本実施形態においては、前記サイドスタンドバー20を所定の中間位置でかつ、中立位置とすると、前記凸部54aの径方向外側に、該凸部54aおよびその周囲の変形を許容することができる隙間61が存在するので、前記係合軸44と筒状部54との着脱が容易になる。また、前記係合軸44と筒状部54とを係合させたまま、前記サイドスタンドバー20を前記所定の中間位置でかつ、中立位置でない位置に回動させると、前記凸部54aと隙間61との位置がずれるので、前記凸部54aおよびその近傍を変形させにくくなる、すなわち、前記係合軸44と筒状部54との着脱を困難にすることが可能となる。なお、中間位置を中立位置に設定することにより、スイッチユニットを中心線に対し反転して取り付けても、中立位置が変わらず、取付自由度が向上する。
図6は、図5のA−A線断面図である。前記と同一の符号は、前記と同一または同等部分を示す。該図では、前記ブラケット21およびナット91の配置関係も示している。前記したように、位置決めピン55が設けられたロータリー53は、前記フックピン29および係合軸44によって固定的に支持されるベース51に対して、前記サイドスタンドバー20と一体的に回動可能に構成されている。そして、前記係合軸44と筒状部54との間に、凸部54a(図5参照)および係合溝44aからなる第1係止機構62が設けられると共に、前記筒状部54とベース51との間には、第2係止機構63が設けられている。該構成によれば、第1係止機構62が第2係止機構63より軸方向内側に設けられているので、前記第2係止機構63によって前記ベース51とロータリー53を先に小組みしてから、前記ロータリー53を係合軸44に嵌合させる作業が容易になる。なお、前記コネクタ52の内部には、後述するロータリー式スイッチの接点と接続されるコネクタ端子52aが配設されている。
図7は、図6の一部拡大図である。前記と同一の符号は、前記と同一または同等部分を示す。前記第1係止機構62(図6参照)は、前記筒状部54の一対の凸部54a,54aと、前記係合軸44の全周に設けた係合溝44aとから構成されている。また、前記第2係止機構63(図6参照)は、前記嵌合部60の内周面全周に形成された凸部58aと、前記筒状部54の外周面全周に形成された係合溝54cとから構成されている。また、本実施形態に係るロータリー式スイッチは、前記べース51に支持される固定接点85と、前記ロータリー53に支持される可動接点70とから構成されている。前記ロータリー53の支持部53aにおいて支持される可動接点70は、前記コネクタ端子52aと接続される前記固定接点85と接触するように配設されており、前記サイドスタンドバー20の回動に伴ってロータリー53が回動されることで、前記固定接点85との接触位置が変化するように構成されている。第1係止機構62は、筒状部54に溝を設け、係合軸44に凸部を設けてもよい。また、第2係止機構63は、嵌合部60の内周面側に溝を設け、筒状部54の外周面側に凸部を設けてもよい。
また、本実施形態に係るスイッチユニット50においては、水分や埃等からロータリー式スイッチを防護するためのオイルシール56を、前記ベース51の接触面51bと、ロータリー53の接触面53bとの間の1箇所のみとしている。前記ピボットボルト40の頭部に取付ビスでロータリー式スイッチを取り付ける従来方式においては、その構造上、前記取付ビスの係合孔の近傍にもシール部材が必要となるので、シール部材の配置が2箇所となり、部品点数やスイッチユニットの厚さが増大しやすかった。これに対して、本実施形態に係るスイッチユニット50においては、部品点数やその軸方向の厚さを従来方式より大幅に低減することを可能としている。また、取付ビスの締め付け力に耐える剛性が不要なため、前記ベース51およびロータリー53を樹脂等で形成することが可能となって軽量化も達成されることになる。
図8は、図7のB−B線断面図である。前記と同一の符号は、前記と同一または同等部分を示す。該図は、前記係合軸44と筒状部54との間に設けられると共に、前記凸部54aと係合溝44aとから構成される第1係止機構62(図6参照)の部分を示している。本実施形態においては、前記サイドスタンドバー20を所定の中間位置(図5参照)とした場合に、前記凸部54aの径方向外側に隙間61が位置するので、前記凸部54aおよびその近傍を変形させることが容易となり、スイッチユニット50が着脱しやすくなる。前記所定の中間位置は、前記突出位置と格納位置との間の不安定な状態であり、通常、乗員が脚部によってサイドスタンドバー20を突出させたり格納したりする場合には、前記スプリング90の付勢力が働いて停止させにくい位置である。このため、整備の際等に、意図的にサイドスタンドバー20を所定の中間位置に保持しない限りは、前記スイッチユニット50の着脱は困難である。
