JP4820918B2 - グレーティング構造を有する基板型光導波路デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
位相シフト法は、ステッパー露光装置を用いた縮小投影露光法における解像限界を向上させる方法として、従来から知られている。非特許文献2によると、位相シフト法の解像限界は通常の透過マスクによる露光法に比べて約2倍程度向上する。
前記凸部における溝部充填体の横幅及び前記凹部における溝部充填体の横幅が不均一であってもよい。
前記グレーティング構造の全体にわたり、各ピッチPGが、(PG−P)/ΔP=Nを満たしてもよい。ただし、ここで、Pは所定のピッチ基準値であり、ΔPはPをMで除した値であり、Mは所定の1より大きい整数値であり、Nは整数である。
前記グレーティング構造における主たるピッチにおいて、前記Nが、+1、−1または0のいずれかであってもよい。
Zakharov-Shabat方程式を用いて前記逆散乱問題を解いてもよい。
徐々にピッチが変化する従来のチャープ型グレーティングと比較して、高度な機能性を達成しつつ、長さを短縮し小型化することも可能であり、製造工程における加工精度の管理が容易になる。
Zakharov-Shabat方程式を用いて逆散乱問題を解くことによりグレーティング光導波路を設計したので、多数のDWDMチャネルを一括して光ファイバ伝送路の群遅延分散と分散スロープを同時に補償する光分散補償器のような複雑な機能の光学特性を有する基板型光導波路デバイスを短い導波路長で小型に構成することが可能になる。
CMOS製造工程を利用したシリコンフォトニクス技術によりこれを製造出来るようにしたので、大規模な量産が可能となり、将来の低価格化が期待出来ることとなった。また、高比屈折率差光導波路構造の採用により小型のデバイスとすることができる。
Zakharov-Shabat方程式を用いて逆散乱問題を解くことによりグレーティング光導波路を設計した結果、該グレーティング光導波路は光導波路のコア幅や溝状構造の横幅が不均一でありピッチがある複数の離散値となるようなものとなる。グレーティングピッチがある複数の離散値をとるということにより、チャープ型と異なり工程管理が容易になる。
凸部に対応する遮光領域の横幅が延長されて凸部の各コア幅の設計寸法よりも広くなるように、位相シフト型フォトマスクを用いてフォトレジスト層上に遮光領域を形成する第1の露光工程と、凸部に対応する露光領域の横幅が凸部の各コア幅の設計寸法に実質的に等しくなるように、バイナリ型フォトマスクを用いてフォトレジスト層上に遮光領域を形成する第2の露光工程とによりグレーティング構造を形成する。したがって、波長248nmの旧世代の露光機を用いても複雑な形状を有するグレーティング光導波路を設計通りの構造で製造することができる。
なお、本発明においては、コアの上部または下部に溝部を形成し、その溝部にクラッドと同様に低屈折率材料を充填し、溝部の幅及び厚さを適宜設定することによって、偏波無依存な導波路構造を実現することが出来る。
従来、コアを包囲するクラッドに応力低減構造あるいは応力調整構造を設けたり、クラッド全体の膜応力を低減する工程上の工夫により偏波依存性を低減する技術が報告されている。このような技術と比較して、コアの上部または下部に溝部あるいは凸部を形成しコア形状自体の変更により偏波依存性を制御する技術の方が、グレーティング構造あるいは曲がり導波路などの光導波路の局所的構造変化に応じた適切な設計が可能となるため、優位性を有する。さらに、コアの上部または下部にコアと同様の高屈折率材料を用いて凸部を形成し、凸部の幅及び厚さを適宜設定することと、本願明細書記載のコアの上部または下部に溝部を形成する技術とを比較した場合、光導波路内を伝搬する伝搬光の強度分布がより強い中心部に近い領域において屈折率調整を行うこととなる溝部形成技術の方が屈折率の制御性に優れ、デバイスの設計が容易である。
また、コアの上部に溝部を有する光導波路を作製する場合において、前記コアの材料となる高屈折率材料層の上に溝幅に対応する開口を有するレジスト層を形成し、フォトリソグラフィー及びエッチングにより高屈折率材料層を加工するというように、高屈折率材料層の直接加工によって溝部を形成することも考えられる。しかし、光導波路寸法が微細であると、エッチングで掘り下げて形成した溝部も極めて微細となる上、切断面によらずに非破壊で観察しようとしても、溝幅や溝深さの検査が難しいという問題がある。
これに対して、本発明は、
(A)前記コアの材料となる高屈折率材料層を、前記溝部より下の部分まで形成する第1の高屈折率材料層形成工程と、
(B)前記高屈折率材料層の上に、前記低屈折率材料からなる低屈折率材料層を形成する低屈折率材料層形成工程と、
(C)フォトリソグラフィー及びエッチングにより前記低屈折率材料層の両側方を除去して前記溝部充填体を形成する溝部充填体形成工程と、
(D)前記溝部充填体の両側方を充填するように、前記コアの材料となる高屈折率材料層を形成する第2の高屈折率材料層形成工程とを、
有するので、(C)の段階で低屈折率材料層の上の溝部充填体を観察することにより、溝寸法の検査が容易になる。
図1A〜Cに、本発明の基板型光導波路デバイスの第1実施形態を模式的に示す。図1Aは光導波路のコア10の一部の斜視図、図1Bはコア10の同じ部分の上面図、図1Cは基板型光導波路デバイスの断面図である。また、基板型光導波路デバイスの斜視図を図16に示す。なお、図1Cにおいては、コア10の側壁及び溝状構造に関して、図1A及び図1Bの凹部12a,13a及び凸部12b,13bの区別なしに、符号12,13を用いている。
