JP3861263B2 - 超電導限流器および超電導限流器システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は超電導限流器および超電導限流器システムに関する。さらに詳しくは、本発明は、高温超電導体の磁束排除特性を応用した超電導限流器と、これを利用した超電導限流器システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
限流器は、例えば、配電系統では変電所からの各回線に設置することにより、配電線でおきた事故や故障による過電流を抑制し、健全回線での電圧降下を抑制することが可能となる。また、限流器を、例えば基幹系統の連系線に設置した場合、事故や故障時に発生する過電流が、設置されている遮断器の遮断容量を超えるときにその過電流を抑制し、現用遮断器における遮断が可能となる。さらに、限流器を、例えば超電導ケーブルを用いたケーブルの両側に設置することにより、事故や故障により超電導ケーブルに過電流が流れた時その過電流を抑制し、超電導ケーブルの常電導転移を防止することが可能となる。
【0003】
従来、高温超電導体を利用した超電導限流器として特開平6−14453号(特許第3131909号)公報に開示されたものがある。かかる超電導限流器では、図16に示すように、高温超電導体を筒状に成形し、この筒状超電導体101の外側には一次コイル102が巻装されている。また、筒状超電導体101の内部には制御コイル103が設けられており、この制御コイル103に制御用インピーダンス104を接続し、この制御用インピーダンス104の値を調整することにより、所望の限流リアクタンス値、即ち限流電流値を得るようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−14453号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の超電導限流器では、高温超電導体を円筒形状に成形しているため、その製造が難しかった。特に、大きな筒状超電導体101の製造は困難であり、製造コストを増加させていた。また、高温超電導体の円筒形状への成形が難しいことから、その形状にばらつきが生じやすく、限流器としての性能に不均一ができやすく、品質を維持し信頼性を確保し難かった。
【0006】
本発明は、製造が容易な超電導限流器と、これを利用した超電導限流器システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために請求項1記載の超電導限流器は、系統に直列に接続される円盤状の一次コイルと、一次コイルと同軸上に配置されて遮蔽電流が閉ループとして流れる平板状の高温超電導体を備え、一次コイルに過電流が流れた場合に高温超電導体が常電導状態に転移して一次コイル側からみたリアクタンスを増加させるものである。
【0008】
円筒形状等の高温超電導体を製造するのは比較的困難であるが、平板形状の高温超電導体を製造するのは比較的容易である。本発明では、高温超電導体を平板状にしているので、製造が容易である。なお、平板形状には、薄膜形状、厚膜形状、バルク体形状等を含んでいる。
【0009】
この場合、請求項2記載の超電導限流器のように、高温超電導体は、円板形状もしくはリング形状を成していることが好ましい。
【0010】
また、請求項3記載の超電導限流器は、一次コイルと高温超電導体を複数組み合わせたものである。したがって、高温超電導体の電流容量を大きくすることができる。
【0011】
また、請求項4記載の超電導限流器は、一次コイルと高温超電導体を挟み込む磁性体を備えるものである。したがって、一次コイルで発生した磁束が磁性体によって導かれる。即ち、外部に漏れる磁束が減少し、超電導限流器の漏れリアクタンスが減少する。
【0012】
また、請求項5記載の超電導限流器は、閉磁路を形成する磁性体を備えるものである。したがって、一次コイルで発生した磁束が磁性体に導かれ閉磁路となる。即ち、磁束の漏れが防止され、超電導限流器の漏れリアクタンスが減少する。
【0013】
また、請求項6記載の超電導限流器は、閉磁路にギャップを設け、そのギャップ長を調整することで、高温超電導体が超電導状態のときのリアクタンスと常電導状態のときのリアクタンスとの比を変化させるものである。
【0014】
閉磁路のギャップ長を変化させると、閉磁路の磁気抵抗が変化し、インピーダンスが変化する。このため、超電導限流器のリアクタンスも変化する。即ち、高温超電導体が超電導状態のときの超電導限流器のリアクタンスと常電導状態のときの超電導限流器のリアクタンスとの比(リアクタンス比)を調整することができる。
【0015】
