JP4832498B2 - 貫流ファン及び空気調和機 - Google Patents

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Description

この発明は、送風手段として用いられる貫流ファン、及びその貫流ファンを搭載した空気調和機に関するものである。
従来の空気調和機に搭載されている貫流ファンの一例として、各翼の負圧面側の羽根車外周側周辺に、回転方向に沿った溝や、小窪み、または小突起を設けたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
特開平3−210093号公報
従来の貫流ファンの一例として特許文献1に記載されているものは、各翼の負圧面側の羽根車外周側周辺に、回転方向に沿った溝や小窪みや小突起を備えている。貫流ファンは吸込口と吹出口で形成される風路にが設置され、貫流ファンを形成する翼が回転して吹出側に位置する場合、翼を通過する流れが後縁部に近づくにつれ剥離が生じ、この剥離によって騒音の原因となる圧力変動が生じる。そこで、特許文献1では、翼の負圧面に設けた溝や小窪みや小突起によって、騒音の原因となる圧力変動を吸収し、広帯域騒音を抑制することで低騒音化を図っている。しかし、翼が回転して吸込側に位置する場合には、吹出側に位置する場合に対し、翼での流れの通過方向が反転する。そのため、前記溝、小窪み、小突起が流れに対し前縁部となり、小さな溝部への流れの集中によて翼長手方向で大きな流速差が生じたり、小窪み側面での流れの剥離や小突起によって翼長手方向への流れが生成されて流れが不安定になり、逆に圧力変動を生じ広帯域騒音の悪化する可能性があった。
また、空気調和機に貫流ファンを搭載したとき、羽根車吸込側に配置されるフィルタへのホコリ付着等により通風抵抗が増加し、翼に対する流れの迎角が変化して剥離しやすくなり、さらに吹出流れが不安定になるなどの問題点があった。空気調和機の冷房運転時には、吹出流れが不安定になって室内からファンへの逆流が生じると、冷風が羽根車に流入して結露し、外部に結露水を飛散することで床が湿ってしまう可能性があった。
また、通常、翼を製造する際には、翼の成形型にASなどの熱可塑性樹脂を流し込み、冷却後羽根車回転軸方向に離型して翼の部分を形成する。ところが、特許文献1の構成のように翼の負圧面に翼回転方向(回転軸に直交する方向)に伸びる溝や小窪みや小突起を設けた翼を製造するためには、回転軸方向への離型が不可能で回転軸に直交する方向に離型する必要があり、製造方法が複雑となり生産性が悪化するという問題点があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、低騒音化及び高効率化が図れる貫流ファンを得ることを目的とする。
また、静粛で省エネルギー化できる空気調和機を得ることを目的とする。
本発明に係る貫流ファンは、中央部に回転中心が位置する円板状の支持板、及び前記支持板の外周に沿って配置され回転軸方向に伸びると共に両端を前記支持板に支持される複数の翼を有する羽根車単体と、前記羽根車単体を前記回転軸方向に複数固着してなる羽根車と、前記翼の回転方向に対して後面となる翼負圧面に設けられ前記回転軸方向に伸びる複数の凹状の溝と、隣合う溝との間に所定の間隔離して設けられた平坦部と、を備え、
隣合う前記溝の間隔を、前記溝の溝深さよりも大きくし、
向かい合う溝側部と溝底部とで前記溝を構成し、前記溝底部及び前記溝側部と前記翼負圧面との接続部を丸みを有する形状とし、
前記回転軸に垂直な断面で、前記複数の翼は、前記支持板の外周側に位置する翼外周側端部と前記支持板の内周側に位置する翼内周側端部との間で略円弧状であると共に、前記翼外周側端部及び前記翼内周側端部における翼の厚さよりも前記翼外周側端部と前記翼内周側端部の間の中央部分での翼の厚さを大きくし、少なくとも前記翼の前記回転方向に対して前面となる翼圧力面から前記翼外周側端部または前記翼内周側端部における翼の厚さだけ離して、前記翼負圧面に前記溝を設け、
前記複数の溝を前記翼外周側端部と前記翼内周側端部の少なくとも一方の端部近傍に設け、
前記溝の溝幅と溝深さの少なくとも一方を、前記回転軸方向で増加させ、前記翼外周側端部と前記翼内周側端部近傍における溝深さを、前記翼外周側端部と前記翼内周側端部の間の中央部分における溝深さより浅くしたことを特徴とするものである。
本発明によれば、翼の負圧面側で剥離を抑制し、流れを安定化して低騒音化と高効率化が図れる貫流ファンが得られる効果がある。
また、この貫流ファンを空気調和機に搭載することで、静粛で省エネルギー化できる空気調和機が得られる。
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1について、図に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係る貫流ファンを搭載した空気調和機を示す外観斜視図、図2は図1のQ−Q線における縦断面図である。空気の流れを、図1では白抜き矢印で示し、図2では点線矢印で示す。図1及び図2に示すように、空気調和機本体1は空調される部屋11の壁11aに設置される。空気調和機本体上部1aには、室内空気の吸込口となる吸込グリル2、ホコリを静電させ集塵する電気集塵器6、ホコリを除塵する網目状のフィルタ5を配設している。さらに、複数のアルミフィン7aに配管7bが貫通する構成の熱交換器7を、羽根車8aの正面側と上部側に、羽根車8aを囲むように配置している。また、空気調和機本体前面1bは前面パネルで覆われ、その下側に吹出口3が開口している。送風機である貫流ファン8は、羽根車8aに対して吸込側流路E1と吹出側流路E2を分離すると共に、熱交換器7から滴下される水滴を一時貯水するスタビライザー9を有し、羽根車8aの吹出側には吹出側流路の背面を構成するため、渦巻状のガイドウォール10を有する。さらに吹出口3には上下風向ベーン4a、左右風向ベーン4bが回動自在に取り付けられ、室内への送風方向を変化させる。図中、Oは羽根車8aの回転中心を示し、E1は羽根車8aの吸込領域、E2は羽根車8aの吹出領域である。また、ROは羽根車8aの回転方向を示す。
このように構成された空気調和機本体1において、電源基板によって羽根車8aを回転駆動するモータに通電されると貫流ファン8の羽根車8aがRO方向に回転する。すると空気調和機本体上部1aに設けられた吸込口2より部屋11の空気が吸込まれ、電気集塵器6、フィルタ5でホコリが除去された後、熱交換器7で空気は加熱され暖房、または冷却され冷房、除湿のいずれかがされ、貫流ファン8の羽根車8aへ吸込まれる。その後、羽根車8aから吹出された流れはガイドウォール10に誘導され吹出口3へ向かい、部屋11へ吹出すことで空調される。この際、上下風向べーン4a、左右風向ベーン4bにより吹出し空気を上下、左右方向へ風向制御することで、部屋11全体に風を流し温度ムラの抑制を図っている。
図3は本実施の形態に係る貫流ファン8の羽根車8aを示す概略図であり、図3(a)は貫流ファン8の側面図、図3(b)は図3(a)のN−N線断面図を示し、下半分は向こう側の複数枚の翼が見えている状態を示し、上半分は1枚の翼8cを示している。図3に示すように、貫流ファン8の羽根車8aは、回転軸方向AXに複数の羽根車単体8dを有する。羽根車単体8dは、中央部に回転中心が位置する円板状の支持板、ここでは例えばリング8bと、リング8bの外周に沿って配置され回転軸方向AXに伸びる複数の翼8cとで構成される。複数の翼8cは両端をリング8bに支持される。例えばAS樹脂やABS樹脂などの熱可塑性樹脂で成形された羽根車単体8dを、回転軸方向AXに複数個備え、例えば超音波溶着などによって翼8cの先端を隣に配置する羽根車単体8dのリング8bに連結する。回転軸方向AXの一端に位置するリング8bの中心にファンシャフト8fが設けられ、他端に位置するリング8bの中心にファンボス8eが設けられる。そして、ファンボス8eとモータ12のモータシャフト12aがネジ等で固定される。リング8bは外形が円形である板状の支持板であり、羽根車8aの回転軸方向の両端に位置するリング8bは、回転軸が位置する中央部分にファンシャフト8f及びファンボス8eが形成されており、両端を除くリング8bは、回転軸が位置する中央部分が空間となるリング状である。図3(b)で、一点鎖線はモータシャフト12aとファンシャフト8fを結び、回転中心Oを示す仮想回転軸線であり、回転軸方向を示すものである。
