JP4833433B2 - 電解めっき装置用めっき液保持部材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解めっき装置用めっき液保持部材及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウェハ上に配線を形成する手法、とりわけ近年においては半導体ウェハ上に銅配線を形成する手法として、電解めっき装置を用いた電解銅めっきに注目が集められている。
【0003】
従来における一般的な電解めっき装置では、めっき槽内にめっき液を満たした状態でめっき液に半導体ウェハを浸漬するとともに、半導体ウェハ側に陰極を接続して電気を流すことにより、成膜を行うようになっている。
【0004】
しかしながら、このような従来装置を用いてファインかつ均一な銅配線を形成するためには、例えば、めっき液を流動させたり、陰極と陽極との距離をある程度確保しておく必要があった。このため、装置が巨大化する傾向にあった。また、この従来装置の場合、1回の成膜に必要なめっき液の量が多く、半導体の低コスト化を達成するうえで不利であった。
【0005】
そこで最近では、上記の問題を解消しうる次世代の電解めっき装置が提案されるに至っている。この新しい電解めっき装置は、めっき液供給部、陰極、陽極、めっき液保持部材等を備えている。めっき供給部の下端部には陽極が設けられている。陽極にはめっき液を通過させるためのスリットが形成されている。陽極の下面側には、多孔質アルミナからなるめっき液保持部材が設けられている。一方、陰極には半導体ウェハが接触した状態で支持される。半導体ウェハの上面と、めっき液保持部材の下面とは、僅かな間隙を隔てて対向した状態となる。
【0006】
従って、めっき液供給部に供給されてきためっき液は、陽極のスリットを通過してめっき液保持部材に到った後、めっき液保持部材の気孔を介して半導体ウェハ側に供給される。この状態で電極間に通電を行うことにより半導体ウェハ上に電解めっきが施され、静止浴であってもファインな銅配線が形成されるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来装置の場合、めっき液保持部材の下側面から滲出してくるめっき液の量が毎回必ずしも一定ではなかったため、処理毎にめっき層の膜厚がばらつきやすいという欠点があった。従って、複数枚の半導体ウェハ間におけるめっき層の膜厚均一化を図るためには、めっき液滲出量を毎回一定にする何らかの対策が必須であると考えられていた。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の被めっき物に対して均一な膜厚のめっき層を形成することができる電解めっき装置用めっき液保持部材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、上下2層構造を有するとともに、下層における多孔性の度合いが上層における多孔性の度合いよりも小さい多孔質セラミック板からなり、前記上層の厚さと前記下層の厚さとの比は5:5〜9:1であることを特徴とする電解めっき装置用めっき液保持部材をその要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明では、上下2層構造を有するとともに、下層における気孔径及び気孔率が上層における気孔径及び気孔率よりも小さい多孔質セラミック板からなり、前記上層における気孔径は25μm〜50μm、気孔率は30%〜50%、前記下層における気孔径は10μm〜20μm、気孔率は20%〜30%であることを特徴とする電解めっき装置用めっき液保持部材をその要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記多孔質セラミック板は多孔質炭化珪素板であるとした。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の部材の製造方法であって、平均粒径の異なる2種の炭化珪素粉末を所定比率で配合した原料を用いて、前記上層となる第1成形体を作製する工程と、前記2種の炭化珪素粉末を前記比率とは異なる比率で配合した原料を用いて、前記下層となる第2成形体を作製する工程と、前記第1成形体及び第2成形体を積層してプレスする工程と、前記プレスにより得られた積層体を焼成する工程とを含むことを特徴とした電解めっき装置用めっき液保持部材の製造方法をその要旨とする。