この基板型光導波路デバイスは、光導波路が基板15上に形成された基板型光導波路デバイスである。光導波路は、基板15上に形成された下部クラッド16と、下部クラッド16上に形成されたコア10と、コア10および下部クラッド16の上に形成された上部クラッド17を有する。
また、光学特性の偏波依存性の問題を解消するため、光導波路コア側壁にグレーティング構造12を有するとともにコア上部に溝状グレーティング構造13を有する。コア10の底面14は平坦である。
光導波路の長手方向(図1Bの左右方向)において凹部12aが継続する距離を、凹部の長手方向の長さと呼ぶ。また、光導波路の長手方向において凸部12bが継続する距離を、凸部の長手方向の長さと呼ぶ。隣接する凸部と凹部とを一組とし、その凸部の長手方向の長さと凹部の長手方向の長さとを加算したものが、その位置におけるグレーティングピッチ(図2のPG)である。
溝状グレーティング構造13においては、側壁グレーティング構造12の凸部12bに相当する位置において、コア10を形成する材料が凸状を成し溝状構造13の横幅が狭くなっていて、凸部12bと同様にして凸部13bとなっている。また、側壁グレーティング構造12の凹部12aに相当する位置において、コア10を形成する材料が凹状を成し溝状構造13の横幅が広くなっていて、凹部12aと同様に凹部13aとなっている。つまり、溝状構造13の横幅winとしては、凸部13bにおいて溝状構造13の横幅winが狭く、凹部13aにおいて溝状構造13の幅winが広いという逆転した関係になっている。
図1Bには、グレーティングピッチが、光導波路の長手方向の位置によってP、P+ΔP、P−ΔPのように異なる値をとることが示されている。また、コア幅wout及び溝状構造13の横幅winに関しては、図1Bには左から右に向かってコア幅wout及び溝状構造13の幅winが増大する傾向をもつ部分を示している。後述するように、同じ光導波路が、他の部分(図示略)では左から右に向かってコア幅wout及び溝状構造13の横幅winが減少する傾向をもつ部分を含んでいる。
このように、グレーティングピッチPGとコア幅wout及び溝状構造13の横幅winとが、逆散乱問題を解いた結果として得られる複雑な変化をしているので、所望の機能性を光導波路に付与することができる。
図3に、基板型光導波路デバイス101と光伝送路103,105とを接続した形態100の一例を示す。このデバイス101はグレーティング構造を有する反射型デバイスであるため、開始端が光信号の入射端であると同時に出射端となる。図3に示すように、通常はサーキュレータ102を介して入出力光ファイバを接続し、使用する。サーキュレータ102には、入射信号光を伝搬する入射用光ファイバ103と、基板型光導波路デバイス101と光サーキュレータ102とを接続する結合用光ファイバ104と、出射信号光を伝搬する出射用光ファイバ105が接続されている。
また、基板型光導波路デバイス101と結合用光ファイバ104とが光接続される箇所には、通常モードフィールドコンバーターあるいはスポットサイズコンバーターと呼ばれる入出力変換部を追加すると、結合用光ファイバ104とデバイス101との接続損失を低減できるので、好ましい。
所望の光学特性が得られるグレーティング構造を有する基板型光導波路デバイスを得るため、本発明では、該光導波路の光伝搬方向にわたるポテンシャル分布を求め、これを光導波路の等価屈折率分布に換算し、光導波路の寸法に変換する。ポテンシャル分布の算出は、光導波路の前方及び後方に伝搬する電力波振幅なる変数を導入した波動方程式より、例えば光導波路の等価屈折率の対数の微分から導かれるポテンシャルを有するZakharov-Shabat方程式などに帰着させ、グレーティング光導波路の反射率の強度および位相のスペクトルである複素反射スペクトルからポテンシャル関数を数値的に導く逆散乱問題として解き、所望の反射スペクトルを実現するためのポテンシャル分布を推測する設計法を用いて設計することが出来る。
これにより、従来公知の等ピッチグレーティング素子やチャープピッチグレーティング素子では実現出来ないような複雑な光学特性を有するブラッググレーティング素子を設計し製作することが可能となるため、例えばDWDM光ファイバ通信システムにおいて40チャネル一括で伝送線路光ファイバの波長分散と分散スロープとを同時に補償する光波長分散補償器といったような所望の光学特性を有するデバイスを実現することが出来る。
所望の複素反射スペクトルから逆散乱問題を用いてポテンシャル分布を設計する手法は以下の通りである。
なお、後述する設計手順中の数式においては、グレーティング光導波路の長手方向、すなわち光伝搬方向をz軸として数式を示す。図1Bの左右方向がz軸方向である。該グレーティング光導波路デバイスのグレーティング領域開始端をz=0、終了端をz最大値座標とし、z最大値がすなわちグレーティング光導波路部の領域長である。
また、Xiaoの論文(G. Xiao and K. Yashiro, “An Efficient Algorithm for Solving Zakharov-Shabat Inverse Scattering Problem,” IEEE Transaction on Antennas and Propagation, Vol. 50, Issue 6, pp. 807-811 (2002))には、Zakharov-Shabat方程式の効率的な解法が開示されている。
本発明では、グレーティングの振幅が変化して位相は振幅に従属して変化するという振幅変調型のグレーティングを用いた設計を行なう。そのため、設計の入力データとして用いる複素反射スペクトルにおいては、グレーティングの振幅の包絡線とグレーティングの振動の位相との分離性を高めるため、周波数の原点(すなわち0Hz)から所定の群遅延時間特性が求められる周波数領域をすべて含める。