本実施の形態では、図3に示すように翼8cの翼負圧面13aで、翼外周側端部15aと翼内周側端部15bの間には、複数の溝14が形成されている。
ここで、翼の形状について、詳しく説明する。翼8cの回転方向側の面で回転時に圧力を受ける面を翼圧力面13b、翼圧力面13bと反対側の面で回転時に負圧になる面を翼負圧面13aと称する。図4は例えば1つのリング8bに1枚の翼8cが固定されている状態を示す斜視図であり、図5は図4のP−P線断面を拡大して示す説明図である。図4に示すように、リング8bの外周側に翼8cの翼外周側端部15aが位置し、リング8bの内周側に翼8cの翼内周側端部15bが位置し、翼外周側端部15aと翼内周側端部15bの間で略円弧形状をなす。翼8cの回転軸に垂直な断面において、溝14が無い時の翼8cの肉厚中心線であるそり線Uと翼8cの翼外周側端部15a、翼内周側端部15bとを結ぶ直線を翼弦線Lとし、翼弦線Lの長さをL1とする。
また、図5に示すように、円弧状の翼外周側端部15aでの翼の厚さte1、翼内周側端部15bでの翼の厚さte2(図示せず)に対し、翼8cの翼弦線L方向での中央部分の翼の厚さte3は、翼の厚さte1、翼の厚さte2よりも厚くなるように構成する。即ち、最大の厚さtmaxとなる翼厚最大部15cは翼8cの翼弦線L方向で翼外周側端部15aと翼内周側端部15bの間にあり、翼外周側端部15aから翼厚最大部15cにかけて滑らかに翼厚が厚くなり、翼厚最大部15cから翼内周側端部15bにかけて滑らかに翼厚が薄くなる構成である。
さらに、翼負圧面13aに回転軸方向AX、即ち翼長手方向へ伸びる溝14が複数本設けられている。凹形状の溝14は、溝底部14bと、溝底部14bの両端に接続する溝側部14aとで構成される。図6、図7は、羽根車回転軸AXと直交する断面で、翼負圧面13aに設けた溝14の形状を拡大して示す説明図である。溝側部14aは溝底部14bから翼負圧面13aに向かって溝幅を徐々に広くなるように傾斜させる。また、溝側部14aと翼負圧面13aとが接続される付近では丸みをつけて、例えば略円弧形状となるように形成する。さらに、溝側部14aと溝底部14bとが接続される付近では丸みをつけて、略円弧状となるように形成する。ここで、溝14の溝深さをh、溝幅をg、翼負圧面13aの隣の溝14との間の平坦部をM、その長さを平坦部長さをMLとする。点線iは溝14が形成されていない場合の翼負圧面13aを示す。溝幅g、平坦部長さMLは、翼負圧面13aと溝側部14aの延長線を延ばした仮想交点14pを設定し、仮想交点14p間の長さとする。
また、図5及び図6に示すように点線Kを翼圧力面13bを基準とし、翼外周側端部15aにおける翼の厚さte1または翼内周側端部15bにおける翼の厚さte2の等厚線として、溝14の溝底部14bは等厚線Kよりも翼負圧面13a側となるように形成する。即ち、溝14を等厚線Kよりも翼負圧面13a側に設ける。また、溝14の溝深さhと平坦部Mの平坦部長さMLの関係として、溝深さh<平坦部長さMLを満足するように溝14を形成する。さらに、翼外周側端部15aと翼内周側端部15bの間の中央部分15cにおける溝深さhcを、翼外周側端部15aと翼内周側端部15b近傍における溝深さhtよりも大きくしている。
このような翼8cに溝14を有する構成の羽根車8aにおいて、翼8cが羽根車吸込領域E1を通過する時の1枚の翼8cの翼負圧面13aと翼圧力面13bの空気の流れを図8に示す。図8は翼8cが羽根車吸込領域E1を通過する時の空気の流れを示す説明図である。
翼8cが羽根車吸込領域E1を通過する時、翼外周側端部15aから翼負圧面13aに吸込空気が通過する。ここで、翼負圧面13aに溝14を設けているので、溝14の内部が負圧となって、矢印20で示すように溝14内部へ向かう方向成分を有する流れとなる。このため、下流側へ向かうにつれて翼負圧面13aで剥離しそうになっても、空気流れが翼負圧面13aへ引き寄せられる。そして、下流側の翼内周側端部15bにかけて翼負圧面13aへ引き寄せるので、翼内周側端部15bで流れが離脱する際の剥離渦を小さくできる。
また、図9は、翼8cが羽根車吹出領域E2を通過する時の1枚の翼8cの翼負圧面13aと翼圧力面13bの空気の流れを示す説明図である。翼8cが羽根車吹出領域E2を通過している時には、翼内周側端部15bから翼負圧面13aに吸込空気が通過する。ここで、翼負圧面13aに溝14を設けているので、溝14の内部が負圧となって、矢印21で示すように溝14内部へ向かう方向成分を有する流れとなる。このため、下流側へ向かうにつれて翼負圧面13aで剥離しそうになっても、空気流れが翼負圧面13aへ引き寄せられる。そして、下流側の翼外周側端部15aにかけて翼負圧面13aへ引き寄せるので、翼外周側端部15aで流れが離脱する際の剥離渦を小さくできる。
このように、翼負圧面13aに設けた溝14によって、吸込領域E1及び吹出領域E2の両方において翼負圧面13aでの空気流の剥離を抑制でき、結果として、翼外周側端部15aから吹出領域E2へ流れが離脱する際の剥離渦を小さくできる。
また、溝14は回転軸方向(翼長手方向)に伸びて形成されているので、翼長手方向で通過する流れに風速差が生じても、溝14による引き寄せ効果が得られる。このため、全体として剥離を抑制できる。
さらに、剥離を抑制できることで、翼間流路の有効面積が拡大し、モータの駆動トルクも低減できる。これによって、効率のよい貫流ファンが得られる。
また、貫流ファンの翼負圧面13aに形成された複数の溝14は、回転軸に垂直な断面で、隣合う溝14との間に平坦部Mを有するように、所定の間隔ML離して設けている。溝14を翼弦線L方向に間隔がなく連続的に形成した場合、溝14で負圧が生成されても翼負圧面13aに流れが再付着できず不安定となる。即ち、溝14での引き寄せ効果によって、翼負圧面13aに沿って流れる空気流は、溝14を乗り越えた後、溝14に接続する翼負圧面13aに再付着しようとする。そこで、隣合う溝14との間に長さMLの平坦部Mを有するように構成することで、再付着するときの長さを十分にとることで安定して再付着する。このように、溝14での引き寄せ効果後、負圧面に再付着し、再度引き寄せ効果・・と繰り返すことで、流れが常に安定する。特に、溝14による引き寄せ効果を十分に発揮させることができる効果がある。その結果、貫流ファンは低騒音化と高効率化が図れ、さらに通風抵抗の変化に対して剥離防止、吹出流れの不安定によるファンへの逆流を防止できる。
また、回転軸に垂直な断面で、翼負圧面13aに形成された複数の溝14の溝側部14aと翼負圧面13aとの接続部は丸みを有するように、例えば略円弧形状となるように形成した。このため、溝14で流れが引き寄せられ、下流側の翼負圧面13aへ流れる時、角部にぶつかって生じる圧力変動を防止できる。従って、さらに低騒音化及び高効率化できる貫流ファンを得ることができる。また、1つの溝14に対し2つ溝側部14aと翼負圧面13aを接続する2つの角部を共に略円弧形状とした。これにより、翼8cが吸込領域E1と吹出領域E2で流れの方向が逆転しても、両方の領域E1、E2において剥離を抑制できる。
