以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の第1実施形態について説明する。
まず、第1実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、第1実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。同図のプリンタは、トナー像形成手段たるプロセスユニットとして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)用の4つのプロセスユニット1Y,C,M,Kを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY,C,M,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。Yトナー像を生成するためのプロセスユニット1Yを例にすると、これは図2に示すように、感光体ユニット2Yと現像ユニット7Yとを有している。これら感光体ユニット2Y及び現像ユニット7Yは、図3に示すようにプロセスユニット1Yとして一体的にプリンタ本体に対して着脱される。但し、プリンタ本体から取り外した状態では、図4に示すように現像ユニット7Yを図示しない感光体ユニットに対して着脱することができる。
先に示した図2において、感光体ユニット2Yは、潜像担持体たるドラム状の感光体3Y、ドラムクリーニング装置4Y、図示しない除電装置、帯電装置5Yなどを有している。
帯電装置5Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動せしめられる感光体3Yの表面を一様帯電せしめる。同図においては、図示しない電源によって帯電バイアスが印加されながら、図中反時計回りに回転駆動される帯電ローラ6Yを感光体3Yに近接させることで、感光体3Yを一様帯電せしめる方式の帯電装置5Yを示した。帯電ローラ6Yの代わりに、帯電ブラシを当接させるものを用いてもよい。また、スコロトロンチャージャーのように、チャージャー方式によって感光体3Yを一様帯電せしめるものを用いてもよい。帯電装置5Yによって一様帯電せしめられた感光体3Yの表面は、後述する光書込ユニットから発せられるレーザー光によって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。
現像手段たる現像ユニット7Yは、第1搬送スクリュウ8Yが配設された第1剤収容部9Yを有している。また、透磁率センサからなるトナー濃度センサ(以下、トナー濃度センサという)10Y、第2搬送スクリュウ11Y、現像ロール12Y、ドクターブレード13Yなどが配設された第2剤収容部14Yも有している。これら2つの剤収容部内には、磁性キャリアとマイナス帯電性のYトナーとからなる図示しないY現像剤が内包されている。第1搬送スクリュウ8Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、第1剤収容部9Y内のY現像剤を図紙面に直交する方向における手前側から奥側へと搬送する。そして、第1剤収容部9Yと第2剤収容部14Yとの間の仕切壁に設けられた図示しない連通口を経て、第2剤収容部14Y内に進入する。
第2剤収容部14Y内の第2搬送スクリュウ11Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、Y現像剤を図中奥側から手前側へと搬送する。搬送途中のY現像剤は、第1剤収容部14Yの底部に固定されたトナー濃度センサ10Yによってそのトナー濃度が検知される。このようにしてY現像剤を搬送する第2搬送スクリュウ11Yの図中上方には、現像ロール11Yが第2搬送スクリュウ11Yと平行な姿勢で配設されている。この現像ロール11Yは、図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる非磁性パイプからなる現像スリーブ15Y内にマグネットローラ16Yを内包している。第2搬送スクリュウ11Yによって搬送されるY現像剤の一部は、マグネットローラ16Yの発する磁力によって現像スリーブ15Y表面に汲み上げられる。そして、現像部材たる現像スリーブ15Yと所定の間隙を保持するように配設されたドクターブレード13Yによってその層厚が規制された後、感光体3Yと対向する現像領域まで搬送され、感光体3Y上のY用の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体3Y上にYトナー像が形成される。現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像ロール12Yの現像スリーブ15Yの回転に伴って第2搬送スクリュウ11Y上に戻される。そして、図中手前端まで搬送されると、図示しない連通口を経て第1剤収容部9Y内に戻る。
トナー濃度センサ10YによるY現像剤の透磁率の検知結果は、電圧信号として図示しない制御部に送られる。Y現像剤の透磁率は、Y現像剤のYトナー濃度と相関を示すため、トナー濃度センサ10YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。上記制御部はRAMを備えており、この中にトナー濃度センサ10Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefや、他の現像ユニットに搭載されたC,M,K用のトナー濃度センサからの出力電圧の目標値であるC用Vtref、M用Vtref、K用Vtrefのデータを格納している。Y用の現像ユニット7Yについては、トナー濃度センサ10Yからの出力電圧の値とY用Vtrefを比較し、図示しないY用のトナー供給装置を比較結果に応じた時間だけ駆動させる。この駆動により、現像に伴うYトナー消費によってYトナー濃度を低下させたY現像剤に対し、第1剤収容部9Yで適量のYトナーが供給される。このため、第2剤収容部14Y内のY現像剤のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他色用のプロセスユニット(1C,M,K)内における現像剤についても、同様のトナー供給制御が実施される。
感光体3Y上に形成されたYトナー像は、後述する中間転写ベルトに中間転写される。感光体ユニット2Yのドラムクリーニング装置4Yは、中間転写工程を経た後の感光体3Y表面に残留したトナーを除去する。これによってクリーニング処理が施された感光体3Y表面は、図示しない除電装置によって除電される。この除電により、感光体3Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。先に示した図1において、他色用のプロセスユニット1C,M,Kにおいても、同様にして感光体3C,M,K上にC,M,Kトナー像が形成されて、中間転写ベルト上に中間転写される。
プロセスユニット1Y,C,M,Kの図中下方には、光書込ユニット20が配設されている。潜像形成手段たる光書込ユニット20は、画像情報に基づいて発したレーザー光Lを、各プロセスユニット1Y,C,M,Kの感光体3Y,C,M,Kに照射する。これにより、感光体3Y,C,M,K上にY,C,M,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット20は、光源から発したレーザー光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー21によって偏向せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3Y,C,M,Kに照射するものである。かかる構成のものに代えて、LDEアレイによる光走査を行うものを採用することもできる。
光書込ユニット20の下方には、第1給紙カセット31、第2給紙カセット32が鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセット内には、それぞれ、記録部材たる記録紙Pが複数枚重ねられた記録紙束の状態で収容されており、一番上の記録紙Pには、第1給紙ローラ31a、第2給紙ローラ32aがそれぞれ当接している。第1給紙ローラ31aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられると、第1給紙カセット31内の一番上の記録紙Pが、カセットの図中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路33に向けて排出される。また、第2給紙ローラ32aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられると、第2給紙カセット32内の一番上の記録紙Pが、給紙路33に向けて排出される。給紙路33内には、複数の搬送ローラ対34が配設されており、給紙路33に送り込まれた記録紙Pは、これら搬送ローラ対34のローラ間に挟み込まれながら、給紙路33内を図中下側から上側に向けて搬送される。
給紙路33の末端には、レジストローラ対35が配設されている。レジストローラ対35は、記録紙Pを搬送ローラ対34から送られてくる記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、記録紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
各プロセスユニット1Y,C,M,Kの図中上方には、無端移動体たる中間転写ベルト41を張架しながら図中反時計回りに無端移動せしめる転写ユニット40が配設されている。転写手段たる転写ユニット40は、中間転写ベルト41の他、ベルトクリーニングユニット42、第1ブラケット43、第2ブラケット44などを備えている。また、4つの1次転写ローラ45Y,C,M,K、2次転写バックアップローラ46、駆動ローラ47、補助ローラ48、テンションローラ49なども備えている。中間転写ベルト41は、これら8つのローラに張架されながら、駆動ローラ47の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。4つの1次転写ローラ45Y,C,M,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト41を感光体3Y,C,M,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト41の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する。中間転写ベルト41は、その無端移動に伴ってY,C,M,K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、そのおもて面に感光体3Y,C,M,K上のY,C,M,Kトナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト41上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