図9は、図7のC−C線断面図である。前記と同一の符号は、前記と同一または同等部分を示す。該図は、前記筒状部54とベース51との間に設けられると共に、前記凸部58aと係合溝54cとから構成される第2係止機構63(図6参照)部分を示している。該第2係止機構63では、前記第1係止機構62とは異なり、凸部58aが周方向全周にわたって形成されているので、ある所定の回動位置で前記筒状部54とベース51とが着脱しやすくなることはない。このような構成とするのは、スイッチユニット50を部品単位で小組した後に車体側に取り付けるという生産工程上の都合や、車体からスイッチユニット50を取り外す際に、前記筒状部54とベース51との間の係合が先に外れてしまうと作業がしにくいこと等を理由とする。なお、前記係合軸44からスイッチユニット50を取り外した後は、前記筒状部54が径方向内側に変形させやすくなるので、前記ベース51からロータリー53を取り外すことも容易になる。
図10は、前記ロータリー53に支持される可動接点70の上面図である。該可動接点70は、前記ロータリー53の回動軸と同一の接点中心71aを有する略円形のホルダ71に、板状のばね接点72,73,74が120°の等間隔で放射状に取り付けられた構成とされている。3枚のばね接点72,73,74は、前記ホルダ71との結合部から徐々に図示奥方向に立ち上がる形状とされており、先端部72a,73a,74aにおいて前記固定接点85と接触するように構成されている。上記したような放射状ばねによる接点構造によれば、略半円形状とされる接点を複数のコイルスプリングで支持することで接触圧力を確保していた従来方式に比して、部品点数を削減しながら十分な接触圧力を確保することが可能となる。なお、前記先端部72a,73a,74aも前記ばね接点72,73,74と同様にそれぞれ120°の等間隔に配置されている。また、前記先端部72a,73aは、前記接点中心71aを中心とした同心円上に配置されるが、前記先端部74aのみは、前記先端部72a,73aより接点中心71a寄りに配置されている。すなわち、接点中心71aから先端部72aの中心点72bまでの距離(接点中心71a〜中心点72b)をl1、接点中心71aから先端部73aの中心点73bまでの距離(接点中心71a〜中心点73b)をl1、接点中心71aから先端部74aの中心点74bまでの距離(接点中心71a〜中心点74b)をl2に設定し、l1とl2の関係をl1>l2としている。なお、接点中心71a寄りに設けられたばね接点74は、他のばね接点72,73より幅を狭く形成することで、各接点の接点圧が均等になるように構成されている。
図11は、前記ベース51に支持される固定接点85の上面図である。中心点85aを中心とした円弧状に形成される固定接点85は、前記先端部72a,73aの回動領域上にある接点E,Fと、前記先端部74aの回動領域上にある接点Gとから構成されている。本実施形態においては、前記中心点85aから接点E,Fの幅中心までの距離をl1、中心点85aから接点Gの幅中心までの距離をl2に設定している。そして、前記ベース51とロータリー53とを係合させると、前記接点中心71aと中心点85aとが合致した状態で、前記可動接点70と固定接点85とが接触することになる。
図12(a),(b),(c)は、それぞれ、前記固定接点85と可動接点70との接触関係を示す上面図である。前記と同一の符号は、前記と同一または同等部分を示す。図12(a)は、スタンドダウン、すなわち、前記サイドスタンドバー20を突出位置(図3参照)に回動させた状態を示している。このとき、接点の通電状態は、F−Gとなり、前記固定接点85と可動接点70とから構成されるロータリー式スイッチがオフ状態とされると共に、後述する電気回路によって、前記点火ユニット11(図1参照)からの電力の供給が禁止される。また、図12(b)は、ニュートラル、すなわち、前記サイドスタンドバー20を所定の中間位置(かつ中立位置)に回動させた状態を示している。このとき、接点の通電状態は、E−F−Gとなり、相互にオン状態となる。さらに、図12(c)は、スタンドアップ、すなわち、前記サイドスタンドバー20を格納位置(図3参照)に回動させた状態を示している。このとき、接点の通電状態は、E−Fとなり、前記ロータリー式スイッチがオン状態とされると共に、後述する電気回路によって前記点火ユニット11からの電力の供給が許可されることになる。上記したような可動接点および固定接点の構成によれば、従来方式と同等の通電角度を確保しながら、取付性に優れ、部品点数を大幅に低減したロータリー式スイッチが得られるようになる。