また、回転軸に垂直な断面で、溝底部14bを丸みを有する形状とすると共に、溝底部14bに連続する溝側部14aを翼負圧面13aに向かって広がりを有する形状とした。溝底部14bは例えば円弧状であるため、溝の内部での流れは滑らかに循環でき安定する。さらに溝側部14aは、翼負圧面13aに向かって広がるように傾斜を有することで、流れを溝14内に効果的に誘導して引き寄せ効果が得られる。従って、さらに低騒音で高効率化できる貫流ファンを得ることができる。
また、溝14の溝底部14bを等厚線Kよりも翼負圧面13a側となるように形成している。例えば、翼外周端部15aまたは翼内周端部15b近傍の翼厚を0.5mm程度とし、翼中央部15cでの翼厚を1.5mm程度とした場合、等厚線Kは翼圧力面13bから0.5mm程度のところになる。この翼厚線Kよりも翼負圧面13aに溝14を形成するので、翼中央部15cでの溝深さhcは1.0mm以下となるように構成する。例えば、溝深さhを0.25mm程度とし、翼外周端部15aまたは翼内周端部15b近傍では翼厚が0.75mm程度よりも大きい部分の翼負圧面13aに溝14を設ける。このように構成することで、溝14による引き寄せ効果を得ることができると共に、溝14を形成しても翼8cの厚さを確保でき、強度の向上を図ることができる。
また、溝深さh<平坦部長さMLを満足するように溝14を形成している。即ち、貫流ファンの翼負圧面13aに形成された複数の溝14は、回転軸に垂直な断面で、翼弦線方向に少なくとも所定の間隔MLを開けて形成されている。前記に平坦部Mによる作用効果を述べたが、平坦部長さMLを溝深さhよりも大きくすることで、平坦部Mによって溝14を流れが乗り越えた後の再付着を確実にでき、引き寄せ効果と再付着を繰り返すことで、翼負圧面13aから剥離することなく流れが常に安定する。このため、低騒音化と高効率化を図ることのできる貫流ファンが得られる。
また、翼外周側端部15aから翼内周側端部15bまでの翼負圧面13aに全面に溝14を設けた構成としたが、これに限るものではない。翼外周側端部15aと翼内周側端部15bの少なくとも一方の端部近傍に設ければよい。例えば、翼外周側端部15aの近傍に数本例えば2本の溝14を設けると共に、翼内周側端部15bの近傍に数本例えば2本の溝14を設けたような構成でもよい。また、翼外周側端部15aの近傍に数本例えば2本の溝14を設けただけでもよく、逆に、翼内周側端部15bの近傍に数本例えば2本の溝14を設けたような構成でもよい。少なくとも吸込領域E1において上流側となる翼外周側15aと、吹出領域E2において上流側となる翼内周側15bとに設けることで、効果的に溝14によって空気流の剥離を低減することができる。
貫流ファン8を搭載する装置の構成によって、吸込領域E1で流れが剥離しやすい場合には、吸込領域E1で流れの上流側となる翼外周側端部15aの近傍に溝14を設けると効果的である。また、吹出領域E2で流れが剥離しやすい場合には、吹出領域E2で流れの上流側となる翼内周側端部15bの近傍に溝14を設けると効果的である。
ただし、図8及び図9で示したように、回転軸に垂直な断面で、翼負圧面13aの翼外周側端部15aから翼内周側端部15bの全面に溝14を設けると、翼負圧面13aのどこで剥離が起ころうとしてもこれを防止できるので、さらに効果的である。
また、上記では、翼8cの翼負圧面13aの回転軸方向に伸びる溝14は、翼8cの一端部から他端部まで至る長い溝14としたが、一部に設けてもよい。例えば、翼長手方向の中央部分、一端部、他端部の少なくともいずれか一部分に設ければ、効果を奏する。また、複数の溝14は同じの長さでなくてもよい。また、複数の溝14が不規則に配置されていてもよい。即ち、翼8cの翼長手方向において、溝14の開始位置と終了位置が、複数の溝14によってさまざまに変化していてもよい。
また、一本の溝14において、溝深さh、平坦部長さML、溝幅gは同じでなくてもよい。例えば、溝幅gが翼長手方向の一端部で大きく、他端部で小さくなるように、徐々にまたは段階的に変化させてもよい。
翼長手方向に均一な溝14を形成するのではなく、不均一にすることで、回転軸に垂直な断面が翼長手方向の位置で変化することになる。即ち、翼負圧面13aに偏流して流れ込む場合、翼弦線Lの方向で溝14の数が変化する。翼長手方向で微小に剥離が生じようとしても、その近傍の翼長手方向の流れに影響されて拡散される。そして風速分布が均一化されることになる。これによって、騒音が低減される。
また、図5に示すように、翼弦線L方向で、翼8cの翼外周端部15aと翼内周側端部15bの間の翼弦中央部付近の溝深さhcが、前記翼外周端部15aと翼内周側端部15b側の溝深さhtよりも大きくなるように形成している。このため、溝14による引き寄せ効果が得られると共に、翼8cの翼厚が極端に薄くなることなく、成形時の湯周り悪化や組立て時の強度不足を防止でき、生産性の向上を図ることができる。
翼8cの形状で、翼圧力面13aと翼負圧面13b間の翼厚が略等厚のものでは、翼内周側端部15bから翼外周側端部15aにかけて徐々に流路が狭くなる。この場合、特に吸込領域で外周側から内周側へ空気流が流入する時、内周側で翼間距離が広くなり、流れが不安定となるが、溝14を設けることで引き寄せ効果によって剥離を抑制できる。これに対して、図5に示すような翼形状では、翼圧力面13bに対し、翼負圧面13aの方が翼表面の円弧半径が小さく曲率が大きい。即ち、翼弦線L方向の中央部分15cでの翼厚が、翼内外周側端部15a、15bでの翼厚よりも大きい。このような形状では、隣り合う翼8cとの流路距離をみると、翼内周側端部15bから翼外周側端部15aで変化が小さく、翼通過中に流れが安定しやすい。そこで、さらに本実施の形態のような溝14を翼負圧面13aに設けることで、微小な境界層の発達を抑制し、翼間での空気流をスムーズな流れとし、乱流によって翼間流路が狭くなるのを防止できる。
また、本実施の形態では、複数の溝14を翼長手方向に略平行に並設し、かつ翼長手方向で翼外周側端部15aと翼内周側端部15bに対して略平行に形成した。回転軸に垂直な断面で複数の溝14が形成されていれば、引き寄せ効果を奏するので、翼長手方向で翼外周側端部15aや翼内周側端部15bに対して、若干斜めであっても、同様の効果を奏する。例えば、並設する複数の溝14が、羽根車8aの回転方向に前進または後退するように、回転軸に対して捻って形成されていてもよい。
以上のように、本実施の形態に係る貫流ファンは、中央部に回転中心が位置する円板状の支持板8b、及び支持板8bの外周に沿って配置され回転軸方向に伸びると共に両端を支持板8bに支持される複数の翼8cを有する羽根車単体と、前記羽根車単体8dを前記回転軸方向に複数固着してなる羽根車8aと、前記翼8cの回転方向に対して後面となる翼負圧面13aに設けられ前記回転軸方向に伸びる複数の凹状の溝14と、を備え、隣合う溝14との間に平坦部Mを有するように前記溝14を所定の間隔離して設けたことを特徴とすることにより、溝14で負圧を生成することで、空気流れを翼負圧面13aへ引き寄せ、溝14を乗り越えた流れを再付着させて、翼負圧面13aから剥離しにくくできる。そして、翼の負圧面側での境界層の発達および剥離を抑制し、翼間流路の有効面積の拡大を促し、モータの駆動トルクを低減できる。このため、低騒音化と高効率化が図れる貫流ファンが得られる。
また、この貫流ファン8を吸込側流路E1と吹出側流路E2の間に配置し、吸込側流路E1に、羽根車8aを囲むように熱交換器7を配設し、貫流ファン8で送風される吸い込んだ空気と熱交換器7で熱交換して吹出側流路E2を通って室内に吹き出す空気調和機において、本実施の形態で述べた貫流ファン8を搭載することで、静粛で省エネな空気調和機が得られる。さらに、上流側で通風抵抗が増加しても剥離しにくく、さらに、溝14によって翼8cから流れが離脱する際の剥離渦を小さくでき安定した流れが吹き出されるので、空気調和機の冷房運転時に室内から貫流ファン8への逆流を防止でき、羽根車8aが結露して外部に結露水を放出することを防止できる。
実施の形態2.
