JP4826739B2 - 冷菓用油脂 - Google Patents
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特許文献2では脂肪源としてヤシ油60〜80%とパーム油40〜20%との混合油を冷菓に使用することが提案されている。しかしながらヤシ油が多いとシャープな融解性状を示すものの食感及び風味の点でコクがない。また、パーム油あるいは菜種油は安価であるが口溶けの点で好ましくなく、かつ冷菓としてのキメや組織が不良となる。
特許文献3では対称型トリグリセリド(SUS)を40%以上含有する油脂95〜40%とラウリン系油脂5〜60%を含有する冷菓用油脂が提案されている。これは口溶けのシャープさ、キレに効果を発揮するものであった。
特許文献4では液油、中・高融点油脂とオリゴ糖、糖アルコールを用いることで冷凍下において柔らかな冷菓を得ることを提案しているが、風味、コク、濃厚感については言及されていない。なおここで言う中・高融点油脂とは、パーム油、パーム核油、ヤシ油または乳脂から選ばれる1種または2種以上の油脂を指すものである。
本発明においては、SSS型トリグリセリドを95重量%以上の高濃度に含有する油脂及び45重量%以上のSUS型トリグリセリドを含有する油脂を使用するか、又はSSS型トリグリセリドを概ね8重量%以下の低濃度に含有する油脂であって、45重量%以上のSUS型トリグリセリドを含有する油脂を使用するか何れの油脂からも選択することは可能であるが、一定の効果を得るためにはSSS型トリグリセリドを95重量%以上の高濃度に含有する油脂及び45重量%以上のSUS型トリグリセリドを含有する油脂を使用する方が、トリグリセリド組成を高濃度化した油脂が利用でき、口どけ、コク味に優れ、イヤ味が少なく、キレ、アッサリ感が得られる点で好ましい。
本発明においては特にパーム油から高融点画分と低融点画分を分別除去して得られるパーム油中融点画分が好ましい。
SUS型トリグリセリドが45重量%以下であると口どけが悪化し、アッサリ感が乏しくなる傾向を示す。
本発明では上記の油脂を使用する限りにおいて、それ以外の油脂として、大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米ぬか油、ゴマ油、カポック油、乳脂、ラード、魚油、鯨油等の各種の動植物油脂及びそれらの硬化油、分別油、エステル交換油等の加工油脂(融点15〜40℃程度のもの)が例示できる。
無脂乳固形分はアイスクリームの組織改善およびオーバーランの増加とともにアイスクリーム類へ乳味感を付与するという効果を有する。この乳固形分としては、脱脂乳、脱脂粉乳、全脂粉乳などが例示できる。
甘味料はアイスクリーム類に甘味を与えるほかミックスの粘性を増し組織を改良するという効果を有する。甘味料としてはショ糖がもっとも普通に使用されるが、他に転化糖、混合液糖、水飴等が使用され、通常全量に対し13〜17重量%程度使用される。
安定剤は組織を滑らかにし、適度の粘性を与え、オーバーランの調整に関与するという効果を有する。このような安定剤として、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、アラビアガムのようなガム類、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、CMC、水溶性ヘミセルロース、ゼラチン、寒天、ペクチン、コーンスターチの他、リン酸塩の如き種々の塩類が例示できる。これらの安定剤を通常製品全体に対し0.1〜1.0重量%程度添加するが、種類によっては口中で粘りを感じるようなことがあるので、そのときは添加量を減じるのがよい。
次いで均質化処理を経た水中油型乳化物を殺菌ないし滅菌処理する。通常はUHT滅菌処理する。UHT滅菌には間接加熱方式と直接加熱方式とがあり、間接加熱処理する装置としてはAPVプレート式UHT処理装置(APV社製)、CP−UHT滅菌装置(クリマティ・パッケージ社製)、ストルク・チューブラー型滅菌装置(ストルク社製)、コンサーム掻き取り式UHT滅菌装置(テトラパック・アルファラバル社製)等が例示できるが、特にこれらにこだわるものではない。また、直接加熱滅菌装置としては、ユーペリゼーション滅菌装置(テトラパック・アルファラバル社製)、VTIS滅菌装置(テトラパック・アルファラバル社製)、ラギアーUHT滅菌装置(ラギアー社製)、パラリゼーター(パッシュ・アンド・シルケボーグ社製)、C.P.Vac−Heat・UHT滅菌装置(クリマティー・パッケージ社製)等のUHT滅菌処理装置が例示でき、これらの何れの装置を使用してもよい。
また、結果については以下の方法で評価した。
融点:日本油化学協会基準油脂分析試験法(1996年版)2.2.4.2融点(上昇融点)に規定の方法に準じて測定した。
SSS型トリグリセリドやSUS型トリグリセリドの含有量は高速液体クロマトグラフにて測定した。
