以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態における前後左右とは、遊技者から見た、つまり遊技盤に向かって見た方向を指すものとする。
図1は、本発明の実施の形態の遊技機(パチンコ機)の遊技盤1の正面図、図2は遊技盤1の斜視図、図3は遊技盤1の分解斜視図である。
遊技機の遊技盤1は、図1〜図3に示すように、合板やプラスチック等からなる矩形状の遊技盤本体2の表面に、ガイドレール3等を設けることで略円形状の遊技領域5を区画形成している。
遊技機は、遊技者の操作に基づいて発射装置(図示省略)から遊技球を発射させ、遊技領域5内に流下させることによって遊技を行うものである。発射装置によって打ち出された遊技球は、ガイドレール3の左側部に区画され遊技球を案内する発射領域6から遊技領域5に発射される。遊技者は、カバーガラス(図示省略)を通じて遊技領域5を視認することができる。
遊技領域5の両側部のそれぞれには、受け入れた遊技球を遊技盤1裏面の外れ領域19(図3参照)又は遊技領域5に分別する遊技装置7、8が配設される。遊技領域5の一側部である発射領域6側に配設された遊技装置7は遊技領域5内の上方に配設され、遊技領域5の他側部である発射領域6とは反対側に配設された遊技装置8は遊技領域5内の下方に配設される。以下では、遊技装置7を上方遊技装置7、遊技装置8を下方遊技装置8と記す。
遊技領域5における上方遊技装置7と下方遊技装置8との間には、受け入れた遊技球を遊技盤1裏面の外れ領域19又は遊技領域5に分別する中央遊技装置9がさらに配設される。具体的には、中央遊技装置9は、上方遊技装置7と下方遊技装置8との上下方向及び左右方向の略中間に配設される。このように、遊技領域5には合計3つの遊技装置(7,8,9)が配設される。そして、これら3つの遊技装置7、8、9は、中央遊技装置9が遊技領域5の略中央に配設されるように位置決めされる。
遊技盤1には、図3に示すように、上方遊技装置7、下方遊技装置8、及び中央遊技装置9の外周に沿った形状の開口1aが形成されている。それぞれの遊技装置7、8,9は、その開口1aに遊技盤1の前方から嵌装され、ビス等の締結部材によって遊技盤1に固定される。
遊技領域5における中央遊技装置9の右側には、受け入れた遊技球を遊技盤1裏面の外れ領域19(図3参照)に導くアウト口15が配設される。アウト口15も、図3に示すように、遊技盤1に形成された開口1bに遊技盤1の前方から嵌装され、ビス等の締結部材によって遊技盤1に固定される。
遊技領域5の下端中央には、遊技球が入賞した場合に賞球を払い出す入賞口10が配設される。図4は入賞口10の斜視図であり、図5は入賞口10の断面図である。図4及び図5に示すように、入賞口10は、入賞口本体11と、入賞口本体11を遊技盤1に固定するためのフランジ部12とを備える。
遊技盤1には、図3に示すように、入賞口本体11の外周に沿った形状の開口1cが形成されている。入賞口本体11を開口1cに遊技盤1の前方から嵌装させて、フランジ部12を遊技盤1の前面に当接させ、ビス等の締結部材をフランジ部12の締結穴12a及び遊技盤1に形成された締結穴(図示省略)に挿通させることによって、入賞口10は遊技盤1に固定される。これにより、遊技領域5には、図2に示すように、遊技球を受け入れる受入口10aが開口して設けられることになる。受入口10aに流入した遊技球は、入賞口本体11内を後方に向かって転動し、遊技盤1裏面側の入賞領域20(図3参照)へと導かれる。
入賞口10には、図4及び図5に示すように、入賞口10への遊技球の入賞を検知する検知器としてのセンサ13が取り付けられる。センサ13における開口部13aを遊技球が通過した場合、遊技制御装置(図示省略)にて遊技球の入賞が判定され賞球が払い出される。
遊技領域5には、遊技球を案内する多数の釘が植設される。本実施の形態における釘は、複数の釘が直線状に植設されることによって遊技球を案内する案内流路として機能する。遊技領域5には、多数の釘からなる釘群によって構成される案内流路が複数配設され、この案内流路は、上方遊技装置7、下方遊技装置8、中央遊技装置9、入賞口10、及びアウト口15をつなぐように配設される。案内流路の詳しい構成については後述する。
発射装置によって打ち出された遊技球は、遊技領域5の左側に区画された発射領域6から遊技領域5内に発射され、釘群によって構成される案内流路によって案内され、上方遊技装置7、下方遊技装置8、及び中央遊技装置9によって遊技領域5に分別された遊技球は入賞口10に入賞する。入賞口10に遊技球が入賞すると、所定数の賞球が払出装置(図示省略)から排出される。入賞口10に入賞しない遊技球は、上方遊技装置7、下方遊技装置8、中央遊技装置9、又はアウト口15のいずれかによって遊技盤1裏面の外れ領域19に案内される。遊技球の詳しい流れについては後述する。