図10は本発明の実施の形態2に係る貫流ファンの羽根車8aを示す斜視図であり、図11は貫流ファンの羽根車のモータ側の部分を示す図で、図11(a)はモータ側の羽根車8aを部分的に示す斜視図、図11(b)は側面からみた説明図である。図11(b)は最もモータに近いリング8bの側面を一部切り欠いて示しており、切り欠いた部分はその隣のリング8bと共に翼8cを示している。各図において、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示す。
本実施の形態における羽根車8aでは、モータシャフト12aに固定されるファンボス8eが、羽根車8aの端部に位置する羽根車単体8dの内部側に突出した構成である。図10に示すように、貫流ファン8の羽根車8aは、回転軸方向AXに複数の羽根車単体8dを有する。羽根車単体8dは、中央部に回転中心が位置する円板状の支持板、ここでは例えばリング8b、及びリング8bの外周に沿って配置され回転軸方向に伸びると共に両端をリング8bに支持される複数の翼8cを有する。羽根車単体8dは、例えばAS樹脂やABS樹脂などの熱可塑性樹脂で成形され、回転軸方向AXに複数個、ここでは5個の羽根車単体8dを例えば超音波溶着などによって回転軸方向AXに固着して羽根車8aを形成する。そして、モータ側の端部のリング8bの中心にファンボス8eが設けられ、ファンボス8eとモータ12のモータシャフト12a(図3に示す)が固定部16で例えばネジ等で固定される。固定部16でモータシャフト12aと羽根車8aの回転軸を固定することで、モータ12の回転によって羽根車8aが回転駆動される。
本実施の形態では、羽根車8aとモータ12を固定するファンボス8eが羽根車内部へ突出し、モータシャフト12aに固定する固定部が羽根車単体8daの内側に位置して形成されている。このように構成することで、空気調和機の横幅を維持したまま、羽根車8aの全長をファンボス8eの長さだけ長くできるので、送風特性を向上できる。このように構成したモータ12側の端部に位置する羽根車単体8daでは、ファンボス8eとモータシャフト12aをネジ穴16で固定する際に固定具を挿入しうるように、部分的に翼8cを設けずに開口部Cを有する構成である。これを図11の丸Cに開口部を示す。例えば、他の羽根車単体8dでは翼8cが360度でシャフトである回転軸の周囲に均等に設けられているが、羽根車単体8daではネジ穴16に対向する部分の翼8cが所定枚数、例えばここでは1枚だけ歯抜きとなって設けられずに、開口部Cからネジ穴16が見えている。
本実施の形態では、羽根車単体8daの翼が部分的に欠けて開口部Cを有する構成の羽根車8aの場合、少なくともその開口部Cよりも回転方向に前進した翼8caの翼負圧面13aに、実施の形態1で示した溝14を設ける。
開口部Cで隣り合う翼8caと翼8cbの間隔は、他の翼間に比べ広いので、他の翼間で形成される流路よりも多くの空気が流れて剥離しやすくなる。開口部Cにできた広い流路で剥離すると、バタバタというような異常音が発生したりする。これに対し、本実施の形態では、少なくとも空間Cの翼8cの回転方向下流側1枚目の翼8caの翼負圧面13aに、翼8cの長手方向へ延びる複数の溝14を形成する。実施の形態1で述べたが、図8及び図9に示したように溝14によって流れが引き寄せられて剥離が抑制されるため、溝14が形成されない場合に比べて剥離による騒音が低減でき静かな貫流ファンを得ることができる。
溝14の構成については、実施の形態1と同様である。少なくとも開口部Cよりも回転方向に前進した翼8caの翼負圧面13aに、実施の形態1で示した溝14を設ければ、この翼間を流れる空気流に対して効果がある。さらに、他の翼8cの翼負圧面13aにも溝14を設けることで、さらに羽根車全体として、翼間の剥離を抑制できる。剥離を抑制できることで、翼間流路の有効面積を拡大でき、モータの駆動トルクを低減できる。
また、開口部Cよりも回転方向に前進した翼8caの翼負圧面13aのみではなく、領域Dに示したように、開口部Cよりも回転方向に前進した部分の複数枚の翼8cに溝14を設けると、さらに効果的である。また、開口部Cよりも反回転方向の翼8cbを含む複数の翼8cの翼負圧面13aに溝14を設けると、さらに効果的である。
なお、図11では、固定部16に固定具を挿入しうるように、翼8cを1枚設けていない構成としたが、これに限るものではない。例えば羽根車単体8dに複数の翼8cが等間隔ではなく不等ピッチで設けられている場合もある。この場合には、間隔の広い部分に固定部16が対向するように構成すると、固定部16に固定具を挿入しうるようになる。このように、固定部16に固定具を挿入しうるように翼8cの間隔を部分的に広くしてなる開口部Cが形成されている場合でも、少なくとも羽根車8aの回転方向RO側で開口部Cに隣接する翼8cの、回転方向ROに対して後面となる翼負圧面13aに回転軸方向AXに伸びる複数の凹状の溝14を設ければよい。
以上のように、中央部に回転中心が位置する円板状の支持板8b、及び支持板8bの外周に沿って配置され回転軸方向AXに伸びると共に両端を支持板8bに支持される複数の翼8cを有する羽根車単体8dと、羽根車単体8dを回転軸方向AXに複数固着してなる羽根車8aと、羽根車8aの端部に位置する支持板8bにモータシャフト12aが固定されて羽根車8aを回転駆動するモータ12と、羽根車単体8dの内側に位置するモータシャフト12aとの固定部16と、固定部16に固定具を挿入しうるように羽根車単体8dの翼8cの間隔を部分的に広くしてなる開口部Cと、を備え、少なくとも羽根車8aの回転方向RO側で開口部Cに隣接する翼8caの、回転方向ROに対して後面となる翼負圧面13aに回転軸方向AXに伸びる複数の凹状の溝14を設けたことによって、翼負圧面13aからの剥離が抑制される。このため、安定した流れが得られ、騒音を低減できる。
また、実施の形態1で述べたように、特に回転軸に垂直な断面で、隣合う溝との間に平坦部Mを有するように溝14を所定の間隔離して設けてもよい。このように構成することで、固定部16が見えているので製造しやすい。且つ翼間で部分的に開口部Cがあっても、溝14による引き寄せ効果と平坦部Mによる再付着効果で、流れを安定にでき、騒音を低減でき効率のよい貫流ファンが得られる。
また、貫流ファンを搭載することで耳障りのない静粛で高品質な空気調和機が得られる。
ここでは、組立工程の固定部の都合で隣り合うの翼の間隔が広くなっている部分での流れを考慮して剥離を抑制する構成について記載した。ただし、これに限定されるものではなく、他の理由から隣り合うの翼の間隔が広くなる部分が構成された場合でも、少なくとも間隔が広い部分の回転方向側の翼8cの、翼負圧面13aに回転軸方向AXに伸びる溝14を複数設ければよい。
実施の形態3.
