JP4823446B2 - 凹凸面フェルト材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、断熱材または耐熱性敷物などに用いる耐炎化繊維の凹凸面フェルト材に関し、さらに高温断熱材または液相系電解質対象の電極材などに用いる炭素繊維の凹凸面フェルト材に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐炎化繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)系、レーヨン系、ピッチ系繊維を空気中で酸化すると得ることができる。例えば、PAN系の耐炎化繊維は、一般の有機繊維と異なり、熱溶融せずに耐熱性が高く、限界酸素指数(LOI)が40〜60で燃え難いという特性を有する。また、その繊維性能は、一般の有機繊維と同等に、乾強度が1.5g/dtex以上および乾伸度が8%以上であることにより、不織布、ニ−ドルパンチフェルト、紡績糸への加工および各種の織物加工が容易である。
【0003】
耐炎化繊維は、前記のような特性を持っているので、不織布、フェルト、織物の態様において、断熱材または耐熱性敷物などとしての用途がある。特に、PAN系の耐炎化繊維は、他の耐炎化有機繊維と異なり、その不織布、フェルト、織物を不活性雰囲気中で炭素化することにより、賦形性が良くて高品質の炭素繊維の構造体を得ることができる。
【0004】
炭素繊維の構造体は、通電性があって化学的に安定しており、高温断熱材として使用されている。炭素繊維の構造体は、液相系での苛性ソーダ、亜鉛、塩酸、過酸化水素製造などの電解用の電極材、またはNa−S電池、液流通型電池、燃料電池のような電力貯蔵システム用二次電池の電極材としても広く使用されている。この炭素繊維は、一般に、繊維直径が5〜20μmというように非常に細く、電気エネルギの授受や放出効率が高いうえに速いという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
耐炎化繊維の不織布やフェルトは、断熱材として使用する際に複数枚を積層して用いることが多い。従来の耐炎化繊維の不織布やフェルトは、複数枚の積層によって空隙が小さくなり、その断熱性が低下することを回避できない。断熱材の断熱性を高めるために、窒素などの不活性ガスを断熱材の内部を流通させても、従来の不織布やフェルトでは不活性ガスの内部流通量が少なくて断熱性が大して高くならず、その酸化劣化を防止することも期待できない。
【0006】
また、耐炎化繊維の不織布やフェルトを溶融成形金属などの敷物として利用する場合、従来の耐炎化繊維の不織布やフェルトの敷物は溶融成形金属の底面との接触面積が大きい。このため、溶融成形金属の底面と敷物表面との間に、冷却用空気や不活性ガスが流通することが少ない結果、溶融成形金属の冷却速度が遅くなり、敷物の熱劣化が急速に発生する。
【0007】
耐炎化繊維の不織布やフェルトを炭素化すると、得た炭素繊維の構造体は高温断熱材または電極材として適用可能な薄シ−ト状である。薄シ−ト状の電極材は、例えば、バイポーラ板や陰イオン交換膜などの板材と積層され、その積層板間を電解質液や電池活物質が流動している。このため、従来のような平坦な構造体であると、電解質液や電池活物質が積層板間をスム−スに流動しにくく、通液の圧力損失が大きくなり、電極材の電気抵抗および電解質液や電池活物質の流動抵抗が増大する。
【0008】
炭素繊維の不織布やフェルトは、その積層間に液流通可能な連通空間を設けるため、薄シ−トの完成後にカッタなどで表面を部分的に切削し、連通空間用の溝付け加工などを行うことは可能である。しかしながら、この場合には、切削加工時に炭素繊維の微粉末が多量に発生し、切削分の炭素繊維をロスするうえに作業環境が悪化し、しかも切削加工費の追加によって製造経費が上昇してしまう。
【0009】