2次転写バックアップローラ46は、中間転写ベルト41のループ外側に配設された2次転写ローラ50との間に中間転写ベルト41を挟み込んで2次転写ニップを形成している。先に説明したレジストローラ対35は、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを、中間転写ベルト41上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで、2次転写ニップに向けて送り出す。中間転写ベルト41上の4色トナー像は、2次転写バイアスが印加される2次転写ローラ50と2次転写バックアップローラ46との間に形成される2次転写電界や、ニップ圧の影響により、2次転写ニップ内で記録紙Pに一括2次転写される。そして、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト41には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニングユニット42によってクリーニングされる。なお、ベルトクリーニングユニット42は、クリーニングブレード42aを中間転写ベルト41のおもて面に当接させており、これによってベルト上の転写残トナーを掻き取って除去するものである。
なお、転写ユニット40の第1ブラケット43は、図示しないソレノイドの駆動のオンオフに伴って、補助ローラ48の回転軸線を中心にして所定の回転角度で揺動するようになっている。本画像形成システムのプリンタは、モノクロ画像を形成する場合には、前述のソレノイドの駆動によって第1ブラケット43を図中反時計回りに少しだけ回転させる。この回転により、補助ローラ48の回転軸線を中心にしてY,C,M用の1次転写ローラ45Y,C,Mを図中反時計回りに公転させることで、中間転写ベルト41をY,C,M用の感光体3Y,C,Mから離間させる。そして、4つのプロセスユニット1Y,C,M,Kのうち、K用のプロセスユニット1Kだけを駆動して、モノクロ画像を形成する。これにより、モノクロ画像形成時にY,C,M用のプロセスユニットを無駄に駆動させることによるそれらプロセスユニットの消耗を回避することができる。
2次転写ニップの図中上方には、定着ユニット60が配設されている。この定着ユニット60は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加圧加熱ローラ61と、定着ベルトユニット62とを備えている。定着ベルトユニット62は、定着部材たる定着ベルト64、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ63、テンションローラ65、駆動ローラ66、図示しない温度センサ等を有している。そして、無端状の定着ベルト64を加熱ローラ63、テンションローラ65及び駆動ローラ66によって張架しながら、図中反時計回り方向に無端移動せしめる。この無端移動の過程で、定着ベルト64は加熱ローラ63によって裏面側から加熱される。このようにして加熱される定着ベルト64の加熱ローラ63掛け回し箇所には、図中時計回り方向に回転駆動される加圧加熱ローラ61がおもて面側から当接している。これにより、加圧加熱ローラ61と定着ベルト64とが当接する定着ニップが形成されている。
定着ベルト64のループ外側には、図示しない温度センサが定着ベルト64のおもて面と所定の間隙を介して対向するように配設されており、定着ニップに進入する直前の定着ベルト64の表面温度を検知する。この検知結果は、図示しない定着電源回路に送られる。定着電源回路は、温度センサによる検知結果に基づいて、加熱ローラ63に内包される発熱源や、加圧加熱ローラ61に内包される発熱源に対する電源の供給をオンオフ制御する。これにより、定着ベルト64の表面温度が約140[°]に維持される。
先に示した図1において、2次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト41から分離した後、定着ユニット60内に送られる。そして、定着ユニット60内の定着ニップに挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ベルト64によって加熱されたり、押圧されたりして、フルカラートナー像が定着せしめられる。
このようにして定着処理が施された記録紙Pは、排紙ローラ対67のローラ間を経た後、機外へと排出される。プリンタ本体の筺体の上面には、スタック部68が形成されており、排紙ローラ対67によって機外に排出された記録紙Pは、このスタック部68に順次スタックされる。
転写ユニット40の上方には、Y,C,M,Kトナーを収容する4つのトナーカートリッジ100Y,C,M,Kが配設されている。トナーカートリッジ100Y,C,M,K内のY,C,M,Kトナーは、プロセスユニット1Y,C,M,Kの現像ユニット7Y,C,M,Kに適宜供給される。これらトナーカートリッジ100Y,C,M,Kは、プロセスユニット1Y,C,M,Kとは独立してプリンタ本体に脱着可能である。
図5は、プリンタの筺体内に固定された駆動伝達系である本体側駆動伝達部を示す斜視図である。また、図6は、この本体側駆動伝達部を上方から示す平面図である。プリンタの筺体内には、支持板が立設せしめられており、これには4つのプロセス駆動モータ120Y,C,M,Kが固定されている。駆動源たるプロセス駆動モータ120Y,C,M,Kの回転軸には、原動ギヤ121Y,C,M,Kが固定されている。プロセス駆動モータ120Y,C,M,Kの回転軸の下方には、上記支持板に突設せしめられた図示しない固定軸に係合しながら摺動回転可能な現像ギヤ122Y,C,M,Kが配設されている。この現像ギヤ122Y,C,M,Kは、互いに同じ回転軸線上で回転する第1ギヤ部123Y,C,M,Kと第2ギヤ部124Y,C,M,Kとを有している。第2ギヤ部124Y,C,M,Kの方が、第1ギヤ部123Y,C,M,Kよりもプロセス駆動モータ120Y,C,M,Kの回転軸の先端側に位置している。現像ギヤ122Y,M,C,Kは、その第1ギヤ部123Y,M,C,Kをプロセス駆動モータ120Y,C,M,Kの原動ギヤ121Y,C,M,Kに噛み合わせながら、プロセス駆動モータ120Y,C,M,Kの回転によって固定軸上で摺動回転する。
駆動源たるプロセス駆動モータ120Y,C,M,Kは、DCブラシレスモータの一種であるDCサーボモータからなる。原動ギヤ121Y,C,M,Kと感光体ギヤ133Y,C,M,Kとの減速比は、例えば1:20になっている。原動ギヤから感光体ギヤに至るまでの減速段数を1段としたのは、部品点数を少なくし低コストにするための他、ギヤを2つにして噛み合い誤差や偏心による伝達誤差の要因を少なくする狙いからである。1段減速にしたことで、1:20という比較的大きい減速比では、感光体ギヤが感光体よりも大径となる。このような大径な感光体ギヤを用いることで、ギヤ1歯噛み合いに対応する感光体表面上でのピッチ誤差を小さくして、副走査方向の印字濃度むら(バンディング)の影響を少なくするという狙いもある。減速比は、感光体の目標速度とモータ特性との関係から、高効率、高回転精度が得られる速度領域に基づいて決定される。
現像ギヤ122Y,C,M,Kの左側方には、図示しない固定軸に係合しながら摺動回転する第1中継ギヤ125Y,C,M,Kが配設されている。これらは、現像ギヤ122Y,C,M,Kの第2ギヤ部124Y,C,M,Kに噛み合うことで、現像ギヤ122Y,C,M,Kから回転駆動力を受けて、固定軸上で摺動回転する。第1中継ギヤ125Y,C,M,Kには、駆動伝達方向上流側で第2ギヤ部124Y,C,M,Kが噛み合っている他に、駆動伝達方向下流側でクラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kが噛み合っている。これらクラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kは、現像クラッチ127Y,C,M,Kに支持されている。現像クラッチ127Y,C,M,Kは、図示しない制御部によって電源供給がオンオフ制御されるのに伴って、クラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kの回転駆動力をクラッチ軸に繋いだり、クラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kを空転させたりする。現像クラッチ127Y,C,M,Kのクラッチ軸の先端側には、クラッチ出力ギヤ128Y,C,M,Kが固定されている。現像クラッチ127Y,C,M,Kに電源が供給されると、クラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kの回転駆動力がクラッチ軸に繋がれて、クラッチ出力ギヤ128Y,C,M,Kが回転する。これに対し、現像クラッチ127Y,C,M,Kへの電源供給が切られると、たとえプロセス駆動モータ120Y,C,M,Kが回転していても、クラッチ入力ギヤ126Y,C,M,Kがクラッチ軸上で空転するため、クラッチ出力ギヤ128Y,C,M,Kの回転が停止する。
クラッチ出力ギヤ128Y,C,M,Kの図中左側方には、図示しない固定軸に係合しながら摺動回転可能な第2中継ギヤ129Y,C,M,Kが配設されており、クラッチ出力ギヤ128Y,C,M,Kに噛み合いながら回転する。
プリンタ本体側では、次のような駆動伝達系が4つのプロセスユニットにそれぞれ対応するように構成されている。即ち、プロセス駆動モータ120→原動ギヤ121→現像ギヤ122の第1ギヤ部123→第2ギヤ部124→第1中継ギヤ125→クラッチ入力ギヤ126→クラッチ出力ギヤ128→第2中継ギヤ129、という駆動伝達系である。
図7は、Y用のプロセスユニット1Yの一端部を示す部分斜視図である。現像ユニット7Yのケーシング内の現像スリーブ15Yは、その軸部材をケーシング側面に貫通させて外部に突出させている。このように突出した軸部材箇所には、スリーブ上流ギヤ131Yが固定されている。また、ケーシング側面には固定軸132Yが突設せしめられており、これに対して第3中継ギヤ130Yが摺動回転可能に係合しながら、スリーブ上流ギヤ131Yに噛み合っている。
Y用のプロセスユニット1Yがプリンタ本体にセットされた状態では、第3中継ギヤ130Yに対し、スリーブ上流ギヤ131Yの他、先に図5や図6に示した第2中継ギヤ129Yが噛み合う。そして、第2中継ギヤ129Yの回転駆動力が、第3中継ギヤ130Y、スリーブ上流ギヤ131Yに順次伝達されて、現像スリーブ13Yが回転駆動される。
なお、Y用のプロセスユニット1Yについてだけ、図を示して説明したが、他色用のプロセスユニットにおいても、同様にして現像スリーブに回転駆動力が伝達される。
また、図7では、Y用のプロセスユニット1Yの一端部だけを示したが、現像スリープ15Yの他端側の軸部材は、ケーシングの他端側の側面に貫通して外部に突出しており、その突出箇所には図示しないスリーブ下流ギヤが固定されている。また、先に図2に示した第1搬送スクリュウ7Y、第2搬送スクリュウ10Yも、その軸部材をケーシング他端側の側面に貫通させており、その突出箇所には図示しない第1スクリュウギヤ、第2スクリュウギヤが固定されている。現像スリーブ15Yがスリーブ上流ギヤ131Yによる駆動伝達によって回転すると、それに伴い、他端側においてスリーブ下流ギヤが回転する。そして、スリーブ下流ギヤに噛み合っている第2スクリュウギヤで駆動力を受ける第2搬送スクリュウ11Yが回転するとともに、第2スクリュウギヤに噛み合っている第1スクリュウギヤで駆動力を受ける第1搬送スクリュウ8Yが回転する。他色用のプロセスユニットも同様の構成である。