遊技盤1の裏面には、図3に示すように、遊技盤1の裏面を覆う裏面カバー部材18が取り付けられる。裏面カバー部材18には隔壁18aが設けられ、その隔壁18aによって遊技盤1の裏面と裏面カバー部材18との間には、外れ領域19と入賞領域20とが画成される。上方遊技装置7、下方遊技装置8、中央遊技装置9、又はアウト口15のいずれかによって遊技盤1裏面に導かれた遊技球は、外れ領域19に案内され、外れ領域19下部に設けられた外れ樋部19aを通って遊技盤1下方の外れ球処理領域(図示省略)へと導かれる。また、入賞口10に入賞した遊技球は、入賞領域20に案内され遊技盤1下方の入賞球処理領域(図示省略)へと導かれる。
次に、主に図6〜図14を参照して、上方遊技装置7、下方遊技装置8、及び中央遊技装置9について説明する。上方遊技装置7、下方遊技装置8、及び中央遊技装置9の構成は、大部分が同じであるため、代表として主に中央遊技装置9について説明する。図6は中央遊技装置9の分解斜視図であり、図7は中央遊技装置9における遊技装置本体25の背面側斜視図であり、図8は遊技装置本体25の分解斜視図であり、図9は従動ギア38の分解斜視図であり、図10は中央遊技装置9の正面図、図11及び図12は中央遊技装置9の断面図であり、図13及び図14は中央遊技装置9の部分断面図である。
中央遊技装置9は、図6に示すように、遊技盤1の前面に固定される遊技装置本体25と、遊技装置本体25の背面に結合され、後述する回転体32を駆動するためのモータ46を有する駆動ユニット26と、遊技装置本体25の前面に結合される前面構成部材27とを備え、これら遊技装置本体25、駆動ユニット26、及び前面構成部材27が一体に結合されたものである。
遊技装置本体25は、平板状の取付ベース30を遊技盤1の前面に当接させ、締結部材(図示省略)を取付ベース30に形成された締結穴30a及び遊技盤1に形成された締結穴(図示省略)に挿通させることによって遊技盤1に固定される。このように、取付ベース30は、中央遊技装置9を遊技盤1に取り付けるためのものである。
取付ベース30には、前面に略円形の開口部を有する箱部材36が後方に突設して設けられる(図6〜図8参照)。箱部材36によって画成された凹室31には、遊技球を遊技盤1裏面の外れ領域19又は遊技領域5に分別する分別部材としての回転体32が収容される。
取付ベース30の前面上部には、下面が遊技球の通路の一部を構成する鎧部材35が配設され、鎧部材35の前面には扇形の飾り板35aが取り付けられる。
円板状の回転体32には、外周面から中心部に向かって切り欠かれることによって外周面に開口部を有し、遊技球を収容可能な3つの球収容部33a、33b、33cが、等間隔(120度間隔)で形成される。球収容部33a、33b、33cの内周の形状は、後に説明するように、それぞれ異なった形状に形成され、その内周の形状によって遊技球は、外れ領域19又は遊技領域5に分別される。具体的には、球収容部33a、33b、33cのうち、球収容部33aは、収容した遊技球を回転体32の回転の過程にて外れ領域19へ誘導可能(遊技者に不利なルート)であり、他の球収容部33b、33cは、収容した遊技球を回転体32の回転の過程にて遊技領域5に誘導可能(遊技者に有利なルート)に構成される。なお、以下では、球収容部33a、33b、33cを総称する場合、球収容部33と記す。
回転体32は、箱部材36の後面36aに形成された貫通孔36bを挿通する回転軸37の一端に連結され、回転軸37の他端には従動ギア38が連結される(図7及び図8参照)。したがって、回転体32は、従動ギア38の回転によって回転軸37を中心に回転する。なお、本実施の形態では、回転体32は、遊技盤2に向かって反時計回りに回転する。
箱部材36の後面36aにおける貫通孔36bの上方には、図8に示すように、開口部36cが形成される。また、箱部材36の背面には、図7に示すように、外れ領域に連通する開口部39aを有し、遊技球を外れ領域19に案内する外れ球案内流路39が配設される。これにより、回転体32における球収容部33a内に流入した遊技球は、開口部36c及び外れ球案内流路39を通過して外れ領域19に誘導されることになる。
取付ベース30の背面上部には、図7に示すように、後方に突設する基台40を介して光電センサ41が配設される。光電センサ41は、コの字形状に形成され、一方の凸部が発光部であり、他方の凸部が受光部である。
駆動ユニット26における本体45の背面には、図6に示すように、回転体32を駆動するための駆動手段としてのモータ46が固定される。モータ46の出力軸46aは本体45を挿通し、出力軸の端部には主動ギア47が連結される(図11及び図12参照)。主動ギア47は、モータ46の回転に伴ってモータ46の出力軸46aを中心に回転する。