本発明は、従来の耐炎化繊維や炭素繊維のフェルト材に関する前記の問題点を改善するために提案されたものであり、複数枚積層しても空隙率が大きいことにより、断熱材として好適な耐炎化繊維の凹凸面フェルト材を提供することを目的としている。本発明の他の目的は、溶融成形金属の冷却速度が速くて敷物が熱劣化しにくいことにより、溶融成形金属用などの敷物として好適な耐炎化繊維の凹凸面フェルト材を提供することである。本発明の別の目的は、高温断熱材として断熱性が高い炭素繊維の凹凸面フェルト材を提供することである。本発明のさらに別の目的は、液相系電解用の電極材または電力貯蔵システム用二次電池の電極材として好適な炭素繊維の凹凸面フェルト材を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る凹凸面フェルト材を得るには、PAN系繊維を酸化性雰囲気中で200〜300℃で酸化した耐炎化繊維を用い、該耐炎化繊維のラップをニードルパンチングする。この耐炎化繊維のフェルト材は、表面を開孔金属板またはエンボスロールによって熱圧縮成型することにより、その片面または両面に多数個の凸起を分散形成している。
【0011】
耐炎化繊維のフェルト材では、熱圧縮成型を温度250〜400℃、圧力0.1〜10MPaで5〜300秒間行うと好ましい。この凹凸面フェルト材において、凸起の平面形状は、円形、四角形、亀甲形、長円形、楕円形などであり、凸起平面の総表面積が全体の30〜80%、凹部の総容積が2〜40%であると好ましい。
【0012】
炭素繊維の凹凸面フェルト材を得るには、PAN系繊維を酸化性雰囲気中で200〜300℃で酸化した耐炎化繊維を用い、該耐炎化繊維をフェルト化し、このフェルト材の表面を熱圧縮成型することにより、その片面または両面に多数個の凸起を分散形成してもよい。さらに、このフェルト材は、不活性ガス中で1500〜2500℃で炭素化処理を施し、X線結晶サイズ1.3〜3.5nm、窒素含有量0.5%以下である。
【0013】
炭素繊維の凹凸面フェルト材では、その表面の凸起間をフェルト材表面に沿って流通する流体が分散しやすいように各凸起を横列ごとに千鳥掛け状に配列してもよい。さらに、このフェルト材は、不活性ガス中で1500〜2500℃で炭素化処理を施して導電性を発現させ、X線結晶サイズ1.3〜3.5nm、窒素含有量0.5%以下である。
【0014】
【発明の実施の形態】
耐炎化繊維の凹凸面フェルト材1(図1)は、PAN系繊維を酸化性雰囲気中で200〜300℃で酸化して製造し、通常、空気中で200〜300℃で焼成すればよい。PAN系繊維は、一般に耐炎化繊維の原料としてレーヨン系、ピッチ系繊維よりも高性能であり、PAN系繊維の耐炎化工程で延伸を行うと炭素繊維のフェルト材の性能を向上させることが可能である。
【0015】
用いるPAN系繊維は、繊度が0.9〜4.5dtex、比重が1.37〜1.45であり、繊維長と比重が前記の範囲外であると、断熱材や敷物として柔軟性や圧縮強度を欠くことになる。得た耐炎化繊維は、公知のカード機を用いてカーディングを施してラップを形成し、該ラップをニードルパンチングして耐炎化繊維のフェルト材1を製造する。このニードルパンチングは、ラップの片面または両面から針本数200〜1500本/cm2で行うことが望ましい。フェルト材1は、厚さが0.8〜13mm、目付が150〜1500g/m2である。フェルト材1の厚さおよび目付が前記の範囲内であると、断熱材または敷物として適している。
【0016】
PAN系繊維に関して、その乾強度と乾伸度はJIS L 1015に基づいて測定する。耐炎化繊維のフェルト材1に関して、直径30mmの円形圧板で200gの荷重を加えた時(2.8kpa)に厚さを測定し、目付については、フェルト材1を10cm角にカットし、相対湿度65%、温度25℃の平衡状態において重量を測定する。また、比重は、JIS R 7601に基づいてエチルアルコールを溶媒として用いる液置換法で測定する。
【0017】
耐炎化繊維のフェルト材1は、その表面に多数個の凸起2を分散形成するために熱圧縮成型し、この熱圧縮成型は開孔金属板(図示しない)によるバッチ工程でも、周面に凹凸を設けたエンボスロール(図示しない)による連続工程でもよい。この熱圧縮成型は、温度250〜400℃、圧力0.1〜10MPaで5〜300秒間行う。加熱温度が250℃未満ではフェルト材1に樹脂を含浸しないので凸起や凸条が元に戻りやすい。また、400℃を超えると耐炎化繊維へ熱による悪影響が及ぶ。この熱圧縮成型は、フェルト材1の片面または両面に施し、該フェルト材の両面に行うならば、凸起平面の総表面積、凸起の高さやニードルパンチ数をフェルト面ごとに異ならせてもよい。
【0018】