以下、本発明の実施の形態3について、図に基づいて説明する。図12は本実施の形態に係る貫流ファン8の羽根車8aを示す概略図であり、図12(a)は貫流ファン8の側面図、図12(b)は図12(a)のS−S線断面図を示し、各羽根車単体8dで、下半分は向こう側の複数枚の翼が見えている状態を示し、上半分は1枚の翼8cを示している。図において、実施の形態1及び実施の形態2と同一符号は同一、又は相当部分を示す。図12(b)でも、一点鎖線はモータシャフト12aとファンシャフト8fを結び、回転中心Oを示す仮想回転軸線である。図12に示すように、貫流ファン8の羽根車8aは、回転軸方向AXに複数の羽根車単体8dを有する。羽根車単体8dは、中央部に回転中心が位置する円板状の支持板、ここでは例えばリング8b、及びリング8bの外周に沿って配置され回転軸方向に伸びると共に両端をリング8bに支持される複数の翼8cを有する。本実施の形態における翼8cは、羽根車単体8dにおいて、一端部でリング8bと接続する接続部である翼付け根部(図12(b)では向かって右側)で回転軸に垂直な断面形状が一番大きく、徐々に断面形状が小さくなるように形成する。そして翼8cの他端部で隣接する羽根車単体8dに固着される接続部である翼長手方向先端部(図12(b)では向かって左側)で回転軸に垂直な断面形状が最小となるような先細り形状とする。即ち、回転軸に垂直な断面で、翼負圧面13aと翼圧力面13bで形成される翼8cの翼厚と、翼外周側端部15aと翼内周側端部15bとを結ぶ直線の長さである翼弦線長さL1とを、翼付け根部から翼長手方向先端部へ向かって減少させた形状とする。このため、図12(b)に示した断面では、翼外周側端部15a及び翼内周側端部15bは共に、翼付け根部から翼長手方向先端部に向かって翼8cの内側に傾斜した形状となる。本実施の形態でも、翼8cの回転方向に対して後面となる翼負圧面13aに回転軸方向AXに伸びる複数の凹状の溝14を設ける。
製造工程において、羽根車単体8dを例えばAS樹脂やABS樹脂などの熱可塑性樹脂で樹脂成形する。羽根車8aでは複数の翼8cは2つのリング8bの間に固定されるのであるが、その一方のリング8b、例えばモータ側のリング8bと一体に成形されて羽根車単体8dを構成する。この樹脂成形の離型の様子を図13に示す。図13は型17、18を示す断面図であり、上下に1枚づつの翼8cが成形された様子を示すが、実際にはリング8bの外周の内側に複数の翼8cが環状に並設されて成形される。樹脂成形では、複数の翼8cの形に凹凸型であわせた金型17、18を作成し、その金型内に高圧で樹脂を射出し、冷却後に金型18を矢印方向に移動することで、樹脂で形成された羽根車単体8dが得られる。
この矢印のように回転軸方向AXに離型する場合には、羽根車単体8dの形状が回転軸方向AXに離型可能な形状にする必要がある。このため、翼8cは、羽根車単体8dにおいて、リング8bに連続する翼8cの部分である翼付け根部8c1で断面形状が一番大きく、翼長手方向先端部8c2で断面形状が小さくなるように形成する。このような翼8cの断面形状にすることで、樹脂成形の際の離型が円滑に行なわれる。ここでは、例えば翼8cの翼付け根部8c1から翼長手方向先端部8c2に向かって、徐々に翼の断面形状を小さくして先細り形状の翼8cとする。翼外周側端部15a及び翼内周側端部15bは翼8cの内側に、例えば数度程度の角度を有するように傾斜した形状となる。このため、離型時に金型18を少し移動した時点で翼8cの全面で金型18と成形した羽根車単体8dとの間に空間ができて離れるため、離型が容易に円滑に行なわれる。
そして、樹脂成形した先細り形状の羽根車単体8dの翼長手方向先端部8c2を隣に位置するリング8bに、例えば超音波溶着などによって固着すれば、回転軸方向AXに羽根車単体8d同士が固定されて羽根車8aが形成される。
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の溝14を、翼8cの翼負圧面13aに設けている。即ち、翼8cの翼負圧面13aには、回転軸方向AXである翼長手方向へ伸びる凹状の溝14が複数本設けられている。回転軸に垂直な断面で、翼外周側端部15aと翼内周側端部15bの間に、例えば均等に配置された複数の溝14は、溝底部14bと2つの向かい合う溝側部14aとを有し、溝底部14bの形状を丸みを有する構成とし、ここでは略円弧形状とする。溝底部14bに連続する溝側部14aは、翼負圧面13aに向かって広がりを有する形状とし、溝側部14aと翼負圧面13との接続部も丸みを有する形状とする。回転軸方向AXに伸びた溝14は、羽根車8aの周方向に凹凸があり回転軸方向AXには凹凸がない形状である。このため、図13で示した回転軸方向AXに離型する樹脂成形で羽根車単体8dを成形するのに適した形状である。
さらに、翼の形状について、詳しく説明する。図14は図12の翼1枚におけるA−A断面図で、翼8cの翼長手方向先端部8c2の断面を示している。また、図15は図12の翼1枚におけるB−B断面図で、翼8cの翼付け根部8c1の断面を示している。図14及び図15に示すように、貫流ファンの回転軸に垂直な断面では、どの断面においても翼8cの形状は同様であり、大きさは翼付け根部8c1が最も大きく、翼長手方向先端部8c2で最も小さくなる。
翼長手方向先端部8c2の断面を示す図14において、翼弦線長さをL12、溝深さをh2、溝幅をg2、翼8cの翼圧力面13bと翼負圧面13aの内接円の直径である翼厚の最大の厚さをtmax2とする。同様に、翼付け根部8c1の断面を示す図15において、翼弦線長さをL11、溝深さをh1、溝幅をg1、最大の厚さをtmax1とする。ここで、溝幅g、溝深さhの定義は、実施の形態1の図7で示したものと同様である。本実施の形態の翼8cでは、tmax1>tmax2、L11>L12で、翼付け根部8c1から翼長手方向先端部8c2に向かって、翼弦線長さL1及び最大の厚さtmaxを滑らかに減少させた先細り形状である。溝14に関しては、図12に示した構成例では、h1=h2、g1=g2として、同じ形状の溝14を翼負圧面13aに複数本設けている。
実施の形態1と同様、翼8cが吸込領域E1を通過する時、翼外周側端部15aから翼負圧面13aに吸込空気が通過する。ここで、翼負圧面13aに翼長手方向へ伸びる複数の溝14が形成されているので、翼負圧面13aを吸込空気が通過する際の空気流れは、図8に示すようになる。即ち、溝14の内部が負圧となって矢印20で示すように溝14内部へ向かう方向成分を有する流れとなる。このため、翼外周側端部15aで剥離しかけても翼負圧面13aへ引き寄せられ、さらに下流側の翼内周側端部15bにかけても翼負圧面13aへ引き寄せるので、翼内周側端部15bで流れが離脱する際の剥離渦を小さくできる。
また、図9に示すように、翼8cが吹出領域E2を通過する時には、翼内周側端部15bから翼負圧面13aに吸込空気が通過する。ここで、翼負圧面13aに溝14を設けているので、溝14の内部が負圧となって、矢印21で示すように溝14内部へ向かう方向成分を有する流れとなる。このため、下流側へ向かうにつれて翼負圧面13aで剥離しそうになっても、空気流れが翼負圧面13aへ引き寄せられる。そして、下流側の翼外周側端部15aにかけて翼負圧面13aへ引き寄せるので、翼外周側端部15aで流れが離脱する際の剥離渦を小さくできる。
このように、翼負圧面13aに設けた溝14によって、吸込領域E1及び吹出領域E2の両方において翼負圧面13aでの空気流の剥離を抑制でき、結果として、翼外周側端部15aから吹出領域E2へ流れが離脱する際の剥離渦を小さくできる。
また、溝14は回転軸方向AXに伸びて形成されているので、翼長手方向での風速差が生じても溝14による引き寄せ効果が得られる。このため、全体として剥離を抑制できる。
さらに、剥離を抑制できることで、翼間流路の有効面積が拡大し、モータの駆動トルクも低減できる。これによって、効率のよい貫流ファンが得られる。
