以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
[第1の実施形態]
図1は本発明の一実施形態に係る画像出力装置の主要な構成を示すブロック図である。本実施形態では、画像出力装置は、例えばGLV(Grating Light Valve)デバイスを階調表現デバイスとして用いて画像を投影するプロジェクター型表示装置である。GLVデバイスは、シリコン基板上に一列に形成された例えば1080画素分のリボン状の光回折素子を有し、この光回折素子は電圧印加により微細に動かすことができ、画像データに応じて印加する電圧を制御して動かす量を制御することで光源からの光の回折量を変化させ画像の明暗(階調)を作り出す。
この表示装置では、RGBレーザ光をそれぞれに対応したGLVデバイスに照射し、垂直画素である1080画素分の1次元像を走査ミラーで水平方向に走査することで2次元画像を作り出す。例えば、1920画素相当の水平走査を行うことで、1920画素(水平)×1080画素(垂直)の画像を実現する。
図1において、デジタル画像データ(以下、単に画像データとも称する)は画像データ処理回路1に入力される。ここで、画像データは各画素の明るさ(階調)を示すデータであり、例えば最も明るい画素または最も暗い画素は、画像データ”0”で表される。画像データ処理回路1では、画像データの各種補正やデータの配列処理等が行われる。メモリ4は、データ処理における一時的なデータの保存に使われる。
画像データ処理回路1から出力される画像データは、階調表現デバイス(GLVデバイス)の駆動回路(以下、単に駆動回路とも称する)2に入力する。駆動回路2からは、画像データに応じたアナログ電圧が出力され、この電圧は階調表現デバイス(GLVデバイス)に供給される。
駆動回路2は、図2に示すように、デジタルデータインタフェース5と、データストレージ6と、複数のコンバータ7−1〜7−nと、各コンバータ7−1〜7−nに接続された複数のサンプルホールド回路群SH1〜SHnを有する。各コンバータ7−1〜7−nは、DA(Digital-to-Analog)コンバータである。各コンバータ7−1〜7−nと、各サンプルホールド回路群SH1〜SHnとは1対1で対応し、各サンプルホールド回路群SH1〜SHnは、対応するコンバータ7−1〜7−nに対して並列に接続された複数のサンプルホールド回路からなる。例えば、サンプルホールド回路群SH1は、コンバータ7−1に対して並列に接続された複数のサンプルホールド回路SH1−1〜SH1−mからなる。
デジタル画像データはデジタルデータインタフェース5を介してデータストレジ6に格納される。データストレージ6から各コンバータ7−1〜7−nへの画像データの出力タイミングは、各コンバータ7−1〜7−n間で同時である。各コンバータ7−1〜7−nは、入力された画像データを、該画像データに応じたアナログ電流に変換して、対応する各サンプルホールド回路群SH1〜SHnに出力する。
例えばコンバータ7−1とこれに対応するサンプルホールド回路群SH1の動作について図3を参照して説明する。
コンバータ7−1は、入力デジタル画像データを、この画像データに応じたアナログ電流Idataに変換して出力する。この電流Idataにバイアス電流Ibiasが加算された(Idata+Ibias)がサンプルホールド回路群SH1に入力する。バイアス電流Ibiasを加えるのは、電流Idataがゼロに近い値であっても各サンプルホールド回路SH1−1〜1−mにおける適切な動作速度を確保するためである。
画像データはコンバータ7−1に次々に入力され、コンバータ7−1はその画像データに対応したアナログ電流Idataをシリアルでサンプルホールド回路群SHに出力する。サンプルホールド回路群SH1に属する複数のサンプルホールド回路SH1−1〜SH1−mは、タイミング制御回路8からの制御信号に基づいて何れか1つがコンバータ7−1からの出力電流Idataの入力を受けるように選択され、時分割で順次動作される。例えば、ある電流Idataがサンプルホールド回路SH1に入力し、次の電流Idataがサンプルホールド回路SH1−2に入力し、そのまた次の電流Idataがサンプルホールド回路SH1−3に入力するというように各サンプルホールド回路SH1−1〜SH1−mに次々と電流Idataが取り込まれていく。
各サンプルホールド回路SH1−1〜SH1−mに入力された電流Idataは各サンプルホールド回路SH1−1〜SH1−mでサンプルホールドされて、電流Idataに対応するアナログ電圧を、各サンプルホールド回路SH1−1〜SH1−mに対応して設けられた各階調表現デバイスに出力する。すべてのサンプルホールド回路SH1−1〜SH1−mが同時に対応する各階調表現デバイスに上記電圧を出力する。このタイミングもタイミング制御回路8からの制御信号に基づいて行われる。
他のコンバータ7−2〜7−n及びサンプルホールド回路群SH2〜SHnについても、上述したコンバータ7−1とサンプルホールド回路群SH1と同様のことが言える。
すべてのコンバータ7−1〜7−n及びサンプルホールド回路群SH1〜SHnについてまとめてその動作を説明すると、各コンバータ7−1〜7−nからの出力信号はタイミング制御回路8からの制御信号に基づいて、それぞれ対応するサンプルホールド回路群SH1〜SHnに同時に入力し、各サンプルホールド回路群SH1〜SHnでは属する複数のサンプルホールド回路の動作が時分割で順次行われ、すべてのサンプルホールド回路SH1−1〜SHn−mからの出力電圧はタイミング制御回路8からの制御信号に基づいて垂直画素に対応した1ライン分の階調表現デバイスに対して同時に出力され、1次元像が形成される。そして、また次の1ライン分の画像データが各コンバータ7−1〜7−nに入力すると、上記と同じ動作が繰り返されて、次の列の1次元像が形成される。この1次元像が水平画素数分揃うと1画面(1フレーム)が形成される。そして、また次のフレームについての動作が繰り返されていく。