離散化したグレーティングピッチは、P±NΔPとして表すことが可能であり、Nは逆散乱問題を解く際の離散化パラメータに係る整数である。
(I) 指定するスペクトル特性の周波数範囲を原点(周波数ゼロ)から該当するスペクトルチャネルの存在する領域まですべてを含める。
(II)上述の複素反射スペクトルからインパルス応答への変換において実数型を選択する。
図4Aには、TE型偏光(mode1)およびTM型偏光(mode2)に対する実効屈折率のwin依存性を示し、図4Bにはwinとwoutとの関係を示す。また図5には、光導波路の実効屈折率neffに対するwinとwoutとの対応関係を示す。
実効屈折率分布neffの溝状構造の横幅win及びコア幅woutとの対応関係を得るには、溝状構造の横幅winとコア幅woutの値を変化させて、それぞれの光導波路の断面構造から固有伝搬モードの電磁界分布をモードマッチング法、有限要素法、もしくはビーム伝搬法など各種方法を採用したモードソルバープログラムにより求め、その実効屈折率neffを算出することで求められる。
図4Bに示すようにwinとwoutとの関係を与えると、図4Aに示すように導波路の実効屈折率の偏波依存性を低減できる。TE偏光での実効屈折率を光導波路の実効屈折率とみなして、実効屈折率とwinおよびwoutとの対応を計算しプロットすると、図5が得られる。つまり、この実施形態では、あるneffに対応するwinとwoutとの組が得られ、設計されたデバイスは偏波無依存である。
実効屈折率分布neff(z)と図5とから、各z座標における溝状構造の幅winとコア幅woutを求めることが出来る。図5より、実効屈折率と光導波路の構造寸法との関係を検討した範囲のおよそ中央を基準にとることによって、参照屈折率(平均実効屈折率)navは例えば1.935とする。
次に、第1実施形態の光導波路デバイスの製造工程について説明する。
まず、図12に示すように、コアの材料となる高屈折率材料層10aを、溝部(溝状構造13が形成される高さ範囲)より下の部分まで形成する(第1の高屈折率材料層形成工程)。
また、高屈折率材料層10aの上に、溝状グレーティング構造13を形成するための低屈折率材料層17aを所望の厚さで堆積させる(低屈折率材料層形成工程)。
低屈折率材料層形成工程では、SiN膜の上に、溝状グレーティング構造13を形成するための低屈折率材料層17aとして、SiO2膜を所望の厚さで堆積させる。ここで、低屈折率材料層17aの所望の厚さとは、溝状グレーティング構造13の溝の深さ(図1Cのtin)以上の値である。低屈折率材料層17aの厚さは、必要に応じて、後述する第2の高屈折率材料層形成工程後の平坦化工程において溝部充填体18の厚さの減少を許容するためのマージンを、設計値tinに加えた値とすることが好ましい。
第1のレベンソン型位相シフト型フォトマスクは、図26に示したような構造をしている。図23に黒色で示したパターンがクロム(Cr)からなるクロムパターンであり、図24にリバースパターンとして黒色で示したパターンが位相シフト量π(180°)に対応する透過パターン(「位相πシフトパターン」と略称する。)であり、図25にリバースパターンとして黒色で示したパターンが位相シフト量ゼロに対応する透過パターン(「位相ゼロシフトパターン」と略称する。)である。第1の位相シフト型フォトマスクは、凹部13aに対応する遮光領域が凹部13aにおける溝状構造13の横幅(すなわち凸部18bにおける溝部充填体18の横幅)の設計寸法よりも十分広くなるように、クロムパターンを延長する。第1の位相シフト型フォトマスクにより形成された露光領域は、第1の遮光領域の外側に存在する。
第2のバイナリ型フォトマスクは、凹部13aにおける溝状構造13の横幅を設計通りの寸法winとするために用いられる。図27Aにリバースパターンとして黒色で示したパターンが第2のバイナリ型フォトマスクの透過パターンである。第2のバイナリ型フォトマスクにより形成された露光領域は、第2の遮光領域の外側に存在する。
これら2枚1組のフォトマスクを適用して2段階の露光工程を行なうことによって、第1の遮光領域と第2の遮光領域とに共通して含まれる領域が未露光部となり、2回の露光領域が組み合わさって図28に白色で示す露光パターンが得られる。さらに、現像工程によって図28に黒色で示すフォトレジストパターンが得られる。
本実施形態のフォトレジストパターン50を得ようとするとき、凸部13bにおける溝幅と凹部13aにおける溝幅とが光導波路の長手方向に沿って交互に増大と減少を繰り返すのみならず、その増減のピッチが極めて小さいことが問題となる。
しかし、バイナリ型フォトマスクのみを用いる方法では、溝構造のピッチが露光に用いる波長に比べて十分に長くないと解像が難しい。
また、位相シフト型フォトマスクのみを用いる方法では、凹部13aに対応する位置の外側において位相シフト量ゼロの光と位相シフト量πの光とが重なり合って(つまり、打ち消し合って)位相シフトの反転するところで位相の競合が生じ、結果として露光不足となり、現像後、露光不足の箇所に意図しない線状構造が残る、という問題がある。
(i)凸部13bの位置における位相シフト型フォトマスクのクロムパターンの横幅、
(ii)凹部13aの位置における位相シフト型フォトマスクのクロムパターンの横幅、及び
(iii)凹部13aの位置におけるバイナリ型フォトマスクのクロムパターンの横幅、
の3つを、設計どおりの高精度で作製する必要がある。また、凹部13aに対応する位置における現像後のレジスト横幅およびエッチング後の溝部充填体の幅は、(ii)及び(iii)のクロムパターンによる2つの遮光領域が重なり合った部分の横幅に基づいて決定されるので、2回の露光工程で2つのフォトマスクによる露光位置が溝幅の方向に横にずれて露光された場合、凹部13aの溝幅が短くなる、という問題がある。