このように、原動ギヤ121、現像ギヤ122、第1中継ギヤ125、クラッチ入力ギヤ126、クラッチ出力ギヤ128、第2中継ギヤ129、第3中継ギヤ130、スリーブ上流ギヤ131、スリーブ下流ギヤ、第2スクリュウギヤ、及び第1スクリュウギヤからなる現像ギヤ群が、各プロセスユニットにそれぞれ対応して4組構成されている。
図8は、Y用の感光体ギヤ133Yと、その周囲構成とを示す斜視図である。同図において、原動ギヤ121Yには、現像ギヤ122Yの第1ギヤ部123Yの他、潜像ギヤたる感光体ギヤ133Yが噛み合っている。駆動伝達回転部材としての感光体ギヤ133Yは、本体側駆動伝達部に回動自在に強いされている。感光体ギヤ133Yの直径は、感光体の直径よりも大きくなっている。プロセス駆動モータ120Yが回転すると、その回転駆動力が原動ギヤから感光体ギヤ121Yに一段減速で伝達されて感光体が回転駆動する。他色用のプロセスユニットも同様の構成である。このように、本画像形成システムのプリンタにおいては、原動ギヤ121及び感光体ギヤ133からなる潜像ギヤ群が各プロセスユニットにそれぞれ対応して4組構成されている。
プロセスユニットの感光体の回転軸と、プリンタ本体側に支持される感光体ギヤ133とは、感光体の回転軸の端部に固定されたカップリングによって連結される。各色においてそれぞれ、現像ギヤを感光体ギヤとは異なる現像モータによって駆動させるようにしてもよい。
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。図9は、4つの感光体1Y,C,M,Kと、転写ユニット40と、光書込ユニット20とを示す側面図である。感光体1Y,C,M,Kに回転駆動力を伝達する感光体ギヤ133Y,C,M,Kには、所定箇所にマーキング134Y,C,M,Kが付されている。これらマーキング134Y,C,M,Kは、感光体ギヤ133Y,C,M,Kが1回転する毎に、フォトセンサ等からなるポジションセンサ135Y,C,M,Kによって所定のタイミングで検知される。これにより、感光体1Y,C,M,Kは、それぞれ1回転する毎に、所定の回転角度になったタイミングが検知される。
転写ユニット40の上方には、中間転写ベルト41の幅方向に所定の間隔で並ぶ2つの図示しない反射型フォトセンサからなる光学センサユニット136が、中間転写ベルト41の上部張架面と所定の間隙を介して対向するように配設されている。
一般に、画像形成装置では、機内温度が変化したり、外力が加わたりすることで、各プロセスユニットの位置や大きさが微妙に変化することがある。これらの変化は避けられないものである。例えば、紙詰まりの復帰、メンテナンスによる部品交換、画像形成装置の移動などの作業を行うと、プロセスユニットに外力を加えることとなる。このような外力や、機内温度の変化が発生すると、各色のプロセスユニットによって形成される各色トナー像の重ね合わせ精度が悪化してしまう。そこで、本プリンタでは、電源スイッチが投入された直後や所定時間経過毎などに、タイミング調整制御を実施して、各色トナー像の重ね合わせズレを抑えるようになっている。
図10は、中間転写ベルト41の一部を、光学センサユニット136とともに示す斜視図である。本プリンタの図示しない制御手段は、図示しない電源スイッチがONされた直後や、所定時間が経過する毎などの所定のタイミングで、タイミング調整制御を行うようになっている。このタイミング調整制御では、中間転写ベルト41の幅方向の一端部と他端部とにそれぞれ、複数のトナー像からなる位置ズレ検知用画像PVが形成される。一方、中間転写ベルト41の上方には、第1光学センサ137と第2光学センサ138とからなる光学センサユニット136が配設されている。第1光学センサ137は、発光手段から発した光を集光レンズに通した後、中間転写ベルト41の表面で反射させ、その反射光を受光手段で受光する。そして、受光量に応じた電圧を出力する。中間転写ベルト41の一端部に形成された位置ズレ検知用画像PV内のトナー像が、第1光学センサ137の直下を通過する際には、第1光学センサ137の受光手段による受光量が大きく変化する。これにより、第1光学センサ137は、トナー像を検知して受光手段からの出力電圧値を大きく変化させる。同様にして、第2光学センサ138は、中間転写ベルト41の他端部に形成された位置ズレ検知用画像PV内の各トナー像を検知する。このように、第1光学センサ137や第2光学センサ138は、位置ズレ検知用画像PV内の各トナー像を検知する像検知手段として機能している。なお、発光手段としては、トナー像を検出するために必要な反射光を作り得る光量をもつLED等が用いられている。また、受光手段としては、多数の受光素子が直線状に配列されたCCDなどが用いられている。
中間転写ベルト41の幅方向の両端部にそれぞれ形成した位置ズレ検知用画像PV内の各トナー像を検知することで、各トナー像における主走査方向(レーザー光による走査方向)の位置、副走査方向(ベルト移動方向)の位置、主走査方向の倍率誤差、主走査方向からのスキューをそれぞれ調整することが可能になる。
位置ズレ検知用画像PVとしては、図11に示すように、Y,C,M,Kの各色のトナー像を主走査方向から約45[°]傾けた姿勢で、副走査方向であるベルト移動方向に所定ピッチで並べたシェブロンパッチと呼ばれるラインパターン群を形成する。そして、このような位置ズレ検知用画像PV内のY,C,Mトナー像について、Kトナー像との検知時間差を読み取っていく。同図では、紙面上下方向が主走査方向に相当し、左から順に、Y,C,M,Kトナー像が並んだ後、これらとは姿勢が90[°]異なっているK,M,C,Yトナー像が更に並んでいる。基準色となるKとの検出時間差tyk、tck、tmkについての実測値と理論値との差に基づいて、各色トナー像の副走査方向のズレ量を求めることができる。そして、そのズレ量に基づいて、光書込ユニット(20)のポリゴンミラー1面おき、即ち、1走査ラインピッチを1単位として、感光体に対する光書込開始タイミングを調整することで、各色トナー像の副走査方向の重ね合わせズレを抑える(タイミング調整制御)。また、姿勢が90[°]異なる同色の2つのトナー像の検出時間差tk、tm、tc、tyについての実測値と理論値との差に基づいて、各色トナー像の主走査方向のズレ量を求めることができる。各色トナー像の主走査方向からの傾き(スキュー)については、ベルト両端部間での副走査方向ズレ量の差に基づいて求めることができる。そして、その結果に基づいて、光書込ユニット(20)内の図示しないトロイダルレンズの傾きを調整する図示しないレンズ傾き調整機構を駆動することで、各色トナー像の主走査方向からの傾きズレを低減する。
本プリンタのように、4つの感光体(1Y,C,M,K)に対する4つのレーザー光を、共通の1つのポリゴンミラーによって偏向せしめてそれぞれの感光体に対する主走査方向の光走査を行うものでは、各感光体に対する光書込開始タイミングが、タイミング調整制御によって1ライン分(1走査線分)の書込に相当する時間単位で調整される。例えば、2つの感光体間で、副走査方向(感光体表面移動方向)に1/2ドットを超える重ね合わせズレが発生している場合、何れか一方の感光体に対する光書込開始タイミングが、1ライン分の書込時間の整数倍だけ前後にずらされる。より詳しくは、例えば3/4ドットの重ね合わせズレの場合には1ライン分の書込時間の1倍、7/4ドットの重ね合わせズレの場合には1ライン分の書込時間の2倍だけ、光書込開始タイミングがそれまでのタイミングよりも前後にずらされる。これにより、副走査方向における重ね合わせズレ量が1/2ドット以下に抑えられる。
ところが、副走査方向における重ね合わせズレ量が1/2ドットである場合には、光書込開始タイミングを1ライン分の書込時間だけ前後にずらしたとしても、重ね合わせズレ量は変わらず1/2ドットのままとなる。また、副走査方向における重ね合わせズレ量が1/2ドット未満の場合には、光書込開始タイミングを1ライン分の書込時間の単位で前後にずらすと、重ね合わせズレ量を却って大きくしてしまう。このため、重ね合わせズレ量が1/2ドット未満の場合には、光書込開始タイミングの調整は行われない。
このように、タイミング調整制御では、画像全体として副走査方向に1/2ドット未満の重ね合わせズレが発生している場合に、光書込開始タイミングの調整によってその重ね合わせズレを低減することができない。ここで言う画像全体としての1/2ドット未満の重ね合わせズレとは、後述する感光体表面の速度変動に起因するものではなく、光書込開始タイミングが1/2ドット未満に相当する時間で望ましいタイミングからずれてしまっていることに起因するものである。例えば、600[dpi]の解像度の場合、1ドットは約42[μm]であるため、タイミング調整制御を実施したとしても、最大で画像全体が副走査方向に約21[μm]ずれてしまうこともある。
近年の高画質化の要望に応えるためには、このような画像全体における1/2ドット未満の重ね合わせズレも抑える必要がある。そこで、本プリンタの制御手段は、タイミング調整制御において、画像全体の副走査方向における1/2ドット未満の重ね合わせズレを検知した場合には、そのズレ量に応じた駆動速度補正値を算出してRAM等のデータ記憶手段に記憶する。そして、外部のパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に基づいて行うプリントジョブにおいて、各感光体(プロセス駆動モータ120Y,C,M,K)をそれぞれ駆動速度補正値に基づいた駆動速度で駆動する。これにより、プリントジョブにおいては、必要に応じて、1/2ドット未満のズレ量に応じた線速差が感光体間に設けられる。そして、残っていた1/2ドット未満のズレ量が更に低減される。
但し、各感光体に線速差を設けると、感光体を1回転させる毎に、各感光体の速度変動パターンの位相関係を、理想の関係からずらしていってしまう。1枚のみの単独プリント動作であれば問題ないが、複数の記録紙に連続的にプリントを行う連続プリント動作の場合には、プリント枚数の増加に伴って、位相のズレ量が増加していき、重ね合わせズレが相当に大きくなってしまう。そこで、本プリンタでは、プリント速度よりも画質を優先する画質優先モードと、その逆の速度優先モードとを図示しない操作表示部への入力操作や、パーソナルコンピュータのプリントドライバによって選択可能にしている。そして、画質優先モードが選択されている場合であって、且つ連続プリントが実施される場合には、所定枚数の連続プリントが行われる毎に、連続プリントジョブを一時中断して、位相調整制御を行うようになっている。
図12は、本プリンタの制御手段によって実施されるタイミング調整制御の処理内容を示すフローチャートである。タイミング調整制御では、まず、各プロセス駆動モータ(120Y,C,M,K)の駆動が開始された後(ステップa:以下、ステップをSと記す)、上述の光学センサユニット136がONされる(Sb)。次いで、上述した位置ズレ検知用画像PVが中間転写ベルト41上に形成された後(Sc)、それが光学センサユニット136によって検知される(Sd)。そして、光学センサユニット136がOFFされた後(Se)、位置ズレ検知用画像PVの検知結果に基づいて、各色についてそれぞれスキュー補正量、主走査位置補正量、副走査位置補正量、主走査倍率誤差補正量及び主走査偏差補正量が求められる(Sf、Sg)。また、1/2ドット未満の副走査方向の位置ズレを低減するための各プロセス駆動モータ(120Y,C,M,K)の速度が演算される(線速差)。その後、各種補正量に基づいて、主走査位置補正、副走査位置補正、主走査倍率誤差補正、主走査偏差補正及びスキュー補正がなされた後(Sj)、各プロセス駆動モータの駆動が停止される(Sk)。