フェルト材1の表面における凸起2の平面形状は、耐炎化繊維または炭素繊維の段階において、円形(図1、図2参照)、正四角形(図3参照)、亀甲形(図4参照)、長円形(図5参照)、斜角形つまりダイヤ形(図6参照)、菱形(図7参照)、長方形などである。凸起2の配列は、図1から図7に示すように横列ごとに千鳥掛け状に配列すると好ましいけれども、各凸起を縦方向に直線状に配列したものを平行に配置したり、長円形や長方形では斜めに連続配列したものを縦または横平行に配置してもよい。凸起平面の総表面積は、全体の30〜80%であると好ましく、30%未満では断熱効果や電極表面積が小さくなり、80%を超えると凸起がへたりやすくなる。フェルト材1において、凹部の総容積が2〜40%であると断熱効果や流動抵抗の点で好ましく、一般的に凸起2の高さは0.5〜3mmである。
【0019】
炭素繊維の凹凸面フェルト材3(図2)を得るには、表面を熱圧縮成型した耐炎化繊維のフェルト材を窒素などの不活性ガス中で1500〜2500℃で炭素化処理を施す。炭素繊維の凹凸面フェルト材3は、厚さが0.5〜12mm、目付が80〜900g/m2である。フェルト材3の厚さおよび目付が前記の範囲内であると、高温断熱材または電極材として好適である。
【0020】
炭素繊維のフェルト材3では、X線結晶サイズが1.3〜3.5nm、窒素含有量が0.5%以下である。フェルト材3の表面における凸起形状は、円形平面の突起5(図2)、正四角形平面の突起6(図3)、亀甲形平面の突起7(図4)、長円形平面の突起8(図5)、ダイヤ形平面の突起9(図6)、菱形平面の突起10(図7)、長方形平面などであり、凸起平面の総表面積は全体の30〜80%、凹部の総容積は2〜40%であることを要する。
【0021】
炭素繊維のフェルト材3に関して、X線結晶サイズは、広角X線回析測定による2θのピーク半値幅と、式1のシェラーの式より求める。
【式1】
式中、k:装置定数(0.90)
λ:X線波長(0.154nm)
β:2θ=26.0°付近の最大ピークの半値幅
【0022】
炭素繊維のフェルト材3に関して、その通電性(比抵抗値)は、金めっきした50mm角で厚さ10mmの2枚の電極の間に、フェルト材3の両面が圧力0.01MPaで接触するように挟み、その電気抵抗値を測定し、式2から算出する。
【式2】
式中、R:電気抵抗値(Ω)
S:凹凸加工なしの接触面積(cm2)
T:厚さ(cm)
【0023】
炭素繊維のフェルト材3に関して、その通液性(圧力損失値)は、フェルト材3の凹凸面を内側にしてのり巻き状に巻き上げ、直径30mm、長さ100mmの円筒の中に充填密度が0.15g/cm3となるように充填し、5%食塩水を空塔速度(SV)2000/hrで通液した際の圧力損失値である。この圧力損失値(MPa)を通液性の指標とする。
【0024】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0025】
実施例1
耐炎化繊維のフェルト材1を製造するために、PAN系繊維を空気中で200〜300℃で焼成した耐炎化繊維(商品名:パイロメックス、東邦テナックス製)を用いる。この耐炎化繊維は、繊度2.2dtex、比重1.39、クリンプ数4.1個/cm、クリンプ率11.0%である。
【0026】
この耐炎化繊維から、公知のカード機を用いてカーディングを施してラップを形成する。得たラップの片面からニードルパンチングを行ってフェルト材を製造し、該フェルト材はプレス前の厚さが5.5mm、目付が600g/m2である。
【0027】
この耐炎化繊維フェルト材をプレス台上に載置し、円形の透孔を多数設けた開孔金属板(図示しない)によって、上方から圧力1Mpa、300℃で1分間熱プレスする。得たフェルト材1は、プレス後の厚さが4.0mm、目付が600g/m2である。この結果、図1に示すように、フェルト材1の表面に円形平面の凸起2が多数個形成され、図示のように各凸起2を横列ごとに千鳥掛け状に分散配列している。凹凸面フェルト材1において、凸起平面の総表面積が全体の60%、凹部の総容積は15%である。
【0028】
得た凹凸面フェルト材1は、アルミ圧延板の下敷き用敷物として使用できる。この下敷き用敷物には、使用時に蓄熱および酸化劣化が認められない。
【0029】
比較例1
実施例1で製造した耐炎化繊維のフェルト材について、実施例1と同様にニードルパンチングし、その後にプレス台上に載置し、円形の透孔を多数設けた開孔金属板によって熱プレスする。プレス時の圧力は10Mpaであり、350℃で2分間熱プレスする。この凹凸面フェルト材において、凸起平面の総表面積が全体の30%、凹部の総容積は45%である。