また、実施の形態1における図7と同様、貫流ファンの翼負圧面13aに形成された複数の溝14は、回転軸に垂直な断面で、隣合う溝14との間に平坦部Mを有するように、所定の間隔ML離して設けている。このように、隣合う溝14との間に長さMLの平坦部Mを有するように構成することで、再付着するときの長さを十分にとることで安定して再付着する。溝14での引き寄せ効果後、負圧面13aに再付着し、再度引き寄せ効果・・と繰り返すことで、流れが常に安定する。特に、溝14による引き寄せ効果を有効に発揮させることができる効果がある。その結果、貫流ファンは低騒音化と高効率化が図れ、さらに通風抵抗の変化に対して剥離防止、吹出流れの不安定によるファンへの逆流を防止できる。
また、実施の形態1と同様、回転軸に垂直な断面で、翼負圧面13aに形成された複数の溝14の溝側部14aと翼負圧面13aとの接続部は丸みを有するように、例えば略円弧形状となるように形成した。このため、溝14で流れが引き寄せられ、下流側の翼負圧面13aへ流れる時、角部にぶつかって生じる圧力変動を防止できる。従って、さらに低騒音化及び高効率化できる貫流ファンを得ることができる。また、1つの溝14に対し2つ溝側部14aと翼負圧面13aを接続する2つの角部を共に略円弧形状とした。これにより、翼8cが吸込領域E1と吹出領域E2で流れの方向が逆転しても、両方の領域E1、E2において剥離を抑制できる。
また、実施の形態1と同様、回転軸に垂直な断面で、溝底部14bを丸みを有する形状とすると共に、溝底部14bに連続する溝側部14aを翼負圧面13aに向かって広がりを有する形状とした。溝底部14bは例えば円弧状であるため、溝の内部での流れは滑らかに循環でき安定する。さらに溝側部14aは、翼負圧面13aに向かって広がるように傾斜を有することで、流れを溝14内に効果的に誘導して引き寄せ効果が得られる。従って、さらに低騒音で高効率化できる貫流ファンを得ることができる。
また、実施の形態1と同様、溝14の溝底部14bを等厚線Kよりも翼負圧面13a側となるように形成している。このように構成することで、溝14による引き寄せ効果を得ることができると共に、溝14を形成しても翼8cの厚さを確保でき、強度の向上を図ることができる。
また、実施の形態1と同様、翼付け根部8c1から翼長手方向先端部8c2にかけて、回転軸方向に垂直なすべての断面において、溝深さh<平坦部長さMLを満足するように溝14を形成している。平坦部長さMLを溝深さhよりも大きくすることで、平坦部Mによって溝14を流れが乗り越えた後の再付着を確実にでき、引き寄せ効果と再付着を繰り返すことで、翼負圧面13aから剥離することなく流れが常に安定する。このため、低騒音化と高効率化を図ることのできる貫流ファンが得られる。
このように、離型が容易に円滑に行なわれる構成の貫流ファンで、低騒音化と高効率化が図れ、この貫流ファンを搭載することで生産性がよく、静粛で省エネな空気調和機が得られる。
図16は、本実施の形態に係る貫流ファンの他の構成例による1枚の翼8cを示す斜視図である。この構成では、溝14の溝幅gまたは溝深さhを翼長手方向に同一ではなく、翼付け根部8c1と翼長手方向先端部8c2で変化させている。また、図17に、翼8cの翼長手方向先端部8c2における回転軸に垂直な断面の一部を拡大して示す。即ち、図12のA−A線断面と同様である。ここで、翼付け根部8c1の溝14の溝幅g1、溝深さh1、翼長手方向先端部8c2の溝14の溝幅g2、溝深さh2に対し、g1<g2、h1<h2とする。翼8cの形状は、リング8b側の翼付け根部8c1から固着前に自由端である翼長手方向先端部8c2へ向かって、翼厚と翼弦線長さL1が徐々に縮小する先細り形状とする。さらに翼負圧面13aに設ける凹状の溝14は、溝幅gと溝深さhが翼付け根部8c1から翼長手方向先端部8c2へ向かって、徐々に増加するように形成する。
このため、溝14による引き寄せ効果での剥離を抑制できることに加え、溝14を流れが乗越える時、翼長手方向(回転軸方向)で引き寄せ効果がなだらかに変化する。流れが翼8cから放出される際、翼長手方向で流速及び風向がなだらかに変化することで、特に吹出領域E2において、ガイドウォール10に接する流速及び角度が変化する。このように吹出流れがガイドウォール10に同時に到達しないので、圧力変動が減衰し、さらに低騒音化が図れる。
さらに、図13のように、翼回転軸方向AXに型17、18を離型する成形方法で製造する際、翼外周側端部15a及び翼内周側端部15bが離型方向に若干の傾斜を有すると共に、溝14を構成する凹部全体が離型方向に若干の傾斜を有する。このため、樹脂成形する際、溝14も含めた翼8c全体で離型しやすい。
その結果、貫流ファンは、生産性を維持しながら、さらに低騒音化、高効率化が図れる。またさらに通風抵抗の変化に対して剥離を抑制でき、安定した吹出流れを実現でき、貫流ファンの低騒音化と高効率化を図ることができる。
なお、羽根車単体8dの長手方向で翼8cは、リング8b側の付け根部8c1から固着前に自由端である他方の翼長手方向先端部8c2へ向かって、翼厚と翼弦線長さL1が徐々に縮小する先細り形状とし、回転軸方向に垂直な断面形状が徐々に減少するように形成したが、これに限るものではない。例えば傾斜をもたせて徐々に翼8cの断面形状を変化させる代わりに、段階的に変化させてもよい。段階的に変化させる構成でも、滑らかに変化させた形状と同様、離型時に金型18を少し移動した時点で羽根車単体8dの全面で金型18と成形した羽根車単体8dとの間に空間ができて離れるため、離型が容易に円滑に行なわれる。
また、翼負圧面13aに形成される溝14の溝幅gと溝深さhが、翼付け根8c1側から翼長手方向先端部8c2へ向け徐々に増加するように形成されていなくてもよい。即ち、溝14の溝幅gと溝深さhの少なくとも一方が徐々に、又は段階的に増加するように形成してもよい。翼長手方向で少なくとも溝幅gと溝深さhのいずれか一方が徐々にまたは段階的に増加するように形成されていればよい。段階的に凹状が変化する溝14であっても、溝14を流れが乗越える時、翼長手方向で引き寄せ効果が変化し、流れが翼8cから放出される際、翼長手方向で流速や風向が変化する。このことから、特に羽根車吹出領域E2で吹出流れがガイドウォール10に接する際、吹出流れの流速や角度が変化することで同時に到達することなく、圧力変動が減衰しさらに低騒音化の効果を奏する。
さらに図17の翼弦線L方向で、翼8cの翼外周端部15aと翼内周側端部15bの間の翼弦中央部15c付近の溝深さhcに対し、前記翼外周端部15aと翼内周側端部15b側の溝深さhtの方が浅くなるように形成してもよい。この場合には、翼負圧面13aに溝14を形成しても、翼8cの肉厚が極端に薄くならず、成形時の湯周り悪化や組立て時の強度不足が発生せず、生産性を向上できる。
また、図16のように、翼付け根部8c1と翼長手方向先端部8c2とで溝14の溝幅gや溝深さhを変化させた場合でも、回転軸に垂直な断面での溝14の形状に関しては、実施の形態1と同様である。即ち、平坦部M、溝側部14aの形状、溝側部14aと翼負圧面13aの角部、溝底部14bの形状等を実施の形態1と同様に工夫することで、さらに騒音を低減化でき、効率のよい貫流ファンを得ることができる。
また、図18は本実施の形態の貫流ファンの別の構成例を示すもので、1枚の翼8cを示す正面図である。この構成では、翼負圧面13aの翼外周側端部15aのある翼外周側のみに、例えば3本の溝14を設けている。一本の溝14の形状は図17と同様である。
このように翼外周側のみに設けた構成では、吸込領域E1で剥離の最初となる翼外周側端部15aで溝14の引き寄せ効果が得られるので、吸込領域E1で剥離を抑制でき、安定した流れとすることで吹出領域E2での剥離防止ができ、静粛で省エネルギー化できる貫流ファンが得られる。
また、翼外周側端部15a側に設けると共に、翼内周側端部15b側に複数本溝14を設けてもよい。即ち、翼8cの中央部分には設けずに、翼外周側と翼内周側にそれぞれ複数本の溝14を設けてもよい。翼内周側端部15b側に溝14を設けた構成では、特に吹出領域E2での剥離を抑制する効果が得られる。翼外周側端部15a側と翼内周側端部15b側の少なくともどちらか一方の翼負圧面13aに回転軸方向AXに伸びる複数の溝14を設けることで、ある程度の引き寄せ効果が得られる。