【0014】
以下、本発明の「作用」について説明する。
請求項1に記載の発明によると、相対的に多孔性の度合いの大きい上層においては、めっき液が層内をスムーズに流れることができるため、圧力損失の増大が回避される。一方、相対的に多孔性の度合いの小さい下層においては、めっき液の流れがいくぶん規制されるため、好適なめっき液保持性が付与される。以上の結果、めっき液保持部材の下側面から滲出してくるめっき液の量が毎回ほぼ一定になり、処理毎にめっき層の膜厚がばらつきにくくなる。ゆえに、複数の被めっき物に対して均一な膜厚のめっき層を形成することができる。両層の厚さの比を上記好適範囲内にて設定することにより、処理毎のめっき層の膜厚ばらつきを確実に解消することができる。上層の厚さの比が大きくなりすぎる(下層の厚さの比が小さくなりすぎる)と、好適なめっき液保持性が得られなくなり、めっき液滲出量を毎回一定にすることが困難になる。逆に、上層の厚さの比が小さくなりすぎる(下層の厚さの比が大きくなりすぎる)と、圧力損失の増大につながる結果、やはりめっき液滲出量を毎回一定にすることが困難になる。
【0015】
請求項2に記載の発明によると、相対的に気孔径及び気孔率の大きい上層においては、めっき液が層内をスムーズに流れることができるため、圧力損失の増大が回避される。一方、相対的に気孔径及び気孔率の小さい下層においては、めっき液の流れがいくぶん規制されるため、好適なめっき液保持性が付与される。以上の結果、めっき液保持部材の下側面から滲出してくるめっき液の量が毎回ほぼ一定になり、処理毎にめっき層の膜厚がばらつきにくくなる。ゆえに、複数の被めっき物に対して均一な膜厚のめっき層を形成することができる。気孔径及び気孔率を上記好適範囲にて設定することにより、処理毎のめっき層の膜厚ばらつきを確実に解消することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によると、耐食性に優れた多孔質炭化珪素板を用いためっき液保持部材であるため、当該部材がめっき液により侵蝕されにくくなり、めっき液中への不純物の溶出が防止される。これによりめっき液の組成劣化が回避され、めっきの析出挙動が安定化する。また、多孔質アルミナに比べて電気伝導性に優れた多孔質炭化珪素を用いためっき液保持部材であるため、当該部材が実質的に陽極としての役割を果たすようになる。よって、擬似的な陽極である当該部材が被めっき物に対してより近接した状態となり、被めっき物付近のめっき液に強くかつ安定した電界を与えることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によると、第1成形体及び第2成形体を積層してプレスすることにより積層体が得られ、これを焼成することにより、多孔性の度合いの異なる2層が互いに接合した状態の焼結体を得ることができる。また、平均粒径の異なる2種の炭化珪素粉末の配合比率を変えることにより、前記2つの層を比較的簡単にかつ確実に得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態の電解銅めっき装置1を図1に基づき詳細に説明する。
【0022】
この電解銅めっき装置1を構成する陰極2は、上端側にいくほど拡径する円環状の部材であって、その下端側にはフランジ3が形成されている。陰極2は例えば導電性の金属材料を用いて形成されている。陰極2の下端側開口部4の径は、被めっき物である半導体ウェハ(例えばシリコンウェハ)5の径よりも若干小さめに設定されている。半導体ウェハ5は図示しないステージにより下方側からフランジ3に対して押圧される。その結果、半導体ウェハ5の上面側外周部がフランジ3の下面側に密着し、この状態で半導体ウェハ5が保持されるようになっている。このとき、陰極2はいわば有底状となるため、半導体ウェハ5の上面側にできる領域には電解銅めっき液15が溜まるようになっている。
【0023】