取付ベース30の背面には、図7に示すように、後方に突設する3つの棒状部材48が取り付けられ、その棒状部材48の先端を駆動ユニット26の本体45の外縁に配設された締結部49に当接させ、ビス等の締結部材(図示省略)を用いて棒状部材48を締結部49に締結することによって、遊技装置本体25と駆動ユニット26とが結合される。
遊技装置本体25と駆動ユニット26とを結合することによって、遊技装置本体25の従動ギア38と駆動ユニット26の主動ギア47は、互いに双方の歯が噛み合う。したがって、モータ46の回転は、主動ギア47、従動ギア38を介して回転体32に伝達される。
主動ギア47の前面には、図6に示すように、回転中心が主動ギア47と同一であり、光電センサ41における発射光を遮蔽するための環状の遮蔽リング42が取り付けられる。遮蔽リング42には、光電センサ41の発光部から発射された発射光を受光部に透過させるための切欠部42aが形成される。
光電センサ41と遮蔽リング42は、図11及び図12に示すように、遊技装置本体25と駆動ユニット26とが結合された状態にて、光電センサ41の発光部と受光部とで遮蔽リング42の周壁を挟むようにして配置される。したがって、主動ギア47の回転に伴って遮蔽リング42が回転した場合、主動ギア47が1回転する所定のタイミング、つまり発光部から発射された発射光が切欠部42aを透過するタイミングで光電センサ41は遊技制御装置に対して信号を出力する。これにより、所定のタイミングにてモータ46を停止させ所望の位置で回転体32の回転を止めることが可能となるため、モータ46停止時の回転体32の回転停止位置、及びモータ46の停止時間を設定することによって、遊技球が回転体32の各球収容部33のいずれかに入賞する入賞確率を調整することができる。
前面構成部材27は、図6に示すように、後面55と、その後面55から前方に延設された周壁56とからなる箱状の部材である。前面構成部材27の背面には、後方に突設する2つの棒状部材57が取り付けられ、その棒状部材57を遊技装置本体25の凹室31内に挿入し、ビス等の締結部材(図示省略)を用いて箱部材36の締結部58(図7参照)に締結することによって、遊技装置本体25と前面構成部材27とが結合される。
遊技装置本体25と前面構成部材27とが結合された状態では、前面構成部材27は、後面55が遊技装置本体25の凹室31の開口部を塞ぐように配設される。しかし、前面構成部材27は、透明な合成樹脂によって構成されるため、遊技装置本体25と前面構成部材27とが結合された状態でも、遊技者は、遊技装置本体25の回転体32を視認可能であり、遊技球が回転体32の球収容部33a、33b、33cのいずれに流入したかを確認することができる。
遊技装置本体25と前面構成部材27とを結合した状態で、遊技装置本体25の取付ベース30を遊技盤1に固定すると、図2に示すように、遊技装置本体25の鎧部材35と前面構成部材27の周壁56とが遊技盤1の前面から突設した状態となる。そして、鎧部材35の下面、周壁56の上壁56a、及び飾り板35aの背面にて、遊技領域5に開口し受け入れた遊技球を内部に誘導する受入流路60が画成される(図10〜図12参照)。受入流路60における遊技領域5に対する開口部は、遊技領域5を流下する遊技球を受け入れるための受入口61(図1、図2、及び図10参照)である。中央遊技装置9の場合、遊技球は遊技盤1に向かって左側から内部へと流入するため、受入流路60の左側の開口部が受入口61となる。
上壁56aの中央部には、後方に向かって下り傾斜し遊技球を後方の回転体32へと誘導する誘導部63が形成される。また、鎧部材35の前面を構成する飾り板35aの下端面後部は、面取り(図7,図11,図12の符合35b)される。したがって、受入口61から受入流路60に流入した遊技球は、誘導部63と飾り板35aの面取り35bとによって後方の遊技装置本体25へと誘導され、凹室31内に収容された回転体32の球収容部33a、33b、33cのいずれかに流入する。
誘導部63から回転体32へと流下する遊技球は、その流下のタイミングで真上に開口している球収容部33、つまり、誘導部63に開口部が臨む球収容部33内へと収容される。なお、回転体32は反時計方向に回転するため、球収容部33は、球収容部33a、33b、33cの順番で誘導部63に臨むことになる。