本プリンタの図示しない制御手段は、各感光体についてそれぞれ、1回転あたりにおける速度変動パターンを検出するための変動パターン検出制御も、所定のタイミングで行うようになっている。所定のタイミングとしては、感光体交換時などといった速度変動パターンを変化させる操作がなされたとき、高画質プリントモードが選択されている状態でプリント命令がなされたとき、などが挙げられる。
変動パターン検出制御では、Y,C,M,Kの各色についてそれぞれ、中間転写ベルト41の表面上に速度変動検知用画像を形成する。この速度変動検知用画像としては、K用の速度変動検知用画像を例にすると、図13に示すように、tk01、tk02、tk03、tk04、tk05、tk06・・・という複数のKトナー像がベルト移動方向に沿って所定ピッチで並ぶようにしたものが形成される。但し、理論的には所定ピッチで並ぶようにしているが、K用の感光体の速度変動により、これらKトナー像の実際の配設ピッチはその速度変動に応じた誤差が出てくる。この誤差を、時間ピッチ誤差として、上述の第1光学センサ(137)あるいは第2光学センサ(138)で読み取っていく。
本プリンタでは、Y,C,M用の速度変動検知用画像を、必ずK用の速度変動検知用画像と1組にして形成するようになっている。具体的には、Y用の速度変動検知用画像については、それを中間転写ベルトの一端部に形成する一方で、K用の速度変動検知用画像を中間転写ベルトの他端部に形成し、それらを第1光学センサと第2光学センサとによって同時に検知していく。CやM用の速度変動検知画像についても、同様にして、K用の速度変動検知用画像と同時に検知していく。よって、本プリンタの変動パターン検出制御では、Y,Kという2つの速度変動検知用画像を形成してそれらを光学センサユニットによって検知していく工程と、C,Kという2つの速度変動検知用画像を形成してそれらを光学センサユニットによって検知していく工程と、M,Kという2つの速度変動検知用画像を形成してそれらを光学センサユニットによって検知していく工程とが実施される。このようにして速度変動パターンを検出する理由については後述する。
先に示した図1において、中間転写ベルト41上に形成された位置ズレ検知用画像や速度変動検知用画像は、ベルトの無端移動に伴って光学センサユニット136との対向位置まで搬送される途中で、2次転写ローラ50との対向位置を通過する。このとき、2次転写ローラ50が中間転写ベルト41に当接して2次転写ニップを形成していると、ベルト上の位置ズレ検知用画像や速度変動検知用画像が2次転写ローラ50に接触してローラ表面に転移してしまう。そこで、本プリンタは、タイミング調整制御や変動パターン検出制御を実施する際には、それに先立って、図示しないローラ接離機構を駆動して、2次転写ローラ50を中間転写ベルト50から離間させる。これにより、位置ズレ検知用画像や速度変動検知用画像の2次転写ローラ50への転移を回避する。
図14は、本プリンタの制御手段における回路構成を示すブロック図である。タイミング調整制御や変動パターン検出制御が開始されると、まず、光学センサユニット136からの出力信号が増幅回路139によって増幅された後、フィルター回路140によってライン検知の信号成分のみが選別され、A/D変換コンバーター141によってアナログデータからデジタルデータへと変換される。データのサンプリングは、サンプリング制御部142によって制御され、サンプリングされたデータはFIFO(First-In First-Out)方式のメモリー回路143に格納される。位置ズレ検知用画像(PV)あるいは速度変動検知用画像の検知が終了すると、メモリー回路に格納されていたデータがI/Oポート144を介して、データバス145によってCPU146及びRAM147にロードされる。そして、CPU146により、種々のズレ量を算出するための演算処理が行われる。種々のズレ量とは、各色トナー像の位置ズレ量、スキューズレ量、各感光体の速度変動パターンの位相ズレ量などである。この他、各色トナー像の主走査、副走査の倍率量の演算処理も行われる。
CPU146は、求めたズレ量に基づいて、各色トナー像のスキュー補正、主走査方向の位置補正、副走査方向の位置補正、倍率補正などを行うためのデータを駆動制御部150や書込制御部151に記憶させる。駆動制御部150は、各感光体を駆動する4つのプロセス駆動モータを制御する回路である。また、書込制御部151は、光書込ユニットを制御する回路である。
書込制御部151は、CPU146から送られてくるデータに基づいて各感光体に対する主走査方向や副走査方向の書込開始位置を調整するとともに、出力周波数を非常に細かく設定できるデバイス、例えばVCO(voltage controlled oscillator)を利用したクロックジェネレータなどを各色について備えている。本プリンタでは、その出力を画像クロックとして用いている。
駆動制御部150は、CPU146から送られてくるデータに基づいて、各感光体の1回転あたりにおける速度変動の位相を適切に調整することができるように、各プロセス駆動モータについての駆動制御データを構築する。
なお、本プリンタでは、光学センサユニット136の発光手段の劣化が起こっても、検知用画像内のトナー像を確実に捉えることができるように、発光量制御部152が発光手段の発光量を制御している。これにより、光学センサユニット136の発光手段からの受光量を常に一定にする。
データバス145に接続されたROM148内には、種々のズレ量を演算するためのアルゴリズム、プリントジョブを行うための制御プログラム、タイミング調整制御や変動パターン検出制御を行うためのプログラムなどが格納されている。また、後述の位相調整制御を行うためのプログラムも格納されている。なお、CPU146は、アドレスバス149を介して、ROMアドレス、RAMアドレス、各種入出力機器の指定を行っている。
上述したように、速度変動検知用画像は、副走査方向に沿って所定のピッチで並ぶように形成された同一色の複数のトナー像から構成されている。先に示した図13において、速度変動検知用画像内における個々のトナー像の間隔Psについては、できるだけ短く設定する必要があるが、各トナー像の幅や演算時間等の関係から、その短さの限界が決定される。また、速度変動検知用画像の副走査方向(ベルト移動方向)の長さPaは、感光体の周長の整数倍の長さに設定されている。この設定にあたっては、中間転写ベルト上に速度変動検知用画像を形成したり検知したりする際に発生する他の周期変動も考慮する必要がある。他の周期変動としては、中間転写ベルトの駆動ローラの1回転あたりにおける線速変動、それらを駆動伝達する歯車のピッチ誤差や偏心成分、更には中間転写ベルト10の蛇行や周方向にわたる厚み偏差分布など、様々な周波数成分が上げられる。速度変動パターンの検出値には、これらの周期変動成分の全てが重畳されて含まれており、その中から、感光体の1回転あたりにおける速度変動成分だけを検出する必要がある。
例えば、感光体の1回転あたりにおける速度変動成分の他に、中間転写ベルトの駆動ローラの1回転あたりにおける速度変動成分が、速度変動検知用画像内における各トナー像についての時間ピッチ誤差に多く含まれているとする。この場合には、駆動ローラの速度変動成分も考慮して速度変動検知用画像の長さPaを設定する必要がある。感光体の直径が40[mm]、駆動ローラの直径が30[mm]であるとすると、中間転写ベルトの移動距離に換算した感光体の周期、駆動ローラの周期は、125.7[mm]、94.2[mm]となる。この両周期の公倍数を速度変動検知用画像の長さPaに設定すればよい。例えば、377[mm]である。そして、長さPaに合わせて、各トナー像の間隔Psを設定すればよい。このような設定により、感光体の1回転あたりにおける速度変動パターンの最大振幅や位相値の算出が、駆動ローラの周期変成分の影響を受けずに高精度に検出することが可能になる。これは、最大振幅や位相値の算出において、理論上、駆動ローラの周期変動成分を含む演算項がちょうど「0」となることを利用している。同様にして、中間転写ベルトの周方向の厚み偏差分布による周期変動成分が多く含まれる場合には、感光体の周長整数倍で、ベルト1周に最も近い値に長さPaを設定することで、中間転写ベルトの周期変動成分の影響を低減することが可能になる。また、駆動ローラを駆動するローラ駆動モータの周期変動成分のように、感光体の周期変動成分との周波数の差が10倍以上あるようなものについては、それをローパスフィルタによって除去することが可能である。
なお、メモリー回路143に格納されたデータの各パルス幅は、光学センサユニット136の受光手段の受光量に応じてそれぞれ異なってくる。受光手段の受光量は、トナー像の濃度によって変化するので、メモリー回路143に格納されたデータの各パルス幅は、それぞれそれに対応するトナー像の濃度によって異なってくることになる。タイミング調整制御や変動パターン検出制御では、検知用画像内の各トナー像を精度良く検知しなければならないため、各パルス幅がそれぞれ異なっていても、それぞれを個別のトナー像に対応するものであるとCPU146に認識させる必要がある。そこで、本プリンタでは、CPU146に対し、予め設定した閾値を超える幅のパルスを識別させるのではなく、パルスのピークを識別させるようにしている。これにより、感光体の速度変動に伴うトナー像の崩れによる濃度変化の影響を受け難くすることが可能になる。
その理由について、図15や図16を用いて詳述する。図15は、感光体3と中間転写ベルト41との当接による1次転写ニップを示す拡大模式図である。また、図16(a)は、感光体3と中間転写ベルト41とに速度差がないときに転写された検知用画像を検知する光学センサユニットからの出力パルスを示すグラフである。また、図16(b)は、1次転写ニップにおける感光体3の表面速度V0が中間転写ベルト41の表面速度Vbよりも速くなっているときに転写された検知用画像を検知する光学センサユニットからの出力パルスを示すグラフである。また、図16(c)は、1次転写ニップにおける感光体3の表面速度V0が中間転写ベルト41の表面速度Vbよりも遅くなっているときに転写された検知用画像を検知する光学センサユニットからの出力パルスを示すグラフである。