オーバーラン:[(一定容積の水中油型乳化物重量)−(一定容積の起泡後の起泡物重量)]÷(一定容積の起泡後の起泡物重量)×100
官能評価(口どけ、コク味、イヤ味、キレ、アッサリ感):専門パネラー10名により、優れている順に「5」、「4」、「3」、「2」、「1」の五段階にて評価を行い、平均化した評価を結果とした。
NGO−C.H.O.社製パーム中融点部(SSS;4.6%、SUS;64.5%、よう素価43.6、融点31.0℃)70部、パーム核硬化油(不二製油製、融点36℃)20部、パーム菜種調合硬化油(不二製油製、融点36℃)10部を融解混合し油相とする。(油脂中のSSS型トリグリセリド量:2.1重量%)。この油相12部と脱脂粉乳8部、、粉末粉飴5部、グラニュー糖10部、殺菌卵黄2部、水63部とを65〜70℃で30分間ホモミキサーを用いて攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業製)により、145℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行なった。これを100Kg/cm2の均質化圧力で均質化し、直ちに5℃まで冷却した。冷却後24時間エージングを行い、水中油型乳化物を得た。この水中油型乳化物の配合を表1に纏めた。この乳化物をカタブリカ(アイスクリーム製造機の商品名)にてフリージングを行い、ラクトアイスを得た。得られたラクトアイスを容器に充填し−20〜−30℃で硬化させた後、評価を行なったところ、口溶け、キレが良好であることに加えて、風味、コク、濃厚感も良好であった。結果を表2にまとめた。
不二製油製パーム中融点部(SSS;1.2%、SUS;66.6%、よう素価44.7、融点25.5℃)68部、パーム核硬化油(不二製油製、融点36℃)20部、パーム菜種調合硬化油(不二製油製、融点36℃)10部、パーム極度硬化油(不二製油製、よう素価1以下、融点58.5℃)2部を融解混合しこれを油相とし(油脂中のSSS型トリグリセリド量:2.7重量%)、その他の配合組成、製造方法は実施例1と同様にし、ラクトアイスを得た。このラクトアイスを評価したところ、口溶け、キレが良好であることに加えて、風味、コク、濃厚感も良好であった。結果を表2にまとめた。
不二製油製パーム中融点部(SSS;1.2%、SUS;66.6%、よう素価44.7、融点25.5℃)68部、パーム核硬化油(不二製油製、融点36℃)20部、パーム菜種調合硬化油(不二製油製、融点36℃)10部、米糠極度硬化油(よう素価1以下、融点61.5℃)2部を融解混合しこれを油相(油脂中のSSS型トリグリセリド量:2.7重量%)とし、その他の配合組成、製造方法は実施例1と同様にし、ラクトアイスを得た。このラクトアイスを評価したところ、口溶け、キレが良好であることに加えて、風味、コク、濃厚感も良好であった。結果を表2にまとめた。
不二製油製パーム中融点部(SSS;1.2%、SUS;66.6%、よう素価44.7、融点25.5℃)68部、パーム核硬化油(不二製油製、融点36℃)20部、パーム菜種調合硬化油(不二製油製、融点36℃)10部、高エルシン酸菜種極度硬化油(よう素価1以下、融点61.5℃)2部を融解混合しこれを油相(油脂中のSSS型トリグリセリド量:2.7重量%)とし、その他の配合組成、製造方法は実施例1と同様にし、ラクトアイスを得た。このラクトアイスを評価したところ、口溶け、キレが良好であることに加えて、風味、コク、濃厚感も良好であった。結果を表2にまとめた。
不二製油製パーム中融点部(SSS;1.2%、SUS;66.6%、よう素価44.7、融点25.5℃)69部、パーム核硬化油(不二製油製、融点36℃)20部、パーム菜種調合硬化油(不二製油製、融点36℃)10部、パーム極度硬化油(不二製油製、よう素価1以下、融点58.5℃)1部を融解混合しこれを油相(油脂中のSSS型トリグリセリド量:1.8重量%)とし、その他の配合組成、製造方法は実施例1と同様にし、ラクトアイスを得た。このラクトアイスを評価したところ、口溶け、キレが良好であることに加えて、風味、コク、濃厚感も良好であった。結果を表2にまとめた。
不二製油製パーム中融点部(SSS;1.2%、SUS;66.6%、よう素価44.7、融点25.5℃)47部、パーム核硬化油(不二製油製、融点36℃)14部、パーム菜種調合硬化油(不二製油製、融点36℃)7部、パーム極度硬化油(不二製油製、よう素価1以下、融点58.5℃)2部、バターオイル30部を融解混合しこれを油相(油脂中のSSS型トリグリセリド量:2.5重量%)とし、その他の配合組成、製造方法は実施例1と同様にし、アイスクリームを得た。このアイスクリームを評価したところ、口溶け、キレが良好であることに加えて、風味、コク、濃厚感も良好であった。結果を表2にまとめた。