前面構成部材27の周壁56の下部には、内側に向かって屈曲して形成された2つの屈曲壁56b、56cが形成される。屈曲壁56b、56cにて画成された領域は、回転体32の球収容部33b又は33cのいずれかによって分別された遊技球を、遊技領域5内に排出する第1排出流路64a、第2排出流路64bである。第1排出流路64aは、図10に示すように、左斜め下方に向かって開口し、第2排出流路64bはほぼ真下に向かって開口している。なお、中央遊技装置9は、入賞口10の直上に配設されているため、第1排出流路64aから排出される遊技球は、入賞口10より左側に向けて排出されることになる。
屈曲壁56b、56cの断面形状は、回転体32の球収容部33の形状と略同一であるため、回転体32の回転中、球収容部33は、第1排出流路64a及び第2排出流路64bと連通する。その連通の際、遊技球は回転体32の球収容部33から第1排出流路64a又は第2排出流路64bへと案内され、遊技領域5へと排出される。
遊技装置本体25、駆動ユニット26、及び前面構成部材27が一体に結合された状態では、図6に示すように、回転体32の回転軸37の一端側(従動ギア38側)は、駆動ユニット26における本体45の前面に配設された軸受穴52にて支持されると共に、回転軸37の他端側(回転体32側)は、前面構成部材27の後面55に配設された軸受穴62にて支持される。
前述したように、回転体32の球収容部33に流入した遊技球は、球収容部33a、33b、33cのそれぞれの形状によって、外れ領域19又は遊技領域5に分別される。以下では、主に図11〜図14を参照して、球収容部33の形状及び回転体32による遊技球の分別について説明する。
図11及び図12は、図10におけるA−A断面を示す断面図であり、図11は遊技球を外れ領域19に誘導する球収容部33aの開口部が誘導部63に臨んだ状態(図6に示す回転体32の位置)を示し、また、図12は遊技球を遊技領域5に誘導する球収容部33b又は球収容部33cが誘導部63に臨んだ状態を示すものである。
また、図13及び図14は、図10におけるB−B断面を示す断面図であり、図13は遊技球を遊技領域5に誘導する回転体32の球収容部33b又は33cのうち球収容部33bが第1排出流路64aに連通している状態を示し、また、図14は球収容部33cが第1排出流路64aに連通している状態を示すものである。
球収容部33aの底部66は、図11に示すように、後方に向かって下り傾斜して形成される。したがって、受入口61から受入流路60に流入し、誘導部63から球収容部33a内に流入した遊技球は、底部66上を後方へと転動し箱部材36の開口部36c及び外れ球案内流路39を通過して外れ領域19に案内される。
また、球収容部33b、33cの底部66は、図12に示すように、前方に向かって下り傾斜して形成され、かつ底部66の後部には上方に向かって立設した突起部67が形成される。この突起部67によって開口部36cの開口直径は、遊技球の直径未満となり、遊技球は通過不可能となる。したがって、受入口61から受入流路60に流入し、誘導部63から球収容部33b又は33c内に流入した遊技球は、外れ領域19に誘導されることはなく底部66の前方傾斜によって前面構成部材27の後面55に当接して前方への転動が規制されつつ、回転体32の回転に伴って反時計方向へと運ばれる。
次に、遊技球が球収容部33bに収容され、回転体32の回転によって反時計方向へと運ばれる場合について説明する。球収容部33bの開口部が真上を向いている状態から回転体32が反時計方向に回転すると、球収容部33b内の遊技球は、球収容部33b内周との接触位置を底部66から側壁68a(図8参照)へと次第に変化させる。そして、球収容部33bが第1排出流路64aに連通するタイミング(図13に示す状態)、つまり、遊技盤2に向かって球収容部33bの開口部が左斜め下方を向いた場合には、球収容部33b内の遊技球は、球収容部33b内の側壁68a上に位置する。
ここで、球収容部33bの側壁68aの形状は、図13に示すように、球収容部33bが第1排出流路64aに連通した状態で、前方に傾斜した形状に形成される。また、球収容部33bが第1排出流路64aに連通した場合、その連通によって球収容部33b内の遊技球の前方への転動の規制は解除される。したがって、球収容部33bが第1排出流路64aに連通したタイミングで、球収容部33b内の遊技球は、側壁68a上を前方へと転動し第1排出流路64aから遊技領域5へと排出される。
次に、遊技球が球収容部33cに収容され、回転体32の回転によって反時計方向へと運ばれる場合について説明する。球収容部33cの側壁68aの形状は、図14に示すように、球収容部33cが第1排出流路64aに連通した状態で、後方に傾斜した形状に形成される。したがって、球収容部33cに収容された遊技球が、回転体32の回転によって反時計方向へと運ばれる過程で、球収容部33cが第1排出流路64aに連通した場合でも、球収容部33c内の遊技球は第1排出流路64a(前方)に向かって転動することはなく、球収容部33c内に収容された状態を保つ。