1次転写ニップでは、感光体3と中間転写ベルト41が接触しながらも、それぞれ独立した速度で移動している。感光体3の表面速度V0と中間転写ベルト41の表面速度Vbとが等しい場合には、図16(a)に示すように、光学センサユニットから出力される各トナー像に対応するパルス波がそれぞれ矩形状になる。このとき、各パルス幅の検知間隔は、多少の誤差があるにしても、概ねPaNとなる。これに対し、感光体3の表面速度V0が中間転写ベルト41の表面速度Vbよりも速い場合には、図16(b)に示すように、各パルス幅の検知間隔が、PaNよりも短いPaHとなる。そして、各パルス幅の形状は、急激に立ち上がった後、徐々に降下していく右裾長の形になる。このような波形になるのは、感光体3と中間転写ベルト41との速度差によってトナー像がベルト移動方向の上流側に崩れて、濃度ムラを発生させているからである。また、感光体3の表面速度V0が中間転写ベルト41の表面速度Vbよりも遅い場合には、図16(c)に示すように、各パルス幅の検知間隔が、PaNよりも長いPaLとなる。そして、各パルス幅の形状は、徐々に立ち上がった後、急激に降下していく左裾長の波形になる。このような波形になるのは、感光体3と中間転写ベルト41との速度差によってトナー像がベルト移動方向の下流側に崩れて、濃度ムラを発生させているからである。
閾値を超えたパルスをトナー像に対応するものであると認識させる場合には、図16(b)や(c)の態様において、トナー像の崩れの影響によってパルスのピークが閾値を超えなくなり、トナー像を検知させることができなくなるおそれが出てくる。また、トナー像の最も濃度の高い箇所を検知させることができなくなるおそれも出てくる。そこで、本プリンタでは、パルスのピーク値をトナー像の検知タイミングとして取り扱うようになっている。具体的には、先に図14に示したメモリー回路143内に格納されたデータに基づいて、CPU146は、各パルスのピークを認識して、そのタイミング(データ番号)データをRAM147に格納する。これによって、時間ピッチ誤差をより正確に検出することができる。
RAM147に格納されたデータで反映されている時間ピッチ誤差は、感光体の1回転あたりにおける速度変動に対応している。そして、感光体1回転あたりにおいては、最高速度や最低速度の発生時点が、感光体、感光体ギヤ、両者を接続するカップリングのうち、偏心量の最も大きなものによって生ずるサインカーブの上限や下限を迎える時点となる。そこで、このサインカーブのパターンや振幅を、マーキングがポジションセンサによって検知されるタイミングと関連付けて、速度変動パターンとして解析する。このときの解析法の1つとして、全データの平均値をゼロとして、変動値のゼロクロス、又はピーク値から変動成分の振幅と位相を解析する方法が挙げられる。しかし、検出データがノイズの影響を大きく受けるため、誤差が大きくなって実用的でない。そこで、本プリンタでは、速度変動パターンの振幅や位相を直交検波処理によって解析する手法を採用している。
直交検波処理とは、通信分野の復調回路に用いられている公知の信号解析技術である。それを行うための回路構成の一例を図17に示す。光学センサユニットからの出力波形に基づくRAM内の格納データは、感光体の速度変動成分の他、いくつかの速度変動成分が重畳された単調増加のデータ群となるので、増加傾向(傾き)分が除かれた変動データに変換される。増加傾向(傾き)分は、データ群から最小二乗法により求めることができ、倍率補正数値として扱われる。変換後の変動データが、次のように処理される。即ち、発振器160は、検出したい周波数成分、ここでは、感光体の回転周期ωoの周波数に調整された周波数信号を、検知用画像の形成時に用いられた基準タイミングに基づく位相で発振する。この周波数信号は、第1乗算器161に直接出力されたり、90°位相シフト器162を介して第2乗算器163に出力されたりする。感光体の回転周期ωoについては、感光体ギヤ上のマーキングの検出信号間隔を計測することで正確に求めることができる。第1乗算器161は、RAM内に格納された変動データと、発振器160からの周波数信号とを乗算する。また、第2乗算器163は、RAM内に格納された変動データと、90°位相シフト器162からの周波数信号とを乗算する。これらの乗算により、変動データを感光体と同じ位相成分(I成分)の信号と、直交成分(Q成分)の信号とが分離される。第1乗算器161からの出力がI成分であり、第2乗算器163からの出力がQ成分となる。第1LPF164は、T成分における低周波帯域の信号のみを通過させる。本プリンタでは、発振周期ωoの整数倍周期分のデータのみを透過させるべく、速度変動検知用画像の長さPa分のデータを平滑化するローパスフィルタを採用している。第2LPF165も同様である。長さPa分のデータを平滑化することで、駆動ローラなどの回転周期成分は平滑化処理で相殺されて「0」となる。そして、振幅演算部166は、2つの入力(I成分とQ成分)に対応する振幅a(t)を算出する。また、位相演算部167は、2つの入力(I成分とQ成分)に対応する位相b(t)を算出する。これら振幅a(t)と位相b(t)とが、感光体の周期変動の振幅と任意の基準タイミングからの位相角に相当する。なお、原動ギヤの回転周期成分の振幅と位相を検出したい場合には、発振周期ωoを高次成分のモータ回転周期に設定した同様の処理を行えばよい。
このような直交検波処理で行うことで、変動のゼロクロスやピーク検知による算出では難しかった少ない変動データで振幅や位相の算出が可能となる。特に、感光体1回転周期に対して検知用画像内のトナー像数が4NP個(NPは自然数)となるように各トナー像の間隔Psを設定することで、少ないトナー像数でも振幅や位相を高精度に算出することが可能になる。これは、4NP個のトナー像の位置関係が変動成分に対して、最も差の大きな位置関係となることから感度が最も高くなるためである。例えば、4個のトナー像の場合、それぞれが、変動のゼロクロスとピーク位置に相当するため、検出感度が高くなる。4個のパターンの位相がずれても検出感度が高い位置関係となっていることには変わりない。
このようにして解析された速度変動パターンに基づいて、CPU146は、各感光体の駆動制御補正データを算出し、駆動制御部150に送信する。この駆動制御補正データは、各感光体の回転周期変動の打消すように各感光体の回転位相を調整して、それぞれの速度変動パターンの位相を調整するためのデータである。
各感光体の速度変動パターンを検出する変動パターン検出制御により、速度変動パターンに応じて算出された上述の駆動制御補正データは、各感光体の速度変動パターンの位相を調整する位相調整制御で利用される。この位相調整制御により、感光体上のトナー像の転写位置に対する進入タイミングの早遅パターンを各直の転写位置で相対的に同期させる。本プリンタでは、各感光体の配設ピッチが感光体周長の1倍になっているので、このようにするには各感光体の速度変動パターンの位相を互いに同期させればよい。即ち、各プロセス駆動モータの駆動量を一時的に変化させて各感光体の表面速度が最高速度になる時点や最低速度になる時点を完全に一致させるように、各感光体の速度変動パターンの位相を調整するのである。これにより、感光体上のトナー像の転写位置に対する進入タイミングの早遅パターンを各色の転写位置で相対的に同期させることができる。
本プリンタでは、このような位相調整制御を、プリントジョブ毎のジョブ終了時に行うようになっている。位相調整制御については、各プリントジョブ毎のジョブ開始時に行ってもよいが、そうすると、ジョブ動作開始から1枚目のプリントを行うまでの間に位相調整制御を行うことになるため、ファーストプリント時間を長くしてしまう。そこで、ジョブ終了時に位相調整制御を行うのである。こすることで、ファーストプリント時間を長くすることなく、次回のプリントジョブにおいて理想的な速度変動パターンの位相関係で、各感光体の駆動を開始することができる。
なお、本プリンタでは、先に説明したように各感光体に線速差を設けることで画像全体の1/2ドット未満の重ね合わせズレを低減するようになっているが、変動パターン検出制御を実行する場合には、各感光体に線速差を設けずに、それぞれ同じ速度で駆動する。これにより、線速差による速度変動パターンの検知精度の悪化を回避することができる。
感光体の1回転あたりにおける速度変動パターンは、機内温度の変化や、外力の影響を受け難い。このため、変動パターン検出制御は、タイミング調整制御とは異なり、それほど頻繁に行う必要がない。但し、プロセスユニットが脱着された場合には、そのプロセスユニットの感光体についての速度変動パターンが大きく変化してしまう可能性がある。そこで、本プリンタでは、4つのプロセスユニットの何れかが脱着された時だけ、変動パターン検出制御を行うようになっている。プロセスユニットの脱着については、図示しない脱着検知手段によって検知する。
脱着検知手段としては、各プロセスユニットをそれぞれ個別に検知する4つのユニット検知センサからの出力信号の何れかが、オフになった後にオンになったことに基づいて、検知する方式のものを例示することができる。ユニットID番号を記憶させたICを実装した電子回路基板を各プロセスユニットに設け、その電子回路基板と制御手段とを突き当て接点を介して接続し、ユニットID番号の変化に基づいて、プロセスユニットの交換を検知する方式のものでもよい。
変動パターン検出制御については、必ずタイミング調整制御と組み合わせて実行するようになっている。具体的には、プロセスユニットの脱着を検知すると、タイミング調整制御を実施した後、変動パターン検出制御と位相調整制御とを実施してから、タイミング調整制御を更にもう一度実施する。このような一連の制御フロー(以下、プロセスユニット脱着検知後ルーチンという)の途中で、プリントジョブを入れることはない。
本プリンタでは、プロセスユニット脱着検知後ルーチンにおいて、一回目のタイミング調整制御を終えると、変動パターン検出制御を行う前に、各感光体の駆動を停止する。このとき、脱着前の速度変動パターンの位相に合わせた位相調整制御に基づいて各感光体の駆動を停止させるのではなく、各感光体を予め定められた基準の回転位相で停止させる。具体的には、感光体ギヤのマーキングを検知した時点から所定時間後である基準タイミングで各プロセス駆動モータをそれぞれ停止させる。これにより、各感光体ギヤのマーキングを同じ回転角度に位置させた状態で、各感光体が停止する。このようにして各感光体を停止させることで、変動パターン検出制御を実施する際には、各感光体をそれぞれ同じ姿勢から回転させる。
変動パターン検出制御においては、Y,C,M用の速度変動検知用画像を、それぞれK用の速度変動検知用画像と一緒に形成して、両方を同時に検知する。これは、基準像担持体であるK用の感光体の速度変動パターンを基準にして、他の感光体における速度変動パターンの位相を、K用の感光体における速度変動パターンの位相に正確に合わせるためである。更には、中間転写ベルトの速度変動成分の影響をより確実に取り除くためでもある。より詳しく説明すると、速度変動パターンには、感光体の速度変動の他に、光学センサユニットとの対向位置における中間転写ベルトの速度変動も反映されてしまう。このため、たとえ速度検知用画像内の各トナー像が中間転写ベルト上で厳密に等間隔で並んでいたとしても、光学センサユニットとの対向位置における中間転写ベルトの速度が変化すると、それに応じて各トナー像についての時間ピッチ誤差が発生してしまう。この時間ピッチ誤差を取り除くためには、基準となるK用の速度変動検知用画像と、他色の速度変動検知画像とを同時に検知する必要がある。
そこで、本プリンタでは、Y,C,M用の速度変動検知用画像を、それぞれK用の速度変動検知用画像と1組にして、一方を中間転写ベルトの幅方向の一端部に、他方を他端部に形成する。このとき、K用の速度変動検知用画像については、K用のマーキング(134K)を検知したタイミングに基づいて形成を開始する(光書込を開始する)。また、Y,C,M用の速度変動検知用画像についても、それぞれに対応するマーキング(134Y,C,M)ではなく、K用のマーキングを検知したタイミングに基づいて形成を開始する。これにより、Y,C,M用の速度変動検知用画像の先端と、K用の速度変動検知用画像の先端とを、互いにベルト幅方向に一直線上に位置させるようにする。