図13に、前記固定接点85と可動接点70とから構成されるロータリー式スイッチによって、前記エンジン6(図1参照)の点火カットを行う電気回路150を示す。前記点火ユニット11を構成する点火コイル87およびスパークユニット88に代表される点火回路には、常開スイッチとして機能するイグニッションリレー89を介してイグニッションリレー89が導通状態にあるときのみ電流が供給され、点火が行われる。前記イグニッションリレー89は、スイッチユニット50に収納される固定接点85の接点85b(前記接点F)および85a(前記接点G)がオン状態、すなわち、前記サイドスタンドバー20が格納位置から所定の中間位置(かつ中立位置)の範囲内にあるか、またはトランスミッションのシフト位置がニュートラルの時にオンとなるニュートラルスイッチ94がオン状態にあるときのみオン状態となって点火が可能となる。したがって、トランスミッションのシフト位置がニュートラル以外の走行状態において、前記サイドスタンドバー20が所定の中間位置(かつ中立位置)よりも突出位置側にある場合は、接点85b(接点F)、接点85a(接点G)がオフ状態であり、かつ、ニュートラルスイッチ94もオフ状態であるため、前記イグニッションリレー89はオフとなり、点火が禁止されることになる。この場合、接点85b(接点F)および接点85c(接点E)がオン状態となるので、前記サイドスタンドバー20が突出状態にあることを示すパイロットランプ92が点灯する。なお、ニュートラルスイッチ94がオン状態のときは、トランスミッションのシフト位置がニュートラルにあることを示すパイロットランプ93が点灯するように構成されている。
一方、エンジン始動用のスタータモータ99と、該スタータモータ99への電力供給を制御するスタータモータスイッチ97およびスタータリレー96とに代表される始動回路は、前記スタータモータスイッチ97およびスタータリレー96がオン状態のときのみスタータモータ99を回してエンジンを始動できるようになっており、常開スイッチとして作用するスタータリレー96は、前記ニュートラルスイッチ94がオン状態であるか、または、クラッチが切られたときにオン状態となるクラッチスイッチ95および接点85b(接点F)、85a(接点G)が共にオン状態であるときにスタータスイッチ97がオンとなって初めてオンとなり、前記スタータモータ99に電流を供給するようになっている。すなわち、サイドスタンドバー20が所定の中間位置(かつ中立位置)から突出位置までの範囲内にあるときには、ニュートラルスイッチ94がオン状態でなければ、エンジン6を始動できないように構成されている。なお、バッテリ104の近傍には、乗員がイグニッションキーで操作するメインスイッチ98が設けられている。
図14は、本発明の一実施形態の変形例に係るスイッチユニット100およびサイドスタンドバー20の正面図である。前記と同一の符号は、前記と同一または同等部分を示す。本変形例では、前記ベース51の裏面側に係合されるロータリー103(図15参照)に、ピボット部26の両側面に当接する係合板101,102が設けられる点に特徴がある。なお、本変形例において、前記ロータリー103は、係合軸106と係合するように構成されている。
図15は、前記スイッチユニット100の裏面側を示す斜視図である。前記と同一の符号は、前記と同一または同等部分を示す。本変形例に係るロータリー103には、径方向外側の端部の壁面に、前記位置決めピン55と同方向に延びる側方係止部としての係合板101,102が一体的に形成されている。そして、該係合板101,102に形成された当接面101a,102aは、前記スイッチユニット100を係合軸106(図14参照)に係合させた際に、前記ピボット部26を広い面積で挟み込むように当接される。これにより、前記ロータリー53は、前記位置決めピン55と合わせて計3箇所で前記ピボット部26に係合されることになり、サイドスタンドバー20を回動させた際に位置決めピン55にかかる負担を低減することが可能である。また、位置決めピン55を設けずに、前記係合板101,102のみで係合されるように構成することもできる。