回転体32がさらに回転し球収容部33cの開口部が真下を向いた状態では、球収容部33cに収容された遊技球は、箱部材36の内周壁上に落ちる。その後は、回転体32の回転に伴って、遊技球は側壁68aに対向する側壁68b(図8参照)及び箱部材36の内周壁に接触して運ばれることになる。
ここで、箱部材36の内周壁における第2排出流路64bに対応する位置には、図6に示すように、前方に下り傾斜した斜面70が形成される。また、球収容部33cの開口部が斜面70に対向した状態で、球収容部33cにおける側壁68b(遊技球が接触している側壁)は、後方に向かって傾斜していない。さらに、球収容部33cが第2排出流路64bに連通した場合、その連通によって球収容部33c内の遊技球の前方への転動の規制は解除される。したがって、球収容部33cが第2排出流路64bに連通したタイミングで、球収容部33c内の遊技球は、斜面70上を前方へと転動し第2排出流路64bから遊技領域5へと排出される。
以上のように、受入口61から中央遊技装置9内に流入し、受入流路60の誘導部63から回転体32へと流下する遊技球は、その流下のタイミングで開口部が真上を向いている球収容部33a、33b、33cのいずれかに流入する。そして、球収容部33aに流入した遊技球は外れ領域19に誘導され、球収容部33bに流入した遊技球は第1排出流路64aから遊技領域5の左側に向けて排出され、球収容部33cに流入した遊技球は第2排出流路64bから遊技領域5の右側に向けて排出される。このように、遊技球は、球収容部33の形状によって分別され、回転体32の球収容部33に流入した時点で、分別先が決定されている。
以上では、中央遊技装置9について説明した。中央遊技装置9と、他の上方遊技装置7、下方遊技装置8との違いは、中央遊技装置9では受け入れた遊技球を遊技領域5に排出する排出流路が2つ(第1排出流路64a、第2排出流路64b)であるのに対して、上方遊技装置7、下方遊技装置8では排出流路が1つである点、及び回転体32の球収容部33の組み合わせが異なる点である。
具体的には、上方遊技装置7における排出流路は、図1に示すように、第2排出流路64bの1つであり、受け入れた遊技球を遊技領域5の右側に向けてのみ排出する。また、回転体32の球収容部33の組み合わせは、中央遊技装置9と同様に球収容部33a、33b、33cを各1個設ける組み合わせの他に、球収容部33b、33cのいずれか一方を球収容部33aに置き換え、外れ領域19用の球収容部33aを2つ設ける組み合わせにしてもよく、また、球収容部33b、33cのいずれか2個と球収容部33aとの組み合わせにしてもよい。
下方遊技装置8における排出流路は、図1に示すように、第1排出流路64aの1つであり、受け入れた遊技球を遊技領域5の左側に向けてのみ排出する。また、回転体32の球収容部33の組み合わせは、下方遊技装置8の場合、球収容部33a、33b、33cを各1個設ける組み合わせでは、球収容部33cに収容された遊技球は遊技領域5に排出不能となる。したがって、回転体32の球収容部33の組み合わせは、球収容部33a、33bを各1個と、球収容部33a、33bのいずれか1個との組み合わせにする必要がある。
次に、主に図8及び図9を参照して、回転体32の回転軸37の両端部を支持する軸受構造について説明する。
前述したように、回転軸37の一端側(従動ギア38側)は駆動ユニット26の軸受穴52にて支持され、他端側(回転体32側)は前面構成部材27の軸受穴62にて支持される。図8は回転体32側の軸受構造の分解図であり、図9は従動ギア38側の軸受構造の分解図である。回転軸37両端部の軸受構造は同一構造であるため、以下では、一方の回転体32側の軸受構造についてのみ説明する。なお、双方の軸受構造において同一の部材、部品には同一の符号を付す。
回転軸37の端部には、回転体32に対する相対回転を防止するための回り止め部75が形成される。回り止め部75は、回転軸37の端面を軸方向から見た場合に、端面の形状が略D字状となるように回転軸37の外周面の一部を平坦状に切り欠いて形成されたカット部75aを有する。
回転体32の中心には、回転軸37の回り止め部75の外周形状と略同一形状の貫通孔76が形成され、その貫通孔76に回転軸37の回り止め部75がぴったりと、つまり隙間がない状態で嵌合する。これにより、回転軸37と回転体32とは相対回転することはなく、回転軸37の回転は、ロス無く回転体32に伝達される。
回転軸37の回転体32側の軸受構造は、回転体32から突出した回転軸37の回り止め部75を覆うと共に、回転体32と一体に回転する被覆部材77と、回転体32に対する被覆部材77のがたつきを防止するための締結部材としてのネジ78とを備える。