一方、この電解銅めっき装置1を構成するホルダ12は、使用時において、陰極2の上方において近接した状態で配置される。ホルダ12の下端側には開口部13が設けられており、その開口部13付近には板状の陽極14が取り付けられている。陽極14は例えば導電性の金属材料を用いて円形状に形成されている。陽極14の複数箇所には、銅めっき液15を上面側から下面側に通過させるための構造としてスリット16が設けられている。ホルダ12の上面には、めっき液供給管17及びめっき液回収管18がそれぞれ設けられている。めっき液供給管17は、ホルダ12及び陽極14によって区画される空間19と、図示しないめっき液タンクとの間を連通させている。銅めっき液15が不足すると、このめっき液供給管17を介して前記空間19内に銅めっき液15が補充されるようになっている。めっき液回収管18は、前記空間19内における銅めっき液15の量が一定量を超えたときに、その余剰分を回収する役割を果たしている。なお、回収された銅めっき液15は、めっき液タンクに戻されて再利用されるようになっている。
【0024】
ホルダ12の開口部13には、陽極14の下面側に接するようにしてめっき液保持部材としてのめっき液保持プレート21が設けられている。めっき液保持プレート21は、陽極14とほぼ同じ大きさかつほぼ同じ形状(即ち円板状)となっている。めっき液保持プレート21は、外周部分から横方向に突出するフランジ部21aを備えている。このフランジ部21aは、ホルダ12の開口部13に設けられた支持部13aによって支持されている。なお、フランジ部21aの下面と支持部13aの上面との間には、シール部材であるゴム製の環状パッキング22が介在されている。
【0025】
めっき液保持プレート21は、銅めっき液15を自身の気孔内に保持することにより、ホルダ12の移送時における下面側からの銅めっき液15の流出を防止する役割も果たしている。なお、めっき液保持プレート21の下面は、半導体ウェハ5の上面と僅かな間隙を隔てた状態で対向配置されている。具体的にいうと、本実施形態では前記間隙の大きさが1mm程度となるように設定されている。
【0026】
次に、本実施形態において用いられるめっき液保持プレート21の材質等について詳細に説明する。
本実施形態のめっき液保持プレート21は多孔質セラミック板であり、具体的には多孔質炭化珪素板(多孔質SiC板)P1が用いられている。多孔質炭化珪素を選択した理由は、多孔質炭化珪素は多孔質アルミナに比べて耐食性及び電気伝導性に優れ、めっき液保持プレート21用材料として極めて好都合だからである。
【0027】
本実施形態のめっき液保持プレート21を構成する多孔質炭化珪素板P1は、上層27及び下層28からなる2層構造を有している。そして、下層28における多孔性の度合いは、上層27における多孔性の度合いよりも小さくなっている。より具体的にいうと本実施形態では、下層28における気孔径及び気孔率は、上層27における気孔径及び気孔率よりも小さくなっている。上層27における気孔径及び気孔率を相対的に大きく設定した理由は、層内に銅めっき液15をスムーズに流すことにより、圧損増大の回避を図ったためである。一方、下層28において気孔径及び気孔率を小さく設定した理由は、銅めっき液15の流れをいくぶん規制することにより、好適なめっき液保持性の付与を図ったためである。
【0028】
第1層である上層27における気孔径は25μm〜50μm、気孔率は30%〜50%であることがよい。
気孔径が25μm未満であったり気孔率が30%未満である場合、銅めっき液15がスムーズに流れにくくなり、圧力損失を確実に低減することが困難になるおそれがある。ゆえに、下層28側に供給される銅めっき液15の量が不均一になり、結果として銅めっき層の膜厚が不均一になるおそれがある。逆に気孔径が50μmを超えていたり気孔率が50%を超えるような場合、圧力損失の増大は避けられるものの、機械的強度の低下を起こす可能性がある。また、機械的強度の低下を回避しようとすると、材料の選定や焼成条件の設定が難しくなる。
【0029】
第2層である下層28における気孔径は10μm〜20μm、気孔率は20%〜30%であることがよい。
気孔径が10μm未満であったり気孔率が20%未満である場合、銅めっき液15の流れが過度に規制されて圧力損失が増大してしまい、銅めっき液15の滲出しやすさが場所によってバラつくおそれがある。即ち、めっき液保持プレート21の下面側から供給されるめっき液15の量が不均一になり、結果として銅めっき層の膜厚が不均一になるおそれがある。逆に気孔径が20μmを超えていたり気孔率が30%を超えている場合、銅めっき液15の流れが十分に規制されず、好適なめっき液保持性を付与することができくなる場合がある。