図16は、図14のD−D線断面図である。前記と同一の符号は、前記と同一または同等部分を示す。本変形例においては、前記ロータリー103に係合板101,102が設けられると共に、前記ロータリー103をピボットボルト105に係合させるための係合軸106が、ピボットボルト105と螺合されるボルトによって構成されている点に特徴がある。該構成によれば、ピボットボルト105から係合軸106を取り外し、そのネジ孔に螺合する別個の取付ビスを用意することで、従来方式のスイッチユニットを取付ビスで取り付けることが可能となる。したがって、ピボットボルト105を共通部品としながら、本発明に係るスイッチユニット100と従来方式のスイッチユニットとを、車種等によって選択して装着することができるようになる。なお、前記ロータリー103に支持される可動接点80および前記ベース51に支持される固定接点86に関しては後述する。
図17は、本発明の一実施形態の第2変形例に係るスイッチユニット100の断面図である。前記と同一の符号は、前記と同一または同等部分を示す。本変形例においては、前記ロータリー103の側方係止部としての係合板101,102が、前記ロータリー103と別体式かつ着脱可能な側方係止部材103aに設けられている点に特徴がある。樹脂等で形成される前記側方係止部材103aは、前記第2係止機構63(図9参照)と同様の凹凸係合による第3係止機構64によって、前記ロータリー103に係合されている。本変形例に係る第3係止機構64は、側方係止部材103a側に凸部、ロータリー103側に凹部が設けられているが、これは互いに逆でもよい。そして、前記側方係止部材103aの一部には、位置決め突起107が形成されており、該位置決め突起107が前記ロータリー103に設けられた係合溝と係合することで、前記側方係止部材103aと前記ロータリー103とが一体的に回動するように構成されている。該構成によれば、係合板101,102を設けた場合でもオイルシール56の着脱が容易になり、スイッチユニット100の組み付け性を向上させることができる。
図18は、本発明の一実施形態の変形例に係る前記ロータリー103に支持される可動接点80の上面図である。該可動接点80は、略円形のホルダ81に、同一の長さの板状のばね接点82,83,84を120°の等間隔で放射状に取り付けた構成とされている。3枚のばね接点82,83,84は、前記ホルダ81との結合部から徐々に図示奥方向に立ち上がる形状とされており、先端部82a,83a,84aにおいて前記固定接点86と接触するように構成されている。また、前記先端部82a,83a,84aもそれぞれ120°の等間隔に配置されている。本変形例に係るホルダ81は、前記先端部82a,83a,84aの接点中心81aから所定量オフセットされたオフセット軸81bが、前記ロータリー103の回動軸と一致するように構成されている。また、オフセット軸81bから先端部83aの中心点83bまでの距離(オフセット軸81b〜中心点83b)をl3、オフセット軸81bから先端部84aの中心点84bまでの距離(オフセット軸81a〜中心点84b)をl3、オフセット軸81bから先端部82aの中心点82bまでの距離(オフセット軸81b〜中心点82b)をl4に設定し、l3とl4の関係をl3<l4としている。
図19は、前記ベース51に支持される固定接点86の上面図である。中心点86aを中心とした円弧状に形成される固定接点86は、同一円周上にある接点H,Iと、該接点H,Iと同心円上の内側に位置する円環状の接点Jとから構成されている。本実施形態においては、前記中心点86aから接点H,Iの幅中心までの距離をl4、中心点86aから接点Jの幅中心までの距離をl3に設定している。そして、前記ベース51とロータリー103とを係合させると、前記オフセット軸81bと中心点86aとが合致した状態で、前記可動接点80と固定接点86とが接触することになる。
図20(a),(b),(c)は、それぞれ、前記固定接点86と可動接点80との接触関係を示す上面図である。前記と同一の符号は、前記と同一または同等部分を示す。図20(a)は、スタンドダウン、すなわち、前記サイドスタンドバー20を突出位置(図3参照)に回動させた状態を示している。このとき、接点の通電状態は、J−Iとなり、前記固定接点86と可動接点80とから構成されるロータリー式スイッチがオフ状態とされると共に、前記点火ユニット11(図1参照)からの電力の供給が禁止される。また、図20(b)は、ニュートラル、すなわち、前記サイドスタンドバー20を所定の中間位置(図3参照)に回動させた状態を示している。このとき、接点の通電状態は、J−I−Hとなり、相互にオン状態となる。さらに、図20(c)は、スタンドアップ、すなわち、前記サイドスタンドバー20を格納位置(図3参照)に回動させた状態を示している。このとき、接点の通電状態は、J−Hとなり、前記ロータリー式スイッチがオン状態とされると共に、前記点火ユニット11からの電力の供給が許可されることになる。上記したようなオフセット軸を有する接点構造によれば、接点接触部がオフセット作動することで、接触圧力を均等に確保しながら、大きな通電角度を確保することが可能となる。