このようにして、Y,C,M用の速度変動検知用画像に基づいて検出される速度変動パターンと、K用の速度変動検知用画像に基づいて検出される速度変動パターンとの位相ズレを検出する。すると、その位相ズレに相当する分だけ、K用のマーキングと、Y,C,M用のマーキングとの回転位置をずらせば、両速度変動パターンの位相合わせができることになる。変動パターン検出制御に先立って、各マーキングの回転位相を同期させているので、速度変動パターンの位相ズレ量がマーキングの望ましい位相ズレ量に相当するようになるからである。
このような変動パターン検出制御では、Y,C,M用のマーキングの検知タイミングを参照することなく、Y,C,M用の速度変動パターンと、K用の速度変動パターンとの位相ズレを検出することができる。但し、プロセスユニットの脱着に起因して、各色の重ね合わせズレ量が脱着前よりも大きくなっている場合には、その分だけ位相ズレの検出結果がシフトしてしまう。そこで、変動パターン検出制御に先立って、タイミング調整制御を行って、各色間での重ね合わせズレ量を予め低減しておくのである。
なお、上述の時間ピッチ誤差をある程度許容してよい場合には、各色の速度変動検知用画像をそれぞれ主走査方向に並べずに個別に形成するようにして、光学センサの数を低減してもよい。この逆に、光学センサの数を4個にすれば、全色の速度変動検知用画像を主走査方向に並べてそれぞれを同時に検知することが可能になるので、変動パターン検出制御の実施時間を短くすることができる。速度変動検知用画像について、基準色と、これ以外の1色とをペアにして並べて形成するか、全色を別々に形成するか、全色を並べて形成するかについては、装置に要求されるスペックやコストなどに応じて選択すればよい。
図18は、プロセスユニット脱着検知後ルーチンの制御フローを示すフローチャートである。何れかのプロセスユニットの脱着が検知されると、まず、タイミング調整制御が実施された後(S1)、エラーの発生の有無が判断される(S2)。そして、エラーが発生した場合には(S2でY)、速度変動パターンの位相を調整するための駆動制御補正データが脱着前の値に戻された後(S3)、位相調整制御が実施される(S4)。この位相調整制御により、脱着前の駆動制御補正データに基づいて、各感光体がそれぞれ速度変動パターンの位相を同期させる姿勢で停止された後、図示しない操作表示部にエラー表示がなされる(S5)。そして、各プロセス駆動モータの線速差設定がONされた後(S6)、一連の制御フローが終了する。なお、線速差設定がONされたことで、その後のプリントジョブにおいて、1/2ドット未満の重ね合わせズレを抑えるように各感光体に線速差が設けられる。
上記S2のステップでエラーが発生しなかったと判断されると、予め定められた基準タイミングで各プロセス駆動モータの駆動が停止される(S7)。これにより、各感光体ギヤが互いに同じ回転位置にマーキングを位置させた姿勢で停止する。その後、各プロセス駆動モータの線速差設定がOFFされた後(S8)、各プロセス駆動モータが再駆動されてから、変動パターン検出制御が行われる(S9、S10)。変動パターン検出制御に先立って、各プロセス駆動モータの線速差設定がOFFされることで、変動パターン検出制御においては、各感光体が等速で駆動される。これにより、変動パターン検出制御で感光体の線速差を設けることによる各速度変動パターンの検出精度の悪化を回避することができる。変動パターン検出制御が終了すると、読取エラーの有無が判断される(S11)。そして、読取エラーが発生したと判断されると(S11でY)、上述したS2〜S6までのステップが実行された後、一連の制御フローが終了する。
上記S11のステップで読取エラーが発生しなかったと判断されると、位相調整制御が実施される(S12)。これにより、新たな駆動制御補正データに基づいて、各感光体がそれぞれ速度変動パターンの位相を同期させる姿勢で停止される。その後、各プロセス駆動モータが再駆動された後(S13)、再びタイミング調整制御が行われる(S14)。この2回目のタイミング調整制御により、プロセスユニットの脱着による何れかの感光体の速度変動パターンの変化に起因して、不適切になってしまった各色の光書込開始タイミングを補正する。そして、エラーの有無が判断された後(S15)、エラーが発生した場合には(S15でY)、上述したS4〜S6のステップを経て、一連の制御フローが終了する。
上記S15のステップでエラーが発生しなかったと判断されると、位相調整制御によって各プロセス駆動モータの駆動が停止された後(S16)、各プロセス駆動モータの線速差設定がONされてから(S17)、一連の制御フローが終了する。
次に、第1実施形態に係るプリンタの各変形例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、各変形例に係るプリンタの構成は、第1実施形態に係るプリントと同様である。
[第1変形例]
図19は、第1実施例に係るプリンタにおけるY用のプロセスユニット1Yを示す斜視図である。このプロセスユニット1Yにおける感光体ユニット2Yの側面には、図示しないICチップが実装されたユニット識別電子回路基板200Yが設けられている。このユニット識別電子回路基板200YのICチップは、感光体ユニット2Yの個々の製品毎に異なった値が付与されているユニットID番号を記憶している。プロセスユニット1Yがプリンタ本体に装着されると、ユニット識別電子回路基板200Yと、プリンタ本体側の制御手段とが突き当て接点を介して接続され、両者間での通信が可能になる。この状態において、制御手段は、ユニット識別電子回路基板200YのICチップ内に格納されているユニットID番号を読み込むことができる。
ユニット識別電子回路基板200Yは、前述の状態において、所定のユニット装着信号を制御手段に送信し続けるようになっている。制御手段は、このユニット装着信号を受信しなくなってから、再び受信するようになったことに基づいて、Y用のプロセスユニット1Yの着脱を検知する。即ち、本第1変形例に係るプリンタでは、ユニット識別電子回路基板200Y、制御手段、上述した突き当て接点などにより、プロセスユニット1Yの着脱を検知する着脱検知手段が構成されている。
制御手段は、プロセスユニット1Yの装着を検知すると、上記ICチップ内に格納されているユニットID番号を読み込んで、RAM内に記憶している装着中ユニットID番号のデータを読込結果のデータに更新する。但し、この更新に先立って、読み込んだばかりのユニットID番号と、RAM内に記憶している装着中ユニットID番号とについて、同一であるか否かを判断する。そして、同一でない場合には、プロセスユニット1Yの交換がなされたと判定する。即ち、本第1変形例に係るプリンタでは、制御手段等からなる脱着検知手段として、プリンタ本体に対するプロセスユニット1Yの着脱操作について、プロセスユニット1Yを一時的に取り外し後に再装着した操作であるのか、プロセスユニット1Yの交換操作であるのかを判定可能なものを用いている。
なお、Y用のプロセスユニット1Yについて説明したが、他色用のプロセスユニット(1C,M,K)も同様の構成になっており、制御手段は、全てのプロセスユニットについて、交換されたのか、あるいは一時的な取り外し後の再装着なのかを判定することができる。
ここで、プロセスユニットが交換された場合には、交換後のユニットが新品であるのか、他のプリンタである程度使用されたものであるのか、過去に本プリンタである程度使用したものであるのか、にかかわらず、現像バイアス等の作像条件の設定が不適切になってしまった可能性がある。そして、不適切になってしまったにもかかわらず、交換前の作像条件のままでタイミング調整制御や変動パターン検出制御を行うと、位置ズレ検知用画像や速度変動検知用画像を適切な濃度で形成することができずに、それら画像の検出エラーを引き起こしたり、誤調整を行ってしまったりするおそれがある。
そこで、本プリンタでは、何れかのプロセスユニットの着脱を検知し、その着脱についてユニットの交換によるものであると判定した場合には、作像条件調整制御を行って新たなユニットに適した作像条件にしてから、タイミング調整制御や変動パターン検出制御を行うようになっている。但し、着脱についてユニットの一時的な取り外し後の再装着であると判定した場合には、作像条件調整制御を行わずに、タイミング調整制御や変動パターン検出制御を行う。再装着の場合には、作像条件の適正値がそれほど変化しないからである。
図20は、何れかのプロセスユニットが交換された場合に、本プリンタの制御手段によって実施されるプロセスユニット脱着検知後ルーチンの制御フローを示すフローチャートである。先に図18に示したフローチャートと異なるのは、変動パターン検出制御やタイミング調整制御が行われる前に、作像条件調整制御が行われる点である(S0)。このようなフローにより、交換後のプロセスユニットの作像条件が不適切なままにタイミング調整制御や変動パターン検出制御を行ってしまうことによる画像(PVや速度変動検知用画像)の検出エラーや、誤調整の発生を回避することができる。
作像条件調整制御では、4つのプロセスユニット1Y,C,M,Kについてそれぞれ、感光体3Y,C,M,Kの表面に階調パターン像を形成し、これを中間転写ベルト41上に転写する。Y,M,C,Kの階調パターン像は、それぞれ単位面積あたりのトナー付着量が互いに異なる複数の基準パッチ(基準トナー像)からなる。具体的には、複数のM基準パッチからなるM階調パターン像、複数のC基準パッチからなるC階調パターン像、複数のY基準パッチからなるY階調パターン像を中間転写ベルト41上に形成するのである。これら階調パターン像は、それぞれベルト移動方向に一直線上に並ぶように形成される。
作像条件調整制御では、これら階調パターン像を上述した光学センサユニット136で検知した結果に基づいて、現像バイアスなどといった各種の作像条件が調整される。作像条件調整制御で行われる処理をおおまかに分類すると、Vsg調整処理と、電位設定値調整処理と、中間調光書込γ補正処理との3つに大別される。Vsg調整処理では、検知対象面である中間転写ベルト41の地肌部(トナー付着のない表面)を検知した光学センサユニット136からの出力電圧値が、所定の値(例えば、4.0±0.2V)になるように、光学センサユニット136の発光素子からの発光量が調整される。また、電位設定値調整処理では、中間転写ベルト41上に形成した階調パターン像(例えば各色についてそれぞれ10階調パターン)における各基準パッチを光学センサユニットによって検知し、各基準パッチに対応する出力電圧値に基づいて適切な現像γを算出する。そして、算出結果に基づいて、狙いの画像濃度を得ることができる感光体一様帯電電位、現像バイアス、光書込強度を特定して、それぞれを設定値とする。また、中間調光書込γ補正処理では、各基準パッチに対応する光学センサユニット136からの出力電圧値と、狙いとする階調特性とのずれ量に基づいて、各階調に対応する光書込強度の設定値である書込γをそれぞれ補正することにより、狙いの階調特性が得られるようにする。なお、現像γとは、現像ポテンシャルと、単位面積たりにおけるトナー付着量との関係を示すグラフの傾きのことである。また、現像ポテンシャルとは、感光体表面の静電潜像と、現像バイアスが印加される現像スリーブ表面との電位差のことである。