不二製油製精製パーム油(SSS;6.4%、SUS;44.3%、よう素価52.0、融点37.0℃)70部、パーム核硬化油(不二製油製、融点36℃)20部、パーム菜種調合硬化油(不二製油製、融点36℃)10部を融解混合しこれを油相(油脂中のSSS型トリグリセリド量:4.5重量%)とし、その他の配合組成、製造方法は実施例1と同様にし、ラクトアイスを得た。このラクトアイスを評価したところ、口溶け、キレは不良であった。結果を表3にまとめた。
不二製油製パーム中融点部(SSS;1.2%、SUS;66.6%、よう素価44.7、融点25.5℃)69.9部、パーム核硬化油(不二製油製、融点36℃)20部、パーム菜種調合硬化油(不二製油製、融点36℃)10部、パーム極度硬化油(不二製油製、融点59℃、沃素価1以下)0.1部を融解混合しこれを油相(油脂中のSSS型トリグリセリド量:0.9重量%)とし、その他の配合組成、製造方法は実施例1と同様にし、ラクトアイスを得た。このラクトアイスを評価したところ、口溶け、キレは良好であったが、風味、コク、濃厚感に乏しいものであった。結果を表3にまとめた。
不二製油製パーム中融点部(SSS;1.2%、SUS;66.6%、よう素価44.7、融点25.5℃)60部、パーム核硬化油(不二製油製、融点36℃)20部、パーム菜種調合硬化油(不二製油製、融点36℃)10部、パーム極度硬化油(不二製油製、融点59℃、沃素価1以下)10部を融解混合しこれを油相(油脂中のSSS型トリグリセリド量:10.7重量%)とし、その他の配合組成、製造方法は実施例1と同様にし、ラクトアイスを得た。このラクトアイスを評価したところ、口溶け、キレは不良であり、風味、コク、濃厚感も感じられなかった。結果を表3にまとめた。
不二製油製パーム中融点部(SSS;1.2%、SUS;66.6%、よう素価44.7、融点25.5℃)68部、パーム核硬化油(不二製油製、融点36℃)20部、パーム菜種調合硬化油(不二製油製、融点36℃)10部、パーム極度硬化油(不二製油製、よう素価1以下、融点58.5℃)2部を融解混合しこれを油相(油脂中のSSS型トリグリセリド量:2.7重量%)とする。この油相1部と脱脂粉乳8部、、粉末粉飴5部、グラニュー糖10部、殺菌卵黄2部、水74部とをその他の配合組成、製造方法は実施例1と同様にし、ラクトアイスを得た。このラクトアイスを評価したところ、風味、コク、濃厚感に乏しいものであった。結果を表3にまとめた。
不二製油製パーム中融点部(SSS;1.2%、SUS;66.6%、よう素価44.7、融点25.5℃)68部、パーム核硬化油(不二製油製、融点36℃)20部、パーム菜種調合硬化油(不二製油製、融点36℃)10部、パーム極度硬化油(不二製油製、よう素価1以下、融点58.5℃)2部を融解混合しこれを油相(油脂中のSSS型トリグリセリド量:2.7重量%)とする。この油相23部と脱脂粉乳8部、、粉末粉飴5部、グラニュー糖10部、殺菌卵黄2部、水52部とをその他の配合組成、製造方法は実施例1と同様にし、ラクトアイスを得た。このラクトアイスを評価したところ、コク、濃厚感は良好であるものの、キレ、アッサリ感が不良であった。結果を表3にまとめた。
不二製油製パーム中融点部(SSS;1.2%、SUS;66.6%、よう素価44.7、融点25.5℃)44部、パーム核硬化油(不二製油製、融点36℃)13部、パーム菜種調合硬化油(不二製油製、融点36℃)7部、パーム極度硬化油(不二製油製、よう素価1以下、融点58.5℃)1部、バターオイル35部を融解混合しこれを油相(油脂中のSSS型トリグリセリド量:1.5重量%)とする。この油相12部と脱脂粉乳8部、、粉末粉飴5部、グラニュー糖10部、殺菌卵黄2部、水63部とをその他の配合組成、製造方法は実施例1と同様にし、アイスクリームを得た。このアイスクリームを評価したところ、コク味、濃厚感は良好であり、口溶けも良かったが、キレ、アッサリ感、イヤ味の点で優れていなかった。結果を表3にまとめた。
Claims (3)
- 油脂分が2〜20重量%の水中油型乳化物に使用される冷菓用油脂であって、SUS型トリグリセリド含有量が45重量%以上である油脂とラウリン系油脂を主成分とする混合油脂であって、混合油脂中に非ラウリン系油脂由来であり、且つSSS型トリグリセリドを95重量%以上の高濃度に含有する油脂由来のSSS型トリグリセリドを1〜4重量%含有することを特徴とする冷菓用油脂。(但し、SSS型トリグリセリドの場合、Sは炭素数14〜22の飽和脂肪酸であり、SUS型トリグリセリドの場合、Sは炭素数16〜22の飽和脂肪酸であり、Uは炭素数16〜22の不飽和脂肪酸である。)
- 油脂中にラウリン系油脂を5〜60重量%含む、請求項1記載の冷菓用油脂。
- 請求項1又は請求項2記載の冷菓用油脂を2〜20重量%使用してなる冷菓。
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