さらに、請求項7記載の超電導限流器システムは、請求項1から請求項6のいずれかに記載の超電導限流器を複数組み合わせたものである。したがって、高温超電導体の電流容量、超電導限流器の定格電圧を大きくすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1及び図2に、本発明を適用した超電導限流器の実施形態の一例を示す。また、図3に、超電導限流器を接続した系統を示す。
【0018】
超電導限流器1は、系統2に直列に接続される円盤状の一次コイル3と、一次コイル3と同軸上に配置されて遮蔽電流が閉ループとして流れる平板状の高温超電導体4を備え、一次コイル3に過電流が流れた場合に高温超電導体4が常電導状態に転移して一次コイル3側からみたリアクタンスを増加させるものである。本実施形態の超電導限流器1は、一次コイル3と高温超電導体4を挟み込む磁性体5を備えている。
【0019】
高温超電導体4は、例えばイットリウム系の高温超電導体4で、円板形状もしくはリング形状を成している。ただし、高温超電導体4は、イットリウム系の高温超電導体4に限るものではなく、ビスマス系の高温超電導体4であっても良く、その他の高温超電導体4であっても良い。また、高温超電導体4の形状は、円板形状やリング形状に限るものではなく、四角形状、多角形状等、超電導の環状電流が流れることができる形状であれば良い。高温超電導体4は、超電導状態になるように図示しない冷却手段によって冷却されている。また、高温超電導体4としては、薄肉の平板でも良く、厚肉の平板でも良い。また、バルク体でも良い。
【0020】
一次コイル3は、絶縁被覆された線材を渦巻き状に巻いたものである。本実施形態では、一次コイル3を高温超電導体4に密着させて配置している。ただし、一次コイル3と高温超電導体4とが磁気的に結合できるのであれば、一次コイル3と高温超電導体4との間にスペーサを介在させても良い。一次コイル3と高温超電導体4は同軸上に配置されている。なお、上述の超電導限流器1では芯棒を備えていないが、図1及び図2に破線で示すように、一次コイル3と高温超電導体4の中心に芯棒6を貫通させても良く、この場合には、磁束を導くことができて磁束の漏れをより一層防止することができる。
【0021】
磁性体5は、例えば円板形状を成している。この磁性体5は、例えば2枚設けられており、一次コイル3と高温超電導体4を軸方向両側から挟み込んでいる。
【0022】
次に、超電導限流器1の作動について説明する。
【0023】
一次コイル3に高温超電導体4の臨界電流値よりも小さい値の電流が流れている状態では、高温超電導体4は超電導状態になっており、高温超電導体4には遮蔽電流が閉ループとして流れるので、一次コイル3で発生した磁束は高温超電導体4によって遮蔽される。この状態では、超電導限流器1のリアクタンスは著しく小さい。したがって、系統2を流れる電流の妨げとならない。
【0024】
一方、系統2に過電流が流れ、一次コイル3の作る磁界が高温超電導体4の臨界磁界を越えた場合、即ち高温超電導体4が磁束を排除するために生じる表面電流(遮蔽電流)の値が高温超電導体4の臨界電流値を越えた場合には、高温超電導体4はもはや超電導状態を保つことができずに高温超電導体4に生ずる磁束跳躍現象により常電導状態に急激に転移する。この転移により高温超電導体4は磁束の排除作用を失う。このため一次コイル3によって生じた磁束は高温超電導体4を貫く。即ち、一次コイル3と高温超電導体4と一対の磁性体5を通る磁束が生じる。このため、超電導限流器1のリアクタンスは、磁束が遮蔽されていた状態、即ち一次コイル3を流れる電流の値が、高温超電導体4の臨界電流を上廻らない場合のリアクタンスに比べて瞬間的に著しく大になる。したがって、系統2の過電流を瞬間的に限流することができる。
【0025】
例えば図3のように超電導限流器1の一次コイル3を、変圧器10を介して送配電系統11に接続された各需要家回路12に接続すれば、需要家回路12に短絡故障13が発生したとき、送配電系統11から故障点へ流れこむ過大な電流を限流して、事故の拡大や変圧器10の破損などを防ぎうる。
【0026】
しかもこの原理によるものは高温超電導体4の電流容量を大きくすることにより限流すべき電流値を大きくしうることから、系統容量の増大に容易に対処することができ、需要の増大に対応できる。
【0027】
この超電導限流器1では、高温超電導体4を容易に作成できる平板形状としているので、高温超電導体4の製造が容易であり、製造コストを安くすることができる。また、高温超電導体4の製造が容易であることから、高温超電導体4を高精度に製造するのが容易であり、限流器としての品質を確保し信頼性を向上させることができる。また、高温超電導体4を平板形状にしているので、超電導限流器1をコンパクトにすることができる。