【0030】
上層27の厚さと下層28の厚さとの比は5:5〜9:1であることが好ましく、6:4〜8:2であることがさらに好ましい。
上層27の厚さの比が大きくなりすぎる(下層28の厚さの比が小さくなりすぎる)と、好適なめっき液保持性が得られなくなり、めっき液滲出量を毎回一定にすることが困難になる。逆に、上層27の厚さの比が小さくなりすぎる(下層28の厚さの比が大きくなりすぎる)と、全体として圧力損失の増大につながる結果、やはりめっき液滲出量を毎回一定にすることが困難になる。
【0031】
めっき液保持プレート21の体積固有抵抗は101Ωm〜105Ωmであることがよく、102Ωm〜104Ωmであることがなおよい。
体積固有抵抗が101Ωm未満のものを実現しようとすると、材料の選定や焼成条件の設定等が難しくなって、めっき液保持プレート21の製造コストが高騰するおそれがある。また、そればかりでなくめっき液保持プレート21の多孔性が損なわれ、めっき液保持性という基本性能が損なわれるおそれもある。逆に105Ωmを超える場合には電気伝導性が低くなりすぎてしまい、めっき液保持プレート21が実質的に陽極14として機能しなくなるおそれがある。ゆえに、半導体ウェハ5の上面付近の銅めっき液15に、強くかつ安定した電界を与えることができなくなるおそれがある。
【0032】
なお、めっき液保持プレート21の密度は1.6g/cm3〜2.5g/cm3、 曲げ強度は30MPa〜150MPa、ヤング率は50GPa〜200GPa、熱伝導率は50W/m・K〜150W/m・Kであることがよい。また、めっき液保持プレート21を構成する多孔質炭化珪素としては、高純度多孔質炭化珪素が用いられることがよい。具体的には、不純物である重金属の濃度が0.5%以下の多孔質炭化珪素が用いられることがよい。
【0033】
ここで、本実施形態のめっき液保持プレート21を製造する方法について説明する。
まず、平均粒径の異なる2種の炭化珪素粉末を所定比率で配合した原料を用意する。そして、これら2種の炭化珪素粉末に溶剤やバインダ等を配合したうえで、これをよく混合する。次いで、この混合物を乾燥した後、その乾燥混合物を顆粒化する。そして、前記造粒工程により得られた顆粒を材料として成形を行い、後に上層27となる円形状の第1成形体を作製する。
【0034】
同じく、平均粒径の異なる2種の炭化珪素粉末を配合した原料を用意する。そして、これら2種の炭化珪素粉末に溶剤やバインダ等を配合したうえで、これをよく混合する。次いで、この混合物を乾燥した後、その乾燥混合物を顆粒化する。そして、前記造粒工程により得られた顆粒を材料として成形を行い、後に下層28となる円形状の第2成形体を作製する。ただし、第2成形体用原料における2種の炭化珪素粉末の配合比率は、第1成形体用原料における2種の炭化珪素粉末の配合比率とは異なるものとされることがよい。その理由は、平均粒径の異なる2種の炭化珪素粉末の配合比率を変えることにより、上層27及び下層28に適した2種の成形体を比較的簡単にかつ確実に得ることができるからである。
【0035】
次いで、第1成形体及び第2成形体を積層して厚さ方向からプレス圧を加えることにより、これらを一体化させて積層体とする。そして、この積層体を不活性雰囲気下にて2000℃〜2300℃程度の温度で常圧焼成することにより、積層体を焼結させる。その結果、多孔性の度合いの異なる2層が互いに接合した状態の焼結体(即ち多孔質炭化珪素板P1)を得ることができる。
【0036】
次に、上記のように構成されためっき液保持プレート21を用いた電解銅めっき装置1の使用方法について説明する。
この電解銅めっき装置1の場合、めっき液供給管17を経て供給されてきた銅めっき液15が、前記空間19に一定量溜まるようになっている。当該空間19に供給されてきた銅めっき液15は、陽極14のスリット16を通過してめっき液保持プレート21に到る。そして、銅めっき液15はさらにめっき液保持プレート21における上層27の気孔及び下層28の気孔を通り抜けて、半導体ウェハ5の上面側に供給される。従って、この状態で陽極14及び陰極2間に通電を行うことにより、静止浴のまま電解銅めっきが施される。すると、半導体ウェハ5の上面側にあらかじめ掘られた配線用溝を埋めるように銅めっき層が析出し、結果として所望パターン形状の銅配線が形成されるようになっている。