次に、図4を参照して各サンプルホールド回路SH1−1〜SHn−mの詳細について説明する。各サンプルホールド回路SH1−1〜SHn−mは、主として、上記(Idata+Ibias)の入力線Linに接続された第1段の電流サンプリング回路と、この第1段の電流サンプリング回路に対して直列に接続された第2段の電流サンプリング回路と、第2段の電流サンプリング回路の出力電流を電圧に変換する抵抗Rとを備える。第1段の電流サンプリング回路は、主として、トランジスタT1、キャパシタC1、スイッチSW1a、SW1b、SW2aを有する。第2段の電流サンプリング回路は、主として、トランジスタT4、T5、キャパシタC2、スイッチSW2b、SW2d、SW2c、SW3aを有する。
図4において、各トランジスタT1、T2、T3、T4、T5、T8、T9、T11は例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。また、各スイッチSW1a〜1d、SW2a〜SW2d、SW3a、SW3e、SW4もMOSFETで構成される。
トランジスタT1のドレインはスイッチSW1aを介して電流入力線Linに接続されている。電流入力線Linは各コンバータ7−1〜7−nの出力端子及びバイアス電流供給回路に接続されている。トランジスタT1のソースはグランドに接続されている。スイッチSW1bの一端はスイッチSW1aとトランジスタT1のドレインとの間に接続され、スイッチSW1bの他端はキャパシタC1の一端に接続されている。キャパシタC1の他端はグランドに接続されている。トランジスタT1のゲートはスイッチSW1bとキャパシタC1との間に接続されている。
トランジスタT1のドレインはスイッチSW2aを介してトランジスタT2のドレインと接続されている。トランジスタT2及びT3のソースは電圧AVDDが供給される電源線に接続されている。トランジスタT2及びT3のゲートは、トランジスタT2のドレインとスイッチSW2aとの間に接続されている。トランジスタT2とT3は同じ特性(構造及びサイズが同じ)であり、カレントミラーを構成している。
トランジスタT3のドレインはスイッチSW2bを介してトランジスタT4のドレインに接続され、トランジスタT4のソースはグランドに接続されている。トランジスタT4のゲートはスイッチSW2cを介してトランジスタT5のゲートに接続されている。トランジスタT4とT5は同じ特性(構造及びサイズが同じ)であり、カレントミラーを構成している。また、トランジスタT3のドレインはスイッチSW2dを介して、トランジスタT4のゲートとスイッチSW2cとの間に接続されている。スイッチSW2cとトランジスタT5のゲートとの間にはキャパシタC2の一端が接続され、キャパシタC2の他端はグランドに接続されている。
トランジスタT5のソースはグランドに接続され、トランジスタT5のドレインはスイッチSW3aを介してトランジスタT11のソースに接続されている。スイッチSW3aとトランジスタT11のソースとの間には、スイッチSW3eを介して、バイアス電流供給用のトランジスタT8のドレインが接続されている。
トランジスタT8のソースは電圧AVDDが供給される電源線に接続され、トランジスタT8のゲートはトランジスタT9のゲートと接続されている。トランジスタT8とT9は同じ特性(構造及びサイズが同じ)であり、カレントミラーを構成している。また、トランジスタT8のゲート及びトランジスタT9のゲートにはキャパシタC3の一端が接続され、キャパシタC3の他端は電圧AVDDが供給される電源線に接続されている。
トランジスタT9のソースは電圧AVDDが供給される電源線に接続され、トランジスタT9のドレインはスイッチSW1dを介してbias電流入力線Lbiasに接続されている。トランジスタT8及びT9の両ゲートはスイッチSW1cを介してbias電流入力線Lbiasに接続されている。
トランジスタT11のドレインは抵抗Rを介して電圧HVDDが供給される電源線に接続されている。抵抗Rの一端とトランジスタT11のドレインとの間には、スイッチSW4を介して出力線Loutが接続され、この出力線Loutはロードキャパシタ(load capacitor)CLに接続されている。ロードキャパシタCLは階調表現デバイスを模している。あるいは、ロードキャパシタCLはスイッチSW4と共に、階調表現デバイスへの出力電圧をサンプルホールドするサンプルホールド回路を構成する。
次に、図4に示す回路の動作について、図8のタイミングチャートも参照して説明する。同じサンプルホールド回路群に属する各サンプルホールド回路の各スイッチに対応して、図8では各スイッチのオン/オフタイミングを複数示している。この図8から明らかなように、スイッチSW1a〜1dは同じサンプルホールド回路内では同時にオン/オフし、他サンプルホールド回路(SH1−2、SH1−3、・・・SH1−m)では時分割で順次オンとされる。
先ず、スイッチSW1a、SW1b、SW1c、SW1dがオンにされると、電流入力線Linからの入力電流Iin(=Idata+Ibias)がトランジスタT1のドレイン−ソース間に流れる。ここで、Idataは画像データに対応した各コンバータ7−1〜7−nからの出力電流であり、IbiasはトランジスタT9及びスイッチSW1dを介して供給されるバイアス電流である。
このとき、トランジスタT1のゲート電圧Vgs1は、トランジスタT1のドレイン−ソース間に流れる電流Iinに対応した電圧となり、キャパシタC1の容量をC1とすると、キャパシタC1には、Q1=C1×Vgs1の電荷が充電される。このステップは、第1段の電流サンプルホールド回路における電流サンプリングステップである。