実施の形態1でも述べたが、貫流ファン8を搭載する装置の構成によって、吸込領域E1で流れが剥離しやすい場合には、吸込領域E1で流れの上流側となる翼外周側端部15aの近傍に溝14を設けると効果的である。また、吹出領域E2で流れが剥離しやすい場合には、吹出領域E2で流れの上流側となる翼内周側端部15bの近傍に溝14を設けると効果的である。
ただし、図8及び図9で示したように、回転軸に垂直な断面で、翼負圧面13aの翼外周側端部15aから翼内周側端部15bの全面に溝14を設けると、翼負圧面13aのどこで剥離が起ころうとしてもこれを防止できるので、さらに効果的である。
上記に示した翼負圧面13aに設けた溝14は、翼付け根部8c1から翼長手方向先端部8c2まで設け、溝14の長さはすべて同じように形成していた。ここで、溝14の長さを可変にした構成例について説明する。図19は本実施の形態の貫流ファンの別の構成例を示すもので、1枚の翼8cを示す正面図である。この構成では、翼負圧面13aの翼付け根部8c1には設けずに翼長手方向先端部8c2側に複数の溝14を設けている。一本の溝14の形状は図15と同様であり、翼付け根部8c1から翼長手方向先端部8c2に向かって、溝14の溝深さh及び溝幅gの少なくともいずれか一方が大きくなるように形成する。
翼8cが先細り形状の場合、翼長手方向先端部8c2側は、翼厚が薄く、翼弦長さL1が短い。このため、翼付け根部8c1側に比べ、翼負圧面13aと隣り合う翼の翼圧力面13bとの間隔が広く剥離しやすい。そこで、少なくとも翼長手方向先端部8c2側に溝14を形成することで、溝14での負圧による引き寄せ効果によって剥離を抑制でき、低騒音化を図ることができる。
さらに、翼負圧面13aに形成される複数の溝14は、翼8cの翼長手方向で長さJが徐々に変化するように形成する。複数の溝14の翼付け根部8c1側の端部を溝側端部14cとし、複数の溝14での溝側端部14cを、羽根車回転軸に対し斜めになるように溝14を形成しているので、溝14の翼長手方向の長さJは、リング8bの外周方向に沿って徐々に増加するように変化する。図19に示す構成では、翼外周側端部15aから翼内周側端部15bに向かって溝14の長さJが徐々に長くなるように斜めに形成している。
翼弦線方向の溝14の数が翼長手方向の位置で異なるため、吸込領域E1では図7に示した空気流れが翼長手方向の位置で異なることになる。貫流ファンを例えば空気調和機に搭載した場合、翼長手方向で抵抗体などの影響で吸込領域E1において吸込流れが偏流することがある。吸込流れが偏流していても、図19に示す構成では、翼長手方向でより滑らかに引き寄せ効果が変化する。このため、風速分布が均一化でき、翼表面で局所的に速度が増加するのを抑制でき、流れを安定化して低騒音化を図ることができる。
また、図20は本実施の形態の貫流ファンの別の構成例を示すもので、1枚の翼8cを示す正面図である。この構成例では、翼外周側端部15aから翼内周側端部15bに向かって溝14の長さJを徐々に短くした構成である。このような構成の溝14でも、図19と同様、翼長手方向で抵抗体などの影響で吸込領域E1において吸込流れが偏流していても、翼長手方向でより滑らかに引き寄せ効果が変化する。このため、風速分布が均一化でき、翼表面で局所的に速度が増加するのを抑制でき、安定した流れを実現して低騒音化を図ることができる。
さらに、図19及び図20に示したような構成では、ガイドウォール10に接する時の流速や角度の変化が翼長手方向で滑らか変化し、圧力変動が減衰しさらに低騒音化が図れる。
また、図21にさらに別の構成例を示す。翼外周側端部15aから翼内周側端部15bに向かって中央部付近まで溝14の長さJは徐々に延び、中央部付近から翼内周側端部15bに向かって徐々に短くなるように構成したものである。このような構成では、翼長手方向で抵抗体などの影響で吸込領域E1において吸込流れが偏流していても、翼長手方向でより滑らかに引き寄せ効果が変化する。このため、風速分布が均一化でき、翼表面で局所的に流れの速度が増加するのを抑制でき低騒音化ができる。また吹出側領域E2では、吹出流れが翼長手方向でなめらかに変化し、ガイドウォール10に接する時の流速や角度が滑らかに変化する。このため、圧力変動が減衰し、さらに低騒音化が図れる。
さらに、図21の構成では、翼外周側端部15a及び翼内周側端部15bの翼厚が薄い部分は溝14の長さを短くし、翼弦線L方向で中央部付近の翼厚が厚い部分は溝14の長さを長くしている。このため、翼8c全体の強度が確保でき、羽根車単体8d同士を超音波溶着などによって固着するときの座屈を防止できる。
その結果、貫流ファンは、さらに低騒音化できると共に羽根車の組立て時の強度を確保できるため組立て損失がなく、この貫流ファンを搭載することで、静粛で生産性のよい空気調和機が得られる。
また、図22にさらに別の構成例を示す。この構成は、翼負圧面13aに形成する複数の溝14の翼長手方向長さJを不規則に変化させたものである。この場合には、翼長手方向の位置によって翼弦線L方向で溝14の数が変化する。このため、吸込領域E1で偏流が生じ、翼長手方向で微小に剥離が生じようとしても、近傍の流れで拡散される。そして、風速分布を均一化でき、低騒音化される。
また、貫流ファンの上流側で、例えばフィルタ5でホコリが堆積することなどによって偏流が生じても、剥離しようとするのを防止でき、吸込流れを安定化できる。さらに、吹出領域E2においても同様であり、吹出流れが翼長手方向で不規則に変化し、ガイドウォール10に接する時の流速や角度が不規則に変化する。このため、圧力変動が不規則に減衰し、低騒音化が図れる。
翼負圧面13aに設ける凹状の溝14は、貫流ファンを動作させる状況に応じて剥離が生じると考えられる箇所に設けると、効果的である。
以上のように、中央部に回転中心が位置する円板状の支持板8b、及び前記支持板8bの外周に沿って配置され回転軸方向に伸びると共に両端を前記支持板8bに支持される複数の翼8cを有する羽根車単体8dと、前記羽根車単体8dを前記回転軸方向に複数固着してなる羽根車8aと、を備え、前記翼8cの一端部の、前記支持板8bに接続する接続部8c1における回転軸に垂直な断面形状を、前記翼8cの他端部の、前記支持板8bに接続する接続部8c2における前記回転軸に垂直な断面形状よりも大きくすると共に、前記翼8cの回転方向に対して後面となる翼負圧面13aに前記回転軸方向に伸びる複数の凹状の溝14を設けたことにより、生産性を保持して低騒音化できる貫流ファンを得ることができる。また、吹出流れが不安定になることで生じる貫流ファンへの逆流を防止できる。さらに、通風抵抗が増加しても翼負圧面13aで流れが剥離しにくく、吹出流れも安定する。
なお、図18〜図22のそれぞれにおいて、溝14の溝幅g及び溝深さhの少なくとも一方を翼付け根部8c1側よりも翼長手方向先端部8c2で大きくなるように構成したものについて述べたが、これに限るものではない。樹脂成形で離型方向を羽根車回転方向ではなく他の方向になるようにすれば、溝14の溝幅g及び溝深さhを同一にした溝14としてもよい。さらに、樹脂成形で離型方向を羽根車回転方向とすることを考慮して翼長手方向先端部8c2を基準として溝長さを変化させたが、離型方向を他の方向にすれば、翼付け根部8c1を基準としたり、翼長手方向先端部8c2と翼付け根部8c1の間のいずれかを基準としたり、さらにはもっと不規則な位置及び長さの溝を設けてもよい。翼負圧面13aで、少なくとも回転軸方向AXに伸びて構成され、隣合う溝14との間に平坦部Mを有するように所定の間隔離して設けるようにすれば、剥離しようとする流れを溝14によって翼負圧面13aに引き寄せて安定した流れとすることができる。
また、図16〜図22のそれぞれのように、溝幅Gを変化させたり、溝深さhを変化させたり、溝長さJを変化させるような溝14の構成は、実施の形態1の翼8cの形状が先細りでないものに適用してもよく、同様の効果を奏する。また、同様に、実施の形態2に適用しても、同様の効果を奏する。