ネジ78は、回転軸37の先端に穿設された締結穴37aに螺合する締結部78aと、ドライバ等の工具を係合させる溝が形成された平板状の頭部78bとを備える。締結穴37a内周には雌ねじが形成され、締結部78aの外周には雄ねじが形成されている。
被覆部材77は、回転体32の前面に当接すると共に、回転体32の前面から突出した回り止め部75が挿入される開口部79aを有する胴部79と、胴部79と一体に形成され胴部79に挿入された回り止め部75の端面75bを覆う覆部80とを備える。
胴部79における回転体32に当接する端面79bには、図9に示すように、端面79bから隆起し回転体32に形成された被嵌合部81に嵌合する嵌合部84が形成される。
被覆部材77の組み付け性を考慮し、回り止め部75は遊嵌状態で胴部79の開口部79aに挿入されると共に、嵌合部84も遊嵌状態で被嵌合部81に嵌合する。つまり、回り止め部75と開口部79aの隙間、及び嵌合部84と被嵌合部81の隙間は、大きく設定されている。
覆部80は、ネジ78の締結部78aが挿通可能で回転軸37の締結穴37aに連通する貫通孔80aと、ネジ78の頭部78bが当接しネジ78の締結力が作用する受圧部80bとを有する。覆部80は、外周が円形状に形成され、前面構成部材27の軸受穴62に挿入され、その軸受穴62に対して回転摺動自在である。
次に、回転軸37の回転体32側の軸受構造の組み立て方法について説明する。
まず、回転体32の貫通孔76に回転軸37の回り止め部75を嵌合させ、回転体32の前面から回り止め部75が突出した状態とする。
次に、被覆部材77を、回転体32から突出した回り止め部75を覆うようにして回転体32に組み付ける。具体的には、胴部79の開口部79aに回転体32から突出した回り止め部75を挿入すると共に、嵌合部84を回転体32の被嵌合部81に嵌合することによって組み付ける。この状態では、嵌合部84と被嵌合部81の隙間が大きいため、回転体32に対する被覆部材77の遊びが大きい。したがって、回転体32が回転した場合、それに伴って被覆部材77も回転するが、回転中、覆部80の外周が前面構成部材27の軸受穴62の内周に接触し回転体32の回転に悪影響を及ぼす。そこで、回転体32に対する被覆部材77のがたつきを防止するためにネジ78を用いる。
被覆部材77を回転体32に組み付けた状態では、回転軸37の締結穴37aと覆部80の貫通孔80aとは連通している。したがって、ネジ78の締結部78aを貫通孔80aに挿通させると、締結部78aは回転軸37の締結穴37aに螺合する。
ネジ78をねじ込んでいくと、ネジ78の頭部78bが覆部80の受圧部80bに当接し、
被覆部材77はネジ78の推進力(締結力)を受けて回転体32に対して押圧される。これにより、胴部79の端面79bが回転体32の前面に圧着するため、回転体32に対する被覆部材77のがたつきが防止される。
最後に、前面構成部材27と遊技装置本体25とを結合することによって、被覆部材77の覆部80が前面構成部材27の軸受穴62に挿入され、軸受構造が組み立てられる。
次に、回転体32に対する被覆部材77のがたつきをより確実に防止するためのネジ78の構成について説明する。
まず、ネジ78の頭部78bと被覆部材77の受圧部80bとを、非平滑状態で接触するように構成することが望ましい。具体的には、例えば、ネジ78の頭部78bにおける受圧部80bに接触する面に、図9に示すように、表面が網目状に形成されたロレット78cを複数設ける。このように構成すれば、ネジ78をねじ込む際、ネジ78の頭部78bと被覆部材77の受圧部80bとの間の摩擦力が大きくなるため、ネジ78の推進力が被覆部材77の受圧部80bに作用し易くなり、被覆部材77と回転体32とを確実に一体化させることができる。
また、ネジ78に、締結部78aと回転軸37の締結穴37aとの締結力の緩みを防止するスプリングワッシャを設けるのが望ましい。具体的には、例えば、ネジ78の頭部78bと受圧部80bとの間に、図8、図11、及び図12に示すように、スプリングワッシャ82と平ワッシャ83とを介装する。このように構成すれば、回転体32が回転することによりネジ78の締結部78aと回転軸37の締結穴37aとの締結力が緩む方向の力が作用した場合でも、スプリングワッシャ82は、ネジ78の締結部78aが締結穴37aに対して逆回転することを防止するように作用するため、ネジ78の締結力は保持される。