[第2変形例]
図21から図25は、それぞれ、何れかのプロセスユニットが交換された場合に、本第2変形例に係るプリンタの制御手段によって実施されるプロセスユニット脱着検知後ルーチンの制御フローを示すフローチャートである。この制御フローでは、Y,M,C用の速度変動パターン検出制御をそれぞれ個別に行う。そして、タイミング調整制御や、Y,C,M用の速度変動パターン検出制御を行う毎に、各プロセス駆動モータ(120Y,C,M,K)の停止と駆動再開とを繰り返す。また、各プロセス駆動モータについては、必ず線速差の設定をOFFした状態、即ち、全てのプロセス駆動モータを等速で駆動する条件で、駆動を開始する。なお、本プリンタでは、第1実施形態に係るプリンタと同様に、Y,C,M用の速度変動パターンについては、それぞれK用の速度変動パターンとのズレを検知するようになっている。
プロセスユニットの交換については、第1変形例と同様にして、プロセスユニットのユニット識別電子回路基板から送られてくる信号に基づいて制御手段が検知する。何れかのプロセスユニットの着脱が検知されると、まず、図21に示すように、駆動停止遅延時間T1の値が「0」にリセットされる(S1)。この駆動停止遅延時間T1は、位相調整制御が行われる際の各プロセス駆動モータにおける基準タイミングからの駆動停止遅延時間である。それぞれ「0」にリセットされたことで、各プロセス駆動モータはそれぞれ上述した基準タイミングで停止される。
駆動停止遅延時間T1が「0」にリセットされると、次に、タイミング調整制御が行われた後(S2)、エラーの発生の有無について判断される(S3)。そして、エラーがあった場合(S3でY)には、各プロセス駆動モータの駆動が停止されてエラーメッセージが操作表示部に表示される(S4)。この後、駆動停止遅延時間T1が前回の値に戻されてから(S5)、一連の制御フローが終了する。これに対し、エラーがなかった場合(S3でN)には、各プロセス駆動モータがそれぞれ基準タイミングで停止された後(S6)、後述するS7以降のフローが実行される。
上記S6で各プロセス駆動モータが基準タイミングで停止されると、次に、図22に示すように、各プロセス駆動モータの線速差設定がOFFされた後(S7)、各プロセス駆動モータの駆動が開始される(S8)。このように、線速差設定がOFFされた状態で各プロセス駆動モータの駆動が開始されることで、各プロセス駆動モータの速度変動パターンの位相ズレが、基準タイミングでモータ駆動停止したときの基準位相ズレ量となる。これに対し、線速差を設けた状態で各プロセス駆動モータの駆動を開始した後、線速差設定をOFFすると、駆動開始から線速差設定OFFまでの間に、各プロセス駆動モータの速度変動パターンの位相ズレが、基準位相ズレ量から更にずれてしまい、正確な位置ズレ補正や速度変動パターンの検出が困難になってしまう。
上記S8で各プロセス駆動モータが線速差のない状態で駆動されると、次に、Y変動パターン検出制御により、K−Y速度変動検知用画像の形成や読み取りが行われる(S9、S10)。そして、読み取りエラーの有無が判断され(S11)、エラーがあった場合(S11でY)には、各プロセス駆動モータの駆動が停止されてエラーメッセージが操作表示部に表示される(S12)。この後、駆動停止遅延時間T1が前回の値に戻され(S13)、且つ線速差設定がONされてから、一連の制御フローが終了する。これに対し、エラーがなかった場合(S11でN)には、各プロセス駆動モータがそれぞれ基準タイミングで停止され(S15)、且つ線速差設定がONされてから(S16)、後述するS17以降のフローが実行される。
S17からS26までのフローは、図23に示すように、Y変動パターン検出制御に代えてC変動パターン検出制御が行われる点(S19、S20)の他は、図22に示したフローと同様である。また、S27〜S34までのフローは、図24に示すように、Y変動パターン検出制御に代えてM変動パターン検出制御が行われる点(S29、S30)の他は、図22におけるS7からS14までのフローと同様である。M変動パターン検出制御の後に読み取りエラーがなかったと判断されると(S31でN)、Y,C,M用の駆動停止遅延時間T1がY,C,M変動パターン検出制御によって演算された値に設定された後(S35)、位相調整制御の実施により、速度変動パターンの位相が調整された状態で各プロセス駆動モータが停止される(S36)。そして、線速差設定がONされた後(S37)、後述するS38以降のフローが実行される。
S38以降のフローでは、図25に示すように、まず、線速差設定がOFFされた後(S38)、各プロセス駆動モータが駆動される(S39)。次いで、タイミング調整制御が行われた後(S40)、エラーの発生の有無が判断される(S41)。そして、エラーがあった場合(S41でY)には、エラー表示や各プロセス駆動モータの駆動停止が行われた後、線速差設定がONされてから、一連の制御フローが終了する。これに対し、エラーがなかった場合(S41でN)には、位相調整制御によって変動パターンの位相が調整された状態で各プロセス駆動モータの駆動が停止された後(S45)、線速差設定がONされてから一連の制御フローが終了する。
かかる構成の本第2変形例に係るプリンタでは、タイミング調整制御や変動パターン検出制御を行うために各プロセス駆動モータの駆動を開始する際には、必ず線速差設定をOFFした状態、即ち、全てのプロセス駆動モータを等速で駆動する条件で駆動させる。これにより、線速差を設けた状態で各プロセス駆動モータの駆動を開始した後に線速差設定をOFFにすることによる補正精度や検出精度の悪化を回避することができる。
[第3変形例]
図26は、本第3変形例に係るプリンタを示す斜視図である。このプリンタは、本体筐体の前面に、回動に伴って本体筐体に対して開閉可能な前面扉205を有しており、これを本体筐体に対して開くことで、本体筐体の前面に設けられたメンテナンス用の開口206を露出させることができる。この開口206を露出させると、図示のように、これを通して内部の転写ユニット40や各色のプロセスユニット1Y,C,M,Kが外部に露出する。この状態で転写ユニット40やプロセスユニット1Y,C,M,Kをプリンタ前後方向にスライド移動させることで、それらを筐体内から引き出したり、筐体内に装着したりすることができるようになっている。
前面扉205の開閉動作は、開口206の下隅付近に設けられた開閉検知スイッチ207によって検知される。この開閉検知スイッチ207は、プリント動作中に前面扉205が開かれたときには動作を強制停止させるなどといった安全上の配慮から、必要不可欠なものである。
本プリンタでは、各色のプロセスユニット1Y,C,M,Kの筐体に対する着脱を、それぞれ直接的に検知する方式の変わりに、開閉動作検知手段たる開閉検知スイッチ207による検知結果に基づいて、間接的に検知するようになっている。具体的には、開閉検知スイッチ207によって前面扉205の開動作が検知された後、閉動作が検知されると、制御手段はそのことに基づいて何れかのプロセスユニットの着脱がなされたものとみなす。
かかる構成では、各色のプロセスユニットの着脱をそれぞれ個別に検知するための専用のセンサを設けることなく、従来から用いられていた開閉検知スイッチ207による検知結果に基づいてそれらの着脱を間接的に検知することで、低コスト化を図ることができる。
次に、参考形態のプリンタについて説明する。なお、以下に特筆しない限り、参考形態に係るプリンタの構成は、第1実施形態と同様である。
参考形態に係るプリンタにおいては、位相調整制御を実施しない代わりに、各プロセス駆動モータの駆動速度を速度変動パターンとは逆位相になるパターンで変化させる制御を行う点が、第1実施形態に係るプリンタと異なっている。具体的には、感光体の速度変動パターンは、既に何度も述べているように、感光体1回転あたりで1周期分のサイン波を描くようなパターンになる。あるサイン波に対し、これと周期及び振幅が等しい別のサイン波を逆位相の状態で合成すると、一方のサイン波における上昇波部分を他方のサイン波における下降波部分でちょうど打ち消すことで、サイン波を完全に消滅させることができる。そこで、本プリンタの制御手段は、変動パターン検出制御で検出した各感光体についての速度変動パターンに基づいて、それぞれそのサイン波と同周期で且つ振幅が等しくなる逆位相のサイン波を発生させ得るプロセス駆動モータ(120Y,C,M,K)の駆動速度パターンを解析する(駆動速度パターン決定制御)。そして、各プロセス駆動モータ(120Y,C,M,K)をそれぞれ決定した駆動速度パターンで駆動した状態でタイミング調整制御を行った後、プリントプロセスを実行する。
各感光体の速度変動パターンは、それぞれほぼ同じ周期であるものの、振幅を互いに異ならせていることが多い。各感光体やギヤの偏心量が各色で微妙に異なっているからである。このため、各感光体の速度変動に起因する重ね合わせズレについては、位相調整制御によって各感光体の速度変動の位相を合わせたとしても、振幅の違いによるごく僅かなズレが残ってしまう。即ち、第1実施形態に係るプリンタにおいては、このようなごく僅かなズレが残ってしまう。
これに対し、本プリンタでは、感光体の速度変動そのものをほぼ無くすことにより、第1実施形態に係るプリンタに比べて、各感光体の速度変動に起因する重ね合わせズレを抑えることができる。
図27は、本プリンタの制御手段によって実施されるプロセスユニット交換検知後ルーチンの制御フローを示すフローチャートである。この制御フローでは、変動パターン検出制御において読取エラーがない場合に(S11でN)、位相調整制御に代えて、駆動速度パターン決定制御が行われる点(S12)が、先に示した図18の制御フローと異なっている。また、各プロセス駆動モータを一旦停止させることなくタイミング調整制御S14が行われる点も図18の制御フローと異なっている。また、フローの最後において各プロセス駆動モータを停止させる際の位相調整制御が行われない点も、図18の制御フローと異なっている。
図27に示すように、本プリンタでは、S14のタイミング調整制御に先立って、駆動速度パターン決定制御にて決定された駆動速度パターンによって各プロセス駆動モータが駆動される。このため、各感光体の速度変動がほとんど起こらない状態でタイミング調整制御が実施される。
なお、プロセスユニット交換検知後ルーチンのときだけでなく、通常のプリントプロセスにおいても、駆動速度パターン決定制御にて決定された駆動速度パターンによって各プロセス駆動モータが駆動される。
第1実施形態に係るプリンタにおいては、上述したように、各感光体の1回転あたりにおける速度変動パターンの位相を同期させることで各感光体の速度変動に起因する重ね合わせズレを抑えるとともに、各感光体に微妙な線速差を設けることで副走査方向における1/2ドット未満の重ね合わせズレを抑えていた。かかる構成において、連続プリントモードでは、プリント枚数が増えていくに従って、各感光体の線速差による速度変動パターンの位相のズレ量が徐々に大きくなってしまう。このため、上述したように、連続プリント枚数が所定枚数に達する毎に、連続プリント動作を一時停止して位相調整制御を行う必要があった。これに対し、本プリンタにおいては、速度変動パターンの位相を調整するのではなく、各感光体の速度変動自体を抑えるようになっているため、各感光体に線速差を設けても、連続プリント枚数の増加に伴う重ね合わせズレ量の増大をきたさない。よって、連続プリント動作を一時停止することによるユーザーの待ち時間の増加を回避することができる。