【0037】
【実施例及び比較例】
[実施例1]
原料炭化珪素粉末として、GC♯240(信濃電気精錬社製、平均粒径57μm)とGMF−15H2(太平洋ランダム社製、平均粒径0.5μm)とを重量比が95:5となるようにして用いた。そして、これら2種の炭化珪素粉末にさらに水、バインダであるアクリル系樹脂を配合し、これを万能混合機を用いてよく混合しながら同時に造粒を行った。そして、前記混合・造粒工程により得られた顆粒を材料として、50MPa程度の圧力で静水圧プレスを行い、後に上層27となる円板状の第1成形体を作製した。
【0038】
また、原料炭化珪素粉末として、GC♯240(信濃電気精錬社製、平均粒径57μm)とGMF−15H2(太平洋ランダム社製、平均粒径0.5μm)とを重量比が70:30となるようにして用いた。そして、これら2種の炭化珪素粉末にさらに水、バインダであるアクリル系樹脂を配合し、これをポットミルを用いてよく混合した。前記混合工程により得られた均一な混合物を所定時間乾燥して水分をある程度除去した後、その乾燥混合物を適量採取し、これをスプレードライヤにより顆粒化した。そして、前記造粒工程により得られた顆粒を材料として、100MPa〜130MPa程度の圧力で静水圧プレスを行い、後に下層28となる円板状の第2成形体を作製した。
【0039】
次に、得られた2枚の成形体を積層し、一軸プレス機によりプレスを行った。次いで、プレスにより得られた積層体をアルゴン雰囲気下にて2100℃〜2200℃の温度で常圧焼成した。その結果、多孔質炭化珪素製の円板状のめっき液保持プレート21(上層27が7.0mm、下層28が3.0mmであり、全体厚が10mm)を得た。
【0040】
実施例1のめっき液保持プレート21の上層27については、気孔率が43%、気孔径が32μm、体積固有抵抗が103Ωm、密度が1.9g/cm3、曲げ強度が50MPa、熱伝導率が80W/m・K、重金属濃度が0.5%以下であった。下層28については、気孔率が25%、気孔径が13μm、体積固有抵抗が103Ωm、密度が2.4g/cm3、曲げ強度が130MPa、熱伝導率が140W/m・K、重金属濃度が0.5%以下であった。
[実施例2〜5]
実施例2,3では、上層27及び下層28の厚さを表1に示すように変更したことを除き、基本的には実施例1の手順に従って、同サイズのめっき液保持プレート21を作製した。
【0041】
実施例4,5では、上層27及び下層28の気孔径及び気孔率を表1に示すように変更したことを除き、基本的には実施例1の手順に従って、同サイズのめっき液保持プレート21を作製した。
[比較例1,2]
比較例1では、原料炭化珪素粉末として、GC♯240(信濃電気精錬社製、平均粒径57μm)とGMF−15H2(太平洋ランダム社製、平均粒径0.5μm)とを重量比が95:5となるようにして用いた。そして、これら2種の炭化珪素粉末にさらに水、バインダであるアクリル系樹脂を配合し、これを万能混合機を用いてよく混合しながら同時に造粒を行った。そして、前記混合・造粒工程により得られた顆粒を材料として、50MPa程度の圧力で静水圧プレスを行い、円板状成形体を作製した。これを実施例1と同じ条件で焼成し、上下2層構造を有しない単一層からなるめっき液保持プレート21とした(表2参照)。
【0042】
比較例2では、原料炭化珪素粉末として、GC♯240(信濃電気精錬社製、平均粒径57μm)とGMF−15H2(太平洋ランダム社製、平均粒径0.5μm)とを重量比が70:30となるようにして用いた。そして、これら2種の炭化珪素粉末にさらに水、バインダであるアクリル系樹脂を配合し、これをポットミルを用いてよく混合した。前記混合工程により得られた均一な混合物を所定時間乾燥して水分をある程度除去した後、その乾燥混合物を適量採取し、これをスプレードライヤにより顆粒化した。そして、前記造粒工程により得られた顆粒を材料として、100MPa〜130MPa程度の圧力で静水圧プレスを行い、円板状成形体を作製した。これを実施例1と同じ条件で焼成し、上下2層構造を有しない単一層からなるめっき液保持プレート21とした(表2参照)。
[比較試験の方法及び結果]