次に、スイッチSW1a、SW1b、SW1c、SW1dがオフにされると、トランジスタT1に電流Iinが流れなくなり、キャパシタC1にはスイッチSW1a、SW1bがオフになる直前の上記電荷Q1が保持される。すなわち、トランジスタT1のゲート電圧はスイッチSW1a、SW1bがオフになる直前のゲート電圧Vgs1にホールドされる。この電流サンプルホールド回路で、直接的にホールドされるのは電流ではなくトランジスタT1のゲート電圧Vgs1であるが、次のステップにて、トランジスタT1のドレイン−ソース間にはホールドされたゲート電圧Vgs1に対応する電流、すなわち入力電流Iinが流れ、このIinが第2段の電流サンプリング回路に出力されるので、結果として、所望の電流Iinをサンプルホールドしていることになる。
スイッチSW1a、1bがオンになるごとに、入力電流Iinに応じてキャパシタC1は充電または放電され、入力電流Iinに応じたすなわち画像データに応じた所望の量の電荷が充電される。
スイッチSW1a、SW1b、SW1c、SW1dがオフにされた後、スイッチSW2a、SW2b、SW2c、SW2dがオンにされる。SW2aがオンになることによって、トランジスタT2とトランジスタT1に電流が流れる。このとき、トランジスタT1には、先のステップでホールドされたゲート電圧Vgs1に応じた電流が流れる。換言すれば、トランジスタT1はゲート電圧Vgs1に応じた電流の定電流源として機能する。トランジスタT1に対して直列接続されているトランジスタT2にもトランジスタT1に流れる電流と同じ電流が流れる。また、トランジスタT2とT3はカレントミラーになっているので、トランジスタT3にもトランジスタT1及びT2に流れる電流と同じ電流が流れる。さらに、この電流はスイッチSW2bを介してトランジスタT4に流れる。
このとき、トランジスタT4のゲート電圧Vgs4は、トランジスタT4に流れる電流(ドレイン−ソース間に流れる電流)に対応した電圧となり、キャパシタC2の容量をC2とすると、キャパシタC2には、Q2=C2×Vgs4の電荷が充電される。このステップは、第2段の電流サンプルホールド回路における電流サンプリングステップである。
次に、スイッチSW2a、SW2b、SW2c、SW2dがオフにされると、トランジスタT4に電流が流れなくなり、キャパシタC2にはスイッチSW2a、SW2b、SW2c、SW2dがオフになる直前の上記電荷Q2が保持される。すなわち、トランジスタT5のゲート電圧が、スイッチSW2a、SW2b、SW2c、SW2dがオフになる直前のゲート電圧(=Vgs4)にホールドされる。ここでも、直接的にホールドされるのは電流ではなくトランジスタT5のゲート電圧であるが、次のステップにて、トランジスタT5のドレイン−ソース間にはホールドされたゲート電圧に対応する電流が流れ、この電流が後段に出力されるので、結果として所望の電流をサンプルホールドしていることになる。
スイッチSW2a、SW2b、SW2c、SW2dがオンになるごとに、キャパシタC2は充電または放電され、サンプリング電流に応じたすなわち画像データに応じた所望の量の電荷が充電される。
次に、スイッチSW3a、SW3eがオンにされると、トランジスタT5には、先のステップでホールドされたゲート電圧Vgs4に応じた電流が流れる。換言すれば、トランジスタT5はゲート電圧Vgs4に応じた電流の定電流源として機能する。トランジスタT4とT5とは同じ特性(同構造及び同サイズ)であるので、トランジスタT5には先のステップでサンプリングした電流(トランジスタT4に流れる電流と同じ電流)が流れる。このトランジスタT5に流れる電流というのは、結局のところ、第1段及び第2段の電流サンプルホールド回路で順次サンプルホールドされてきた入力電流Iin(=Idata+Ibias)である。
トランジスタT5には、トランジスタT8、スイッチSW3eを介してバイアス電流Ibiasが供給され、この結果、抵抗Rには、電流Iin(=Idata+Ibias)からバイアス電流Ibiasがキャンセルされた電流Idata、すなわち画像データに応じた電流が流れる。
ここで減じられるIbiasについて説明する。スイッチSW1c、SW1dが閉じると、入流電流Ibiasに応じた電圧がコンデンサC3とトランジスタT8、T9のゲートとの接続点にサンプリング電圧として発生する。スイッチSW1c、SW1dを開くと、以上のサンプリング電圧がホールドされる。ここで、スイッチSW3eを閉じるとこのホールドされた電圧に応じた電流Ibiasが流れる。これが上述したキャンセルされる電流である。
抵抗Rの抵抗値をRとすると、抵抗Rの一端の電圧は、電源線の電圧HVDDから電圧(Idata×R)分だけ降下した電圧(HVDD−Idata×R)となる。そして、スイッチSW3a、SW3eがオンのままSW4がオンにされると、出力線Loutに電圧(HVDD−Idata×R)が出力され、この電圧は、階調表現デバイスを模したロードキャパシタCLに、あるいはロードキャパシタCLを介して階調表現デバイスに印加される。すなわち、画像データに対応した電流Idataに応じて、階調表現デバイスに印加されるアナログ電圧が制御される。これにより、階調表現デバイスの動作量が制御され、所望の階調が表現される。
図11に、スイッチSW3a、3e、4のオン/オフタイミングと、抵抗Rの一端の電圧SIGO1と、出力線Loutの電圧SIGO2との関係の一例を示す。
スイッチSW3a、3eがオフのときには、SIGO1は電源電圧HVDDであり、スイッチSW3a、3eがオンにされて抵抗Rに電流が流れると、SIGO1はHVDDから降下していく。そして、スイッチSW4がオンにされると、SIGO1=SIGO2となり、ロードキャパシタCLの充電に伴いSIGO2(=SIGO1)は上昇していく。スイッチSW4がオフにされると、SIGO2はスイッチSW4がオフにされる直前の電圧にホールドされる。このスイッチSW4のオフの後、スイッチSW3a、3eがオフにされ、SIGO1はHVDDに戻る。スイッチSW3a、3e、4がオンにされるごとに、ロードキャパシタCLは充電または放電され、ロードキャパシタCLの充電量によりSIGO2が決まる。