なお、以上では、被覆部材77の組み付け性を考慮し、回り止め部75は遊嵌状態で胴部79の開口部79aに挿入されると共に、嵌合部84も遊嵌状態で被嵌合部81に嵌合する構成とした。しかし、回り止め部75と開口部79a、及び嵌合部84と被嵌合部81をぴったりと嵌合するように構成することも当然可能である。その場合には、被覆部材77が回転体32に対してがたつくことがないため、ネジ78は不用となり部材点数を少なくすることができる。
次に、回転軸37の軸受構造の作用効果について説明する。
モータ46が駆動すると、モータ46の回転は、主動ギア47、従動ギア38を介して回転軸37に伝達され、回り止め部75を介して回転軸37に結合されている回転体32が回転する。
回転体32から突出した回転軸37の回り止め部75は被覆部材77にて覆われ、その被覆部材77の覆部80は前面構成部材27の軸受穴62に対して摺動自在に回転する。このように、回転軸37は、カット部75aが形成された回り止め部75が軸受に支持されるのではなく、軸受穴62に対して回転摺動自在な被覆部材77を介して軸受穴62に支持される。
また、被覆部材77は回転体32と一体に回転し、回転軸37が被覆部材77に対して相対回転することがないため、回り止め部75のカット部75aが被覆部材77の胴部79の開口部79a内にてひっかかることもない。
したがって、回転軸37はスムーズに回転し、回転体32は安定して回転する。回転体32の回転が安定することによって、遊技球を外れ領域19と遊技領域5とに分別する分別率とその計画値との誤差は小さくなるため、遊技球の入賞率は安定する。
また、ネジ78によって回転体32に対する被覆部材77のがたつきは防止されるため、回転中、覆部80の外周が前面構成部材27の軸受穴62の内周に接触し、回転体32の回転に悪影響を及ぼすようなことは生じない。したがって、回転体32の回転を安定した状態に保つことができる。
以下では、主に図1を参照して、以上にて説明した遊技機における遊技球の流れについて説明する。なお、図1において、上方遊技装置7、下方遊技装置8における中央遊技装置9と同一の部材、部品には同一の符号を付している。
まず、遊技盤1に配設され遊技球を案内する案内流路の配置について説明する。以下に示す全ての流路は、多数の釘を一列に並べた釘群によって構成される。
発射装置から発射され、発射領域6を経て遊技領域5内の上方に飛入する遊技球を上方遊技装置7の受入口61に案内するために、遊技領域5の上部には、左側に向かって下り傾斜した発射球案内流路85が配設される。
発射球案内流路85の下流端には、隣合う釘の間隔が遊技球の直径以上に設定された開口が形成される。その開口の下方には、開口を通過する遊技球をアウト口15へと案内するために右側に向かって下り傾斜したアウト口案内流路86が配設される。このように、発射球案内流路85の下流端の開口は、遊技球をアウト口15へと案内する連通口87であり、発射球案内流路85の下流端には、遊技球を上方遊技装置7又はアウト口15へ案内する分岐部が設けられることになる。
上方遊技装置7と中央遊技装置9との間には、上方遊技装置7の第2排出流路64bから排出された遊技球を中央遊技装置9の受入口61に案内する右側に向かって下り傾斜した第1案内流路88が配設される。
中央遊技装置9と下方遊技装置8との間には、中央遊技装置9の第2排出流路64bから排出された遊技球を下方遊技装置8の受入口61に案内する右側に向かって下り傾斜した第2案内流路89が配設される。
下方遊技装置8と入賞口10との間には、下方遊技装置8の第1排出流路64aから排出された遊技球を入賞口10に案内する左側に向かって下り傾斜した第3案内流路90が配設される。
また、中央遊技装置9の下方には、中央遊技装置9の第1排出流路64aから排出された遊技球を、下方遊技装置8をバイパスして入賞口10に案内する右側に向かって下り傾斜したバイパス流路91が配設される。
次に、遊技領域5内における遊技球の流れについて説明する。
発射装置から発射された遊技球は、発射領域6を経て遊技領域5内の上方に飛入し、発射球案内流路85に流下し、発射球案内流路85上を転動する。
発射球案内流路85上を転動する遊技球のうち、勢いよく転動する遊技球は上方遊技装置7の受入口61に流入する一方、勢いのない遊技球は発射球案内流路85下流端の連通口87からアウト口案内流路86に流下し、アウト口15へ流入する。
上方遊技装置7の受入口61に流入した遊技球は、回転体32によって外れ球案内流路39(図7参照)又は第2排出流路64bに分別される。外れ球案内流路39に分別された遊技球は、遊技盤1裏面の外れ領域19に案内され、第2排出流路64bに分別された遊技球は、遊技領域5に排出される。そして、遊技領域5に排出された遊技球は、第1案内流路88上を転動し中央遊技装置9の受入口61に流入する。