上記したように、本発明に係るサイドスタンドスイッチによれば、サイドスタンドスイッチを構成するベースおよびロータリーが樹脂で形成されるので、サイドスタンドスイッチを軽量化できるようになる。また、前記ロータリーと回動軸、前記ロータリーとベースとがそれぞれ係止機構によって取り付けられるため、取付ビス等の結合部材が不要となり、組付性が向上すると共に、部品点数の削減およびサイドスタンドスイッチ全体の小型化が実現される。さらに、係止機構を構成する溝および凸部の形状設定によって、サイドスタンドを任意の位置に回動させた際にのみ車両側との着脱が容易になるサイドスタンドスイッチが得られるようになる。上記した実施形態では、第1〜第3の係止機構を凹凸係合によって構成したが、凹凸は互いに逆になってもよい。
なお、スイッチユニットを形成する各部品の形状や材質、ロータリー式スイッチの構成等は、上記した実施形態に限定されず、種々の変形が可能であることは勿論である。また、上記した実施形態では、サイドスタンドの軸は、サイドスタンドバーと一体に回動するようにしたが、ブラケット側に固定される構成としてもよい。
図21は、本発明の第2実施形態に係るサイドスタンドスイッチとしてのスイッチユニット110およびその近傍に配設される構成部品を示す正面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。本実施形態に係るサイドスタンドバー20は、実線で示す突出位置から、二点鎖線で示す略水平となる格納位置20aまでの略110度の範囲内で回動可能とされている。また、該図では、突出位置と格納位置20aとの間の所定の中間位置20bとして、ブラケット21側のフックピン29の中心29cと、取付ビス114の中心114cと、フックピン25の中心25cとが一直線上に並ぶ中立位置を示している。
メインフレーム4に取り付けられる板状部材からなるブラケット21には、回動軸としてのピボットボルト113(図22参照)が嵌合する嵌合孔が設けられ、その近傍にフックピン29が取り付けられている。また、金属等で形成されるサイドスタンドバー20は、図2に示したものと同様であり、車体外側方向に屈曲された棒状の本体部23に、フックピン25と、前記ブラケット21を挟むように略コの字型に形成されたピボット部26とを取り付けた構成とされている。
スイッチユニット110は、樹脂等で形成されたベース111の内部にロータリー式のスイッチを収納した構成とされ、ベース111の一端部には、略U字状の係合部とコネクタ112とが設けられている。該コネクタ112は、配線コード13(図1参照)の一端側と接続され、ロータリー式スイッチからの信号が点火ユニット11に出力されるように構成されている。
スイッチユニット110は、略U字状の係合部にフックピン29を係合させて位置決めを行うと共に、ピボットボルト113および取付ビス114を締結することでブラケット21に回動不能に支持されている。これに対し、ベース111に収納されるロータリー式スイッチには、ピボット部26に係止されるロータリー(図22参照)が回動自在に内装されており、該ロータリーがサイドスタンドバー20と一体的に回動することで、スイッチ出力が変化するように構成されている。なお、スプリング90は、その上下のフック部をフックピン25,29に係合させることで、サイドスタンドバー20が格納位置または突出位置に安定的に保持されるようにする付勢力を与える機能を有する。
図22は、図21のK−K線断面図である。ブラケット21とサイドスタンドバー20との結合は、ブラケット21にピボット部26のコの字型部を係合させた状態でピボットボルト113を貫通させ、本体部113bの先端側に形成されたネジ部113aにナット91を螺合させることで行われる。そして、前記したように、スイッチユニット110は、6角頭部114aおよびフランジ部114bが形成された取付ビス114を、ピボットボルト113に形成されたビス孔113cに螺合することで取り付けられている。スイッチユニット110は、主にベース111と、インナーロータ120およびアウターロータ130を組み合わせたロータリー180とからなり、該ロータリー180がベース111に対して回動可能に支持された構成とされている。なお、スイッチユニットを取付ビスによってピボットボルトに取り付ける構成は、一般的な従来方式と同様であるので、ピボットボルト113を共通部品としながら、本実施形態に係るスイッチユニット110と従来方式によるスイッチユニットとを任意に選択して装着することが可能である。