また、スイッチSW3a、3eがオンにされた後にスイッチSW4をオンにするようにしているので、出力開始時に高電圧HVDDがロードキャパシタCLまたは階調表現デバイスに作用するのを防げる。
図12は、図11よりもSIGO2を所望の電圧にするサイクルが短い、すなわち高速動作の例を示す。あるいは、図11よりもロードキャパシタCLの容量が小さいとも言える。
上述した、図4の回路は、高電圧HVDD(例えば0〜25V)が供給される高電圧回路部と、低電圧AVDD(例えば0〜3.3V)が供給される低電圧回路部に大きく分けられる。低電圧回路部を構成するトランジスタT1、T2、T3、T4、T5、T8、T9や、スイッチSW1a〜1d、SW2a〜2d、SW3a、3e、SW4(これらスイッチはMOSトランジスタで構成)の耐圧は例えば3.3Vである。
トランジスタT11は、低電圧回路部のスイッチSW3aを高電圧HVDDから保護する役割を持つ。トランジスタT11がない場合にはスイッチSW3aに高電圧HVDDが作用してスイッチSW3aを構成する耐圧3.3Vのトランジスタを破壊してしまう。
そこで、高電圧電源と低電圧回路部(スイッチSW3a)との間に高耐圧トランジスタT11を介在させている。トランジスタT11においてスイッチSW3aと接続された側の電圧は、Vbias−V(Idata)で表される。ここで、VbiasはトランジスタT11のゲートに印加されるバイアス電圧であり、V(Idata)は抵抗Rに流れる電流Idataによって決まる電圧である。V(Idata)はIdataが大きくなるほど大きくなる。したがって、例えばVbiasを3.3Vに設定すれば、スイッチSW3aに印加される電圧[Vbias−V(Idata)]は、スイッチSW3aを構成するトランジスタの耐圧3.3Vより大きくなることがなく、スイッチSW3aの破壊を防げる。
以上述べた本実施形態によれば、2段の電流サンプルホールド回路を直列接続させているため、図8のタイミングチャートに示すように、第2段のサンプルホールド回路でサンプルホールドした電流を後段に出力しているとき(スイッチSW3a、3e、4がオンのとき)と同時に、スイッチSW1a〜1dをオンにして、次のサンプリング対象の電流を第1段の電流サンプリング回路に入力させてサンプリングする処理が可能になる。
電流サンプルホールド回路が1段だけしかないと、先にサンプリングした電流を後段に出力しているときに同時に次のサンプリング対象の電流をサンプリングすることはできない。すなわち、電流サンプルホールド回路が1段しかないと、先にサンプリングした電流を後段に出力し終わるのを待ってからでないと、次のサンプリング対象の電流のサンプリングを行うことができない。
これに対して、本実施形態では、先にサンプリングした電流を後段に出力すること(スイッチSW3a、3e、4がオン)と同時に次のサンプリング対象の電流のサンプリング(スイッチSW1a〜1dがオン)を行えるので、いわゆるパイプライン動作のように時間間隔を短くして次々と後段へと出力することができる。
すなわち、階調表現デバイスに与える電圧の更新速度の高速化が図れる。例えば、本実施形態では、1つの階調表現デバイスにつき、1.6μ秒間隔で画像データに応じた電圧が次々と与えられていく。これにより、特に画素数が多く高解像度の画像であっても、画像を次々と切り替えていく速度(フレームレート)を高めて、画質を向上できる。特に動いている表示物の動きを滑らかにできる。
また、従来の電圧サンプルホールド回路を用いた構成では、特に高電圧の場合に出力電圧を高速に変化させることが困難なアンプを用いているので階調表現デバイスに与える電圧の更新速度の高速化が難しかった。これに対して、本実施形態では、アンプを用いずに、電流サンプルホールド回路の出力電流を抵抗Rに流すことで電圧に変換して出力するので、高電圧であっても高速に出力電圧を更新することができる。
また、電流サンプルホールド回路は、オペアンプを使わないこともあって、電圧サンプルホールド回路に比べて回路規模が小さいので、その分低コストである。
電流サンプルホールド回路は2段に限らず。3段以上を直列に接続させてもよい。例えば、3段構成の場合には、1段目で、あるサンプリング対象の電流をサンプリングすること、2段目で1つ前に1段目でサンプリングされた電流に何らかの補正処理等を行うこと、および3段目で2つ前に1段目でサンプリングされた電流を後段に出力することを同時に行うといった動作形態が一例として挙げられる。
なお、特開2004−77743号公報には、図25に示すように、電流出力型のコンバータに対して並列接続された複数の電流サンプルホールド回路CSH1、CSH2が開示されている。そして、例えば第2の電流サンプルホールド回路CSH2をスイッチSWを介して出力側と接続させ、第1の電流サンプルホールド回路CSH1で入力電流をサンプリングしているときに同時に第2の電流サンプルホールド回路CSH2では出力を行わせ、逆に第1の電流サンプルホールド回路CSH1をスイッチSWを介して出力側と接続させ、第2の電流サンプルホールド回路CSH2で入力電流をサンプリングしているときに同時に第1の電流サンプルホールド回路CSH1では出力を行わせるといった動作を交互に行わせることが開示されている。
しかし、同じ構成のサンプルホールド回路CSH1、CSH2であったとしても製造ばらつき等により同じ入力を受けてもそれぞれの出力に差が生じる場合があるため、サンプリング対象の入力電流がどちらの回路CSH1、CSH2を通ってきたかによって、換言すればコンバータからシリアルで出力されるサンプリング対象電流が奇数番目か偶数番目かによって入力に対する出力のオフセット量がばらつき、複雑な補正処理を必要とする。