中央遊技装置9の受入口61に流入した遊技球は、回転体32によって外れ球案内流路39、第1排出流路64a、又は第2排出流路64bに分別される。外れ球案内流路39に分別された遊技球は、遊技盤1裏面の外れ領域19に案内される。第1排出流路64aに分別された遊技球は、遊技領域5に入賞口10より左側に向けて排出されバイパス流路91に流下し、第2排出流路64bに分別された遊技球は、遊技領域5に下方に向けて排出され第2案内流路89に流下する。
第1排出流路64aからバイパス流路91に流下した遊技球は、バイパス流路91上を右側に向かって転動し、下方遊技装置8をバイパスして第3案内流路90に流下し、第3案内流路90上を左側に向かって転動して入賞口10へと入賞する。
また、第2案内流路89に流下した遊技球は、第2案内流路89上を転動し、下方遊技装置8の受入口61に流入する。下方遊技装置8の受入口61に流入した遊技球は、回転体32によって外れ球案内流路39、又は第1排出流路64aに分別される。外れ球案内流路39に分別された遊技球は、遊技盤1裏面の外れ領域19に案内され、第1排出流路64aに分別された遊技球は、遊技領域5に排出される。そして、遊技領域5に排出された遊技球は、第3案内流路90上を転動して入賞口10へと入賞する。
以上のように、発射装置から発射され遊技領域5に飛入した遊技球は、上方遊技装置7、中央遊技装置9、及び下方遊技装置8にて外れ領域19又は遊技領域5に分別され、3つ全ての遊技装置にて遊技領域5に分別された遊技球のみが入賞口10へと入賞する。
本実施の形態の遊技機によれば、遊技領域5に分別された遊技球は、遊技領域5中を左右方向に移動しながら流下するため、遊技球の滞留時間は十分に長いものとなり、遊技の興趣を向上させることができる。
また、中央遊技装置9に流入した遊技球のうち回転体32によって第1排出流路64aに分別された遊技球は、下方遊技装置8をバイパスして入賞口10に入賞する。このように、中央遊技装置9に流入し遊技領域5に排出される遊技球には2つの経路があり、遊技の興趣をより向上させることができる。
また、中央遊技装置9に流入した遊技球のうち回転体32によって第1排出流路64aに分別された遊技球は、バイパス流路91から第3案内流路90を経由して入賞口10に入賞するため、中央遊技装置9の第1排出流路64a及び第2排出流路64bから排出される全ての遊技球は、第3案内流路90を経由して入賞口10に入賞することになる。つまり、遊技球は入賞口10の片側(図1中右側)からのみ入賞する。遊技球が入賞口10の両側から入賞する場合、入賞口10の入口にて球詰まりが発生し易いが、バイパス流路91に案内される遊技球を、第3案内流路90を経由させることによって球詰まりの発生を防止することができる。
また、中央遊技装置9の第1排出流路64aから排出される遊技球は、最初入賞口10より左側に向けて排出されるが、バイパス流路91で転動方向を変え、さらに第3案内流路90でも転動方向を変え入賞口10に入賞する。このように、中央遊技装置9の第1排出流路64aから排出された遊技球も、遊技領域5中を左右方向に移動しながら流下するため、遊技球の滞留時間は十分に長いものとなる。
さらに、発射領域6から遊技領域5に飛入する全ての遊技球を上方遊技装置7にて受け入れると上方遊技装置7内にて球詰まりを起こす虞があるが、発射球案内流路85の下流端に遊技球をアウト口15に導く分岐部を設けたため、上方遊技装置7内における球詰まりの発生を防止することができる。
なお、本実施の形態では、遊技盤1の遊技領域5に上方遊技装置7、下方遊技装置8、及び中央遊技装置9の3つの遊技装置を配設する構成にした。しかし、中央遊技装置9を設けず、遊技盤1の遊技領域5の両側部に上方遊技装置7、下方遊技装置8のみを配設する構成にしてもよい。このように構成しても、遊技球は、遊技領域5中を左右方向に移動しながら流下するため、遊技球の滞留時間は十分に長いものとなり、遊技の興趣を向上させることができる。つまり、本実施の形態の遊技機は、遊技盤1の遊技領域5の少なくとも両側部に遊技装置を設ける構成であればよい。
また、本実施の形態では、入賞口10を一般入賞口として説明したが、入賞口10を始動口として構成してもよい。この場合、遊技盤本体2の下部に変動表示装置(図示省略)を配置し、始動口への遊技球の入賞があると、変動表示装置では、数字等で構成される識別情報が順に変動表示する変動表示ゲームが開始され、変動表示ゲームに関する画像が表示される。そして、始動口への入賞が所定のタイミングでなされたときには大当たり状態となる。このとき、例えば、球収容部33b又は球収容部33cの開口部が誘導部63に臨む位置にて回転体32が停止する(遊技者に有利な状態)ようにモータ46の動作が制御される。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。