(i)凸部13bの位置における位相シフト型フォトマスクのクロムパターンの横幅、及び
(ii)凹部13aの位置におけるバイナリ型フォトマスクのクロムパターンの横幅、
の2つを、設計どおりの高い精度にするが、
(iii)凹部13aの位置における位相シフト型フォトマスクのクロムパターンの横幅、及び
(iv)凸部13bの位置におけるバイナリ型フォトマスクのクロムパターンの横幅、
の2つは敢えて設計寸法に合わせていない。つまり、本実施形態は、凸部13bにおける溝幅は、位相シフト型フォトマスクを用いて設計寸法に合わせられ、凹部13aにおける溝幅はバイナリ型フォトマスクを用いて設計寸法に合わせられているので、2回の露光工程で、2つのフォトマスクによる露光位置が溝幅の方向に横にずれて露光されても、現像後のレジスト横幅およびエッチング後の溝部充填体の横幅への影響は小さい。これにより、高精度なフォトレジストパターン50を作製することが可能になる。
さらに、凸部13bの位置で第2の遮光領域の横幅が凸部13bにおける溝幅よりも小さいと、凸部13bにおける溝横幅が設計寸法よりも小さくなってしまう。そこで、凸部13bの位置では第2の遮光領域の横幅が凸部13bにおける溝横幅よりも大きいようにする。
低屈折率材料層17aの上に、未露光のフォトレジスト層を形成する(フォトレジスト層形成工程)。フォトレジスト層形成工程は、例えば塗布によって行なうことができる。
次に、位相シフト型のフォトマスクを用い、フォトレジスト層を露光する(第1の露光工程)。この位相シフト型のフォトマスクのクロムパターンによる第1の遮光領域は、上述したように、溝状構造13の凸部13bの位置では遮光領域の横幅が凸部13bにおける溝状構造13の設計上の横幅に対応し、凹部13aの位置では遮光領域の横幅が凹部13aにおける溝状構造13の設計上の横幅よりも大きい。露光領域は第1の遮光領域の外側に存在する。よって、第1の露光工程においては、凸部13bに対応する位置では設計通りの溝横幅が遮光され、凹部13aに対応する位置では設計寸法よりも広い部分が遮光される。
例えば図27Cのリバースパターン52を有するバイナリ型フォトマスク(改変例1)のように、凸部13bの位置での第2の遮光領域の横幅が凹部13aの位置での設計上の溝横幅Waより小さい場合や、図27Dのリバースパターン53を有するバイナリ型フォトマスク(改変例2)のように、凸部13bの位置での第2の遮光領域の幅が凹部13aの位置での溝幅Waより大きい場合も考えられる。
しかし、図27Cに示す場合は、バイナリ型フォトマスクによる露光位置が導波路長手方向(z方向)にずれた時に凹部13aの幅が一部だけ階段状に狭く(細く)なってしまうおそれがある。また、図27Dに示す場合は、バイナリ型フォトマスクが導波路長手方向(z方向)にずれた時に、凹部13aの内側の一部に細長いフォトレジストパターンが残ってしまうおそれがある。
そこで、凸部13bの位置における第2の遮光領域の横幅が、隣接する2つの凹部13aの位置における第2の遮光領域の横幅の中間の値をとることが好ましい。つまり、ある凸部13bのz軸上でプラス方向に隣接する凹部13aの位置における第2の遮光領域の横幅をs1とし、z軸上でマイナス方向に隣接する凹部13aの位置における第2の遮光領域の横幅をs2とするとき、その凸部13bの位置における第2の遮光領域の横幅は、s1以上s2以下(s1≦s2の場合)、または、s2以上s1以下(s2≦s1の場合)とすることが好ましい。
これにより、光導波路の長手方向(z方向)にバイナリ型フォトマスクの位置ずれが起きても、凹部13aの位置での溝横幅Waの精度が低下しにくくなる。また、光導波路の長手方向に沿った第2の遮光領域の横幅の変化が、一つのグレーティングピッチPGにつき一回のみとなるので、マスクの作製が容易になる。
2段階の露光工程後、フォトレジスト層を現像する現像工程、現像工程により得られたフォトレジストパターン50を用いて低屈折率材料層17aをエッチングするエッチング工程、続いて残留したフォトレジストを除去する工程を行なう(溝部充填体形成工程)。これにより、図13に示すように、側壁に凸部18b及び凹部18aからなる溝部充填体18を形成することができる。
これにより得られる高屈折率材料層は、図13の高屈折率材料層10aの厚さと溝部充填体18の形成後に新たに堆積させる厚さとの合計が、最終的なコア10の厚さ(図1Cのtout)以上となるようにする。溝部充填体18の上にも高屈折率材料が堆積するので、図14Aに示すように、化学機械研磨(CMP)等により表面を平坦化させ、溝部充填体18の上に高屈折率材料が残留しないようにする(平坦化工程)。研磨後の高屈折率材料層10bの厚さは、最終的なコア10の厚さに対応する。
上述する低屈折率材料層形成工程において低屈折率材料層17aの厚さを設計値tinより大きくした場合には、平坦化工程において溝部充填体18の厚さを所定量減少させることにより、溝部充填体18上の高屈折率材料の残留をより確実に防ぐことができるので好ましい。この場合は、研磨後の溝部充填体18の厚さが溝状グレーティング構造13の溝の深さ(図1Cのtin)に対応する。
第1のレベンソン型位相シフト型フォトマスクは、図20に示したような構造をしている。図17に黒色で示したパターンがクロム(Cr)からなるクロムパターンであり、図18にリバースパターンとして黒色で示したパターンが位相シフト量π(180°)に対応する透過パターン(「位相πシフトパターン」と略称する。)であり、図19にリバースパターンとして黒色で示したパターンが位相シフト量ゼロに対応する透過パターン(「位相ゼロシフトパターン」と略称する。)である。第1の位相シフト型フォトマスクでは、凸部12bに対応する遮光領域が凸部12bのコア幅の設計寸法よりも十分広くなるように、クロムパターンを延長する。第1の位相シフト型フォトマスクにより形成された露光領域は、第1の遮光領域の外側に存在する。