本実施形態に係るアウターロータ130には、ピボット部26を両側から挟むように延出した側方係止部131,132が形成されている。また、アウターロータ130には、インナーロータ120と係合する位置決め用突起130aが形成されており、これにより、サイドスタンドバー20の回動に伴ってアウターロータ130およびインナーロータ120が一体的に回動されることになる。そして、サイドスタンドバー20の回動に伴って、ベース111に配設された固定接点155と、インナーロータ120に配設された可動接点140との接触位置が回動変位してスイッチ出力が変化することとなる。
本実施形態に係るスイッチユニット110には、水分や埃等からロータリー式スイッチを防護するための第1オイルシール115および第2オイルシール116が取り付けられている。第1オイルシール115は、インナーロータ120の中心部から図示下方に延出した円筒部120aの外周面と、ベース111に形成された貫通孔の内周面111aとの間に配設されており、前記取付ビス114を締結することによって、ベース111とインナーロータ120との間を密閉する機能を有する。また、第2オイルシール116は、ベース111とインナーロータ120との間に配設されて、ベース111の径方向外側からの水分等の浸入を防ぐように構成されている。この第2オイルシール116は、インナーロータ120とアウターロータ130が別体式とされているため、組み付け時に大きく変形させる必要がなく、インナーロータ120とアウターロータ130との間に容易に取り付けることが可能である。また、スイッチユニット110の組み付け時には、第2オイルシール116は、ベース111とロータリー180との間に収容されて、アウターロータ130の一側面が第2オイルシール116に覆い被さるように配設されるので、第2オイルシール116の近傍に水分等が浸入しにくくなる。なお、インナーロータ120に支持される可動接点140およびベース111に支持される固定接点155の詳細は後述する。
図23は、本実施形態に係るスイッチユニット110の斜視図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。ベース111には、インナーロータ120の円筒部120aが挿入される貫通孔111bが形成されており、その内周面111aと、前記円筒部120aとの間に第1オイルシール115が配設される。円環状の板として形成される可動接点140は、インナーロータ120の上面側に配設されて該インナーロータ120と一体的に回動するように構成されている。なお、インナーロータ120およびアウターロータ130、ベース111は、樹脂等で形成することができる。
図24は、本実施形態に係るスイッチユニット110の裏面側の斜視図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。前記したように、アウターロータ130には、側方係止部131,132が形成されており、それぞれの内側面131a,132aが、前記サイドスタンドバー20のピボット部26の両外側面に当接するように構成されている。ベース111の裏面側には、スイッチユニット110の組み立て時に可動接点140と当接する固定接点155が配設されている。
図25〜27に、本実施形態に係る可動接点140の詳細を示す。図25は、固定接点155と当接する表面側の正面図(a)および裏面側の正面図(b)であり、図26は図25(b)のL−L線断面図であり、さらに、図27は図25(b)のM−M線断面図とその一部拡大図である。可動接点140は、金属による円環状の板で形成されており、例えば、銅合金にプレス加工を施すことで得ることができる。本実施形態に係る可動接点140によれば、板ばねを使用する構成に比して、作業工数や生産コストを大幅に低減することが可能となる。