【0028】
さらに、一次コイル3を円盤状にし、高温超電導体4を平板状にし、一次コイル3と高温超電導体4を軸方向に配置しているので、超電導限流器1をより一層コンパクトにすることができる。そして、一次コイル3と高温超電導体4とを密着させて配置した場合には、超電導限流器1をさらにコンパクトにすることができる。
【0029】
また、二次側に1ターンの超電導体をもつ構造な為、超電導体自身の絶縁確保が容易である。
【0030】
また、高温超電導体4を平板形状にしているので、高温超電導体4の冷却面積が増加し、常電導状態から超電導状態への復帰が高速化される。このため、超電導限流器1による再度の限流動作の確保を迅速に行うことができる。
【0031】
また、磁束の漏れを制御する磁性体5を用いて磁路を調整することにより漏れリアクタンスを減少させることができ、さらに小型化が可能である。
【0032】
また、一次コイル3と高温超電導体4を2枚の磁性体5で挟み込んでいるので、一次コイル3の漏れリアクタンスを減少させることができる。
【0033】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、図4に示すように、一次コイル3と高温超電導体4を複数組み合わせても良い。一次コイル3と高温超電導体4を複数組み合わせることで、高温超電導体4の電流容量を大きくすることができる。なお、図4では、一次コイル3と高温超電導体4を2組、組み合わせているが、3組以上の一次コイル3と高温超電導体4を組み合わせるようにしても良い。
【0034】
また、図5に示すように、閉磁路7を形成する磁性体5を備えても良い。閉磁路7を形成する磁性体5を備えることで、一次コイル3の作る磁束を磁性体5のループにより完全に閉磁路とすることができ、磁束の漏れを防止して超電導限流器1の漏れリアクタンスを減少させることができる。
【0035】
また、図6に示すように、閉磁路7を形成する磁性体5を備えても良い。磁性体5によって一次コイル3と高温超電導体4の全体を包み込むことで、一次コイル3の作る磁束を磁性体5のループにより完全に閉磁路とすることができ、磁束の漏れを防止して超電導限流器1の漏れリアクタンスを減少させることができる。なお、一次コイル3のリード線は、磁性体5に孔を形成しておき、当該孔から引き出すようにする。
【0036】
また、図7に示すように、閉磁路7にギャップ8を設け、そのギャップ長Lを調整することでインピーダンス比、即ち、高温超電導体4が超電導状態のときのリアクタンスと常電導状態のときのリアクタンス3との比を変化させるようにしても良い。ギャップ長Lを変化させることで磁気抵抗が変化してインピーダンスを変化させることができ、リアクタンス比を調整することができる。
【0037】
また、一次コイル3を高温超電導材料の線材によって形成しても良い。
【0038】
さらに、図8や図9に示すように、超電導限流器1を複数組み合わせて超電導限流器システム9を構成しても良い。超電導限流器1全体を複数組み合わせることで、並列にした場合には超電導限流器システム9全体の電流容量を大きくすることができ、直列にした場合には超電導限流器システム9全体の定格電圧を大きくすることができる。なお、図1では超電導限流器1を直列に接続しており、図9では超電導限流器1を並列に接続している。また、図8及び図9では、超電導限流器1を2つ組み合わせていたが、3つ以上の超電導限流器1を組み合わせても良い。
【0039】
【実施例】
(実施例1)
本発明の超電導限流器1を評価するために、図10に示す原理モデルを製作した。また、超電導限流器1の等価回路を図11に示す。
【0040】
例えば、一次コイル3の%自己インダクタンスは適用系統2の20〜50%とする。必要に応じ強磁性体(磁性体5)で一次コイル3と高温超電導体4の磁気結合を強化する。
【0041】
定常時の一次コイル3側からのインダクタンスは高温超電導体4の作用で漏れインダクタンスの0.1〜1%となる。系統2に渦電流が流れると高温超電導体4が常電導状態に転移し、一次コイル3からの%インピーダンスは20〜50%で、事故電流を定格電流の2〜5倍に限流する。本発明の超電導限流器1は高温超電導体4を低電圧下で過電圧レスのスイッチとして使用する。このため、絶縁確保が容易で高温超電導体4のエネルギー処理量が少ない。一次コイル3を常電導体とすれば確立されたコイル技術が適用でき、超電導体とすれば低損失でコンパクトにできる。また、高温超電導体4を平板状にしたことで、その製作は容易で、低コスト化可能で、現用のBi系、Y系超電導体等の製造技術がそのまま利用することができる。
【0042】