第2のバイナリ型フォトマスクは、凸部12bのコア幅を設計通りの寸法とするために用いられる。図21にリバースパターンとして黒色で示したパターンが第2のバイナリ型フォトマスクの透過パターンである。第2のバイナリ型フォトマスクにより形成された露光領域は、第2の遮光領域の外側に存在する。
これら2枚1組のフォトマスクを適用して2段階の露光工程を行なうことによって、第1の遮光領域と第2の遮光領域とに共通して含まれる領域が未露光部となり、2回の露光領域が組み合わさって図22に白色で示す露光パターンが得られる。さらに、現像工程によって図22に黒色で示すフォトレジストパターンが得られる。
第2のバイナリ型フォトマスクは、特に、図21に示すように、凹部12aの位置における第2の遮光領域の横幅が、隣接する2つの凸部12bの位置における第2の遮光領域の横幅の中間の値をとることが好ましい。例えば、隣接する2つの凸部12bの位置における第2の遮光領域の横幅が互いに異なる箇所では、第2の遮光領域の横幅を変化させる段差の位置を、凹部12aの中間に設け、その段差の両側では、凹部12aにおける第2の遮光領域の横幅を、隣接する凸部12bにおける第2の遮光領域の横幅に等しくすることが好ましい。
つまり、高屈折率材料層10bの上に、未露光のフォトレジスト層を形成する(フォトレジスト層形成工程)。
次に、図20の位相シフト型のフォトマスクを用い、フォトレジスト層を露光する(第1の露光工程)。
次に、図21のバイナリ型フォトマスクを用い、フォトレジスト層を露光する(第2の露光工程)。
2段階の露光工程後、フォトレジスト層を現像する現像工程、現像工程により得られたフォトレジストパターン60を用いて高屈折率材料層10bをエッチングするエッチング工程、続いて残留したフォトレジストを除去する工程を行なう。
これにより、図15に示すように、側壁に凸部12b及び凹部12aからなるグレーティング構造12を有するコア10を形成することができる。
さらに、図16に示すように、CVD装置等を用いて適切な厚さで上部クラッド17(例えばSiO2)を堆積させる。コア10上に堆積された上部クラッド17の厚さは、下部クラッド16の上に堆積された上部クラッド17の厚さと異なることがある。必要に応じて、基板15からの高さが揃うように化学機械研磨(CMP)等により平坦化工程を行なうこともできる。
従来公知の技術によりこの位相シフト型フォトマスクを用いる場合、図30Aに示すように、所望のグレーティング形状に応じたクロムパターンを形成する。しかし、比較例2に後述するように、位相πシフトパターンと位相ゼロシフトパターンが隣接しているため、凸部先端やその延長上の精度に劣るという問題がある。
そこで本発明では、上述のように位相シフト型フォトマスクとバイナリ型フォトマスクとを新規な方法で組み合わせることにより、問題を解決している。
図1A〜Cに示した構造の、窒化ケイ素(SiN)をコア、シリカガラス(SiO2)をクラッドとする、光導波路のコア側壁とコア上部にそれぞれグレーティング構造を有する偏波無依存型の基板型光導波路の光分散補償器を設計し製作した。
図1Cの構造に従って光導波路の断面構造を設計し、図5に示すように光導波路の実効屈折率に対するwinとwoutとの対応関係を求めた。
続いて、グレーティングパターンの設計を行った。設計中心周波数を188.4THzとした。すなわち、設計中心波長は1591.255nmである。L−Bandで100GHzチャネル間隔、チャネル帯域50GHzで45チャネルにわたってITU−T G.653に規定された分散シフトシングルモード光ファイバ(DSF)100kmの群遅延分散及び分散スロープを補償するものとし、補償対象光ファイバ線路の光学特性として、群遅延分散−295ps/nm、分散スロープ(Relative Dispersion Slope,RDS)が0.018/nmを想定した。チャネル帯域内での振幅強度反射率を95%とした。これら設定値に基づいて用意した複素反射スペクトルr(λ)の反射率スペクトルを図6及び図7に、また群遅延スペクトルを図8及び図9に示す。これを、素子全長18,000λ、z位置の離散化刻みをλ/40に設定して、上記用意したスペクトルが得られるように逆散乱問題を解き、ポテンシャル分布q(z)を求めた。結果を図10及び図11に示す。
得られた実効屈折率分布neff(z)と、図5に示したneff(z)及びwoutの関係とから光導波路のコア幅を決定した。また、得られた実効屈折率分布neff(z)と、図5に示したneff(z)及びwinの関係とから溝状構造の寸法を決定した。
そのため、コア材料から見てグレーティング構造の凸部となる部分が、溝部充填体の凹部に相当し、またコア材料から見てグレーティング構造の凹部となる部分が、溝部充填体の凸部に相当する。つまり、ライン幅とスペース幅とが逆転した関係となっていることに注意が必要である。ステッパー露光装置には、波長248nmのものを用いた。
溝部充填体を形成した段階で、得られた溝部充填体を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、設計どおりの溝部充填体が形成されていることを確認できた。
得られた光導波路を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、コア側壁に設計どおりのグレーティング構造が形成されていることを確認できた。
