JP4825605B2 - 高温超電導コイル装置 - Google Patents
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Description
図1は、本発明に係る高温超電導コイル装置の第1の実施形態を示す概念図である。この実施形態に係る高温超電導コイル装置は、少なくとも、高温超電導コイル1と、高温超電導コイル1を励磁するための電源2と、温度計測機構3と電流制御手段4とを備えている。温度計測機構3は、定量的に温度を計測する装置である場合や、コイルの一部または全体が臨界温度を超えたかどうかを判定する場合がある。すなわち、コイル両端電圧あるいは一部の電圧がある閾値を超えたかどうかを判定する機構や、図2に示されるようにコイルに沿わせた超電導線の両端電圧あるいは一部の電圧を計測し、その電圧が閾値を超えたかどうかを判定する機構などが含まれる。図1では、高温超電導コイル1を冷却するための冷凍機5と、冷凍機5と高温超電導コイル1とを熱的に接続するための冷却板(伝熱板)6と、高温超電導コイル1を取り巻く環境を真空状態にするための真空容器7を備えている。高温超電導コイル1は電流リード8を介して電源2と電気的に接続されている。この際、電流リード8と真空容器7とは電気的に絶縁されている。
また、金属系超電導線11は、高温超電導線10の全体にわたり近接して配置されていること、すなわち絶縁物12を介して接続されていることが、高温超電導コイル1の全体の温度を計測できるため好ましい。
また、高温超電導線10の形状についても、テープ線材形状であっても丸線形状、楕円形状、複数の素線から形成されたより線形状、ラザフォード形状などいかなる形状でもよい。
抵抗計測機構としては、例えば4端子法を用いた電気抵抗計測装置等が挙げられる。また、電圧計測機構としては、電圧端子を利用した超電導の用途に適する電圧計測器等が挙げられる。温度計測機構の変換部において、計測された抵抗値又は電圧値は温度値に変換されなくてもよい。
例えば、金属系超電導線は、温度の上昇により常電導状態へと転移状態になるときに急激に抵抗値が上昇する。このときの抵抗値又はこの抵抗値に達する前の抵抗値を閾値とすることができる。閾値は、1つであっても、複数(2つ以上)であってもよい。閾値を複数設定することにより、高温超電導コイルに流れる電流をより効果的に制御できるようになる。
また、例えば計測値が小さい場合は電流の下降速度を小さくしたり、計測値が大きい場合には下降速度を大きくしたりすることもできる。
さらに、2つ以上の異なる種類の金属系超電導線が近接して配置された、高温超電導コイル装置については、例えば、臨界温度の異なる2種類の金属系超電導線を使用する場合には、臨界温度が低い金属系超電導線が抵抗を発した場合は、電源2の出力電流をゆっくり低下させ(例えば、閾値(t1)以上であると判断)、臨界温度が高い金属系超電導線が抵抗を発した場合は急激に電源2の出力電流を低下若しくは電流の供給を停止させるか(例えば、閾値(t2)以上であると判断)、或いは高温超電導コイル1に貯蔵された電磁エネルギーを放出する(例えば、閾値(t3)以上であると判断)などの、種々の対応をとることが可能になる。
図4は、本発明に係る高温超電導コイル装置の第2の実施形態を示す概念図である。この実施形態の高温超電導コイル装置は、図1に記載の第1の実施形態の高温超電導コイル装置とは異なり、高温超電導コイル1がクライオスタット20内に配置され、かつ冷媒21により冷却されている。冷媒は、固体、液体又は気体のいずれであってもよい。一般的には、液体ヘリウム、液体水素、液体ネオンなどが挙げられる。高温超電導線10、高温超電導線の少なくとも一部に近接して配置され、かつ高温超電導線材とは電気的に絶縁された金属系超電導線11、電源2、温度計測手段3、電流制御手段4、電流リード8等の構成については、図1に示すものと同様のものである。
図5は、本発明に係る高温超電導コイル装置の第3の実施形態を示す概念図である。また、図6は、この実施形態における高温超電導線と気密構造のチューブ状部材との構成の一態様を示す流れ方向の断面図である。
この実施形態に係る高温超電導コイル装置は、高温超電導線31の少なくとも一部に近接して配置された、気密構造のチューブ状部材32と、この気密構造のチューブ状部材内に配置された封入物質33と、この物質の温度を計測する温度計測器(センサー)34と、温度計測機構35と、これらの計測値に応じて電流を制御する電流制御手段36とを備える。また、気密構造のチューブ状部材32は、絶縁継ぎ手37を介して接続された封入物質供給装置(図示せず)から封入物質が供給される。絶縁継ぎ手37の内側には弁が配置されている。この実施形態に係る高温超電導コイル装置は、図1に記載の第1の実施形態と同様に、電源2、冷凍機5、冷却板6、真空容器7、電流リード8等を備える。