次に、本発明を適用したプリンタの第2実施形態について説明する。なお、以下に特筆しない限り、第2実施形態に係るプリンタの構成は、第1実施形態と同様である。
本発明者らは、参考形態に係るプリンタのように、各感光体の速度変動パターンとは逆位相で且つ振幅が等しい駆動速度パターンで各プロセス駆動モータを駆動すれば、各色の重ね合わせズレは完全に解消されると考えていた。しかしながら、実験を行ったところ、重ね合わせズレをかなりのレベルまで低減することができたものの、完全に無くすことはできなかった。これは、速度変動パターンの検知誤差、プロセス駆動モータの回転精度、モータ回転制御誤差などがあるためと考えられる。
そこで、第2実施形態に係るプリンタにおいては、ほんの僅かに残ってしまう重ね合わせズレをも抑えるために、駆動速度パターンによる駆動と、位相調整制御とを組み合わせて行うようになっている。このようにすることで、ほんの僅かに残ってしまう各感光体のサインカーブ状の速度変動パターンの位相を合わせて、重ね合わせズレをほぼゼロにすることができる。
図28は、本プリンタの制御手段によって実施されるプロセスユニット交換検知後ルーチンの制御フローを示すフローチャートである。この制御フローでは、変動パターン検出制御において読取エラーがない場合に(S11でN)、まず、駆動速度パターン決定制御が行われた後(S12)、位相調整制御によって各プロセス駆動モータが停止される(S13)。その後、各プロセス駆動モータがそれぞれ対応する駆動速度パターンで再駆動されてから(S14)、タイミング調整制御が行われる(S15)。
この制御フローは、先に図18に示した制御フローに、各プロセス駆動モータをそれぞれ対応する駆動速度パターンで駆動する制御を付加したものである。先に図18に示した制御フローに代えて、先に図21〜図25に示した制御フローに、各プロセス駆動モータをそれぞれ対応する駆動速度パターンで駆動する制御を付加してもよい。この場合、各色についてそれぞれ、速度変動パターンを検出した後に駆動速度パターン決定制御を実施し、その後、決定した駆動速度パターンでプロセス駆動モータを駆動しながら、タイミング調整制御を実施すればよい。
これまで、各感光体上の各色トナー像を中間転写ベルト41に1次転写した後、記録体たる記録紙に一括2次転写する方式のプリンタについて説明した。かかる方式に代えて、各感光体上の各色トナー像を無端移動体たる紙搬送ベルトに保持される記録紙に直接重ね合わせて転写する方式を採用してもよい。この場合、タイミング調整制御や変動パターン検出制御の際には、各トナー像を紙搬送ベルトに転写して、光学センサユニットで検知すればよい。例えば、図29に示すように、各感光体3Y,C,M,K上のトナー像を、無端移動体たる紙搬送ベルト201の表面に保持されながら搬送される記録紙Pに直接重ね合わせて転写する方式の画像形成装置である。かかる方式でも、位置ズレ検知用画像や速度変動検知用画像については、各感光体3Y,C,M,Kから紙搬送ベルト201に転写すれば、タイミング調整制御や変動パターン検出制御を行うことができる。
以上、第1実施形態に係るプリンタにおいては、プリントジョブによって画像情報に基づく画像を記録体たる記録紙に形成した後、複数の駆動源の駆動たる各プロセス駆動モータをそれぞれ、変動パターン検出制御で検出した各感光体の速度変動パターンに基づいたタイミングで停止することで、各プロセス駆動モータを次に駆動する際における複数の像担持体たる各感光体の速度変動パターンの位相を予め調整する位相調整制御を実施するように、制御手段を構成している。かかる構成では、既に述べたように、プリントジョブの開始時に位相調整制御を行うことによるファーストプリント時間の長期化を回避することができる。
また、変動パターン検出制御にて、基準像担持体たるK用の感光体についての速度変動検知用画像と、Y,C,M用の感光体についての速度変動検知用画像とを、無端移動体たる中間転写ベルト41の表面に対して表面移動方向と直交する方向であるベルト幅方向に並べて転写するように、K用の感光体に対する速度変動検知用画像の形成を、K用の感光体についてのポジションセンサ135Kによるマーキング134Kの検知タイミングに基づいて開始する一方で、Y,C,M用の感光体に対する速度変動検知用画像の形成も、K用のマーキング134Kの検知タイミングに基づいて開始し、且つ、それら速度変動検知用画像の速度変動パターンの位相ズレに基づいて、位相調整制御におけるY,C,M用の感光体に対応するプロセス駆動モータの駆動停止タイミングを決定するように、制御手段を構成している。かかる構成では、既に述べたように、Y,C,M用のマーキング(134Y,C,M)の検知タイミングを参照することなく、Y,C,M用の速度変動パターンと、K用の速度変動パターンとの位相ズレを検出することができる。更には、光学センサユニットとの対向位置における中間転写ベルト41の速度によって生ずる時間ピッチ誤差を取り除いて、各感光体の速度変動パターンを精度良く検出することができる。
また、変動パターン検出制御に先立ってタイミング調整制御たるタイミング調整制御を実施した後、変動パターン検出制御及び位相調整制御を実施して各プロセス駆動モータをそれぞれ停止し、更に各プロセス駆動モータを再駆動してから、タイミング調整制御を再び実施するように、制御手段を構成している。かかる構成では、既に述べたように、プロセスユニットの交換に起因して、各色の重ね合わせズレ量が交換前よりも大きくなっていても、その分だけ速度変動パターンの位相ズレの検出結果に誤差を発生させてしまうといった事態を引き起こすことなく、位相ズレを精度良く検出することができる。
また、変動パターン検出制御を実施するのに先立ち、各プロセス駆動モータをそれぞれ駆動し、それらの駆動を、前回の変動パターン検出制御で求めた駆動停止タイミングに代えて、予め定められた基準タイミングで停止し、且つ、各プロセス駆動モータを再駆動してから、変動パターン検出制御を実施するように、制御手段を構成している。かかる構成では、各感光体をそれぞれ所定の回転位置から回転させて変動パターン検出制御を行うことで、各感光体間の回転位相の関係を明確に把握しながら各感光体の速度変動パターンを検出する。これにより、速度変動パターンの位相ズレを容易に求めることができる。
また、各プロセス駆動モータについてそれぞれ、それに対応する位置ズレ検知用画像内の各トナー像の検知タイミングに基づいて、画像情報に基づくプリントジョブを行う際における駆動速度を個別に設定する速度設定制御をタイミング調整制御内で行うように、制御手段を構成している。かかる構成では、既に述べたように、1/2ドット未満の重ね合わせズレを、各感光体の線速差によって低減することができる。
また、変動パターン検出制御を実施するときには、各プロセス駆動モータをそれぞれ同じ駆動速度で駆動するように、制御手段を構成している。かかる構成では、既に述べたように、変動パターン検出制御の際に各感光体を等速で駆動して、各感光体に線速差を設けることによる速度変動パターンの検知精度の悪化を回避することができる。
また、各プロセスユニット、ひいては各感光体の交換作業が行われたことを検知する交換作業検知手段を設け、交換作業検知手段によって何れかの感光体についての交換作業が検知された場合に、画像情報に基づくプリントジョブを行うのに先立って、変動パターン検出制御とタイミング調整制御とを実施するように、制御手段を構成している。かかる構成では、感光体の交換に起因する重ね合わせズレの悪化を抑えることができる。
また、像検知手段たる光学センサユニットからの出力信号に直交検波処理を施して速度変動パターンを解析するように、制御手段を構成している。かかる構成では、ゼロクロス、ピーク検知に比べて、少ないデータ数(パターン数)で、高精度に速度変動パターンを検知することができる。
また、第1変形例に係るプリンタにおいては、脱着検知手段として、ユニット識別電子回路基板や制御手段等からなり、脱着検知後に装着されているプロセスユニット(感光体や駆動伝達回転部材)について、脱着検知前と同じものであるか否かを判定可能なものを用いている。かかる構成では、プロセスユニットの着脱が、一時的な取り外し後の再装着によるものなのか、交換によるものなのかを判定することができる。
また、第1変形例に係るプリンタにおいては、脱着検知後に装着されているプロセスユニット(像担持体や駆動伝達回転部材)について、脱着検知前と同じものでないと判定した場合には、像担持体たる各感光体に対してそれぞれ、予め定められた可視像を形成して中間転写ベルト41の表面に転写して作像性能検知用画像たるY,M,C,Kの階調パターン像を得た後、光学センサユニット136によるそれら階調パターン像の検知結果に基づいて可視像形成手段の作像条件を調整する作像条件調整制御を実施するように、制御手段を構成している。かかる構成では、既に述べたように、交換後のプロセスユニットの作像条件が不適切なままにタイミング調整制御や位相調整制御を行ってしまうことによる画像(PVや速度変動検知用画像)の検出エラーや、誤調整の発生を回避することができる。
また、第3変形例に係るプリンタにおいては、本体筺体として、複数の感光体のそれぞれや、駆動伝達回転部材のそれぞれ、を筺体内に対して出し入れする開口206と、これを閉じたり露出させたりする開閉扉たる前面扉205とを有するものを用いるとともに、前面扉205の開閉動作を検知する開閉動作検知手段たる開閉検知スイッチ207を設け、これによって開閉動作が検知された場合に、変動パターン検出制御と、位相調整制御と、タイミング調整制御たるタイミング調整制御とを実施するように、制御手段を構成している。かかる構成では、既に述べたように、交換後のプロセスユニットの作像条件が不適切なままにタイミング調整制御や位相調整制御を行ってしまうことによる画像(PVや速度変動検知用画像)の検出エラーや、誤調整の発生を回避することができる。
また、第1実施形態や各変形例に係るプリンタにおいては、複数の像担持体としてそれぞれ、潜像を担持することが可能な潜像担持体たる感光体を用いるとともに、可視像形成手段として、それぞれの感光体に潜像を書き込む潜像書込手段たる光書込ユニット20と、それぞれの感光体を個別に一様帯電せしめる複数の帯電手段たる複数の帯電装置(5Y等)と、一様帯電後のそれぞれの感光体に潜像を書き込む潜像書込手段たる光書込ユニット20と、それぞれの感光体に担持された潜像を個別に現像する複数の現像手段たる複数の現像ユニット(例えば7Y)と、それぞれの感光体におけるトナー像転写後の表面を個別にクリーニングする複数のクリーニング手段たる複数のドラムクリーニング装置(例えば4Y)とを有するものを用いている。そして、それぞれの感光体を、帯電装置、現像ユニット及びクリーニング装置とともに共通の保持体たるケーシングに保持させて1つのユニットとして本体筐体に着脱可能にしたプロセスユニットとして構成している。かかる構成では、専門知識のない一般ユーザーであっても、感光体やその周辺装置の交換を容易に行うことができる。