通常のバイナリ型フォトマスクを用いて実施例1と同様のグレーティング構造の製作を試みた。比較例1は、コアとなるSiN層を最終的なコアの厚さの分だけ堆積させ、フォトリソ工程及びエッチング工程で溝状構造を形成した後、上部クラッドとなる低屈折率材料を堆積させてこの溝を充填する方法を採用する。
この場合、溝状構造の形成のために用いるフォトマスクのクロムパターンを図29に示す。図29にリバースパターンとして黒色で示すクロムパターンは、設計したグレーティング構造を相似的に拡大したパターンとなる。
この場合、波長248nmのステッパー露光装置を用いて作製可能なラインアンドスペースパターンにおいて、ライン幅の最小値は190nm、スペース幅の最小値は200nmである。十分な製造トレランスを考慮すると、グレーティングピッチは450nm必要である。この時、ライン幅、スペース幅のいずれも220nmより広いことが求められる。
しかしながら、実施例1で設計したグレーティング構造は、主たるグレーティングピッチPが339nmとなっており、通常のバイナリ型フォトマスクでは正しく露光することが出来ない。なお、グレーティング構造の凸部の長手方向の長さがライン幅に、凹部の長手方向の長さがスペース幅に相当する。
よって、用いられるステッパー、この場合開口数が0.68に限定された波長248nmのDUV露光装置、の限界を検討した結果、更なる解像度向上を行うことなくリソグラフィーにおいて設計が十分に解像されるためには、グレーティングピッチが最低でも400nmは無いと解像しないことがわかった。
従来公知のレベンソン型位相シフトマスクを用いて実施例1と同様のグレーティング構造の製作を試みた。比較例2は、比較例1と同様に、コアとなるSiN層を最終的なコアの厚さの分だけ堆積させ、フォトリソ工程及びエッチング工程で溝状構造を形成した後、上部クラッドとなる低屈折率材料を堆積させてこの溝を充填する方法を採用する。
この場合、溝状構造の形成のために用いるフォトマスクの構造を図30Aに示す。図30Aにリバースパターンとして黒色で示すクロムパターンは、設計したグレーティング構造を相似的に拡大したパターンとなる。Crの無い透過パターンは、位相πシフトパターンと位相ゼロシフトパターンとが交互に繰り返されるよう厚みが2種類ある構造となっている。
この場合、波長248nmのステッパー露光装置を用いて作製可能なラインアンドスペースパターンにおいて、ライン幅の最小値は140nm、スペース幅の最小値は180nmであった。このとき、グレーティングピッチが323nm以上であれば解像可能と考えられる。
しかしながら、図30Aのフォトマスク構造では、溝状グレーティング構造の凸部(溝横幅が狭くなっている部位)の先端に対応する位置において位相πシフトパターンと位相ゼロシフトパターンとが隣接しており、溝状グレーティング構造の凸部先端の露光形状、露光寸法における誤差が大きくなる。また、溝状グレーティング構造の凸部の延長上には、意図せぬ線状構造が位相の競合により形成される。
つまり、従来公知のレベンソン型位相シフトマスクでは、本発明に係るグレーティング構造を適切に製造することは困難である。
比較例2の線状構造をトリム露光で除去するため、図30Aに示すレベンソン型位相シフトマスクを用いる第1段階と、図30Bに示すバイナリ型フォトマスクを用いる第2段階の2段階露光により、実施例1と同様のグレーティング構造の製作を試みた。比較例3では、比較例2と同様に、コアとなるSiN層を最終的なコアの厚さの分だけ堆積させ、フォトリソ工程及びエッチング工程で溝状構造を形成した後、上部クラッドとなる低屈折率材料を堆積させてこの溝を充填する方法を採用した。
ここで、光導波路の長手方向(すなわち信号伝搬方向)をz方向、これに垂直であり基板に平行な方向(すなわち溝横幅の方向)をx方向としたとき、位相シフト型フォトマスクとバイナリ型フォトマスクとがx方向に位置ずれを起こすと、溝状構造に突出しコア(及び溝)の中心軸を挟んで互いに対となる凸部の一方は、第2段階の露光で誤って短く露光されてしまう結果となり、これにより凸部の一方の溝横幅Wbが広くなるという問題が生じ、もう一方では逆に除去すべき線状構造が一部残留したままとなる。
つまり、従来公知のレベンソン型位相シフトマスクにトリム露光を併用しても、本発明のグレーティング構造を適切に製造することは困難である。
さらに、実施例1の場合は、図27Bに示すように、凸部13bの位置における第2の遮光領域の横幅が、隣接する2つの凹部13aの位置における第2の遮光領域の横幅に等しい。また、隣接する2つの凹部13aの位置における第2の遮光領域の横幅が互いに異なる箇所では、第2の遮光領域の横幅を変化させる段差51aの位置が、凸部13bの中間に設けられている。このため、マスクが長手方向(z方向)にずれて露光されても、マスク間のずれが凸部13bの長手方向の長さの半分以内であれば、光導波路の信号光伝搬方向に向かって左右に位置する溝部充填体の凸部18bの先端(凹部13a)において第2段階の露光に起因するずれが生じることはない。その結果、線状構造の残留を防ぐことができる。
図35に、本発明の第2実施形態に係る基板型光導波路デバイスの斜視図を示す。
この基板型光導波路デバイスは、光導波路コア110の側壁にグレーティング構造112を有するとともにコア110の底面114に溝状グレーティング構造113を有する。コア110の上面111は平坦である。光導波路は、基板115上に形成された下部クラッド116と、下部クラッド116上に形成されたコア110と、コア110および下部クラッド116の上に形成された上部クラッド117を有する。
本実施形態においては、第1実施形態の凸部13b及び凹部13aからなる溝状グレーティング構造13と同様な溝状グレーティング構造113がコア110の底部に形成されている。溝状グレーティング構造113は、それぞれ溝の両側方に凸部113b及び凹部113aを有する。