特に空気調和機では図2に示したように、翼8cが熱交換器7側の羽根車吸込領域E1を通過する時、空気調和機本体上方のみの吸込口2、電気集塵器6、フィルタ5など大きさや通風抵抗の異なる複数の抵抗体が不均一に配設されるため、吸込風速にバラツキが生じる。また羽根車吸込側に配置されるフィルタへのホコリ付着等により通風抵抗が増加した時の翼に対する流れの迎角変化に対し剥離しやすく、吹出流れが不安定となりファンへ逆流することで、冷房運転時羽根車が結露し外部に結露水を放出することで床が湿ってしまう可能性がある。そこで、実施の形態1〜実施の形態3のいずれかの貫流ファンを搭載することで、安定した流れを得ることができ、低騒音化と高効率化が図れ、さらに通風抵抗の変化に対して剥離防止、吹出流れの不安定によるファンへの逆流を防止して、静粛で高品質な空気調和機が得られる。
このように、実施の形態1〜実施の形態3によれば、貫流ファンの羽根車の翼負圧面13aに回転軸方向AXに伸びる複数の溝を形成したので、安定した空気の流れを実現でき、聴感が良く低騒音で静粛で、高効率で省エネルギーな貫流ファンを得ることができる。また、この貫流ファンを搭載することで安定した空気の流れを実現して、冷房運転時、羽根車が結露し外部に結露水を放出することを防止でき、高品質な空気調和機を得ることができる。
また、実施の形態1〜実施の形態3では、貫流ファンを例えば空気調和機に搭載した構成例について説明したが、これに限るものではない。例えば、エアーカーテンなど他の装置に搭載される貫流ファンに適用することもできる。騒音を低減化できる貫流ファンを用いることで、これを搭載した装置の騒音を低減できる効果がある。
本発明の実施の形態1に係る貫流ファンを搭載した空気調和機を示す外観斜視図である。 本発明の実施の形態1に係り、図1のQ−Q線における縦断面図である。 本発明の実施の形態1に係る貫流ファンの羽根車を示す概略図である。 本発明の実施の形態1に係り、例えば1つのリングに1枚の翼が固定されている状態を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1に係り、図5は図4のP−P線断面を拡大して示す説明図である。 本発明の実施の形態1に係り、羽根車回転軸に垂直な断面で、翼負圧面に設けた溝の形状を示す説明図である。 本発明の実施の形態1に係り、羽根車回転軸に垂直な断面で、翼負圧面に設けた溝の形状を示す説明図である。 本発明の実施の形態1に係り、図8は翼8cが羽根車吸込領域E1を通過する時の空気の流れを示す説明図である。 本発明の実施の形態1に係り、翼が羽根車吹出領域E2を通過する時の空気の流れを示す説明図である。 本発明の実施の形態2に係る貫流ファンの羽根車を示す斜視図である。 本発明の実施の形態2に係り、図11(a)はモータ側の羽根車を部分的に示す斜視図、図11(b)は側面からみた説明図である。 本発明の実施の形態3に係る貫流ファンの羽根車を示す概略図であり、図12(a)は貫流ファンの側面図、図12(b)は図12(a)のS−S線断面図を示す。 本発明の実施の形態3に係り、型17、18を示す断面図である。 本発明の実施の形態3に係り、図12の翼1枚におけるA−A断面図である。 本発明の実施の形態3に係り、図12の翼1枚におけるB−B断面図である。 本発明の実施の形態3に係り、貫流ファンの他の構成例による1枚の翼を示す斜視図である。 本発明の実施の形態3に係り、翼の翼長手方向先端部における回転軸に垂直な断面の一部を拡大して示す断面図である。 本発明の実施の形態3に係る貫流ファンの別の構成例を示すもので、1枚の翼を示す正面図である。 本発明の実施の形態3に係る貫流ファンの別の構成例を示すもので、1枚の翼を示す正面図である。 本発明の実施の形態3に係る貫流ファンの別の構成例を示すもので、1枚の翼を示す正面図である。 本発明の実施の形態3に係る貫流ファンの別の構成例を示すもので、1枚の翼を示す正面図である。 本発明の実施の形態3に係る貫流ファンの別の構成例を示すもので、1枚の翼を示す正面図である。
符号の説明
1 空気調和機本体
2 吸込口
3 吹出口
7 熱交換器
8 貫流ファン
8a 羽根車
8b 支持板
8c 翼
8c1 翼付け根部
8c2 翼長手方向先端部
8d 羽根車単体
9 スタビライザー
10 ガイドウォール
12 モータ
12a モータシャフト
13a 翼負圧面
13b 翼圧力面
14 溝
14a 溝側部
14b 溝底部
14P 仮想交点
15a 翼外周側端部
15b 翼内周側端部
16 固定部
C 開口部
E1 吸込領域
E2 吹出領域
L 翼弦線
L1 翼弦線Lの長さ
L11 翼付け根部8c1の翼弦線長さ
L12 翼長手方向先端部8c2の翼弦線長さ
M 平坦部
ML 平坦部長さ
O 回転中心
RO 回転方向
g 溝幅
g1 翼付け根部8c1の溝幅
g2 翼長手方向先端部8c2の溝幅
h 溝深さ
h1 翼付け根部8c1の溝深さ
h2 翼長手方向先端部8c2の溝深さ
ht 翼外周側端部15a及び翼内周側端部15b近傍の溝深さ
hc 翼の翼弦線方向中央部分付近の溝深さ
K 翼圧力面を基準とした翼外周側端部又は翼内周側端部の厚さの等厚線
tmax 翼の最大厚さ
tmax1 翼付け根部8c1の最大厚さ
tmax2 翼長手方向先端部8c2の最大厚さ

Claims (6)

  1. 中央部に回転中心が位置する円板状の支持板、及び前記支持板の外周に沿って配置され回転軸方向に伸びると共に両端を前記支持板に支持される複数の翼を有する羽根車単体と、前記羽根車単体を前記回転軸方向に複数固着してなる羽根車と、前記翼の回転方向に対して後面となる翼負圧面に設けられ前記回転軸方向に伸びる複数の凹状の溝と、隣合う溝との間に所定の間隔離して設けられた平坦部と、を備え、
    隣合う前記溝の間隔を、前記溝の溝深さよりも大きくし、
    向かい合う溝側部と溝底部とで前記溝を構成し、前記溝底部及び前記溝側部と前記翼負圧面との接続部を丸みを有する形状とし、
    前記回転軸に垂直な断面で、前記複数の翼は、前記支持板の外周側に位置する翼外周側端部と前記支持板の内周側に位置する翼内周側端部との間で略円弧状であると共に、前記翼外周側端部及び前記翼内周側端部における翼の厚さよりも前記翼外周側端部と前記翼内周側端部の間の中央部分での翼の厚さを大きくし、少なくとも前記翼の前記回転方向に対して前面となる翼圧力面から前記翼外周側端部または前記翼内周側端部における翼の厚さだけ離して、前記翼負圧面に前記溝を設け、
    前記複数の溝を前記翼外周側端部と前記翼内周側端部の少なくとも一方の端部近傍に設け、
    前記溝の溝幅と溝深さの少なくとも一方を、前記回転軸方向で増加させ、前記翼外周側端部と前記翼内周側端部近傍における溝深さを、前記翼外周側端部と前記翼内周側端部の間の中央部分における溝深さより浅くしたことを特徴とする貫流ファン。
  2. 前記翼負圧面に形成される複数の前記溝のうち、少なくとも一部の溝の前記回転軸方向の長さを不規則に変化させたことを特徴とする請求項に記載の貫流ファン。
  3. 前記翼負圧面に形成される複数の前記溝のうち、少なくとも一部の溝の前記回転軸方向の長さを、前記支持板の外周方向に沿って徐々に増加又は減少するように変化させたことを特徴とする請求項1または2に記載の貫流ファン。
  4. 前記羽根車の端部に位置する前記支持板にモータシャフトが固定されて前記羽根車を回転駆動するモータと、前記羽根車単体の内側に位置する前記モータシャフトの固定部と、前記固定部に固定具を挿入しうるように前記羽根車単体の前記翼の間隔を部分的に広くしてなる開口部と、を備え、少なくとも前記羽根車の回転方向側で前記開口部に隣接する翼の、前記翼負圧面に前記複数の溝を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の貫流ファン。
  5. 前記翼の一端部の、前記支持板に接続する接続部における回転軸に垂直な断面形状を、前記翼の他端部の前記支持板に接続する接続部における前記回転軸に垂直な断面形状よりも大きくしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の貫流ファン。
  6. 請求項1乃至請求項の少なくともいずれか1項に記載の貫流ファンと、前記貫流ファンで形成される吸込側流路に配設され、吸い込んだ空気と熱交換する熱交換器と、を備えたことを特徴とする空気調和機。
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