上記各実施例及び各比較例を電解銅めっき装置1に取り付けて、実際に銅めっき液15を供給し、銅めっき液15の滲出量のばらつき度合いを調査した。
【0043】
具体的には、めっき液保持プレート21の下側面をろ紙に押し付けて、ろ紙に銅めっき液15を染み込ませるようにした。そして、押し付け前のろ紙の重量と、押し付け直後のろ紙の重量との差を求め、その値から1回ごとの銅めっき液15の滲出量(mL)を算出した。これを10回連続して行い、最大値と最小値との差(mL)を求め、これを滲出量ばらつきの大小の指標とした。それらの結果を表1,2に示す。
【0044】
以上の結果から明らかなように、各実施例においては、銅めっき液15の滲出量のばらつき度合いが小さくなり、滲出量が毎回ほぼ一定になることがわかった。ゆえに、処理毎に銅めっき層の膜厚がばらつかず、複数枚の半導体ウェハ5に対して均一な膜厚の銅めっき層を形成可能であることが示唆された。
【0045】
一方、各比較例においては、銅めっき液15の滲出量のばらつき度合いが大きくなり、各実施例に比べて滲出量がばらつくことがわかった。ゆえに、処理毎に銅めっき層の膜厚がばらついてしまい、複数枚の半導体ウェハ5に対して均一な膜厚の銅めっき層を形成することが困難であることが示唆された。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
【0048】
(1)本実施形態のめっき液保持プレート21は、上下2層構造を有する多孔質セラミック板からなり、下層28における多孔性の度合いが上層27における多孔性の度合いよりも小さくなっている。このため、銅めっき液の滲出量が毎回ほぼ一定になり、処理毎に銅めっき層の膜厚がばらつきにくくなる。ゆえに、複数枚の半導体ウェハ5に対して均一な膜厚の銅めっき層(即ち銅配線)を形成することができる。
【0049】
(2)このめっき液保持プレート21は、耐食性に優れた多孔質炭化珪素板P1を用いて構成されているため、当該部材が銅めっき液15により侵蝕されにくくなり、銅めっき液15中への不純物の溶出が防止される。これにより銅めっき液の組成劣化が回避され、銅めっきの析出挙動が安定化する。また、多孔質アルミナに比べて電気伝導性に優れた多孔質炭化珪素を用いためっき液保持プレート21であるため、当該部材が実質的に陽極14としての役割を果たすようになる。よって、擬似的な陽極14である当該部材が半導体ウェハ5に対してより近接した状態となり、半導体ウェハ5付近の銅めっき液15に強くかつ安定した電界を与えることができる。
【0050】
(3)このめっき液保持プレート21では、上層27及び下層28の厚さの比を上記好適範囲内にて設定しているとともに、気孔径及び気孔率を上記好適範囲にて設定している。このため、処理毎の銅めっき層の膜厚ばらつきを確実に解消することができる。
【0051】
(4)本実施形態の製造方法によると、第1成形体及び第2成形体を積層してプレスすることにより、まず、2層構造の積層体を得ることができる。そして、これを焼成することにより、多孔性の度合いの異なる上層27及び下層28が互いに接合した状態の焼結体(即ち多孔質炭化珪素板P1)を得ることができる。また、平均粒径の異なる2種の炭化珪素粉末の配合比率を変えることにより、上層27及び下層28を比較的簡単にかつ確実に得ることができる。
【0052】
以上のことから明らかなように、本実施形態の製造方法によれば、所望のめっき液保持プレート21を比較的簡単にかつ確実に製造することができる。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
【0053】
・ 多孔性の度合いの異なる上層27及び下層28が互いに接合した状態の焼結体を、例えば前記実施形態とは異なる次の方法により製造することが可能である。まず、多孔性の度合いの大きい上層27をあらかじめ作製しておく。そして、CVD等の成膜方法によって、上層27の片側面に対し、多孔性の度合いの小さい下層28を形成する。
【0054】
・ 上層27及び下層28における多孔性の度合いに違いを持たせたい場合、気孔径のみを変更してもよいほか、気孔率のみを変更してもよい。勿論、前記実施形態のように気孔径及び気孔率の両方を変更してもよい。
【0055】