第2実施形態の基板型光導波路デバイスの製造方法は、溝状構造を形成する順序が異なるほかは、おおむね第1実施形態の製造方法と同様である。
まず、図31に示すように、支持基板115の上に下部クラッド116及び溝部充填体118となる低屈折率材料層116aを形成する(低屈折率材料層形成工程)。支持基板115は例えばシリコンウエハであり、低屈折率材料層116aは、CVD装置等を用いて適切な厚さで堆積させたSiO2膜である。ここで、低屈折率材料層116aの厚さは、最終的な下部クラッド116の厚さに、溝状グレーティング構造113の溝の深さを加えた合計値である。
溝部充填体118の形成後、図33に示すように、コア110を構成する高屈折率材料(例えばSiN)を、CVD装置等を用いて所望の厚さで堆積させる(高屈折率材料層形成工程)。これにより得られる高屈折率材料層110aの厚さは、最終的なコア110の厚さに対応する。必要に応じて、基板115からの高さが揃うように化学機械研磨(CMP)等により高屈折率材料層110aの上面を平坦化させることもできる。
さらに、図35に示すように、CVD装置等を用いて適切な厚さで上部クラッド117(例えばSiO2)を堆積させる。コア110上に堆積された上部クラッド117の厚さは、下部クラッド116の上に堆積された上部クラッド117の厚さと異なることがある。必要に応じて、基板115からの高さが揃うように化学機械研磨(CMP)等により平坦化工程を行なうこともできる。
図36に基板型光導波路デバイスの第3実施形態の断面図を示す。この基板型光導波路デバイス20は、光学特性を可変とするための内側コア21,22と、光学特性の偏波依存性の問題を解消するための外側コア24とを備えた二重コア構造を採用している。
この二重コア構造は、基板25上に形成された下部クラッド26上に存在する。複合コアの上部および両側方は、上部クラッド27で覆われている。上部クラッド27および下部クラッド26は、二重コア構造の平均屈折率よりも低い材料から構成される。上部クラッド27の材料と下部クラッド26の材料は、同じでも異なっても構わない。
外側コア24は内側コア21,22の上に配置されている。外側コア24の屈折率は、内側コア21,22の平均屈折率よりも低い。図36には現されていないが、外側コア24の側壁24b及び上面24aの溝状構造24cには、それぞれ図1A〜Cのコア10と同様な側壁グレーティング構造及び上部溝状グレーティング構造が形成されている。具体的には、外側コア24のコア幅woutを周期的に変化させた側壁グレーティング構造と、外側コア24の上面24aに形成された溝状構造24cの横幅winを周期的に変化させた上部溝状グレーティング構造を備えている。
まず、支持基板25となるシリコンウエハ上に、下部クラッド26となるSiO2膜と、内側コア21,22となる薄膜シリコン層を形成する。この工程は、シリコンウエハ上にBOX層と呼ばれる熱酸化膜等のSiO2膜と、その上に形成された薄膜シリコン層とを有する市販のSOI(Silicon on Insulator)ウエハを用意することで代替することが可能である。
また、一部にはSOI層のシリコンに微細な溝をパターン形成してSiO2を堆積させ、リーク電流を低減するナノギャップ絶縁構造としても良い。内側コア21,22は、外部から電圧を印加してキャリアプラズマ効果により屈折率変化を生じさせ、光学特性可変機能を実現することができる。必要に応じてナノギャップ絶縁構造となる中央ギャップ23を形成し、続いてフォトリソ工程及びエッチング工程により内側コア21,22のシリコンリブ21b,22b及びシリコンスラブ21a,22aの形状を加工する。
図41及び図42に示すように、本発明のグレーティング構造は、凸部及び凹部における光導波路寸法(コア幅、溝幅)が不均一であり、グレーティングピッチはある限定された離散値をとるという特徴を有する。
図42には、全長約12.2mm(図41)の中の3.308〜3.318mmの範囲を拡大して示す。この範囲は、上述した図17〜20、図21、図23〜26及び図27Aに示した4つのフォトマスクのパターンの一部を表示した範囲に対応するものである。この領域では多くのピッチがPに対応する339nmとなっており、一部のピッチがP−ΔPに対応する322nmとなっている。
図36に示した構造の、シリコン(Si)を内側コア、窒化ケイ素(SiN)を外側コア、シリカガラス(SiO2)をクラッドとする、基板型光導波路の光分散補償器を設計し製作した。
図36の構造に従って光導波路の断面構造を設計し、図37Aに示すようにTE型偏光(mode1)およびTM型偏光(mode2)に対する実効屈折率のwin依存性を、図37Bに示すようにwinとwoutとの関係を、図38に示すように光導波路の実効屈折率に対するwinとwoutとの対応関係を求めた。
光導波路構造の設計に当たり、採用した各部の材質及び寸法は、以下のとおりである。内側コア21,22をシリコン(Si)、中央ギャップ23をシリカガラス(SiO2)、外側コア24を窒化ケイ素(SiN)、基板25をシリコン(Si)、下部クラッド26をシリカガラス(SiO2)、上部クラッド27をシリカガラス(SiO2)で構成した。また、各部寸法は、t1=250nm、t2=50nm、w1=280nm、w2=160nm、tout=600nm、tin=100nm、下部クラッド26の厚みを2000nm、上部クラッド27の最大厚み(スラブ21a,22a上の厚み)を2000nmとした。
得られた実効屈折率分布neff(z)と、図38に示されたneff(z)及びwoutの関係とから光導波路のコア幅を決定した。また、得られた実効屈折率分布neff(z)と、図38に示されたneff(z)及びwinの関係とから溝状構造の寸法を決定した。