図10に示す原理モデルでは、2mmφの銅線を23ターン巻いた1層の一次コイル3と、外径200mmφ、内径100mmφのドーナッツ状で厚みが5mmの円板状Bi−2223バルク超電導体(高温超電導体4)との間に、厚さ3mmのスペーサ14を挟み込んだ構造である。また、一次コイル3、スペーサ14、高温超電導体4を固定板(ベークライト、厚さ10mm)15で挟み付け固定している。
【0043】
一次コイル3からみたリアクタンス(60Hz)を測定した結果、高温超電導体4の温度が液体窒素温度77Kで7.4mΩ、300Kで32.6mΩであり、限流動作時にリアクタンスが4.4倍に増加可能なことを確認した。
【0044】
図10の原理モデルは一次コイル3と高温超電導体4をベークライトの固定板15で挟み付ける構成にしたため、超電導状態での超電導限流器1の漏れリアクタンスが比較的大きく、超電導状態と常電導状態のリアクタンス比が極端に大きいとは言えない。しかし、一次コイル3と高温超電導体4の磁気結合を強くすることで、これらを改善することができる。一例として、図10の原理モデルの上下の固定板15を磁性体(ケイ素鋼板)5とした場合の解析結果を図12に示す。超電導状態のFCLのリアクタンスに対して、1mΩ程度の高温超電導体4の抵抗の発生の時のリアクタンスは10倍以上となり、リアクタンス比の向上を確認できた。
【0045】
(実施例2)
本発明者は、渦巻き状に巻いた一次コイル3と、超電導体の例としてY系(YBCO)の超電導薄膜(高温超電導体4)、磁性体5として鉄(SS41)を用いて超電導限流器1のモデル器を作製した。そして、液体窒素で冷却した超電導状態におけるリアクタンスと超電導が破壊された常電導状態におけるリアクタンスを測定し、リアクタンスで4倍の変化があることを実験により検証した。
【0046】
超電導限流器1のモデル器を図13に示す。銅コイル(一次コイル3)は、平角銅(1×10)コイルで、内径28mm、外径86mm、厚さ10mmで、ターン数を20ターンとした。これは絶縁紙巻きしたものである。また、高温超電導体4は、サファイア基板YBCO(THEVA社製)、内径1インチ、外径3インチ、厚み300nm、Jc=2.5MA/cm2、Tc=87Kであった。また、磁性体5は、SS41製で、横断面を80×80mm、長さを12mmとした。また、磁性体5の軸心に直径26mmの孔が設けられている。芯棒6はSS41製で、一次コイル3と高温超電導体4の中心に挿入されている。
【0047】
そして、図14に示すように、超電導限流器1のモデル器全体をLN2につけて測定を行った。また、室温(摂氏27℃程度)でも測定を行った。即ち、一次コイル3に電流を流して電圧を測定し、その電圧値からインピーダンスを求め、リアクタンスを計算した。常温の場合(常電導状態)のリアクタンスは、0.098mH、LN2で冷却した場合(超電導状態)のリアクタンスは、0.024mHであった。これらの結果から、超電導状態に対して常電導状態では、リアクタンスが3.95倍になることを確認できた。
【0048】
(実施例3)
また、磁性体5により閉磁路7を作ることによりリアクタンス比が16倍になることを実験的に検証した。
【0049】
即ち、図15に示すように、3分割した磁性体(方向性ケイ素鋼板)5を図示しないバンドで締め付けて固定し、閉磁路7を構成した。一次コイル3と高温超電導体4は、上述の実施例2で使用したものと同じものを使用した。また、実施例2と同様に、図14に示す手段で冷却を行った。
【0050】
実施例2と同様に、超電導限流器1のモデル器全体を図14に示すようにLN2につけて測定を行うと共に、室温でも測定を行った。即ち、一次コイル3に電流を流して電圧を測定し、その電圧値からインピーダンスを求め、リアクタンスを計算した。室温の場合(常電導状態)のリアクタンスは、0.3mH、LN2で冷却した場合(超電導状態)のリアクタンスは、0.018mHであった。これらの結果から、超電導状態に対して常電導状態では、リアクタンスが16.7倍になることを確認できた。
【0051】
そして、実施例2と実施例3の検証により、本発明の超電導限流器1が限流器として機能することが確認できた。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の超電導限流器では、系統に直列に接続される円盤状の一次コイルと、一次コイルと同軸上に配置されて遮蔽電流が閉ループとして流れる平板状の高温超電導体を備え、一次コイルに過電流が流れた場合に高温超電導体が常電導状態に転移して一次コイル側からみたリアクタンスを増加させるので、高温超電導体の製造が容易であり、製造コストを下げることができる。また、高温超電導体の加工精度を向上させることができ、品質を安定化することができると共に信頼性を向上させることができる。また、1ターンの高温超電導体を用いているので、超電導体自身の絶縁確保が容易である。さらに、高温超電導体を平板状にすることで、超電導体の冷却面積が増加し、常電導状態に転移した場合の超電導状態への復帰が高速化され、再限流動作が迅速に可能となる。また、磁束の漏れを制御する磁性体を用いて磁路を調整することにより漏れリアクタンスを減少させることができ、限流レベルの調整が可能となるとともに、さらなる小型化が可能である。