これに対して本実施形態では、図24に示すように、2つの電流サンプルホールド回路CSH1、CSH2は直列に接続され、入力電流はすべて同じ経路を通って出力されるため、コンバータからシリアルで出力されるサンプリング対象電流が奇数番目か偶数番目かにかかわらず入力に対する出力のオフセット量は一定である。
また、本実施形態では、抵抗Rには常時電流が流れるわけではなく、スイッチSW3a、3eがオフにされる間は、抵抗Rには電流が流れず低消費電力化が図れる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について図5を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同じ構成部分には同一の符号を付しその詳細な説明は省略する。
本実施形態では、図4に示す第1の実施形態の回路が有する第2段の電流サンプルホールド回路を有していない。すなわち、本実施形態では、第1段の電流サンプルホールド回路と、高電圧回路部との間に、スイッチSW3c、3dを介してカレントミラーの関係にあるトランジスタ(MOSFET)T6、T7が接続されている。その他構成は第1の実施形態と同じである。
トランジスタT6のドレインはスイッチSW3cを介してトランジスタT3のドレインに接続され、トランジスタT6のソースはグランドに接続されている。トランジスタT7のドレインはスイッチSW3dを介して高耐圧トランジスタT11のソースに接続され、トランジスタT7のソースはグランドに接続されている。トランジスタT6、T7の両ゲートは、トランジスタT6のドレインとスイッチSW3cとの間に接続されている。
次に、図5に示す回路の動作について、図9のタイミングチャートも参照して説明する。スイッチSW1a〜1dは同じサンプルホールド回路群内では時分割で順次オンとされ、他のスイッチはオン/オフが同期している。
先ず、スイッチSW1a、SW1b、SW1c、SW1dがオンにされると、電流入力線Linからの入力電流Iin(=Idata+Ibias)がトランジスタT1のドレイン−ソース間に流れる。このとき、トランジスタT1のゲート電圧Vgs1は、トランジスタT1のドレイン−ソース間に流れる電流Iinに対応した電圧となり、キャパシタC1の容量をC1とすると、キャパシタC1には、Q1=C1×Vgs1の電荷が充電される(電流サンプリングステップ)。
次に、スイッチSW1a、SW1b、SW1c、SW1dがオフにされると、トランジスタT1に電流Iinが流れなくなり、キャパシタC1にはスイッチSW1a、SW1bがオフになる直前の上記電荷Q1が保持される。すなわち、トランジスタT1のゲート電圧はスイッチSW1a、SW1bがオフになる直前のゲート電圧Vgs1にホールドされる。
スイッチSW1a、SW1b、SW1c、SW1dがオフにされた後、スイッチSW2a、SW3c、SW3d、SW3eがオンにされる。SW2aがオンになることによって、トランジスタT2とトランジスタT1に電流が流れる。このとき、トランジスタT1には、先のステップでホールドされたゲート電圧Vgs1に応じた電流が流れ、トランジスタT2にもトランジスタT1に流れる電流と同じ電流が流れる。また、トランジスタT2とT3はカレントミラーになっているので、トランジスタT3にもトランジスタT1及びT2に流れる電流と同じ電流が流れる。さらに、この電流はスイッチSW3cを介してトランジスタT6に流れ、トランジスタT6とT7はカレントミラーとなっているので、トランジスタT7にも同じ電流が流れる。このトランジスタT7に流れる電流というのは、結局のところ、入力電流Iin(=Idata+Ibias)である。
トランジスタT7には、トランジスタT8、スイッチSW3eを介してバイアス電流Ibiasが供給され、この結果、抵抗Rには、電流Iin(=Idata+Ibias)からバイアス電流Ibiasがキャンセルされた電流Idata、すなわち画像データに応じた電流が流れる。
抵抗Rの抵抗値をRとすると、抵抗Rの一端の電圧は、電源線の電圧HVDDから電圧(Idata×R)分だけ降下した電圧(HVDD−Idata×R)となる。そして、スイッチSW3d、SW3eがオンのままSW4がオンにされると、出力線Loutに電圧(HVDD−Idata×R)が出力され、この電圧は、階調表現デバイスを模したロードキャパシタCLに、あるいはロードキャパシタCLを介して階調表現デバイスに印加される。すなわち、画像データに対応した電流Idataに応じて、階調表現デバイスに印加されるアナログ電圧が制御される。これにより、階調表現デバイスの動作量が制御され、所望の階調が表現される。
従来の電圧サンプルホールド回路を用いた構成では、特に高電圧の場合に出力電圧を高速に変化させることが困難なアンプを用いているので階調表現デバイスに与える電圧の更新速度の高速化が難しかった。これに対して、本実施形態では、アンプを用いずに、電流サンプルホールド回路の出力電流を抵抗Rに流すことで電圧に変換して出力するので、高電圧であっても高速に出力電圧を更新することができる。すなわち、階調表現デバイスに与える電圧の更新速度の高速化が図れ、特に画素数が多く高解像度の画像であっても、画像を次々と切り替えていく速度(フレームレート)を高めて、画質を向上できる。特に動いている表示物の動きを滑らかにできる。
また、電流サンプルホールド回路は、オペアンプを使わないこともあって、電圧サンプルホールド回路に比べて回路規模が小さいので、その分低コストである。
また、抵抗Rには常時電流が流れるわけではなく、スイッチSW3d、3eがオフにされている間は、抵抗Rには電流が流れず低消費電力化が図れる。
さらに、第2の実施形態の回路は、第1の実施形態の回路(図4)に対して以下に述べるような有利な点を有する。