【0030】
得た凹凸面フェルト材をアルミ圧延板の下敷き用敷物として使用すると、この下敷き用敷物には、使用時に蓄熱は認められないが、酸化劣化がかなり認められる。
【0031】
実施例2
実施例1で製造した耐炎化繊維のフェルト材について、実施例1と同様にニードルパンチングし、その後にプレス台上に載置し、四角形の透孔を多数設けた開孔金属板によって熱プレスする。プレス時の圧力は0.5Mpaであり、300℃で1分間熱プレスする。この凹凸面フェルト材において、凸起平面の総表面積が全体の70%、凹部の総容積は10%である。
【0032】
得た凹凸面フェルト材は、窒素雰囲気中で1900℃で炭素化処理することにより、炭素繊維のフェルト材12(図3)を得る。フェルト材12は、X線結晶サイズ3.2nm、炭素含有率99.5%、窒素含有量0.1%、比抵抗値が0.5Ωcmである。
【0033】
炭素繊維のフェルト材12は、複数枚積層して高温断熱材として用いる。この高温断熱材は、断熱効果が良好であり、酸化劣化および損耗が殆ど発生しない。
【0034】
実施例3
実施例1で製造した耐炎化繊維のフェルト材について、実施例1と同様にニードルパンチングし、その後にプレス台上に載置し、亀甲形の透孔を多数設けた開孔金属板によって熱プレスする。プレス時の圧力は0.5Mpaであり、300℃で1分間熱プレスする。この凹凸面フェルト材は、プレス後の厚さが4.0mm、目付が600g/m2である。この凹凸面フェルト材において、凸起平面の総表面積が全体の70%、凹部の総容積は約11%である。
【0035】
得た凹凸面フェルト材は、窒素雰囲気中で1900℃で炭素化処理することにより、炭素繊維のフェルト材14(図4)を得、該フェルト材は炭素化後の厚さが3.6mm、目付が360g/m2である。得たフェルト材14は、X線結晶サイズ3.2nm、炭素含有率99.5%、窒素含有量0.1%、比抵抗値が0.5Ωcmである。
【0036】
炭素繊維のフェルト材14は、食塩電解による苛性ソーダ製造用の電極材として用いる。この電極材は、その通液性(圧力損失値)が0.004MPaであり、電解質水溶液の流動性が良好である。
【0037】
比較例2
実施例1で製造した耐炎化繊維のフェルト材について、実施例1と同様にニードルパンチングし、その後にプレス台上に載置し、四角形の透孔を多数設けた開孔金属板によって熱プレスする。プレス時の圧力は0.05Mpaであり、300℃で1分間熱プレスする。この凹凸面フェルト材において、凸起平面の総表面積が全体の85%、凹部の総容積は2%である。
【0038】
得た凹凸面フェルト材は、窒素雰囲気中で1900℃で炭素化処理することにより、炭素繊維のフェルト材を得る。このフェルト材は、X線結晶サイズが3.2nm、炭素含有率99.5%、窒素含有量0.1%、比抵抗値が0.5Ωcmである。
【0039】
このフェルト材は、食塩電解による苛性ソーダ製造用の電極材として用いると、この電極材の通液性(圧力損失値)が0.01MPaであり、電解質水溶液の流動性が不良である。
【0040】
実施例4
実施例1と同様に製造した耐炎化繊維は、繊度2.2dtex、比重1.41、クリンプ数4.3個/cm、クリンプ率11.0%である。この耐炎化繊維のラップの片面からニードルパンチングを行ってフェルト材を製造し、該フェルト材はプレス前の厚さが8.3mm、目付が800g/m2である。このフェルト材をプレス台上に載置し、長円形の透孔を多数設けた開孔金属板によって熱プレスする。プレス時の圧力は1Mpaであり、300℃で1分間熱プレスする。得た凹凸面フェルト材は、プレス後の厚さが6.0mm、目付が800g/m2である。この凹凸面フェルト材において、凸起平面の総表面積が全体の60%、凹部の総容積は15%である。
【0041】
得た凹凸面フェルト材は、窒素雰囲気中で1750℃で炭素化処理することにより、炭素繊維のフェルト材16(図5)を得、該フェルト材は炭素化後の厚さが5.4mm、目付が480g/m2である。フェルト材16は、X線結晶サイズ2.5nm、炭素含有率98.5%、窒素含有量0.4%、比抵抗値が0.5Ωcmである。
【0042】
炭素繊維のフェルト材16は、硫酸亜鉛電解による亜鉛製造用の電極材として用いる。この電極材は、その通液性(圧力損失値)が0.003MPaであり、電解質水溶液の流動性が良好である。