本体部141は、図示上下方向に幅広部を有するように形成されており、接点中心146を中心とした所定半径を有する円上に、120°の等間隔をもって接点部142,143,144が形成されている。そして、可動接点140は、回動中心147がロータリー180の回動軸に合致するようにインナーロータ120に取り付けられており、これによって、接点中心146から所定量偏心された回動中心147を中心として回動することとなる。この回動中心147から各接点の中心点までの距離は、回動中心147から中心点142aおよび中心点143aまでの距離とが等しくL1に設定されると共に、回動中心147から中心点144aまでの距離がL2に設定されており、L1<L2となるように構成されている。
また、本体部141には、所定半径を有する円上に120°の等間隔をもって配設された位置決め孔145が設けられており、該位置決め孔145によってインナーロータ120への取付位置が定められる。なお、この位置決め孔の数や配置は、本実施形態に限定されるものではない。さらには、可動接点140側に係合突起等を形成することによって、インナーロータ120に対する位置決めを行うように構成してもよい。
本実施形態に係る可動接点140の接点部142,143,144は、本体部141のプレス加工時に形成された凸部であり、その裏面側には、各凸部の形成に伴って形成された凹部142b,143b,144bが配設されている。この凹部は、図27(b)に示すように、固定接点と当接する略長方形の接点部が最も深く、該接点部より一段階浅い部分に略円形の弾発部材係合凹部144cが形成されている。なお、凹部142b,143bも凹部144bと同一の構成とされており、弾発部材係合凹部142c,143c,144cには、各種の金属製ばねや樹脂等からなる弾発部材が収納される。この図では、後述するコイルばね164(図29参照)が収納された状態を示している。
なお、可動接点140の本体部141は、円環として連続形成されずに、その一部に切り欠きや間隙等を有する構成としてもよい。また、可動接点140の各接点は、プレス加工で形成するのではなく、別体式の接点部材を溶着等する構成としてもよい。さらに、本実施形態では、弾発部材係合凹部を含む凹部142b,143b,144bが接点部142,143,144の裏面側に形成されているが、これらは、各接点の位置とは異なる位置に設けられてもよい。
本実施形態に係る可動接点140が上記したような構成とされるのは、ロータリー式スイッチの各接点にかかる接触圧力をスイッチ全周にわたって均等にしながら、大きな通電角度を確保するためである。例えば、図10に示したような、略円形のホルダに腕の長さの異なる板状のばね接点が、120°の等間隔で放射状に取り付けられた可動接点においては、3本のばね接点の接触圧力を均等にすることが難しいという課題があった。また、ばね接点の幅を調整することで接触圧力の均等化を図ろうとすると、ばね接点の加工精度をさらに向上させたり、加工精度を向上させるために高価な材料を使用する必要が生じることとなる。
一方、板状のばね接点の腕の長さが等しければ接触圧力を均等にすることは容易であるが、可動接点の各接点の中心点(接点中心)と、可動接点の回動軸としての回動中心とが同一の場合には、大きな通電角度が確保できないという課題があった。そこで、図18〜20に示したロータリー式スイッチのように、可動接点の接点中心を可動接点の回動中心に対して偏心させる手法が、本第2実施形態においても適用されている。ここで、図31を参照して、可動接点の接点中心を可動接点の回動中心に対して偏心させた場合の可動接点の動作を説明する。
図31の模式図において、可動接点180は、接点中心184からの距離が等しい3本の接点181,182,183を120°の等間隔に配置した構成とされている。一方、固定接点170は、円形の内側接点Uと、この内側接点Uと同心円上に配置された円弧状の外側接点S,Tとから構成されている。そして、可動接点180の回動中心は、固定接点の中心点171と合致するように構成されている。その結果、可動接点180の接点中心184は、可動接点180の回動中心171に対して偏心されて配設されることとなる。
図31(a)は、スタンドダウン、すなわち、サイドスタンドバー20を突出位置(図21参照)に回動させた状態を示している。このとき、接点の通電状態は、U−Tとなり、固定接点170と可動接点180とから構成されるロータリー式スイッチがオフ状態とされる。また、図31(b)は、ニュートラル、すなわち、サイドスタンドバー20を所定の中間位置に回動させた状態を示している。このとき、接点の通電状態は、U−T−Sとなり、相互にオン状態となる。さらに、図31(c)は、スタンドアップ、すなわち、サイドスタンドバー20を格納位置に回動させた状態を示している。このとき、接点の通電状態は、U−Sとなり、ロータリー式スイッチがオン状態とされる。このようなオフセット軸を有する接点構造によれば、接点接触部がオフセット作動することで、接触圧力を均等に確保しながら、大きな通電角度を確保することが可能となる。