図4において、第1段の電流サンプルホールド回路を経て、トランジスタT4に流れる電流i1と、画像データとの間には図13に示すような線形性がある。そして、トランジスタT4とT5とはカレントミラーの関係となっているので、トランジスタT4に流れる電流i1とトランジスタT5に流れる電流i2は等しい。したがって、電流i2と画像データとの間にも図14において実線で示すような線形性がある。
ここで、図4の回路においては、キャパシタC2に充電される電荷量を決める電圧の最大値はあまり小さく設定できない。これは、キャパシタC2に充電される電荷に対するノイズの影響を抑えるためである。したがって、トランジスタT5のゲート電圧の最大値側のダイナミックレンジが比較的大きくされ、より大きなゲート電圧も許容される。
トランジスタT5のゲート電圧が大きくなりトランジスタT5に流れる電流が大きくなると、抵抗Rに流れる電流も大きくなり、抵抗Rに流れる電流が大きくなると、トランジスタT11においてトランジスタT5と接続された側に生じる電圧[Vbias−(抵抗Rに流れる電流が大きくなるほど大きくなる電圧)]が小さくなる。この電圧はトランジスタT5のドレインに印加される電圧であるので、この電圧が小さいとトランジスタT5に流れる電流i2は小さくなる。
すなわち、トランジスタT5のゲート電圧が大きい領域では、上記電圧[Vbias−(抵抗Rに流れる電流が大きくなるほど大きくなる電圧)]の影響を受けてトランジスタT5に流れる電流i2の増大は制限されて図14において破線で示すように頭打ちになって、画像データに対して線形性を示さない。電流i2と画像データとの線形性がくずれるということは、電流i2によって決まる出力電圧SIGO2と画像データとの線形性も図15において破線で示すようにくずれる。
これに対して、図5に示す第2の実施形態の回路では、図4のキャパシタC2に相当する構成がないので、トランジスタT7のゲート電圧を小さめに設定でき、この結果、ゲート電圧の大きい領域における電流i2(図5においてはトランジスタT7を流れる電流)の頭打ちを抑制でき画像データとの線形性は損なわれない。この結果、電流i2によって決まる出力電圧SIGO2と画像データとの良好な線形性を確保でき、画質低下を防げる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、上記第1の実施形態と同じ構成部分には同一の符号を付しその詳細な説明は省略する。
本実施形態では、図4の回路におけるスイッチSW2b、2d、3a、3e、4を常にオンにしている。本実施形態の各スイッチの動作タイミングは図10に示される。
先ず、スイッチSW1a、SW1b、SW1c、SW1dがオンにされると、電流入力線Linからの入力電流Iin(=Idata+Ibias)がトランジスタT1のドレイン−ソース間に流れる。このとき、トランジスタT1のゲート電圧Vgs1は、トランジスタT1のドレイン−ソース間に流れる電流Iinに対応した電圧となり、キャパシタC1の容量をC1とすると、キャパシタC1には、Q1=C1×Vgs1の電荷が充電される(第1段の電流サンプルホールド回路における電流サンプリングステップ)。
次に、スイッチSW1a、SW1b、SW1c、SW1dがオフにされると、トランジスタT1に電流Iinが流れなくなり、キャパシタC1にはスイッチSW1a、SW1bがオフになる直前の上記電荷Q1が保持される。すなわち、トランジスタT1のゲート電圧はスイッチSW1a、SW1bがオフになる直前のゲート電圧Vgs1にホールドされる。
スイッチSW1a、SW1b、SW1c、SW1dがオフにされた後、スイッチSW2aがオンにされ、トランジスタT2とトランジスタT1に電流が流れる。このとき、トランジスタT1には、先のステップでホールドされたゲート電圧Vgs1に応じた電流が流れる。トランジスタT2にもトランジスタT1に流れる電流と同じ電流が流れる。また、トランジスタT2とT3はカレントミラーになっているので、トランジスタT3にもトランジスタT1及びT2に流れる電流と同じ電流が流れる。さらに、この電流はトランジスタT4に流れる。
このとき、トランジスタT4のゲート電圧Vgs4は、トランジスタT4に流れる電流(ドレイン−ソース間に流れる電流)に対応した電圧となる。そして、スイッチSW2aがオンのままスイッチSW2cがオンにされる。キャパシタC2の容量をC2とすると、キャパシタC2には、Q2=C2×Vgs4の電荷が充電される(第2段の電流サンプルホールド回路における電流サンプリングステップ)。
次に、スイッチSW2a、SW2cがオフにされると、トランジスタT4に電流が流れなくなり、キャパシタC2には上記電荷Q2が保持される。すなわち、トランジスタT5のゲート電圧が上記Vgs4にホールドされる。
そして、トランジスタT5には、ホールドされたゲート電圧Vgs4に応じた電流が流れ、抵抗RにはトランジスタT5に流れる電流からバイアス電流Ibiasがキャンセルされた電流Idata、すなわち画像データに応じた電流が流れる。
抵抗Rの抵抗値をRとすると、抵抗Rの一端の電圧は、電源線の電圧HVDDから電圧(Idata×R)分だけ降下した電圧(HVDD−Idata×R)となり、出力線Loutに電圧(HVDD−Idata×R)が出力され、この電圧は、階調表現デバイスを模したロードキャパシタCLに、あるいはロードキャパシタCLを介して階調表現デバイスに印加される。すなわち、画像データに対応した電流Idataに応じて、階調表現デバイスに印加されるアナログ電圧が制御される。これにより、階調表現デバイスの動作量が制御され、所望の階調が表現される。
本実施形態においても、2段の電流サンプルホールド回路を直列接続させているため、第2段のサンプルホールド回路でサンプルホールドした電流を後段に出力しているときに同時に、スイッチSW1a〜1dをオンにして、次のサンプリング対象の電流を第1段の電流サンプリング回路に入力させてサンプリングする処理が可能になる。いわゆるパイプライン動作のように時間間隔を短くして次々と後段へと出力することができる。