【0043】
【発明の効果】
本発明に係る凹凸面フェルト材は、複数枚を積層して断熱材として使用すると、凹部の総容積が大きくて断熱性が高い。この凹凸面フェルト材では、窒素などの不活性ガスがフェルト層間を流通しやすく、これによって断熱性が高くなり且つ酸化劣化を防止できる。また、この凹凸面フェルト材を溶融成形金属などの敷物として利用すれば、表面に多数個の凸起を有することによって溶融成形金属の底面との接触面積が小さい。このため、溶融成形金属の底面と敷物表面との間に、冷却用空気や不活性ガスが流通しやすい結果、溶融成形金属の冷却速度が速くなり、敷物の熱劣化が殆ど発生しない。
【0044】
本発明の凹凸面フェルト材は、表面に多数個の凸起を設けてから炭素化することにより、複数枚積層すると、溶融成形金属の冷却速度が速く且つ熱劣化が発生しにくい高温断熱材として使用できる。薄シ−ト状の凹凸面フェルト材は導電性であり、これを電極材としてバイポーラ板などの板材と積層し、その積層板間を電解質液や電池活物質を流動させると、電解質液や電池活物質が積層板間をスム−スに流動して通液の圧力損失が小さくなり、電極材の電気抵抗および電解質液や電池活物質の流動抵抗が低下する。このため、この凹凸面フェルト材は、液相系電解用の電極材または電力貯蔵システム用二次電池の電極材として好適である。
【0045】
本発明の凹凸面フェルト材は、電極材に用いると通常のフェルト材に比べて電極表面積が確実に大きく、充放電時に電解液の流通を促進し、電解液の流動抵抗が小さい。また、本発明のフェルト材は、緻密なニードルパンチ処理と凹凸加工後に高温で焼成することにより、その製造が比較的容易で安価である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る耐炎化繊維のフェルト材を示す斜視図である。
【図2】 炭素繊維のフェルト材の一例を示す部分平面図である。
【図3】 炭素繊維のフェルト材の第1変形例を示す部分平面図である。
【図4】 炭素繊維のフェルト材の第2変形例を示す部分平面図である。
【図5】 炭素繊維のフェルト材の第3変形例を示す部分平面図である。
【図6】 炭素繊維のフェルト材の第4変形例を示す部分平面図である。
【図7】 炭素繊維のフェルト材の第5変形例を示す部分平面図である。
【符号の説明】
1 耐炎化繊維の凹凸面フェルト材
2 凸起
3 炭素繊維の凹凸面フェルト材
5 凸起
Claims (5)
- ポリアクリロニトリル系繊維を酸化性雰囲気中で200〜300℃で酸化した耐炎化繊維を用い、該耐炎化繊維のラップをニードルパンチングして得たフェルト材であって、このフェルト材の表面を開孔金属板またはエンボスロールによって熱圧縮成型することにより、その片面または両面に多数個の凸起を分散形成している耐炎化繊維の凹凸面フェルト材。
- 熱圧縮成型を温度250〜400℃、圧力0.1〜10MPaで5〜300秒間行う請求項1記載のフェルト材。
- 凸起の平面形状が円形、四角形、亀甲形、長円形、楕円形であり、凸起平面の総表面積がフェルト材の表面全体の30〜80%、凹部の総容積がフェルト材の表面全体についてプレス後のフェルト材厚さを乗じた全体体積の2〜40%である請求項1記載のフェルト材。
- ポリアクリロニトリル系繊維を酸化性雰囲気中で200〜300℃で酸化した耐炎化繊維を用い、該耐炎化繊維をフェルト化し、このフェルト材の表面を熱圧縮成型することにより、その片面または両面に多数個の凸起を分散形成したフェルト材であって、不活性ガス中で1500〜2500℃で炭素化処理を施し、X線結晶サイズ1.3〜3.5nm、窒素含有量0.5%以下である炭素繊維の凹凸面フェルト材。
- ポリアクリロニトリル系繊維を酸化性雰囲気中で200〜300℃で酸化した耐炎化繊維を用い、該耐炎化繊維をフェルト化し、このフェルト材の表面を熱圧縮成型することにより、その片面または両面に多数個の凸起を分散形成したフェルト材であって、フェルト材表面の凸起間をフェルト材表面に沿って流通する流体が分散しやすいように各凸起を横列ごとに千鳥掛け状に配列し、不活性ガス中で1500〜2500℃で炭素化処理を施して導電性を発現させ、X線結晶サイズ1.3〜3.5nm、窒素含有量0.5%以下である炭素繊維の凹凸面フェルト材。
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