図28は、本発明の第2実施形態に係る可動接点およびロータリーの斜視図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。インナーロータ120およびアウターロータ130とからなるロータリー160の中央部には、ピボットボルト113が通る貫通孔120bが形成されている。インナーロータ120の上面には、可動接点140の位置決め孔145と係合する3つの係合突起121が形成されている。また、可動接点140の接点部142,143,144に対応する位置には、弾発部材係合孔122,123,124が形成されている。
図29は、本発明の第2実施形態に係る可動接点およびベースの斜視図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。本実施形態では、可動接点140の裏面側に形成された弾発部材係合凹部142c,143c,144cに、それぞれ、弾発部材としてのコイルばね162,163,164が収められている。そして、スイッチユニット110の組み立て時には、この弾発部材の弾発力によって、可動接点140がその全周にわたって均等な接触圧力をもって、ベース111の裏面側に配設された固定接点155に当接されることになる。これにより、可動接点140が繰り返し回動されても、常に固定接点155との安定的な通電状態が実現されることになる。なお、弾発部材は、金属製のばねに限られず、弾発性を有する樹脂等で形成することもできる。
図30(a)〜(c)は、それぞれ、本発明の第2実施形態に係る固定接点155と可動接点140との接触関係を示す上面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。本実施形態において、可動接点140は、接点中心146からの距離が等しい3つの接点部142,143,144を120°の等間隔に配置した構成とされている。一方、固定接点170は、円形の内側接点Pと、この内側接点Pと同心円上に配置された円弧状の外側接点Q,Rとから構成されている。そして、可動接点140の回動中心(中心点147)は、固定接点155の中心点147と一致するように構成されている。その結果、可動接点140の接点中心146は、可動接点140の回動中心147に対して偏心されて配設されることになる。そして、固定接点155の中心点147から内側接点Pまでの距離が前記L1となり、固定接点155の中心点147から外側接点Q,Rまでの距離が前記L2となるように設定されている。
図30(a)は、スタンドダウン、すなわち、サイドスタンドバー20を突出位置(図21参照)に回動させた状態を示している。このとき、接点の通電状態は、P−Qとなり、ロータリー式スイッチがオフ状態とされると共に、点火ユニット11(図1参照)からの電力の供給が禁止される。また、図30(b)は、ニュートラル、すなわち、サイドスタンドバー20を所定の中間位置(図21参照)に回動させた状態を示している。このとき、接点の通電状態は、P−Q−Rとなり、相互にオン状態となる。さらに、図30(c)は、スタンドアップ、すなわち、サイドスタンドバー20を格納位置に回動させた状態を示している。このとき、接点の通電状態は、P−Rとなり、ロータリー式スイッチがオン状態とされると共に、点火ユニット11からの電力の供給が許可されることになる。
上記したように、本発明の第2実施形態に係るサイドスタンドスイッチによれば、可動接点の接点中心が可動接点の回動中心に対して偏心された接点構造を有するので、各接点にかかる接触圧力を均等に確保しながら、大きな通電角度を確保することができるようになる。
20…サイドスタンドバー、21…ブラケット、23…本体部、26…ピボット部、28…ピン孔、29…フックピン、40…ピボットボルト、44…係合軸、50…スイッチユニット、51…ベース、52…コネクタ、53…ロータリー、54…筒状部、55…位置決めピン、62…第1係止機構、63…第2係止機構、110…スイッチユニット、111…ベース、113…ピボットボルト(回動軸)、114…取付ビス、116…第2オイルシール、120…インナーロータ、130…アウターロータ、131,132…側方係止部、140…可動接点、142〜144…接点部、142b〜144b…凹部、142c〜144c…弾発部材係合凹部、146…接点中心、147…回動中心、150…固定接点、162〜164…弾発部材