また、この第3の実施形態によれば、スイッチSW2b、2d、3a、3e、4は常にオンにされているため、それらスイッチのスイッチングに伴うノイズの発生を防げる。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、上記第1の実施形態と同じ構成部分には同一の符号を付しその詳細な説明は省略する。
第1の実施形態においては階調表現デバイスへの出力は電圧としたが電流出力であってもよい。この回路例を図6、図7に示す。図6の回路では、トランジスタT11のドレインに階調表現デバイス50を接続させ、この階調表現デバイス50に、トランジスタT5に流れる電流に応じた電流(画像データに応じた電流)を出力している。図7の回路では、トランジスタT5に流れる電流に応じた電流を、トランジスタT12、T13によって構成されるカレントミラー回路を介して他のラインに接続された階調表現デバイス50に出力している。
特に、EL(Electro Luminescence)素子や発光ダイオード等の階調表現デバイスでは、印加する電圧と輝度(階調)との線形性よりも、流す電流と輝度との線形性の方が良いので、流す電流を制御して輝度を制御する方が輝度むらを少なくして良好な画質が得られる。そのようなEL素子や発光ダイオード等の階調表現デバイスの駆動に本実施形態は有効である。
[第5の実施形態]
次に、図16を参照して、同一のサンプルホールド回路群に属する複数のサンプルホールド回路間におけるサンプリング動作の順序について説明する。図16に示す例では、各サンプルホールド回路群SH1〜SHnはそれぞれ例えば5つのサンプルホールド回路を有する。各サンプルホールド回路SH1−1〜SHn−5の右横に示される○(白丸)は画素を表しており、左横に示される各サンプルホールド回路SH1−1〜SHn−5と対応している。例えば、1行目の画素は、サンプルホールド回路SH1−1の出力信号によって駆動される階調表現デバイスにより光の明暗や色の濃淡といった階調が表現される。階調表現デバイスは、各サンプルホールド回路SH1−1〜SHn−5及び垂直方向の各画素に対応して複数設けられ、1次元配列されている。
各コンバータ7−1〜7−nからの出力電流は、同時にそれぞれ対応する各サンプルホールド回路群SH1〜SHnに入力する。同じサンプルホールド回路群に属する複数のサンプルホールド回路は時分割で順次コンバータの出力電流をサンプリングしていく。すなわち、第1段の電流サンプルホールド回路のスイッチSW1a、1bが、図8に示すように時分割で順次オンにされる。例えば、サンプルホールド回路群SH1に属するサンプルホールド回路SH1−1〜SH1−5は、図16において数字でその動作順序が示されるように、サンプルホールド回路SH1−1、SH1−2、SH1−3、SH1−4、SH1−5の順で、コンバータ7−1からシリアルで出力される電流をサンプリングしていく。他のサンプルホールド回路群7−2〜7−nについても同様である。
各サンプルホールド回路群SH1〜SHn間で、サンプルホールド回路の順次動作は同期している。例えば、各サンプルホールド回路群SH1〜SHnの中で1番目に動作されるサンプルホールド回路SH1−1、SH2−1、・・・、SHn−1は同時にスイッチSW1a、1bがオンにされ電流サンプリングを開始する。これらサンプルホールド回路SH1−1、SH2−1、・・・、SHn−1の次にサンプルホールド回路SH1−2、SH2−2、・・・、SHn−2のスイッチSW1a、1bがオンにされ電流サンプリングを開始する。図16において画素中に記された矢印は、各画素に対応するサンプルホールド回路の各サンプルホールド回路群の中での順次動作の方向を示す。
そして、すべてのサンプルホールド回路SH1−1〜SHn−5は、同時にそれぞれ対応する階調表現デバイスに信号(電圧または電流)を出力し、ある1列、例えばk列目の画素の表示または印刷が行われる。以下、上述の動作を繰り返して、k+1列目、k+2列目の画素を順次表示または印刷していき2次元画像が形成される。
図17は、各サンプルホールド回路の、各サンプルホールド回路群の中での順次動作の方向が図16の場合と逆方向である例を示す。
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。上記第5の実施形態と同じ構成部分には同一の符号を付しその詳細な説明は省略する。
上述した図16、17の例では、各サンプルホールド回路群SH1〜SHnどうしで、各サンプルホールド回路を順次動作させる方向が階調表現デバイスの配列方向(画素の垂直配列方向)に沿って同一方向に揃っている(図16の例では下向きに、図17の例では上向きに揃っている)。このような構成であると、例えば各サンプルホールド回路群において最初に動作されるサンプルホールド回路の動作時にノイズが混入してしまうと、対応する画素もノイズの影響を受けて正確な階調表現が行われないことになる。この画素を不良画素として図16において斜線で示す。この場合、不良画素が画素の垂直配列方向に等間隔で(周期的に)現れてしまい、目立ちやすい。
そこで、図18に示す例では、例えば1〜5行目の画素に対応するサンプルホールド回路群SH1に属するサンプルホールド回路SH1−1〜SH1−5の動作順序の方向は下向きになるようにし、1〜5行目の画素に続く6〜10行目の画素に対応するサンプルホールド回路群SH2に属するサンプルホールド回路SH2−1〜SH2−5の動作順序の方向はサンプルホールド回路SH1−1〜SH1−5の動作順序の方向と逆の上向きになるようにし、6〜10行目の画素に続く11〜15行目の画素に対応するサンプルホールド回路群SH3に属するサンプルホールド回路SH3−1〜SH3−5の動作順序の方向はサンプルホールド回路SH2−1〜SH2−5の動作順序の方向と逆の下向きになるようにしている。