【0053】
この場合、請求項2記載の超電導限流器のように、高温超電導体は、円板形状もしくはリング形状を成していることが好ましい。
【0054】
また、請求項3記載の超電導限流器では、一次コイルと高温超電導体を複数組み合わせているので、高温超電導体の電流容量を大きくすることができる。
【0055】
また、請求項4記載の超電導限流器では、一次コイルと高温超電導体を挟み込む磁性体を備えているので、超電導限流器の漏れリアクタンスを減少させることができる。
【0056】
また、請求項5記載の超電導限流器では、閉磁路を形成する磁性体を備えているので、超電導限流器の漏れリアクタンスを減少させることができ、限流時のリアクタンス比を大きくすることができる。
【0057】
また、請求項6記載の超電導限流器では、閉磁路にギャップを設け、そのギャップ長を調整することで、高温超電導体が超電導状態のときのリアクタンスと常電導状態のときのリアクタンスとの比を変化させるようにしているので、ギャップ長の調整により、限流時のリアクタンス比を所望値に調整することができる。
【0058】
さらに、請求項7記載の超電導限流器システムでは、請求項1から請求項6のいずれかに記載の超電導限流器を複数組み合わせているので、簡単に高温超電導体の電流容量を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した超電導限流器の第1の実施形態を概念的に示す断面図である。
【図2】同超電導限流器を概念的に示す分解斜視図である。
【図3】同超電導限流器を使用した系統を概念的に示す図である。
【図4】同超電導限流器の第2の実施形態を概念的に示す断面図である。
【図5】同超電導限流器の第3の実施形態を概念的に示す断面図である。
【図6】同超電導限流器の第4の実施形態を概念的に示す断面図である。
【図7】同超電導限流器の第5の実施形態を概念的に示す断面図である。
【図8】本発明を適用した超電導限流器システムの第1の実施形態を概念的に示す断面図である。
【図9】本発明を適用した超電導限流器システムの第2の実施形態を概念的に示す断面図である。
【図10】本発明の超電導限流器を評価するために製作した原理モデルの断面図である。
【図11】本発明を適用した超電導限流器の等価回路図である。
【図12】図10の原理モデルの固定板を磁性体に代えた場合の解析結果を示す図である。
【図13】実験の為に製作した超電導限流器のモデル器を概念的に示す断面図である。
【図14】実験に使用した冷却手段の概念図である。
【図15】実験の為に製作した超電導限流器のモデル器を概念的に示す断面図である。
【図16】従来の超電導限流器の概念図である。
【符号の説明】
1 超電導限流器
2 系統
3 一次コイル
4 高温超電導体
5 磁性体
7 閉磁路
8 ギャップ
9 超電導限流器システム
Claims (7)
- 系統に直列に接続される円盤状の一次コイルと、前記一次コイルと同軸上に配置されて遮蔽電流が閉ループとして流れる平板状の高温超電導体を備え、前記一次コイルに過電流が流れた場合に前記高温超電導体が常電導状態に転移して前記一次コイル側からみたリアクタンスを増加させることを特徴とする超電導限流器。
- 前記高温超電導体は、円板形状もしくはリング形状を成していることを特徴とする請求項1記載の超電導限流器。
- 前記一次コイルと高温超電導体を複数組み合わせたことを特徴とする請求項1又は2記載の超電導限流器。
- 前記一次コイルと高温超電導体を挟み込む磁性体を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の超電導限流器。
- 閉磁路を形成する磁性体を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の超電導限流器。
- 前記閉磁路にギャップを設け、そのギャップ長を調整することで、前記高温超電導体が超電導状態のときのリアクタンスと常電導状態のときのリアクタンスとの比を変化させることを特徴とする請求項5記載の超電導限流器。
- 請求項1から請求項6のいずれかに記載の超電導限流器を複数組み合わせたことを特徴とする超電導限流器システム。
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