・ 第1成形体及び第2成形体をプレスして積層した後に焼成を行う前記実施形態に代え、例えば焼成によってあらかじめ上層27及び下層28を作製しておき、焼成後にこれらを接着剤等を用いて接合するようにしてもよい。
【0056】
・ フランジ部21aは必須ではないため省略されてもよい。
・ 実施形態の電解めっき装置1は、電解銅めっきを実施する場合のみならず、例えば電解ニッケルめっきや電解金めっき等を実施する場合にも勿論使用可能である。
【0057】
・ 被めっき物はシリコンやガリウム砒素などからなる半導体ウェハ5のみに限定されることはなく、例えばセラミック製、金属製またはプラスティック製の基材などであってもよい。
【0058】
・ 実施形態の電解めっき装置1は、配線の形成のみに利用されるばかりでなく、例えばバンプ等のような半導体における外部接続端子の形成などに利用されることも可能である。さらに、当該電解めっき装置1は、上記配線のように電気を流すことを目的とする金属層の形成のみに利用されるに止まらず、電気を流すことを特に目的としない金属層の形成に使用されても構わない。
【0059】
・ めっき液保持プレート21の上面は陽極14の下面に対して非接触状態で配置されていても構わない。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を挙げる。
【0060】
(1) めっき液が通過可能な構造を有する陽極と、被めっき物に接触する陰極と、前記陽極における前記被めっき物側に配置された多孔性のめっき液保持部材とを備え、前記めっき液が前記陽極及び前記めっき液保持部材を介して前記被めっき物に供給される電解めっき装置において、前記めっき液保持部材は上下2層構造を有する多孔質セラミック板からなり、下層における気孔径が上層における気孔径よりも小さいか、または下層における気孔率が上層における気孔率よりも小さいことを特徴とする電解めっき装置。
【0061】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜3に記載の発明によれば、複数の被めっき物に対して均一な膜厚のめっき層を形成することができる電解めっき装置用めっき液保持部材を提供することができる。
【0062】
請求項4に記載の発明によれば、上記の優れためっき液保持部材を比較的簡単にかつ確実に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態の電解銅めっき装置の概略断面図。
【符号の説明】
1…電解めっき装置としての電解銅めっき装置、2…陰極、5…被めっき物としての半導体ウェハ、12…ホルダ、13…開口部、14…陽極、15…めっき液、21…めっき液保持部材としてのめっき液保持プレート、27…第1層としての上層、28…第2層としての下層、P1…多孔質セラミック板としての多孔質炭化珪素板。
Claims (4)
- 上下2層構造を有するとともに、下層における多孔性の度合いが上層における多孔性の度合いよりも小さい多孔質セラミック板からなり、前記上層の厚さと前記下層の厚さとの比は5:5〜9:1であることを特徴とする電解めっき装置用めっき液保持部材。
- 上下2層構造を有するとともに、下層における気孔径及び気孔率が上層における気孔径及び気孔率よりも小さい多孔質セラミック板からなり、前記上層における気孔径は25μm〜50μm、気孔率は30%〜50%、前記下層における気孔径は10μm〜20μm、気孔率は20%〜30%であることを特徴とする電解めっき装置用めっき液保持部材。
- 前記多孔質セラミック板は多孔質炭化珪素板であることを特徴とする請求項1または2に記載の電解めっき装置用めっき液保持部材。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の部材の製造方法であって、
平均粒径の異なる2種の炭化珪素粉末を所定比率で配合した原料を用いて、前記上層となる第1成形体を作製する工程と、前記2種の炭化珪素粉末を前記比率とは異なる比率で配合した原料を用いて、前記下層となる第2成形体を作製する工程と、前記第1成形体及び第2成形体を積層してプレスする工程と、前記プレスにより得られた積層体を焼成する工程とを含むことを特徴とした電解めっき装置用めっき液保持部材の製造方法。
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