すなわち、画素の垂直配列方向に沿って隣接する画素グループ間で、これら画素グループに対応するサンプルホールド回路の動作順序の方向が逆になるように(互い違いになるように)することで、各サンプルホールド回路を順次動作させる方向が階調表現デバイスの配列方向(画素の垂直配列方向)に沿って同一方向に揃わないようにしている。
これにより、例えば各サンプルホールド回路群において最初に動作されるサンプルホールド回路の動作時にノイズが混入してしまった場合には、図18において斜線で示す不良画素は画素の垂直配列方向に等間隔で現れずに目立ちにくい。
図19は、図18とは逆に、1〜5行目の画素に対応するサンプルホールド回路群SH1に属するサンプルホールド回路SH1−1〜SH1−5の動作順序の方向は上向きになるようにし、1〜5行目の画素に続く6〜10行目の画素に対応するサンプルホールド回路群SH2に属するサンプルホールド回路SH2−1〜SH2−5の動作順序の方向は下向きになるようにし、6〜10行目の画素に続く11〜15行目の画素に対応するサンプルホールド回路群SH3に属するサンプルホールド回路SH3−1〜SH3−5の動作順序の方向は上向きになるようにした例を示す。
[第7の実施形態]
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。上記第5、6の実施形態と同じ構成部分には同一の符号を付しその詳細な説明は省略する。
各サンプルホール回路が入力電流のサンプルホールドを行うときには、各回路が有するサンプルホールド用のキャパシタC1、C2の充放電を行うことに加えて、そのサンプルホールド回路が属するサンプルホールド回路群に共通の寄生容量(図20において、例えばサンプルホールド回路群SH1にキャパシタの記号で模式的に示す)に対する充放電も行われる。
動作順序が連続するサンプルホールド回路間で入力するサンプリング対象電流が同じか近いと、それら2つの回路の動作を通してみた場合の寄生容量の充電量の変化は0または小さく、後に動作されるサンプルホールド回路の動作時における寄生容量の充放電時間を0または短くでき、その分、本来の電流サンプリング用のキャパシタC1、C2の充電量を所望の値にするまでの時間を短くできる。すなわち、電流サンプルホールド回路を高速に動作できる。
一般に、画像において位置が近い画素間では階調の変化が小さくサンプリング対象電流の値も近い。そこで、本実施形態では、図20に示すように、同じサンプルホールド回路群に属する各サンプルホールド回路を順次動作させる方向を前回の動作時(例えばk+1列目にとってはk列目の動作時であり、k+2列目にとってはk+1列目の動作時)の方向と逆向きにして、各サンプルホールド回路の動作順序の方向を示す矢印が隣り合う画素間をつなぐように、各サンプルホールド回路の動作順序を制御している。
例えば、サンプルホールド回路群SH1を例にして説明すると、k列目では各サンプルホールド回路SH1−1〜SH1−5の動作順序の方向が画素の垂直配列方向に沿って下向きになるようにし、k+1列目では各サンプルホールド回路SH1−1〜SH1−5の動作順序の方向が画素の垂直配列方向に沿って上向きになるようにし、k+2列目では各サンプルホールド回路SH1−1〜SH1−5の動作順序の方向が画素の垂直配列方向に沿って下向きになるようにしている。これにより、各サンプルホールド回路は、隣り合う画素間をつなぐような順序でもって動作され、各サンプルホールド回路の一連の動作を通じて寄生容量の充放電に要する時間を短くできる。
この結果、電流のサンプリング周期を短くして電流サンプルホールド回路を高速に動作させることができる。これにより、階調表現デバイスに与える電圧または電流の更新速度を高速化でき、フレームレートを高めて画質を向上できる。
図21は、図20とは逆に、例えば、サンプルホールド回路群SH1を例にして説明すると、k列目では各サンプルホールド回路SH1−1〜SH1−5の動作順序の方向が画素の垂直配列方向に沿って上向きになるようにし、k+1列目では各サンプルホールド回路SH1−1〜SH1−5の動作順序の方向が画素の垂直配列方向に沿って下向きになるようにし、k+2列目では各サンプルホールド回路SH1−1〜SH1−5の動作順序の方向が画素の垂直配列方向に沿って上向きになるようにしている。
[第8の実施形態]
図22は、図18と図20を組み合わせた実施形態である。すなわち、画素の垂直配列方向に沿って隣接する画素グループ間で、これら画素グループに対応するサンプルホールド回路の動作順序の方向が逆になるようにし(互い違いになるようにし)、且つ同じサンプルホールド回路群に属する各サンプルホールド回路を順次動作させる方向を前回の動作時の方向と逆向きにしている。これにより、ノイズを目立ちにくくできると共に、動作速度を速めて高フレームレートを実現し、よりいっそうの画質向上を図れる。
図23は、図19と図21を組み合わせた実施形態である。すなわち、画素の垂直配列方向に沿って隣接する画素グループ間で、これら画素グループに対応するサンプルホールド回路の動作順序の方向が逆になるようにし(互い違いになるようにし)、且つ同じサンプルホールド回路群に属する各サンプルホールド回路を順次動作させる方向を前回の動作時の方向と逆向きにしている。これにより、ノイズを目立ちにくくできると共に、動作速度を速めて高フレームレートを実現し、よりいっそうの画質向上を図れる。
上述したような各サンプルホールド回路の動作順序は、タイミング制御回路8(図3)により制御される。また、第6〜8の実施形態に示すサンプルホールド回路の動作順序の工夫は、電流サンプルホールド回路に限らず電圧サンプルホールド回路にも適用できる。
2…階調表現デバイスの駆動回路、3…階調表現デバイス、7−1〜7−n…DAコンバータ、SH1〜SHn…サンプルホールド回路群、SH1−1〜SHn−m…サンプルホールド回路、R…抵抗。