溝部充填体形成工程により得られた溝部充填体を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図43及び図44に示すように、SiO2からなる溝部充填体に設計どおりの溝状グレーティング構造の相補的な構造が形成されていることを確認できた。
得られた光導波路を走査電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図45及び図46に示すように、SiNからなる外側コアに設計どおりの側壁グレーティング構造が形成されていることを確認できた。
Claims (10)
- 光導波路のコアの上面に、前記コアの長手方向に沿った溝部を有し、該溝部は前記コアより屈折率の低い低屈折率材料からなる溝部充填体で充填されてなる基板型光導波路デバイスの製造方法であって、
高屈折率材料からなり前記コアの下部を構成する高屈折率材料層を形成する第1の高屈折率材料層形成工程と、
前記高屈折率材料層の上に、前記低屈折率材料からなる低屈折率材料層を形成する低屈折率材料層形成工程と、
フォトリソグラフィー及びエッチングにより前記低屈折率材料層の両側方を除去して前記溝部充填体を形成する溝部充填体形成工程と、
前記溝部充填体の両側方を充填するように、高屈折率材料からなり前記コアの上部を構成する高屈折率材料層を形成する第2の高屈折率材料層形成工程と、
を有することを特徴とする基板型光導波路デバイスの製造方法。 - 光導波路のコアの下面に、該コアの長手方向に沿った溝部を有し、該溝部は前記コアより屈折率の低い低屈折率材料からなる溝部充填体で充填されてなる基板型光導波路デバイスの製造方法であって、
前記低屈折率材料からなる低屈折率材料層を形成する低屈折率材料層形成工程と、
フォトリソグラフィー及びエッチングにより前記低屈折率材料層の両側方を除去して前記溝部充填体を形成する溝部充填体形成工程と、
前記溝部充填体の両側方を充填し前記溝部充填体の上面を覆うように、高屈折率材料からなり前記コアを構成する高屈折率材料層を形成する高屈折率材料層形成工程と、
を有することを特徴とする基板型光導波路デバイスの製造方法。 - 前記溝部は、前記コアを構成する材料が凸状をなして前記溝部充填体の横幅が狭くなっている部分である凸部と、前記コアを構成する材料が凹状をなして前記溝部充填体の横幅が広くなっている部分である凹部とを、前記コアの長手方向に沿って交互に有するグレーティング構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の基板型光導波路デバイスの製造方法。
- 前記凸部における溝部充填体の横幅及び前記凹部における溝部充填体の横幅が不均一であることを特徴とする請求項3に記載の基板型光導波路デバイスの製造方法。
- 前記コアの長手方向に沿って隣接する凸部の長手方向の長さと凹部の長手方向の長さとの合計値として定義されるピッチが、不等間隔ピッチかつ非チャープピッチであることを特徴とする請求項3に記載の基板型光導波路デバイスの製造方法。
- 前記グレーティング構造の全体にわたり、各ピッチPGが、(PG−P)/ΔP=Nを満たすことを特徴とする請求項5に記載の基板型光導波路デバイスの製造方法。
ただし、ここで、Pは所定のピッチ基準値であり、ΔPはPをMで除した値であり、Mは所定の1より大きい整数値であり、Nは整数である。 - 前記グレーティング構造における主たるピッチにおいて、前記Nが、+1、−1または0のいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の基板型光導波路デバイスの製造方法。
- 前記凸部における溝部充填体の横幅、前記凹部における溝部充填体の横幅、及び前記コアの長手方向に沿って隣接する凸部の長手方向の長さと凹部の長手方向の長さとの合計値として定義されるピッチは、所望の光学特性を入力して用いる逆散乱問題を解くことによって設計することを特徴とする請求項3に記載の基板型光導波路デバイスの製造方法。
- Zakharov-Shabat方程式を用いて前記逆散乱問題を解くことを特徴とする請求項8に記載の基板型光導波路デバイスの製造方法。
- 前記溝部充填体形成工程は、
前記低屈折率材料層の上に、フォトレジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、
位相シフト型のフォトマスクである第1のフォトマスクを用いて、前記凸部に対応する位置では遮光領域の横幅が前記凸部における溝部充填体の横幅に実質的に等しく、前記凹部に対応する位置では遮光領域の横幅が前記凹部における溝部充填体の横幅よりも大きい遮光領域を前記フォトレジスト層上に形成し、前記遮光領域の外側において前記フォトレジスト層を露光する第1の露光工程と、
バイナリ型のフォトマスクである第2のフォトマスクを用いて、前記凸部に対応する位置では遮光領域の横幅が前記凸部における溝部充填体の横幅よりも大きく、前記凹部に対応する位置では遮光領域の横幅が前記凹部における溝部充填体の横幅に実質的に等しい遮光領域を前記フォトレジスト層上に形成し、前記遮光領域の外側において前記フォトレジスト層を露光する第2の露光工程と、
前記フォトレジスト層を現像する現像工程と、
前記現像工程により得られたフォトレジストパターンを用いて前記低屈折率材料層をエッチングして前記溝部充填体を形成するエッチング工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の基板型光導波路デバイスの製造方法。
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