また、気密構造のチューブ状部材32の材質(材料)は、熱伝導率等を考慮すると金属製である。これらのうち、高温超電導線より熱伝導率が大きい材料からなるものが、熱伝導率が良好になり、より感度よく高温超電導コイルの異常を検出できるようになるため好ましい。具体的には、銅、アルミニウム等が挙げられる。
気密構造のチューブ状部材32と高温超電導線材31とは、例えば共巻きすることにより形成することができる。高温超電導コイル1の高温超電導線に近接されて配置された中空配管状の気密構造のチューブ状部材32は、例えば、高温超電導線と共に高温超電導コイル1の内部を回った後、高温超電導コイル1の外部で、絶縁継ぎ手37を介して封入物質供給装置に接続される。
封入物質33としては、例えば、ヘリウム、水素、窒素、ネオン等が挙げられる。封入物質は、高温超電導コイルの定常運転温度の領域の上限温度と絶対温度273Kの間に沸点を有するものが、高温超電導コイルの定常運転温度の領域で液体であるため好ましい。これは、封入物質が、気体よりも液体の状態の方が熱伝導率が良好なため、封入物質の熱温度分布が平均化され、より感度よく高温超電導コイルの異常を検出できるようになるからである。なお、封入物質33は、絶縁継ぎ手37を介して接続された封入物質供給装置(図示せず)から供給され、封入物質33が供給された後は弁を閉める。
温度を計測するものとしては、例えば抵抗温度計が挙げられる。抵抗温度計を温度計測器として使用する場合には、温度計測器34は、いわゆる測温抵抗体(温度センサー部)である。
温度計測器40は、冷却板との接続箇所から最も離れた高温超電導コイル上の箇所から、高温超電導コイルの直径又は高さの大きい方の±1/10の距離内に取り付けられる。すなわち、温度計測器40は、冷却板からの直線距離が最も遠い基準点から、高温超電導コイルの直径又は高さのうちの大きい方の長さの1/10の長さを半径(r)とする球内に、或いは、冷却板からの直線距離が最も遠い基準面から、高温超電導コイルの直径(d)又は高さ(L)のうちの大きい方の長さの1/10の長さを幅とする円柱内に、配置される。 温度計測手段を取り付ける範囲をこのように規定することにより、超電導コイルの異常(例えば、クエンチ)を確実に検知することができる。このように温度計測器40を設置する範囲を、図9(a)〜(c)を参照して例示して説明する。
Claims (4)
- 高温超電導コイルと、
前記高温超電導コイルを冷却するための冷却手段と、
前記高温超電導コイルを励磁するための電源と、
前記高温超電導コイルの高温超電導線の少なくとも一部に近接して配置され、該高温超電導線とは電気的に絶縁された2つ以上の臨界温度が異なりかつ近接して配置された金属系超電導線と、該金属系超電導線の抵抗又は電圧を計測する計測機構とを有し、前記高温超電導コイルの少なくとも一部の近傍の温度を計測する温度計測手段と、
臨界温度が高い前記金属系超電導線が抵抗を発した場合は電源の出力電流を低下若しくは電流の供給を停止又は前記高温超電導コイルに貯蔵された電磁エネルギーを放出させ、臨界温度が低い前記金属系超電導線が抵抗を発した場合は前記電源の出力電流を臨界温度が高い前記金属系超電導線が抵抗を発した場合よりゆっくり低下させる電流制御手段と
を具備することを特徴とする高温超電導コイル装置。 - 前記金属系超電導線は、NbTi、Nb3Sn、Nb3Al及びMgB2からなる群から選択されるいずれか1種の線材又は異なる2種以上の線材を直列に若しくは並列に電気的に絶縁された構成で配置した線材からなることを特徴とする請求項1記載の高温超電導コイル装置。
- 前記金属系超電導線は、該金属系超電導線の全表面積の少なくとも10%以上の領域で、前記高温超電導線に固着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の高温超電導コイル装置。
- 前記冷却手段が、冷凍機と、冷凍機と高温超電導コイルとを接続する冷却板とを有し、
前記温度計測手段が、前記冷却板との接続箇所から最も離れたコイル上の箇所から、高温超電導コイルの直径又は高さの大きい方の1/10の距離内に取り付けられた計測器を有することを特徴とする請求項1記載の高温超電導コイル装置。
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